永沢徹(弁護士) 【第52回】 2008年11月28日 迷走する「シャルレMBO」があぶり出した MBOの潜在的な問題点 ――「情報の非対称性」と「関係者の利益相反」を払拭できるか? いま、あるMBO案件の迷走ぶりに注目している。――それは、女性下着販売事業を手がける株式会社シャルレの創業家によるMBO。シャルレといえば、かつて女子バレーボール日本代表だった三屋裕子氏が社長を務め、昨年6月の株主総会で電撃解任されるというニュースで話題になった会社(当時の社名は、株式会社テン・アローズ)である。 そのシャルレは三屋氏解任後、創業者である林一族が返り咲き、経営に当たっていたが、業績回復のためには抜本的な経営改革が必要であるとして上場廃止を決意。創業家とモルガン・スタンレーがファンドを組成し、株式公開買付け(TOB)を行なうに至った。 そして今年9月22日から市場でTOBを開始。しかし、延