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JPWO2018070300A1 - 反射防止材 - Google Patents

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Abstract

本発明は、十分な反射防止機能を有しながら、光源の全光束低下を防ぐことができ、高い耐熱性(特に、耐熱水性)を有する反射防止材及び当該反射防止材により光半導体素子が封止された光半導体装置を提供することを目的とする。本発明は、疎水性多孔質無機フィラーが分散された樹脂組成物の硬化物からなる反射防止材であって、当該硬化物の表面に反射を抑える凹凸が形成されていることを特徴とする反射防止材、及び当該反射防止材により光半導体素子が封止された光半導体装置を提供する。

Description

本発明は、反射防止材に関する。また、本発明は、当該反射防止材により光半導体素子が封止された光半導体装置に関する。また、本発明は、前記反射防止材の製造に適した樹脂組成物、及び当該樹脂組成物を用いた反射防止材の製造方法に関する。本願は、2016年10月11日に日本に出願した、特願2016−200397の優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、各種の屋内又は屋外表示板、交通信号、大型ディスプレイ用ユニット等においては、光半導体素子(LED素子)を光源とする発光装置(光半導体装置)の採用が進んでいる。このような光半導体装置としては、一般に、基板(光半導体素子搭載用基板)上に光半導体素子が搭載され、さらに該光半導体素子が透明な封止材により封止された光半導体装置が普及している。このような光半導体装置における封止材には、外部からの照明光や太陽光などの入射光が全反射することによる視認性の低下を防止するためにその表面に反射防止処理が施されている。
従来、樹脂層の表面に反射防止機能を付与する方法としては、樹脂にガラスビーズ、シリカ等の無機フィラーを分散させることによって入射光を散乱させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−234767
しかしながら、特許文献1の方法を光半導体封止用の樹脂に適用した場合には、十分な反射防止機能を付与しながら、光源の全光束を確保することが困難であることが判明した。すなわち、十分な反射防止機能を得るために必要十分な量の無機フィラーを配合した場合には光源の全光束が大幅に低下する一方、光源の全光束低下を防ぐために無機フィラーの配合量を少なくした場合には十分な反射防止能が得られないというトレードオフの関係にあることが明らかとなった。
また、近年、光半導体装置の高出力化が進んでおり、このような光半導体装置における封止材には、高い耐熱性(特に、耐熱水性。以下、単に「耐熱性」というときは、「耐熱水性」も含まれるものとする)等の耐久性も求められる。
従って、本発明の目的は、十分な反射防止機能を有しながら、光源の全光束低下を防ぐことができ、高い耐熱性、特に、耐熱水性を有する反射防止材を提供することである。
また、本発明の他の目的は、光半導体封止用である、上記反射防止材を提供することである。
さらに、本発明の他の目的は、上記反射防止材により光半導体素子が封止された光半導体装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記反射防止材の製造に適した樹脂組成物、並びに当該樹脂組成物を用いた上記反射防止材の製造方法を提供することである。
無機フィラーの配合量を少なくした場合に十分な反射防止能が得られない原因の1つとして、無機フィラーの沈降により樹脂層全体に行き渡らず、その結果、その表面全体に均一な凹凸が形成されないために入射光が効率的に散乱されない一方、無機フィラーが沈降しても樹脂層表面全体に反射防止能が得られるように配合量を増やした場合には、無機フィラー自身が光を吸収して全光束が大幅に低下するということを本発明者はつきとめた。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、反射防止材を構成する樹脂層中のフィラーとして疎水性多孔質無機フィラーを配合したところ、少量の添加でも十分な反射防止機能が付与され、さらに高い耐熱性も有することを見出した。これにより、光源の全光束を大幅に低下させることなく十分な反射防止機能と優れた耐熱性を兼ね備えた反射防止材が提供され、光半導体装置における光半導体素子を封止するための材料として極めて適していることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、疎水性多孔質無機フィラーが分散された樹脂組成物の硬化物からなる反射防止材であって、当該硬化物の表面に反射を抑える凹凸が形成されていることを特徴とする、反射防止材を提供する。
前記反射防止材において、前記疎水性多孔質無機フィラーは、好ましくは、前記硬化物全体に渡って均一に分散しており、表面に反射を抑える凹凸を形成している。
前記反射防止材において、前記疎水性多孔質無機フィラーは、多孔質無機フィラーの表面が疎水性処理されたものであり、疎水性処理前の多孔質無機フィラーの比表面積が200m2/g以上であってもよい。
前記反射防止材において、前記疎水性多孔質無機フィラーの平均粒子径は1μm〜20μmであってもよい。
前記反射防止材において、反射防止材全量(100重量%)に対する前記疎水性多孔質無機フィラーの含有量は4〜40重量%であってもよい。
前記反射防止材において、前記樹脂組成物は、透明な硬化性樹脂組成物からなるものであってもよい。
前記反射防止材において、前記硬化性樹脂組成物はエポキシ樹脂を含む組成物からなるものであってもよい。
前記反射防止材は、光半導体封止用であってもよい。
また、本発明は、前記反射防止材により光半導体素子が封止された光半導体装置を提供する。
また、本発明は、前記反射防止材の製造のために用いられることを特徴とする疎水性多孔質無機フィラーが分散された樹脂組成物を提供する。
前記樹脂組成物は、液状であってもよい。
前記樹脂組成物の全量(100重量%)に対する硬化中に揮発する成分の量は、10重量%以下であってもよい。
また、本発明は、前記樹脂組成物を硬化させることを特徴とする、表面に反射を抑える凹凸が形成されている反射防止材の製造方法を提供する。
本発明の反射防止材は上記構成を有するため、疎水性多孔質無機フィラーの配合量を少なくした場合であっても十分な反射防止機能が得られ、且つ光源の全光束の大幅な低下を防ぐことができると共に優れた耐熱性、特に、耐熱水性も有する。従って、本発明の反射防止材を光半導体装置における光半導体素子を封止するための材料として使用することにより、高品質な(例えば、光沢を抑えつつ明るさも十分で、高い耐久性を有する)光半導体装置が得られる。
また、本発明の樹脂組成物は上記構成を有するため、上記反射防止材を製造するために、極めて適している。
本発明の反射防止材を含む光半導体装置の一実施形態を示す概略図である。左側の図(a)は斜視図であり、右側の図(b)は断面図である。
<反射防止材及び樹脂組成物>
本発明の反射防止材は、疎水性多孔質無機フィラーが分散された樹脂組成物の硬化物から構成され、当該疎水性多孔質無機フィラーが当該硬化物の表面に反射を抑える凹凸を形成することを特徴とするものである。
また、本発明の樹脂組成物は、疎水性多孔質無機フィラーが分散されていることを特徴とし、上記反射防止材を製造するために使用されるものである。
疎水性多孔質無機フィラーの多孔質構造により、多孔質でないフィラーと比べ、樹脂組成物に対する見かけ上の体積が増加するため、少量の添加でも樹脂組成物又は、その硬化物全体に行き渡らせて、均一に分散させることができ、硬化物の表面に均一で微細な凹凸を形成できる。また、多孔質構造に樹脂組成物が浸み込み、疎水性多孔質無機フィラーと樹脂組成物の見かけ上の比重差が低下することで、分散状態が安定になるとともに、疎水性多孔質無機フィラーの表面同士の相互作用が抑制されて凝集しにくくなり、疎水性多孔質無機フィラーが樹脂組成物又は、その硬化物全体に均一に行き渡ることができるので、均一で微細な凹凸を硬化物表面に形成して効率的に入射光を散乱させることができる。
また、疎水性多孔質無機フィラーはその表面が疎水性を示すため、これを含む硬化物は煮沸水等の過酷な加熱条件でも劣化しにくい高い耐熱性を示し、耐久性に優れる。
なお、本明細書において、疎水性多孔質無機フィラーの添加量(使用量)が少量(少ない)とは、重量換算で少ないことを意味し、容量(体積)換算で少ないことを意味するものではない。
疎水性多孔質無機フィラーを使用した場合には、多孔質でないフィラーと比較して、使用量を少なくしても反射を効率的に抑制することができるので、疎水性多孔質無機フィラー自身の光線吸収による全光束の大幅な低下を抑えながら、十分な反射防止機能を担保することができる。
以下、各構成要素について詳細に説明する。
[疎水性多孔質無機フィラー]
本発明の反射防止材又は樹脂組成物における疎水性多孔質無機フィラーは、樹脂組成物又は、その硬化物全体に行き渡って均一に分散しており、分散状態が安定した結果、硬化物の表面に存在する疎水性多孔質無機フィラーが入射光を散乱させるための凹凸を形成する働きを有する。
本発明の反射防止材又は樹脂組成物に使用できる疎水性多孔質無機フィラーとは、フィラーの真比重に比べて見掛け比重が小さく、その内部に多孔質構造を有する無機フィラーであって、その表面が疎水性処理されているものを意味する。
疎水性多孔質無機フィラーを構成する多孔質無機フィラー(表面が疎水性処理される前の多孔質無機フィラー)としては、公知乃至慣用のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、無機ガラス[例えば、硼珪酸ガラス、硼珪酸ソーダガラス、珪酸ソーダガラス、アルミ珪酸ガラス、石英等]、シリカ、アルミナ、ジルコン酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、フォステライト、ステアタイト、スピネル、クレー、カオリン、ドロマイト、ヒドロキシアパタイト、ネフェリンサイナイト、クリストバライト、ウォラストナイト、珪藻土、タルク等の粉体であって多孔質構造を有するもの、又はこれらの成型体(例えば、球形化したビーズ等)等が挙げられる。
疎水性多孔質無機フィラーは、上述の疎水化処理前の多孔質無機フィラーに公知乃至慣用の疎水性表面処理剤[例えば、金属酸化物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機酸、ポリオール、有機ケイ素化合物等の疎水性表面処理剤等]による表面処理が施されたものである。このような疎水性表面処理を施すことにより、樹脂組成物の成分との相溶性や分散性が向上すると共に、硬化物の耐熱性を向上させることができる。
樹脂組成物の成分との相溶性や分散性が向上すると共に、硬化物の耐熱性を向上させるという観点から、疎水性表面処理剤としては、有機ケイ素化合物(例えば、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ジメチルジクロロシラン、オクタメチルシクロテトラシラン、ポリジメチルシロキサン、ヘキサデシルシラン、メタクリルシラン、シルコーンオイル等)が好ましく、ポリジメチルシロキサン等がより好ましい。
中でも、疎水性多孔質無機フィラーとしては、樹脂組成物又は、その硬化物全体に行き渡って均一に分散して、硬化物の表面に凹凸を効率的に形成できると共に優れた耐熱性を示すという観点で、疎水性多孔質無機ガラス又は疎水性多孔質シリカ(疎水性多孔質シリカフィラー)が好ましい。
疎水性多孔質シリカとしては、特に限定されず、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、高純度合成シリカ、コロイド状シリカ等の公知乃至慣用の多孔質シリカが上記疎水性表面処理剤で処理されたものを使用できる。
また、疎水性多孔質無機フィラーとしては、上記疎水性多孔質無機フィラーを構成する無機物と、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、アミド系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、スチレン−共役ジエン系樹脂、アクリル−共役ジエン系樹脂、オレフィン系樹脂、セルロース樹脂等のポリマー等の有機物のハイブリッド材料により構成された疎水性多孔質無機−有機フィラー等も使用することができる。
上記疎水性多孔質無機フィラーは、単一の材料より構成されたものであってもよいし、二種以上の材料より構成されたものであってもよい。中でも、疎水性多孔質無機フィラーとしては、樹脂組成物又は、その硬化物全体に行き渡って均一に分散して、硬化物の表面に凹凸を効率的に形成でき、高い耐熱性を有する観点、並びに、入手性や製造の容易性の観点から、疎水性多孔質シリカ(疎水性多孔質シリカフィラー)がより好ましい。
疎水性多孔質無機フィラーの形状は、特に限定されないが、例えば、粉体、球状、破砕状、繊維状、針状、鱗片状等が挙げられる。中でも、疎水性多孔質無機フィラーが樹脂組成物又は、その硬化物全体に行き渡って均一に分散して、硬化物の表面に均一で微細な凹凸形状を形成しやすくなるという観点から、球状、又は破砕状の疎水性多孔質無機フィラーが好ましい。
疎水性多孔質無機フィラーの平均粒子径(中心粒径)は、特に限定されないが、疎水性多孔質無機フィラーが樹脂組成物又は、その硬化物全体に行き渡って均一に分散して、硬化物の表面に均一で微細な凹凸形状を形成しやすくなるという観点から、1〜20μmが好ましく、より好ましくは2〜15μmである。なお、上記平均粒子径(中心粒径)は、レーザー回折・散乱法で測定した粒度分布における積算値50%での体積粒径(メディアン体積径)を意味する。
疎水性多孔質無機フィラー多孔質構造は、比表面積、吸油量等の各種パラメータにより特定することができ、それぞれ、本発明の反射防止材又は樹脂組成物に適したパラメーターを有するグレードの疎水性多孔質無機フィラーを、特に制限なく選択することができる。また、上記パラメータは、疎水性処理される前の多孔質無機フィラーのパラメータで評価することもできる。
疎水性多孔質無機フィラーを構成する多孔質無機フィラー(表面が疎水性処理される前の多孔質無機フィラー)の比表面積は、特に限定されないが、疎水性多孔質無機フィラーが樹脂組成物又は、その硬化物全体に行き渡って均一に分散して、硬化物の表面に均一で微細な凹凸形状を形成しやすくし、反射を効率的に防止するという観点から、200m2/g以上が好ましく、200〜2000m2/gがより好ましく、200〜1500m2/gがさらに好ましく、特に好ましくは200〜1000m2/gである。比表面積が200m2/g以上であれば、疎水性多孔質無機フィラーが樹脂組成物又は、その硬化物全体に行き渡って均一に分散して、硬化物の表面の反射防止機能が向上する傾向がある。一方、比表面積が、2000m2/g以下であることにより、疎水性多孔質無機フィラーを含む樹脂組成物の粘度上昇やチキソトロピー性が抑制され、反射防止材を製造する際の流動性が担保される傾向がある。なお、上記比表面積は、表面が疎水性処理される前の多孔質無機フィラーについて、JIS K6430附属書Eに準拠して、−196℃における窒素の吸着等温線からBET式に基づいて求められる窒素吸着比表面積を意味する。
疎水性多孔質無機フィラーの吸油量は、特に限定されないが、疎水性多孔質無機フィラーが樹脂組成物又は、その硬化物全体に行き渡って均一に分散して、硬化物の表面に均一で微細な凹凸形状を形成しやすくし、反射を効率的に防止するという観点から、10〜2000mL/100gが好ましく、より好ましくは100〜1000mL/100gである。吸油量が、10mL/100g以上であれば、疎水性多孔質無機フィラーが樹脂組成物又は、その硬化物全体に行き渡って均一に分散して、硬化物の表面に凹凸形状を形成しやすくなる傾向がある。一方、吸油量が、2000mL/100g以下であることにより、疎水性多孔質無機フィラーの機械的強度が向上する傾向がある。なお、疎水性多孔質無機フィラーの給油量は、フィラー100gが吸収する油の量であり、JIS K5101に準拠して測定することができる。
本発明の反射防止材又は樹脂組成物において疎水性多孔質無機フィラーは、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、疎水性多孔質無機フィラーは、公知乃至慣用の製造方法により製造することもできるし、例えば、商品名「サイロホービック702」、「サイロホービック4004」、「サイロホービック505」、「サイロホービック100」、「サイロホービック200」、「サイロホービック704」、「サイロホービック507」、「サイロホービック603」等のサイロホービックシリーズ(以上、富士シリシア化学(株)製)、商品名「エアロジルRX200」、「エアロジルRX300」等のエアロジルシリーズ(以上、エボニックデグサ社製)、商品名「サンスフェアH−121−ET」、「サンスフェアH−51−ET」等のサンスフェアETシリーズ(以上、AGCエスアイテック社製)等の市販品を使用することもできる。
本発明の反射防止材又は樹脂組成物における疎水性多孔質無機フィラーの含有量(配合量)は、特に限定されないが、反射防止材又は樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、好ましくは4〜40重量%であり、より好ましくは4〜35重量%、さらに好ましくは4〜30重量%である。疎水性多孔質無機フィラーの含有量が4重量%以上であることにより、疎水性多孔質無機フィラーが樹脂組成物又は、その反射防止材を構成する硬化物全体に行き渡り均一に分散して、硬化物の表面全体に均一な凹凸形状を形成しやすくなる。一方、疎水性多孔質無機フィラーの含有量が40重量%以下であることにより、本発明の反射防止材又は樹脂組成物を例えば光半導体装置用の封止材として使用した場合に全光束の著しい低下を防止して十分な照度を確保できる傾向がある。
本発明の反射防止材又は樹脂組成物における疎水性多孔質無機フィラーの含有量(配合量)は、反射防止材を構成する樹脂組成物(100重量部)に対して、通常、5〜80重量部であり、好ましくは5〜70重量部、より好ましくは5〜60重量部である。疎水性多孔質無機フィラーの含有量が5重量部以上であることにより、疎水性多孔質無機フィラーが反射防止材を構成する樹脂組成物又は、その硬化物全体に行き渡り均一に分散して、硬化物の表面全体に均一な凹凸形状を形成しやすくなる。一方、疎水性多孔質無機フィラーの含有量が80重量部以下であることにより、本発明の反射防止材又は樹脂組成物を例えば光半導体装置用の封止材として使用した場合に全光束の著しい低下を防止して十分な照度を確保できる傾向がある。
[樹脂組成物]
本発明の反射防止材における硬化物を構成する樹脂組成物は、特に限定されるものではないが、光半導体装置における光半導体素子の封止材、即ち、光半導体封止用樹脂組成物として適したものが好ましく使用可能であり、例えば、熱又は光により硬化して、高い透明性を有し、耐久性(例えば、加熱によっても透明性が低下しにくい特性、高温の熱や熱衝撃が加えられてもクラックや被着体からの剥離が生じにくい特性等)にも優れる硬化物を与える硬化性樹脂組成物を好適に使用できる。
このような硬化性樹脂組成物としては、熱硬化性又は光硬化性を有する公知乃至慣用の樹脂組成物を特に限定なく使用することができ、例えば、エポキシ樹脂(エポキシ化合物)(「エポキシ樹脂(A)」と称する)、シリコーン樹脂(シリコーン化合物)(「シリコーン樹脂(B)」と称する)、及びアクリル樹脂(アクリル化合物)(「アクリル樹脂(C)」と称する)からなる群より選択される少なくとも1種の硬化性化合物を含む組成物であることが好ましい。このような硬化性樹脂組成物としては、例えば、エポキシ樹脂(A)を含む組成物(硬化性エポキシ樹脂組成物)、シリコーン樹脂(B)を含む組成物(硬化性シリコーン樹脂組成物)、アクリル樹脂(C)を含む組成物(硬化性アクリル樹脂組成物)が挙げられる。以下、これら態様の硬化性樹脂組成物について説明する。但し、本発明の硬化性樹脂組成物は、以下の態様の組成物には限定されない。
また、本発明の反射防止材は、光半導体封止用樹脂組成物の用途に限定されるものではなく、例えば、後述の各種光学部材等にも適用可能であり、それぞれの用途に適した樹脂(例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂など)にも適用可能である。
本発明の反射防止材における硬化物を構成する樹脂組成物としては、耐熱性、透明性、耐久性等に優れる硬化性エポキシ樹脂組成物、硬化性シリコーン樹脂組成物、硬化性アクリル樹脂組成物が好ましく、硬化性エポキシ樹脂組成物がより好ましい。
1.硬化性エポキシ樹脂組成物
上記硬化性エポキシ樹脂組成物(「本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物」と称する場合がある)は、エポキシ樹脂(A)を必須成分として含む硬化性組成物である。本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらに、硬化剤(D)及び硬化促進剤(E)、又は、硬化触媒(F)を必須成分として含む。即ち、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(D)と硬化促進剤(E)とを必須成分として含む組成物、又は、エポキシ樹脂(A)と硬化触媒(F)とを必須成分として含む組成物である。本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、上述の必須成分以外のその他の成分を含んでいてもよい。
1−1.エポキシ樹脂(A)
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂(A)は、分子内に1個以上のエポキシ基(オキシラン環)を有する化合物であり、公知乃至慣用のエポキシ化合物から任意に選択して用いることができる。エポキシ樹脂(A)としては、例えば、芳香族エポキシ化合物(芳香族エポキシ樹脂)、脂肪族エポキシ化合物(脂肪族エポキシ樹脂)、脂環式エポキシ化合物(脂環式エポキシ樹脂)、複素環式エポキシ化合物(複素環式エポキシ樹脂)、分子内にエポキシ基を1個以上有するシロキサン誘導体等が挙げられる。
上記芳香族エポキシ化合物としては、例えば、芳香族グリシジルエーテル系エポキシ樹脂[例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂)等、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタンから得られるエポキシ樹脂等]等が挙げられる。
上記脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族グリシジルエーテル系エポキシ化合物[例えば、脂肪族ポリグリシジルエーテル等]等が挙げられる。
上記脂環式エポキシ化合物は、分子内に1個以上の脂環(脂肪族炭化水素環)と1個以上のエポキシ基とを有する化合物である(但し、上述の分子内にエポキシ基を1個以上有するシロキサン誘導体は除かれる)。脂環式エポキシ化合物としては、例えば、(i)分子内に脂環エポキシ基(脂環を構成する隣接する2個の炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基)を少なくとも1個(好ましくは2個以上)有する化合物;(ii)脂環に直接単結合で結合したエポキシ基を有する化合物;(iii)脂環とグリシジル基とを有する化合物等が挙げられる。
上述の(i)分子内に脂環エポキシ基を少なくとも1個有する化合物が有する脂環エポキシ基としては、特に限定されないが、中でも、硬化性の観点で、シクロヘキセンオキシド基(シクロヘキサン環を構成する隣接する2個の炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基)が好ましい。特に、(i)分子内に脂環エポキシ基を少なくとも1個有する化合物としては、硬化物の透明性、耐熱性の観点で、分子内に2個以上のシクロヘキセンオキシド基を有する化合物が好ましく、より好ましくは下記式(1)で表される化合物である。
Figure 2018070300
式(1)中、Xは単結合又は連結基(1以上の原子を有する2価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、これらが複数個連結した基等が挙げられる。なお、式(1)における脂環(脂環式エポキシ基)を構成する炭素原子の1以上には、アルキル基等の置換基が結合していてもよい。
式(1)中のXが単結合である化合物としては、(3,4,3',4'−ジエポキシ)ビシクロヘキシルが挙げられる。
上記2価の炭化水素基としては、炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。上記2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等の2価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖状のアルケニレン基(アルカポリエニレン基も含まれる)等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2〜4のアルケニレン基である。
上記連結基Xとしては、特に、酸素原子を含有する連結基が好ましく、具体的には、−CO−、−O−CO−O−、−COO−、−O−、−CONH−、エポキシ化アルケニレン基;これらの基が複数個連結した基;これらの基の1又は2以上と2価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基等が挙げられる。2価の炭化水素基としては上記で例示したものが挙げられる。
上記式(1)で表される化合物の代表的な例としては、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、下記式(1−1)〜(1−10)で表される化合物等が挙げられる。なお、下記式(1−5)、(1−7)中のl、mは、それぞれ1〜30の整数を表す。下記式(1−5)中のRは炭素数1〜8のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。下記式(1−9)、(1−10)中のn1〜n6は、それぞれ1〜30の整数を示す。
Figure 2018070300
Figure 2018070300
上述の(ii)脂環に直接単結合で結合したエポキシ基を有する化合物としては、例えば、下記式(2)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2018070300
式(2)中、R'は、構造式上、p価のアルコールからp個の水酸基(−OH)を除いた基(p価の有機基)であり、p、qはそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R'(OH)p]としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール等の多価アルコール(炭素数1〜15のアルコール等)等が挙げられる。pは1〜6が好ましく、qは1〜30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの( )内(外側の括弧内)の基におけるqは同一でもよく異なっていてもよい。上記式(2)で表される化合物としては、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)等]等が挙げられる。
上述の(iii)脂環とグリシジル基とを有する化合物としては、例えば、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を水素化したもの(水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂)等;ビス[2−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、[2−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル][4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を水素化したもの(水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂)等;水添ビフェノール型エポキシ樹脂;水添ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、水添フェノールノボラック型エポキシ樹脂、水添クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAの水添クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);水添ナフタレン型エポキシ樹脂;トリスフェノールメタンから得られるエポキシ樹脂の水添エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記脂環式エポキシ化合物としては、その他、例えば、1,2,8,9−ジエポキシリモネン等が挙げられる。
上記複素環式エポキシ化合物としては、例えば、分子内にエポキシ基(オキシラン環)以外の複素環[例えば、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、モルホリン環、クロマン環、イソクロマン環、テトラヒドロチオフェン環、テトラヒドロチオピラン環、アジリジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、インドリン環、2,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン環、1,3,5−トリアザシクロヘキサン環、1,3,5−トリアザシクロヘキサ−2,4,6−トリオン環(イソシアヌル環)等の非芳香族性複素環;チオフェン環、ピロール環、フラン環、ピリジン環等の芳香族性複素環等]と、エポキシ基とを有する化合物が挙げられる。
上記複素環式エポキシ化合物としては、例えば、分子内に1個以上のエポキシ基を有するイソシアヌレート(以下、「エポキシ基含有イソシアヌレート」と称する場合がある)を好ましく使用できる。上記エポキシ基含有イソシアヌレートが分子内に有するエポキシ基の数は、特に限定されないが、1〜6個が好ましく、より好ましくは1〜3個である。
上記エポキシ基含有イソシアヌレートとしては、例えば、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2018070300
式(3)中、RX、RY、及びRZ(RX〜RZ)は、同一又は異なって、水素原子又は1価の有機基を示す。但し、RX〜RZの少なくとも1個は、エポキシ基を含有する1価の有機基である。上記1価の有機基としては、例えば、1価の脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基等);1価の芳香族炭化水素基(例えば、アリール基等);1価の複素環式基;脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基の2以上が結合して形成された1価の基等が挙げられる。なお、1価の有機基は置換基(例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子等の置換基)を有していてもよい。エポキシ基を含有する1価の有機基としては、例えば、エポキシ基、グリシジル基、2−メチルエポキシプロピル基、シクロヘキセンオキシド基等の後述のエポキシ基を含有する1価の基等が挙げられる。
より具体的には、上記エポキシ基含有イソシアヌレートとしては、下記式(3−1)で表される化合物、下記式(3−2)で表される化合物、下記式(3−3)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2018070300
Figure 2018070300
Figure 2018070300
上記式(3−1)、式(3−2)、及び式(3−3)(式(3−1)〜(3−3))中、R1、R2は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が好ましい。上記式(3−1)〜(3−3)中のR1及びR2は、水素原子であることが特に好ましい。
上記式(3−1)で表される化合物の代表的な例としては、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、1−アリル−3,5−ビス(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート、1−(2−メチルプロペニル)−3,5−ジグリシジルイソシアヌレート、1−(2−メチルプロペニル)−3,5−ビス(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
上記式(3−2)で表される化合物の代表的な例としては、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジアリル−5−(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート、1,3−ビス(2−メチルプロペニル)−5−グリシジルイソシアヌレート、1,3−ビス(2−メチルプロペニル)−5−(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
上記式(3−3)で表される化合物の代表的な例としては、トリグリシジルイソシアヌレート、トリス(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
なお、上記エポキシ基含有イソシアヌレートは、アルコールや酸無水物等のエポキシ基と反応する化合物を加えてあらかじめ変性して用いることもできる。
上述の分子内にエポキシ基を1個以上有するシロキサン誘導体(「エポキシ基含有シロキサン誘導体」と称する場合がある)としては、分子内にシロキサン結合(Si−O−Si)により構成されたシロキサン骨格を有し、エポキシ基を1個以上有する化合物である。上記シロキサン骨格としては、例えば、環状シロキサン骨格;直鎖又は分岐鎖状のシリコーン(直鎖又は分岐鎖状ポリシロキサン)や、かご型やラダー型のポリシルセスキオキサン等のポリシロキサン骨格等が挙げられる。上記エポキシ基含有シロキサン誘導体が分子内に有するエポキシ基の数は、特に限定されないが、2〜4個が好ましく、より好ましくは3個又は4個である。
上記エポキシ基含有シロキサン誘導体が有するエポキシ基は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物を効率的に硬化させることができ、より強度に優れた硬化物が得られる点で、少なくとも1個が脂環エポキシ基であることが好ましく、中でも、エポキシ基の少なくとも1個がシクロヘキセンオキシド基であることが特に好ましい。
上記エポキシ基含有シロキサン誘導体としては、例えば、下記式(4)で表される化合物(環状シロキサン)が挙げられる。
Figure 2018070300
上記式(4)中、R3は、同一又は異なって、アルキル基、又は、エポキシ基を含有する1価の有機基を示す。但し、式(4)で表される化合物におけるR3のうち、少なくとも1個(好ましくは少なくとも2個)は、エポキシ基を含有する1価の有機基(特に、脂環エポキシ基を含有する1価の有機基)である。また、式(4)中のpは、3以上の整数(好ましくは3〜6の整数)を示す。なお、複数のR3は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記エポキシ基を含有する1価の有機基としては、例えば、エポキシ基、グリシジル基、メチルグリシジル基、−A−R4で表される基[Aはアルキレン基を示し、R4は脂環エポキシ基を示す。]が挙げられる。上記A(アルキレン基)としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基等が挙げられる。上記R4としては、例えば、シクロヘキセンオキシド基等が挙げられる。
より具体的には、上記エポキシ基含有シロキサン誘導体としては、例えば、2,4−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,4,6,6,8,8−ヘキサメチル−シクロテトラシロキサン、4,8−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,2,4,6,6,8−ヘキサメチル−シクロテトラシロキサン、2,4−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−6,8−ジプロピル−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン、4,8−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,6−ジプロピル−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン、2,4,8−トリ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,4,6,6,8−ペンタメチル−シクロテトラシロキサン、2,4,8−トリ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−6−プロピル−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン、2,4,6,8−テトラ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン等が挙げられる。
また、上記エポキシ基含有シロキサン誘導体としては、例えば、下記式(5)で表される化合物(鎖状ポリシロキサン)が挙げられる。
Figure 2018070300
上記式(5)中、R5、R6は、同一又は異なって、エポキシ基を含有する1価の有機基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基等)、又はアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基等)を示す。但し、式(5)で表される化合物におけるR5及びR6のうち、少なくとも1個(好ましくは少なくとも2個)はエポキシ基を含有する1価の有機基である。エポキシ基を含有する1価の有機基としては、上記式(4)におけるものと同様の基が挙げられる。特に、硬化性の観点で、R6のいずれか一方又は両方がエポキシ基を含有する1価の有機基であることが好ましい。また、式(5)中のqは、1以上の整数(例えば、1〜500の整数)を示す。qが付された括弧内の構造は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、qが付された括弧内の構造として2種以上が存在する場合、その付加形態は特に限定されず、ランダム型であってもよいし、ブロック型であってもよい。
上記エポキシ基含有シロキサン誘導体としては、その他にも例えば、エポキシ基を有するシリコーン樹脂(例えば、特開2008−248169号公報に記載の脂環エポキシ基含有シリコーン樹脂等)、エポキシ基を有するシルセスキオキサン(例えば、特開2008−19422号公報に記載の1分子中に少なくとも2個のエポキシ官能性基を有するオルガノポリシルセスキオキサン樹脂等)等が挙げられる。
中でも、エポキシ樹脂(A)としては、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化をより効率的に進行させることができる点で、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、分子内にエポキシ基を1個以上有するイソシアヌレート、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、分子内にエポキシ基を1個以上有するシロキサン誘導体が好ましい。特に、透明性及び耐久性に優れた硬化物を高い生産性で得ることができる点で、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物はエポキシ樹脂(A)として、脂環式エポキシ化合物を必須成分として含むことが好ましい。上記脂環式エポキシ化合物としては、特に、分子内にシクロヘキセンオキシド基を有する化合物(特に、分子内に2個以上のシクロヘキセンオキシド基を有する化合物)が好ましく、より好ましくは式(1)で表される化合物(特に、式(1−1)で表される化合物)である。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物においてエポキシ樹脂(A)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。なお、エポキシ樹脂(A)は公知乃至慣用の方法により製造することもできるし、市販品を使用することもできる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂(A)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、25〜99.8重量%(例えば、25〜95重量%)が好ましく、より好ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは35〜85重量%、特に好ましくは40〜60重量%である。エポキシ樹脂(A)の含有量を25重量%以上とすることにより、硬化をいっそう効率的に進行させることができる傾向がある。一方、エポキシ樹脂(A)の含有量を99.8重量%以下とすることにより、硬化物の強度がより向上する傾向がある。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における脂環式エポキシ化合物の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、20〜99.8重量%が好ましく、より好ましくは40〜95重量%(例えば、40〜60重量%)、さらに好ましくは50〜95重量%、特に好ましくは60〜90重量%、最も好ましくは70〜85重量%である。脂環式エポキシ化合物の含有量を20重量%以上とすることにより、硬化をいっそう効率的に進行させることができ、硬化物の透明性及び耐久性がより向上する傾向がある。一方、脂環式エポキシ化合物の含有量を99.8重量%以下とすることにより、硬化物の強度がより向上する傾向がある。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物の全量(全エポキシ化合物;例えば、エポキシ樹脂(A)の全量)(100重量%)に対する脂環式エポキシ化合物の割合は、特に限定されないが、40〜100重量%(例えば、40〜90重量%)が好ましく、より好ましくは80〜100重量%、さらに好ましくは90〜100重量%、特に好ましくは95〜100重量%である。脂環式エポキシ化合物の割合を40重量%以上とすることにより、硬化をいっそう効率的に進行させることができ、硬化物の透明性及び耐久性がより向上する傾向がある。
1−2.硬化剤(D)
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物の必須成分のひとつである硬化剤(D)は、エポキシ化合物と反応することにより硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させる働きを有する化合物である。硬化剤(D)としては、特に限定されず、エポキシ樹脂用硬化剤として周知慣用のものを使用することができ、例えば、酸無水物類(酸無水物系硬化剤)、アミン類(アミン系硬化剤)、ポリアミド樹脂、イミダゾール類(イミダゾール系硬化剤)、ポリメルカプタン類(ポリメルカプタン系硬化剤)、フェノール類(フェノール系硬化剤)、ポリカルボン酸類、ジシアンジアミド類、有機酸ヒドラジド等が挙げられる。
硬化剤(D)としての酸無水物類(酸無水物系硬化剤)としては、公知乃至慣用の酸無水物系硬化剤を使用でき、特に限定されないが、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸等)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等)、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、水素化メチルナジック酸無水物、4−(4−メチル−3−ペンテニル)テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水アジピン酸、無水セバシン酸、無水ドデカン二酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、取り扱い性の観点で、25℃で液状の酸無水物[例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等]が好ましい。一方、25℃で固体状の酸無水物については、例えば、25℃で液状の酸無水物に溶解させて液状の混合物とすることで、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における硬化剤(D)としての取り扱い性が向上する傾向がある。酸無水物系硬化剤としては、硬化物の耐熱性、透明性の観点で、飽和単環炭化水素ジカルボン酸の無水物(環にアルキル基等の置換基が結合したものも含む)が好ましい。
硬化剤(D)としてのアミン類(アミン系硬化剤)としては、公知乃至慣用のアミン系硬化剤を使用でき、特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ポリプロピレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−3,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の脂環式ポリアミン;m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、トリレン−2,4−ジアミン、トリレン−2,6−ジアミン、メシチレン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトリレン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトリレン−2,6−ジアミン等の単核ポリアミン、ビフェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、2,5−ナフチレンジアミン、2,6−ナフチレンジアミン等の芳香族ポリアミン等が挙げられる。
硬化剤(D)としてのフェノール類(フェノール系硬化剤)としては、公知乃至慣用のフェノール系硬化剤を使用でき、特に限定されないが、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、パラキシリレン・メタキシリレン変性フェノール樹脂等のアラルキル樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、トリフェノールプロパン等が挙げられる。
硬化剤(D)としてのポリアミド樹脂としては、例えば、分子内に第1級アミノ基及び第2級アミノ基のいずれか一方又は両方を有するポリアミド樹脂等が挙げられる。
硬化剤(D)としてのイミダゾール類(イミダゾール系硬化剤)としては、公知乃至慣用のイミダゾール系硬化剤を使用でき、特に限定されないが、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌレート、2−フェニルイミダゾリウムイソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジン等が挙げられる。
硬化剤(D)としてのポリメルカプタン類(ポリメルカプタン系硬化剤)としては、例えば、液状のポリメルカプタン、ポリスルフィド樹脂等が挙げられる。
硬化剤(D)としてのポリカルボン酸類としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、カルボキシ基含有ポリエステル等が挙げられる。
中でも、硬化剤(D)としては、硬化性、硬化物の耐熱性、透明性の観点で、酸無水物類(酸無水物系硬化剤)が好ましい。なお、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物において硬化剤(D)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、硬化剤(D)としては、市販品を使用することもできる。例えば、酸無水物類の市販品としては、商品名「リカシッド MH−700」、「リカシッド MH−700F」(以上、新日本理化(株)製);商品名「HN−5500」(日立化成工業(株)製)等が挙げられる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における硬化剤(D)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物の全量(全エポキシ化合物;例えば、エポキシ樹脂(A)の全量)100重量部に対して、50〜200重量部が好ましく、より好ましくは75〜150重量部、さらに好ましくは100〜120重量部である。より具体的には、硬化剤(D)として酸無水物類を使用する場合、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ化合物におけるエポキシ基1当量当たり、0.5〜1.5当量となる割合で使用することが好ましい。硬化剤(D)の含有量を50重量部以上とすることにより、硬化をより効率的に進行させることができ、硬化物の強靱性がより向上する傾向がある。一方、硬化剤(D)の含有量を200重量部以下とすることにより、着色の無い(又は少ない)、色相に優れた硬化物が得られやすい傾向がある。
1−3.硬化促進剤(E)
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物の必須成分のひとつである硬化促進剤(E)は、エポキシ化合物の反応(特に、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(D)との反応)の反応速度を促進する機能を有する化合物である。硬化促進剤(E)としては、エポキシ樹脂用硬化促進剤として周知慣用のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、及びその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩等);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、及びその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩等);ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等の3級アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール;リン酸エステル、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラ(p−トリル)ボレート等のホスホニウム化合物;オクチル酸スズ、オクチル酸亜鉛等の有機金属塩;金属キレート等が挙げられる。
なお、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物において硬化促進剤(E)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における硬化促進剤(E)としては、例えば、商品名「U−CAT SA 506」、「U−CAT SA 102」、「U−CAT 5003」、「U−CAT 18X」、「12XD」(開発品)(以上、サンアプロ(株)製);商品名「TPP−K」、「TPP−MK」(以上、北興化学工業(株)製);商品名「PX−4ET」(日本化学工業(株)製)等の市販品を使用することができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における硬化促進剤(E)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物の全量(全エポキシ化合物;例えば、エポキシ樹脂(A)の全量)100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部、さらに好ましくは0.2〜3重量部、特に好ましくは0.25〜2.5重量部である。硬化促進剤(E)の含有量を0.05重量部以上とすることにより、より十分な硬化促進効果を得ることができる傾向がある。一方、硬化促進剤(E)の含有量を5重量部以下とすることにより、着色の無い(又は少ない)、色相に優れた硬化物が得られやすい傾向がある。
1−4.硬化触媒(F)
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物の必須成分のひとつである硬化触媒(F)は、エポキシ化合物等のカチオン重合性化合物の硬化反応(重合反応)を開始及び/又は促進させることにより、硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させる働きを有する化合物である。硬化触媒(F)としては、特に限定されないが、例えば、熱によりカチオン種を発生して、重合を開始させるカチオン重合開始剤(熱カチオン重合開始剤)や、ルイス酸・アミン錯体、ブレンステッド酸塩類、イミダゾール類等が挙げられる。
具体的には、硬化触媒(F)としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、アレン−イオン錯体等が挙げられ、商品名「PP−33」、「CP−66」、「CP−77」(以上(株)ADEKA製);商品名「FC−509」(スリーエム製);商品名「UVE1014」(G.E.製);商品名「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」、「サンエイドSI−110L」、「サンエイドSI−150L」(以上、三新化学工業(株)製);商品名「CG−24−61」(BASF社製)等の市販品を好ましく使用することができる。さらに、硬化触媒(F)としては、例えば、アルミニウムやチタン等の金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とトリフェニルシラノール等のシラノールとの化合物、又は、アルミニウムやチタン等の金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とビスフェノールS等のフェノール類との化合物等も挙げられる。
硬化触媒(F)としてのルイス酸・アミン錯体としては、公知乃至慣用のルイス酸・アミン錯体系硬化触媒を使用することができ、特に限定されないが、例えば、BF3・n−ヘキシルアミン、BF3・モノエチルアミン、BF3・ベンジルアミン、BF3・ジエチルアミン、BF3・ピペリジン、BF3・トリエチルアミン、BF3・アニリン、BF4・n−ヘキシルアミン、BF4・モノエチルアミン、BF4・ベンジルアミン、BF4・ジエチルアミン、BF4・ピペリジン、BF4・トリエチルアミン、BF4・アニリン、PF5・エチルアミン、PF5・イソプロピルアミン、PF5・ブチルアミン、PF5・ラウリルアミン、PF5・ベンジルアミン、AsF5・ラウリルアミン等が挙げられる。
硬化触媒(F)としてのブレンステッド酸塩類としては、公知乃至慣用のブレンステッド酸塩類を使用することができ、特に限定されないが、例えば、脂肪族スルホニウム塩、芳香族スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。
硬化触媒(F)としてのイミダゾール類としては、公知乃至慣用のイミダゾール類を使用することができ、特に限定されないが、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌレート、2−フェニルイミダゾリウムイソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジン等が挙げられる。
なお、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物において硬化触媒(F)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。なお、上述のように、硬化触媒(F)としては、例えば、市販品を使用することができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における硬化触媒(F)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物の全量(全エポキシ化合物;例えば、エポキシ樹脂(A)の全量)100重量部に対して、0.01〜15重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜12重量部、さらに好ましくは0.05〜10重量部、特に好ましくは0.05〜8重量部である。硬化触媒(F)の含有量を0.01重量部以上とすることにより、より十分に硬化反応を進行させることができる傾向がある。一方、硬化触媒(F)の含有量を15重量部以下とすることにより、着色の無い(又は少ない)、色相に優れた硬化物が得られやすい傾向がある。即ち、硬化触媒(F)の含有量を上記範囲に制御することによって、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化速度が向上し、また、透明性及び耐久性のバランスに優れた硬化物が得られやすい傾向がある。
なお、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、光の照射によりカチオン重合の開始種(酸等)を発生する光カチオン重合開始剤を実質的に含んでいてもよい。本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物が光カチオン重合開始剤を含む場合、その含有量は、例えば、硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物の全量(全エポキシ化合物;例えば、エポキシ樹脂(A)の全量)100重量部に対して、例えば、0.01〜20重量部程度、好ましくは0.1〜10重量部である。
1−5.多価アルコール
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、多価アルコールを含んでいてもよい。特に、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物が硬化剤(D)及び硬化促進剤(E)を含む場合には、硬化をより効率的に進行させることができる点で、さらに多価アルコールを含むことが好ましい。多価アルコールとしては、公知乃至慣用の多価アルコールを使用することができ、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
中でも、上記多価アルコールとしては、硬化を良好に制御することができ、クラックや剥離がより生じにくい硬化物が得られやすい点で、炭素数1〜6のアルキレングリコールが好ましく、より好ましくは炭素数2〜4のアルキレングリコールである。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物において多価アルコールは、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における多価アルコールの含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物の全量(全エポキシ化合物;例えば、エポキシ樹脂(A)の全量)100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部、さらに好ましくは0.2〜3重量部、特に好ましくは0.25〜2.5重量部である。多価アルコールの含有量を0.05重量部以上とすることにより、硬化をより効率的に進行させることができる傾向がある。一方、多価アルコールの含有量を5重量部以下とすることにより、上記硬化の反応速度を制御しやすい傾向がある。
1−6.蛍光体
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、蛍光体を含んでいてもよい。本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物が蛍光体を含む場合には、光半導体装置における光半導体素子の封止用途(封止材用途)、即ち、光半導体封止用樹脂組成物として特に好ましく使用できる。上記蛍光体としては、公知乃至慣用の蛍光体(特に、光半導体素子の封止用途において使用される蛍光体)を使用でき、特に限定されないが、例えば、一般式A3512:M[式中、Aは、Y、Gd、Tb、La、Lu、Se、及びSmからなる群より選択された1種以上の元素を示し、Bは、Al、Ga、及びInからなる群より選択された1種以上の元素を示し、Mは、Ce、Pr、Eu、Cr、Nd、及びErからなる群より選択された1種以上の元素を示す]で表されるYAG系の蛍光体微粒子(例えば、Y3Al512:Ce蛍光体微粒子、(Y,Gd,Tb)3(Al,Ga)512:Ce蛍光体微粒子等)、シリケート系蛍光体微粒子(例えば、(Sr,Ca,Ba)2SiO4:Eu等)等が挙げられる。なお、蛍光体は、例えば、分散性向上のために、有機基(例えば、長鎖アルキル基、リン酸基等)等により表面が修飾されたものであってもよい。本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物において蛍光体は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、蛍光体としては市販品を使用することができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における蛍光体の含有量(配合量)は、特に限定されず、硬化性エポキシ樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、0.5〜20重量%の範囲で適宜選択することができる。
1−7.その他の成分
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、硬化性や透明性等に大きな悪影響が及ばない範囲で、上記以外のその他の成分を含んでいてもよい。上記その他の成分としては、例えば、直鎖又は分岐鎖を有するシリコーン系樹脂、脂環を有するシリコーン系樹脂、芳香環を有するシリコーン系樹脂、かご型/ラダー型/ランダム型のシルセスキオキサン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、シリコーン系やフッ素系の消泡剤等が挙げられる。上記その他の成分の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、5重量%以下(例えば、0〜3重量%)が好ましい。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、特に限定されないが、例えば、上述の各成分を、必要に応じて加熱した状態で撹拌、混合することによって調製することができる。なお、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、各成分の全てがあらかじめ混合されたものをそのまま使用する1液系の組成物であってもよいし、例えば、2以上に分割された成分を使用の直前で所定の割合で混合して使用する多液系(例えば、2液系)の組成物であってもよい。撹拌、混合の方法は、特に限定されず、例えば、ディゾルバー、ホモジナイザー等の各種ミキサー、ニーダー、ロール、ビーズミル、自公転式撹拌装置等の公知乃至慣用の撹拌、混合手段を使用できる。また、撹拌、混合後、減圧下又は真空下にて脱泡してもよい。
2.硬化性シリコーン樹脂組成物
上記硬化性シリコーン樹脂組成物(「本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物」と称する場合がある)は、硬化性化合物としてシリコーン樹脂(B)を必須成分として含む硬化性組成物である。本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂(B)以外の成分を含んでいてもよい。
シリコーン樹脂(B)としては、例えば、主鎖として−Si−O−Si−(シロキサン結合)に加えて、−Si−RA−Si−(シルアルキレン結合:RAはアルキレン基を示す)を含むポリオルガノシロキシシルアルキレン;主鎖として上記シルアルキレン結合を含まないポリオルガノシロキサン等の硬化性ポリシロキサンが挙げられる。
また、シリコーン樹脂(B)としては、硬化性化合物として公知乃至慣用の硬化性シリコーン樹脂(硬化性ポリシロキサン)を使用することができ、特に限定されないが、例えば、付加型(付加反応硬化型)のシリコーン樹脂、縮合型(縮合反応硬化型)のシリコーン樹脂等が挙げられる。本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物が前者を含む場合には付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物として使用することができ、後者を含む場合には縮合反応硬化性シリコーン樹脂組成物として使用することができる。以下、これらの付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物及び縮合反応硬化性シリコーン樹脂組成物について説明するが、本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物はこれらに限定されず、例えば、付加型のシリコーン樹脂と縮合型のシリコーン樹脂の両方を含む、付加反応と縮合反応により硬化するシリコーン樹脂組成物であってもよい。即ち、上記硬化工程における硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化は、付加反応及び縮合反応からなる群より選択される少なくとも1種の反応により進行するものであってよい。
2−1.付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物
上記付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物としては、例えば、シリコーン樹脂(B)として分子内に2個以上のアルケニル基を有するポリシロキサン(B1)を含有し、さらに必要に応じて、分子内に1個以上(好ましくは2個以上)のヒドロシリル基を有するポリシロキサンや金属硬化触媒等を含む硬化性シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
上記ポリシロキサン(B1)は、ポリオルガノシロキサン(B1−1)とポリオルガノシロキシシルアルキレン(B1−2)とに分類される。本明細書においてポリオルガノシロキシシルアルキレン(B1−2)とは、分子内に2個以上のアルケニル基を有し、主鎖として−Si−O−Si−(シロキサン結合)に加えて、−Si−RA−Si−(シルアルキレン結合:RAはアルキレン基を示す)を含むポリシロキサンである。そして、本明細書におけるポリオルガノシロキサン(B1−1)は、分子内に2個以上のアルケニル基を有し、主鎖として上記シルアルキレン結合を含まないポリシロキサンである。
ポリオルガノシロキサン(B1−1)としては、直鎖状、分岐鎖状(一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、網目状等)の分子構造を有するものが挙げられる。なお、ポリオルガノシロキサン(B1−1)は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、分子構造が異なるポリオルガノシロキサン(B1−1)の2種以上を併用することができ、例えば、直鎖状のポリオルガノシロキサン(B1−1)と分岐鎖状のポリオルガノシロキサン(B1−1)とを併用することもできる。
ポリオルガノシロキサン(B1−1)が分子内に有するアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の置換又は無置換アルケニル基が挙げられる。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基等が挙げられる。中でも、アルケニル基としては、ビニル基が好ましい。また、ポリオルガノシロキサン(B1−1)は、1種のみのアルケニル基を有するものであってもよいし、2種以上のアルケニル基を有するものであってもよい。ポリオルガノシロキサン(B1−1)が有するアルケニル基は、特に限定されないが、ケイ素原子に結合したものであることが好ましい。
ポリオルガノシロキサン(B1−1)が有するアルケニル基以外のケイ素原子に結合した基は、特に限定されないが、例えば、水素原子、1価の有機基等が挙げられる。1価の有機基としては、例えば、アルキル基[例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等]、シクロアルキル基[例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等]、アリール基[例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等]、シクロアルキル−アルキル基[例えば、シクロへキシルメチル基、メチルシクロヘキシル基等]、アラルキル基[例えば、ベンジル基、フェネチル基等]、炭化水素基における1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたハロゲン化炭化水素基[例えば、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等]等の1価の置換又は無置換炭化水素基等が挙げられる。なお、本明細書において「ケイ素原子に結合した基」とは、通常、ケイ素原子を含まない基を指すものとする。
また、ケイ素原子に結合した基として、ヒドロキシ基、アルコキシ基を有していてもよい。
ポリオルガノシロキサン(B1−1)の性状は、特に限定されず、液状であってもよいし、固体状であってもよい。
ポリオルガノシロキサン(B1−1)としては、下記平均単位式:
(R7SiO3/2a1(R7 2SiO2/2a2(R7 3SiO1/2a3(SiO4/2a4(ZO1/2a5
で表されるポリオルガノシロキサンが好ましい。上記平均単位式中、R7は、同一又は異なって、1価の置換又は無置換炭化水素基であり、上述の具体例(例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等)が挙げられる。但し、R7の一部はアルケニル基(特にビニル基)であり、その割合は、分子内に2個以上となる範囲に制御される。例えば、R7の全量(100モル%)に対するアルケニル基の割合は、0.1〜40モル%が好ましい。アルケニル基の割合を上記範囲に制御することにより、硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化性がより向上する傾向がある。また、アルケニル基以外のR7としては、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。
上記平均単位式中、Zは、水素原子又はアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、特にメチル基であることが好ましい。
上記平均単位式中、a1は0又は正数、a2は0又は正数、a3は0又は正数、a4は0又は正数、a5は0又は正数であり、且つ、(a1+a2+a3)は正数である。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B1−2)は、上述のように、分子内に2個以上のアルケニル基を有し、主鎖としてシロキサン結合に加えて、シルアルキレン結合を含むポリオルガノシロキサンである。なお、上記シルアルキレン結合におけるアルキレン基としては、C2-4アルキレン基(特に、エチレン基)が好ましい。上記ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B1−2)は、ポリオルガノシロキサン(B1−1)と比較して製造工程において低分子量の環を生じ難く、また、加熱等により分解してシラノール基(−SiOH)を生じ難いため、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B1−2)を使用した場合、硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物の表面粘着性(タック性)が低くなり、より黄変し難い傾向がある。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B1−2)としては、直鎖状、分岐鎖状(一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、網目状等)の分子構造を有するものが挙げられる。なお、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B1−2)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。例えば、分子構造が異なるポリオルガノシロキシシルアルキレン(B1−2)の2種以上を併用することができ、例えば、直鎖状のポリオルガノシロキシシルアルキレン(B1−2)と分岐鎖状のポリオルガノシロキシシルアルキレン(B1−2)とを併用することもできる。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B1−2)が分子内に有するアルケニル基としては、上述の具体例が挙げられるが、中でもビニル基が好ましい。また、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B1−2)は、1種のみのアルケニル基を有するものであってもよいし、2種以上のアルケニル基を有するものであってもよい。ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B1−2)が有するアルケニル基は、特に限定されないが、ケイ素原子に結合したものであることが好ましい。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B1−2)が有するアルケニル基以外のケイ素原子に結合した基は、特に限定されないが、例えば、水素原子、1価の有機基等が挙げられる。1価の有機基としては、例えば、上述の1価の置換又は無置換炭化水素基等が挙げられる。中でも、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。
また、ケイ素原子に結合した基として、ヒドロキシ基、アルコキシ基を有していてもよい。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B1−2)の性状は、特に限定されず、液状であってもよいし、固体状であってもよい。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B1−2)としては、下記平均単位式:
(R8 2SiO2/2b1(R8 3SiO1/2b2(R8SiO3/2b3(SiO4/2b4(RAb5(ZO1/2b6
で表されるポリオルガノシロキシシルアルキレンが好ましい。上記平均単位式中、R8は、同一又は異なって、1価の置換又は無置換炭化水素基であり、上述の具体例(例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基等)が挙げられる。但し、R8の一部はアルケニル基(特にビニル基)であり、その割合は、分子内に2個以上となる範囲に制御される。例えば、R8の全量(100モル%)に対するアルケニル基の割合は、0.1〜40モル%が好ましい。アルケニル基の割合を上記範囲に制御することにより、硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化性がより向上する傾向がある。また、アルケニル基以外のR8としては、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。
上記平均単位式中、RAは、上述のようにアルキレン基である。特にエチレン基が好ましい。
上記平均単位式中、Zは、上記と同じく、水素原子又はアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、特にメチル基であることが好ましい。
上記平均単位式中、b1は正数、b2は正数、b3は0又は正数、b4は0又は正数、b5は正数、b6は0又は正数である。中でも、b1は1〜200が好ましく、b2は1〜200が好ましく、b3は0〜10が好ましく、b4は0〜5が好ましく、b5は1〜100が好ましい。特に、(b3+b4)が正数の場合には、硬化物の機械強度がより向上する傾向がある。
上記付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物は、上述のように、さらに分子内に1個以上(好ましくは2個以上)のヒドロシリル基(Si−H)を有するポリシロキサン(「ヒドロシリル基含有ポリシロキサン」と称する場合がある)を含んでいてもよい。上記ヒドロシリル基含有ポリシロキサンは、ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンとヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキシシルアルキレンとに分類される。本明細書においてヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキシシルアルキレンとは、分子内に1個以上のヒドロシリル基を有し、主鎖として−Si−O−Si−(シロキサン結合)に加えて、−Si−RA−Si−(シルアルキレン結合:RAはアルキレン基を示す)を含むポリシロキサンである。そして、本明細書におけるヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンは、分子内に1個以上のヒドロシリル基を有し、主鎖として上記シルアルキレン結合を含まないポリシロキサンである。なお、RA(アルキレン基)としては、上記と同じく、例えば、直鎖又は分岐鎖状のC1-12アルキレン基が挙げられ、好ましくは直鎖又は分岐鎖状のC2-4アルキレン基(特に、エチレン基)である。
上記ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンとしては、直鎖状、分岐鎖状(一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、網目状等)の分子構造を有するものが挙げられる。なお、上記ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンは、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。分子構造が異なるヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンの2種以上を併用することができ、例えば、直鎖状のヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンと分岐鎖状のヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンとを併用することもできる。
上記ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンが有するケイ素原子に結合した基の中でも水素原子以外の基は、特に限定されないが、例えば、上述の1価の置換又は無置換炭化水素基、より詳しくは、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等が挙げられる。中でも、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。また、上記ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンは、水素原子以外のケイ素原子に結合した基として、アルケニル基(例えばビニル基)を有していてもよい。
上記ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンの性状は、特に限定されず、液状であってもよいし、固体状であってもよい。中でも液状であることが好ましく、25℃における粘度が0.1〜1000000000mPa・sの液状であることがより好ましい。
上記ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンとしては、下記平均単位式:
(R9SiO3/2c1(R9 2SiO2/2c2(R9 3SiO1/2c3(SiO4/2c4(ZO1/2c5
で表されるポリオルガノシロキサンが好ましい。上記平均単位式中、R9は、同一又は異なって、水素原子、又は、1価の置換若しくは無置換炭化水素基であり、水素原子、上述の具体例(例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基等)が挙げられる。但し、R9の一部は水素原子(ヒドロシリル基を構成する水素原子)であり、その割合は、ヒドロシリル基が分子内に1個以上(好ましくは2個以上)となる範囲に制御される。例えば、R9の全量(100モル%)に対する水素原子の割合は、0.1〜40モル%が好ましい。水素原子の割合を上記範囲に制御することにより、硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化性がより向上する傾向がある。また、水素原子以外のR9としては、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。
上記平均単位式中、Zは、上記と同じく、水素原子又はアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、特にメチル基であることが好ましい。
上記平均単位式中、c1は0又は正数、c2は0又は正数、c3は0又は正数、c4は0又は正数、c5は0又は正数であり、且つ、(c1+c2+c3)は正数である。
上記ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキシシルアルキレンは、上述のように、分子内に1個以上のヒドロシリル基を有し、主鎖としてシロキサン結合に加えて、シルアルキレン結合を含むポリオルガノシロキサンである。なお、上記シルアルキレン結合におけるアルキレン基としては、例えば、C2-4アルキレン基(特に、エチレン基)が好ましい。上記ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキシシルアルキレンは、上記ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンと比較して製造工程において低分子量の環を生じ難く、また、加熱等により分解してシラノール基(−SiOH)を生じ難いため、上記ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキシシルアルキレンを使用した場合、硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物の表面粘着性が低くなり、より黄変し難い傾向がある。
上記ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキシシルアルキレンとしては、直鎖状、分岐鎖状(一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、網目状等)の分子構造を有するものが挙げられる。なお、上記ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキシシルアルキレンは、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。分子構造が異なるヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキシシルアルキレンの2種以上を併用することができ、例えば、直鎖状のヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキシシルアルキレンと分岐鎖状のヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキシシルアルキレンとを併用することもできる。
上記ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキシシルアルキレンが有する水素原子以外のケイ素原子に結合した基は、特に限定されないが、例えば、1価の有機基等が挙げられる。1価の有機基としては、例えば、上述の1価の置換又は無置換炭化水素基等が挙げられる。中でも、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。
上記ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキシシルアルキレンの性状は、特に限定されず、液状であってもよいし、固体状であってもよい。
上記ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキシシルアルキレンとしては、下記平均単位式:
(R10 2SiO2/2d1(R10 3SiO1/2d2(R10SiO3/2d3(SiO4/2d4(RAd5(ZO1/2d6
で表されるポリオルガノシロキシシルアルキレンが好ましい。上記平均単位式中、R10は、同一又は異なって、水素原子、又は1価の置換若しくは無置換炭化水素基であり、水素原子及び上述の具体例(例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基等)が挙げられる。但し、R10の一部は水素原子であり、その割合は、分子内に1個以上(好ましくは2個以上)となる範囲に制御される。例えば、R10の全量(100モル%)に対する水素原子の割合は、0.1〜50モル%が好ましく、より好ましくは5〜35モル%である。水素原子の割合を上記範囲に制御することにより、硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化性がより向上する傾向がある。また、水素原子以外のR10としては、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。特に、R10の全量(100モル%)に対するアリール基(特にフェニル基)の割合は、5モル%以上(例えば、5〜80モル%)が好ましく、より好ましくは10モル%以上である。
上記平均単位式中、RAは、上述のようにアルキレン基である。特にエチレン基が好ましい。
上記平均単位式中、Zは、上記と同じく、水素原子又はアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、特にメチル基であることが好ましい。
上記平均単位式中、d1は正数、d2は正数、d3は0又は正数、d4は0又は正数、d5は正数、d6は0又は正数である。中でも、d1は1〜50が好ましく、d2は1〜50が好ましく、d3は0〜10が好ましく、d4は0〜5が好ましく、d5は1〜30が好ましい。
上記付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物におけるヒドロシリル基含有ポリシロキサンとしては、ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンのみを使用することもできるし、ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキシシルアルキレンのみを使用することもできるし、また、ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンとヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキシシルアルキレンとを併用することもできる。ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンとヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキシシルアルキレンとを併用する場合、これらの割合は特に限定されず、適宜設定可能である。
上記付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物中に存在するヒドロシリル基1モルに対して、アルケニル基が0.2〜4モルとなるような組成(配合組成)であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5モル、さらに好ましくは0.8〜1.2モルである。ヒドロシリル基とアルケニル基との割合を上記範囲に制御することにより、硬化物の耐熱性、透明性、耐熱衝撃性及び耐リフロー性、並びに腐食性ガス(例えば、SOxガス等)に対するバリア性がより向上する傾向がある。
上記付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物は、上述のように、金属硬化触媒を含んでいてもよい。金属硬化触媒としては、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒等の周知のヒドロシリル化反応用触媒が例示され、具体的には、白金微粉末、白金黒、白金担持シリカ微粉末、白金担持活性炭、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金のオレフィン錯体、白金−カルボニルビニルメチル錯体等の白金のカルボニル錯体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体や白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体等の白金ビニルメチルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−ホスファイト錯体等の白金系触媒、並びに上記白金系触媒において白金原子の代わりにパラジウム原子又はロジウム原子を含有するパラジウム系触媒又はロジウム系触媒が挙げられる。中でも、ヒドロシリル化触媒としては、白金ビニルメチルシロキサン錯体や白金−カルボニルビニルメチル錯体や塩化白金酸とアルコール、アルデヒドとの錯体が、反応速度が良好であるため好ましい。
なお、上記付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物において金属硬化触媒(ヒドロシリル化触媒)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物における金属硬化触媒(ヒドロシリル化触媒)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物に含まれるアルケニル基の全量1モルに対して、1×10-8〜1×10-2モルが好ましく、より好ましくは1.0×10-6〜1.0×10-3モルである。含有量を1×10-8モル以上とすることにより、より効率的に硬化物を形成させることができる傾向がある。一方、含有量を1×10-2モル以下とすることにより、より色相に優れた(着色の少ない)硬化物を得ることができる傾向がある。
上記付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物は、上記以外の成分を含んでいてもよい。
2−2.縮合反応硬化性シリコーン樹脂組成物
上記縮合反応硬化性シリコーン樹脂組成物としては、例えば、シリコーン樹脂(B)として分子内に2個以上のシラノール基(Si−OH)又はシルアルコキシ基(Si−OR)を有するポリシロキサン(B2)を含有し、さらに必要に応じて金属硬化触媒等を含む硬化性シリコーン樹脂組成物が挙げられる。なお、ポリシロキサン(B2)は、シラノール基とシルアルコキシ基のいずれか一方のみを有するものであってもよいし、シラノール基とシルアルコキシ基の両方を有するものであってもよい。シラノール基とシルアルコキシ基の両方を有する場合、これらの合計数が分子内に2個以上であればよい。
ポリシロキサン(B2)としては、例えば、下記平均組成式で表されるポリオルガノシロキサンが挙げられる。
11 eSi(OR12f(OH)g(4-e-f-g)/2
[上記平均組成式中、R11は、同一又は異なって、炭素数1〜20の1価の有機基を示す。R12は、同一又は異なって、炭素数1〜4の1価の有機基を示す。eは0.8〜1.5の数、fは0〜0.3の数、gは0〜0.5の数を示す。f+gは0.001以上1.2未満の数である。また、e+f+gは、0.801以上2未満の数である。]
上記平均組成式中のR11としての1価の有機基としては、例えば、1価の脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基等);1価の芳香族炭化水素基(例えば、アリール基等);1価の複素環式基;脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基の2以上が結合して形成された1価の基等が挙げられる。なお、これらの1価の有機基は置換基(例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子等の置換基)を有するものであってもよい。中でも、R11としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基が好ましい。また、上記平均組成式中のR12としての1価の有機基としては、例えば、置換基を有していてもよい1価の脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基等)等が挙げられる。中でも、R12としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基が好ましい。
上記縮合反応硬化性シリコーン樹脂組成物においてポリシロキサン(B2)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記縮合反応硬化性シリコーン樹脂組成物は、上述のように、金属硬化触媒を含んでいてもよい。このような金属硬化触媒としては、公知乃至慣用の縮合反応触媒が挙げられ、例えば、有機チタン酸エステル、有機チタンキレート化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、有機錫化合物、有機カルボン酸の金属塩、アミン化合物又はその塩、第四級アンモニウム塩、アルカリ金属の低級脂肪酸塩、ジアルキルヒドロキシルアミン、グアニジル基含有有機ケイ素化合物等が挙げられる。中でも、反応性の観点で、有機ジルコニウム化合物が好ましい。これらは1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。上記縮合反応硬化性シリコーン樹脂組成物における金属硬化触媒(縮合反応触媒)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、例えば、ポリシロキサン(B2)の全量100重量部に対して、0.01〜20重量部の範囲で適宜選択することができる。
上記縮合反応硬化性シリコーン樹脂組成物は、上記以外の成分を含んでいてもよい。
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物(例えば、上述の付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物、縮合反応硬化性シリコーン樹脂組成物等)は、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物が含んでいてもよい成分として例示したもの等が挙げられる。その含有量も特に限定されず、適宜選択することができる。例えば、本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物が光半導体封止用樹脂組成物である場合は、上述の蛍光体を含むことが好ましい。本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物における蛍光体の含有量(配合量)は、特に限定されず、硬化性シリコーン樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、0.5〜20重量%の範囲で適宜選択することができる。
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物は、特に限定されないが、例えば、上述の各成分を、必要に応じて加熱した状態で撹拌、混合することによって調製することができる。なお、本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物は、各成分の全てがあらかじめ混合されたものをそのまま使用する1液系の組成物であってもよいし、例えば、2以上に分割された成分を使用の直前で所定の割合で混合して使用する多液系(例えば、2液系)の組成物であってもよい。撹拌、混合の方法は、特に限定されず、例えば、ディゾルバー、ホモジナイザー等の各種ミキサー、ニーダー、ロール、ビーズミル、自公転式撹拌装置等の公知乃至慣用の撹拌、混合手段を使用できる。また、撹拌、混合後、減圧下又は真空下にて脱泡してもよい。また、本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物又はその構成成分としては、市販品をそのまま使用することも可能である。
3.硬化性アクリル樹脂組成物
上記硬化性アクリル樹脂組成物(「本発明の硬化性アクリル樹脂組成物」と称する場合がある)は、硬化性化合物としてアクリル樹脂(C)を必須成分として含む硬化性組成物である。本発明の硬化性アクリル樹脂組成物は、アクリル樹脂(C)以外の成分を含んでいてもよい。
アクリル樹脂(C)としては、例えば、(メタ)アクリロイル基(アクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群より選択される少なくとも1種の基)を分子内に1個以上有する化合物が挙げられる。アクリル樹脂(C)としては、(メタ)アクリロイル基を分子内に1個のみ有する(メタ)アクリロイル化合物;(メタ)アクリロイル基を分子内に2個以上有する多官能(メタ)アクリロイル化合物等が挙げられる。なお、上述の(メタ)アクリロイル基を分子内に1個のみ有する(メタ)アクリロイル化合物には、(メタ)アクリロイル基以外の重合性官能基を有しない単官能(メタ)アクリロイル化合物と、(メタ)アクリロイル基に加えて、さらにエポキシ基、オキセタニル基、ビニル基、ビニルオキシ基等のその他の重合性官能基を1個以上有する多官能(メタ)アクリロイル化合物とが含まれる。アクリル樹脂(C)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。なお、本発明の硬化性アクリル樹脂組成物におけるアクリル樹脂(C)の含有量は特に限定されず、適宜選択することが可能である。
本発明の硬化性アクリル樹脂組成物は、例えば、アクリル樹脂(C)の重合反応を進行させるための開始剤を含んでいてもよい。開始剤としては、熱重合開始剤等の公知乃至慣用の重合開始剤が挙げられる。これらは1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、開始剤の含有量は特に限定されず、適宜選択することが可能である。
本発明の硬化性アクリル樹脂組成物は、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物が含んでいてもよい成分として例示したもの等が挙げられる。その含有量も特に限定されず、適宜選択することができる。例えば、本発明の硬化性アクリル樹脂組成物が光半導体封止用樹脂組成物である場合は、上述の蛍光体を含むことが好ましい。本発明の硬化性アクリル樹脂組成物における蛍光体の含有量(配合量)は、特に限定されず、硬化性アクリル樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、0.5〜20重量%の範囲で適宜選択することができる。
本発明の硬化性アクリル樹脂組成物は、特に限定されないが、例えば、上述の各成分を、必要に応じて加熱した状態で撹拌、混合することによって調製することができる。なお、本発明の硬化性アクリル樹脂組成物は、各成分の全てがあらかじめ混合されたものをそのまま使用する1液系の組成物であってもよいし、例えば、2以上に分割された成分を使用の直前で所定の割合で混合して使用する多液系(例えば、2液系)の組成物であってもよい。撹拌、混合の方法は、特に限定されず、例えば、ディゾルバー、ホモジナイザー等の各種ミキサー、ニーダー、ロール、ビーズミル、自公転式撹拌装置等の公知乃至慣用の撹拌、混合手段を使用できる。また、撹拌、混合後、減圧下又は真空下にて脱泡してもよい。また、本発明の硬化性アクリル樹脂組成物又はその構成成分としては、市販品をそのまま使用することも可能である。
[硬化物及び凹凸形状]
本発明の反射防止材は、上記疎水性多孔質無機フィラーが上記樹脂組成物又は、その硬化物全体に行き渡って均一に分散しており、分散状態が安定した結果、硬化物の表面に存在する疎水性多孔質無機フィラーが凹凸形状を形成して、入射光を散乱させることにより反射防止機能を発揮する。また、疎水性多孔質無機フィラー表面の多孔質構造も入射光を散乱させることができ、さらに反射防止機能が向上する。
また、疎水性多孔質無機フィラーはその表面が疎水性を示すため、これを含む硬化物は煮沸水等の過酷な加熱条件でも劣化しにくい高い耐熱性、特に、耐熱水性を示し、耐久性に優れる。
上記疎水性多孔質無機フィラーを上記硬化物全体に行き渡らせる方法は、特に限定させず、例えば、硬化物を構成する樹脂組成物に疎水性多孔質無機フィラーを均一に分散させた後に硬化させる方法等が挙げられる。本発明の反射防止材を効率的に製造するためには、疎水性多孔質無機フィラーを均一に分散させた後に硬化させる方法が好ましい。
以下に、本発明の反射防止材の製造方法の一態様を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
樹脂組成物に疎水性多孔質無機フィラーを添加して、混合・撹拌することにより均一に分散させることができる。混合・撹拌の方法は、特に限定されず、例えば、ディゾルバー、ホモジナイザー等の各種ミキサー、ニーダー、ロール、ビーズミル、自公転式撹拌装置等の公知乃至慣用の撹拌、混合手段を使用できる。また、撹拌、混合後、減圧下又は真空下にて脱泡してもよい。
本発明の硬化前の樹脂組成物の性状は、特に限定されないが、液状であることが好ましい。本発明の反射防止材を形成する硬化前の樹脂組成物は、疎水性多孔質無機フィラーを用いることで少量の添加で反射防止機能を発現することができるため、トルエン等の溶剤を使用しなくとも液状になりやすく、好ましい。
[硬化工程]
疎水性多孔質無機フィラーが均一に分散した樹脂組成物を硬化させて硬化物(以下、「本発明の硬化物」と称する場合がある)とすることにより、本発明の反射防止材を得ることができる。
硬化前の樹脂組成物の全量(100重量%)に対する、硬化中に揮発する成分の量は、特に限定されないが、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは8重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下である。硬化中に揮発する成分の量が10重量%以下であることにより、硬化物の寸法安定性が高くなり、好ましい。本発明の硬化前の樹脂組成物は、疎水性多孔質無機フィラーを用いることで少量の添加で反射防止機能を発現することができるため、溶剤(トルエン等)の揮発成分を使用しなくとも液状になりやすく、硬化中に揮発する成分の量を少なくすることができる。
硬化の手段としては、加熱処理や光照射処理等の公知乃至慣用の手段を利用できる。加熱により硬化させる際の温度(硬化温度)は、特に限定されないが、45〜200℃が好ましく、より好ましくは50〜190℃、さらに好ましくは55〜180℃である。また、硬化の際に加熱する時間(硬化時間)は、特に限定されないが、30〜600分が好ましく、より好ましくは45〜540分、さらに好ましくは60〜480分である。硬化温度と硬化時間が上記範囲の下限値より低い場合は硬化が不十分となり、逆に上記範囲の上限値より高い場合は、樹脂成分の分解が起きる場合があるので、いずれも好ましくない。硬化条件は種々の条件に依存するが、例えば、硬化温度を高くした場合は硬化時間を短く、硬化温度を低くした場合は硬化時間を長くする等により、適宜調整することができる。また、硬化は、一段階で行うこともできるし、二段階以上の多段階で行うこともできる。
また、光照射により硬化させる場合は、例えば、i−線(365nm)、h−線(405nm)、g−線(436nm)等を含む光(放射線)を、照度10〜1200mW/cm2、照射光量20〜2500mJ/cm2で照射することにより本発明の反射防止材を得ることができる。放射線による硬化物の劣化を抑える観点と、生産性の観点から、好ましくは放射線の照射光量20〜600mJ/cm2、より好ましくは照射光量20〜300mJ/cm2が望ましい。照射には、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、メタルハライドランプ、レーザー光等を照射源として使用することができる。
[反射防止材]
本発明の反射防止材は、上述の通り、高い透明性と優れた反射防止機能に加え、高い耐熱性(特に、耐熱水性)を兼ね備えるため、光学材料用の(光学材料を形成する用途に用いられる)樹脂として好適に使用することができる。光学材料とは、光拡散性、光透過性、光反射性等の各種の光学的機能を発現する材料である。本発明の反射防止材を使用することで、本発明の硬化物(光学材料)を少なくとも含む光学部材が得られる。なお、当該光学部材は、本発明の反射防止材のみから構成されたものであってもよいし、本発明の反射防止材が一部のみに使用されたものであってもよい。光学部材としては、光拡散性、光透過性、光反射性等の各種の光学的機能を発現する部材や、上記光学的機能を利用した装置や機器を構成する部材等が挙げられ、特に限定されず、例えば、光半導体装置、有機EL装置、接着剤、電気絶縁材、積層板、コーティング、インク、塗料、シーラント、レジスト、複合材料、透明基材、透明シート、透明フィルム、光学素子、光学レンズ、光造形、電子ペーパー、タッチパネル、太陽電池基板、光導波路、導光板、ホログラフィックメモリ、光ピックアップセンサー等の各種用途において使用される公知乃至慣用の光学部材が例示される。
本発明の反射防止材は、疎水性多孔質無機フィラーが硬化物全体に行き渡って均一に分散する結果、その表面に疎水性多孔質無機フィラーにより形成された微細で均一な凹凸形状を有し、当該凹凸形状で入射光が散乱して全反射が起こらないので、光沢が抑えられて視認性を向上させることができる。本発明の反射防止材に形成された凹凸形状の算術平均表面粗さRaは、0.1〜1.0μmの範囲が好ましく、0.2〜0.8μmの範囲がより好ましい。凹凸形状の算術平均表面粗さRaがこの範囲にあれば、全光束を顕著に損なうことなく、十分な反射防止機能が発揮できる傾向がある。
なお、本発明において算術平均表面粗さRaは、JIS B 0601−2001により定義される数値であり、後述の実施例に記載の方法により測定、算出されたものを意味するものとする。
本発明の反射防止材を構成する樹脂組成物は、例えば、光半導体封止用樹脂組成物として好ましく使用できる。即ち、本発明の樹脂組成物は、光半導体装置における光半導体素子を封止するための組成物(光半導体装置における光半導体素子の封止材)として好ましく使用できる。本発明の樹脂組成物(光半導体封止用樹脂組成物)を用いて製造される反射防止材により光半導体素子が封止された光半導体装置(例えば、図1における104が本発明の反射防止材で構成された光半導体装置)が得られる。光半導体素子の封止は、例えば、疎水性多孔質無機フィラーが均一に分散した樹脂組成物を所定の成形型内に注入し、所定の条件で加熱硬化又は光硬化して行うことができる。硬化温度、硬化時間や光硬化の条件等は、上記反射防止材の調製時と同様の範囲で適宜設定することができる。上述の本発明の光半導体装置は、特に、全光束を低下させることなく、優れた反射防止機能を発揮することができると共に、高い耐熱性(特に、耐熱水性)を有する。なお、本明細書において「本発明の光半導体装置」とは、光半導体装置の構成部材(例えば、封止材、ダイボンディング材等)の少なくとも一部に本発明の反射防止材が使用された光半導体装置を意味する。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、表1、2に示す樹脂組成物を構成する成分の単位は、重量部である。
製造例1
硬化剤(商品名「リカシッドMH−700」、新日本理化(株)製)100重量部、硬化促進剤(商品名「U−CAT 18X」、サンアプロ(株)製)0.5重量部、及びエチレングリコール(和光純薬工業(株)製)1重量部を、自公転式撹拌装置(商品名「あわとり練太郎 AR−250」、(株)シンキー製、以下同じ)を用いて混合し、エポキシ硬化剤(K剤)を製造した。
実施例1
脂環式エポキシ化合物(商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製)100重量部、製造例1で得られたエポキシ硬化剤101.5重量部を自公転式撹拌装置を用いて混合し、脱泡して、硬化性エポキシ樹脂組成物を製造した。
上記で得られた硬化性エポキシ樹脂組成物100重量部、及び疎水性多孔質無機フィラー(商品名「サイロホービック702」、富士シリシア化学(株)製)20重量部を自公転式撹拌装置を用いて混合し、脱泡して得られた硬化性エポキシ樹脂組成物を図1に示す光半導体のリードフレーム(InGaN素子、3.5mm×2.8mm)に注型した後、150℃の樹脂硬化オーブンで5時間加熱することで、本発明の反射防止材により光半導体素子が封止された光半導体装置を製造した。なお、図1において、100はリフレクター、101は金属配線、102は光半導体素子、103はボンディングワイヤ、104は封止材(反射防止材)を示し、104の全体に渡り疎水性多孔質無機フィラーが均一に分散しており、そのうちの上部表面に存在する疎水性多孔質無機フィラーにより均一で微細な凹凸形状が形成されている(凹凸形状は図示略)。
実施例2〜13、比較例1〜13
硬化性エポキシ樹脂組成物、疎水性多孔質無機フィラー、多孔質無機フィラー(疎水化処理されていないもの)の組成を表1、2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、光半導体装置を製造した。
[評価]
上記で製造した光半導体装置について、下記の評価を行った。結果を表1、2のそれぞれに示す。
(1)耐熱水性試験(煮沸水中における耐熱性)
実施例、比較例で得られた光半導体装置を、沸騰した水に30分間浸漬した後、外観を目視で評価した。外観が試験前と同様な場合を○、白濁した場合を×とした。
(2)蛍光灯の映り込み
実施例、比較例で得られた光半導体装置の上面(図1の封止材104の上面)に点灯した蛍光灯を当てて反射を見た際に、反射防止材に映る蛍光灯の鮮明さを目視で3段階評価した。
蛍光灯の輪郭が認識できない場合を○、輪郭が不鮮明ながら認識できる場合を△、輪郭が鮮明に認識できる場合を×とした。
(3)算術平均表面粗さRa
実施例、比較例で得られた光半導体装置の上面(図1の封止材104の上面)を、レーザー顕微鏡(商品名「形状測定レーザマイクロスコープ VK−8710」、キーエンス社製)を用いて測定した。
(4)全光束
実施例、比較例で得られた各光半導体装置について、5V、20mAの条件で通電した際の全光束を、全光束測定機(商品名「マルチ分光放射測定システム OL771」、オプトロニックラボラトリーズ社製)を用いて測定した。
(5)総合判定
実施例、比較例で得られた各光半導体装置について、下記(a)〜(d)を全て満足する場合を○(良好である)、下記(a)〜(d)のいずれかを満足しない場合を×(不良である)と判定した。
(a)上記(1)において測定された耐熱水性が、○である。
(b)上記(2)において測定された蛍光灯の映り込みが、○又は△である。
(c)上記(3)において測定された算術平均表面粗さRaが0.10〜1.0μmである。
(d)上記(4)において測定された全光束が0.60lm以上である。
Figure 2018070300
Figure 2018070300
表1、2に示す反射防止材を構成する各成分について、以下に説明する。
(疎水性多孔質無機フィラー)
サイロホービック702:商品名「サイロホービック702」、富士シリシア化学(株)製、ポリジメチルシロキサンで疎水性表面処理された多孔質シリカフィラー、体積平均粒子径:4.1μm;疎水性表面処理される前の多孔質シリカフィラーの比表面積:350m2/g;吸油量:170mL/100g
サイロホービック4004:商品名「サイロホービック4004」、富士シリシア化学(株)製、ポリジメチルシロキサンで疎水性表面処理された多孔質シリカフィラー、体積平均粒子径:8.0μm;疎水性表面処理される前の多孔質シリカフィラーの比表面積:350m2/g;吸油量:165mL/100g
サイロホービック505:商品名「サイロホービック505」、富士シリシア化学(株)製、ポリジメチルシロキサンで疎水性表面処理された多孔質シリカフィラー、体積平均粒子径:3.9μm;疎水性表面処理される前の多孔質シリカフィラーの比表面積:500m2/g;吸油量:110mL/100g
(多孔質無機フィラー)
サイリシア430:商品名「サイリシア430」、富士シリシア化学(株)製、体積平均粒子径:4.1μm;比表面積:350m2/g;平均細孔径:17nm;細孔容積:1.25mL/g;吸油量:230mL/100g
サイロスフェアC−1504:商品名「サイロスフェアC−1504」、富士シリシア化学(株)製、体積平均粒子径:4.5μm;比表面積:520m2/g;平均細孔径:12nm;細孔容積:1.5mL/g;吸油量:290mL/100g
サンスフェアH−52:商品名「サンスフェアH−52」、AGCエスアイテック(株)製、体積平均粒子径:5μm;比表面積:700m2/g;平均細孔径:10nm;細孔容積:2mL/g;吸油量:300mL/100g
(エポキシ樹脂)
セロキサイド2021P:商品名「セロキサイド2021P」[3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート]、(株)ダイセル製
YD−128:商品名「YD−128」[ビスフェノールA型エポキシ樹脂]、新日鐡住金化学(株)製
TEPIC−VL:商品名「TEPIC−VL」[トリグリシジルイソシアヌレート]、日産化学工業(株)製
152:商品名「152」[フェノールノボラック型エポキシ樹脂]、三菱化学(株)製
YL7410:商品名「YL7410」[脂肪族エポキシ化合物]、三菱化学(株)製
X−22−169AS:商品名「X−22−169AS」[変性シリコーンオイル(両末端にシクロヘキセンオキシド基を有するポリジメチルシロキサン)]、信越化学工業(株)製
X−40−2670:商品名「X−40−2670」[シクロヘキセンオキシド基を有する環状シロキサン]、信越化学工業(株)製
(エポキシ硬化剤)
MH−700:商品名「リカシッドMH−700」[4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30]、新日本理化(株)製
U−CAT 18X:商品名「U−CAT 18X」[硬化促進剤]、サンアプロ(株)製
エチレングリコール:和光純薬工業(株)製
表1に示されるように、疎水性多孔質無機フィラーが添加された実施例に係る反射防止材を備える光半導体装置によると、耐熱水性試験はいずれも○、蛍光灯の映り込みはいずれも○又は△の評価、算術平均表面粗さRaが0.10〜1.0μm、全光束が0.60lm以上の範囲にあり、優れた反射防止機能と照度と、優れた耐熱性、特に、耐熱水性を兼ね備えることが確認された。
一方、表2に示されるように、疎水化処理されていない多孔質無機フィラーを配合した比較例の光半導体装置は、優れた反射防止機能と照度を示すものの、耐熱水性試験はいずれも×であり、耐熱水性に劣るものであった。
上記で説明した本発明のバリエーションを以下に付記する。
[1]疎水性多孔質無機フィラーが分散された樹脂組成物の硬化物からなる反射防止材であって、当該硬化物の表面に反射を抑える凹凸が形成されていることを特徴とする、反射防止材。
[2]前記疎水性多孔質無機フィラーが前記硬化物全体に渡って均一に分散しており、表面に反射を抑える凹凸を形成している、上記[1]に記載の反射防止材。
[3]疎水性多孔質無機フィラーを構成する多孔質無機フィラー(表面が疎水性処理される前の多孔質無機フィラー)が、無機ガラス[例えば、硼珪酸ガラス、硼珪酸ソーダガラス、珪酸ソーダガラス、アルミ珪酸ガラス、石英等]、シリカ、アルミナ、ジルコン酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、フォステライト、ステアタイト、スピネル、クレー、カオリン、ドロマイト、ヒドロキシアパタイト、ネフェリンサイナイト、クリストバライト、ウォラストナイト、珪藻土、及びタルクからなる群から選ばれる少なくとも一種の粉体であって多孔質構造を有するもの、又はこれらの成型体(例えば、球形化したビーズ等)である、上記[1]又は[2]に記載の反射防止材。
[4]前記疎水性多孔質無機フィラーが、前記多孔質無機フィラーに、金属酸化物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機酸、ポリオール、及び有機ケイ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の疎水性表面処理剤による表面処理が施されたものである、上記[3]に記載の反射防止材。
[5]前記疎水性表面処理剤が、有機ケイ素化合物である、上記[4]に記載の反射防止材。
[6]前記有機ケイ素化合物が、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ジメチルジクロロシラン、オクタメチルシクロテトラシラン、ポリジメチルシロキサン、ヘキサデシルシラン、メタクリルシラン、及びシルコーンオイルからなる群から選ばれる少なくとも1種(好ましくは、ポリジメチルシロキサン)である、上記[5]に記載の反射防止材。
[7]前記疎水性多孔質無機フィラーが、疎水性多孔質無機ガラス、及び疎水性多孔質シリカ(疎水性多孔質シリカフィラー)からなる群から選ばれる少なくとも1種(好ましくは、疎水性多孔質シリカフィラー)である、上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の反射防止材。
[8]前記疎水性多孔質シリカフィラーが、溶融シリカ、結晶シリカ、高純度合成シリカ、及びコロイド状シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の多孔質シリカが前記疎水性表面処理剤で処理されたものである、上記[7]に記載の反射防止材。
[9]前記疎水性多孔質無機フィラーの形状が、粉体、球状、破砕状、繊維状、針状、及び鱗片状からなる群から選ばれる少なくとも1種(好ましくは球状、又は破砕状)である、上記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の反射防止材。
[10]前記疎水性多孔質無機フィラーが、多孔質無機フィラーの表面が疎水性処理されたものであり、疎水性処理前の多孔質無機フィラーの比表面積が200m2/g以上(好ましくは200〜2000m2/g、より好ましくは200〜1500m2/g、さらに好ましくは200〜1000m2/g)である、上記[1]〜[9]のいずれか1つに記載の反射防止材。
[11]前記疎水性多孔質無機フィラーの平均粒子径が、1〜20μm(好ましくは2〜15μm)である、上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の反射防止材。
[12]前記疎水性多孔質無機フィラーの吸油量が、10〜2000mL/100g(好ましくは100〜1000mL/100g)である、上記[1]〜[11]のいずれか1つに記載の反射防止材。
[13]前記反射防止材全量(100重量%)に対する前記疎水性多孔質無機フィラーの含有量が、4〜40重量%(好ましくは4〜35重量%、より好ましくは4〜30重量%)である、上記[1]〜[12]のいずれか1つに記載の反射防止材。
[14]反射防止材を構成する樹脂組成物(100重量部)に対する前記疎水性多孔質無機フィラーの含有量(配合量)が、5〜80重量部(好ましくは5〜70重量部、より好ましくは5〜60重量部)である、上記[1]〜[13]のいずれか1つに記載の反射防止材。
[15]前記樹脂組成物が、透明な硬化性樹脂組成物からなる、上記[1]〜[14]のいずれか1つに記載の反射防止材。
[16]前記硬化性樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)、シリコーン樹脂(B)、及びアクリル樹脂(C)からなる群より選択される少なくとも1種の硬化性化合物を含む組成物からなる、上記[15]に記載の反射防止材。
[17]前記硬化性樹脂組成物が、エポキシ樹脂(A)を含む組成物(硬化性エポキシ樹脂組成物)からなる、上記[16]に記載の反射防止材。
[18]前記エポキシ樹脂(A)が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、分子内にエポキシ基を1個以上有するイソシアヌレート、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、及び分子内にエポキシ基を1個以上有するシロキサン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種(好ましくは、脂環式エポキシ化合物)である、上記[16]又は[17]に記載の反射防止材。
[19]前記脂環式エポキシ化合物が、分子内にシクロヘキセンオキシド基を有する化合物(好ましくは、分子内に2個以上のシクロヘキセンオキシド基を有する化合物)を含む、上記[18]に記載の反射防止材。
[20]前記脂環式エポキシ化合物が、下記式(1)で表される化合物を含む、上記[19]に記載の反射防止材。
Figure 2018070300
[式(1)中、Xは単結合又は連結基(1以上の原子を有する2価の基)を示す。式(1)における脂環を構成する炭素原子の1以上には、置換基(好ましくはアルキル基)が結合していてもよい。]
[21]前記式(1)で表される化合物が、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、及び下記式(1−1)〜(1−10)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の脂環式エポキシ化合物である、上記[20]に記載の反射防止材。
Figure 2018070300
Figure 2018070300
[式(1−5)、(1−7)中のl、mは、それぞれ1〜30の整数を表す。式(1−5)中のRは炭素数1〜8のアルキレン基である。下記式(1−9)、(1−10)中のn1〜n6は、それぞれ1〜30の整数を示す。]
[22]前記脂環式エポキシ化合物が、上記式(1−1)で表される化合物を含む、上記[21]に記載の反射防止材。
[23]前記エポキシ樹脂(A)の含有量(配合量)が、硬化性エポキシ樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、25〜99.8重量%(例えば、25〜95重量%)(好ましくは30〜90重量%、より好ましくは35〜85重量%、さらに好ましくは40〜60重量%)である、上記[17]〜[22]のいずれか1つに記載の反射防止材。
[24]前記脂環式エポキシ化合物の含有量(配合量)が、硬化性エポキシ樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、20〜99.8重量%(好ましくは40〜95重量%(例えば、40〜60重量%)、より好ましくは50〜95重量%、さらに好ましくは60〜90重量%、最も好ましくは70〜85重量%)である、上記[18]〜[23]のいずれか1つに記載の反射防止材。
[25]前記硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物の全量(100重量%)に対する脂環式エポキシ化合物の割合が、40〜100重量%(例えば、40〜90重量%)(好ましくは80〜100重量%、より好ましくは90〜100重量%、さらに好ましくは95〜100重量%)である、上記[18]〜[24]のいずれか1つに記載の反射防止材。
[26]前記硬化性エポキシ樹脂組成物が、さらに、硬化剤(D)及び硬化促進剤(E)、又は、硬化触媒(F)(好ましくは、硬化剤(D)及び硬化促進剤(E))を含む、上記[17]〜[25]のいずれか1つに記載の反射防止材。
[27]前記硬化剤(D)が、酸無水物類(酸無水物系硬化剤)、アミン類(アミン系硬化剤)、ポリアミド樹脂、イミダゾール類(イミダゾール系硬化剤)、ポリメルカプタン類(ポリメルカプタン系硬化剤)、フェノール類(フェノール系硬化剤)、ポリカルボン酸類、ジシアンジアミド類、及び有機酸ヒドラジドからなる群から選ばれる少なくとも1種(好ましくは、酸無水物系硬化剤)である、上記[26]に記載の反射防止材。
[28]前記酸無水物系硬化剤が、25℃で液状の酸無水物、又は25℃で固体状の酸無水物を25℃で液状の酸無水物に溶解させた液状の混合物である、上記[27]に記載の反射防止材。
[29]前記硬化剤(D)の含有量(配合量)が、硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物の全量100重量部に対して、50〜200重量部(好ましくは75〜150重量部、より好ましくは100〜120重量部)である、上記[26]〜[28]のいずれか1つに記載の反射防止材。
[30]前記硬化促進剤(E)の含有量(配合量)が、硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物の全量100重量部に対して、0.05〜5重量部(好ましくは0.1〜3重量部、より好ましくは0.2〜3重量部、さらに好ましくは0.25〜2.5重量部)である、上記[26]〜[29]のいずれか1つに記載の反射防止材。
[31]前記硬化性エポキシ樹脂組成物が、多価アルコール(好ましくは炭素数2〜4のアルキレングリコール)を含む、上記[17]〜[30]のいずれか1つに記載の反射防止材。
[32]前記多価アルコールの含有量(配合量)が、硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物の全量100重量部に対して、0.05〜5重量部(好ましくは0.1〜3重量部、より好ましくは0.2〜3重量部、さらに好ましくは0.25〜2.5重量部)である、上記[31]に記載の反射防止材。
[33]前記硬化性エポキシ樹脂組成物が、蛍光体を含む、上記[1]〜[32]のいずれか1つに記載の反射防止材。
[34]前記蛍光体の含有量(配合量)が、硬化性エポキシ樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、0.5〜20重量%である、上記[33]に記載の反射防止材。
[35]前記反射防止材に形成された凹凸形状の算術平均表面粗さRaが、0.1〜1.0μmの範囲(好ましくは、0.2〜0.8μmの範囲)にある、上記[1]〜[34]のいずれか1つに記載の反射防止材。
[36]光半導体封止用である、上記[1]〜[35]のいずれか1つに記載の反射防止材。
[37]上記[36]に記載の反射防止材により光半導体素子が封止された光半導体装置。
[38]上記[1]〜[36]のいずれか1つに記載の反射防止材の製造のために用いられることを特徴とする疎水性多孔質無機フィラーが分散された樹脂組成物。
[39]液状である、上記[38]に記載の樹脂組成物。
[40]前記樹脂組成物の全量(100重量%)に対する硬化中に揮発する成分の量が、10重量%以下である、上記[38]又は[39]に記載の樹脂組成物。
[41]上記[38]〜[40]のいずれか1つに記載の樹脂組成物を硬化させることを特徴とする、表面に反射を抑える凹凸が形成されている反射防止材の製造方法。
本発明の反射防止材は、高い透明性と優れた反射防止機能に加え、高い耐熱性、特に、耐熱水性を兼ね備えるため、光学材料用の(光学材料を形成する用途に用いられる)樹脂として好適に使用することができる。光学部材としては、光拡散性、光透過性、光反射性等の各種の光学的機能を発現する部材や、上記光学的機能を利用した装置や機器を構成する部材等が挙げられ、特に限定されず、例えば、光半導体装置、有機EL装置、接着剤、電気絶縁材、積層板、コーティング、インク、塗料、シーラント、レジスト、複合材料、透明基材、透明シート、透明フィルム、光学素子、光学レンズ、光造形、電子ペーパー、タッチパネル、太陽電池基板、光導波路、導光板、ホログラフィックメモリ、光ピックアップセンサー等の各種用途において使用される公知乃至慣用の光学部材が例示される。
100:リフレクター(光反射用樹脂組成物)
101:金属配線(電極)
102:光半導体素子
103:ボンディングワイヤ
104:封止材(反射防止材)

Claims (13)

  1. 疎水性多孔質無機フィラーが分散された樹脂組成物の硬化物からなる反射防止材であって、当該硬化物の表面に反射を抑える凹凸が形成されていることを特徴とする、反射防止材。
  2. 前記疎水性多孔質無機フィラーが前記硬化物全体に渡って均一に分散しており、表面に反射を抑える凹凸を形成している、請求項1に記載の反射防止材。
  3. 前記疎水性多孔質無機フィラーが、多孔質無機フィラーの表面が疎水性処理されたものであり、疎水性処理前の多孔質無機フィラーの比表面積が200m2/g以上である、請求項1又は2に記載の反射防止材。
  4. 前記疎水性多孔質無機フィラーの平均粒子径が1μm〜20μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止材。
  5. 反射防止材全量(100重量%)に対する前記疎水性多孔質無機フィラーの含有量は4〜40重量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の反射防止材。
  6. 前記樹脂組成物は、透明な硬化性樹脂組成物からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の反射防止材。
  7. 前記硬化性樹脂組成物はエポキシ樹脂を含む組成物からなる、請求項6に記載の反射防止材。
  8. 光半導体封止用である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の反射防止材。
  9. 請求項8に記載の反射防止材により光半導体素子が封止された光半導体装置。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の反射防止材の製造のために用いられることを特徴とする疎水性多孔質無機フィラーが分散された樹脂組成物。
  11. 液状である、請求項10に記載の樹脂組成物。
  12. 前記樹脂組成物の全量(100重量%)に対する硬化中に揮発する成分の量は、10重量%以下である、請求項10又は11に記載の樹脂組成物。
  13. 請求項10〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物を硬化させることを特徴とする、表面に反射を抑える凹凸が形成されている反射防止材の製造方法。
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