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ドラえもん のび太の新魔界大冒険~7人の魔法使い~

登録日:2022/06/13 Mon 01:21:10
更新日:2025/03/05 Wed 00:09:09
所要時間:約 10 分で読めます





キラキラ輝く君になれ!

魔法の言葉はチンカラホイ!


『ドラえもん のび太の新魔界大冒険〜7人の魔法使い〜』とは、『映画ドラえもんシリーズ』の第27作目のタイトルである。

2007年3月10日に公開で上映時間は112分。興行収入は35.4億円。
わさドラ映画の第2作目であり、コロコロコミック30周年の記念作でもある。


【概要】

本作は1984年3月17日に公開された「ドラえもん のび太の魔界大冒険」を再構築してリメイクされた作品となっており、前年のリメイク作であるのび太の恐竜2006同様に旧作ファン等を中心に話題を呼んだ。

本作の評価は賛否両論となっている。
理由としては、当時はわさドラそのものに対して忌避の声が多く旧作映画のリメイクにも否定的な見方が強かったことに加え原作・旧作と比較して大幅に改変された設定やシーンが多く、
特に本作のゲストキャラクターである美夜子に関する設定が大きく変更されておりその点が評価を大きく分ける要因となっている。
一方で映像技術の進歩によって悪魔達との戦闘等はとても迫力のあるものになっている他原作では唐突感が否めなかったドラミの参戦等の細かいシーンにも補完がなされており、好評を得ている。
ちなみにジャイアン役の木村昴氏は2017年の企画で本作をオススメ作品として紹介している。

原作の魔界大冒険の人気の高さとわさドラ黎明期の混沌とした雰囲気を如実に表した一作と言えるかもしれない。

なお、漫画版として岡田康則氏による『ドラえもん映画ストーリー のび太の新魔界大冒険』が存在している。
以後の映画ストーリーは基本的にわさドラ新作映画のコミカライズとなっており、リメイク映画の漫画版は実質的にこれが唯一となっている*1
さらに映画ストーリーの内容も本作品とは微妙に異なっているため、「魔界大冒険」は大長編、旧映画版、本作、映画ストーリーと4つもバリエーションが存在する珍しい立ち位置と言える。


【あらすじ】

テストの成績が芳しくなく先生からお説教のために放課後も残され、野球の試合ではエラーや三振ばかりでチームに迷惑をかけ家に帰れば部屋の掃除ができてないことをママに咎められる等今日ものび太の1日は冴えないものだった。すっかり心が折れてしまったのび太は居間でくつろぐドラえもんに泣きつくが、偶然テレビに映っていた魔法少女物を見たことで「魔法が使えるようになれば全てがうまくいく」と思いつきドラえもんに提案するも「魔法は科学に淘汰された」と論破され聞く耳を持ってもらえなかった。

その後も空からのび太とドラえもんを模した石像が降ってきたり、謎の腹痛に襲われたドラえもんが一時的に22世紀に帰ったりとドタバタした1日を過ごすことになったが、そこでのび太は「もしもボックス」で魔法を使える世界を実現すれば良いと閃く。
その案にドラえもんも面白がり「もしも、魔法が使えるようになったら」ともしもボックスにコールする。

軽い気持ちで呟いた事が、後に地球の命運をかけた悪魔との戦いに繋がっていくとも知らずに…


【登場キャラクター】

【メインキャラクター】

CV:水田わさび

みんな大好き青狸猫型ロボット。
のび太の口車に乗せられて魔法の世界を作り出したは良いがもしもボックスを部屋に放置した結果元の世界に帰れなくなったり、正体を知らなかったとはいえ美夜子に酷い扱いをして事態を拗らさせる等恒例のそそっかしい点が散見される。
一方で、悪魔達との戦いに於ける貢献度は原作同様大きく本作の追加シーンでも多くの活躍を見せており、ひみつ道具を余す事なく駆使して悪魔達と対等に渡り合う立ち回りを見せてくれる。

前作の「あたたかい目」をしれっとやっていたり、所々で顔芸を披露したりとネタ的にも見せ場が多かったりする。
美夜子の猫姿を一目見るなりメロメロになるが、人間に戻った途端露骨にがっかりしていた

CV:大原めぐみ

愛すべき馬鹿にしてやる時はやる男。
冴えない日々に嫌気がさして魔法世界を作り出したものの、碌に魔法が使えない駄目っぷりで元の世界と大して変わらない体たらく。
だが魔法が使えないまま終わる事を良しとせず静香と共に魔法の練習に励んだり、1人で気負う美夜子に対して励ましの言葉をかけたりと気概のある一面を覗かせたりもする。

今作では特技の射撃能力を活かして空気砲で悪魔を迎撃する他、旧作ではジャイアンの役回りだったデマオンの心臓へ銀のダーツを投擲する役に変更される等ドラえもん同様に活躍シーンが増加している。


心優しいみんなのアイドル。
劇中での活躍は良くも悪くも原作通りで他のメンバーと比べると活躍シーンの増加は殆どないが、原作と比べて美夜子との関わりが増加しておりエンディング後のラストシーンでは美夜子からある事を打ち明けられる程の良き同性の友達として信頼関係を築いていく。

原作にもあったパンチラシーンは本作でも健在であり、妙に気合の入った作画によるパンチラを拝ませてくれる。

CV:木村昴

ガキ大将にして熱い
日常パートではいつも通りに魔法が使えないのび太をからかって楽しんだりするものの、美夜子の助太刀に向かおうとするのび太とドラえもんの元へ自ら危険な冒険への同行を志願する漢っぷりも健在

前述した通り本作ではデマオンへのとどめをのび太に譲っていたり、歌声で悪魔を撃退するシーンが丸々カットされているものの、
メジューサの襲撃から魔界歴程の片方を守り抜いたり地下から悪魔城へと潜入する際には持ち前の体力を活かしてモグラ手袋による穴掘り要因を担当する等本作ならではの見せ場をしっかりともらっている。

CV:関智一

愛すべきヘタレ坊ちゃん。
今作でも気弱な所を見せたりするが、全体的に見ると恒例のヘタレっぷりはかなり抑えめで内心はビビりながらもジャイアンと共に自らドラえもん達の冒険へと同行する覚悟を見せ、悪魔城にてデマオンに追い詰められかけた際には機転を利かせてデマオンに一矢報いる活躍を見せてくれる。

一方でのび太によって静香のパンチラを目撃した際には思わずのび太を褒め称えてしまったり、悪魔に捕獲され調理されかける場面では前作の迷言をセルフオマージュしてたりするのでネタ的にも彼の活躍は必見である。

CV:千秋

ドラえもんの
本作では序盤から登場しており、謎の腹痛に襲われ帰ってきたドラえもんをこれ見よがしに検診させようとセワシと共にドラえもんを羽交い締めにするも、あと少しのところで逃してしまいドラえもんの病院嫌いに呆れていた。

その後は特に物語に絡むことは無かったが、終盤にてセワシから腹痛の原因が四次元ポケットにあるかもしれないので調べて欲しいと頼まれた結果メジューサによって石化されてしまったのび太とドラえもんを発見しタイムふろしきで石化の魔法を解き、以降はのび太達に同行してデマオンとの最終決戦を共に闘うことになる。

【ゲストキャラクター】

  • 満月美夜子
CV:相武紗季/ 松元環季(幼少期)

本作のゲストヒロイン。
有名な魔法使い満月牧師の娘であり、魔法の絨毯を巧みに操り多彩な魔法を使う事が出来る高い技量を持つ。本作では幼い頃重病に罹った自分を救うために母が犠牲となった暗い過去を持っており、旧作と比べて影のある描写が増加している。

中盤にて悪魔の襲撃を受けた際原作ではだったのが今作ではネズミの姿に変えられてしまったことで主にドラえもんから酷い扱いを受け、誤解が解けた後は静香達によって猫の姿に変化するまでに何やらおぞましい物の姿に変えられてしまうというヒロインにあるまじき不憫さを見せたりもする。

本作では冒頭及びエンディングにて現実世界での彼女の様子も描かれており、現実世界では天文学者である父の助手として活躍してる様子が描かれている。

  • 満月牧師
CV:河本準一

魔法学の研究者にして美夜子の父親。旧作と違い「博士」ではない。
魔界星の接近にいち早く感付き人々に警鐘を鳴らしているが、世間では与太話程度に扱われ誰も地球の危機に気づいてくれない現状に焦燥感を抱いている。

美夜子同様彼も現実世界の立場が描写されており、天文学者として宇宙の観測を行っていた所通信衛星の映像から太陽系にブラックホールが接近している事を確認し対処に苦心している様子が描かれている。
その上別のモニターには宇宙を飛び続ける無数の栗まんじゅうが…

  • 美夜子の母
CV:久本雅美

本作のオリジナルキャラクター
本編開始時点で既に故人となっており、嘗て治療が不可能な病によって死にかけていた幼い美夜子を助けるために満月牧師の静止を振り切って悪魔との取引を行い、自らの命と引き換えに美夜子の命を救った。

この事は美夜子と満月牧師に暗い影を落としており、満月牧師曰くこの取引が今回の魔界星接近の引き金となってしまったと考えられている。
コロコロの漫画版だと生前は錬金術師だった様子。

  • 佐倉魔美
CV:瀬那歩美

藤子氏作のSF漫画「エスパー魔美」の主人公。
居間で寛いでいたドラえもんが部屋から降りてきたのび太と取っ組み合いになった際弾みでテレビのチャンネルが切り替わった際に登場。
本作ではエスパーではなく魔法少女として活躍しており、その姿を見たのび太は魔法が使えるようになれば全てがうまくいくという考えに至る流れになっている。

【悪魔族】

  • デマオン

地球侵略を企む悪魔族の裏設定では好物は栗まんじゅう。
原作からデザインが多少変更されており、本作ではを蓄えたより迫力のある魔王らしいデザインへと変わっている。

魔法の水晶玉を用いてドラえもん達が自分を倒す事を予見し、いち早く地球にメジューサを送り込み魔界歴程を奪わせ地球侵略の下準備を行い、悪魔城にてドラえもん達と対峙した際にはモーテン星の力を無力化し多数の分身でドラえもん達を翻弄して追い込む等原作以上に魔王としての圧倒感のある描写が増加している。

CV:久本雅美

原作・旧作におけるみんなのトラウマ
デマオン同様原作からデザインが変更されており、元の不気味な雰囲気を残しながらも妖艶な女性を思わせる美麗な見た目になっていて良くも悪くもドラえもんらしからぬ雰囲気を醸している。

原作では終盤に魔界星から逃げ延びたのび太達を石化するだけの活躍だったが、今作では出番が大幅に増加しており原作の流れに加えて序盤からデマオンの刺客として暗躍し、満月牧師を教会ごと拉致したりのび太達を油断させて魔界歴程を奪い取る等全編を通して強敵として立ちはだかる。
終盤にて地球侵略の障害となる「月の光」を消し去るための捨て駒として利用され、月の結界を破壊した事で生じた余波を受けて体が崩壊し消滅しかけるが…


テレビで放送された前日譚によると、自身の部屋に石化させた者達を飾っている。

  • 三つ星悪魔
CV:宇垣秀成

デマオンの側近を務める高位の悪魔

劇中では魔界星に侵入したドラえもん達の捜索・捕縛のためにデマオンに代わって悪魔の軍勢を指揮してドラえもん達の行手を阻んだ。

  • ギム
CV:山崎バニラ

地球に偵察にやってきたサルのような姿をした悪魔。原作と旧作ではただの使い魔と呼ばれるだけで、名前は設定されていなかった。
今作では主にメジューサと行動を共にするシーンが多い。
月の結界を破壊するべくメジューサと共に月に降り立つが、最後は月の光をダイレクトに浴びたことで消滅した。

テレビで放送された前日譚によると、もともと魔界星の住民ではない模様。たまたま地球にやってきてのび太を狙うがことごとく失敗、その後時空の乱れに巻き込まれ、おそらくそれにより魔界星にたどり着いた。

中の人はジャイ子と同じだが、今作ではジャイ子としての出番は無かった。

【用語】

  • 魔界歴程
嘗て人間でありながら単身で魔界星へと乗り込んだナルニアデスという人物が魔界星の様子やデマオンの弱点等を書き記した古い書物。

原作では既に満月牧師の手元にあったが、本作では地球の何処かに隠されており満月牧師が隠し場所を記した古文書の解読に難儀している所を翻訳こんにゃくで解読させ在処を掴んでいる。

原作では一まとめになっていたのが今作は2冊に分かれており、片方はジャイアンが片方はメジューサの手に渡ることとなりデマオンの真の弱点は奪われた方に記されていたためドラえもん達はそれを知ることなくデマオンに挑む事になってしまう。

原作でも月の光には悪魔族の魔法を解く力があり更にウサギが住み着いているという設定だったが、今作はナルニアデスが衛星という特性を利用して悪魔族から地球を守るための防衛網として特殊な結界を張り巡らせた事で月の光には悪魔族を弱める魔力が付与されている設定に変更されている。

しかし、メジューサによって奪われた方の魔界歴程に月の結界の仕組みが書かれており、月の光を消し去るためにデマオンがメジューサを差し向け結界が無効化され月の守りが無くなった事で物語は最終決戦へと動き出す。

  • 悪魔族
太古の地球に降り立ち、人間達に魔術を授け魔法文明の礎を築かせた地球外生命体であり地球とは別の魔界星を母星としている。

満月牧師曰く過去に何度も地球侵略を目論み、魔界星を接近させては恐竜の絶滅やノアの大洪水等の天変地異を発生させていた。
しかし、前述したナルニアデスの策によって月が防衛網となって永い間地球は守られてきたが美夜子の母が悪魔と取引をした事がトリガーとなって再び魔界星が地球へと接近する事になる。

本作では魔法世界と現実世界はある程度干渉し合っている事が示唆されており、魔法世界では魔界星が地球へ接近しているのに対して現実世界ではブラックホールが太陽系へと広がりつつある様子が描かれ、エンディングでは魔界星の消滅に伴ってブラックホールも消滅している。

【ひみつ道具】

黒字は原作から続投、青字は本作で追加された道具となっている。



【主題歌】


「ハグしちゃお」
  • 作詞:阿木燿子
  • 作曲:宇崎竜童
  • 編曲:京田誠一
  • 歌:夏川りみ

冒頭でママに怒られ、泣きながら部屋の片付けをするもゴミに足を取られて本の山を崩し却って部屋を散らかしてしまい我慢の限界を迎えたのび太がお馴染みの「ドラえもーん!」の叫びと共に始まる形式となっている。


「かけがえのない詩」
  • 作詞:hiroko,mitsuyuki miyake and Hidemi
  • 作曲:mitsuyuki miyake
  • 編曲:mitsuyuki miyake and takashi morio
  • 歌:mihimaru GT

最終決戦でデマオンを打ち倒し魔界星による地球侵略の危機を救った直後、美夜子の母が遺したペンダントがを放ち月の結界が修復され、月が再び輝きを取り戻すシーンでイントロが流れ始めエンディングに移行する演出がなされている。


【余談】

本作公開に先駆けて、同年3月8日に本作を元にしたニンテンドーDS用ソフト「ドラえもん のび太の新魔界大冒険 DS」が発売された。








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最終更新:2025年03月05日 00:09

*1 前作『のび太の恐竜2006』はDS版を基にしたものが攻略本に掲載されている。また以後のリメイク作品における漫画作品は本編以外を描いた外伝等となっている。