家計のご相談にいらっしゃる方の傾向を見ていると、夫婦仲が悪いご家庭ほど、老後破産のリスクを感じています。パートナーに秘密を持つことにデメリットがあるのは、事実です!松井証券が実施したインターネット調査「夫婦の家計管理事情に関する調査」の結果から、どうすれば夫婦で協力しながらお金を増やせるのかを考察します。(『教育貧困にならないために』川畑明美)
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2,000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。
収入を秘密にする夫婦は資産が少ない?
「あなたが、パートナーに隠していることを教えてください」って聞かれたら、なんて答えますか?
なんと隠し事の第1位は「お金関係」だったのです!(松井証券株式会社調べ)
私はフィナンシャル・プランナーとして1,000人以上の方の家計相談を受けた経験から、夫婦間でお金関係を公開していないご家庭は、資産が少ない傾向にあると肌で感じています。
夫婦仲が悪いご家庭は、残念ですが、資産がほとんどないのです。
家族間の「所得隠し」であわや離婚へ
例えば、こんな事がありました。家計管理方法を教えるため収入と支出を調べていただいたところ、あわや離婚の危機になってしまったことがあるのです。
共働きのAさんは、夫の収入も知らされず、渡された生活費と自分の収入で家計をヤリクリしてきたそうです。夫の収入については聞いても教えてくれないので、課税証明書を取り寄せたのだそうです(ちなみに私は、そこまでして調べてくださいとは言っていません)。
そして、ついに夫の年収を知ることになるのですが、いただいていた生活費の3倍の年収だったそうです。「私は自分の収入をほとんど家計に入れていたのに!夫は自分のことに使っていたなんて、許せない」と言い、恨み・辛みを私は1時間以上も聞くことになりました。
適正な生活費を家計に入れないということは「経済的DV」を受けていることですから、気持ちはわかります。そうして私に恨み・辛みを吐き出した後は、前向きに、ご夫婦で話し合って良い方向に導けました。
ことわざでも「金の切れ目が縁の切れ目」というように、夫婦間で収入・貯蓄額を秘密にするのは、デメリットしかありません。
「熟年離婚」予備軍にも……
また、ご相談中にこのような話をされることもあります。
「本当に資産がなくて困っています。しかも定年後、夫がずっと家にいるなんて、本当にゾッとします。本当は、一緒に住みたくもないんですけどね……」
60歳を過ぎて定年を迎えたところで、あるのは妻の退職金だけ。ご主人は、自営業で退職金もあ
りません。夫婦仲が良ければ、こんなギリギリになって慌てることは、ありません。
残念ですが、ご相談にいらしてこのような状態では、打てる手も少ないのです。
老後も、定年後の再雇用やアルバイトするなどで長く働くことになります。もちろん働くことは、社会貢献でもありますが、生活苦のために働くのでは、第2の人生を楽しむことは、できません。
私たちは、お金を使って生活しています。つまりお金を何に使うのかは、価値観によって違います。