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元国税局職員の芸人による「まかないは 無料で食べると 所得税」

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元国税局職員の芸人による「まかないは 無料で食べると 所得税」

著者: 倉田 健一 芸人

監修: 福留 聡 税理士・公認会計士・行政書士

元 国税局職員 さんきゅう倉田です。
おすすめのふるさと納税は『地方の肉』です。

飲食店に勤務していると、まかないが提供されることがあります。テレビに出るような個人経営のお店でも、常連しか食べられないまかないメニューがあったり、まかないを限定で出していたところ人気が出て定番メニューになったり、それを見た大手チェーンが「従業員のまかない丼」というメニューを作ったり、多くの飲食店は店の食材を使った食事を従業員に提供しています。それが「まかない」です。

まかないが有料か無料かは、お店によって異なりますが、無料で提供されているなら所得税の対象です。

「どうして余り物を食べて、金を払わなければいけないんだ」などと考える方もいるかもしれません。今回は、そんな方のフラストレーションを解消するために、法的根拠を紹介します。

「まかない」は無料だと給与になる

ぼくが大学時代にアルバイトをしていた某大手ファミレスでは、まかない1食につき250円徴収することになっていました。同じグループの別の業態では、200円のところもありましたし、300円のところもありました。お店のメニューの平均単価によって、徴収される金額が違ったようです。

「まかないくらい無料にしろ」と、アルバイトたちはぼやいていました。これには合理的な理由があって、経営者がケチなのではなく、料金を徴収しないと、まかないが給与として扱われるからです。

一般的な市民感覚では、ご飯食べてるだけなのにどうして給与なんだ、と思いますよね。その感覚は、最低限の法律を知ってしかるべき経営者側にも見られます。

先日Twitterで検索していたら、大手の某焼肉店の求人に「まかない無料」と書いてあるのを見つけました。店長さんの納税モラルが低いことも分かりますが、会社として店舗の責任者に指導をしていない杜撰な経営だと感じてしまいます。

無料の「まかない」が給与になる理由

なぜか。具体的な税法上の取扱いを以下のようになっています。

まず、給与の説明から。いわゆる、世に言うところの「給与所得」ですが、国税庁は次のようにいっています。「給与所得とは、使用人や役員に支払う俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有するもの」つまり「会社で働いてる人に、労働の対価としてあげるお金」です。

会社からもらうお金の中に「手当」と呼ばれるものがあります。国税庁は次のようにいっています。「役員や使用人に支給する手当は、原則として給与所得となります。具体的には、残業手当や休日出勤手当、地域手当、家族(扶養)手当、住宅手当など」つまり「手当は基本的にお給料と一緒ですよ」ということなんですね。

しかし、例外がありまして以下のようなものは給与所得となりません。

  • 通勤手当のうち、一定金額以下のもの
  • 転勤や出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるもの
  • 宿直や日直の手当のうち、一定金額以下のもの

その給与所得には、現物給与という考え方がありまして、お金をもらったわけじゃないのに、給与として扱われるものがあります。この辺が市民感覚に馴染まないのかもしれません。

現物給与の例は以下のようなものなどです。

  • 会社の物を無料または、すごく安くもらった
  • 会社の建物とか物とかお金を無料、または安く借りた

ここまで理解していただいた上で、表題のまかないの件が説明できます。国税庁は次のようにいっています。

役員や使用人に支給する食事は、次の二つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されず福利厚生費として処理できます。

1.役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
2.次の金額が1か月当たり3,500円以下であること。
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)

つまり、「提供される食事の半分以上を従業員が支払っていて、会社の負担が3,500円以下なら、給与として扱われない」ということになります。だから、某大手ファミレスは、給与として扱われないように従業員のことを考えて、1食250円を徴収しているわけなんです。

もちろん、給与として扱って源泉所得税の対象としてよければ、無料でまかないを提供するのも選択肢の一つです。 ただ、無料なのに、給与として扱わないのはよくない、そのことを店長さん、経営者の皆さんにご留意いただければと思います。

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