鬼とは、
- 日本の伝説、伝記上の妖怪のひとつ。
- 勇猛・無慈悲・強者・豪快・化け物の意味。
- 漢字の部首で『鬼』。魁・魂・魔など。人の魂を示す。
- その時代の権力者に逆らう敵を、悪い妖怪として仕立て上げたプロパガンダの一種。
- 落語『鬼』。
- 小説『鬼』。1931年6月 キング。江戸川乱歩作。
- 小説『鬼』。西村寿行作。「日本幻想作家名鑑」で寿行幻想文学の最高傑作と称された。
- 小説『鬼』。今邑彩作。
- 小説『鬼』シリーズ。1995年9月 角川スニーカー文庫。前田珠子作。
- 小説『鬼』。ジャック・シェセックス作。早川書房。1977年。伊藤守男翻訳。
- 小説『鬼』。郭秋生作。
- 小説『鬼』。1977年12月 河出書房新社のち中公文庫。綱淵謙錠作。
- 小説『鬼』。織田作之助作。
- 小説『鬼』。1999年 光文社。生島治郎作。
- 絵本『鬼』。1972年 あかね書房。瀬川康男絵 今江祥智文。
- 漫画『鬼』。永井豪作。また他にも鬼に関する作品がいくつかある。
- 漫画『鬼』。山岸涼子作。
- 劇『鬼 ONI』。2010年4月。劇団ZAPPA 。
- 人形劇『鬼』。1972年。川本喜八郎作。
- 聖飢魔II 入門教典 THE BEST OF THE WORST(2003年6月25日)内の曲『鬼』。
- 陰陽座のアルバム『鬼哭転生』(1999年12月5日)内の曲、『鬼』。
- 高岡奈央のミニアルバム『まずはゴハンをたべなさい』(2002年7月24日)内の曲、『鬼』。
- 人間椅子のアルバム『修羅囃子』(2003年1月21日)内の曲『鬼』
- UPLIFT SPICE(アップリフト・スパイス)のアルバム『UPLIFT SPICE』(2008年7月9日)内の曲『鬼』。
- アダルトゲーム『鬼-おに-』。2000年12月13日。株式会社インタハート。
- 「とても」や「超」の代わりに使う若者言葉。例『鬼すごいっすね』。DDRや太鼓の達人の最高難易度。
- 警備隊の第四機動隊。実力行使を伴う事からついたニックネーム。
- TV番組「仮面ライダー響鬼」に登場する戦士の通称→鬼(仮面ライダー響鬼)
本項では1.について記述する。
概要
特徴
読みは隠(おん、おぬ)から来たと言われる。
その姿は日本各地で違うが、基本的には人型、頭に角を生やし、虎から作られた毛皮を腰に巻いて、さらに怪力で狂暴な性格というイメージが強い。色は基本的には赤色。
妖怪の代表とも言うべき存在であり、ヒーローの対の悪として退治される役、また恨み憎しみが極まった人間として、古来からの民話の敵役として語られてきた。一方、その強大な畏怖は鬼門除けなど、魔を断つ厄払いの象徴にもなっている。
その言葉は怨霊や妖怪全般、悪党、地獄の閻魔に使える者、神や人の代わり果てた姿など広い意味を持つ。共通する点は世の中の異端であるという事、鬼とはまさに異端の象徴である。
本来、中国の鬼という漢字は日本で言うところの亡霊を意味しており、形あるイメージは無かった。なぜ日本でこのような姿を取るようになったかは諸説あり、結論は出ていない。平安時代では中国の亡霊に近しい姿であったが、それが時代が進むにつれ徐々に形どり、戦国時代に今の想像が完成されたと言われる。民話などの伝承は数多にあり、桃太郎や一寸法師、大江山の酒呑童子などが有名。鬼に関する祭りも各地にあり、なまはげ等の信仰対象として昔から存在する、町おこしにも使われる。
- 天邪鬼(あまのじゃく) - 仏教で煩悩を表す悪鬼。ひねくれ者を意味する。
- 霊鬼 - 人の死霊が鬼と化したもの。
- 邪鬼 - 病を撒く鬼。毘沙門天像で踏まれている。
- 羅刹 - 仏教の護法善神の一尊。毘沙門天に仕える。また獄卒ともされる。
- 夜叉 - 仏教の護法善神の一尊。羅刹と共に毘沙門天に仕える。
- 鬼女 - 女が怨念によって鬼になり果てた物。2chでは「既婚女性」の略。
- 般若 - 「嫉妬や恨みの篭る女の顔」としての鬼女の能面。
- 真蛇(しんじゃ) - 能面の一種。般若の面がさらにおぞましくなったもの、ほぼ蛇の顔。
- 悪鬼 - 疫病などをはやらせる鬼。節分において払われる
- 山姥 - 鬼婆。山奥に住み旅人に宿を提供して、騙して食らう老婆。日本各地で様々な逸話がある。
- 髪鬼 - 『百器徒然袋』に書かれた妖怪。女の恨みが髪にこもり、際限なく伸びて、角のように逆立つ。
- 手洗い鬼 - 『絵本百物語』。ダイダラボッチの一種。三里もの山を軽々またぐ巨人。
- 獄卒鬼 - 地獄で亡者たちを責める鬼。
- 牛頭・馬頭(ごず・めず) - それぞれ牛の頭・馬の頭の鬼。獄卒鬼たちのリーダー。
- 黄泉軍(よもついくさ) - 黄泉の鬼達。イザナミの命でイザナギを追いかけ、桃を投げられ退避した。
- 黄泉醜女(よもつしこめ) - 黄泉の鬼女。イザナミの命でイザナギを追いかけるが、生みだされたタケノコに食いついた。
- 餓鬼 - 餓鬼道に生まれ変わった亡者。常に飢えと渇きに苦しむ。
- 小鬼 - 小型の鬼。海外のゴブリンの和訳。
- 前鬼・後鬼 - 修験道の開祖である役小角に使えた鬼。姿・生涯に諸説ある。
- 五鬼 - 前鬼後鬼の子供。
- 鬼神 - 荒ぶる神。中国では霊となりて災厄を招く者。
- 栄螺鬼(さざえおに) - サザエの妖怪。
- 熊鬼 - 長く生きて妖怪化した熊。二本足で歩き、盗みを働く。人が十人いても動かない大岩を動かせるほど怪力。
- 百々目鬼(とどめき、どどめき) - 体中に目を備える鬼。
- 縊鬼(いき、いつき、くびれおに) - 人に取りつき自殺を進める妖怪や悪霊。
- 窮鬼(きゅうき) - 貧乏神。
- 水鬼(すいき) - 水を使う鬼。船幽霊。
- 雪鬼 - 雪の夜に出てくる鬼。
- 冥鬼(めいき) - 地獄の鬼。
- 速疾鬼(そくしつき) - 羅刹。
- 吸血鬼 - 血を吸う化け物。海外から入って来た。様々な作品にみられる。
- 食人鬼 - 人を食う鬼。カニバリズムをする人間に対しても使う。
- 食屍鬼 - 死体を食う化け物。グール。
- オーガ - 鬼と訳される。ヨーロッパ各地の伝承に現れる人型の怪物。残忍、無知、人食い。やられ役。
- オーク - 鬼と訳される。ラテン語で悪魔・地下の生物。語源のオルクスは冥府や死を意味する。
- トロール - 鬼と訳される。北欧に住む妖精。鼻や耳が大きく毛むくじゃら。
- ゴブリン - 小鬼と訳される、ヨーロッパの昔話に出る精霊。一般的に邪悪な小人とされる。
- コボルト - ゴブリンとしばしば同一視される。ドイツの精霊。
”鬼”が入る言葉
- 鬼籍 - 死者。ちなみに鬼籍とは閻魔大王が持っている、死人の名前が記入された台帳(閻魔帳)の事で、そこに名前を記入される事からとって人が死亡するさまを「鬼籍に入る」「鬼籍の在籍者となる」とも言う。点鬼簿とも。
- 鬼才 - 人間離れした才能を持つさま。或いは、そのような人物。
- 殺人鬼 - 人殺し。
- 殺鬼・刹鬼(せっき) - 人殺し。無常の意味。
- 鬼畜 - 冷酷な人間。「餓鬼」と「畜生」を合わせた仏教用語。
- 鬼門 - 丑寅の方角。北東。陰陽道で忌むべき方角としている。逆方向は犬・猿・鳥。
- 鬼宿 - 二十八宿の一つで、南方朱雀七宿の第2宿。
- 鬼火 - 日本各地で伝わる浮遊する火の玉。人の怨念とも言われる。
- 鬼瓦 - 鬼の顔を模した瓦。厄除け。
- 鬼道 - 餓鬼道。また邪馬台国の卑弥呼が使用していたと言われる術。内容は不明。
- 鬼ごっこ - 鬼役が他の人を追いかける遊び。また、かくれんぼや缶けり等の探し役も鬼と呼ぶ。
- 鬼々しい(おにおにしい) - あらあらしい。
- 鬼歯 - 通常とは異なる生え方をした歯。
- 鬼食い - 毒見。
- 鬼子 - 歯の生えた状態で生まれた子、中国では悪口。
- 鬼心 - 無慈悲な心。
- 鬼殺し - 悪酔いする酒。
- 鬼夫婦 - 喧嘩ばかりする夫婦。
- 鬼娘 - 人食いの女。醜い女。強気な女。性格の悪い女。
- 鬼嫁 - 夫に対して暴力を振るう妻。
- 戦鬼 - 戦いを好むもの。ゲームなどの造語。
- 雀鬼 - 麻雀の強い人。造語。
- 白鬼 - 売春婦。または判事。
- 鬼御影 - ペグマタイト。
- 鬼灯(ほおずき) - 赤い風船の様な見た目をした植物。仏教では死者の霊を導く提灯に見立てて飾る。
- 鬼の戯言 - 親しくされると、かえって不気味に感じる。
- 鬼が出るか蛇が出るか - どんな困難が起こるかわからない。
- 鬼の首を取ったよう - 手柄を立てた者が有頂天になる。
- 鬼も十八 番茶も出花 - どんなに器量の悪い女でも、年ごろにはかわいくなる。
- 鬼も角折る - 悪人が善人になる事、頑固な人が態度を一変させること。
- 鬼も笑顔 - 醜い顔の人でも、笑えば愛嬌がある。
- 鬼も寝る間 - どんな者にも隙はある。
- 鬼将軍 - 鬼のように恐れられる将軍。中国ではがりがりにやせた、幽霊のような将軍。
- 鬼軍曹 - 畏怖によって部下を律する軍曹。そのような教育をする人。
- 又鬼(またぎ)- 平安時代から存在した、東北地方の狩猟団体。
- 心を鬼にする - 意識して冷たい態度を取る。
- 来年の事を言えば鬼が笑う - 未来について予測しても意味が無い。
- 渡る世間に鬼はない - 世の中、悪い人ばかりではない。
- 鬼の霍乱 - 病気にならなさそうな人が、思いがけない病気になる。
- 鬼の居ぬ間に洗濯 - うるさい人がいない間に、一休みする。洗濯は息抜きの意味。
- 鬼に金棒 - 強者がさらに力を得る。
- 鬼の目にも涙 - どんな非情な人にも、優しい所がある。
- 鬼一口 - 物事が激しいさま。またはたいへん危険な目にあう事。
- 鬼気迫る - 凄まじい気迫。
- 鬼を欺く - とても強い、もしくはとても醜いため、鬼かと思われる人。
- 鬼に衣、鬼の念仏 - 不必要。似合っていない。
- 異郷の鬼 - 祖国以外で死ぬ事。
- 護国の鬼 - 自分の国を守るために戦死した人。
- 鬼の空念仏 - 悪者が表面上は善人ぶる事。
- 小姑一人は鬼千匹に向かう - 小姑の厄介さは鬼千匹に勝る。この言葉から転じて小姑のことを鬼千匹と呼ぶ。
- 墨は餓鬼に磨らせ、筆は鬼に持たせよ - 書道のさいに、墨をするときは力を抜き、字を書く時は力強く書けという意味。
- 断じて行えば鬼神も之を避く - 強く決心して行動すれば、鬼神も退くという意味。
- 刀下の鬼となる - 斬り殺されること。
- 暗がりに鬼を繋ぐ - 真相がわからない。
- 知らぬ仏より馴染みの鬼 - 仏の様な知らない人より、鬼の様でも知っている人の方が重要。
- 神出鬼没 - 行動が自由自在で居所の予測がつかめない。神・鬼は出たり消えたりする事から。
- 滅鬼積鬼(めっきしゃっき) - 地獄の鬼の名前、滅鬼と積鬼。厳しく責めて問いただす事。
- 神算鬼謀(しんざんきぼう) - 人並み外れた優れた考え。
- 鬼手仏心 - 一見、残酷な行為に見えて、実はその人のための行動である事。外科医が治療のために人を傷つける事。
- 鬼哭啾々 - たくさんの霊魂が泣いている、恐ろしい気配の場所。
- 仏性鬼面 - 誰か指導する時は鬼の様な態度と、仏の心を持って指導せよという意味。
- 動物・植物 - 鬼ヤンマ、鬼カブト、鬼ヒトデ、鬼海老、鬼芥子(おにけし)、鬼百合、鬼蓮、鬼女蘭(きじょらん)、鬼灯(ほおずき)、鬼麻、鬼薊(おにあざみ)、鬼虎魚(おにおこぜ)、鬼蜘蛛、鬼胡桃(おにくるみ)、鬼山芹菜(おになべな)、鬼の醜草(おにのしこくさ)、鬼頭魚(しいら)などなど。
鬼の話や伝承や行事
- 酒呑童子 - 『御伽草子』など。最強の鬼と呼ばれる。出生・生涯・埋葬地それぞれに諸説がある。
- 茨木童子 - 『御伽草子』『平家物語』『太平記』歌舞伎『茨木』能『羅生門』など。酒呑童子の配下で副首領。諸説あり。
- 星熊童子・金熊童子・熊童子・虎熊童子 - 酒呑童子に仕えた四天王。
- 鬼童丸 - 『古今著聞集』『前太平記』『四天王剿盗異録』。酒呑童子の息子など、諸説あり。
- 桃太郎 - 桃から生まれた桃太郎が、犬・猿・雉を連れて、鬼ヶ島の鬼を懲らしめる。
- 金太郎 - 足柄山で熊と相撲を取ったり、母孝行したりする。のちに源頼光の家来になり、酒呑童子を退治。
- 力太郎 - 岩手県の昔話。垢から作られた力太郎が、最終的に長者の娘を連れて行こうとした鬼を退治する話。
- うりこひめとあまのじゃく - 昔話。瓜から生まれた瓜子姫を天の邪鬼が殺す、天の邪鬼もその後討たれた。
- なまはげ - 悪い子供をたしなめる秋田県の行事。類似に石川県のあまめはぎ、福井県あっぽっしゃ、岩手県スネカ、鹿児島県トシドンがある。
- 藤原千方の四鬼 - 『太平記』など。硬い金鬼。風を操る風鬼。水を操る水鬼。姿を消す隠形鬼。朝廷と争い敗北。
- 鬼一口 - 『伊勢物語』『今昔百鬼拾遺』『日本霊異記』『今昔物語集』。鬼が一口で女を食べる話。神隠し。
- 一寸法師 - 『御伽草子』。胃を内側から刺されて退治され、打ち出の小づちを落とす話が有名。様々な異説がある。
- 鬼子母神(きしもじん) - 仏教の夜叉であり女神。500人もの子の母でありながら、他の人の子を喰らったが、のちに改心して神になる。インドでは子の守り神とされている。
- 朱雀門の鬼 - 『長谷雄草紙(はせおぞうし)』。朱雀門で主人公の長谷雄が全財産を鬼が絶世の美女をかけて博打をして、長谷雄が勝つ。美女をもらいうけるが100日間抱いてはならないと鬼に言われる。しかし80日で我慢できずに抱いてしまう、すると水のように流れてしまった。女は鬼が死体を集めて作った者で、100日経てば本物の人間になれたのだという。
- 橋姫 - 『源平盛衰記』能『鉄輪』『橋姫』など。嫉妬の鬼であり、橋の守り神。
- 一条戻橋 - 『平家物語』剣巻。夜中、橋で女が乗せてほしいと頼まれ、馬に乗せたが鬼に変貌。渡辺綱は鬼の腕を切り落とし難を逃れた。
- 瘤取り爺さん - 『宇治拾遺物語』など。踊りのうまいおじいさんが顔のこぶを取られ、下手なじいさんは逆につけられた。世界に似た話は多い。
- 羅生門の鬼 - 謡曲『羅生門』など。羅生門に巣喰う鬼、茨木童子と同一視される。
- 青頭巾 - 『雨月物語』。ある僧侶が稚児を失い、狂って人の死肉を喰らう鬼になったが、旅の禅師が改心させる。その後一年間、僧は祈り続けると執念が解け、青頭巾と骨だけが残った。
- 東京都の浅茅ヶ原の鬼婆 - 奥州と下総を結ぶ小道にある唯一の民家、老婆と娘が住み快く旅人を泊めた。しかし実は殺して金品を奪う強盗であり旅人は殺される。殺した人数が999人に達したある日、一人旅の子供が訪れる。娘は子を殺すのを嫌がったが、老婆は躊躇いなく布団の中の子を石でたたき殺した。だが見てみれば自分の娘であった、娘が身代りになっていたのである。老婆は娘の亡骸を抱えて池に飛び込んだ。姥ヶ池と呼ばれるようになる。
- 秋田県の三吉鬼 - 山からふらりと下りてきて酒を飲み、とても価値のある薪を置いて出ていく。また三吉鬼に酒樽を供えると、大仕事が一夜にして終わらされているという。鬼神・三吉様として信仰されている。
- 岐阜県の鬼の首塚 - 岩窟に棲み乱暴狼藉を極めた鬼の太郎。退治してその首を京に弔おうとしたが、運んでいる途中で桶が動かなくなり、ここに埋めた。
- 鬼剣舞(おにけんばい) - 岩手県に伝わる伝統芸能。鬼の面を付けて踊る。
- 八瀬童子(やせどうじ) - 八瀬郷に住み、天皇の輿丁として奉仕した人々。伝教大師最澄が使役した鬼の子孫とされる。
- 不来方(こずかた) - 岩手県盛岡市の過去の地名。神がこの地で暴れる鬼を捉え、「二度と来るな」と岩に手形を残した。大名が縁起が悪い名であると改名した。
- 佐世保市の眼鏡岩 - 石盛岳を枕に昼寝をしていた大鬼が、起きると大あくびと共に足をのばし、岩を両足でつきぬいて眼鏡岩ができた。
- 豊受大神社(とゆけだいじんじゃ) - 建立のさいにいくつかの説があり、一つに麻呂子親王が当地の鬼を退治するためというのがある。
- 山形県の妙多羅天(みょうたらてん) - 安倍家の女が悪病にかかるも御家再興の思いから死にきれず鬼となる。新潟県にも似た話があるが、鬼にはならない。
- 奈良県の伯母峰峠(おばみねとうげ) - 射場兵庫に討たれた亡霊が一本足の鬼と化し、旅人を喰らった。丹誠が地蔵を作り、これを封じた。
- 宮崎県の鬼の窟古墳(おにのいわやこふん) - 鬼が一晩で作り上げたと言われるのが由来。
- 愛知県の滝山寺(たきさんじ)の鬼祭り - 豊作を祈って鬼や男たちが松明を以って駆けまわる。無形文化財。
- 石見神楽(いわみかぐら) - 島根県と広島県にある伝統芸能。日本神話を元にした演劇で、敵役として鬼が現れる。
- 嵐山町(らんざんちょう)の鬼鎮神社 - 日本で唯一の鬼を祀った神社。菅谷館城の鬼門を封じているとされる。
- 岐阜県の墨俣大和街道(すのまたやまとかいどう) - 大鬼の話。子供が鬼に追いかけられ村に逃げ込む、村人たちは全員で大きな音を立てて追い払った。
- 埼玉県の多聞院 - 鬼の悟り石像。鬼が我慢している石像。
- 兵庫県の鐘ケ坂峠(かねがさかとうげ) - ここを荒らしまわっていた鬼を退散させるため、鬼が嫌う音色を出すという鐘を設置した。
- 兵庫県の鬼の架け橋 - 大江山の鬼が作ったと言われる。
- 岡山県の山姫 - 山奥に住む美しい人食い女性。猟師が撃った鉄砲を素手で受け止めた。
- 奈良県の元興寺(がんこうじ)の鬼 - 『日本霊異記』『本朝文粋』。夜な夜な寺に出て童子を喰らう鬼、寺に勤めていた男の死霊が鬼と化したもの。のちに道場法師と呼ばれる雷神の力を持つ童子に倒される。
- 長野県の紅葉伝説(もみじでんせつ) - 夫婦が天魔に祈り生まれた美しい少女、呉葉(くれは)。秘術を使い結婚を迫る豪農から逃げ京へと登り紅葉と名乗る。源経基の腰元となり子ができるも、他の女性にかけた呪いを僧にばれて息子ともども追放される。追放地の鬼無里で一党を率いて村を荒らす鬼女となった。秘術で討伐隊を交わすも、最後には討たれる。
- 鬼住山 - 鬼の兄弟、兄の大牛蟹の弟の乙牛蟹が住み女子供や財産を盗み村人を苦しめたため、天皇が討伐隊を送る。連日連夜の激戦が続き幾人もの戦死者を出すがなんとか倒す。蟹の様にはいつくばり、山の守護者になるから許してくれと頼むので、これを許した。
- 能登の猿鬼(猿神)伝説 - 悪い猿が鬼と化したもの。怪力で体は鎧のように硬く神の武具ですら傷がつかなかった。18の鬼を従え悪行の数々を働き夜は大声で酒宴をして人々を困らせる。大幡神社の神杉姫は病気で寝込んでいる時を襲うが、矢は刺さらず剣は折られ敗北。他の神々に助力を頼み神の軍団で攻めるもほとんどの武器を折られまたも敗北。村人も力を合わせ、神杉姫の踊りに誘われた所を集団で襲い、ついに毒矢が目に当たる。逃げ出すも他の神から借りた鬼切丸で神杉姫が首を落とした。各地で生贄などの逸話あり。
- 十の刀 - 鍛冶屋に男が訪ねて、鍛冶屋の娘を貰いたいと申し出る。期日内に十の刀を打てば認めると返す。刀を打っている姿を見られたくないと、男は鍛冶場にこもる。娘がこっそり覗くと男は鬼の姿を現して、刀を打っていた。娘は刀を一本盗む。男は刀を届けるが1本足りず、泣きながら去って行った。
- 鬼の寒念仏 - 民族絵画である大津絵の一つ。護符としての効果があり、子供の夜泣きに効くと言われた、鬼の絵。
- 修二会の鬼追い式 - 堂内で暴れる鬼達を毘沙門天が退散させる儀式。
- 能『紅葉狩』 - 美女一向に化けて紅葉狩りに誘いさらう。八幡宮の神の剣を得た平維茂との戦いに敗れる。
- 能『葵上(あおいのうえ)』 - 光源氏の妻葵上に侮辱された六条御息所は生き霊となって、葵上を苦しめる。修験者の祈祷を受けて鬼となりて抵抗するが、浄化される。
- 狂言『鬼の養子』 - 未亡人の女に惚れた鬼。もし子供をかわいがってくれたら妻になると言われ、承知する。しかし子供をかわいがってるうちに食べたい衝動にかられる。その事が妻にばれて、呼ばれた武士に討たれる。
- 狂言『朝比奈』 - 仏教が世の中を多い人間が全く地獄に来なくなり、飢餓状態の地獄。久しぶりに来た人間の武将朝比奈三郎だが、歯が立たないほど強く、結局は極楽に逃げられた。
- 安珍・清姫伝説(あんちんきよひめでんせつ) - 愛した僧侶の安珍に裏切られた清姫が、蛇身となり寺ごと安珍を焼き殺す。
- 地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ) - 上方落語。地獄に落ちた四人の男が、あの手この手で鬼や閻魔を困らせる。
- 鬼来迎 - 仮面狂言。地獄で鬼の責め苦にあい、菩薩に救われる話。重要無形民俗文化財の第1回の指定を受けた。
- 風神 - 巨大な袋を背負った鬼の様な姿の妖怪。風で災厄を起こす。
- 雷神 - 雷を落とす太鼓を背負った鬼の様な姿の妖怪。雷で災害を起こす。菅原道真が死してなった姿と言われ、領地である桑原には雷が落ちない。
- 羅刹国 - 『今昔物語』『大唐西域記』。鬼の女ばかりが棲んでいると言われる島。人食いである。
- 愛知県の安久美神戸神明社(あくみかんべしんめいしゃ)の鬼祭り - 天下の奇祭と呼ばれる 国指定重要無形民俗文化財。
- 大分県の十宝山大乗院に鬼のミイラ - 各地に鬼のミイラと言われる者が存在する。
- 長崎県の鬼ノ足跡 - 鬼が鯨を釣るときに、踏ん張った際に空いた穴。
- 源為朝(みなもとのためとも) - 平安時代の武将。敗れ伊豆大島に流されるも、傷が癒えた後に鬼が島を加えた伊豆七島を支配する。
- 阿倍仲麻呂(あべのなかまろ) - 元正天皇により唐に送られ、そこで才能に嫉妬した者たちにより幽閉、断食死して鬼と化した。あらたな遣唐使の吉備真備を助けた。
- 温羅(うら) - 岡山県で鬼ノ城(きのじょう)に住み土地を荒らした鬼。吉備津彦命率いる武士集に討たれ、吉備津神社の釜の下に封じられた。
- 鈴鹿御前(すずかごぜん) - 『鈴鹿の草子』『田村の草子』など。坂上田村麻呂と一緒に悪鬼を倒した鬼女。
- 大嶽丸(おおたけまる) - 坂上田村麻呂が平定したとされる鬼。悪路王の事ではないかと言われる。
- 悪路王(あくじおう) - 東北各地の伝説や中央の文学に登場する、坂上田村麻呂が平定したとされる鬼。
- 両面宿儺(りょうめんすくな) - 『日本書紀』。頭が二つ、腕が四本、足が四本、弓と剣を持ち、俊敏で怪力。朝廷の武将によって倒される。両面宿儺は飛騨国に仏教を伝えたとされ信仰されている。
- 泣いた赤鬼 - 赤鬼が人と仲良くなるために、青鬼が一芝居うつ童話。偕成社 1965年12月。
- 島ひき鬼 - 山ほどの巨大な鬼が人と友達になりたいがために、島を引いて歩く童話。偕成社 1973年。
- 節分 - 「鬼は外、福は内」と掛け声をしながら豆をばら撒く2月3日のイベント。
- 岐阜県の鬼岩 - 天然記念物。水の流れによって削れた荒い岩が多い。昔、関の太郎と呼ばれる鬼が住みつき、旅人を襲っていた。後白河法皇の兵によって討伐される。
- 奈良県の鬼の俎(まないた)と鬼の雪隠(せっちん) - 平べったい巨大な岩と人工的なくぼみのある岩の二つ。鬼が人を捉えて調理した岩と、トイレだといわれる。実際の用途は不明。
- 賽の河原 - 親より先に死んだ子供の霊が連れて行かれる場所。河原の石を積み上げなければ出られないが、積み上げる途中で鬼が壊していく。
- 古鬼子(こきのこ) - 羽子板で羽根をつく遊びの昔の名。羽根の事を胡鬼(つくばね、こぎ)。羽子板の事を胡鬼板と過去には読んでいた。
- 鬼の洗濯板 - 宮崎県にある島、青島の別名。隆起した岩が斑になっている、特別天然記念物。
- 鬼の舌震(おにのしたぶるい) - 島根県にある渓谷。鬼はワニ(鮫)の呼び間違いという説が有力。
- 安達ヶ原の鬼女 - 死病にかかった女が、医者に病気を治すには妊婦の生き肝が必要と言われる。安達ヶ原の山に隠れたまたま通った旅の夫婦を襲う。しかし、殺し食った後にそれが自分の娘で有る事に気付き狂って鬼になった。
- 榊鬼(さかきおに) - 花祭に腰に榊を付けた鬼が遊びに来る。神社の宮司との問答で言い負かされて、逃げ帰る。
- 鬼太鼓 - 新潟県佐渡地方一帯で、祭礼時に行われる民俗芸能。一つの大太鼓を赤・青二匹の鬼が曲打ちする。
- 修正鬼会 - 大分県の正月行事。「米華」「開白」「香水」「四方固」「鈴鬼」「災払鬼」「鎮鬼」「鬼後呪」の順に儀式を行い鬼を払う。
- 鬼打ち棒 - 正月に鬼をはらうために、入り口や角松の周辺に胡桃やネムノキを飾る。
- 白髪鬼 - イギリスの作家マリー・コレリの翻訳小説。墓で蘇った男、しかしその姿は白髪のうえに醜くなっていた。自分を殺した妻とその不倫相手に復讐する。江戸川乱歩翻訳が有名。
- 牛鬼(うしおに) - 伝承によって姿や話の展開は変わるが、牛の頭、鬼の体、蜘蛛の手足を持った巨大な怪物が基本。海岸に現れ人を襲い喰らう、また見た者は重病になる。日本各地に十を超える伝承が存在し、人々を苦しめる。中には人を助ける話もあるが、人を助けた牛鬼は血飛沫を上げて死ぬ。京都の貴船神社では鬼から世代を経て人の血統に転じた牛鬼の話が伝わる。また東京都の牛島神社では神として祭られている。また源満仲のもとに牛の角を生やした娘の牛御前が存在、山に捨てられ牛鬼となり源頼光に討たれる。
大百科に記事が存在する鬼のキャラクター・関連作品
- 青鬼 - noprops氏により製作されたホラーゲーム。その中の正体不明の敵。
- アカオーニ - スマイルプリキュア!の敵。
- 茨木華扇(茨華仙) - 東方Projectの登場キャラクター。茨木童子が元ネタ。
- 伊吹萃香 - 東方Projectの登場キャラクター。酒呑童子が元ネタ。
- 星熊勇儀 - 東方Projectの登場キャラクター。星熊童子が元ネタ。
- うしおととら - キャラクターとして登場。
- うる星やつら - ヒロインのラムは、宇宙人の鬼族の代表として地球に来た。
- 大神 - カプコンから発売されたアクションゲーム。敵キャラに赤鬼や青鬼、牛頭鬼などが登場する。
- おじゃる丸 - NHKで放送中の子供向けアニメ。小鬼トリオやミドリオニといったキャラクターが登場。
- ONI - バンプレストから発売された、和風RPGゲームのシリーズ。
- オニアソビ - フリーゲーム。オニヒメサマの神社から話が始まる。
- 鬼武者 - カプコンから発売されたアクションゲーム。主人公は古代民族の鬼の力を使う。
- 朧村正 - マーベラスエンターテイメントより発売されたアクションゲーム。地獄八景ステージなどで、敵に鬼が登場。
- 俺の屍を越えてゆけ - 敵は酒呑童子ひきいる鬼。
- 仮面ライダー響鬼 - 本作で変身するライダー達は鬼と呼ばれている。鬼(仮面ライダー響鬼)参照。
- 痕 - 主人公とその血筋の近いものは、エルクゥと呼ばれる鬼の血をひく。
- ゲゲゲの鬼太郎 - 妖怪を題材にした漫画・アニメ作品。ぬらりひょんの部下・朱の盆をはじめ、多くの鬼妖怪が登場。
- ゲッターロボ - ロボットアニメ。敵に百鬼帝国がある。
- 新ゲッターロボ - 上記と同様に、鬼が敵として登場する。
- サムライスピリッツ - 登場人物の緋雨閑丸の中に鬼がいるのではと自問している。壬無月斬紅郎は鬼と呼ばれる。
- 地獄先生ぬ~べ~ - 週刊少年ジャンプで連載されていた妖怪マンガ。主人公・鵺野鳴助は左手に鬼を封じている。
- シャーマンキング - 使役する霊に前鬼・後鬼。地獄に超鬼と呼ばれる種も存在。
- ドラゴンボールZ - アニメオリジナルキャラクターとして地獄で勤務する鬼のゴズとメズが登場。
- デジタルモンスター - オーガモン。Ver.3から登場。
- ぬらりひょんの孫 - 週刊少年ジャンプに連載されていた妖怪マンガ。鬼のキャラ多数。
- ひぐらしのなく頃に - 雛見沢村は鬼との混血の村と呼ばれている。
- 日本鬼子(ひのもと おにこ) - 中国における日本人への蔑称「日本鬼子(Rìběn guǐzi)」を擬人化した萌えキャラ。
- 百獣戦隊ガオレンジャー - 敵オルグのモチーフが鬼。
- 風来のシレン2 鬼襲来!シレン城 - 舞台は鬼ヶ島。敵に鬼が登場。
- 鬼灯の冷徹 - 地獄で働く鬼たちを描いた漫画。
- ポケットモンスター - オニゴーリ。ルビー・サファイアから登場。
- モモタロス - 仮面ライダー電王の登場キャラクター。桃太郎の赤鬼がモチーフ。
- 夜叉姫 - ゲーム「桃太郎伝説」のキャラクター。鬼の娘。「桃太郎電鉄」ではアナウンサーをやっている。
- 妖狐×僕SS - 主人公の白鬼院凜々蝶が鬼の血をひく。
- 薄桜鬼 - 生粋の鬼の一族と、変若水と呼ばれる劇物を触媒に羅刹に化生した人間らが多数登場する。
- 艦隊これくしょん - 作中で明言されていないが、敵勢力の多くの中ボス格が棲鬼、水鬼などの字を当てられており、怨霊からなる鬼として意図されていると思われる。
- 御城プロジェクト - 敵勢力のなかに各種鬼が含まれている。
- かくりよの門 - いわゆる通常敵&ボスであるあやかしの中に多数の鬼が登場する。
他にあれば、追記をお願いします。
漢字として
- 意味
- 死者の魂、死者、おに、鬼神、妖怪、人間業じゃない、知りがたい、遠い。また人に対する蔑称として使われる。
- 〔説文解字・巻九〕には「人の歸する所を鬼と爲す」とある。
- 字形
- 鬼頭の人の象形。〔説文(段注本)〕に「人に從ひ、甶、鬼頭に象る」とある。〔説文〕は続いて「鬼は陰气賊害す。厶に從ふ」と、厶に従う理由を説明する。しかし甲骨文や金文では厶の部分が無いことが多く、後に加えられたものである。
- 音訓
- 音読みはキ(漢音)、訓読みは、おに。
- 規格・区分
- 常用漢字である。1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。JIS X 0213第一水準。
- 部首
- 鬼は部首である。繞に置かれることが多く、おに、きにょうと呼ばれる。妖怪や霊魂に関する字が属する。
- 声符
- 鬼を声符とする漢字に、傀、嵬、媿、隗、魁、槐、瑰、瘣、螝、褢、騩、䫥などがある。
- 語彙
- 鬼飲・鬼火・鬼界・鬼気・鬼哭・鬼才・鬼子・鬼宿・鬼神・鬼籍・鬼胎・鬼畜・鬼誅・鬼道・鬼方・鬼謀・鬼魅・鬼面・鬼門・鬼録
異体字
- 𩲡は、〔説文〕に「古文、示に从ふ」、〔玉篇〕に「古文」とある異体字。
- 𩲚は、〔正字通〕に「𩲡、~或ひは省して𩲚と作す」、〔字彙補〕に「古文鬼字」とある異体字。〔康煕字典〕は訛字ではないかとしている。
- 𢇼は、〔字彙補〕に「古文鬼字」とある異体字。
- 𣆠は、〔字彙補〕に「古文鬼字」、〔康煕字典〕に〔篇韻〕を引いて「古文鬼字」とある異体字。
- 𩲞は、〔字彙補〕に「音義、鬼と同じ」、〔康煕字典〕に〔五音篇海〕を引いて「鬼に同じ」とある異体字。
- 𩳉は、〔字彙補〕に「音義、鬼と同じ」、〔康煕字典〕に〔五音篇海〕を引いて「鬼に同じ」とある異体字。
- 𤱲は、〔竜龕手鑑〕に「音、鬼」、〔字彙補〕に「鬼と同じ」とある異体字。
- 𩴿は、〔字彙補〕に「音義、鬼に同じ」、〔康煕字典〕に〔捜真玉鏡〕を引いて「鬼に同じ」とある異体字。
- 𩳹は、〔字彙補〕に「音義、鬼に同じ」とある異体字。
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関連項目
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