JP2009042628A - 防眩フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明基材フィルム上に最表面が凹凸形状を有する防眩層を設けてなる防眩フィルムであって、防眩層の凹凸層を形成するバインダー成分Cと架橋結合を形成し得る架橋性を有し、且つ、特定の平均粒径を有する反応性無機微粒子Bを、該凹凸層の透明基材フィルム側とは反対側界面の表層領域に偏在させることで、優れた防眩性と共に高いハードコート性を兼ね備えた防眩フィルムを得ることができる。
【選択図】図1
Description
この防眩フィルムには、大粒径又は凝集性の粒子を含む樹脂組成物を透明基材の表面に塗工することによって、表面に凹凸形状を有する防眩層を形成するタイプ、前記粒子を含まず、スピノーダル分解により、相分離構造を形成し、硬化性樹脂を硬化させることによって表面に凹凸形状を有する防眩層を形成するタイプ、あるいは層表面に凹凸をもったフィルムをラミネートして凹凸形状を転写することによって、表面に凹凸形状を有する防眩層を形成するタイプなどがある。
特許文献1及び2には、硬化層表面側に偏在させる中空シリカ(低屈折率粒子)として、空腔部の割合を大きくして屈折率をさらに低くするために、平均粒径が30nm以上のものを用いると記載されており、実施例では平均粒径が40nmのものが用いられている。また、中空シリカを硬化層表面側に偏在させるために、フッ素含有化合物で表面処理することで中空シリカの表面自由エネルギーを小さくする方法が採用されている。
ハードコート層と、反射防止層や防眩性層等のその他の機能層とを積層する場合、高い耐擦傷性を得るためには、ハードコート層と機能層との層間密着性を確保することが非常に重要であるが、充分な耐擦傷性を実現する層間密着性が得られにくいのが実情である。
化学式(1)
−Q1−C(=Q2)−NH−
(化学式(1)中、Q1は、NH、O(酸素原子)、またはS(硫黄原子)を示し、Q2はO又はSを示す。)
しかも、前記防眩層は、前記反応性無機微粒子と前記バインダー成分と特定の平均粒径を有する透光性微粒子を含有する硬化性樹脂組成物1種のワンコートによって、形成することが可能であるため、生産効率に優れると共に、ハードコート層と防眩層を、別途、組成物を用いて形成する場合と異なり、層間密着性の問題がない。
(1) 平均粒子径が1μm以上10μm以下の範囲にある透光性微粒子A、
(2) 平均粒子径が5nm以上30nm以下の範囲にあり、少なくとも表面の一部を有機成分で被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基bを表面に有する反応性無機微粒子B、及び
(3) 前記反応性無機微粒子Bの反応性官能基bとの架橋反応性を有する反応性官能基cを有するバインダー成分Cを含み、系内における硬化反応性も有する硬化性バインダー系、を含有する硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、
当該凹凸層の透明基材フィルムとは反対側の界面及びその近傍の表層領域に、当該表層領域よりも透明基材フィルム側の領域に比べて、当該凹凸層の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数が多いスキン層を有しており、当該スキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、当該凹凸層の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数の2倍以上であることを特徴とするものである。
まず、凹凸層3の厚さ方向断面において、透明基材フィルム側界面、該透明基材フィルムとは反対側の界面(空気側界面)、及び、凹凸層の厚さ方向に平行な2辺に囲まれた領域Sを切り取り、該領域Sの単位面積あたりの反応性無機微粒子Bの平均粒子数Aを、該凹凸層3全体の厚さ方向断面における単位面積当りの反応性無機微粒子Bの平均粒子数とする。
領域Sにおいて、空気側界面から一定の深さD1までの領域s1における単位面積当りの平均粒子数a1を測定すると、a1>A×2である。空気側界面からの深さDをD1よりも深くし、空気側界面から深さDまでの領域sにおける単位面積当りの平均粒子数aを測定していくと、単位面積当りの平均粒子数amが、am=A×2となる深さDmがある。そして、空気側界面からの深さがDmよりも深い、深さDm+1までの領域sm+1では、単位面積当りの平均粒子数am+1は、am+1<A×2となる。このとき、空気界面側から深さDmまでの領域smをスキン層と考えることができる。
また、凹凸層の厚み方向断面における単位面積当りの反応性無機微粒子Bの平均粒子数は、以下のようにして求めることができる。すなわち、凹凸層の深さ方向断面のSTEM写真等により、反応性無機微粒子の数をカウントし、カウントした粒子が存在する面積で除することによって単位面積あたりの密度を算出することができる。
しかも、本発明の防眩フィルムにおいては、凹凸層の表面から一定の深さまでに反応性無機微粒子Bが偏在しており(スキン層)、厚み方向断面における単位面積当りの反応性無機微粒子Bの平均粒子数は上記一定の深さを超えると急激に減少するものである。このように、反応性無機微粒子Bが偏在する領域(スキン層)の境界が明瞭となるように反応性無機微粒子Bを分布させることによって、凹凸層の表面から除々に反応性無機微粒子の密度が減少するような傾斜構造で偏在させる場合と比較して、効果的に凹凸層のハードコート性を高めることができる。
また、スキン層によるハードコート性向上効果を高めるためには、スキン層において反応性無機微粒子Bが密集していることが好ましい。ここで、反応性無機微粒子が密集しているとは、隣接する反応性無機微粒子B同士が互いに接触している状態である。このように、スキン層における反応性無機微粒子Bの偏在性を高めることで、凹凸層表面の硬度及び膜強度をさらに高めることができる。
さらに具体的には、スキン層の厚み方向断面における単位面積当りの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が800個/μm2以上であり、且つ、凹凸層全体の厚み方向断面における単位面積当りの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が500個/μm2以下であることが好ましい。防眩層のハードコート性の観点からは、特に、スキン層の厚み方向断面における単位面積当りの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が800個/μm2以上であり、且つ、凹凸層全体の厚み方向断面における単位面積当りの反応性無機微粒子Bの平均粒子数が400個/μm2以下であることが好ましい。
また、図1に示す防眩フィルムは、透明基材フィルム上に直接、防眩層が設けられているが、他の層を介して、透明基材フィルム上に防眩層を設けてもよい。また、防眩層は、防眩層の最表面を形成する凹凸形状を有していればよく、凹凸層のみからなる単一構造に限定されず、凹凸層と該凹凸層の観察者側に配置された表面形状調整層を含む2層以上からなる積層構造を有していてもよい。具体的な積層構造については、後述する。
なお、本明細書中において(メタ)アクリロイルはアクリロイル及びメタクリロイルを表し、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートを表し、(メタ)アクリルはアクリル及びメタクリルを表す。また、本願明細書中の光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
本発明に用いられる反応性官能基としては、特に、硬化膜の硬度を向上させる観点から、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合及びエポキシ基等が挙げられる。
透明基材フィルムの材質は、特に限定されないが、防眩フィルムに用いられる一般的な材料を用いることができ、例えば、セルロースアシレート、シクロオレフィンポリマー、アクリレート系ポリマー、又はポリエステルを主体とするものが挙げられる。ここで、「主体とする」とは、基材構成成分の中で最も含有割合が高い成分を示すものである。
シクロオレフィンポリマーとしては、例えば、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体樹脂等が挙げられ、より具体的には、日本ゼオン(株)製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト(株)製 スミライトFS-1700、JSR(株)製 アートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学(株)製 アペル(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製の Topas(環状オレフィン共重合体)、日立化成(株)製 オプトレッツOZ-1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。
ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
防眩層は本発明の防眩フィルムに必須の層であり、観察者側の表面に設けられる。防眩層は1層又は2層以上からなり、少なくとも凹凸層を有し、その最表面は凹凸形状を有する。
本発明にあっては、上記透明基材フィルム等の表面に、予め成形しておいた凹凸層を積層してもよい。
本発明の防眩層フィルムにおける凹凸層は、防眩性を付与するための透光性微粒子A、ハードコート性を付与するための反応性無機微粒子B、及び基材や隣接する層に対する密着性を付与するためのバインダー成分Cを必須成分とする、硬化性バインダー系の硬化後に凹凸層のマトリクスを形成する成分を含有し、更に必要に応じて、帯電防止剤、レベリング剤等の添加剤、屈折率調整、架橋収縮防止、高押し込み強度付与のための無機フィラー等を含有して形成される。
透光性微粒子Aは、表面の凹凸を形成し防眩性を付与するために、防眩層に含有させる微粒子である。透光性微粒子Aは、目的に応じ、1種類だけでなく、成分が異なるもの、形状が異なるもの、粒度分布が異なるものなどを2種類以上混合して用いることができる。好ましくは、1〜3種類用いるのがよく、特に1〜2種類用いるのがよい。但し、凹凸を形成する以外の目的のために、更に多種の粒子を用いることもできる。
平均粒子径が1μm未満の場合、防眩層の表面に充分な防眩性を発揮できるサイズの凹凸形状を付与することが困難であり、仮に凹凸形状を付与できるとしても、透光性微粒子Aの添加量を非常に多くしなければならないため、防眩層の膜物性が悪くなる。また、平均粒子径が10μmを超えるときは、防眩層の表面形状が粗くなり、面質を悪化させたり、表面へイズの上昇により白味が増してしまう恐れがある。
尚、透光性微粒子Aの平均粒子径とは、含有される各々の粒子が、単分散型の粒子(形状が単一な粒子)であれば、その平均粒子径を表し、ブロードな粒度分布を持つ不定形型の粒子であれば、粒度分布測定により、最も多く存在する粒子の粒径を平均粒子径として表している。上記微粒子の粒径は、主に、コールターカウンター法により計測できる。また、この方法以外に、レーザー回折法、SEM写真撮影による測定によっても計測できる。また、上記透光性微粒子Aは、凝集粒子であってもよく、凝集粒子である場合は、二次粒子径が上記範囲内であることが好ましい。
また、以下で詳述する防眩層形成用塗工液の粘度上昇を生じることなく上記不定形シリカの分散性を良好なものとするためには、粒子表面に有機物処理を施して疎水化した不定形シリカを使用することが好ましい。上記有機物処理には、ビーズ表面に化合物を化学的に結合させる方法や、ビーズ表面とは化学的に結合させることなく、ビーズを形成する組成物に存在するボイドなどに浸透させるような物理的な方法があり、どちらを使用してもよい。
必要機能に応じ、アルキル鎖の末端、乃至中間部位に、ヘテロ原子、不飽和結合基、環状結合基、芳香族官能基等を有するものを使用しても構わない。
これらの化合物は、含まれるアルキル基が疎水性を示すため、被処理材料表面を、親水性から疎水性に容易に変換することが可能となり、未処理では親和性の乏しい高分子材料とも、高い親和性を得ることができる。
0.25R1(好ましくは0.50R1)≦R2≦1.0R1(好ましくは0.75R1)(I)
を満たすものが好ましい。
R2が0.25R1以上であることにより、塗布液の分散が容易となり、粒子が凝集することがない。また、塗布後の乾燥工程においてフローティング時の風の影響を受けることなく、均一な凹凸形状を形成することができる。この関係は、第2の微粒子に対する第3の微粒子にも成り立つ。第3の微粒子をR3とすると、0.25R2≦R3≦1.0R2を満たすものが好ましい。
互いに異なる成分からなる2種類以上の微粒子を混合して用いる場合には、当該2種類以上の微粒子は、上記のように平均粒子径が異なることも好ましいが、同じ平均粒子径であるものも好適に用いられる。
0.08≦(M1+M2)/M≦0.36 (II)
0≦M2≦4.0M1 (III)
を満たすものが好ましい。
中でも、上記第2の微粒子の含有量は、上記第1の微粒子の含有量に対して、3〜100質量%であることが好ましい。また、3種類以上の微粒子を含む場合、第3の微粒子の含有量は、第2の微粒子の3〜100質量%であることが好ましい。第4の微粒子以降の粒子含有量も、この関係に従うのが好ましい。
無機微粒子をハードコート層に含有させることにより、ハードコート性を向上させることが一般になされている。また、架橋反応性を有する無機微粒子と、硬化性バインダーを架橋反応させ、架橋構造を形成することにより、ハードコート性を更に向上させることができる。反応性無機微粒子Bとは、コアとなる無機微粒子の少なくとも表面の一部に有機成分が被覆し、当該有機成分により導入された反応性官能基bを表面に有する無機微粒子のことである。反応性無機微粒子Bには、1粒子あたりコアとなる無機微粒子の数が2つ以上のものも含まれる。
ここで、反応性無機微粒子のコアとなる無機微粒子と、透光性微粒子が同じ材質からなる組み合わせとしては、具体的には、反応性無機微粒子Bのコア及び透光性微粒子Aとしてシリカを用いる組み合わせが挙げられる。
無機微粒子表面に有機成分を付着乃至結合させた態様においては、反応性無機微粒子Bを被覆している前記有機成分が、反応性無機微粒子B中に、被覆前の無機微粒子の単位面積当たり2.00×10-3g/m2以上含まれることが更に好ましく、3.50×10-3g/m2以上含まれることが特に好ましい。
ポリマー粒子中に無機微粒子を含有する態様においては、反応性無機微粒子Bを被覆している前記有機成分が、反応性無機微粒子B中に、被覆前の無機微粒子の単位面積当たり3.50×10-3g/m2以上含まれることが更に好ましく、5.50×10-3g/m2以上含まれることが特に好ましい。
なお、単位面積当りの有機成分量は、以下の方法により求めたものである。まず、示差熱重量分析TG−DTAにより、有機成分重量/無機成分重量を測定する。次に、重量と用いた無機微粒子の比重から無機成分全体の体積を計算する。また、被覆前の無機微粒子が真球状であると仮定し、被覆前の無機微粒子の平均粒径から被覆前の無機微粒子1個当りの体積を計算する。無機成分全体の体積と被覆前の無機微粒子B1個当たりの体積から、被覆前の無機微粒子の個数を求める。次に、反応性無機微粒子B1個当りの有機成分重量を、被覆前の無機微粒子1個当りの表面積で割ることにより、被覆前の無機微粒子の単位面積当たりの有機成分量を求めることができる。
上記範囲の平均粒径を有する小粒径の反応性無機微粒子Bは、その比表面積が大きいため、硬化性樹脂組成物中において、バインダー成分との相溶性に基づく作用により、相分離しようとする力が大きくなる。その結果、透明基材フィルム上に塗布された硬化性樹脂組成物において、該反応性無機微粒子Bの一部は自然と空気界面側へと拡散し、偏在することとなる。
また、透明性を損なうことなく、樹脂のみを用いて形成した場合の凹凸層の復元率を維持しつつ、硬度を著しく向上させる点から、反応性無機微粒子Bは粒径分布が狭く、単分散であることが好ましい。
尚、ここでの平均粒子径は、反応性無機微粒子Bを用いて作製した防眩フィルムの断面TEM写真による観察を行い、反応性無機微粒子Bの粒径を測定してその平均値を算出する他、反応性無機微粒子Bを溶剤分散ゾルとし、該ゾルにおける50%平均粒子径を、例えば、日機装(株)社製Nanotracまたは粒度分析計を用いて求めることができる。
中でも、本発明においては、被覆している有機成分が反応性無機微粒子B中に、被覆前の無機微粒子の単位面積当たり1.00×10-3g/m2以上含まれることが可能で、無機微粒子同士の凝集を抑制し、膜の硬度を向上させる点から、以下の(i)の無機微粒子のいずれかを適宜選択して用いることが好ましい。
(i)飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β−ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中に無機微粒子を分散させることにより得られる、表面に反応性官能基bを有する無機微粒子。
(ii)当該無機微粒子に導入したい反応性官能基b、下記化学式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物と、金属酸化物微粒子とを結合することにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
化学式(1)
−Q1−C(=Q2)−NH−
(化学式(1)中、Q1は、NH、O(酸素原子)、またはS(硫黄原子)を示し、Q2はO又はSを示す。)
(i)飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β−ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中に無機微粒子を分散させることにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
上記(i)の反応性無機微粒子Bを用いる場合には、有機成分含量が少なくても膜強度を向上できるというメリットがある。
例えば、疎水性分子残基としては、不活性化又は反発作用をもたらす、アルキル、アリール、アルカリル、アラルキル又はフッ素含有アルキル基等が挙げられる。親水性基としてはヒドロキシ基、アルコキシ基又はポリエステル基等が挙げられる。
上記表面修飾化合物の上記分子残基中に、上記バインダー成分Cと反応できる反応性官能基bが含まれる場合には、上記表面修飾化合物中に含まれる第1の官能基を無機微粒子表面に反応させることによって、上記(i)の反応性無機微粒子Bの表面に上記バインダー成分Cと反応できる反応性官能基bを導入することが可能である。例えば、第1の官能基のほかに、更に重合性不飽和基を有する表面修飾化合物が、好適なものとして挙げられる。
上記(i)の反応性無機微粒子Bに用いられる上記表面修飾化合物は、表面修飾のための反応条件下で好ましくは液体であり、分散媒中で溶解性又は少なくとも乳化可能であるのが好ましい。中でも分散媒中で溶解し、分散媒中で離散した分子又は分子イオンとして一様に分布して存在することが好ましい。
アミノ酸の例としては、β−アラニン、グリシン、バリン、アミノカプロン酸、ロイシン及びイソロイシンが挙げられる。
用いられるシランとしては特に限定されないが、例えば、CH2=CHSi(OOCCH3)3、CH2=CHSiCl3、CH2=CH−Si(OC2H5)3、CH2=CHSi(OC2H5)3、CH2=CH−Si(OC2H4OCH3)3、CH2=CH−CH2−Si(OC2H5)3、CH2=CH−CH2−Si(OC2H5)3、CH2=CH−CH2−Si(OOCCH3)3、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)、γ−グリシジルオキシプロピルジメチルクロロシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTS)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、N−(2−アミノエチル)−3アミノプロピルトリメトキシシラン、N−[N'−(2'−アミノエチル)−2−アミノエチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、ビス−(ヒドロキシエチル)−3−アミ之プロピルトリエトキシシラン、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン及び3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
分散媒は、蒸留(任意に減圧下)により容易に除去できる沸点を有することが好ましく、沸点が200℃以下、特に150℃以下の溶媒が好ましい。
この場合の機械粉砕は一般的にミル、ニーダー(混練機)、シリンダーミル又は例えば高速度分散機で行われる。機械粉砕に適する粉砕機械は、ホモジナイザー、ターボ撹拌機、離れた粉砕工具を有するミル(ボールミル、ロッドミル、ドラムミル、コーンミル、チューブミル、自生粉砕ミル、遊星ミル、振動ミル及び撹拌機ミル)、ヘビーローラーニーダー、コロイドミル及びシリンダーミルである。中でも特に好ましいミルは、運動撹拌機と粉砕手段としての粉砕ボールを有する撹拌ボールミルである。
粉砕及びホモジナイジングを有する粉砕は好ましくは室温で行われる。所要時間は混合の種類と用いられる粉砕機により適宜調製する。
化学式(1)
−Q1−C(=Q2)−NH−
(化学式(1)中、Q1は、NH、O(酸素原子)、またはS(硫黄原子)を示し、Q2はO又はSを示す。)
上記(ii)の反応性無機微粒子Bを用いる場合には、有機成分量アップの点から分散性、および膜強度がより高まるというメリットがある。
上記反応性官能基修飾加水分解性シランにおいて、当該無機微粒子に導入したい反応性官能基bは、上記バインダー成分Cと反応可能なように適宜選択すれば特に限定されない。上述したような重合性不飽和基を導入するのに適している。
[(RaO)mRb 3-mSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
また、Rdは2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。例えば、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合、さらには前記化学式(1)に示す基を含むこともできる。
Y’は反応性官能基を有する1価の有機基を示す。上述のような反応性官能基そのものであっても良い。例えば反応性官能基bを重合性不飽和基から選択する場合、(メタ)アクリロイル(オキシ)基、ビニル(オキシ)基、プロペニル(オキシ)基、ブタジエニル(オキシ)基、スチリル(オキシ)基、エチニル(オキシ)基、シンナモイル(オキシ)基、マレエート基、(メタ)アクリルアミド基等を挙げることができる。また、nは好ましくは1〜20の正の整数であり、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5である。
また、ポリイソシアネ−ト化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネア−ト)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を好適に用いることができる。
また、活性水素含有重合性不飽和化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパンジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスルト−ルペンタ(メタ)アクリレ−ト等を挙げることができる。また、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレ−ト等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物を用いることができる。
表面を含フッ素表面処理剤により表面処理した反応性無機微粒子Bは、凹凸層用組成物におけるなじみがさらに低下するため、相分離を生じやすく、偏在しやすい。しかしながら、本発明においては、反応性無機微粒子Bの平均粒径を30nm以下とすることによって、該反応性無機微粒子Bの偏在が充分に促進されているため、特許文献1や特許文献2のように含フッ素表面処理剤による表面処理を施さなくても、充分なハードコート性を発現する程度に反応性無機微粒子Bが凹凸層の空気界面側表層に偏在した凹凸層を形成することが可能である。
反応性無機微粒子Bがフッ素を含有しないことは、以下のようにして確認できる。すなわち、反応性無機微粒子Bを用いて作製した防眩フィルムを斜め切削し、TOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析装置、例えばアルバック・ファイ社製)を用いて、反応性無機微粒子Bに含まれる成分を検出することで確認することができる。反応性無機微粒子Bがフッ素を含まなければフッ素原子は検出されない。
また、凹凸層において、反応性無機微粒子Bの含有量は、凹凸層の全固形分(反応性無機微粒子Bと硬化性バインダー系の構成成分の合計量)に対して、5〜30重量%であることが好ましく、特に、5〜20重量%であることが好ましい。5重量%以上とすることで、防眩層表面の硬度を充分に向上させることができ、30重量%以下とすることで、反応性無機微粒子Bの充填率増加による膜強度の低下を防止することができる。
本明細書において、硬化性バインダー系の構成成分とは、バインダー成分Cの他に、必要に応じて、バインダー成分C以外の硬化性バインダー成分、ポリマー成分、重合開始剤等の硬化後に後述する凹凸層のマトリクス成分となるものを表す。
〔バインダー成分C〕
凹凸層を形成するバインダー成分Cは、反応性無機微粒子Bの反応性官能基bと架橋反応性を有する反応性官能基cを有しており、該反応性官能基bと該反応性官能基cが架橋結合し、網目構造が形成される。該バインダー成分Cは、充分な架橋性を得るために、反応性官能基cを3つ以上有することが好ましい。反応性官能基cとしては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合及びエポキシ基等が挙げられる。
より具体的には、(メタ)アクリレート系オリゴマー又はプレポリマーとしては、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アルリル酸エステルから成るオリゴマー又はプレポリマーが挙げられる。
また、(メタ)アクリレート系単量体としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレート系化合物以外の例としては、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能又は多官能単量体、或いはビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、芳香族ビニルエーテル、脂肪族ビニルエーテル等のオリゴマー又はプレポリマー等のカチオン重合性官能基を有する化合物が挙げられる。
光重合開始剤の具体例としては、ラジカル重合性官能基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、ベンゾイン類、ベンゾインメチルエーテル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、アシルホスフィンオキシド類、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、等が挙げられ、これらを単独で、又は混合して用いる。1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンは、例えば商品名イルガキュア184(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)として入手可能である。また、α-アミノアルキルフェノン類としては、例えば商品名イルガキュア907、369として入手可能である。
カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。
また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性組成物100重量部に対し、0.1〜10重量部である。
本発明の防眩フィルムの実施形態として、バインダー成分Cを含む硬化性バインダー系として光硬化性バインダー系を用い、凹凸層が、透明基材フィルムの観察者側の表面に、当該光硬化性バインダー系に透光性微粒子A、及び反応性無機微粒子Bを添加した凹凸層用硬化性樹脂組成物を塗工して凹凸層を形成する方法によって形成された防眩フィルムを挙げることができる。
凹凸層は、透光性微粒子A、反応性無機微粒子B及び光硬化性バインダー系の構成成分を適切な溶剤に混合して得た凹凸層用硬化性樹脂組成物(以下、凹凸層用組成物ということがある)を、透明基材フィルムに塗布することにより形成することができる。このとき、透光性微粒子Aは、好ましくは、第1の微粒子と第2の微粒子からなるか、第1の微粒子と第2の微粒子と第3の微粒子からなるのがよい。
凹凸層用硬化性樹脂組成物は、一般的な調製法に従って、上記成分を混合し分散処理することにより調製される。混合分散には、ペイントシェーカー又はビーズミル等を用いることができる。透光性微粒子A及び反応性無機微粒子Bが溶剤中に分散された状態で得られる場合には、その分散状態のまま、前記硬化性バインダー系、溶剤を含むその他の成分を適宜加え、混合し分散処理することにより調製される。
溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロルエタン等のハロゲン化炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素またはこれらの混合物が挙げられる。
紫外線源の具体例としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が挙げられる。紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、または直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
尚、ゲル分率は、例えば、該組成物が紫外線硬化性樹脂の場合には、以下の方法により求めることができる。まず、サンプルとして、凹凸層用組成物の成分のうち、モノマー、オリゴマー、ポリマー、その他添加剤など、透光性微粒子A及び反応性無機微粒子Bを含む粒子以外の成分を含むインキを作製し、厚さ50μmPET基材上に、5μmの膜厚に塗工し、10〜100mJの範囲で10mJ間隔でUV照射条件を変えて照射したサンプルを各々作製する。次に、当該サンプルを10cm角に切り、n数を三点取り、重さXを測定する。次に、モノマーが溶解すると考えられる溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、トルエン、及びその混合溶媒など。アクリレート系組成物の場合、代表的にはアセトン、メチルエチルケトン。)に12時間以上浸漬し、溶剤から各サンプルを取り出して、オーブンで十分乾燥(60℃×2分)し、乾燥したサンプルの重さBを測定する。次に、溶剤に浸漬前の重さXと、乾燥したサンプルYとの差をとり、この値をZとする。最後に、下記式を用いて各照射量毎のゲル分率(%)を算出する。
「ゲル分率(%)」=100−Z/X
(耐スチールウール試験)
防眩層表面を、#0000番のスチールウールで、300g/cm2の荷重をかけながら、速度50mm/secで10往復摩擦させる。往復摩擦を行うストローク幅は、5〜15cmとすることが好ましい。
本発明による防眩フィルムは、上記したように透明基材フィルム、防眩層により基本的には構成されてなる。しかしながら、防眩フィルムとしての機能または用途を加味して、本発明に係る防眩層の他に、更に下記のような一又は二以上の層を含有していてもよい。また更に、中屈折率層や高屈折率層を含んで形成しても良い。
表面形状調整層には、更に帯電防止剤、屈折率調整剤、防汚染剤、撥水剤、撥油剤、指紋付着防止剤、高硬化剤および硬度調整剤を含有していても良い。
<表面形状調整層>
本発明にあっては、防眩層表面の凹凸形状を調整するために、凹凸層の上に表面形状調整層を形成しても良い。表面形状調整層は、凹凸層の表面粗さにおいて凹凸スケール(凹凸の山高さと山間隔)の1/10以下のスケールで凹凸形状に沿って存在している微細な凹凸を埋めて、スムージングを掛けて凹凸表面を滑らかにしたり、あるいは、凹凸の山間隔や山高さ、山の頻度(個数)の調整をする。また、表面形状調整層に、帯電防止、屈折率調整、高硬度化、防汚染性等の機能をさらに付与してもよい。
表面調整層の膜厚(硬化時)は0.6μm以上15μm以下であることが好ましく、より好ましくは下限が3μm以上であり上限が8μm以下である。なお、表面調整層の厚みは、防眩層の層厚の測定方法と同様にレーザー顕微鏡観察、SEM又はTEM観察により測定することができる。
電離放射線硬化型樹脂の具体例としては、凹凸層で述べた樹脂を挙げることができる。また、必要に応じて電離放射線硬化型樹脂に混合して使用することができる光重合開始剤、光重合促進剤、光増感剤、溶剤乾燥型樹脂等も、凹凸層で述べたものをそれぞれ使用することができる。
表面形状調整層は、上記各成分を溶剤に分散及び/又は溶解してなる表面形状調整層用組成物を塗布し、乾燥と紫外線硬化を行うことにより形成することができる。表面形状調整層用組成物を塗布する方法としては、ロールコート法、ミヤバーコート法、グラビアコート法等の塗布方法が挙げられる。
紫外線硬化における紫外線源の具体例としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が挙げられる。紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、または直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
低屈折率層は、外部からの光(例えば蛍光灯、自然光等)が光学積層体の表面にて反射する際、多層膜での光の干渉効果によってその反射率を低くするという役割を果たす層である。本発明の好ましい態様によれば、単層からなる防眩層、つまり凹凸層の上か、または、二層以上からなる防眩層、表面形状調整層の表面に低屈折率層を形成したものが好ましい。低屈折率層は、その屈折率が該層の下の層のそれより低いものである。
本発明の好ましい態様によれば、低屈折率層に隣接する凹凸層又は表面形状調整層の屈折率が1.5以上であり、低屈折率層の屈折率が1.45以下であり、好ましくは1.42以下で構成されてなるものが好ましい。
上記フッ素系樹脂としては、少なくとも分子中にフッ素原子を含む重合性化合物又はその重合体を用いることができる。重合性化合物は、特に限定されないが、例えば、電離放射線で硬化する官能基、熱硬化する極性基等の硬化反応性の基を有するものが好ましい。
また、これらの反応性の基を同時に併せ持つ化合物でもよい。この重合性化合物に対し、重合体とは、上記のような反応性基などを一切もたないものである。
電離放射線硬化性基と熱硬化性極性基とを併せ持つ重合性化合物としては、アクリル又はメタクリル酸の部分及び完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類、完全又は部分フッ素化ビニルエステル類、完全または部分フッ素化ビニルケトン類等を例示することができる。
低屈折率層の形成に当たっては、必要に応じて適宜な溶剤を用い、粘度を、樹脂組成物として好ましい塗布性が得られる0.5〜5cps(25℃)、好ましくは0.7〜3cps(25℃)の範囲のものとすることが好ましい。粘度を適切に調節することによって可視光線の優れた反射防止膜を実現でき、かつ、均一で塗布ムラのない薄膜を形成することができ、かつ基材に対する密着性に特に優れた低屈折率層を形成することができる。
<防汚層>
本発明の好ましい態様によれば、低屈折率層の最表面の汚れ防止を目的として防汚層を設けてもよく、好ましくは低屈折率層が形成された基材フィルムの一方の面と反対の面側に防汚層が設けられてなるものが好ましい。防汚層は、防眩フィルムに対して防汚性と耐擦傷性のさらなる改善を図ることが可能となる。
上記各層は、更に別の機能を有していてもよく、例えば、帯電防止剤、屈折率調整剤、防汚染剤、硬度調整剤等の機能付加成分を含んでなる組成物により形成されてもよい。機能付加成分は、上記各層のうち、特に表面形状調整層に含有させることが好ましい。
〔帯電防止剤(導電剤)〕
上記各層、特に表面形状調整層中に、帯電防止剤を含有させることにより、光学積層体の表面における塵埃付着を有効に防止することができる。帯電防止剤の具体例としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、または金属キレート部を有し、かつ、電離放射線により重合可能なモノマーまたはオリゴマー、或いは官能基を有するカップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。
上記帯電防止剤は、上記バインダー樹脂量(溶剤を除く)に対する添加が5〜250質量%であることが好ましい。より好ましくは、上記添加量の上限が100以下であり、下限が7以上である。添加量を上記数値範囲に調整することにより、光学積層体としての透明性を保ち、また、防眩性等の性質に悪影響を与えることなく、帯電防止性能を付与することができる点で好ましい。
帯電防止層の形成の具体例としては、防眩層の各層の上面に導電性金属もしくは導電性金属酸化物等を蒸着またはスパッタリングすることにより蒸着膜を形成する方法または樹脂中に導電性微粒子を分散した樹脂組成物を塗布するにより塗膜を形成する方法が挙げられる。
防眩層に、屈折率調整剤を添加することにより、防眩層表面の反射防止特性を調整することが可能となる。屈折率調整剤には、低屈折率剤、中屈折率剤、高屈折率剤等が挙げられる。
(1)低屈折率剤
低屈折率剤は、その屈折率が防眩層より低いものである。本発明の好ましい態様によれば、防眩層の屈折率が1.5以上であり、低屈折率剤の屈折率が1.5未満であり、好ましくは1.45以下で構成されてなるものが好ましい。
具体的には、低屈折率層の説明において挙げた低屈折率剤を好ましく用いることができる。低屈折率剤を含有させた表面形状調整層の膜厚は、1μmよりも厚い方が好ましい。これは、この層が最外層となるため、耐擦傷性や硬度が必要であるからである。
反射防止性をさらに向上させるために、高屈折率剤、中屈折率剤を表面形状調整層に含有させてもよい。高屈折率剤、中屈折率剤の屈折率は1.46〜2.00の範囲内で設定されてよく、中屈折率剤は、その屈折率が1.46〜1.80の範囲内のものを意味し、高屈折率剤は、その屈折率が1.65〜2.00の範囲内のものを意味する。
これら高屈折率剤/中屈折率剤としては、微粒子が挙げられ、その具体例(かっこ内は屈折率を示す)としては、酸化亜鉛(1.90)、チタニア(2.3〜2.7)、セリア(1.95)、スズドープ酸化インジウム(1.95)、アンチモンドープ酸化スズ(1.80)、イットリア(1.87)、ジルコニア(2.0)が挙げられる。
防眩層は、レベリング剤を添加することができる。レベリング剤の好ましいものとしては、フッ素系またはシリコーン系等のレベリング剤が挙げられる。レベリング剤を添加した凹凸層用樹脂組成物は、塗布または乾燥時に塗膜表面に対して塗工適性を向上させ、滑り性や防汚性が付与でき、かつ、耐擦傷性の効果を付与することを可能とする。
防眩層には防汚染剤を含有させることができる。防汚染剤は、光学積層体の最表面の汚れ防止を主目的とし、さらに光学積層体の耐擦傷性を付与することが可能となる。防汚染剤の具体例としては、撥水性、撥油性、指紋拭き取り性を発現するような添加剤が有効である。より具体例としては、フッ素系化合物、ケイ素系化合物、またはこれらの混合化合物が挙げられる。より具体的には、2−パーフロロオクチルエチルトリアミノシラン等のフロロアルキル基を有するシランカップリング剤等が挙げられ、特に、アミノ基を有するものが好ましくは使用することができる。
防眩層は、耐擦傷性の効果を付与することを目的として、硬度調整剤(高硬化剤)を添加することができる。硬度調整剤の具体例としては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートプレポリマー、或いは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーを単独で或いはこれらの中から2種以上選択して組み合わせて配合した電離放射線硬化性樹脂を挙げることができる。
(1)表面吸着イオン除去
粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(スノーテックスXS、商品名、日産化学工業(株)製、pH9〜10)を陽イオン交換樹脂(ダイヤイオンSK1B、三菱化学(株)製)400gを用いて3時間イオン交換を行い、次いで、陰イオン交換樹脂(ダイヤイオンSA20A、三菱化学(株)製)200gを用いて3時間イオン交換を行った後、洗浄し固形分濃度20重量%のシリカ微粒子の水分散体を得た。
この時、シリカ微粒子の水分散体のNa2O含有量は、シリカ微粒子当たり各7ppmであった。
(2)表面処理(単官能モノマーの導入)
上記(1)の処理を行ったシリカ微粒子の水分散液10gに150mlのイソプロパノール、4.0gの3,6,9−トリオキサデカン酸、及び4.0gのメタクリル酸を加え、30分間撹拌し混合した。
得られた混合液を、60℃で5時間加熱しながら撹拌する事で、シリカ微粒子表面にメタクリロイル基が導入されたシリカ微粒子分散液を得た。得られたシリカ微粒子分散液を、ロータリーエバポレーターを用いて蒸留水、及びイソプロパノールを留去させ、乾固させないようにメチルエチルケトンを加えながら、最終的に残留する水やイソプロパノールを0.1重量%とし、固形分50重量%のシリカ分散メチルエチルケトン溶液を得た。
このようにして得られたシリカ微粒子(反応性無機微粒子B(1−1))は、日機装(株)社製Nanotrac粒度分析計により測定した結果、d50=5nmの平均粒子径を有していた。また、シリカ微粒子表面を被覆する有機成分量は、熱重量分析法により測定した結果4.68×10−3g/m2であった。また、得られた反応性無機微粒子B(1−1)の比重は、2.1だった。
(1)表面吸着イオン除去
粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(スノーテックスS、商品名、日産化学工業(株)製、pH9〜10)を用いて、製造例1−1と同様に、表面吸着イオンを除去したシリカ微粒子の水分散液を得た。
(2)表面処理(多官能モノマーの導入)
製造例1−1と同様の手法で表面処理を行った。
このようにして得られた反応性無機微粒子B(1−2)は、上記粒度分析計により測定した結果、d50=10nmの平均粒子径を有していた。また、シリカ微粒子表面を被覆する有機成分量は熱重量分析法により測定した結果、3.84×10−3g/m2であった。また、得られた反応性無機微粒子B(1−2)の比重は、2.1だった。
(1)表面吸着イオン除去
粒子径30nmの水分散コロイダルシリカ(スノーテックス50、商品名、日産化学工業(株)製、pH9〜10)を用いて、製造例1−1と同様に、表面吸着イオンを除去したシリカ微粒子の水分散液を得た。
(2)表面処理(多官能モノマーの導入)
製造例1−1と同様の手法で表面処理を行った。
このようにして得られた反応性無機微粒子B(1−3)は、上記粒度分析計により測定した結果、d50=30nmの平均粒子径を有していた。また、シリカ微粒子表面を被覆する有機成分量は熱重量分析法により測定した結果、2.73×10−3g/m2であった。また、得られた反応性無機微粒子(1−3)Bの比重は、2.1だった。
(1)表面吸着イオン除去
粒子径80nmの水分散コロイダルシリカ(スノーテックスZL、商品名、日産化学工業(株)製、pH9〜10)を用いて、製造例1−1と同様に、表面吸着イオンを除去したシリカ微粒子の水分散液を得た。
(2)表面処理(多官能モノマーの導入)
製造例1−1と同様の手法で表面処理を行った。
このようにして得られた反応性無機微粒子(1−4)は、上記粒度分析計により測定した結果、d50=80nmの平均粒子径を有していた。また、シリカ微粒子表面を被覆する有機成分量は熱重量分析法により測定した結果、2.15×10−3g/m2であった。また、得られた反応性無機微粒子(1−4)の比重は、2.1だった。
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン7.8重量部、ジブチルスズジラウレート0.2重量部からなる溶液に対し、イソフォロンジイソシアネート20.6重量部を撹拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間撹拌した。これにペンタエリスリトールトリアクリレート71.4重量部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間加熱撹拌することで化合物(1)を得た。
窒素気流下、粒子径20nmのメタノールシリカゾル(触媒化成工業(株)製、商品名、OSCALシリーズ)88.5重量部(固形分26.6重量部)、上記で合成した化合物(1)8.5重量部、p−メトキシフェノール0.01重量部の混合液を、60℃、4時間撹拌した。続いて、この混合溶液にメチルトリメトキシシラン3重量部を添加し、60℃、1時間撹拌した後、オルト蟻酸メチルエステル9重量部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱撹拌することで反応性無機微粒子B(2)を得た。
このようにして得られた反応性無機微粒子B(2)は、上記粒度分析計により測定した結果、d50=22nmの平均粒子径を有していた。また、表面を被覆する有機成分量は熱重量分析法により測定した結果7.08×10−3g/m2であった。また、得られた反応性無機微粒子B(2)の比重は、2.1だった。
(1)表面吸着イオン除去
粒子径30nmのイソプロピルアルコール分散コロイダルシリカ(触媒化成工業(株)製、商品名、スルーリアDN−19)を用いた。
(2)表面処理(多官能モノマーの導入)
製造例1−1と同様の手法で表面処理を行った。
このようにして得られた反応性無機微粒子B(3)は、上記粒度分析計により測定した結果、d50=30nmの平均粒子径を有していた。また、シリカ微粒子表面を被覆する有機成分量は熱重量分析法により測定した結果、5.35×10−3g/m2であった。尚、製造例3に使用したシリカ微粒子は中空構造を有するものであり、その空洞部分の体積も中実部分として比重を換算したところ、得られた反応性無機微粒子B(3)の見かけ上の比重は1.68だった。
厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(透明基材フィルム)の一方の側に、上記製造例1−1で製造した反応性無機微粒子B(1−1)を含む下記組成の「防眩層塗工液」をミヤバーコートで3.5g/m2塗工し、溶剤を蒸発乾燥後、酸素濃度を0.1%以下に保って、80W/cmの紫外線照射装置で10m/minの速度で2度照射することにより、凹凸層からなる防眩層を形成し、防眩フィルムを得た。
得られた実施例1の防眩フィルムは、凹凸層の厚さ(透明基材フィルム表面から凹部表面までの厚さ)が2.1μmであった。また、実施例1の防眩フィルムは、凹凸層全体の厚み方向断面における単位面積当りの反応性無機微粒子の平均粒子数に対する、スキン層の厚み方向断面における単位面積当りの反応性無機微粒子の平均粒子数の倍率(以下、スキン層の倍率という。)が、3だった。
尚、凹凸層の厚さは、防眩フィルム断面のSTEM写真において、5箇所を測定し、その平均値とした(以下同じ)。
また、実施例1の防眩フィルムを斜め切削し、アルバック・ファイ社製TOF−SIMSを用いて、反応性無機微粒子B(1−1)に含まれる成分を検出したところ、フッ素原子は検出されなかった。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA):42.5重量部
・イルガキュア184(光重合開始剤):0.25重量部
・シリコーン(レベリング剤):0.1重量部
・反応性無機微粒子B(1−1):7.5重量部
・シリカ(透光性微粒子A)(平均粒径1μm):12重量部
・トルエン:34重量部
実施例1において、反応性無機微粒子B(1−1)の代わりに製造例1−2で得られた反応性無機微粒子B(1−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、TACフィルム上に防眩層を形成し、防眩フィルムを得た。
得られた実施例2の防眩フィルムは、凹凸層の厚さが2.1μmであった。また、実施例2の防眩フィルムは、スキン層の倍率が2.5だった。また、実施例2の防眩フィルムを斜め切削し、アルバック・ファイ社製TOF−SIMSを用いて、反応性無機微粒子B(1−2)に含まれる成分を検出したところ、フッ素原子は検出されなかった。
実施例1において、反応性無機微粒子B(1−1)の代わりに製造例1−3で得られた反応性無機微粒子B(1−3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、TACフィルム上に防眩層を形成し、防眩フィルムを得た。
得られた実施例3の防眩フィルムは、凹凸層の厚さが2.1μmであった。また、実施例3の防眩フィルムは、スキン層の倍率が2.0だった。また、実施例3の防眩フィルムを斜め切削し、アルバック・ファイ社製TOF−SIMSを用いて、反応性無機微粒子B(1−3)に含まれる成分を検出したところ、フッ素原子は検出されなかった。
実施例1において、反応性無機微粒子B(1−1)の代わりに製造例2で得られた反応性無機微粒子B(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、TACフィルム上に防眩層を形成し、防眩フィルムを得た。
得られた実施例4の防眩フィルムは、凹凸層の厚さが2.1μmであった。また、実施例4の防眩フィルムは、スキン層の倍率が2.1だった。また、実施例4の防眩フィルムを斜め切削し、アルバック・ファイ社製TOF−SIMSを用いて、反応性無機微粒子B(2)に含まれる成分を検出したところ、フッ素原子は検出されなかった。
実施例1において、反応性無機微粒子B(1−1)の代わりに製造例3で得られた反応性無機微粒子B(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、TACフィルム上に防眩層を形成し、防眩フィルムを得た。
得られた実施例5の防眩フィルムは、凹凸層の厚さが2.1μmであった。また、実施例5の防眩フィルムは、スキン層の倍率が3だった。また、実施例5の防眩フィルムを斜め切削し、アルバック・ファイ社製TOF−SIMSを用いて、反応性無機微粒子B(3)に含まれる成分を検出したところ、フッ素原子は検出されなかった。
実施例2において、凹凸層の厚さが1.2μmとなるように、防眩層用塗工液の塗布量を調節した以外は、実施例2と同様にして、TACフィルム上に防眩層を形成し、防眩フィルムを得た。
得られた実施例6の防眩フィルムは、スキン層の倍率が4だった。また、実施例6の防眩フィルムは、スキン層の倍率が4だった。
実施例2において、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムの代わりに、80μm厚のシクロオレフィンポリマー(COP)フィルムを用いた以外は、実施例2と同様にして、COPフィルム上に防眩層を形成し、防眩フィルムを得た。
得られた実施例7の防眩フィルムは、凹凸層の厚さが2.1μmであった。また、実施例7の防眩フィルムは、スキン層の倍率が2.5だった。
実施例2において、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムの代わりに、80μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた以外は、実施例2と同様にして、PETフィルム上に防眩層を形成し、防眩フィルムを得た。
得られた実施例8の防眩フィルムは、凹凸層の厚さが2.1μmであった。また、実施例8の防眩フィルムは、スキン層の倍率が2.5だった。
実施例2において、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムの代わりに、80μm厚のアクリル系樹脂フィルムを用いた以外は、実施例2と同様にして、アクリル系樹脂フィルム上に防眩層を形成し、防眩フィルムを得た。
得られた実施例9の防眩フィルムは、凹凸層の厚さが2.1μmであった。また、実施例9の防眩フィルムは、スキン層の倍率が2.5だった。
実施例1において、反応性無機微粒子Bを含有しない以外は、実施例1と同様にしてTACフィルム上に防眩層を形成し、防眩フィルムを得た。
得られた比較例1の防眩フィルムは、凹凸層の厚さが2.1μmであった。また、比較例1の防眩フィルムは、反応性無機微粒子を含有しないため、スキン層が形成されなかった。
実施例1において、反応性無機微粒子B(1−1)の代わりに製造例1−4で得られた反応性無機微粒子(1−4)を用いた以外は、実施例1と同様にしてTACフィルム上に防眩層を形成し、防眩フィルムを得た。
得られた比較例2の防眩フィルムは、凹凸層の厚さが2.1μmであった。また、比較例2の防眩フィルムは、無機反応微粒子(1−4)の平均粒径が80nmであるために、該無機反応微粒子を凹凸層表面に充分に偏在させることができず、スキン層(凹凸層の表層に反応性無機微粒子が偏在した領域)の倍率が1.3と2未満だった。
上記、各実施例、及び比較例で得られた防眩フィルムについて、以下の方法により耐スチールウール性を評価した。結果を表1(耐SW性)に示す。
<耐スチールウール性試験>
防眩フィルム表面を、#0000番のスチールウールで、300g/cm2の荷重をかけながら、速度50mm/secで10往復摩擦させ、防眩フィルム表面の傷の有無と傷の数を目視で確認した。
表1に示すように、反応性無機微粒子を含有しない比較例1の防眩フィルムは、耐スチールウール性試験において、その表面に多数の傷(20本以上)が確認された。また、反応性無機微粒子は含有するが、その平均粒径が80nmと大きく、凹凸層の空気界面側表層に該反応性無機微粒子を充分に偏在させることができなかった(倍率1.3)比較例2の防眩フィルムも、耐スチールウール性試験において、その表面に多数の傷(20本以上)が確認された。
2…防眩層
3…凹凸層(3’:スキン層)
4…透光微粒子
5…反応性無機微粒子
6…表面形状調整層
7…低屈折率層
Claims (17)
- 透明基材フィルム上に最表面が凹凸形状を有する防眩層を設けてなる防眩フィルムであって、
前記防眩層が、凹凸層のみからなる単一層か、または、凹凸層と当該凹凸層の観察者側に配置された表面形状調整層を含む2層以上からなる積層構造を有し、
当該凹凸層は、
(1) 平均粒子径が1μm以上10μm以下の範囲にある透光性微粒子A、
(2) 平均粒子径が5nm以上30nm以下の範囲にあり、少なくとも表面の一部を有機成分で被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基bを表面に有する反応性無機微粒子B、及び
(3) 前記反応性無機微粒子Bの反応性官能基bとの架橋反応性を有する反応性官能基cを有するバインダー成分Cを含み、系内における硬化反応性も有する硬化性バインダー系、
を含有する硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、
当該凹凸層の透明基材フィルムとは反対側の界面及びその近傍の表層領域に、当該表層領域よりも透明基材フィルム側の領域に比べて、当該凹凸層の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数が多いスキン層を有しており、
当該スキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数が、当該凹凸層の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数の2倍以上であることを特徴とする、防眩フィルム。 - 前記スキン層の厚さは、透明基材フィルムとは反対側の界面から前記反応性無機微粒子Bの平均粒径の等倍から5倍までの厚さであることを特徴とする、請求項1に記載の防眩フィルム。
- 前記スキン層において、前記反応性無機微粒子Bが密集していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の防眩フィルム。
- 前記スキン層の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数が800個/μm2以上であり、且つ、前記凹凸層全体の厚み方向断面における単位面積当たりの前記反応性無機微粒子Bの平均粒子数が500個/μm2以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
- 前記反応性無機微粒子Bのコアとなる無機微粒子及び前記透光性微粒子Aは、同じ材質からなるものである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
- 前記反応性無機微粒子Bの表面の少なくとも一部が有機成分で被覆されており、前記反応性官能基bは当該有機成分により前記反応性無機微粒子Bの表面に導入されており、当該有機成分が、被覆前の無機微粒子の単位表面積当たり1.00×10−3g/m2以上含まれる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
- 前記反応性無機微粒子Bは、フッ素を含有しないものである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
- 前記反応性無機微粒子Bの反応性官能基b、及び、前記バインダー成分Cの反応性官能基cは、いずれも重合性不飽和基を有するものである、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
- 前記反応性無機微粒子Bが、飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β−ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中に無機微粒子を分散させることにより得られる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
- 前記表面修飾化合物が、水素結合形成基を有する化合物である、請求項9に記載の防眩フィルム。
- 前記表面修飾化合物の少なくとも1種が、前記反応性官能基bとなる重合性不飽和基を有する、請求項10に記載の防眩フィルム。
- 前記反応性無機微粒子Bが、当該反応性無機微粒子B表面に導入される反応性官能基b、下記化学式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物と、金属酸化物微粒子とを結合することにより得られる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
化学式(1)
−Q1−C(=Q2)−NH−
(化学式(1)中、Q1は、NH、O(酸素原子)、またはS(硫黄原子)を示し、Q2
はO又はSを示す。) - 前記バインダー成分Cが、前記反応性無機微粒子Bの反応性官能基bと結合可能な反応性官能基cを3つ以上有する化合物である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
- 前記反応性無機微粒子Bの含有量が、全固形分に対して、5〜30重量%である、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
- 前記透明基材フィルムが、セルロースアシレート、シクロオレフィンポリマー、アクリレート系ポリマー、又はポリエステルを主体とする、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
- 前記防眩層の表面を、#0000番のスチールウールで、300g/cm2の荷重をかけながら、速度50mm/secで10往復摩擦させる耐スチールウール試験において、当該防眩層表面に傷が付かない、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
- 前記凹凸層の膜厚が0.5〜30μmである、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
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