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スネ吉

登録日:2024/04/28 Sun 21:46:00
更新日:2024/10/31 Thu 09:31:16
所要時間:約 9 分で読めます






どうだい、ぼくの操縦ぶりは。

12チャンネルで4機ばらばらに動かせるんだ。


スネ吉( - きち)は、漫画ドラえもん』に登場するキャラクター。






【配役】

井上和彦(1979年6月)/二又一成(1984年6月~2005年3月)/緑川光(2000年・代役)/山崎たくみ(わさドラ版)


【概要】

骨川スネ夫の従兄。通称「スネ吉兄さん」。父方か母方かどちらかは明言されておらず、苗字は不明。
原作では「スネ吉」の名前があまり登場せず、主にスネ夫は「いとこ」と呼んでいる。

サーフィンからプラモデル製作、スポーツカーでのドライブに至るまで多種多様な趣味を楽しむスーパー金持ち大学生。
特にプラモやラジコンの製作・改造に関する卓越した知識量と特異的と言えるテクニックは、超脇役でありながら彼自身の存在感に絶大なインパクトを与えており、登場回数は少ないながらも作品を代表する名脇役として有名である。

スネ夫とはとても仲が良く、しばしばドライブや旅行などに誘っている。


【外見】

髪型はパーマまたはアフロヘアーで、眼鏡をかけている。
骨川一族の例に漏れずキツネ顔で金持ちなのだが、宝石やブランド品を着飾るスネ夫の両親とは異なりお洒落やファッションには無頓着なのか基本的に地味な服装が多い。
スネ夫も成人後は彼のようなパーマスタイルに変えている。よほどスネ吉のセンスをリスペクトしているのだろう。


【性格】

インドア・アウトドアを問わぬ趣味人らしく陽気で明るい性格。

従弟のスネ夫を可愛がっており、プラモやラジコンなどを作ってやったりしている。面倒見も良く、休日にはしょっちゅうスネ夫や友達を遊びに誘っている。このことからスネ夫をはじめ子供たちにも好かれている。
スネ夫に与えるそれらは超大作と呼べる作品も少なくないのだが、それを我が手柄かのようにのび太へ自慢するスネ夫の態度に対しても寛容である。
だが、ジオラマ製作については師弟関係を結んでいる関係上、スネ夫の成果物については人一倍厳しい評価を下し、容赦ないダメ出しも行う。たとえ小学生が相手でもクオリティには妥協を許さないマニア魂が垣間見える。

嫌味なスネ夫の親戚ということや、スネ夫がのび太を仲間外れにするくだりに高確率で居合わせていることから、あまり好印象を持たれない。だがここで誤解しないでほしいのは、スネ吉自身は決して仲間外れに加担しているわけではないという点である。のび太を連れて行けないのは定員オーバーなどやむを得ない事情があっての場合であることが多い。
少なくともスネ夫と結託してのび太を爪弾きにしようとする描写は皆無だが、『ラジコン大海戦』ではスネ夫の要請とはいえ、戦艦大和のラジコンを占領したドラえもんとのび太を特製魚雷で大和もろとも沈めるなど冷酷な敵役的一面も見せている。

上記の『ラジコン大海戦』を除けばドラえもんとの直接的な絡みは少ないが、彼のことは「ふしぎな力を持ったロボット」と認識していることから機械マニアの一人として興味を示している模様。その未知なる科学の粋に意気揚々と新兵器を引っ提げて喧嘩を売るぐらいなのだから、この回以外ではあまり絡まないものの相応の関心は寄せているのだろう。また、『ひみつ道具百科事典』の『プラモ化カメラ』では道具で作った飛行機のプラモを「こんな精巧な模型は見たことがない」と感心し、ドラえもんに弟子入りしている。

その一目置いているドラえもんからはしばしば道具による被害を受けることが多く、『ドライブはそうじ機に乗って』では「無生物さいみんメガフォン」でスーパーカーをゴミ収集車に変えられた上に車内をゴミまみれにされ、『海に入らず海底を散歩する方法』では放置していた「水よけロープ」が原因でクルーザーが転落、修復の目処が立たずドラえもんが代わりに作った折り紙の舟に乗せられるという災難に遭っている。
事前にのび太をハブるなどしたスネ夫はともかく、友達も含めて純粋に最高のレジャーを提供した彼までもが被害者的立場に置かれる点については同情を寄せる読者も少なくない。

普段は気さくだが、自ら運転するスーパーカーを「乗りものぐつ」に乗ったドラのびが追い越したため負けじと抜き返すなど、『ラジコン大海戦』で見せつけたしぶとさといい、スネ夫に似て案外負けず嫌いな性分が窺える。


【趣味・特技】

モデル製作からマリンスポーツまで、趣味という趣味を余す所なく知り尽くした男・スネ吉。
作中で描写のあるものだけでも…

◆ホビー関連

●プラモデル・ラジコン・ロボット製作
手先の器用さはプラモやラジコン作り、あるいは改造においても存分に活用されている。

『百丈島の原寸大プラモ』ではクイーン・エリザベス2世号のラジコンプラモデルを完成させており、四丈半島にて進水式を行った。
『ラジコン大海戦』でスネ夫に与えた全長1.75m・1/150スケールの戦艦大和や、
その後新たに引っ提げて来た、魚雷発射装置を取り付けたゼロ戦は、まさに彼の数ある代表作の一部かつ卓越したラジコン知識と技術の結晶と呼ぶに相応しいだろう。
さらにそれらゼロ戦部隊を「12チャンネルで4機ばらばらに動かせる*1」テクニックも持ち合わせており、本人も自賛するほど。

それにしてもせっかく作った大和を奪還するどころか魚雷の実験材料として大喜びで沈めるというシチュエーションをやってのける彼、最高にロックである。当初大和の撃沈に猛反対していたスネ夫を「もっといいの作ってやるから」と宥める辺り、大和クラスの規模を作るなど朝飯前なのかもしれない。

スネ吉の手掛けるラジコンやロボットには、複雑なアクションやギミック搭載などハイレベルな改造を施されたものも多く、常人離れな工学知識とテクニックの持ち主であるという証左にもなっている。

とりわけ有名なのが大長編『のび太と鉄人兵団』に登場したミクロス
指先にミサイルのギミックをつけるなどお手の物。プロペラによる飛行能力を実現し、かなりの遠距離からでもリモコン操作を可能とする送受信性能まで搭載。さらにのび太のランドセル空だろうから軽そうとか言わないを強奪したまま飛行する馬力まで持つ。あとのび太を煽るためだけにアッカンベー用の舌を搭載したりとかく彼の技術の粋を集めた一作である。
ドラえもんの改造を施された形ではあるが、その後の対鉄人兵団戦にても活躍を見せるなど、間接的に技術面で大長編のストーリーに貢献したといえる。

●ジオラマ・ミニチュア製作
弟子・スネ夫へ2ページ以上に渡る熱血指導を行ったことからも、彼のジオラマに対する情熱は並大抵のものではないことが窺い知れる。上記のプラモ知識も存分に活かされており、これらを踏まえた「三感*2」と呼ばれるモデラーの基礎知識をスネ夫に叩き込んでいる。

大長編『のび太の宇宙小戦争』では直接登場しないが、特撮映画を撮影したいスネ夫のために骨川家の庭にミニチュアのセットを作っている。
同作でドラえもんの道具による強化込みとは言えスネ夫のプラモが大活躍した点*3から、彼の指導があったことでピリカ星を独裁者から奪還が達成できたとも言える。

●セルアニメーション製作
わさドラ版アニメオリジナルエピソード『ジャイ子とドラミに恋人!?』では、ジャイ子が手掛けた漫画「虹のビオレッタ」をひみつ道具『アニメーカー』を使ってアニメ化するというプロジェクトに、スネ夫、ジャイ子、ドラミと共に参加している。

◆アウトドア関連

●スポーツカードライブ
車はカウンタックやフェラーリを所有しており、スネ夫や友達をドライブに誘う時は基本的にこちらと共に現れる。初登場時にはフォルクスワーゲン・ビートル*4に乗って公園に向かっていた。
この他、世界で数台しか生産されていない高級車も所持しているというのだから驚きである。

●モーターボート
●クルーザー
自動車免許だけでなく、クルーザーも運転できることから小型船舶免許も取得しているようだ。

●ヨット

●サーフィン
スネ夫いわく「サーフィンの名人」。作中では優雅に大波を乗りこなすベストショットを収めている*5

●スキューバダイビング
スネ夫いわく(2回目)「スキューバーダイビングのベテラン」。美しい海中写真を撮影し、スネ夫に送っている。

●ハンググライダー
わさドラ版『お子さまハンググライダー』でハンググライダーを楽しむ動画をスネ夫に送っている。


以上のようにとんでもない多趣味っぷりである。
『ドラえもん』、いや藤子作品の中で彼ほど財産を趣味に全振りするかの如く勢いでエンジョイしている人物はいないのではないだろうか。

彼における趣味の世界を観察する上で重要なのは、ただ財力に物を言わせた豪遊に終始しているわけではない点である。特にジオラマについては、作中でプロの目線からスネ夫を指導していたように、専門知識についてはエンジョイどころかガチ勢の次元にまで達していることが窺える。

世の中の趣味とは、えてして多額の出費が避けられないジャンルばかりなのもまた事実である。しかし、これらの趣味をプロの領域まで極めるための技術や知識を蓄える彼の姿勢は、まさしく趣味人の究極系と呼ぶに相応しいであろう。


【主な名ゼリフ】

  • ドラえもん?あ、あのふしぎな力を持ったロボット…………。
  • どうだい、ぼくの操縦ぶりは。12チャンネルで4機ばらばらに動かせるんだ。
  • 戦争は金ばかりかかって、むなしいものだなあ。
  • このプラモのどこに金属メカの質感がある!?まるっきりペンキぬりたてのおもちゃじゃないか!?
  • 距離感ゼロ!!ジオラマは、背後に無限の広がりを感じさせねばらくだいだ!!
  • よろこぶのはまだはやい。撮影で、巨大ロボの量感をださねば意味がないのだ。


【余談】

  • 映画『2112年 ドラえもん誕生』には、ロボット養成学校の特別クラスに編入されたドラえもんの同級生として「スネキチ」*6というスネ夫にそっくりな鶏型ロボットが登場するが、スネ吉とは無関係。
  • 某世の中の危険から助かる方法を教える老人曰く、「跳び箱の助走と同じくらい重要」とのことらしい。←その老人の孫「超ワキ役じゃん!!」



追記・修正は項目に無限の広がりを感じさせねば落第だ!!


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最終更新:2024年10月31日 09:31

*1 通常1機あたり上昇下降・左右旋回・エンジン出力調整で3チャンネル……魚雷発射はどうしてるんだ?

*2 質感・距離感・量感

*3 PCIAのドラコルル長官はスネ夫を「地球の兵器製造大臣に違いない」と評している。

*4 わさドラ版ではミニクーパー(ローバー製の旧式ではなく、BMW製の最新モデル)になっている

*5 『海水コントローラー』

*6 キャストクレジットでは「スネロボ」表記。