高橋 日本の官僚制度では、役所に忠誠を尽くすことが何よりも大切ですからね。海外に留学したら最後、逆に「お前は留学させてもらい、海外で役所に食わせてもらったんだぞ」と言われ、立場が弱くなってしまう。その状況で海外で学んだ最先端の知識や経験を応用しようとすると、硬直化した組織の論理と矛盾が出てしまい、せっかくの知的財産が活用されずに封殺されてしまうのです。 私は1998年から3年間、米プリンストン大学国際問題研究所に客員研究員として留学しました。研究所が経済学部と同じ建物にあり、当時経済学部長だったベン・バーナンキ現FRB(米連邦準備理事会)議長ら、世界に名だたる経済学者の講義を聴講したり、著名な学識経験者などを招いて毎日のように開かれるハイレベルなセミナーに参加したりしながら大いに学びました。私はその時に得た知識や経験を日本社会に率直に還元しているつもりですけれど・・・。 そうせざるを得ない