ハイスクール時代の野球のエース、そして町中の少年たちの憧れの的だった金髪の女の子。昔は特別だった連中も、今は酒を飲むと過去の栄光についての話ばっかり。ああ、栄光の日々。というのは1984年のブルース・スプリングスティーンのアルバム『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』 に収録されている彼の代表的な1曲でもある「グローリー・デイズ」の歌詞である。 アメリカがダメになった。それを80年代の時点でもっとも声高に言っていたのがスプリングスティーンだった。同時に思い浮かぶのは「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」という言葉である。このキャッチフレーズの要点は、アメリカはもうダメになってしまったという部分だ。アメリカをもう一度、偉大な国にしようというのだからもちろん、ダメになってしまったことが前提なのだ。 『カーズ/クロスロード』の主人公、ライトニング・マックィーンは、連戦連勝のレーサーである。だが新世