JPH10199521A - 水素吸蔵合金粉末および水素吸蔵電極 - Google Patents
水素吸蔵合金粉末および水素吸蔵電極Info
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- JPH10199521A JPH10199521A JP9003226A JP322697A JPH10199521A JP H10199521 A JPH10199521 A JP H10199521A JP 9003226 A JP9003226 A JP 9003226A JP 322697 A JP322697 A JP 322697A JP H10199521 A JPH10199521 A JP H10199521A
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- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ガスアトマイズ法で得られるような球形の水
素吸蔵合金粉末で見られる、電極作製時の圧延工程での
滑り発生による電極密度の低下と導電コンタクトの減少
を防止し、高容量で高効率 (大電流) 放電特性にも優れ
たNi−水素二次電池用の電極を作製することができる水
素吸蔵合金粉末を製造する。 【解決手段】 アスペクト比が2以下の実質的に球形の
水素吸蔵合金粉末の表面に、該水素吸蔵合金粉末の平均
直径の1/10以下の平均直径をもつ実質的に球形の水素吸
蔵合金または金属質の微粉末を、該水素吸蔵合金粉末の
2〜20wt%の量で付着させる。付着は、粉末化時の高熱
または熱処理を利用して仮焼結させることにより行い、
その後に解砕する。
素吸蔵合金粉末で見られる、電極作製時の圧延工程での
滑り発生による電極密度の低下と導電コンタクトの減少
を防止し、高容量で高効率 (大電流) 放電特性にも優れ
たNi−水素二次電池用の電極を作製することができる水
素吸蔵合金粉末を製造する。 【解決手段】 アスペクト比が2以下の実質的に球形の
水素吸蔵合金粉末の表面に、該水素吸蔵合金粉末の平均
直径の1/10以下の平均直径をもつ実質的に球形の水素吸
蔵合金または金属質の微粉末を、該水素吸蔵合金粉末の
2〜20wt%の量で付着させる。付着は、粉末化時の高熱
または熱処理を利用して仮焼結させることにより行い、
その後に解砕する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二次電池用、特に
Ni−水素二次電池用の水素吸蔵合金粉末と、これを用い
たNi−水素二次電池用の水素吸蔵電極に関する。本発明
の水素吸蔵合金粉末を用いることにより、電極の作製が
容易となるとともに、合金粉末の充填密度が高い電極が
得られる。この電極は、より多くの水素吸蔵合金粉末を
充填できるため高容量が実現可能である上、粉末間の導
電コンタクトに優れるため高効率放電特性にも優れると
いう特徴を示す。
Ni−水素二次電池用の水素吸蔵合金粉末と、これを用い
たNi−水素二次電池用の水素吸蔵電極に関する。本発明
の水素吸蔵合金粉末を用いることにより、電極の作製が
容易となるとともに、合金粉末の充填密度が高い電極が
得られる。この電極は、より多くの水素吸蔵合金粉末を
充填できるため高容量が実現可能である上、粉末間の導
電コンタクトに優れるため高効率放電特性にも優れると
いう特徴を示す。
【0002】
【従来の技術】現在、AV機器やノート型パソコンのメ
モリー・バックアップ用に用いる小型二次電池は、アル
カリ二次電池の1種であるNi−Cd電池が主流である。し
かしながら、Cdの公害問題、Cdが亜鉛精錬の副産物とい
う資源量制約の問題、そしてより高電気容量の二次電池
開発といった観点から、Cdの代わりに水素吸蔵合金を負
極活物質に用いたNi−水素電池と呼ばれるアルカリ二次
電池が開発された。Ni−水素二次電池は、Ni−Cd電池や
Ni−Zn電池に比べて容量が高いため、地球環境問題から
無公害車として利用が拡大しつつある電気自動車用の二
次電池としての利用も検討されており、現在では小型二
次電池の主流になりつつある。
モリー・バックアップ用に用いる小型二次電池は、アル
カリ二次電池の1種であるNi−Cd電池が主流である。し
かしながら、Cdの公害問題、Cdが亜鉛精錬の副産物とい
う資源量制約の問題、そしてより高電気容量の二次電池
開発といった観点から、Cdの代わりに水素吸蔵合金を負
極活物質に用いたNi−水素電池と呼ばれるアルカリ二次
電池が開発された。Ni−水素二次電池は、Ni−Cd電池や
Ni−Zn電池に比べて容量が高いため、地球環境問題から
無公害車として利用が拡大しつつある電気自動車用の二
次電池としての利用も検討されており、現在では小型二
次電池の主流になりつつある。
【0003】Ni−水素二次電池用水素吸蔵合金として検
討されてきた主な合金系は、LaNi5やMmNi5(Mmは希土類
金属混合物であるミッシュメタル) で代表されるAB5
型の希土類系の金属間化合物と、ZrV0.4Ni1.6 で代表さ
れるAB2 型のラーベス相構造をとる金属間化合物であ
る。実用化に関しては、AB5 型の水素吸蔵合金の方が
進んでいるが、AB2 型構造の水素吸蔵合金も高容量を
示すので有望である。他に、ABまたはA2 B型のチタ
ン系の金属化合物も使用が試みられている。
討されてきた主な合金系は、LaNi5やMmNi5(Mmは希土類
金属混合物であるミッシュメタル) で代表されるAB5
型の希土類系の金属間化合物と、ZrV0.4Ni1.6 で代表さ
れるAB2 型のラーベス相構造をとる金属間化合物であ
る。実用化に関しては、AB5 型の水素吸蔵合金の方が
進んでいるが、AB2 型構造の水素吸蔵合金も高容量を
示すので有望である。他に、ABまたはA2 B型のチタ
ン系の金属化合物も使用が試みられている。
【0004】しかし、別の新型二次電池として、高容量
を特徴とするリチウムイオン二次電池が開発され、実用
化されるにつれて、競合するNi−水素二次電池につい
て、さらなる高容量化が強く望まれるようになってき
た。
を特徴とするリチウムイオン二次電池が開発され、実用
化されるにつれて、競合するNi−水素二次電池につい
て、さらなる高容量化が強く望まれるようになってき
た。
【0005】高容量化を実現するための手法は種々検討
されている。例えば、球形の水素吸蔵合金粉末を用いて
電極により多くの粉末を充填し、電極の容量を高める試
みが特開平3−116655号公報に示されている。
されている。例えば、球形の水素吸蔵合金粉末を用いて
電極により多くの粉末を充填し、電極の容量を高める試
みが特開平3−116655号公報に示されている。
【0006】しかし、球形の粉末は、粉末間の接触が点
接触になり、接触が少ないため、粉末間のすべり抵抗が
小さい。このため、電極作製時に合金粉末の充填密度を
高めるために行われる圧延工程において、粉末の滑りが
発生して、圧延が困難となるか、電極が作製できても電
極中の合金の充填密度が期待通りに高くならない。ま
た、粉末粒子間の導電コンタクトも少ないので、放電電
気量が制限される。その結果、設計した容量が得られな
かったり、高効率での充電・放電特性が劣化するという
問題があった。
接触になり、接触が少ないため、粉末間のすべり抵抗が
小さい。このため、電極作製時に合金粉末の充填密度を
高めるために行われる圧延工程において、粉末の滑りが
発生して、圧延が困難となるか、電極が作製できても電
極中の合金の充填密度が期待通りに高くならない。ま
た、粉末粒子間の導電コンタクトも少ないので、放電電
気量が制限される。その結果、設計した容量が得られな
かったり、高効率での充電・放電特性が劣化するという
問題があった。
【0007】この球形粉末に起因する問題点を解決した
水素吸蔵電極の作製についても提案がなされている。例
えば、特開平7−105943号公報には、球形粉末間の接触
不足を、通常のインゴット粉砕粉末を混合することで解
決し、高効率の充電放電特性を改善することが提案され
ている。また、特開平8−45505 号公報には、球状また
はほぼ球状の水素吸蔵合金粉末を熱処理して部分的に焼
結させ、必要に応じて解砕した、嵩比重3.3 以上の粉末
を用いることで、放電特性に優れた電池を得ることが提
案されている。
水素吸蔵電極の作製についても提案がなされている。例
えば、特開平7−105943号公報には、球形粉末間の接触
不足を、通常のインゴット粉砕粉末を混合することで解
決し、高効率の充電放電特性を改善することが提案され
ている。また、特開平8−45505 号公報には、球状また
はほぼ球状の水素吸蔵合金粉末を熱処理して部分的に焼
結させ、必要に応じて解砕した、嵩比重3.3 以上の粉末
を用いることで、放電特性に優れた電池を得ることが提
案されている。
【0008】上記提案のうち、特開平7−105943号公報
の手段では、粉砕粉末を混合するため、球形粉末のみを
用いて作製した電極に比べて粉末の充填密度が低くな
り、従って高容量化の面では不利であるという問題があ
る。また、特開平8−45505 号公報の手段では、部分焼
結粉末またはその解砕粉末が不定形状であるため、小型
電池用の面積0.5 mm2 程度の電極に用いた場合には充分
な充填密度が得られないという問題がある。
の手段では、粉砕粉末を混合するため、球形粉末のみを
用いて作製した電極に比べて粉末の充填密度が低くな
り、従って高容量化の面では不利であるという問題があ
る。また、特開平8−45505 号公報の手段では、部分焼
結粉末またはその解砕粉末が不定形状であるため、小型
電池用の面積0.5 mm2 程度の電極に用いた場合には充分
な充填密度が得られないという問題がある。
【0009】さらに、特開平8−17433 号公報には、バ
インダーを用いず、焼結法により電極を作製し、その電
極中での水素吸蔵合金の充填密度を 5.3〜5.8 g/mlとし
て放電特性を安定化させた電極が提案されているが、実
際にバインダーを用いずに水素吸蔵電極を作製するのは
容易ではなく、生産コストが高くなるという問題があ
る。
インダーを用いず、焼結法により電極を作製し、その電
極中での水素吸蔵合金の充填密度を 5.3〜5.8 g/mlとし
て放電特性を安定化させた電極が提案されているが、実
際にバインダーを用いずに水素吸蔵電極を作製するのは
容易ではなく、生産コストが高くなるという問題があ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、実質的に球
形の水素吸蔵合金粉末を用いてNi−水素二次電池用の水
素吸蔵電極を作製する際に問題となる、粉末間の接触不
足による圧延工程の粉末の滑り発生を防止することがで
き、電極への合金充填密度が高い、高容量の水素吸蔵電
極を容易に製造することができる上、導電コンタクトに
も優れていて、得られた電極の高効率放電特性も改善さ
れる水素吸蔵合金粉末を提供しようとするものである。
形の水素吸蔵合金粉末を用いてNi−水素二次電池用の水
素吸蔵電極を作製する際に問題となる、粉末間の接触不
足による圧延工程の粉末の滑り発生を防止することがで
き、電極への合金充填密度が高い、高容量の水素吸蔵電
極を容易に製造することができる上、導電コンタクトに
も優れていて、得られた電極の高効率放電特性も改善さ
れる水素吸蔵合金粉末を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】前述したように、粉砕粉
末や部分焼結粉末といった不定形状の水素吸蔵合金粉末
を混合すると、電極の充填密度の低下を避けることがで
きない。従って、充填密度の高い電極を作製するには、
球形粉末の形状を実質的に残したまま、その滑り発生の
問題を解決することが有利である。
末や部分焼結粉末といった不定形状の水素吸蔵合金粉末
を混合すると、電極の充填密度の低下を避けることがで
きない。従って、充填密度の高い電極を作製するには、
球形粉末の形状を実質的に残したまま、その滑り発生の
問題を解決することが有利である。
【0012】本発明者らは、この観点から検討を重ねた
結果、水素吸蔵合金の球形粉末の周囲に、直径がずっと
小さい水素吸蔵合金の球形微粉末を付着させることによ
り、電極作製時の圧延工程における滑り発生が軽減され
て、電極内に合金粉末を高密度に充填することができる
と同時に、粉末間の導電コンタクトが増大して、高容量
で高効率放電特性が改善された電極になることを見出し
た。
結果、水素吸蔵合金の球形粉末の周囲に、直径がずっと
小さい水素吸蔵合金の球形微粉末を付着させることによ
り、電極作製時の圧延工程における滑り発生が軽減され
て、電極内に合金粉末を高密度に充填することができる
と同時に、粉末間の導電コンタクトが増大して、高容量
で高効率放電特性が改善された電極になることを見出し
た。
【0013】ここに、本発明は、実質的に球形の水素吸
蔵合金粉末の表面に、該水素吸蔵合金粉末の平均直径の
1/10以下の平均直径をもつ実質的に球形の水素吸蔵合金
および/または金属質の微粉末が、該水素吸蔵合金粉末
の2〜20wt%の量で付着していることを特徴とする、二
次電池用水素吸蔵合金粉末である。
蔵合金粉末の表面に、該水素吸蔵合金粉末の平均直径の
1/10以下の平均直径をもつ実質的に球形の水素吸蔵合金
および/または金属質の微粉末が、該水素吸蔵合金粉末
の2〜20wt%の量で付着していることを特徴とする、二
次電池用水素吸蔵合金粉末である。
【0014】本発明によればまた、上記の二次電池用水
素吸蔵合金粉末を電極基体に充填または塗着した水素吸
蔵電極も提供される。
素吸蔵合金粉末を電極基体に充填または塗着した水素吸
蔵電極も提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明において、水素吸蔵合金粉
末の合金組成は特に制限されず、Ni−水素電池等の二次
電池の電極として利用可能な任意の組成のものでよい。
この種の代表的な水素吸蔵合金は、AB5 型、AB
2 型、A2B型、および固溶体型の水素吸蔵合金であ
る。
末の合金組成は特に制限されず、Ni−水素電池等の二次
電池の電極として利用可能な任意の組成のものでよい。
この種の代表的な水素吸蔵合金は、AB5 型、AB
2 型、A2B型、および固溶体型の水素吸蔵合金であ
る。
【0016】AB5 型水素吸蔵合金の例は、LaNix また
はMmNix (xは4.7 〜5.2)を基本構造とし、Niの一部をC
o、Mn、Al、Fe、Cr、Cu、V、Be、Zr、Ti、Moなどの1
種もしくは2種以上の元素で置換したものである。LaNi
x は高価である上、寿命低下が速いので、実用的にはMm
Nix の使用が好ましい。
はMmNix (xは4.7 〜5.2)を基本構造とし、Niの一部をC
o、Mn、Al、Fe、Cr、Cu、V、Be、Zr、Ti、Moなどの1
種もしくは2種以上の元素で置換したものである。LaNi
x は高価である上、寿命低下が速いので、実用的にはMm
Nix の使用が好ましい。
【0017】AB2 型水素吸蔵合金の例は、ZrNiy (yは
1.9 〜2.25) を基本構造とし、Niの一部をV、Mn、Cr、
Co、Fe、Al、Mo、Cu、Beなどの1種もしくは2種以上の
元素で置換したものである。A2B型水素吸蔵合金の例
はMg2Ni を基本とするものである。固溶体型水素吸蔵合
金は、Vを主成分とする合金である。
1.9 〜2.25) を基本構造とし、Niの一部をV、Mn、Cr、
Co、Fe、Al、Mo、Cu、Beなどの1種もしくは2種以上の
元素で置換したものである。A2B型水素吸蔵合金の例
はMg2Ni を基本とするものである。固溶体型水素吸蔵合
金は、Vを主成分とする合金である。
【0018】本発明の水素吸蔵合金粉末は、実質的に球
形の水素吸蔵合金粉末 (以下、母粉末という) の表面
に、その平均直径の1/10以下の平均直径をもつ実質的に
球形の水素吸蔵合金および/または金属の微粉末 (以
下、付着粉末という) を、母粉末の2〜20wt%の量で付
着させたものである。
形の水素吸蔵合金粉末 (以下、母粉末という) の表面
に、その平均直径の1/10以下の平均直径をもつ実質的に
球形の水素吸蔵合金および/または金属の微粉末 (以
下、付着粉末という) を、母粉末の2〜20wt%の量で付
着させたものである。
【0019】本発明において、「実質的に球形」とは、
粉末粒子の直径の最大値と最小値の比率 (アスペクト
比) が2以下であることを意味し、アスペクト比が1で
ある球形粉末も含むものである。このアスペクト比は、
好ましくは1.5 以下である。以下では、説明を簡単にす
るため、母粉末と付着粉末のいずれも単に「球形粉末」
というが、これは上記の意味での「実質的に球形の粉
末」を意味する。
粉末粒子の直径の最大値と最小値の比率 (アスペクト
比) が2以下であることを意味し、アスペクト比が1で
ある球形粉末も含むものである。このアスペクト比は、
好ましくは1.5 以下である。以下では、説明を簡単にす
るため、母粉末と付着粉末のいずれも単に「球形粉末」
というが、これは上記の意味での「実質的に球形の粉
末」を意味する。
【0020】アスペクト比が1より大きい場合、球形粉
末の直径は、直径の最大値と最小値の中間値を意味す
る。また、母粉末と付着粉末の「平均直径」は、いずれ
も粒度分布における累積重量50%の時の直径を意味する
が、具体的な算出方法については後で説明する。
末の直径は、直径の最大値と最小値の中間値を意味す
る。また、母粉末と付着粉末の「平均直径」は、いずれ
も粒度分布における累積重量50%の時の直径を意味する
が、具体的な算出方法については後で説明する。
【0021】図1は、本発明の水素吸蔵合金粉末におけ
る母粉末への付着粉末の付着状況を示す表面SEM写
真、図2はその模式図である。これらの図に示すよう
に、本発明の水素吸蔵合金粉末は、典型的には、球形の
母粉末の表面を球形の付着粉末が部分的に覆った構造を
とる。母粉末の表面に付着した球形の付着粉末は、粉末
間の接点として、粉末間の滑りに対する抵抗の役目を果
たすとともに、粉末間の導電コンタクトを増加させる役
割も有する。
る母粉末への付着粉末の付着状況を示す表面SEM写
真、図2はその模式図である。これらの図に示すよう
に、本発明の水素吸蔵合金粉末は、典型的には、球形の
母粉末の表面を球形の付着粉末が部分的に覆った構造を
とる。母粉末の表面に付着した球形の付着粉末は、粉末
間の接点として、粉末間の滑りに対する抵抗の役目を果
たすとともに、粉末間の導電コンタクトを増加させる役
割も有する。
【0022】その結果、電極作製時の圧延工程における
粉末の滑り現象が軽減し、電極が作り易くなる上、滑り
の軽減によって電極内に合金粉末を高密度に充填するこ
とが可能となり、高容量の電極が得られる。さらに、粉
末間の導電コンタクトの増大によって高効率 (大電流)
での放電特性も向上する。
粉末の滑り現象が軽減し、電極が作り易くなる上、滑り
の軽減によって電極内に合金粉末を高密度に充填するこ
とが可能となり、高容量の電極が得られる。さらに、粉
末間の導電コンタクトの増大によって高効率 (大電流)
での放電特性も向上する。
【0023】本発明で用いる球形の母粉末および付着粉
末は、いずれもガスアトマイズ法または回転電極法によ
り作製することができる。水素吸蔵合金は酸化され易い
金属成分を含有しているので、アトマイズに用いるガス
は、アルゴン等の不活性ガスが好ましい。
末は、いずれもガスアトマイズ法または回転電極法によ
り作製することができる。水素吸蔵合金は酸化され易い
金属成分を含有しているので、アトマイズに用いるガス
は、アルゴン等の不活性ガスが好ましい。
【0024】球形粉末の高充填性を活かして電極の高容
量化を実現するためには、付着粉末も球形粉末とする必
要がある。インゴット粉砕粉末のような不定形の微粉末
を付着粉末に用いると、球形粉末の高充填性 (従って、
高容量) という利点が得られなくなる。
量化を実現するためには、付着粉末も球形粉末とする必
要がある。インゴット粉砕粉末のような不定形の微粉末
を付着粉末に用いると、球形粉末の高充填性 (従って、
高容量) という利点が得られなくなる。
【0025】付着粉末は、母粉末と同種の水素吸蔵合金
の微粉末であることが望ましい。こうすると、表面の付
着粉末も充放電反応に関与することで、より高い電極容
量が実現できる。しかし、付着粉末は導電性を有してい
ればよいので、別の種類の水素吸蔵合金の微粉末、また
は単に金属質の微粉末でもよい。金属質微粉末の金属種
は特に制限されないが、Ni−水素二次電池の電解液であ
るアルカリ性水溶液中で安定で、電極反応を阻害しな
い、耐食性に優れた金属または合金が望ましい。その意
味で好ましい金属は、Ni、Co等である。付着粉末は2種
以上の水素吸蔵合金および/または金属の混合粉末でも
よい。
の微粉末であることが望ましい。こうすると、表面の付
着粉末も充放電反応に関与することで、より高い電極容
量が実現できる。しかし、付着粉末は導電性を有してい
ればよいので、別の種類の水素吸蔵合金の微粉末、また
は単に金属質の微粉末でもよい。金属質微粉末の金属種
は特に制限されないが、Ni−水素二次電池の電解液であ
るアルカリ性水溶液中で安定で、電極反応を阻害しな
い、耐食性に優れた金属または合金が望ましい。その意
味で好ましい金属は、Ni、Co等である。付着粉末は2種
以上の水素吸蔵合金および/または金属の混合粉末でも
よい。
【0026】母粉末の平均直径は特に制限されないが、
10〜65μm、特に20〜35μmの範囲内が好ましい。この
母粉末の粉末粒子間の空隙に付着粉末を効率よく充填さ
せるため、付着粉末の平均直径は、母粉末の平均直径の
1/10以下、好ましくは1/20以下とする。付着粉末の平均
直径が母粉末の平均直径の1/10より大きくなると、水素
吸蔵合金粉末の充填密度、従って電極の容量が低下す
る。
10〜65μm、特に20〜35μmの範囲内が好ましい。この
母粉末の粉末粒子間の空隙に付着粉末を効率よく充填さ
せるため、付着粉末の平均直径は、母粉末の平均直径の
1/10以下、好ましくは1/20以下とする。付着粉末の平均
直径が母粉末の平均直径の1/10より大きくなると、水素
吸蔵合金粉末の充填密度、従って電極の容量が低下す
る。
【0027】付着粉末は、母粉末の2〜20wt%の量で母
粉末の表面に付着させる。付着粉末の量が母粉末の20wt
%を超えると、付着粉末の体積が母粉末の粒子間の空隙
より大きくなるため、充填密度がかえって低くなる。一
方、付着粉末の量が2wt%より少ないと、球形粉末間の
接触部を増やして粉末の滑りを抑える効果が小さくな
り、電極作製時の圧延作業が不安定になる。付着粉末の
量は好ましくは5〜15wt%である。
粉末の表面に付着させる。付着粉末の量が母粉末の20wt
%を超えると、付着粉末の体積が母粉末の粒子間の空隙
より大きくなるため、充填密度がかえって低くなる。一
方、付着粉末の量が2wt%より少ないと、球形粉末間の
接触部を増やして粉末の滑りを抑える効果が小さくな
り、電極作製時の圧延作業が不安定になる。付着粉末の
量は好ましくは5〜15wt%である。
【0028】本発明の水素吸蔵合金粉末は、相対的に大
粒径の母粉末と小粒径の付着粉末という大小2種類の球
形粉末の混合粉末ではなく、小粒径の球形粉末を大粒径
の球形粉末の表面に付着させて一体化させたものであ
る。大小2種類の球形粉末を混合粉末として使用した場
合、粉末の滑りの問題はなお残り、電極作製時の圧延工
程の作業が不安定になる上、電極への合金粉末の充填密
度も期待通りに高くすることができない。小粒径の球形
粉末を大粒径の球形粉末に付着させることで、粉末の滑
りを効果的に軽減させることができ、充填密度が高く、
高効率放電特性も良好な電極を作製できる水素吸蔵合金
粉末になる。
粒径の母粉末と小粒径の付着粉末という大小2種類の球
形粉末の混合粉末ではなく、小粒径の球形粉末を大粒径
の球形粉末の表面に付着させて一体化させたものであ
る。大小2種類の球形粉末を混合粉末として使用した場
合、粉末の滑りの問題はなお残り、電極作製時の圧延工
程の作業が不安定になる上、電極への合金粉末の充填密
度も期待通りに高くすることができない。小粒径の球形
粉末を大粒径の球形粉末に付着させることで、粉末の滑
りを効果的に軽減させることができ、充填密度が高く、
高効率放電特性も良好な電極を作製できる水素吸蔵合金
粉末になる。
【0029】球形の母粉末の表面に付着粉末を付着させ
る方法は、付着が達成される限り特に制限されないが、
通常は熱による部分的焼結 (以下、仮焼結という) によ
って母粉末に付着粉末を付着させる。
る方法は、付着が達成される限り特に制限されないが、
通常は熱による部分的焼結 (以下、仮焼結という) によ
って母粉末に付着粉末を付着させる。
【0030】最も簡便な付着方法は、ガスアトマイズ法
または回転電極法によって球形の水素吸蔵合金合金粉末
を溶製する際の熱をそのまま利用する方法である。これ
らの球形粉末の通常の溶製方法では、得られた溶融状態
の高温の球形粒子を、これが完全に固化するのに十分な
距離だけ飛散させてから、粉末回収用の容器の底部に堆
積させ、その後に常温まで冷却させてから回収する。こ
の場合には、球形粉末は互いに付着することはない。
または回転電極法によって球形の水素吸蔵合金合金粉末
を溶製する際の熱をそのまま利用する方法である。これ
らの球形粉末の通常の溶製方法では、得られた溶融状態
の高温の球形粒子を、これが完全に固化するのに十分な
距離だけ飛散させてから、粉末回収用の容器の底部に堆
積させ、その後に常温まで冷却させてから回収する。こ
の場合には、球形粉末は互いに付着することはない。
【0031】一方、本発明の水素吸蔵合金粉末を得るに
は、飛散させる距離を短くして、高温 (600 ℃以上、例
えば 700 ℃ないし800 ℃またはそれ以上) のうちに粉
末を堆積させてから回収する。こうすると、粉末自体が
もつ熱量によって、堆積中に粉末同士が仮焼結して付着
する。堆積中には、母粉末の表面に微粉末 (直径が母粉
末の1/10以下のもの) が付着すると同時に、母粉末同士
も付着し、また母粉末と微粉末の中間の直径を持つ中間
粉末と母粉末や微粉末との付着も起こる。
は、飛散させる距離を短くして、高温 (600 ℃以上、例
えば 700 ℃ないし800 ℃またはそれ以上) のうちに粉
末を堆積させてから回収する。こうすると、粉末自体が
もつ熱量によって、堆積中に粉末同士が仮焼結して付着
する。堆積中には、母粉末の表面に微粉末 (直径が母粉
末の1/10以下のもの) が付着すると同時に、母粉末同士
も付着し、また母粉末と微粉末の中間の直径を持つ中間
粉末と母粉末や微粉末との付着も起こる。
【0032】こうして仮焼結により付着した粉末を粉砕
機で適当な条件で解砕すると、母粉末同士の仮焼結体
や、中間粉末と母粉末や微粉末との仮焼結体は、形状が
不規則で球形から大きく外れるため解砕を受けやすいの
に対し、母粉末の表面に直径がその1/10以下の微粉末が
付着した仮焼結体は、形状が球形に近く、解砕を受けに
くい。そのため、解砕によって、このような仮焼結体だ
けが解砕されずに残ることになり、必要に応じて解砕後
に分級することにより、本発明の水素吸蔵合金粉末が得
られる。
機で適当な条件で解砕すると、母粉末同士の仮焼結体
や、中間粉末と母粉末や微粉末との仮焼結体は、形状が
不規則で球形から大きく外れるため解砕を受けやすいの
に対し、母粉末の表面に直径がその1/10以下の微粉末が
付着した仮焼結体は、形状が球形に近く、解砕を受けに
くい。そのため、解砕によって、このような仮焼結体だ
けが解砕されずに残ることになり、必要に応じて解砕後
に分級することにより、本発明の水素吸蔵合金粉末が得
られる。
【0033】母粉末に対する付着粉末の相対的な直径比
率や量の制御は、ガスアトマイズ法の場合、ガスアトマ
イズ条件 (ガス噴霧形式、ガス量、ガス圧、注湯形式、
注湯量等) を変化させることにより可能である。回転電
極法でも、回転条件、注湯形式、注湯量などにより制御
が可能である。解砕の条件は、仮焼結前の粉末の粒度分
布や仮焼結の程度により、微粉末が母粉末の表面に付着
したもの以外の仮焼結体が解砕されるように適宜選択す
ればよい。必要であれば実験によりこれらの条件を決め
ればよい。
率や量の制御は、ガスアトマイズ法の場合、ガスアトマ
イズ条件 (ガス噴霧形式、ガス量、ガス圧、注湯形式、
注湯量等) を変化させることにより可能である。回転電
極法でも、回転条件、注湯形式、注湯量などにより制御
が可能である。解砕の条件は、仮焼結前の粉末の粒度分
布や仮焼結の程度により、微粉末が母粉末の表面に付着
したもの以外の仮焼結体が解砕されるように適宜選択す
ればよい。必要であれば実験によりこれらの条件を決め
ればよい。
【0034】この方法で得られた本発明の水素吸蔵合金
粉末の母粉末に対する付着粉末の割合と母粉末に対する
付着粉末の平均直径の比率は、全く同じ条件で仮焼結を
生じないように飛散距離を長くして溶製した球形粉末
と、仮焼結が起こるように飛散距離を短くして溶製して
から解砕した粉末とを用意し、それぞれの粉末の粒度分
布から求めた平均直径A、B(Aは仮焼結させない場合
の球形粉末の平均直径、Bは仮焼結させ、解砕した粉末
の平均直径)に基づいて、近似的に次式により算出する
ことができる。
粉末の母粉末に対する付着粉末の割合と母粉末に対する
付着粉末の平均直径の比率は、全く同じ条件で仮焼結を
生じないように飛散距離を長くして溶製した球形粉末
と、仮焼結が起こるように飛散距離を短くして溶製して
から解砕した粉末とを用意し、それぞれの粉末の粒度分
布から求めた平均直径A、B(Aは仮焼結させない場合
の球形粉末の平均直径、Bは仮焼結させ、解砕した粉末
の平均直径)に基づいて、近似的に次式により算出する
ことができる。
【0035】 (a) 付着粉末割合(%) ={(B−A)/A}×100 % (b) 付着粉末/母粉末の平均直径比=(B−A)/2A 上に説明した方法は、母粉末と付着粉末が同種の水素吸
蔵合金からなり、新たに製造プロセスを追加することな
く、微粉末が付着した本発明の水素吸蔵合金粉末を得る
のに有用な方法である。しかし、母粉末の表面に異種の
微粉末を付着させる場合には別の方法を採用することに
なる。
蔵合金からなり、新たに製造プロセスを追加することな
く、微粉末が付着した本発明の水素吸蔵合金粉末を得る
のに有用な方法である。しかし、母粉末の表面に異種の
微粉末を付着させる場合には別の方法を採用することに
なる。
【0036】母粉末と付着粉末が異種の場合には、それ
ぞれの粉末を所望の粒度分布になるように必要に応じて
分級した後、この平均直径が異なる2種類の粉末を均質
になるように十分に混合し、熱処理を施して仮焼結させ
ることにより、母粉末の粒子周囲に微粉末を付着させ
る。熱処理温度は800 ℃前後(750〜850 ℃程度) が適当
である。得られた仮焼結体を、上記と同様に適当な条件
で解砕すれば、本発明の水素吸蔵合金粉末が得られる。
ぞれの粉末を所望の粒度分布になるように必要に応じて
分級した後、この平均直径が異なる2種類の粉末を均質
になるように十分に混合し、熱処理を施して仮焼結させ
ることにより、母粉末の粒子周囲に微粉末を付着させ
る。熱処理温度は800 ℃前後(750〜850 ℃程度) が適当
である。得られた仮焼結体を、上記と同様に適当な条件
で解砕すれば、本発明の水素吸蔵合金粉末が得られる。
【0037】この2種類の粉末を混合して仮焼結させる
方法で得られた本発明の水素吸蔵合金粉末の母粉末に対
する付着粉末の割合と、母粉末に対する付着粉末の平均
直径の比率は、仮焼結前の混合粉末の平均直径Aと、仮
焼結後に解砕した粉末の平均直径Bから、近似的に次式
により算出することができる。
方法で得られた本発明の水素吸蔵合金粉末の母粉末に対
する付着粉末の割合と、母粉末に対する付着粉末の平均
直径の比率は、仮焼結前の混合粉末の平均直径Aと、仮
焼結後に解砕した粉末の平均直径Bから、近似的に次式
により算出することができる。
【0038】 (a) 付着粉末割合(%) =[(B−A) /A] ×100 % (b) 付着粉末/母粉末の平均直径比=(B−A)/2A なお、通常のガスアトマイズ法または回転電極法で得ら
れた、付着を起こさずに冷却された水素吸蔵合金粉末
を、上記のように熱処理して仮焼結させることによって
も、本発明の水素吸蔵合金粉末を得ることができる。こ
の場合も上記に準じて付着粉末の割合および付着粉末と
母粉末との平均直径比を求めることができる。
れた、付着を起こさずに冷却された水素吸蔵合金粉末
を、上記のように熱処理して仮焼結させることによって
も、本発明の水素吸蔵合金粉末を得ることができる。こ
の場合も上記に準じて付着粉末の割合および付着粉末と
母粉末との平均直径比を求めることができる。
【0039】本発明の水素吸蔵合金粉末から有機バイン
ダー (結着剤や増粘剤等)を使用して、従来と同様の方
法により二次電池用の水素吸蔵電極を作製することがで
きる。有機バインダーの例としては、ポリビニルアルコ
ール(PVA) 、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ
エチレン(PE)、ポリエチレンオキサイド(PEO) 、カルボ
キシメチルセルロース(CMC) などがある。有機バインダ
ーの使用量は、水素吸蔵合金粉末の結合に必要な範囲内
で少量とすることが好ましく、通常は固形分として合金
粉末の2〜5重量%程度がよい。
ダー (結着剤や増粘剤等)を使用して、従来と同様の方
法により二次電池用の水素吸蔵電極を作製することがで
きる。有機バインダーの例としては、ポリビニルアルコ
ール(PVA) 、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ
エチレン(PE)、ポリエチレンオキサイド(PEO) 、カルボ
キシメチルセルロース(CMC) などがある。有機バインダ
ーの使用量は、水素吸蔵合金粉末の結合に必要な範囲内
で少量とすることが好ましく、通常は固形分として合金
粉末の2〜5重量%程度がよい。
【0040】電極の作製は、例えば、水素吸蔵合金粉末
と有機バインダーとを、適用な溶媒(例、水、アルコー
ル類、ケトン類など) を用いてスラリーまたはペースト
状にし、これを電極基板 (例えば、発泡金属板、多数の
貫通孔を持つパンチング板等) に塗着または充填し、乾
燥して溶媒を除去した後、ロール圧延することにより行
うことができる。ロール圧延は、電極内の水素吸蔵合金
粉末の充填密度を高めるために行われる。こうして作製
された水素吸蔵電極は、Ni−水素二次電池の負極として
有用である。
と有機バインダーとを、適用な溶媒(例、水、アルコー
ル類、ケトン類など) を用いてスラリーまたはペースト
状にし、これを電極基板 (例えば、発泡金属板、多数の
貫通孔を持つパンチング板等) に塗着または充填し、乾
燥して溶媒を除去した後、ロール圧延することにより行
うことができる。ロール圧延は、電極内の水素吸蔵合金
粉末の充填密度を高めるために行われる。こうして作製
された水素吸蔵電極は、Ni−水素二次電池の負極として
有用である。
【0041】本発明の水素吸蔵合金粉末は、球形粉末だ
けから構成されるが、球形の母粉末の表面に球形の微粉
末が付着させてあるため、圧延時の粉末滑りを起こさず
に円滑にロール圧延を行うことができ、それにより球形
粉末に固有の高い合金充填密度を実現でき、粉砕粉末の
場合より著しく高容量の電極が得られる。しかも、粉末
間が密着し、接点が多いため、高効率放電特性も改善さ
れ、大電流での放電が可能となる。
けから構成されるが、球形の母粉末の表面に球形の微粉
末が付着させてあるため、圧延時の粉末滑りを起こさず
に円滑にロール圧延を行うことができ、それにより球形
粉末に固有の高い合金充填密度を実現でき、粉砕粉末の
場合より著しく高容量の電極が得られる。しかも、粉末
間が密着し、接点が多いため、高効率放電特性も改善さ
れ、大電流での放電が可能となる。
【0042】
【実施例】実施例で用いた水素吸蔵合金は、表1に示す
組成を持つAB5 型金属間化合物およびAB2 型の合金
である。表中のMmはLa:約25%、Ce:約50%、Nd:約18
%、Pr:約7% (いずれも重量%) を含む希土類金属混
合合金 (ミッシュメタル)である。しかし、本発明は上
記組成に限定されるものではなく、二次電池に使用可能
なあらゆる組成の水素吸蔵合金に適用することができ
る。
組成を持つAB5 型金属間化合物およびAB2 型の合金
である。表中のMmはLa:約25%、Ce:約50%、Nd:約18
%、Pr:約7% (いずれも重量%) を含む希土類金属混
合合金 (ミッシュメタル)である。しかし、本発明は上
記組成に限定されるものではなく、二次電池に使用可能
なあらゆる組成の水素吸蔵合金に適用することができ
る。
【0043】
【表1】
【0044】上記組成の水素吸蔵合金は、Arガスアトマ
イズ法または回転電極法で球形粉末化し、条件を変化さ
せて粒径分布の異なる球形粉末を得た。また、比較のた
めに、鋳造・粉砕法でも粉末を作製した。ガスアトマイ
ズ法では、図1にも示すように、アスペクト比が1に近
いほぼ真球状の水素吸蔵合金粉末が得られた。回転電極
法で得られた球形粉末は、それよりアスペクト比が大き
くなることがあるが、アスペクト比が2を超えることは
なかった。鋳造・粉砕法で得られた粉末は、不規則形状
の不定形粉末である。
イズ法または回転電極法で球形粉末化し、条件を変化さ
せて粒径分布の異なる球形粉末を得た。また、比較のた
めに、鋳造・粉砕法でも粉末を作製した。ガスアトマイ
ズ法では、図1にも示すように、アスペクト比が1に近
いほぼ真球状の水素吸蔵合金粉末が得られた。回転電極
法で得られた球形粉末は、それよりアスペクト比が大き
くなることがあるが、アスペクト比が2を超えることは
なかった。鋳造・粉砕法で得られた粉末は、不規則形状
の不定形粉末である。
【0045】(仮焼結および解砕方法)ガスアトマイズ粉
末については、飛散距離を短くすることにより高温で
堆積させて回収し、仮焼結させる方法 (以下、高温回収
法という) と、通常の飛散距離で付着が起こらない条
件で回収した球形粉末を分級し、同種または異種の球形
微粉末と混合して熱処理することにより仮焼結させる方
法 (以下、混合熱処理法という) の2種類の方法を適用
した。の高温回収法における堆積時の水素吸蔵合金粉
末の温度は、合金Aでは700 ℃、合金Bでは800 ℃に
し、常温になるまで堆積させた。の混合熱処理法にお
ける熱処理温度は800 ℃に統一し、粉末温度が800 ℃に
到達した後、放置して常温まで冷却した。
末については、飛散距離を短くすることにより高温で
堆積させて回収し、仮焼結させる方法 (以下、高温回収
法という) と、通常の飛散距離で付着が起こらない条
件で回収した球形粉末を分級し、同種または異種の球形
微粉末と混合して熱処理することにより仮焼結させる方
法 (以下、混合熱処理法という) の2種類の方法を適用
した。の高温回収法における堆積時の水素吸蔵合金粉
末の温度は、合金Aでは700 ℃、合金Bでは800 ℃に
し、常温になるまで堆積させた。の混合熱処理法にお
ける熱処理温度は800 ℃に統一し、粉末温度が800 ℃に
到達した後、放置して常温まで冷却した。
【0046】いずれの方法でも、仮焼結後に、ジェット
式粉砕機 (セイシン企業製) を用いて、Arガス圧力5kg
/cm2で解砕を行った。異種の金属微粉末としては、ガス
アトマイズ法で製造された市販のNiおよびCoの球形粉末
を分級して用いた。
式粉砕機 (セイシン企業製) を用いて、Arガス圧力5kg
/cm2で解砕を行った。異種の金属微粉末としては、ガス
アトマイズ法で製造された市販のNiおよびCoの球形粉末
を分級して用いた。
【0047】回転電極法で得られた球形粉末は上記の
混合熱処理法に用いた。この場合には、この粉末に混合
した球形の微粉末はArガスアトマイズ法で得られた粉末
を分級したものであった。
混合熱処理法に用いた。この場合には、この粉末に混合
した球形の微粉末はArガスアトマイズ法で得られた粉末
を分級したものであった。
【0048】(付着粉末割合、母粉末/付着粉末の平均
直径とその比)得られた水素吸蔵合金粉末の母粉末に対
する付着粉末の割合と母粉末に対する付着粉末の平均直
径の比率を、前述した計算式により算出した。ここで、
仮焼結していない粉末 (の高温回収法の場合には、飛
散距離を長くして仮焼結が起こらないようにして同条件
がArガスアトマイズした粉末、の混合熱処理法の場合
には熱処理前の混合粉末) と、仮焼結後の解砕した粉末
の平均直径は、いずれも、レーザー回折式粒度分布測定
装置 (日機装製マイクロトラックFRA)で測定された粒度
分布図から累積重量50%の粒径値を求め、これを平均直
径とした。
直径とその比)得られた水素吸蔵合金粉末の母粉末に対
する付着粉末の割合と母粉末に対する付着粉末の平均直
径の比率を、前述した計算式により算出した。ここで、
仮焼結していない粉末 (の高温回収法の場合には、飛
散距離を長くして仮焼結が起こらないようにして同条件
がArガスアトマイズした粉末、の混合熱処理法の場合
には熱処理前の混合粉末) と、仮焼結後の解砕した粉末
の平均直径は、いずれも、レーザー回折式粒度分布測定
装置 (日機装製マイクロトラックFRA)で測定された粒度
分布図から累積重量50%の粒径値を求め、これを平均直
径とした。
【0049】また、の高温回収法における母粉末と付
着粉末の平均直径の絶対値は、前記計算式(a) および
(b) のAおよびBから、それぞれAおよび (B−A) /
2とした。の混合熱処理法では、混合前の各粉末の粒
度分布から平均直径を直接求めた。
着粉末の平均直径の絶対値は、前記計算式(a) および
(b) のAおよびBから、それぞれAおよび (B−A) /
2とした。の混合熱処理法では、混合前の各粉末の粒
度分布から平均直径を直接求めた。
【0050】(充填密度の測定)実施例で得られた水素吸
蔵合金粉末の充填密度を、次のようにタッピング法によ
り求めたタップ密度として求めた。容積100 ccのメスシ
リンダーに水素吸蔵合金粉末を均一に充填し、ストロー
ク:40mm、タッピング回数 800回 (2回/秒)の条件で
シリンダーをタッピングして粉末の体積を圧縮させた。
その後、粉末重量をその占有体積で除することにより、
最密充填密度の指標となるタップ密度の値が得られる。
蔵合金粉末の充填密度を、次のようにタッピング法によ
り求めたタップ密度として求めた。容積100 ccのメスシ
リンダーに水素吸蔵合金粉末を均一に充填し、ストロー
ク:40mm、タッピング回数 800回 (2回/秒)の条件で
シリンダーをタッピングして粉末の体積を圧縮させた。
その後、粉末重量をその占有体積で除することにより、
最密充填密度の指標となるタップ密度の値が得られる。
【0051】なお、各方法で得られた水素吸蔵合金粉末
の仮焼結していない状態でのタップ密度は、次の表2に
示す通りである。表2からわかるように、鋳造粉砕法で
得られた不定形粉末に比べて、ガスアトマイズ法や回転
電極法で得られた球形粉末はタップ密度 (充填密度) が
非常に高くなる。特に、形状が真球により近いガスアト
マイズ粉末のタップ密度が高くなることがわかる。
の仮焼結していない状態でのタップ密度は、次の表2に
示す通りである。表2からわかるように、鋳造粉砕法で
得られた不定形粉末に比べて、ガスアトマイズ法や回転
電極法で得られた球形粉末はタップ密度 (充填密度) が
非常に高くなる。特に、形状が真球により近いガスアト
マイズ粉末のタップ密度が高くなることがわかる。
【0052】
【表2】
【0053】次に、以下に説明するようにして実施例で
得られた水素吸蔵合金粉末から電極を作製し、電極中の
合金密度、電極容量および高効率放電特性を調べた。 (電極の作製)得られた水素吸蔵合金粉末に、結着剤とし
てPTFE (ポリテトラフルオロエチレン:ダイキン工業製
D−1タイプ) を1重量%、および増粘剤としてCMC(カ
ルボキシルメチルセルロース:分子量80,000) 4%水溶
液を10重量%添加して合金粉末をスラリー化した。
得られた水素吸蔵合金粉末から電極を作製し、電極中の
合金密度、電極容量および高効率放電特性を調べた。 (電極の作製)得られた水素吸蔵合金粉末に、結着剤とし
てPTFE (ポリテトラフルオロエチレン:ダイキン工業製
D−1タイプ) を1重量%、および増粘剤としてCMC(カ
ルボキシルメチルセルロース:分子量80,000) 4%水溶
液を10重量%添加して合金粉末をスラリー化した。
【0054】得られたスラリーを、パンチングプレート
(鉄製、電解Niメッキすみ) の両面に、合金塗布体積が
1cm3 となるように塗布した。その後、80℃に加熱して
乾燥させてから、ロールにて元の厚さの90%になるよう
に圧延し、試験用の水素吸蔵電極を作製した。
(鉄製、電解Niメッキすみ) の両面に、合金塗布体積が
1cm3 となるように塗布した。その後、80℃に加熱して
乾燥させてから、ロールにて元の厚さの90%になるよう
に圧延し、試験用の水素吸蔵電極を作製した。
【0055】(電極中の合金密度測定)こうして作製した
水素吸蔵電極の体積を、JIS Z2505 金属焼結材料の焼結
密度試験方法に規定された方法により求め、その後に基
体の重量と体積分を減じて、電極中の合金の密度を求め
た。
水素吸蔵電極の体積を、JIS Z2505 金属焼結材料の焼結
密度試験方法に規定された方法により求め、その後に基
体の重量と体積分を減じて、電極中の合金の密度を求め
た。
【0056】(電池の作製)得られた水素吸蔵合金負極
を、ポリアミド不織布のセパレータで包み込み、その両
側を、負極より充分大きな容量をもつ公知の焼結式水酸
化Ni極で挟み込んだ。こうして作製した極板を、電池容
器に挿入し、6N-KOH溶液を注入して、負極容量規制型の
Ni−水素電池を作製した。
を、ポリアミド不織布のセパレータで包み込み、その両
側を、負極より充分大きな容量をもつ公知の焼結式水酸
化Ni極で挟み込んだ。こうして作製した極板を、電池容
器に挿入し、6N-KOH溶液を注入して、負極容量規制型の
Ni−水素電池を作製した。
【0057】(電極の評価) (1) 電極容量:25℃の一定温度において50 mA/g の電気
容量で9時間充電した後、30分休止し、その後50 mA/g
の放電を行う、充電・放電サイクルを50回繰り返し、得
られた最大の容量を合金の電極容量とした。
容量で9時間充電した後、30分休止し、その後50 mA/g
の放電を行う、充電・放電サイクルを50回繰り返し、得
られた最大の容量を合金の電極容量とした。
【0058】得られた電極の重量からパンチングプレー
トの重量を減ずることで、合金+PTFE+CMC の重量を算
出する。PTFEは約1重量%、CMC は4%溶液を10重量%
添加したので0.4 重量%の重量増加となることから、
(合金+PTFE+CMC)×0.986 =合金重量となる。
トの重量を減ずることで、合金+PTFE+CMC の重量を算
出する。PTFEは約1重量%、CMC は4%溶液を10重量%
添加したので0.4 重量%の重量増加となることから、
(合金+PTFE+CMC)×0.986 =合金重量となる。
【0059】理想的には、合金重量×合金の電気化学容
量 (A:310 mAh/g 、B:380 mAh/g)の電極が得られる
はずであるが、合金の接触抵抗や導電コンタクトを持た
ない粉末が存在するために、理想容量より低い値しか得
られない。従って、実測により得られた値を表3に記
す。
量 (A:310 mAh/g 、B:380 mAh/g)の電極が得られる
はずであるが、合金の接触抵抗や導電コンタクトを持た
ない粉末が存在するために、理想容量より低い値しか得
られない。従って、実測により得られた値を表3に記
す。
【0060】(2) 高効率放電特性:上記電気量で50サイ
クルの充電・放電を繰り返した後、50mA/g の電気量で
充電し、その後900 mA/gの電気量で放電した。高効率放
電特性は、次式により算出される値により評価した。こ
の値が大きいほど、高効率放電特性が良好である。 [900 mA/g放電時の電極容量/50 mA/g 放電時容量] ×1
00(%) 。
クルの充電・放電を繰り返した後、50mA/g の電気量で
充電し、その後900 mA/gの電気量で放電した。高効率放
電特性は、次式により算出される値により評価した。こ
の値が大きいほど、高効率放電特性が良好である。 [900 mA/g放電時の電極容量/50 mA/g 放電時容量] ×1
00(%) 。
【0061】(合金の放電容量)本実施例に用いた合金単
体の放電容量を次のようにして調べた。100 μm以下の
粒度の合金粉末を重量で4倍の電解銅粉末と混合し、冷
間でコイン型ペレットに成形した。この成形体を負極と
して、上記と同様にNi−水素二次電池を作製し、50 mA/
g の電気量で12時間充電し、その後 50 mA/gの電気量で
酸化水銀標準電極に対して−0.65vまで放電した際の容
量を用いた。その結果、A合金は310 mAh/g 、B合金は
380 mAh/g の放電容量を有していることが判明した。
体の放電容量を次のようにして調べた。100 μm以下の
粒度の合金粉末を重量で4倍の電解銅粉末と混合し、冷
間でコイン型ペレットに成形した。この成形体を負極と
して、上記と同様にNi−水素二次電池を作製し、50 mA/
g の電気量で12時間充電し、その後 50 mA/gの電気量で
酸化水銀標準電極に対して−0.65vまで放電した際の容
量を用いた。その結果、A合金は310 mAh/g 、B合金は
380 mAh/g の放電容量を有していることが判明した。
【0062】以上の試験結果を、表3にまとめて示す。
なお、比較のために、合金AおよびBの鋳造粉砕で得ら
れた不定形粉末 (試験No.1,17)、合金Aのガスアトマイ
ズ粉を仮焼結が起こらないように堆積させ回収した球形
粉末 (試験No.2,18)、さらには特開平7−105943号、特
開平8−45505 号、および特開平8−17433 号の各公報
に記載の方法に準じた水素吸蔵合金粉末 (試験No.25 〜
27) についても、上と同様に試験を行い、その結果を表
3に併せて示す。
なお、比較のために、合金AおよびBの鋳造粉砕で得ら
れた不定形粉末 (試験No.1,17)、合金Aのガスアトマイ
ズ粉を仮焼結が起こらないように堆積させ回収した球形
粉末 (試験No.2,18)、さらには特開平7−105943号、特
開平8−45505 号、および特開平8−17433 号の各公報
に記載の方法に準じた水素吸蔵合金粉末 (試験No.25 〜
27) についても、上と同様に試験を行い、その結果を表
3に併せて示す。
【0063】
【表3】
【0064】表3から次の結論を導き出すことができ
る。
る。
【0065】(1) 試験No.1, 18のように鋳造粉砕で得ら
れた不定形粉末から作製した電極は、電極への充填密度
が低く、電極容量が小さい。従って、高容量のNi−水素
二次電池を得ることはできない。
れた不定形粉末から作製した電極は、電極への充填密度
が低く、電極容量が小さい。従って、高容量のNi−水素
二次電池を得ることはできない。
【0066】(2) 試験No.2, 19のようにガスアトマイズ
で得られた球形粉末をそのまま仮焼結させずに使用して
作製した電極は、タップ密度は高いものの、圧延時に粉
末が滑るため、電極密度はタップ密度より低くなる。ま
た、この圧延時の粉末の滑りによって粉末間の導電コン
タクトが悪くなるため、合金の利用率が下がり、電極容
量もNo.1の不定形粉末から作製した従来の電極と同程度
で、ほとんど改善されない。さらに、高効率 (大電流)
放電特性は、導電コンタクト不足のため、No.1の従来の
電極よりむしろ悪くなる。
で得られた球形粉末をそのまま仮焼結させずに使用して
作製した電極は、タップ密度は高いものの、圧延時に粉
末が滑るため、電極密度はタップ密度より低くなる。ま
た、この圧延時の粉末の滑りによって粉末間の導電コン
タクトが悪くなるため、合金の利用率が下がり、電極容
量もNo.1の不定形粉末から作製した従来の電極と同程度
で、ほとんど改善されない。さらに、高効率 (大電流)
放電特性は、導電コンタクト不足のため、No.1の従来の
電極よりむしろ悪くなる。
【0067】(3) 試験No.3〜8は、合金Aについて付着
粉末の平均直径の影響を調査した。付着粉末が母粉末の
1/10以上の大きな粉末になると (No.3, 4)、付着後の水
素吸蔵合金粉末のタップ密度や電極密度が付着前 (No.
2) に比べて大きく低下したが、電極容量や高効率放電
特性は付着によりいくらか向上した。しかし、同じ合金
種のガスアトマイズ粉を用いた公知例 (No. 26〜28) に
比べて小さな電極容量しか得られない。
粉末の平均直径の影響を調査した。付着粉末が母粉末の
1/10以上の大きな粉末になると (No.3, 4)、付着後の水
素吸蔵合金粉末のタップ密度や電極密度が付着前 (No.
2) に比べて大きく低下したが、電極容量や高効率放電
特性は付着によりいくらか向上した。しかし、同じ合金
種のガスアトマイズ粉を用いた公知例 (No. 26〜28) に
比べて小さな電極容量しか得られない。
【0068】これに対し、本発明に従って付着粉末の平
均直径が母粉末の1/10以下と小さくなると (No.5〜8)、
電極密度が大きく向上し、同時に電極容量や高効率放電
特性も著しく改善された。特に、付着粉末が母粉末の1/
20以下になると高効率放電特性の向上が顕著で、向上し
て大電流での放電が可能となる。
均直径が母粉末の1/10以下と小さくなると (No.5〜8)、
電極密度が大きく向上し、同時に電極容量や高効率放電
特性も著しく改善された。特に、付着粉末が母粉末の1/
20以下になると高効率放電特性の向上が顕著で、向上し
て大電流での放電が可能となる。
【0069】公知例の試験No.28 は、粉砕粉末からバイ
ンダーを含有せずに作製した焼結電極の例であるが、本
発明例の水素吸蔵電極はバインダーを含有するにもかか
わらず、この公知例より高い電極容量を実現でき、特に
高効率放電特性に関してはこの公知例より著しく向上し
ていることも注目される。
ンダーを含有せずに作製した焼結電極の例であるが、本
発明例の水素吸蔵電極はバインダーを含有するにもかか
わらず、この公知例より高い電極容量を実現でき、特に
高効率放電特性に関してはこの公知例より著しく向上し
ていることも注目される。
【0070】(4) 試験No.9〜10は付着粉末をNi粉末やCo
粉末にした場合である。これらの粉末は電気化学的容量
を持たないため、電極としての容量は多少小さくなるが
(比較例よりは大きな容量) 、導電コンタクトが良好と
なるため、高効率放電特性に優れる特徴を有する。
粉末にした場合である。これらの粉末は電気化学的容量
を持たないため、電極としての容量は多少小さくなるが
(比較例よりは大きな容量) 、導電コンタクトが良好と
なるため、高効率放電特性に優れる特徴を有する。
【0071】(5) 試験No. 11〜15は付着粉末の割合の影
響を示した試験である。付着割合が2%より少ないと
(No.11)、電極圧延時に粉末が滑り、電極密度が小さく
なり、得られる電極容量が小さくなる。また、高効率放
電特性も不芳となる。付着粉末の割合が20wt%を超える
と(No.15) 、が電極密度が低くなり、得られる電極容量
が小さくなる。
響を示した試験である。付着割合が2%より少ないと
(No.11)、電極圧延時に粉末が滑り、電極密度が小さく
なり、得られる電極容量が小さくなる。また、高効率放
電特性も不芳となる。付着粉末の割合が20wt%を超える
と(No.15) 、が電極密度が低くなり、得られる電極容量
が小さくなる。
【0072】(6) 試験No.16 は粒径の異なる2種類の合
金Aのガスアトマイズ粉を、本発明のように仮焼結によ
り付着させるのではなく、単に混合して使用した場合の
例を示す。便宜上、表3には、母粉末と付着粉末の欄に
それぞれの粉末の平均粒径を示したが、これは母粉末に
付着粉末が結合していることを意味するものではない。
表3からわかるように、平均粒径が母粉末の1/10以下の
水素吸蔵合金を、母粉末と単に混合しただけでは、タッ
プ密度は比較的高いものの、圧延時の粉末の滑りにより
電極密度は低くなり、電極容量や高効率放電特性は、仮
焼結させた本発明例に比べて著しく低くなる。
金Aのガスアトマイズ粉を、本発明のように仮焼結によ
り付着させるのではなく、単に混合して使用した場合の
例を示す。便宜上、表3には、母粉末と付着粉末の欄に
それぞれの粉末の平均粒径を示したが、これは母粉末に
付着粉末が結合していることを意味するものではない。
表3からわかるように、平均粒径が母粉末の1/10以下の
水素吸蔵合金を、母粉末と単に混合しただけでは、タッ
プ密度は比較的高いものの、圧延時の粉末の滑りにより
電極密度は低くなり、電極容量や高効率放電特性は、仮
焼結させた本発明例に比べて著しく低くなる。
【0073】(7) 試験No.17 は球形粉末を製造する手段
として、回転電極法を用いた場合である。ガスアトマイ
ズ法で得られた粉末と同様の効果が認められる。
として、回転電極法を用いた場合である。ガスアトマイ
ズ法で得られた粉末と同様の効果が認められる。
【0074】(8) 試験No. 18〜25は、合金Bに関する試
験である。合金Bは、合金Aより単位重量あたりの容量
が高いことから、試験No.1〜17 の電極より高い電極容
量が得られる。合金Bの場合も、付着粉末の付着割合ま
たは平均直径が本発明の範囲外になると、合金Aの場合
と同様の試験項目の低下が見られる。即ち、このことか
ら、本発明の効果は合金種によらず得られることがわか
る。
験である。合金Bは、合金Aより単位重量あたりの容量
が高いことから、試験No.1〜17 の電極より高い電極容
量が得られる。合金Bの場合も、付着粉末の付着割合ま
たは平均直径が本発明の範囲外になると、合金Aの場合
と同様の試験項目の低下が見られる。即ち、このことか
ら、本発明の効果は合金種によらず得られることがわか
る。
【0075】(9) 試験No. 26〜28は、公知例であるが、
同じ合金Aの本発明の水素吸蔵合金粉末に比べて、電極
容量や高効率放電特性は低くなる。
同じ合金Aの本発明の水素吸蔵合金粉末に比べて、電極
容量や高効率放電特性は低くなる。
【0076】
【発明の効果】本発明の水素吸蔵合金粉末と、この粉末
を用いた製造した二次電池用電極は、球形の母粉末の表
面に付着させた球形の微粉末の作用により、球形粉末の
特徴である高充填性を損なうことなく、電極圧延時の粉
末滑りの問題が軽減される。そのため、電極にした際
に、合金粉末が高密度に充填され、高容量の電極にな
る。さらに、付着粉末が粉末間の導電コンタクトを高め
るため、大電流放電 (高効率放電) で得られる容量も高
くなる。
を用いた製造した二次電池用電極は、球形の母粉末の表
面に付着させた球形の微粉末の作用により、球形粉末の
特徴である高充填性を損なうことなく、電極圧延時の粉
末滑りの問題が軽減される。そのため、電極にした際
に、合金粉末が高密度に充填され、高容量の電極にな
る。さらに、付着粉末が粉末間の導電コンタクトを高め
るため、大電流放電 (高効率放電) で得られる容量も高
くなる。
【0077】従って、本発明の水素吸蔵合金粉末を用い
ることで、高容量化と高効率放電特性の改善の両方を実
現することができ、Ni−水素二次電池の用途拡大に寄与
することができると期待される。
ることで、高容量化と高効率放電特性の改善の両方を実
現することができ、Ni−水素二次電池の用途拡大に寄与
することができると期待される。
【図1】本発明の水素吸蔵合金粉末の表面SEM写真で
ある。
ある。
【図2】上記SEM写真の模式図である。
【手続補正書】
【提出日】平成9年1月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永田 辰夫 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 (72)発明者 禰▲宜▼ 教之 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内
Claims (2)
- 【請求項1】 実質的に球形の水素吸蔵合金粉末の表面
に、該水素吸蔵合金粉末の平均直径の1/10以下の平均直
径をもつ実質的に球形の水素吸蔵合金および/または金
属の微粉末が、該水素吸蔵合金粉末の2〜20wt%の量で
付着していることを特徴とする、二次電池用水素吸蔵合
金粉末。 - 【請求項2】 請求項1に記載の水素吸蔵合金粉末を電
極基体に充填または塗着した水素吸蔵電極。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9003226A JPH10199521A (ja) | 1997-01-10 | 1997-01-10 | 水素吸蔵合金粉末および水素吸蔵電極 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9003226A JPH10199521A (ja) | 1997-01-10 | 1997-01-10 | 水素吸蔵合金粉末および水素吸蔵電極 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10199521A true JPH10199521A (ja) | 1998-07-31 |
Family
ID=11551543
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9003226A Pending JPH10199521A (ja) | 1997-01-10 | 1997-01-10 | 水素吸蔵合金粉末および水素吸蔵電極 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10199521A (ja) |
-
1997
- 1997-01-10 JP JP9003226A patent/JPH10199521A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20030819 |