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JPH10172546A - 電池用水素吸蔵合金粉末および電極 - Google Patents

電池用水素吸蔵合金粉末および電極

Info

Publication number
JPH10172546A
JPH10172546A JP8332170A JP33217096A JPH10172546A JP H10172546 A JPH10172546 A JP H10172546A JP 8332170 A JP8332170 A JP 8332170A JP 33217096 A JP33217096 A JP 33217096A JP H10172546 A JPH10172546 A JP H10172546A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
hydrogen storage
storage alloy
small
diameter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8332170A
Other languages
English (en)
Inventor
Tatsuo Nagata
辰夫 永田
Hideya Kaminaka
秀哉 上仲
Noriyuki Negi
教之 禰▲宜▼
Yukiteru Takeshita
幸輝 竹下
Koichi Kamishiro
光一 神代
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP8332170A priority Critical patent/JPH10172546A/ja
Publication of JPH10172546A publication Critical patent/JPH10172546A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 Ni−水素二次電池の負極に用いる、有機物バ
インダーを含む水素合金電極の水素合金粉末の充填密度
と粉末間の電気的接触の両者を改善して、負極活物質の
利用率を向上させ、繰り返し充放電による利用率低下を
抑制する。 【解決手段】 大径粉末が球形粉末 (例、ガスアトマイ
ズ粉) で、小径粉末が球形粉末または不定形粉末 (粉砕
粉) であり、平均粒径比が大径粉末:小径粉末=2:1
〜10:1である、大小2種類の水素吸蔵合金粉末を、大
径粉末:小径粉末の重量比=5:1〜1.5 :1の割合で
混合して電極作製に用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、AB5 型、AB2
型、A2B型、固溶体型などのNi−水素二次電池用水素
吸蔵合金粉末と、それを用いて作製した二次電池用の電
極とに関する。本発明の水素吸蔵合金粉末から有機物バ
インダーを用いて作製した電極は、活物質である水素吸
蔵合金の利用率が高く、長期寿命に優れるNi−水素二次
電池を構成することができる。
【0002】
【従来の技術】AV機器やノート型パソコンのメモリー
・バックアップ用に用いる小型二次電池としては、アル
カリ二次電池の1種であるNi−Cd電池が使用されてき
た。しかし、Cdの公害問題、Cdが亜鉛精錬の副産物であ
るという資源量制約の問題、そしてより高電気容量の二
次電池開発といった観点から、Cdの代わりに水素吸蔵合
金を用いたアルカリ二次電池であるNi−水素二次電池が
開発された。
【0003】このNi−水素二次電池は、従来のアルカリ
二次電池であるNi−Cd電池やNi−Zn電池に比べて容量が
大きいため、小型二次電池として既に各種の分野で使用
されている上、地球環境問題から無公害車として利用が
拡大しつつある電気自動車用の二次電池としての利用も
検討されており、今後ますます普及するものと期待され
ている。
【0004】Ni−水素二次電池の負極活物質に適した水
素吸蔵合金として検討されてきた主な合金系は、LaNi5
やMmNi5(Mmは希土類金属混合物であるミッシュメタル)
で代表されるAB5 型の結晶構造をとる金属間化合物
と、ZnV0.4Ni1.6 で代表されるAB2 型のラーベス相構
造をとる金属間化合物と、Ti2Ni やMg2Ni で代表される
2B型金属間化合物である。実用化に関しては、AB
5 型の水素吸蔵合金の方が進んでいるが、AB2 型構造
の水素吸蔵合金も高容量を示すので有望である。近年に
なり、より一層の高容量化のために、Vを主成分とする
固溶体型水素吸蔵合金についても検討が進められてい
る。
【0005】水素吸蔵合金を用いたNi−水素二次電池の
電極は、粉末状にした水素吸蔵合金をバインダーとなる
有機物と一緒にスラリーまたはペースト状とした後、こ
れを電極基板上に塗布または充填し、乾燥後に水素吸蔵
合金粉末の充填密度を高めるためにロール圧延等により
加圧することにより作製することが一般的である。
【0006】こうして作製されたシート状の電極を負極
とし、アルカリ電解液(水酸化カリウム水溶液等)を含
浸させた不織布製のセパレータを間に挟んで、Ni製のシ
ート状正極と一緒に渦巻き状に巻いて、円筒形の密閉容
器内に収容すると、円筒形のNi−水素二次電池が製造さ
れる。
【0007】別の水素吸蔵合金電極の作製方法として、
有機物バインダーを使用せずに成形した後、高温に加熱
して水素吸蔵合金粉末を焼結させる方法も行われてい
る。この焼結電極は、絶縁性の有機物を含んでいないの
で、合金粉末の充填密度が上がり、高容量の電池を作製
することができるが、高温の加熱工程が必要で高価であ
る上、得られた電極に可撓性がなく、渦巻き状に曲げ加
工することが困難であるため、次に述べる角型電池とし
て使用するか、或いは加工性を維持するために焼結の程
度を弱くし、電気的特性をある程度犠牲にする必要があ
った。
【0008】角型のNi−水素二次電池は、矩形に裁断し
た複数枚のシート状の負極、正極、およびセパレータを
矩形容器内に組み込んだものである。しかし、複数枚の
極板やセパレータを組み込むため電池の構造が複雑にな
る上、内部で水素が発生するNi−水素二次電池の容器に
は耐圧性が必要であるが、角型は耐圧性の確保に不利で
あり、容器の作製が複雑かつ高価になるので、円筒形電
池に比べてかなり高価な電池になる。
【0009】水素吸蔵合金の粉末化法は、溶解した水素
吸蔵合金を金属製等の鋳型に鋳造した後、得られたイン
ゴットを粉砕する方法と、ガスアトマイズ法や回転電極
法等により直接粉末状の水素吸蔵合金を得る方法とに大
別される。得られる粉末の形状は、前者の方法では不定
形であり、後者の方法ではほぼ球形である。他に、回転
ドラム法等により得た薄帯状の水素吸蔵合金粉末を粉砕
した、不定形の粉末もある。
【0010】水素吸蔵合金を電極として使用する場合、
水素吸蔵合金の粉末が電気的接触を保った状態で電極上
に存在する必要があり、何らかの原因で電気的接触が断
たれた粉末粒子が存在すると、その粒子は電極反応に寄
与できなくなり、電気を貯える機能を示さなくなる。電
極作製時や電池の使用中にこのような粉末粒子が多く存
在すると、高容量の水素吸蔵合金粉末を用いても、或い
は粉末の充填密度が高くても、電極容量は低下してしま
う。この粉末間の電気的接触の欠如は、特に有機物バイ
ンダーを用いた電極で問題となり、これは電気伝導性の
低い有機物が粉末粒子間に存在することに起因すると考
えられる。
【0011】球形の水素吸蔵合金粉末を用いて電極への
合金充填率を向上させる方法が、特開平3−116655号公
報等に述べられているが、球形粉末は粉末粒子間の接触
が点接触となり、電気的接触面積が小さいため、合金粉
末の充填密度は高くなっても、電極として利用可能な容
量が小さくなることがある。また、電極に塗布された水
素吸蔵合金粉末は、電池の充放電(即ち、水素の吸収・
放出)の繰り返しごとに起こる体積の膨張・収縮による
歪み等が原因となって、細かなひび割れにより微粉化す
ることが知られているが、接触点の少ない球形粉末の場
合には、ひび割れにより1つの粒子が分割され、接触点
が粒子本体から切り離される確率が高く、充放電の繰り
返しにより容量が低下しやすいという問題もある。従っ
て、水素吸蔵合金粉末の充填密度をあげる手法だけでは
電極としての容量を上げることができず、粉末粒子間の
電気的接触を多くする工夫が必要であることは明らかで
ある。
【0012】水素吸蔵合金粉末の電気的接触を改善する
方法として、粉末表面を金属被覆する方法や金属粉末を
混合する方法が、特開平4−171663号公報、特開平5−
343053号公報等に開示されているが、表面被覆処理は高
価であり、また金属粉を混合する方法では、容積が限定
されている電池では、金属粉を添加した量だけ水素吸蔵
合金粉末の充填量を減らさなければならないため、電極
容量はむしろ低下するという問題がある。
【0013】水素吸蔵合金を水素貯蔵用に使用する場
合、ある限られた体積の容器内に合金粉末を充填して使
用するため、粉末充填率を上げると水素貯蔵量が向上で
きることが知られている。特開平7−180926号公報およ
び特開平8−104501号公報は、ヒートポンプ等に用いる
ガス吸収用合金粉末の充填密度向上に関するものであ
り、異なる粒径の粉末を混合して高密度充填を得てい
る。このようなガス吸収用の場合、合金粉末間の空隙を
水素ガスが移動し、ガスが水素吸蔵合金に貯蔵されれば
よく、粉末粒子間の電気的接触はガス吸収性能とは無関
係である。この従来技術は、粉末の充填率を上げること
が目的であって、前述したように、充填密度を上げるだ
けでは、水素吸蔵合金粉末の電気的接触は改善されな
い。
【0014】特開平8−138659号公報には、異形粉とア
スペクト比の小さい球状に近い粉末を混合して粉末流動
性を改善することにより、水素吸蔵合金粉末の充填密度
を向上させることが記載されている。また、特開平8−
37004 号公報には異なる粒径の球状粒子を混合して、水
素吸蔵合金粉末の充填密度を改善する方法が開示されて
いる。しかし、これらはいずれも、有機物バインダーを
含有しない焼結電極における改善例であり、焼結電極で
は焼結時の粉末同志の融着により粉末間の電気的接触が
確保される。従って、焼結による電気的接触が得られな
い、バインダー含有電極に対し、これらの手法を適用し
ても、電気的接触が改善されるかどうかは疑問である。
【0015】特開平7−105943号公報には、平均粒径が
ほぼ等しい球状粉と粉砕粉との混合粉末からバインダー
を用いて水素吸蔵合金電極を製造することが記載されて
いる。接触面積の大きい粉砕粉を球状粉に混合すること
により低率放電特性と高率放電特性の両方が向上すると
説明されている。しかし、粉砕粉の混合により粉末の充
填密度が低下するので、放電容量はかえって低下する傾
向がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】以上に説明したよう
に、有機物バインダーを含有する非焼結型のNi−水素二
次電池用の水素吸蔵合金電極において、合金粉末の充填
密度と粉末間の電気的接触の両者を同時に改善できる手
段は未だ確立していないのが現状である。
【0017】本発明の目的は、この充填密度と粉末間の
電気的接触を両者を改善することができ、合金粉末の電
極での利用率が高く、繰り返し充放電による利用率低下
が抑制された水素吸蔵合金粉末と、それを用いた二次電
池用のバインダー含有電極とを提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Ni−水素
二次電池用のバインダー含有水素吸蔵合金電極における
合金粉末の利用率に関して研究を行った。ここで、合金
粉末の利用率とは、負極活物質である水素吸蔵合金粉末
がNi−水素二次電池の充放電過程で有効利用された割合
を示す指標であり、実際にNi−水素二次電池で到達した
最大放電容量の理論放電容量(真の放電容量)に対する
比率である。
【0019】理論放電容量の値としては、水素吸蔵合金
粉末を低抵抗の銅粉末をバインダーとして成形して作製
した水素吸蔵電極で得られた最大放電容量の値を使用す
る。この電極の最大放電容量を、有機物をバインダーと
して成形した水素吸蔵電極の最大放電容量と比較した結
果、前者の電極の方が活物質単位重量当たりの放電容量
が高く、後者の電極では活物質の利用率が低下した。こ
れは、後者の電極では、絶縁性の有機物が合金粉末間に
存在することにより、粉末間の電気的接触が妨げられた
ためである。
【0020】粉末の充填密度が高い球形粉から作製した
有機物バインダーを含有する電極は、不定形の粉砕粉を
用いた同様の電極に比べて、粉末の充填密度が高いた
め、電極の単位面積当たりの活物質塗布量は多くなる
が、充放電試験で実際の放電容量を調べると、両者の間
に放電容量の大きな差はなかった。つまり、球形粉は、
充填率が向上するため、合金粉末の塗布量は増大するの
に、電気的接触が点接触となって活物質の利用率が粉砕
粉より低くなるため、電極の放電容量向上には必ずしも
結びつかないことが判明した。
【0021】そこで、平均粒径の異なる大小2種類の球
形粉を混合した粉末を用いて有機物バインダーの電極を
作製したところ、電極容量に大きな向上が認められた。
粒径の小さな粒子が大きな粒子の間に入り、電気的接触
点数が増加することにより、活物質の利用率が向上した
ために容量が向上したと考えられる。
【0022】この点についてさらに検討した結果、大径
粉末と小径粉末が粒径比および混合比が一定範囲内にあ
る時に、特に充填密度が高く、電極容量が高くなるこ
と、および小径粉末は球形粉ではなく、粉砕粉のように
不定形粉末でも同様の結果が得られることを見出し、本
発明に到達した。
【0023】本発明は、大径粉末が球形粉末で、小径粉
末が球形または不定形粉末であり、平均粒径比が大径粉
末:小径粉末=2:1〜10:1である、大小2種類の水
素吸蔵合金粉末を、大径粉末:小径粉末の重量比=5:
1〜1.5 :1の割合で混合した混合粉末からなる、バイ
ンダーを含有する水素吸蔵電極用の水素吸蔵合金粉末で
ある。本発明によればまた、上記水素吸蔵合金粉末と有
機物バインダーとから作製されたNi−水素二次電池用水
素吸蔵電極も提供される。
【0024】ここで、球形粉末とは、実質的に球形の形
状を有していればよく、具体的にはアスペクト比2以下
の球形粉末までが許容される。このような球形粉末は、
ガスアトマイズ法や回転電極法により得ることができ
る。一方、不定形粉末とは、球形粉末以外の全ての粉末
を意味するが、代表的には粉砕粉である。前述した薄帯
状の水素吸蔵合金を粉砕した粉末も不定形粉末に含まれ
る。
【0025】水素吸蔵合金粉末の粒径は、粒径が最大と
なる方向で測定した粒径を意味し、平均粒径は体積累積
が50%となる粒径である。平均粒径は、例えば、レーザ
ー回折式粒度分布測定装置により求めることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の水素吸蔵合金粉末は、充
填密度と粉末間の電気的接触面積とを改善するのに有効
な粒子形態および粒径を規定した点に特徴があり、この
効果は水素吸蔵合金の合金組成によらず得ることができ
る。従って、水素吸蔵合金粉末の合金組成は特に制限さ
れず、Ni−水素電池等の二次電池の電極として利用可能
な任意の組成のものでよい。
【0027】この種の代表的な水素吸蔵合金は、AB5
型、AB2 型、A2B型、および固溶体型の水素吸蔵合
金である。AB5 型水素吸蔵合金の例は、LaNix または
MmNix (xは4.7 〜5.2)を基本構造とし、Niの一部をCo、
Mn、Al、Fe、Cr、Cu、V、Be、Zr、Ti、Moなどの1種も
しくは2種以上の元素で置換したものである。LaNix
高価である上、寿命低下が速いので、実用的にはMmNix
の使用が好ましい。
【0028】AB2 型水素吸蔵合金の例は、ZrNiy (yは
1.9〜2.25) を基本構造とし、Niの一部をV、Mn、Cr、
Co、Fe、Al、Mo、Cu、Beなどの1種もしくは2種以上の
元素で置換したものである。具体例としてはZr1.0V0.4N
i1.6, Zr1.0Mn0.6Cr0.2Ni1.2, Zr1.0Ni1.2Mn0.6V0.2Co
0.1, Zr1.0Ni1.2Mn0.6V0.2Fe0.1, Zr1.0V0.4Ni1.6など
がある。
【0029】A2B型水素吸蔵合金の例は、Mg2Ni を基
本とするものであり、作製方法としては溶解による方法
以外に、メカニカルアロイ化等の粉末冶金の手法で作製
してもよい。固溶体型水素吸蔵合金は、Vを主成分と
し、これにAl、Ti、Cr、Mn、Zr、Nb、Mo、Cu等のの1種
もしくは2種以上が固溶した組成を持ち、溶製法により
作製することができる。
【0030】溶製による水素吸蔵合金の製造方法には、
急冷凝固法とインゴット法がある。急冷凝固法として
は、ガスアトマイズ法や回転電極法といった球形粉末を
得る方法と、回転ドラム上や水冷銅板上に注湯して薄帯
状の水素吸蔵合金を得る方法とに大別される。インゴッ
トや薄帯状の水素吸蔵合金は、その後に粉砕して粉末化
する必要がある。粉砕法としては、機械的な粉砕 (例、
インゴットで粗粉砕と微粉砕の組合わせ) の他に、水素
を吸蔵させた時の体積膨張を利用した粉砕も可能であ
る。
【0031】急冷凝固法で製造した水素吸蔵合金粉末
は、急冷歪みを緩和するように熱処理を施すことが好ま
しい。また、水素吸蔵合金粉末の表面活性を高めるため
に、酸やアルカリで表面処理することが知られている
が、本発明で用いる水素吸蔵合金粉末についても、この
ような各種の表面処理を適用してもよい。
【0032】本発明では、平均粒径の異なる大小2種類
の水素吸蔵合金粉末を使用し、大径粉末は球形粉末であ
る。従って、大径粉末は、ガスアトマイズ法または回転
電極法で作製することができる。中でも、真球に近いほ
ぼ完全な球状の球形粉末が得られるガスアトマイズ法が
好ましい。
【0033】小径粉末の方は、球形粉末でも不定形粉末
でもよいので、上述したいずれの方法で水素吸蔵合金粉
末を作製してもよい。例えば、インゴットを粉砕した粉
砕粉も使用することができる。しかし、一般に急冷凝固
法で作製した水素吸蔵合金の方が、冷却速度の遅いイン
ゴット法で作製したものより、偏析が少なく耐食性に優
れることから、急冷凝固法で作製した球形粉末 (例、ガ
スアトマイズ粉) や不定形粉末 (薄帯状の水素吸蔵合金
を粉砕したもの) が好ましい。
【0034】2種類の水素吸蔵合金粉末の平均粒径比
は、大径粉末:小径粉末=2:1〜10:1とする。大小
の水素吸蔵合金粉末がこの範囲内の粒径比にあれば、有
機物バインダーの電極を作製した時に、活物質の利用率
を著しく向上させることができる。小径粉末の平均粒径
が、大径粉末の平均粒径の1/10より小さいか、或いは
1/2より大きくなると、大小2種類の水素吸蔵合金粉
末を混合しても、活物質の利用率はあまり改善されな
い。
【0035】例えば、小径粉末の平均粒径が小さすぎる
と、大径粉末間の空隙を小径粉末が埋めても、隙間が大
きいため、充填密度は向上するものの、電気的接触は改
善されないので、活物質の利用率はさほど向上しない
上、比表面積が増大するため、耐食性が低下し、充放電
繰り返し寿命が大きく低下する。逆に、小径粉末の平均
粒径が大きすぎると、大径粉末の配置が乱れるため、充
填密度が低下すると同時に、大径粒子間の接触も悪くな
り、活物質の利用率の向上は得られない。この平均粒径
比は、好ましくは大径粉末:小径粉末=3:1〜5:1
である。
【0036】なお、大径粉末の平均粒径は、30〜120 μ
mの範囲内、特に40〜60μmの範囲内が好ましい。大径
粉末の平均粒径が小さすぎると、さらに小さい小径粉末
の平均粒径が小さくなりすぎ、比表面積が大きくなり過
ぎて、充放電繰り返し寿命が低下することがある。大径
粉末の平均粒径が大き過ぎると、水素吸蔵合金粉末の充
填密度が低下し、十分な放電容量が得られない。
【0037】上述した大小2種類の水素吸蔵合金粉末の
混合粉末を用いて、有機物バインダーの電極の活物質の
利用率を著しく向上させるには、この2種類の粉末の混
合比を、大径粉末:小径粉末の重量比=5:1〜 1.5:
1の範囲内とすることが適切である。小径粉末が5:1
より少ないと、大径粉末の間隙に入る小径粉末が少なす
ぎて、十分な利用率の改善効果が得られない。小径粉末
が 1.5:1より多くなると、大径粉末の間隙に充填する
のに必要な量より小径粉末が多くなりすぎ、大径粉末の
配列が乱れて、充填密度が低下するだけでなく、比表面
積が大きい小径粉末が増加するため、耐食性が劣化し、
充放電繰り返し寿命が低下する。この混合比は、好まし
くは大径粉末:小径粉末の重量比=4:1〜 1.5:1の
範囲内である。
【0038】このように、大小2種類の水素吸蔵合金粉
末を使用する本発明において、電極特性が改善される適
正な平均粒径比および混合比は、充填密度が最大となる
平均粒径比および混合比よりかなり広い範囲である。こ
れは、最大充填密度に必要な条件より大径粉末がやや多
いか、少なくなっても、或いは粒径がやや大きいか、小
さくなっても、不完全な充填状態となるために、かえっ
て一部の接触点では局所的に高い接触面圧で接すること
になり、この接触点で良好な電気的接触が実現するため
と考えられる。
【0039】即ち、最大充填密度が得られる混合条件で
は、小径粉末が大径粉末の間隙にきれいに納まるため
に、接触点数が多く、各接触点に加わる圧力がほぼ均等
となり、良好な電気的接触が得られる。一方、最大充填
密度が得られる条件より平均粒径比または混合比が少し
ずれた条件では、粉末間の接触点数は減少するものの、
一部の接触点では強い圧力が加わるため、そのような接
触点における電気的接触が良好となる。その結果、電極
全体の電気伝導性は最大充填密度の場合と同様に改善さ
れ、最大充填密度となる混合条件よりも広い範囲で、改
善された電極特性を得ることができる。
【0040】前述したように、大径粉末としては球形粉
末を使用する。大径粉末が不定形であると、充填密度が
低下するため、放電容量を非常に高くすることができな
い上、比表面積が増大するので、耐食性劣化による充放
電繰り返し寿命の低下が大きくなる。
【0041】しかし、大径粉末の間隙に充填される小径
粉末の方は、球形粉末と不定形粉末のいずれでもよい。
小径粉末が不定形粉末であると、球形粉末を使用した場
合に比べて、充填密度はやや減少するものの、電極特性
はむしろ改善される。これは、粉砕した不定形の粉末粒
子には平面が多数あるため、曲面で構成される球形粉末
より粉末接触面積が大きくなり、利用率の改善効果の点
では球形粉末より優れているためである。即ち、不定形
の小径粉末は、充填性では不利ではあるが、利用率が向
上するため、電極としての特性は、より充填密度が高く
なる小径粉末が球形粉末である場合と同様に、改善する
ことができる。
【0042】本発明の水素吸蔵合金粉末から有機物バイ
ンダーを使用して、従来と同様の方法により二次電池用
の電極を作製することができる。有機物バインダーの例
は、ポリビニルアルコール(PVA) 、ポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンオキ
サイド(PEO) 、カルボキシメチルセルロース(CMC) 等で
ある。有機物バインダーの使用量は、水素吸蔵合金粉末
の結合に必要な範囲内で少量とすることが好ましく、通
常は合金粉末の 0.1〜5重量%程度がよい。
【0043】電極の作製は、例えば、水素吸蔵合金粉末
と有機物バインダーを、適用な溶媒(例、水、アルコー
ル類など) を用いてスラリーまたはペースト状にし、こ
れを電極基板 (例えば、発泡金属板、多数の貫通孔を持
つパンチング板等) に塗布し、乾燥して溶媒を除去した
後、ロール加圧もしくはプレスして成形することにより
行うことができる。
【0044】
【実施例】以下に述べる実施例では、Mm1.0Ni3.55Co
0.75Mn0.4Al0.3 という化学組成を持つAB5 型の水素
吸蔵合金を用いた。この水素吸蔵合金の作製に用いた原
料は、純度99.9%のフレーク状Ni、純度99.8%の電解C
o、純度99.9%のショット状Al、純度99.8%の板状電解M
n、純度99.8%以上のミッシュメタル (Mm、La=28%、C
e=48%、Nd=18%、Pr=6%) であった。
【0045】これらの原料を所定比率に混合し、急冷凝
固法であるArガスアトマイズ法(75kg/ch)により水素吸
蔵合金の球形粉末 (アトマイズ粉) を、高周波誘導加熱
真空溶解法により鋳造したインゴット(100 kg/ch) の機
械粉砕 (Arガス雰囲気中、ディスクグラインダーで粗
粉砕後にアトリションミルで微粉砕) により水素吸蔵合
金の不定形粉末 (粉砕粉) をそれぞれ作製した。アトマ
イズ粉は、純度99.99%のAr雰囲気中で900 ℃×10hrの
熱処理を施した。
【0046】アトマイズ粉と粉砕粉のいずれも、篩い分
けにより、平均粒径の異なる各種の粉末を調製した。こ
の分級における各平均粒径の粉末の粒度分布は次の通り
である。
【0047】
【表1】
【0048】(実施例1)本実施例は、大径粉末と小径
粉末の両方ともがアトマイズ粉、即ち、球形粉末である
水素吸蔵合金の混合粉末について例示する。
【0049】篩い分けで得られた平均粒径100 μmのア
トマイズ法の球形粉末を大径粉末として使用し、これを
平均粒径がより小さいアトマイズ法の球形粉末と所定比
率で混合した。なお、大径粉末の平均粒径を100 μmに
したのは、小径粉末との平均粒径比を算出し易くするた
めであり、この平均粒径が大径粉末に最適であるという
ことではない。
【0050】この水素吸蔵合金の混合粉末100 gに有機
物バインダー (ポリビニルアルコール) の5%水溶液30
gを添加し、混練した。得られた合金粉末のペーストを
ニッケル製発泡状金属多孔体 (例、住友電工製セルメッ
ト) に充填し、乾燥した後、1.5 ton/cm2 の圧力でロー
ル加圧により成形して、合金粉末をNi多孔体内に担持さ
せ、電極を作製した。この電極の水素吸蔵合金粉末の担
持量は最大で5gを目標とした。
【0051】この電極を負極とし、正極には市販の公称
2000mAのNi電極を用い、正極と負極の間に6N-KOHのアル
カリ電解液を含浸させたナイロン不織布をセパレータと
して挟んで渦巻き状に巻き、単2型の円筒形ケースに収
容して密閉することにより、試験用のNi−水素二次電池
を作製した。この電池は、負極容量が小さい負極容量規
制型の電池である。この電池を、50 mA/g(水素吸蔵合金
1gあたり50 mA を意味する) の電流で10サイクルの充
放電試験を行い、得られた最大の放電容量を、その水素
吸蔵合金電極の実際の放電容量とした。
【0052】別に、試験した水素吸蔵合金粉末の真の放
電容量を調べるため、水素吸蔵合金粉末に重量で4倍量
の銅粉末を混合し、混合粉末を2ton/cm2 で加圧成形し
たペレット状電極を負極に用いて、上と同様にNi−水素
二次電池を作製した。この電池も50 mA/g の電流で充放
電試験を10サイクル行い、得られた最大の放電容量をそ
の水素吸蔵合金粉末の真の放電容量とした。これらの結
果から、次式により粉末利用率を算出し、電極特性を判
定した。粉末利用率が90%以上あれば、水素吸蔵合金電
極性能は合格である。
【0053】
【数1】
【0054】混合粉末の耐食性については、試験用Ni−
水素二次電池の充放電試験を100 サイクル行い、最大放
電容量に比べた100 サイクル後の放電容量の低下量[(最
大放電容量) −(100サイクル後の放電容量)]から、次式
により容量低下率を算出して、判定した。この容量低下
率が10%以下であれば、水素吸蔵合金粉末の耐食性は合
格である。
【0055】
【数2】
【0056】混合粉末の充填密度は、タップ試験により
評価した。この試験ではホソカワミクロン社製パウダテ
スタによりタップ密度を求めた。このタップ密度が5.2
g/cm3 以上であれば充填密度は十分であり、5.5 g/cm3
以上であれば充填密度は非常に高い。以上の試験結果
を、大小2種類の粉末の平均粒径および混合比と共に表
2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】表2から、大径粉末だけの単一球形粉末で
は、タップ密度、粉末利用率、容量低下率のいずれも不
十分であることがわかる (試験No. 8)。また、小径粉末
に相当するより平均粒径の小さい球形粉末だけでも、や
はりタップ密度、粉末利用率、容量低下率のいずれも改
善することができなかった(試験No.13, 14)。
【0059】これに対し、本発明に従って、大径粉末に
小径粉末を混合すると、タップ密度、粉末利用率、容量
低下率のいずれも大きく改善され、放電容量が高く、充
放電繰り返し寿命の長い、高性能のNi−水素二次電池が
得られることがわかる。
【0060】大径粉末に小径粉末を混合しても、小径粉
末の平均粒径が本発明の範囲外であるか (試験No.9、1
0) 、小径粉末の混合比が本発明の範囲外であると (試
験No.11、12) 、粉末の利用率や容量低下率はなお不十
分なままであり、タップ密度の向上もそれほど大きくは
なかった。小径粉末の粒径があまりに小さいと、比表面
積が大きくなり過ぎ、電解液との接触面積が増加するた
め、腐食による容量低下率が著しく大きくなる (試験N
o.10)。
【0061】試験No.10 と12は、水素貯蔵用の水素吸蔵
合金粉末に関する特開平7−180926号公報に相当する混
合粉末であるが、粉末の充填性を示すタップ密度は、単
一粒径材であるNo.8より高く、充填密度の向上はいくら
か認められたが、粉末利用率と耐食性については十分な
改善効果が認められなかった。即ち、電極としての特性
は十分に改善されない。
【0062】(実施例2)小径粉末として、ガスアトマ
イズ法で得られた球形粉末に代えて、インゴットを粉砕
した不定形粉末を使用した以外は、実施例1を繰り返し
た。試験結果を、大小2種類の粉末の平均粒径および混
合比と共に表3に示す。
【0063】
【表3】
【0064】表3から、本発明に従って不定形の小径粉
末を球形の大径粉末に混合した混合粉末は、小径粉末が
球形粉末である実施例1に比べて、タップ密度 (即ち、
充填密度) が低下することがわかる。しかし、粉末の利
用率は、逆に不定形の小径粉末を用いた方が、球形粉末
を用いた実施例1より良好な結果が得られた。充填密度
が低いにもかかわらず、粉末利用率が高くなるのは、前
述したように、実施例1のように球形粉末同士を混合し
た場合に比べて、不定形粉末を混合すると接触面積が大
きくなるためである。
【0065】本実施例で不定形粉末として用いたインゴ
ット粉砕粉は、冷却速度が遅いため成分偏析が多く、ア
トマイズ粉のような急冷凝固法で得られた粉末より耐食
性が低い。そのため、アトマイズ粉同志を混合した実施
例1に比べて、容量低下率はやや大きくなったが、なお
満足できる水準であった。即ち、大径の球形粉末に混合
する小径粉末がインゴット粉砕粉であっても、放電容量
が高く、充放電繰り返し寿命も良好なNi−水素二次電池
を作製することができる。なお、不定形粉末として、急
冷凝固法で得られた薄帯状の合金を粉砕した粉末を使用
すれば、表3に示したものより容量低下率は小さくなる
ものと推測される。
【0066】平均粒径が100 μmの大径の不定形粉末だ
けからなる単一粉末 (試験No.8) では、粉末のタップ密
度 (充填密度) は、同じ平均粒径の球形粉末だけの時
(表1の試験No.8) に比べて低くなったが、接触面積が
大きいため、粉末利用率は高くなった。しかし、耐食性
が不十分なため、容量低下率も大きくなり、充放電繰り
返し寿命は短くなる。
【0067】一方、小径粉末の平均粒径または混合比が
本発明の範囲外である比較例 (試験No.9〜12) では、実
施例1の時と同様に、粉末の利用率と容量低下率のどち
らも十分に改善することができなかった。
【0068】
【発明の効果】本発明の水素吸蔵合金粉末は、これから
有機物バインダーを使用して電極を作製した時に、粉末
の充填密度と電気的接触の良好な電極を得ることができ
る。その結果、この電極を用いてNi−水素二次電池とし
た時に、負極活物質の水素吸蔵合金粉末の利用率が高
く、放電容量の高い二次電池になる。また、大径粉末が
球形であり、比表面積が比較的小さいので、耐食性も良
好であり、充放電繰り返し寿命も改善され、高性能のNi
−水素二次電池用電極が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹下 幸輝 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 (72)発明者 神代 光一 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大径粉末が球形粉末で、小径粉末が球形
    または不定形粉末であり、平均粒径比が大径粉末:小径
    粉末=2:1〜10:1である、大小2種類の水素吸蔵合
    金粉末を、大径粉末:小径粉末の重量比=5:1〜1.5
    :1の割合で混合した混合粉末からなる、バインダー
    を含有する水素吸蔵電極用の水素吸蔵合金粉末。
  2. 【請求項2】 請求項1の水素吸蔵合金粉末と有機物バ
    インダーとから作製されたNi−水素二次電池用水素吸蔵
    電極。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002017415A1 (fr) * 2000-08-22 2002-02-28 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Batterie alcaline de stockage et electrode en alliage absorbant l'hydrogene utilisee dans ladite batterie
JP2002246015A (ja) * 2001-02-14 2002-08-30 Matsushita Electric Ind Co Ltd 水素吸蔵合金電極およびこれを用いたアルカリ蓄電池

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WO2002017415A1 (fr) * 2000-08-22 2002-02-28 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Batterie alcaline de stockage et electrode en alliage absorbant l'hydrogene utilisee dans ladite batterie
US7247409B2 (en) 2000-08-22 2007-07-24 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Alkaline storage battery and hydrogen storage alloy electrode used therefor
JP2002246015A (ja) * 2001-02-14 2002-08-30 Matsushita Electric Ind Co Ltd 水素吸蔵合金電極およびこれを用いたアルカリ蓄電池

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