22日に物語が完結したTBS系日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」を巡る考察がいまだ止まない。
自分を犠牲にして亡き兄(斎藤工)の妻(池田エライザ)と子を守った主人公・鉄平(神木隆之介)の生き方は感動を呼び、SNSでは「鉄平の文字や写真を見ると涙が溢れる。仕事に支障が出てる」「電車の中でも仕事の休憩中も鉄平のことを考えて泣きそうになっている」といった告白投稿がみられる。
高度成長期に炭坑で栄えた長崎県の端島(軍艦島)と現代社会を並行させた同ドラマ。今を生きるホストの玲央(神木の二役)が、知り合った女性実業家のいづみ(宮本信子)を通じて過去の端島で繰り広げられた鉄平らの物語をたどる。実はいづみは、突然行方をくらませた鉄平と交際していた朝子(杉咲花)その人だった――。
最終回、玲央は鉄平の手がかりを探して古賀という男性(滝藤賢一)に会う。古賀が鉄平の友人の賢将(清水尋也)と百合子(土屋太鳳)夫妻の子であることを知ると、玲央は「あの…元気…ですよね?」と問いかけ。古賀が「えっ?」と驚くと、「子供がいて…あなたと子供、どっちも元気?」と続けた。「あっ、まぁ」と古賀。さらに玲央は「兄弟も?」と尋ねる。古賀は「僕? みんな元気です」と答え、玲央は「よかった」と笑顔を見せた。
11月の第4話で、百合子と母、姉が長崎で被爆したことが明かされている。姉は亡くなり、後に母も死去。15日の第8話で百合子は出産への不安を賢将に漏らした。玲央は鉄平の日記などを通じて経緯を知っていたとみられる。被爆2世にあたる古賀とその血縁者の健康を気遣い、踏み込んだ言葉を避けて「元気?」と尋ねたのだった。
折しも、今月授賞式が開かれたノーベル平和賞を日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が受賞した。関連して、辛い気持ちや健康、差別への不安から、被爆体験をなかなか語れなかった被爆者の存在も伝えられた。玲央のふるまいは、被爆の語り継ぎを示唆するシーンだったと言える。