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JPWO2011039811A1 - 画像信号処理装置及び画像信号処理方法 - Google Patents

画像信号処理装置及び画像信号処理方法 Download PDF

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JPWO2011039811A1 JP2011533956A JP2011533956A JPWO2011039811A1 JP WO2011039811 A1 JPWO2011039811 A1 JP WO2011039811A1 JP 2011533956 A JP2011533956 A JP 2011533956A JP 2011533956 A JP2011533956 A JP 2011533956A JP WO2011039811 A1 JPWO2011039811 A1 JP WO2011039811A1
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Abstract

色覚異常者の色覚をシミュレーションするための変換係数を計算し、3次元色補正LUT(31)の入出力特性を設定する変換係数設定部(11)と、入力された画像を画像毎に入力し、3次元色補正LUT(31)により、色覚異常者の色覚をシミュレーションした出力画像を出力する画像変換部(12)とを備える。変換係数設定部(11)は、色覚異常の種類を指定する色覚モード選択部(21)と、色覚異常のモードに対応する2つの単波長アンカー及び表示装置の白点を結ぶ線と、表示装置の色域を結ぶ線との交点座標の色度を求める単波長アンカー色度調整部(22)を有する。

Description

本発明は、色覚異常者の色覚をシミュレーションして表示するのに用いて好適な画像信号処理装置及び画像信号処理方法に関する。
道路標識や公官庁ウェブページなどの公共表示は、全ての人が正しく内容を読み取れることが必要である。しかしながら、日本人では男性の20人に1人、女性の500人に1人に色覚異常があり、このような色覚異常者にとっては、赤と緑や赤と黒など、読み取りづらい特定の色の組合せが存在する。このため、これら色覚異常者に配慮した標識やウェブページの作成を行うことが望まれる。
色覚異常には、P型と、D型と、T型と、A型とが存在する。P型とD型は、赤と緑の見え方に異常があるものである。T型は黄色と青の見え方に異常があるものである。A型は全色の見え方に異常があるものである。
このような色覚異常は、以下のような要因で発生すると説明されている。人間の眼には、L錐体と、M錐体と、S錐体の3種類の錐体がある。L錐体は赤が主となる長波長の光を主に感じるものであり、M錐体は緑が主となる中間の波長の光を主に感じるものであり、S錐体は青が主となる短波長の光を主に感じるものである。これら3種類の錐体からの刺激が脳に伝達されと、視覚系で色が認識される。
大多数の人間は、このようにL錐体と、M錐体と、S錐体の3種類の錐体があるが、人によっては、3種類の錐体を持っていない又は分光がずれている人がいる。P型色覚異常者は、3種類の錐体のうち、赤い光を主に感じるL錐体が無い人又はL錐体の分光感度がずれてM錐体と似通ってしまっている人である。D型色覚異常者は、3種類の錐体のうち、緑の光を主に感じるM錐体が無い人又はM錐体の分光感度がずれてL錐体と似通ってしまっている人である。T型色覚異常者は、3種類の錐体のうち、青の光を主に感じるS錐体が無い人である。A型色覚異常者は、3種類の錐体のうち1種類しか持たない人や、錐体が全く無い人である。
このような多様な色覚特性を持つ人でも内容を正しく読み取れるコンテンツを制作するため、公共デザイン業務を中心として、色覚異常者が見た際の画像視認性を確認するカラーユニバーサルデザインが求められている。
ところで、P型、D型、T型色覚異常者が見た際の視認性を再現する色覚シミュレーション方式が英Mollon教授らより提案されている(非特許文献1、非特許文献2)。また、一般にA型色覚異常者の視認性を確認するためにITU−R BT.601若しくはBt.709式を利用して画素のRGB値を輝度(Y)値に変換するグレースケール変換が行われている。また、上記理論に基づいて、色覚異常者の色覚をシミュレーションする各種の製品群が発表されている(非特許文献3)。
しかしながら、これまでの色覚異常者の色覚シミュレーションでは、P型、D型、T型の色覚異常者の色覚を正しく再現できないという問題がある。
すなわち、非特許文献1によると、P型、D型、T型の色覚異常の色覚シミュレーションでは、色覚異常者の色域は白色と2色の単波長アンカー(monochromatic anchor)の合計3点を結ぶ1点折れ線であることが示されている。通常の色覚者の色域をこのような色覚異常者の色域に変換する処理を実現するためには、画素の階調毎に変換特性を選択する適応処理が必要である。
しかしながら、このような処理を画素毎に計算するのには、演算量が膨大になり、高速動作が要求され、通常の処理装置で行うのは困難である。また、カラーユニバーサルデザインと利用用途が類似しているカラーマネジメントで用いられている非特許文献4に記載されているガンマLUT(ルックアップテーブル)、マトリクス回路などといった構成を有する一般的なハードウェアのみでは、画素の階調毎に変換特性を選択する適応処理は実現できない。
そこで、非特許文献2に示されるものでは、適応処理を省略し、表示装置のB(青)単色とW(白)の合計2点を結ぶ直線を色域とすることで、例えば、図5に示す既存のハードウェアで色覚異常者の色覚シミュレーションを行っている。
図5は、色覚異常者の色覚シミュレーションを行う画像信号処理装置90の一構成例を示す概略ブロック図である。図5に示すように画像信号処理装置90は、パーソナルコンピュータ、ビデオ記録再生装置などの映像出力装置14と、液晶ディスプレイ、プロジェクタ装置などの表示装置15との間に接続して用いられる。
図示するように、画像信号処理装置90は、変換係数設定部92と、画像変換部93とを有している。変換係数設定部92は、入力された色覚異常者の色覚をシミュレーションするための変換係数を画像変換部93に出力する。変換係数設定部92は、色覚モード選択部921と、マトリクスフィルタ生成部922とを備えている。色覚モード選択部921は、色覚モード入力部91から入力されるP型又はD型の色覚モードに応じて、予め記憶している変換行列をマトリクスフィルタ部933に出力する。
画像変換部93は、色域縮小部931と、ガンマデコード部932と、マトリクスフィルタ部933と、ガンマエンコード部934とを有している。色域縮小部931は、映像出力装置14から入力されたR、G、B映像信号に対して、黒レベルシフトによる補正を行いガンマデコード部932に出力する。ガンマデコード部932は、色域縮小部931が算出したR、G、B映像信号に対して、予め定められたガンマ特性を用いて逆変換によりガンマ補正をする前のR、G、B映像信号を算出する。
マトリクスフィルタ部933は、マトリクスフィルタ生成部922から入力された行列を用いて、ガンマデコード部932が算出したR、G、B映像信号の色域を変換してガンマエンコード部934に出力する。ガンマエンコード部934は、マトリクスフィルタ部933により色域が変換されたR、G、B映像信号に対して、予め定められたガンマ特性を用いてガンマ補正を行い表示装置15に出力する。
上述の構成により、画像信号処理装置90は、映像出力装置14から画像変換部93にR、G、B映像信号が入力されると、選択された色覚モードに応じた画像処理を画素毎に行い表示装置15に出力する。
しかしながら、上述の画像信号処理装置90の構成では、適応処理を省略しているので、色覚異常者の色覚を正確に再現することは難しい。
また、色覚異常者にとって識別容易である配色でも、8ビット階調値が0又は255に制限されることにより、同じ色として出力される(色潰れにより識別困難と判断される)場合がある。この色潰れは、非特許文献1に記載されたP型、D型、T型色覚シミュレーションが表示装置の色域を越える色を出力しようとするためで、R(赤)、G(緑)、B(青)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(黄)といった純色部に顕著である。すなわち、色潰れを抑制するため、色覚シミュレーションで使用される色域を表示装置の色域内部まで縮小することが必要である。非特許文献料2では、画像の黒レベルを上昇させることで色域を縮小しているが、維持されるべきグレースケール特性が変化してしまうという問題がある。
また、任意の2色のコントラスト比を評価するため、A型色覚シミュレーションは表示色の輝度(CIE(Commission Internationale de l'Eclairage;国際照明委員会)1931に規定されるY値)を保つことが望ましい。例えば、ITU−R BT.601若しくはBt.709式による輝度抽出処理では、入力色に依存して輝度が変化してしまう。このため、文字とその背景といった2色間の視認性を示すコントラスト比を誤認するという問題がある。
また、色覚異常者の色覚をシミュレーションするものとしては、特許文献1に、行列演算でRGB−LMSの変換を行い、色覚異常者の色覚を模擬するものが記載されている。また、特許文献2に、行列演算を用いて、色覚異常者の色覚の色合いに加工するものが記載されている。また、特許文献3には、色覚異常者の補間テーブルを用いて、補間演算により、入力RGB信号を色覚異常者の色覚のRGB信号に変換するものが記載されている。また、特許文献4には、黄色と青間の彩度を変化させて、色覚異常者に見えやすい配色に変換するものが記載されている。また、特許文献5には、所定のフォーマットで使用者の色覚特性情報を記述する色覚特性記述子を設けることが記載されている。
しかしながら、特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献5に記載されているものでは、変換処理で発生しやすい原色部の潰れ(過剰警告)を自動的に回避できないなど精度の高いシミュレーションを簡便に行うのは困難である。特許文献4に記載されているものでは、色覚異常者に見えやすい配色は得られるが、色覚異常者の色覚を精度良くシミュレーションするものではない。
特開2003−223635号公報 特開2008−40305号公報 特開2008−185688号公報 特公平6−82385号公報 特表2005−524154号公報
"Computerized simulation of color appearance for dichromats" Hans Brettle, Francoice Vienot, John D. Mollon著,インターネット<http://vision.psychol.cam.ac.uk/jdmollon/papers/Dichromat_simulation.pdf> "Digital video colourmaps for checking the legibility of displays by dichromats",Francoice Vienot, Hans Brettle, John D. Mollon著,インターネット<http://vision.psychol.cam.ac.uk/jdmollon/papers/colourmaps.pdf> 第2回視覚科学技術シンポジウム 発表資料、インターネット<http://vst.bpel.ics.tut.ac.jp/index.php?plugin=attach&refer=images&openfile=VS%26T2ndProc.pdf> "DISPLAY CHARACTERIZATION",DAVID H.BRAINARD他、インターネット<http://color.psych.upenn.edu/brainard/characterize.pdf>
上述の問題を鑑み、本発明は、色覚異常者の色覚を正確に再現でき、また、演算処理を軽減できるようにした画像信号処理装置及び画像信号処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、色覚異常者の色覚をシミュレーションするための変換係数を計算し、3次元色補正ルックアップテーブルの入出力特性を設定する変換係数設定手段と、入力された画像を、3次元色補正ルックアップテーブルにより変換し、色覚異常者の色覚をシミュレーションした出力画像を得る画像変換手段を備え、変換係数設定手段は、色覚異常の種類を指定する色覚モード選択手段と、色覚異常のモードに対応する2つの単波長アンカー及び表示装置の白点を結ぶ線と、表示装置の色域を結ぶ線との交点座標の色度を算出する単波長アンカー色度調整手段を有することを特徴とする。
本発明によれば、色覚異常者の色覚を正確に再現することができ、また、演算量を削減することができる。
本発明の第1の実施形態における画像信号処理装置10の構成を示す概略ブロック図である。 本実施形態における画像信号処理装置10の説明に用いるCIE1931の色度図である。 色覚シミュレーション実行時の色潰れを示す図である。 本実施形態によるグレースケール処理を含むグレースケール処理に伴う輝度変化を示した図である。 色覚異常者の色覚シミュレーションを行う画像信号処理装置90の一構成例を示す概略ブロック図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態の画像信号処理装置10の構成を示す概略ブロック図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態の画像信号処理装置10は、パーソナルコンピュータやビデオ記録再生装置等の映像出力装置14と、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の表示装置15との間に接続して用いられる。なお、この画像信号処理装置10は、表示装置15に組み込んでも使用するようにしても良い。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態の画像信号処理装置10は、変換係数設定部11と、画像変換部12とを備えている。変換係数設定部11は、色覚異常者の色覚をシミュレーションするための変換係数を計算して3次元色補正LUT(Look Up Table;ルックアップテーブル)31の入出力特性を算出して設定するものである。変換係数設定部11は、色覚モード選択部21と、単波長アンカー色度調整部22と、単波長アンカー輝度調整部23と、マトリクスフィルタ生成部24と、マトリクスフィルタ輝度調整部25と、3DLUT入出力特性計算部26とを有している。
画像変換部12は、3次元色補正LUT31を有している。また、画像変換部12は、映像出力装置14からの映像信号を、3次元色補正LUT31を使って、色覚異常者の色覚をシミュレーションした映像信号に変換して、表示装置15に出力するものである。この3次元色補正LUT31は、R、G、Bの3色の入力が画素毎に与えられると、色変換されたR、G、Bを3色1度に出力する補正テーブルである。この3次元色補正LUT31は、一般的なLUTと異なり、1つの色入力例えば出力Rを得る際に、その色Rの入力だけでなく、他色入力であるG、Bの影響を反映できる特徴がある。
本実施形態の画像信号処理装置10では、色覚モード入力部20に、色覚モード(P型、D型、T型、A型)が入力される。色覚モード入力部20に色覚モードが入力されると、変換係数設定部11により、入力された色覚モードに応じた変換係数が算出される。この算出された変換係数が画像変換部12に送られ、画像変換部12の3次元色補正LUT31に入力されることにより変換係数が設定される。
映像出力装置14から画像変換部12にR、G、B映像信号が入力されると、選択された色覚モードに応じた3次元色補正LUT31により、画像処理が画素毎に行われる。これにより、画像変換部12からは、色覚モードに応じて色変換された画像信号が表示装置15に出力される。これにより、表示装置15には、色覚異常者の色覚をシミュレーションした画像が表示される。
このように、本発明の第1の実施形態の画像信号処理装置10では、予め算出した変換係数を3次元色補正LUT31に入力して記憶させ、3次元色補正LUT31を用いることで、P型、D型、T型、A型の色覚異常者の色覚を正確に再現でき、また、画像を表示する際の演算量を削減することができる。
次に、変換係数設定部11について説明する。変換係数設定部11は、色覚モード入力部20により入力されたP型、D型、T型、A型の色覚モードに応じて、各色覚モードでの色覚をシミュレーションするための変換係数を生成するものである。色覚モード選択部21は、色覚モード毎に単波長アンカーのxy色度を記憶しており、選択された色覚モードに応じて、単波長アンカーのxy色度を出力する。また、単波長アンカー色度調整部22と、マトリクスフィルタ生成部24とは、表示部のW、R、G、B純色のxy色度を記憶している。3DLUT入出力特性計算部26は、表示部の輝度諧調特性であるガンマ特性を記憶している。変換係数の作成方法は、色覚モードに応じて異なっている。先ず、P型及びD型の色覚異常のシミュレーション処理の場合について説明する。
P型色覚異常者は、3種類の錐体のうち、L錐体が無い人又はL錐体の分光感度がずれてM錐体と似通ってしまっている人である。D型色覚異常者は、3種類の錐体のうち、緑の光を主に感じるM錐体が無い人又はM錐体の分光感度がずれてL錐体と似通ってしまっている人である。P型とD型の色覚モードでのシミュレーション処理は、遮断信号がL信号かM信号かを除き共通である。以下では、例としてP型を選択した場合のシミュレーション処理について説明する。
P型色覚異常者の色域は、図2のCIE1931(XYZ表色系)の色度図で示すように、白点(W)と2色の単波長アンカー(475nm,575nm)の合計3点を結ぶ1点折れ線である。
色覚モード選択部21は、P型色覚モードが選択されると、P型色覚モードに対応する2色の単波長アンカー(475nm,575nm)のxy色度を単波長アンカー色度調整部22に出力する。
次に、単波長アンカー色度調整部22は、図2におけるP型色覚異常者の色覚をシミュレーションした色域と、表示装置色域の交点座標λA1、λA2のxy色度を算出する。なお、図2において、P型色覚異常者の色覚をシミュレーションした色域とは、P型色覚モードの2つの単波長アンカー475nm、575nmと表示装置15の白点(W)を結んだ折れ線である。表示装置色域は、R点(赤)、G点(緑)、B点(青)を頂点とする三角形である。
次に、単波長アンカー輝度調整部23は、単波長アンカー色度調整部22が算出した交点座標λA1、λA2の合計輝度が表示装置15の白点(W)と等しくなるように、交点座標λA1、λA2の輝度を調整する。ここでは、先ず、交点座標λA1、λA2の輝度Yを「1」と仮定し、Yxy値をLMS値に変換する。なお、Yxy表示系は、XYZ表示色から絶対的な色合いを表示するための表示色系である。LMS表示色は、L錐体とM錐体とS錐体の3種類の錐体の刺激値に基づく表示系である。
さらに、単波長アンカー輝度調整部23は、交点座標λA1、λA2の輝度を加算したM、S値が表示装置15の白点(W)のM、S値となるように、交点座標λA1、λA2の輝度を変更する。ここで、L値が含まれないのは、表示装置15の白点Wと交点座標λA1、λA2は色度上で一直線上に並ばない、すなわちL値、M値、S値の3値のうちいずれか2値しか白点Wの値の持つL値、M値、S値に一致させられないためである。
前述したように、P型色覚異常者は、3種類の錐体のうち、赤い光を主に感じるL錐体が無い人又はL錐体の分光感度がずれてM錐体と似通ってしまっている人である。そこで、単波長アンカー輝度調整部23は、P型色覚異常者がL信号に対して応答しないことを利用し、M、S値を一致させるような計算を行う。すなわち、単波長アンカー輝度調整部23は、例えば次式(1)の行列式に示されるゲインがそれぞれ「1」となるように、交点座標λA1、λA2の輝度の変更を行う。
Figure 2011039811
単波長アンカー輝度調整部23は、式(1)による輝度調整ができたら、交点座標λA1、λA2のそれぞれのLMS値をマトリクスフィルタ生成部24に出力する。
次にマトリクスフィルタ生成部24は、P型色覚異常者をシミュレーション色域の2つの端点を交点座標λA1、λA2にそれぞれ座標変換する2つの変換行列を生成し、3DLUT入出力特性計算部26に出力する。例えば、その変換行列の1つは、白点(W)を、その白点(W)に維持しつつ、色域の端点であるY255(R255,G255,0)色を、交点座標λA2に座標変換する次式(2)で表される3x3変換行列である。またここでP型色覚異常者をシミュレーションするため、行列1列目の要素3つを「0」とし、L値の入力に対する出力応答を遮断する。
Figure 2011039811
なお、P型とD型の色覚モードでのシミュレーション処理では、マトリクスフィルタ輝度調整部25は利用しない。
次に、3DLUT入出力特性計算部26は、マトリクスフィルタ生成部24により生成された2つの変換が行列を用いて、入力RGB値に対してP型色覚シミュレーションにより色変換した出力RGB値を計算する。この計算は、例えば非特許文献資料1に示された手法を用いることができる。例えば、3DLUT入出力特性計算部26は、RGB値に対するLMS値を算出し、次にLMS値毎に対応するLMS−LMS変換行列を選択・乗算して、色覚シミュレーションに求められるフィルタ特性を算出する。また、3DLUT入出力特性計算部26は、算出されたLMS値を出力RGB値に変換して得られた入力RGB値と出力RGB値とが対応付けられたフィルタ特性を示す変換係数を3次元色補正LUT31に記憶させる。
以上の処理により、P型色覚シミュレーションを実現する3次元色補正LUT31に記憶させるフィルタ特性が得られる。上述のようにして、本実施形態の画像信号処理装置10は、選択されたP型色覚シミュレーションを実現する変換係数を画像変換部12の3次元色補正LUT31に記憶させる。そして、画像信号処理装置10は、映像出力装置14からR、G、B映像信号が画像変換部12に入力されると、3次元色補正LUT31を用いて入力されたR、G、B映像信号を、P型色覚異常者の色覚に変換する画像処理を行う。また、画像信号処理装置10は、変換したR、G、B映像信号を表示装置15に出力し、表示装置15にP型色覚異常者の色覚をシミュレーションした画像を表示させる。
なお、D型色覚シミュレーションを行う場合も、同様に、3次元色補正LUT31に記憶させるフィルタ特性を算出することにより、D型色覚異常者の色覚をシミュレーションした画像を表示させることができる。
次に、T型色覚シミュレーションが選択された場合の動作を説明する。T型色覚シミュレーションは、遮断信号をS値とし、単波長アンカーとして485nm、660nmを選択することにより、P型色覚シミュレーション及びD型色覚シミュレーションと同様に色覚シミュレーションを行うことができるが、単波長アンカー色度調整部22、単波長アンカー輝度調整部23を省略した以下の手段も利用できる。これは、非特許文献1に示されたT型色覚シミュレーション処理の飽和特性が、P型やD型の色覚シミュレーションの色飽和度とは異なり、原色部の輝度飽和を中心としているためである。
T型色覚シミュレーションモードでは、マトリクスフィルタ生成部24は、波長485nmを単波長アンカーとするRGB−RGB変換行列を算出する。このRGB−RGB変換行列は、例えば、次式(3)に示される変換行列であり、非特許文献1に記載の方法と同じである。
Figure 2011039811
次にマトリクスフィルタ輝度調整部25は、出力Rt、Gt、Btの取り得る最高階調(輝度)で全体の係数を除す。上記の例では最高階調は、
1.111+0.262=1.373
であり、全係数を1.373で除算すると次式(4)に表される変換行列が得られる。
Figure 2011039811
次に、3DLUT入出力特性計算部26は、マトリクスフィルタ輝度調整部25の算出した式(4)の変換行列を用いて、入力RGB値に対してT型色覚シミュレーションにより色変換した出力RGB値を計算する。この処理は、前述のP型色覚シミュレーションでの処理と同様である。これにより、T型色覚シミュレーションを実現する3次元色補正LUT31の特性が得られる。
上述のようにして、本実施形態の画像信号処理装置10は、選択されたT型色覚シミュレーションを実現する変換係数を3次元色補正LUT31に記憶させる。そして、画像信号処理装置10は、映像出力装置14からR、G、B映像信号が画像変換部12に入力されると、3次元色補正LUT31を用いて入力されたR、G、B映像信号をT型色覚異常者の色覚に変換する画像処理を行う。また、画像信号処理装置10は、変換したR、G、B映像信号を表示装置15に出力し、表示装置15にT型色覚異常者の色覚をシミュレーションした画像を表示させる。
次に、A型色覚シミュレーションが選択された場合の動作を述べる。なお、A型色覚シミュレーションモードの場合には、単波長アンカー色度調整部22、単波長アンカー輝度調整部23、マトリクスフィルタ輝度調整部25は利用しない。
A型色覚シミュレーションの場合には、マトリクスフィルタ生成部24は、表示部のW、R、G、B単色のxy色度から、例えば、次式(5)に表される変換行列を用いてRGB−XYZ変換特性を計算する。
Figure 2011039811
マトリクスフィルタ生成部24は、式(5)の行列における2行目の3係数をRGBに適用した、具体的には、1及び3行目の3係数を2行目と同じ値とした次式(6)に表されるRGB−RGB変換行列を3DLUT入出力特性計算部26に出力する。
Figure 2011039811
次に、3DLUT入出力特性計算部26は、マトリクスフィルタ生成部24の出力した変換行列を用いて、入力RGB値に対してA型色覚シミュレーションにより色変換した出力RGB値を計算する。具体的には、3DLUT入出力特性計算部26は、予め記憶された表示装置15のガンマ特性を利用し、入力されたRGB階調をRGB輝度値に変換し、次にマトリクスフィルタ生成部24から受信したRGB輝度値とRGB−RGB変換行列の内積から、出力RGB輝度値を求める。次に、3DLUT入出力特性計算部26は、再びガンマ特性を利用し、出力RGB輝度値をRGB階調に変換して、入力RGB値と出力RGB値とが対応付けられた変換係数を算出する。
上述のように、画像信号処理装置10は、選択されたA型色覚シミュレーションに用いる変換係数を3次元色補正LUT31に記憶させる。また、画像信号処理装置10は、映像出力装置14からのR、G、B映像信号が画像変換部12に入力されると、3次元色補正LUT31を用いて入力されたR、G、B映像信号をA型色覚異常者の色覚に変換する画像処理を行う。そして、画像信号処理装置10は、変換したR、G、B映像信号を表示装置15に出力し、表示装置15にA型色覚異常者の色覚をシミュレーションした画像を表示させる。
以上説明したように、本発明の実施形態では、P型、D型、T型の色覚シミュレーション実行時に、1点折れ線の色域を実現するため3次元色補正LUT手法を用いて、色覚異常者の色覚のシミュレーションを行うための色補正を行っている。すなわち、目標変換特性を折れ線色域として算出し、3次元色補正LUT手法による補正値群として予め設定している。このため、入力画素毎の処理は折れ線色域であっても、色覚シミュレーションにおける色域の正確に再現することができる。また、3DLUT色補正LUT31を用いた値の置き換え処理として演算を実行することにより、演算量を削減することができる。
また、本発明の実施形態では、P型、D型、T型の色覚シミュレーション実行時に、2つの単波長アンカーの色度を表示装置15が表示可能な領域まで縮小し、2色の合計輝度が白色輝度となるよう正規化し、出力色域端点が縮小、正規化された単波長アンカーに等しくなるように、座標変換している。このように、2段階の色域縮小処理を行って、使用される色域を表示装置15の色域内部まで縮小している。かかる本発明の実施形態では、過剰警告を抑制し、かつグレースケール特性を維持することができる。すなわち、図3は、P型色覚シミュレーション実行時の色特性を示すもので、図3(A)は本発明の実施形態によるものであり、図3(B)は従来手法によるものである。図3(A)では、図3(B)に示された破線で囲まれている領域の過剰警告を約1/10以下に改善することができる。
ここで、過剰警告とは、P型又はD型の色覚者にとって識別容易である配色を識別困難と判別されることである。
また、本発明の実施形態では、T型色覚シミュレーション実行時に、短波長側単波長アンカー利用時のRGB−RGB変換行列を基準としている。これにより、全変換係数値を抑制することができる。
また、本発明の実施形態では、3DLUT入出力特性計算部26が、CIE1931規格におけるY値に対するR成分、G成分、B成分それぞれの輝度寄与度を表示装置15若しくは画像の白色と色域を基に算出し、この輝度寄与度をRGB合成比としている。また、入力されたRGB階調を輝度値に変換し、各輝度値とRGB合成比とを乗算し、各輝度値を階調値に変換してA型色覚シミュレーション出力を生成している。これは、入力RGB階調値とRGB合成比とを直接乗算し、出力階調値を得る従来法と大きく異なっている。これにより、輝度を変化させずに色成分のみ排除することができる。すなわち、任意の入力RGB色に対し、CIE1931規格で示されるY輝度を維持しつつ色度を白色に置き換える。この結果、A型色覚異常者の視認性判断材料となる色間コントラストを正しく再現することができる。
図4は、本実施形態によるグレースケール処理を含むグレースケール処理に伴う輝度変化を示した図である。なお、本実施形態による結果は、「グレー提案法」として示している。また、図示しているのは、sRGB色域、白色5000Kにおける輝度(CIE1931−Y,[cd/m])である。
なお、上述の実施形態では、P型、D型、T型、A型全ての色覚シミュレーションに対応しているが、これら全て色覚シミュレーションに対応せずに、例えば、P型、D型、A型の色覚シミュレーションに限定し、マトリクスフィルタ輝度調整部25を省略する構成としてもよい。
また、T型とA型色覚シミュレーションのみに限定し、単波長アンカー色度調整部22、単波長アンカー輝度調整部23を省略する構成としても良い。
また、W、R、G、Bのxy色度値やガンマ特性には表示装置15の特性を用いたが、sRGBなど規格値を利用してもよい。
また、A型色覚シミュレーションは適応処理を含まないため、A型色覚シミュレーションを行う場合、3次元色補正LUT31の代替として、図5に示したガンマデコード部932と、マトリクスフィルタ部933と、ガンマエンコード部934とによって実現してもよい。
また、上述の実施の形態において、色覚モード選択部21、単波長アンカー色度調整部22、及び単波長アンカー輝度調整部23の動作をxy色度座標を用いて処理を説明したが、xy色度座標に限らず、LMS色度座標、Luv色度座標(CIE1976)、又はLab色度座標(CIE1976)などの色度座標を用いて交点座標λA1、λA2に関する演算を行ってもよい。
また、上述の実施の形態において、A型色覚シミュレーションは、コントラスト検出、もしくはグレースケール処理などと呼称してもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
10 画像信号処理装置
11 変換係数設定部
12 画像変換部
14 映像出力装置
15 表示装置
20 色覚モード入力部
21 色覚モード選択部
22 単波長アンカー色度調整部
23 単波長アンカー輝度調整部
24 マトリクスフィルタ生成部
25 マトリクスフィルタ輝度調整部
26 3DLUT入出力特性計算部
31 3次元色補正LUT

Claims (8)

  1. 色覚異常者の色覚をシミュレーションするための変換係数を計算し、3次元色補正ルックアップテーブルの入出力特性を設定する変換係数設定手段と、
    入力された画像を、前記3次元色補正ルックアップテーブルにより変換し、色覚異常者の色覚をシミュレーションした出力画像を出力する画像変換手段を備え、
    前記変換係数設定手段は、
    色覚異常の種類を指定する色覚モード選択手段と、
    色覚異常のモードに対応する2つの単波長アンカー及び表示装置の白点を結ぶ線と、表示装置の色域を結ぶ線との交点座標の色度を算出する単波長アンカー色度調整手段を有する
    ことを特徴とする画像信号処理装置。
  2. 前記変換係数設定手段は、さらに、前記算出された前記交点座標の輝度を表示装置の白点の輝度と等しくなるように変更する単波長アンカー輝度調整手段を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像信号処理装置。
  3. 前記変換係数設定手段は、さらに、前記算出された前記交点座標を色域の端点とする変換行列を作成するマトリクスフィルタ生成手段を有する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像信号処理装置。
  4. 前記変換係数設定手段は、さらに、出力RGBの取り得る最高諧調で全体の係数を除するマトリクスフィルタ輝度調整手段を有する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像信号処理装置。
  5. 前記変換係数設定手段は、さらに、CIE1931規格におけるY値に対するR、G、B成分それぞれの寄与度を用いたRGB−RGB変換行列により入出力特性計算手段を有する
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像信号処理装置。
  6. 前記変換係数設定手段は、さらに、RGB値に対するLMS値を求め、次にLMS値毎に対応するLMS−LMS変換行列を乗算し、次に乗算されたLMS値を出力RGB値に変換する3DLUT入出力特性計算手段を有する
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像信号処理装置。
  7. 前記変換係数設定手段は、さらに、単波長アンカー色度調整部及び単波長アンカー色度調整手段とフィルタ輝度調整手段の切替え回路を有し、視覚異常の種類がP型又はD型のときは単波長アンカー色度調整手段及び単波長アンカー色度調整手段へ、視覚異常の種類がT型のときはフィルタ輝度調整手段へと切り替える
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像信号処理装置。
  8. 色覚異常者の色覚をシミュレーションするための変換係数を計算し、3次元色補正ルックアップテーブルの入出力特性を設定し、
    入力された画像を、前記3次元色補正ルックアップテーブルにより変換し、色覚異常者の色覚をシミュレーションした出力画像を得る画像変換方法であって、
    前記3次元色補正ルックアップテーブルの入出力特性を設定は、
    色覚異常の種類を指定する色覚モード選択し、
    色覚異常のモードに対応する2つの単波長アンカー及び表示装置の白点を結ぶ線と、表示装置の色域を結ぶ線との交点座標の色度を求める処理を含む
    ことを特徴とする画像信号処理方法。
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