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ジャベリン(MS)

登録日:2011/12/29 Thu 23:21:22
更新日:2024/11/18 Mon 19:32:08
所要時間:約 7 分で読めます




当項目では、『機動戦士Vガンダム』及び『機動戦士クロスボーン・ガンダム』シリーズに登場するモビルスーツ(以下MS)の「ジャベリン(JAVELIN)」について解説する。





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         〉_ム_/_⌒i}  _r=-―-、
     r‐‐t.、‐、f:::lr-<iト、 l| /l    kニi
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【性能諸元】

型式番号:RGM-122
所属:地球連邦軍
   リガ・ミリティア
   他
開発:アナハイム・エレクトロニクス社
生産形態:量産機
頭頂高:14.5m
本体重量: 8,1t
全備重量:16,5t
出力:3,980kw
推力:23,830kg×2
   21,600kg×1
総推力:69,260kg
装甲材質:ガンダリウム合金セラミック複合材

《武装》
バルカン砲 ×2門
ビームサーベル ×2基
ビームライフル
ビームシールド
ショットランサー ×2基

《主なパイロット》
ミズホ・ミネガン
地球連邦軍一般兵士
リガ・ミリティア構成員




【機体解説】

アナハイム・エレクトロニクス社が開発・量産した地球連邦軍の量産型MS。
要求された性能を発揮出来ず、軍の期待に応えられなかったジェムズガンの兄弟機あるいは後継機。

基礎設計とフレームはその兄弟機と同じものを使用しながらも、ジェムズガンでの失敗を踏まえ、ビームシールドを標準搭載。
開発にはシルエットフォーミュラプロジェクトの成果やブッホ・コンツェルンとの裏取引で得た技術を惜しげもなく投入。
武装に後述の「ジャベリンユニット」を装備、宙間戦闘に重要なサブスラスターが腰部・脚部を中心に全身に増設された。
更にこのサブスラスターが地上運用においても運動性・機動力の向上に繋がっており、簡易改装で地上用高性能MSとしても運用可能。
その結果、ほぼ同じジェネレータ出力ながら火力・機動性・防御力ともに当時の第一線級に跳ね上がった。
画期的な装備もあってか、U.C.0120年代から0130年代における高性能MSに仕上がっている。
ちなみに普段はジム系伝統のゴーグルで隠れているが、実はガンダム系と同じデュアルアイである。
長年勘違いされているが実は初代ジムとガンキャノンも「バイザーの下はデュアルアイカメラ式」なので実は先祖返りしただけだったりする。
但しガンキャノンやジムのアイカメラそのものは画像素子の様な形状なのに対し、ジャベリンのバイザー下はガンダム式の完全独立デュアルアイ。
なのでよりガンダムの血が濃くなった様な感じではある。

開発の完了そのものは宇宙世紀0122年と、コスモ・バビロニア建国戦争の勃発の1年前と比較的遅い。
更にジェガンからジェムズガンまでの前型機の生産施設の転換や、連邦政府の財政難で生産配備は遅れてしまう。
結局、軍への完全配備は0130年代にまでずれ込んだ。
それでもその高性能から、0120年代にもまだ相当数が残存していたジェガンを瞬く間に駆逐し、評判が著しく悪かった兄弟機ジェムズガンを退ける。
0130年代には繋ぎとして運用されていたヘビーガンGキャノンも抜き去り、連邦宇宙軍の主力機の座に就いた。


本来は宇宙軍での採用だったが、ジム・ジェガンシリーズ譲りの汎用性も高く、わずかな改造で地上でも使用出来たりとなかなか優秀。
そのため、地上軍も部隊によっては本機の改造型に機種転換しており、0150年代においては地上でも相当数が稼動している。
地球連邦軍制式MSとしてはザンスカール帝国機と渡り合える唯一の機体だった。

機体の大きな特徴として、背部の大型ショットランサー「ジャベリンユニット」が挙げられる。
このジャベリンユニットを中心とした高い攻撃力に、ヘビーガン以来の高い運動性を実現。
更に後期ジェムズガン由来のビームシールドによる防御力を持ち、必要十分な出力が加わった。
これにより攻・防・速を高い水準でキープした高性能量産機として完成したのである。




【劇中での活躍】

U.C.0133年には既に配備されており、木星戦役での戦闘に参加している。

映像作品では『機動戦士Vガンダム』に登場。
開発年度からは30年、配備完了からも20年以上経っていたジャベリンは当時既に旧式であり、ベスパのMSには苦戦を強いられていたんだ!
第34話で女性メカニックのミズホ・ミネガンが本機でアドラステアに挑むも歯が立たずに押し潰されるシーンや、無人機が核爆弾代わりにウッソに狙撃されるシーンは印象に残りやすい。
本来地上用のトムリアットに宇宙空間で無双されたこともあった。

しかしながら元々のポテンシャルが高かった故か、時には弱体化して侮られていた連邦軍の意地を見せている。
連邦軍のバグレ隊所属機がカイラスギリー守備隊を相手に奮戦していたりと、ゾロアットなどのベスパ製MSを撃墜するシーンもあった。
前述のミズホ機にしても最終的に撃墜されたものの、正規のパイロットでない彼女が対空砲火を掻い潜って艦橋付近に一太刀浴びせており、ジャベリンのポテンシャルの高さを示している。

当時の連邦軍唯一の実働部隊と言って良かったムバラク艦隊ではあるが、ザンスカールに辛勝できたのは本機の貢献というよりは、ザンスカール上層部の内輪揉めとリガ・ミリティアからの提供MSの存在が大きい。
その他にも本機を運用する連邦協力部隊へのMS提供は作中序盤から度々描写があり、本格移籍前のゴメスやユカもその性能に感激や感謝を示していた。

あくまで連邦の装備の中では一番マシといった按配のやられ役ではあったが一矢報いる描写もそれなりにあり、登場する度に酷い目に遭うジェムズガンよりは遥かに活躍に恵まれていた。


なお、技術衰退著しいU.C.160年代以降において優位であろうショットランサーの様な簡素で強力な武装があるにもかかわらず、兄貴のジェムズガンに比べて宇宙戦国時代には殆ど姿を見せなかった。
ザンスカール戦争終結までに相当数が失われたか、それとも他の小型MSのようにもはや整備することもままならなかったか……
いずれにせよ、ザンスカール戦争以降の目立った活動記録は残されていない。




【武装】

  • バルカン砲
頭部に2門内蔵された近接戦闘用の機関砲。
初代ジムからの伝統装備。


  • ビームライフル
オーソドックスな射撃兵装。
完全新規設計されており、バレル、ストック、センサーの全てが大型化されフォアグリップも増設。
ジェムズガン用の飾りのがらくた簡易型よりも出力は高く、サブグリップもついている。
ロールアウト当時は標準的な出力だったが、流石にU.C.0153年時にはやや物足りない。
それでもエンジェル・ハイロゥの戦艦部装甲を穿ち、V2ガンダムのパンチの追撃でMSが悠々入れるほどの穴を開けている。

最終回、エンジェル・ハイロゥ攻防戦終盤ではV2ガンダムも拾った物を使用していた。
前半で専用ライフルをリグ・コンティオに破壊された為であり、いつ拾ったのかは不明。
これでエンジェル・ハイロゥ中心の球体部位を狙うウッソの前に、オデロの残留思念が現れ止める。
『ここをやったら、シャクティが吹っ飛ぶぞ!』
この事からも、少なくともそれぐらいは可能な破壊力を有している事が分かる。


  • ビームサーベル
リアアーマー裏に2基搭載されている。
特に変わった点は見受けられない。


  • ショットランサー
名前の由来となった背部のジャベリンユニットに搭載された大型の実体武器。
銃型のジャベリンユニットの先端に、射出可能な円錐形の穂先(ショットランサー)をつけた形になっている。
ユニットの配置はF91のヴェスバーに近く、脇下から前方にせり出して使用する。

背部装着式のため、ブッホ製のクロスボーン・バンガードのMSが装備していた手持ち式の馬上槍型ショットランサーに比べて射角に制限がある。
だがバックパックとの接合部がボールジョイントになっていているので、見た目以上に射角は広い。
単純な兵器ではあるがその威力は絶大であり、旧式化が進んでいたザンスカール戦争期においても、ゾロアットなどの最新鋭MSを串刺しにしていた。
射撃武器としてだけでなく、ユニットを取り外して小脇に抱え、突撃武器として使用することも可能だったようだ。

ランサーそのものがスラスターユニットと一体化しており、ジャベリンユニットを丸ごと質量弾として射出する事も出来る。
この際、ジャベリンユニットからビームの膜を形成し、貫通力と対ビームシールド能力が強化される。
更に質量兵器であるため、敵機のジェネレーターの核爆発を誘発させにくいという利点がある。
しかしユニット自体が重いのか弾速はあまり速くないので、こちらはもっぱら対艦用として使用された。
流石にアドラステアのタイヤには効かなかったが、これは相手が悪すぎる。
というかあそこまで近づいたなら狙うのは艦橋か、せめて車輪の付け根(艦体部)だろう

ショットランサーはジャベリンの主要装備ではあったが、取り外してオプション装備への変更も可能であった。


  • ビームシールド
ジェムズガンと同型のものを装備。ただし出力自体は若干ながら向上している。

ジャンヌ・ダルク艦隊所属機は三機のシールドを同期させる事で、高出力・大面積のIフィールドシールドとしての展開。
ゴトラタンのメガビームキャノンから艦を守ってみせるという、非常に強固な堅牢さを見せた。
尚、このキャノンの威力はV2アサルトバスターのバスターキャノンに撃ち勝ったり、戦艦数隻を一撃で沈めるほどのもの。


  • 大型ミサイルランチャー
拠点攻撃用の大型ミサイルランチャー。2機がかりで曳航して使用する。
見た感じ、艦艇か基地のミサイルランチャーでも外して持ってきたのだろうか?
劇中ではカイラスギリー攻撃に使用していた。




【派生機】

プロトタイプジャベリン


型式番号:RGM-122
所属:地球連邦軍
開発:アナハイム・エレクトロニクス社
頭頂高:14.5m
本体重量: 8,1t
全備重量:16,5t
出力:3,980kw
推力:69,260kg(23,830kg×2、21,600kg×1)
装甲材質:ガンダリウム合金セラミック複合材

《武装》
バルカン砲 ×2門
ビームサーベル ×2基
ビームライフル
ビームシールド

《主なパイロット》
カムナ・タチバナ


ジャベリンのプロトタイプ。カナリアイエローで塗装されているのが特徴。
ジェムズガンを改造して製作されたテスト用の機体であり、胸部ダクトや腰部はジェムズガンのままになっている。
まだショットランサーが装備されておらず、またカメラアイ部分がゴーグルで覆われていないのでデュアルアイが剥き出しのまま。


漫画機動戦士ガンダム クライマックスU.C. 紡がれし血統』に登場。
クロスボーン・バンガードのイルルヤンカシュ要塞攻略戦にて、カムナ・タチバナ准将が老齢ながら、F90Ⅱに乗った実娘ナナ・タチバナの窮地に出撃。
“戦鬼”の異名を持つシュテイン・バニィール*1の駆る金色のベルガ・ギロスと激しい戦いを繰り広げた。
これはカムナ准将が若かりし頃にティターンズやロンド・ベル隊への在籍経験もある手練れのパイロットだったという経験上のアドバンテージもあったが、
試作機の時点でクロスボーン・バンガードの上位機種と渡り合えるポテンシャルを有することの証明であった。

最期はある事情により要塞の爆発からシュテインを庇って損傷、様々な戦いを乗り越えてきたカムナ准将とともに静かにその役目を終えた。


ジャベリン 初期生産タイプ

正式採用直後に生産されたジャベリン。
生産ラインがジェムズガンと同一なので、一部パーツがジェムズガンと共用になっている。
ショットランサーはこの機体から搭載された。


ジャベリン 量産タイプ

主力化決定後に生産されたバージョン。Vガン劇中に出てくるのはこれ。
ジェムズガンの生産が打ち切られたので、より最適なパーツが使用されている。
機動戦士Vガンダム 新MSVハンドブック2』によると、生産ラインの違いにより外形に差異がありゴーグル無しの機体(デュアルセンサー剥き出し)やデュアルセンサー左側に眼帯型のロングレンジセンサーを装備した機体、腰部にサイドボックスを装備した機体なども存在するという。


対艦用ジャベリン

機動戦士Vガンダム 新MSVハンドブック2』より。
ミサイルタイプの対艦用大型ショットランサー“メガスピア”を装備した機体。
対艦専門の特殊部隊であるティルコッド隊に配備されていた。


ジャベリンキャノン

型式番号:RGM-122C

ショットランサーの代わりに4連装または単装のビームキャノンを2基搭載した物。
しかし、汎用機であるジャベリンのジェネレーターでは出力に余裕が無く、発射回数が制限されてしまっていたために十分な性能を発揮できなかった。


アクアジャベリン

PCゲーム『SDガンダムウォーズ』に登場するゲームオリジナルMS。アースサイド軍所属。
ゲーム内ではシージェガンの上位として水中用ジムタイプMSの最上位機となっている。
武器はビームトライデントと遠距離ミサイル




ガンプラ


1/144で発売。
ショットランサーのギミックが再現され、プロポーションや可動も良好。
同シリーズの他機体同様にサーベルやシールドはクリアーパーツで再現され、ディスプレイスタンドも付属する豪華な仕様。
値段もリーズナブルで複数揃えるのも容易。

ガンダムベースの売上ランキング上位に食い込んだ事があることからもキットの良質さが窺える。




ゲーム


  • SDガンダムGNEXT・GCENTURY
VガンダムはGXからの登場なのだが、ジェムズガンとジャベリン兄弟のゲーム参戦はGNEXTから。

宇宙専用だがショットランサーのおかげでゲドラフクラスのザンスカールの量産型とも意外と渡り合える。そして原作イベントステージである”フロンティア4”では連邦側のMSとしてジェガンと共に登場。このゲームではジェガンですらデナン系より強いのに更に強いジャベリンも数体いるわけで、ラフレシアにさえ注意すればぶっちゃけF91とビギナ・ギナを封印しても勝ててしまう。

一方のGCENTURYではTECレベルが見直されてリガ・ミリティアのレベル1万能機体としてジェムズガンやガンイージとともに登場。
シールドが導入されリガミリティアの機体はほぼ全部ビームシールド*2装備の為他の陣営のTEC1レベルの機体よりもコストがかかってしまうのが難点。但し同軍のMSの中では地上専用で移動力は高いものの戦闘力はからっきしなジェムズガン、ジャベリンの1,5倍のコストで製造ターンも2ターンかかるのに武装の威力や防御がしょっぱすぎるガンイージと比べると、ショットランサーによる一撃があるだけましといえる。

まぁ、リガ・ミリティアのMSはV2ガンダムとV2ABを除いてどれも微妙で、自軍に組み込む場合はV2達と使いやすい戦艦のラインナップが目当てなのだが…。


初代どころかその前身であるSDガンダムジェネレーションから参戦。
スーファミ時代はガンイージには劣るがショットランサーのおかげでそれなりに戦える宇宙専用MSとして登場。但しシステム的にエースになったらすぐさま上位ランクのユニットにクラスチェンジしまくるのがセオリーだったため、ジャベリンをずっと使い続けるというプレイはまずない。一応GNEXTと同じく作品終了後に出たはずなのだが、何故かこちらでも万能機扱いではなかった。

次作からは万能MSとして登場。
ジェムズガンから開発可能で、地上でしか使えなかったジェムズガンと違い宇宙・空中適性を持ち、武装も増え使いやすくなった。
但し空中適性はDもしくはCと低めなので注意。一方地上・宇宙双方で使える機体でありながら宇宙適性はどのナンバリングでもAあるため、ミノフスキー粒子を撒けばパイロット次第で割と回避が期待できる。

Vガンダム系機体開発の足掛かりになるため、造っておいて損は無い。
この機体自体もサイズSで宇宙適性A、強力なショットランサーやビームシールドも持つなど悪くない性能。
思い入れがあるか量産機縛りなら十分戦力として使っていけるだろう。


トライアルモードでCPU機体としてのみ登場。

だが、妙によく爆発して、爆風を広げる印象が強い。
これは本編中でウッソが、放置されてたジャベリンを放り投げる→核融合炉を撃ち抜いてモトラッド艦隊を足止めしたシーンの影響か。




【余談】

  • デザイナーは石垣純哉氏。石垣氏は本作だと主に敵MSのデザインを担当している。

  • ジャベリンとは投げの総称のこと。
    宇宙世紀や更にその後の世界にはジャベリンの名を関する武器を持った機体が度々登場した。

  • 劇中にムバラク艦隊所属の3機の青いMSがビームシールドを重ね合わせてゴトラタンのメガビームキャノンを防いだシーンが存在するが色分けやディティールを仔細解析して見ると、これはジャベリンではなくよく似たカラーリングのガンブラスターなのが分かる。
    但し、2010年代後半に画像キャプチャして分かった様な内容なので間違ってもしょうがないような内容ではある。

    ……と思いきや、YouTube公式チャンネルで公開されている解説・ドーガ『昼MS』ではこの場面をジャベリンとして紹介しており、一応バンナム的にはジャベリンという認識らしい。




バグレ隊の生き残りは追記・修正をお願いします。

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最終更新:2024年11月18日 19:32

*1 その正体はカムナの息子のシュン・タチバナ

*2 通常のシールドよりもダメージ軽減が大きい。砲撃を受ける時には必ず使用する