第7族元素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/26 13:14 UTC 版)
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第7族元素(だいななぞくげんそ、英語: group 7 element)は、周期表において第7族に属するマンガン・テクネチウム・レニウム・ボーリウムのこと。マンガン族元素と呼ばれることもある
最外殻のs軌道と、一つ内側のd軌道を占有する電子の和が7個になる。従って、最大の原子価は、7価である。通常は、2価、3価の場合が多い。閉殻していないd軌道を持ち、遷移元素として取り扱われる。
性質
第7族元素では、価電子および内殻電子の電子構造はd5s2構造をとる。
マンガン 25Mn | テクネチウム 43Tc | レニウム 75Re | |
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電子配置 | [Ar]3d54s2 | [Kr]4d55s2 | [Xe]4f145d46s2 |
第1イオン化エネルギー (kJ mol-1) | 719.1 | 702 | 749 |
第2イオン化エネルギー (kJ mol-1) | 1,509.1 | 1,472 | |
第3イオン化エネルギー (kJ mol-1) | 3,248.4 | 2,850 | |
第4イオン化エネルギー (kJ mol-1) | 4,940 | ||
第5イオン化エネルギー (kJ mol-1) | 6,990 | ||
第6イオン化エネルギー (kJ mol-1 | 9,200 | ||
第7イオン化エネルギー (kJ mol-1) | 11,508 | ||
電子親和力 (電子ボルト) | 0.666 | 0.746 | 0.815 |
電気陰性度 (Allred-Rochow) | 1.60 | 1.46 | |
イオン半径 (pm; M4+) | 67(6配位) | 79(6配位) | |
イオン半径 (pm; M7+) | 39(4配位) | 52 (4配位) 67 (6配位) | |
金属結合半径 (pm) | 112 | 135 | 137 |
融点 (K) | 1,517 | 2,430 | 3,459 |
沸点 (K) | 2,235 | 4,538 | 5,869 |
酸化還元電位 E0 (V) | 1.23(MO2/Mn2+) | 0.272 (MO2/M) | 0.22 (MO2/M) |
第7族元素のマンガンは、その存在量も多い(地殻の0.085%)元素で、5種類存在する酸化物のうち、4種が天然に産出する。レニウムは、モリブデンの鉱石である輝水鉛鉱 MoS2 中に極く少量含まれ、モリブデン精製の煤煙や特定の銅鉱石の副産物中から得られる。テクネチウムは、全ての同位体が放射性であり、天然にはウランが自発核分裂して生じる 99Tc(半減期2.14×105年)が痕跡量が存在するだけである。そしてテクネチウムは、最初の人工元素として、モリブデンに重陽子を照射して製造された。
第7族元素は、錯体化合物を含めると、s電子およびd電子を全て与えた+7から-1価の状態まで取りうる。しかし、テクネチウムとレニウムは性質が似ているものの、マンガンはその性質はいささか異なる。テクネチウムとレニウムの単塩は、好んで酸化数 +4, +5, +7の状態を取るのに対して、マンガンの単塩は +2, +4,+6,+7の状態を取る。そして、Mn(+2)の自由エネルギーは著しく低く、マンガンはMn(+2)の状態が最も安定である。言い換えると、マンガンの多の酸化状態は不安定であることを示唆する。実際に、高次酸化状態のマンガンの化合物は酸化剤として有用であり、単体マンガンは還元剤として有用である。
マンガンは反応性の高い元素で、ハロゲン、酸素、硫黄、炭素、窒素、および多くの非金属と化合物を形成する。また、鉄の合金である鋼鉄には、何れもマンガンが含まれ、製鉄業においては、重要な添加元素である。テクネチウムとレニウムとは性質が似ており、酸化物、硫化物、ハロゲン化物を与える。テクネチウムの半減期の短い同位体は、医療用放射線減(主にトレーサー)として利用される。希少で高価なレニウムは、工業的に大量に利用されることはないが、実験室での脱水素触媒や、フィラメントの添加物や熱電対として利用される。そして、99Tcは原子炉でのウランの核分裂生成物の6%を占める。すなわち、100MW級の原子炉では、毎日約2.5gのテクネチウムが生成している。したがって、今日では天然に存在する安定核種のレニウムよりも、放射性核種のテクネチウムの方が入手しやすい。
参考文献
- 日本化学会編『化学便覧 基礎編 1・2』(改訂5版)丸善、2004年。ISBN 4-621-07341-9。
- ヘスロップ、ジョーンズ 著、斎藤喜彦 訳『無機化学 上』東京化学同人、1977年。OCLC 47510118。全国書誌番号:78003718。
- ヘスロップ、ジョーンズ 著、斎藤喜彦 訳『無機化学 下』東京化学同人、1978年。OCLC 47510163。全国書誌番号:78007765。
- F.A.コットン、G.ウィルキンソン 著、中原勝儼 訳『無機化学 上』(第4版)培風館、1987年。ISBN 4-563-04192-0。
- F.A.コットン、G.ウィルキンソン 著、中原勝儼 訳『無機化学 下』(第4版)培風館、1988年。ISBN 4-563-04193-9。
関連項目
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1 | H | He | |||||||||||||||||||||||||||||||
2 | Li | Be | B | C | N | O | F | Ne | |||||||||||||||||||||||||
3 | Na | Mg | Al | Si | P | S | Cl | Ar | |||||||||||||||||||||||||
4 | K | Ca | Sc | Ti | V | Cr | Mn | Fe | Co | Ni | Cu | Zn | Ga | Ge | As | Se | Br | Kr | |||||||||||||||
5 | Rb | Sr | Y | Zr | Nb | Mo | Tc | Ru | Rh | Pd | Ag | Cd | In | Sn | Sb | Te | I | Xe | |||||||||||||||
6 | Cs | Ba | La | Ce | Pr | Nd | Pm | Sm | Eu | Gd | Tb | Dy | Ho | Er | Tm | Yb | Lu | Hf | Ta | W | Re | Os | Ir | Pt | Au | Hg | Tl | Pb | Bi | Po | At | Rn | |
7 | Fr | Ra | Ac | Th | Pa | U | Np | Pu | Am | Cm | Bk | Cf | Es | Fm | Md | No | Lr | Rf | Db | Sg | Bh | Hs | Mt | Ds | Rg | Cn | Nh | Fl | Mc | Lv | Ts | Og | |
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第7族元素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/22 16:47 UTC 版)
元素イオン色化合物の例化学的性質Mn [Mn(CO)5]− Na[Mn(CO)5] 空気中でMn2(CO)10に変化 Mn(CN)65- 無色 Na5Mn(CN)6 空気中で酸化されやすい。熱水との反応によって水素を放つ [Mn(CO)6]+ [Mn(CO)6][AlCl4] Mn2+ 薄い桃色希薄溶液はほぼ無色 Mn(NO3)2 ([Mn(H2O)6]2+の略記である。)Mn2+ + 2 OH− → Mn(OH)2↓ [Mn(NH3)6]2+ [Mn(NH3)6]Cl2 MnF3− KMnF3 MnF42- K2MnF4 MnCl3− RbMnCl3 MnCl42− Cs2MnCl4 MnBr42- [(CH3CH2)4N]2MnBr4 MnI42- [Mn(CH3CN)6]MnI4 [Mn(OH)4]2− Na2[Mn(OH)4] [Mn(NO3)4]2- [Mn(CN)6]4- [Mn(C≡CH)4]2- 桃色 Na2[Mn(C≡CH)4] Mn(II)が空気中でMn(III)に酸化される。 Mn3+ 濃塩酸との反応によって塩素が生じる。 [Mn(DMSO)6]3+ [Mn(DMF)6]3+ [Mn(C≡CH)6]3- 暗い茶色 K3[Mn(C≡CH)6] 爆発性 MnF4− RbMnF4 MnF52− ピンク色 K2MnF5·H2O MnF63− 青色 K3MnF6 MnCl52- [dipyH2]MnCl5 [Mn(PO4)2]3- 紫色 NaH2[Mn(PO4)2] ([Mn(HPO4)2(H2O)2]−とも表せる。) [Mn(H2P2O7)3]3− 紫色 K3[Mn(H2P2O7)3] [Mn(CN)6]3- K3[Mn(CN)6] [Mn(CN)5OH]3− K3[Mn(CN)5OH] [Mn(C2O4)3]3- 濃い赤茶色 K3[Mn(C2O4)3]·3H2O 結晶や濃い溶液中に存在 [Mn(C2O4)2(H2O)2]− 黄褐色 K[Mn(C2O4)2(H2O)2] [Mn(マロネート)3]3- [Mn(マロネート)2(H2O)]− MnF5− KMnF5 MnF62- Cs2MnF6 [Mn(CN)6]2- エメラルドイエロー K2[Mn(CN)6] [MnIO6]− K[MnIO6]·1/2H2O [H7Mn(TeO6)3]7- Na7[H7Mn(TeO6)3]·5H2O [H7Mn(TeO6)3]7- + H2O → [H4Mn(TeO6)2]4- + H4TeO62− + OH− MnO43- 空色 K3MnO4 MnO42- 緑色 K2MnO4 3 MnO42- + 2 H2O → 2MnO4− + MnO2 + 4 OH− MnO4− 紫色 KMnO4 MnO4− + OH− → MnO42− + 1/2O2↑ + H2O 2 MnO4− + 3 Mn2+ + 2 H2O → 5 MnO2↓ + 4 H+ MnO4− + Mn2+ + 8 H+ + 15H2P2O72- → 5 [Mn(H2P2O7)3]3- + 4 H2O MnO3+ 緑色 KMnO4在浓H2SO4溶液中 水との反応でMn2O7になる。 Tc [Tc(CO)5]− 薄い緑色 Na[Tc(CO)5] Tc2Cl83- (NH4)3Tc2Cl8·2H2O Tc2Cl82- [(n-C4H9)4N]2Tc2Cl8 TcF62- 桃色 K2TcF6 安定で、高温の濃アルカリによってのみ加水分解しうる。 TcCl62- 黄色 K2TcCl6 塩酸溶液中で存在 TcCl5(OH)2− 赤色 K2TcCl5(OH) TcBr62- 赤色 K2TcBr6 水によって急速に加水分解する。 TcI62- 濃い紫色 K2TcI6 不安定で、急速に加水分解する。 TcF6− 明るい黄色 KTcF6 水によって分解し、TcO4−、TcO2·xH2O和TcF62-になる。 [TcNCl4]− [AsPh4][TcNCl4] [Tc(OH)3(CN)4]3- 茶色 K3[Tc(OH)3(CN)4] [Tc(OH)3(CN)4]3- + 3 Tl+ → Tl[Tc(OH)3(CN)4] [Tc(CN)7]4- K4[Tc(CN)7]·2H2O 水溶液は空気中で[TcO(CN)5]2-和[TcO2(CN)4]3-へと酸化されやすい。 [Tc(NCS)6]2- 茶色 [(CH3)4N]2[Tc(NCS)6] [Tc(NCS)6]2- + 2 [(CH3)4N]+ → [(CH3)4N]2[Tc(NCS)6]↓ [Tc(NCS)6]- 紫色 [(CH3)4N][Tc(NCS)6] [Tc(NCS)6]2- + 2 [(CH3)4N]+ → [(CH3)4N][Tc(NCS)6]↓ [Tc(diars)2Cl4]+ 暗い茶色 [Tc(diars)2Cl4]PF6 TcO42- 紫色 [(CH3)4N]2TcO4 水によって分解する TcO4− NaTcO4 TcO53− 茶色 K3TcO5 TcO65− 茶色 Li5TcO6 TcH92- 無色 K2TcH9 Re [Re(CO)5]− 绿 Na[Re(CO)5] [Re(CO)6]+ [Re(CO)6]ClO4 Re2Cl82- 青色 K2Re2Cl8 2 Re2Cl82- + Cl2 → 2 Re2Cl9−メタノール溶液内でHBrと反応させると、Re2Br82-が生じる。KSCNとの反応によってRe2(NCS)82-が生じる。 Re2Cl92- 紫色 [(C4H9)4N]2Re2Cl9 可以被铁还原为Re2Cl82- Re2Br92- 茶色 [Ph4As]2Re2Br9 Re3Cl112− [Ph4As]2Re3Cl11 Re3Cl123− 赤色 Cs3Re3Cl12 ReF62− K2ReF6 ReCl62− 茶色 H2ReCl6 ReCl62- + 2 Tl+ → Tl2ReCl6↓ReCl62- + 2 Ag+ → Ag2ReCl6↓ ReBr62- 赤色 K2ReBr6 水によって急速に加水分解する。臭化水素酸中では赤色または濃い黄色の溶液に変化する。ReBr62- + 2 Ag+ —HNO3→ Ag2ReBr6↓ ReI62- 深紫色 (NH4)2ReI6 水によって分解される。 ReF6− 明るい黄色 KReF6 水と反応して分解する。(不完全) [ReOF5]− 青色 KReOF5 ReCl6− [PCl4][ReCl6] [ReOCl5]2- 黄色 Cs2ReOCl5 [PPh3H]+塩は桃色になる。 [Re2OCl10]4- 黄褐色 K4[Re2OCl10]·H2O [ReCl5(OH)]2- 緑色 K2[ReCl5(OH)] ReF7− 黄色 CsReF7 ReF82- 桃色 K2ReF8 ReF8− NOReF8 [Re(CN)6]3- 緑色 K3[Re(CN)6] [Re(OH)3(CN)3]3- 紺碧 K3[Re(OH)3(CN)3] [Re(CN)8]3- 黄茶色 K3[Re(CN)8] [Re(CN)8]3- + [Co(NH3)6]3+ → [Co(NH3)6][Re(CN)8]↓2 [Re(CN)8]3- + 3 Zn2+ → Zn3[Re(CN)8]2↓ [Re(CN)8]2- 紫色 [Co(NH3)6]2[Re(CN)8]3 3 [Re(CN)8]2- + 2 [Co(NH3)6]3+ → [Co(NH3)6]2[Re(CN)8]3↓ [Re(SCN)6]2- 赤茶色 [(C6H5)4As]2[Re(SCN)6] [Re(NCS)6]− 茶色 Cs[Re(NCS)6] [ReO2(CN)4]4- 黒色 K4[ReO2(CN)4] [ReO2(CN)4]3- 橙色 K3[ReO2(CN)4] [ReO2(CN)4]3- + H+ → [ReO(OH)(CN)4]2- [ReO(OH)(CN)4]2- 紫色 K2[ReO(OH)(CN)4] [ReN(CN)4]2- 桃色 K2[ReN(CN)4]·H2O [ReN(CN)4]2- + CN− → [ReN(CN)5]3- [ReN(CN)5]3- 黄色 K3[ReN(CN)5] [Re2O3(en)2]4+ 緑色 Re2O3(en)2Cl4 [ReO2(en)2]+ 黄色 [ReO2(en)2]+ + H+ → [ReO(OH)(en)2]2+ [ReO(OH)(en)2]2+ 紫色 [ReO(OH)(en)2]2+ + H+ → [Re(OH)2(en)2]3+[ReO(OH)(en)2]2+ + OH− → [ReO2(en)2]+ + H2O [Re(OH)2(en)2]3+ 青色 [Re(OH)2(en)2]3+ + OH− → [ReO(OH)(en)2]2+ + H2O [Re(diars)2Cl4]+ 紫色 [Re(diars)2Cl4]ClO4 ReO42- オリーブ色 [(CH3)4N]2ReO4 ReO4− 無色 NH4ReO4 ReO53− 明るい黄色 Cs3ReO5 ReO65− 橙色 Sr5(ReO6)2 ReO3S− 黄色 ReS4− 紫色 [N(CH3)4][ReS4] ReO3N2− K2ReO3N 空気中では安定だが、水との反応により分解 ReH92- 無色 K2ReH9 濃度0.05%以下の強アルカリ溶液中で安定に存在しうる。Tl+をTlに還元しうる。 [(C5H5)2ReH2]+ 無色 [(C5H5)2ReH2]Cl [(B9C2H11)Re(CO)3]− Cs[(B9C2H11)Re(CO)3]
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