理科離れ、工学離れが進み、「技術立国」、「ものづくり国家」の基盤が揺らいでいると懸念する声が産業界や大学などでしきりですが、「そんな常識はデータに裏付けられたものでない。工学部学生は過剰。これ以上増やす必要はない」と“異論”を唱えているのが西村吉雄・前東京工業大学監事。若者人口のうち8割が高等教育で学ぶ現状についても「大学の役割は失業対策事業になっている。新規市場の育成で若者の雇用の場創出こそが喫緊の課題」と指摘しています。大学・大学院経営の現状や大学の将来像について聞きました。 ■Profile 西村 吉雄(にしむら よしお) 1971年東京工業大学博士課程修了、工学博士。同年日経マグロウヒル(現日経BP)社入社。日経エレクトロニクス編集長・発行人を10数年勤めた後非常勤編集委員。2002年東京大学大学院工学系研究科教授、03年大阪大学フロンティア研究機構特任教授。04年から09年6