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JP3414148B2 - Ni−H二次電池用水素吸蔵合金粉末および水素吸蔵電極 - Google Patents

Ni−H二次電池用水素吸蔵合金粉末および水素吸蔵電極

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Publication number
JP3414148B2
JP3414148B2 JP23062296A JP23062296A JP3414148B2 JP 3414148 B2 JP3414148 B2 JP 3414148B2 JP 23062296 A JP23062296 A JP 23062296A JP 23062296 A JP23062296 A JP 23062296A JP 3414148 B2 JP3414148 B2 JP 3414148B2
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hydrogen storage
electrode
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storage alloy
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JP23062296A
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幸輝 竹下
秀哉 上仲
辰夫 永田
教之 禰▲宜▼
光一 神代
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はニッケル−水素(Ni
−H)二次電池に適した水素吸蔵合金粉末および水素吸
蔵電極に関する。
【0002】
【従来の技術】化石燃料による大気汚染、温暖化等の地
球環境問題から、化石燃料に変わるクリーンな燃料とし
て水素が注目されている。これは、水素が水を原料とし
ていること、燃焼生成物が水であること、さらに電力・
熱・動力へのエネルギー変換システムに適用し得る材料
であるからである。
【0003】この水素を貯蔵する材料として水素吸蔵合
金が知られており、水素の貯蔵、ヒートポンプ、アクチ
ュエーター等への応用開発がなされてきた。近年では、
水素吸蔵合金を負極に用い、水素の吸蔵・放出で充電・
放電を行うアルカリ二次電池であるNi−H二次電池が実
用化された。
【0004】水素吸蔵合金を用いた電極は、水素吸蔵合
金粉末を少量の結着剤(有機バインダー)と共にペース
ト化し、この合金粉末ペーストを多孔性金属からなる電
極基板 (集電体) にロール圧延機を利用して圧着させて
シート化することにより一般に作製される。
【0005】従来の小型アルカリ二次電池の主流であっ
たNi−Cd二次電池に比べて、Ni−H二次電池は電池容量
およびエネルギー密度を高くすることができ、機器のポ
ータブル化・一層の小型化に伴う高容量化のニーズに対
応し易い。さらに、Cdの公害面および資源上の問題もあ
って、Ni−H二次電池の需要はここ数年大きく伸びてお
り、電気自動車への適用も実用化されつつある。
【0006】Ni−H二次電池用水素吸蔵合金として検討
されてきた主な合金系は、Mg系、LaNi5 やMmNi5 等のA
5 型希土類系、ZrV2 等で代表されるAB2 型ラーベ
ス相系、TiNiやTi2Ni で代表されるAB/A2 B系 (チ
タン系) 等である。実用化が進んでいるのはAB5 型と
AB2 型の水素吸蔵合金である。一般に、高率放電特性
や初期活性化の点ではAB5 型の方が優れており、単位
重量当たりの容量の点ではAB2 型が優れていると言わ
れている。
【0007】Ni−H二次電池の量産開始から数年が経過
し、その高容量化が進んでいるが、機器メーカーからの
より一層の高容量化の要望と、近年の高容量リチウムイ
オン電池の登場によって、Ni−H二次電池の高容量化の
必要性はますます高くなっている。
【0008】高容量化の手段として、体積が限られた電
極当たりの水素吸蔵合金の充填率を高くすることは、容
量向上に直接結びつく。この観点から、球形の水素吸蔵
合金を用いて負極への合金の充填率を向上させること
が、特開平3−116655号公報などに提案されている。こ
のような球形の水素吸蔵合金粉末は、ガスアトマイズ法
や回転電極法等により製造することができる。
【0009】また、特開平8−17433 号公報に記載され
ているように、有機バインダーを使用せずに水素吸蔵合
金を焼結させる焼結式電極では、充填密度を 5.3〜5.
8 g/mlに高めることができる。しかし、バインダ
ーを使用せずに水素吸蔵電極を作製するのは容易ではな
く、生産コストが高くなるという問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、水素
吸蔵合金の球形粉を用いると、充填率の高い電極を作製
することができるが、その作製過程に問題があることが
判明した。即ち、球形であるが故に、合金間の接触が点
接触となり、接触面積が小さいため、摩擦が少ない。そ
のため、電極作製過程で合金粉末ペーストをロール圧延
機により基板に圧着する工程において滑りが発生し、圧
延が円滑に進まない。
【0011】図1(a) に示すように、鋳造した水素吸蔵
合金 (インゴット) を粉砕して得た不規則形状の粉砕粉
では、粉末同士の滑りがないため、圧延は円滑に進行
し、厚みと充填密度が一定した圧着ペーストを形成する
ことができる。
【0012】これに対し、球形粉を使用すると、図1
(b) に示すように、粉末同士の滑りのために圧延ロール
にうまく噛み込まれず、たるみや幅広がりが発生し、そ
の状況が常に変化するため、基板に圧着させたペースト
に厚みの不均一や合金粉末の疎密変化 (充填率の変化)
が生ずる。
【0013】そのため、電極の厚みや合金の充填率が不
均一となり、所定品質の電極を安定して作製することが
困難となる。その結果、得られた電極を負極としてNi−
H二次電池を構成したときに所定の容量が得られなかっ
たり、充電時に内圧の上昇が発生したり、低温での高率
放電特性が悪いといった問題を生ずる。
【0014】特開平7−105943号公報および特開平8−
45505 号公報には、高率放電特性を改善する目的で、水
素吸蔵合金の球形粉に粉砕粉を混合するか、或いは球形
粉を部分焼結させて、合金の接触面積を増大させること
が記載されている。しかし、このような粉砕粉との混合
や一部焼結といった手段では、球形粉をそのまま使用す
る場合に比べて、合金の充填率が低下するので、電池の
容量向上には限界がある。
【0015】本発明の課題は、高充填が可能な球形粉の
水素吸蔵合金を用いて、上述した問題点のない、高容量
のNi−H二次電池を安定して、しかも生産コストを増大
させずに作製できる、水素吸蔵合金粉末と水素吸蔵電極
を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、球形の水
素吸蔵合金粉末の粒度分布を規定し、特に平均径よりか
なり大きい粗粒子を一定範囲内の量で共存させ、かつ微
粒子も一定量以上存在させることにより、高充填でき、
かつ球形粉であっても圧延時の滑りが抑制されて、充填
密度の高い水素吸蔵電極を安定して製造できることを見
出し、本発明に到達した。
【0017】ここに、本発明は、平均径が5μm以上50
μm以下であり、かつ粒度分布における該平均径+30μ
m以上の粉末の割合が5%以上30%以下で、径20μm以
下の粉末の割合が5%以上であることを特徴とする、
スアトマイズ法、または回転電極法により製造された
質的に球形のNi−H二次電池用水素吸蔵合金粉末であ
る。本発明において水素吸蔵合金粉末の粒度分布におけ
る割合は体積割合である。この粒度分布はレーザー回折
式粒度分布計で測定したものである。
【0018】本発明はまた、この水素吸蔵合金粉末と有
機高分子バインダーとからなり、かつ圧延を受けて製造
された電極であって、基板を除外した充填密度が5.0 g/
cm3以上であることを特徴とするNi−H二次電池用水素
吸蔵電極も提供する。
【0019】「実質的に球形」の水素吸蔵合金粉末と
は、球形もしくは略球形であることを意味し、例えば、
ガスアトマイズ法や回転電極法により作製された粉末が
これに相当する。一般にこのような粉末では、粉末粒子
直径の最大値と最小値の比 (アスペクト比) が2以下、
好ましくは1.5 以下である。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の水素吸蔵合金粉末は、上
記のように平均径と粒度分布を規定したものである。従
って、水素吸蔵合金種には関係なく適用できるので、使
用する水素吸蔵合金は、従来より公知、或いは今後開発
される任意の水素吸蔵合金でよい。現時点で好ましい水
素吸蔵合金は、現在実用化が進んでいるAB5 型または
AB2型水素吸蔵合金である。
【0021】本発明の水素吸蔵合金粉末は、前述したよ
うに、実質的に球形な球形粉であるので、水素吸蔵合金
の溶湯から、例えば、ガスアトマイズ法 (例、アルゴン
ガスアトマイズ法) または回転電極法により製造するこ
とができる。前述した意味で実質的に球形粉末であれ
ば、他の方法で製造された球形粉であってもよい。ま
た、製造した合金粉末を分級し、所望の粒度分布にする
ため分級粉を適宜混合して用いてもよく、或いは2以上
のロットの球形粉を適宜混合してもよい。
【0022】球形粉は一般に急冷凝固を経ているため、
急冷歪みが残存している場合があり、必要であれば球形
粉を凝固後に熱処理して急冷歪みを緩和してもよい。ま
た、初期活性化特性を向上させる等の目的で水素吸蔵合
金粉末の各種の化学的処理法(例、酸および/またはア
ルカリ処理) が提案されており、所望により、このよう
な処理を施すこともできる。
【0023】本発明の水素吸蔵合金粉末は、実質的に球
形で、平均径が5μm以上、50μm以下であり、かつそ
の粒度分布における該平均径+30μm以上の粉末の割合
が5%以上、30%以下で、径20μm以下の粉末の割合が
5%以上である。このような平均径と粒度分布を持つ球
形粉は、後で実施例において示すように、タップ密度
(粉末の最大充填密度の指標) が高く、もともと高充填
が可能である上、電極の製造工程における圧延時に滑り
にくく、不規則形状の粉砕粉と同様に円滑に圧延できる
ため、圧延後に高い充填密度を保持した、充填率と厚み
が均一な電極を得ることができ、そのため高容量化が可
能となり、製品品質も安定化する。
【0024】球形合金粉末の平均径が50μmより大きく
なると、合金間の接触点がより少なくなるので、ロール
圧延時に粉末同士が滑りを生じ、圧延が不均一となり、
所定の容量が得られない等の不具合が発生する。平均径
が5μmより小さくなると、合金が細かすぎて比表面積
が大きくなり、過充電時に酸化しやすく、電池を構成し
た際に寿命劣化が速くなる上、原料粉末のコストも増大
する。
【0025】本発明では、上記の平均径の規定に加え
て、粒度分布も規定する。これは、平均径だけでは上記
課題が解決されないためである。そのため、本発明では
該平均径+30μm以上の粉末 (平均径より30μm以上大
きい粗粒子) を5〜30%存在させ、かつ径が20μm以下
の粉末(微粒子)を5%以上存在させる。
【0026】一般に、球形粉末の粒度分布が極端に狭い
より、ある程度広い方が、粉末の充填率は向上するとい
われている。本発明者は、前記粗粒子をある程度存在さ
せることで、球形粉末の高充填が可能となることを見出
した。しかし、本発明では、充填率が向上するだけでな
く、粒度分布を上記のように規定することにより、球形
粉末のペーストをロール圧延する際に滑りが起こりにく
いという、予想外の結果が得られる。
【0027】該平均径+30μm以上の粗粒子の割合が30
%を超えると、たとえ充填率がさらに向上しても、合金
間の接点が減少し、ロール圧延時に粉末が滑り易くなっ
て、電極がうまく作れなくなる可能性が大きくなる。こ
の粗粒子の該平均径からの粒径差を30μm未満に設定す
ると、不規則形状の粉砕粉に対する球形粉の充填率向上
という利点が充分に得られないことがある。一方、該平
均径+30μm以上の粉末の割合が5%未満になると、充
分な充填率の向上効果が得られない。該平均径+30μm
以上の粉末の割合は、好ましくは10〜20%である。
【0028】20μm以下の粉末の割合が5%未満では、
やはりロール圧延時に粉末が滑り易くなって、電極がう
まく作れなくなる可能性が大きくなる。20μm以下の粉
末の割合は10%以上とすることが好ましく、それによ
り、圧延時の滑りの防止効果はより顕著となる。
【0029】平均径および粒度分布が本発明で規定した
範囲を外れると、電極製造におけるロール圧延時に合金
が滑る現象が発生するばかりでなく、電極への合金充填
量の増大の効果が少なく、充分な高容量化の効果が得ら
れない。なお、本発明では、粒度分布のうち該平均径+
30μm以上の粗粉末の割合と20μm以下の微粉末の割合
が上記範囲内であれば上記効果が得られるので、全体の
粒度分布は特に限定しない。
【0030】本発明の実質的に球形の水素吸蔵合金粉末
から、水素吸蔵電極は常法により、結着剤として有機高
分子バインダーを用いて製造することができる。Ni−H
二次電池の電解液がアルカリ水溶液 (例、水酸化カリウ
ム水溶液) であるので、バインダーとしては耐アルカリ
性の有機高分子材料を使用する。適当なバインダーの例
は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、
カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチ
レンなどの有機高分子である。
【0031】有機高分子バインダーの溶液に水素吸蔵合
金粉末を混合し、ペースト化する。このペーストを、集
電体となる電極基板に塗布して乾燥させる。基板は、一
般に平織金網、エキスパンドメタル、パンチングメタ
ル、発泡金属、繊維状金属などの多孔性金属 (通常はニ
ッケル金属またはニッケルめっきした鉄)からなる。水
素吸蔵合金の充填密度を高めるため、塗布・乾燥後に、
ロール圧延機による圧延を行い、水素吸蔵合金粉末を基
板に圧着させると、電極が得られる。
【0032】本発明の水素吸蔵合金粉末は、球形粉であ
るにもかかわらず、圧延時に滑りが発生しないため、そ
の本来の高充填性をそのまま保持することができ、バイ
ンダーを含有した電極の充填密度 (基板を除いた部分)
が5.0 g/cm3 以上、好ましくは5.5 g/cm3 以上という、
バインダー含有電極にしては充填密度が高い電極を製造
することが可能となる。それにより、不規則形状の粉砕
粉を用いて作製された同体積の水素吸蔵電極より水素吸
蔵量が多くなるため、高容量のNi−H二次電池が作製で
きる。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明の効果を例証す
る。実施例中、粒度分布に関するもの以外の%は、特に
指定のない限り重量%である。粒度分布に関する%は、
前述したように体積割合である。
【0034】実施例で用いた水素吸蔵合金粉末は、表1
に示す組成を持つAB5 型合金 (合金A) およびAB2
型合金 (合金B) である。表中、MmはLa:27%、Ce:
48%、Pr:7%、Nd:17%を含む希土類金属混合合金
(ミッシュメタル) である。
【0035】
【表1】
【0036】(実施例1)表1に示すAB5 型の合金Aの
組成を用い、Arガスアトマイズ法により実質的に球形の
水素吸蔵合金粉末を作製した。条件を変えて、平均径の
異なる水素吸蔵合金粉末を作製し、それらをそのままあ
るいは適宜混合して、または分級した後で分級物を適宜
混合することによって、平均径と粒度分布の異なる各種
のアトマイズ法球形粉(アトマイズ粉ともいう)を用意
した。
【0037】従来の水素吸蔵合金粉末として、同組成の
鋳造インゴットをボールミルにより粉砕した水素吸蔵合
金粉末 (粉砕粉) 、特開平7−105943号公報に記載のよ
うにアトマイズ粉と粉砕粉とを混合した混合粉 (アトマ
イズ粉:粉砕粉の混合重量比=7:3) 、ならびに特開
平8−45505 号公報に記載のようにアトマイズ粉を熱処
理し (1000℃×4時間) 一部焼結させた後に解砕した一
部焼結粉、も併せて製造した。
【0038】得られた水素吸蔵合金粉末の平均径、該平
均径+30μm以上と径20μm以下の粉末の割合およびタ
ップ密度を表2に示す。なお、これらの平均径および割
合はレーザー回折式の粒度分布測定器により測定した積
算50%径 (平均径) および粒度分布から求めた。
【0039】タップ密度は、合金粉末を均一に充填した
シリンダをタッピングすることにより合金粉末を圧縮さ
せ、その時の合金粉末の重量をその占有体積で除するこ
とにより求めた、最密充填密度の指標となる値である。
本実施例では、シリンダ体積:100 cc、ストローク:40
mm、タッピング:800 回 (2回/秒) の条件にて測定を
行った。
【0040】各合金粉末は900 ℃で4時間の熱処理を施
してから使用した。各合金粉末に同じ割合でバインダー
の5%ポリビニルアルコール水溶液を添加して混練し、
水素吸蔵合金粉末のペーストを調製した。このペースト
を、パンチングメタル(ニッケルめっき)の両面に一定
厚みに塗布し、乾燥した後、ロール圧延機により圧延
し、水素吸蔵電極を作製した。ここで、各電極は、ロー
ル間隔を一定にすることにより、電極基板のパンチング
メタルを除いた乾燥合金ペーストの占める体積が1cm3
の一定厚みになるように作製した。得られた電極の充填
密度 (基板のパンチングメタルを除外) を測定し、同じ
く表2に示す。
【0041】この電極を負極とし、ポリアミド不織布を
介して、負極より容量の大きな市販の焼結式ニッケル正
極と組み合わせて、容器中に挿入し、電解液として6N−
KOH水溶液を注入して、負極容量規制型のNi−H二次電
池を構成した。
【0042】電極の合金充填率と合金の電極容量 (合金
Aでは約320 mAh/g)から、この電池の容量を算出し、3
時間率の電流で110 %の過充電を行った後、同じく3時
間率の電流で端子電圧0.9 Vまでの放電を行い、その時
の放電容量を測定した。この結果も表2に示す。なお、
3時間率の電流とは、所定容量の充電または放電が3時
間で行われるような電流値を意味する。
【0043】
【表2】
【0044】表2からわかるように、本発明に規定する
平均径および粒度分布を持つ球形粉を使用した試験No.
1、3、4、6、7、9、11は、タップ密度が、従来例
である試験No.13 の粉砕粉より高く、高充填が可能であ
ることがわかる。その上、ペースト化して塗布後にロー
ル圧延した後の電極の充填密度も高く、5.0 g/cm3 以上
の充填密度を持つ電極を形成することができた。特に、
試験No. 1、3、5、6のようにタップ密度が著しく高
い場合でも、ロール圧延後に高い充填密度を保持してお
り、これは圧延時の滑りが抑制され、合金粉末の持つ高
充填性が圧延中もそのまま維持されていることを示す。
充填密度が高いため、電池容量も、粉砕粉を使用した試
験No. 13より著しく高くなった。
【0045】これに対し、球形粉を使用しても、平均径
または粒度分布が本発明の範囲外となった比較例では、
試験No.2および10のように、タップ密度が非常に高くて
も電極の充填密度は大きく低下し、従来例と同程度にな
った。これは、試験No.2では該平均径+30μm以上の粗
粒子の含有量が多すぎるため、試験No.10 では平均径が
大き過ぎるため、いずれもロール圧延時に滑りが発生
し、電極の充填密度が著しく低下したものと考えられ
る。さらに、試験No.2および10では、充電時にガスが発
生した。この現象も、上述のロール圧延時の滑りにより
合金粒子間の接触が不十分となって起こったものと考え
られる。なお、本発明例では、このようなガス発生は見
られなかった。
【0046】また、試験No.5および8 では、粒度分布が
不適切で、タップ密度が低過ぎ、高い充填密度と容量が
得られていない。試験No.12 では、平均径が小さすぎ
て、粗粒子を含有していないため、充分な充填密度が得
られなかった。
【0047】また、球形のアトマイズ粉と粉砕粉との混
合粉を使用した試験No.14 および熱処理により一部焼結
させたアトマイズ粉を解砕して用いた試験No.15 の従来
例では、粉砕粉のみを使用した試験No.13 よりは高い充
填密度が得られたが、球形粉のみを用いた本発明例に比
べて充填密度と電池性能のいずれも劣っており、本発明
の水素吸蔵合金粉末がこれらの従来の水素吸蔵合金粉末
より優れていることがわかる。
【0048】(実施例2)表1に示すAB2 型の合金Bを
用いた以外は、実施例1と同様に水素吸蔵合金粉末およ
び水素吸蔵電極を作製し、それぞれ実施例1と同様に試
験した。試験結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】容量が高いAB2 型合金を用いたため、電
池容量は実施例1より全般的に高くなっているが、合金
組成が違っていても実施例1と同様の傾向が出ているこ
とがわかる。
【0051】即ち、本発明例では、タップ密度および電
極の充填密度のいずれも、従来例の粉砕粉を使用した場
合より高くなり、5.0 g/cm3 以上の充填密度 (基板を除
外)を持つ、高容量の電極が得られた。これに対し、平
均径または粒度分布が本発明の範囲外になると、たとえ
タップ密度が高くても、電極の充填密度は低く、電極容
量も低下した。また、従来例では、アトマイズ粉と粉砕
粉との混合粉やアトマイズ粉の一部焼結粉の方が、粉砕
粉よりは高い充填密度が得られたが、やはり本発明例に
比べると充填密度と電池性能のいずれも劣っていた。
【0052】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、平均径と粒度分布を一定範囲に調整することによ
り、球状の水素吸蔵合金粉末の高充填性を活かしなが
ら、電極製造時の球形状合金粉末固有の問題点 (ロール
圧延時の不良による充填密度の低下)を克服することが
でき、電極の基板部を除いた充填密度が5.0 g/cm3
上、好ましくは5.5 g/cm3 以上と高く、高容量の電極が
製造できる。また、圧延時の不具合がなくなると、厚み
と充填密度が均一な電極を製造できるため、品質のバラ
ツキがなくなり、製品歩留りが向上する。
【0053】本発明により、高充填が可能な球状水素吸
蔵合金粉末を用いて不具合の発生無しに高容量の水素吸
蔵電極の安定した製造が可能となり、Ni−H二次電池の
高容量化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水素吸蔵合金粉末のペーストを基板に圧着させ
るロール圧延時の様子を示す説明図であり、図1(a) は
不規則形状の粉砕粉を使用した場合、図1(b) は球形粉
を使用した場合の滑りによる不具合を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 禰▲宜▼ 教之 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友 金属工業株式会社内 (72)発明者 神代 光一 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友 金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−73880(JP,A) 特開 平1−132049(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/24 H01M 4/38

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均径が5μm以上50μm以下であり、
    かつ粒度分布における該平均径+30μm以上の粉末の体
    積割合が5%以上30%以下で、径20μm以下の粉末の体
    積割合が5%以上であることを特徴とする、ガスアトマ
    イズ法、または回転電極法により製造された実質的に球
    形のNi−H二次電池用水素吸蔵合金粉末。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の水素吸蔵合金粉末と有機
    高分子バインダーとからなり、かつ圧延を受けて製造さ
    れた電極であって、基板を除外した充填密度が5.0 g/cm
    3 以上であることを特徴とするNi−H二次電池用水素吸
    蔵電極。
JP23062296A 1996-08-30 1996-08-30 Ni−H二次電池用水素吸蔵合金粉末および水素吸蔵電極 Expired - Fee Related JP3414148B2 (ja)

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