JPH08511724A - 膨張可能な吸収材料で形成された、水性の体液用のスリットを備えた吸収体部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本願は、流体で湿潤されるまで比較的薄いままの吸収体材料で形成された吸収体部材でスリットを備えた領域を使用することに関する。適当な材料には、現在好ましいとされる種々のポリマーフォーム材料が含まれる。スリットを備えた領域を備えた単層の又は多層の吸収体部材、並びに流体の初期捕捉を高めるための予備成形したカップ形状のスリットの使用を開示する。このようなスリットを備えた領域を平面膨張特性と組み合わせることによって、吸収体部材は、種々の流体装入条件に動的に応答できる有用な構造を提供する。吸収体部材の平面内で少なくとも一方向に潜在的膨張力を持つ吸収体材料にスリットを備えた領域を組み合わせることによって、スリットを備えた領域を吸収体部材の外に曲げ及び／又は変形させ、これによって、スリットを備えた表面を互いに関して角度的に及び／又は並進的に移動させる。これによって、スリットを備えた表面が来入流体に対して更に大きく露呈され、捕捉力を改善する。予備成形したカップ形状のスリットを使用することにより、吸収体部材は水性の体液をより迅速に捕捉し吸収でき、また、このような形状のスリットは、水分の多い糞便即ち軟液状糞便粘度の高い流体及び／又は血液、月経、又は傷口からの流体のような粒状物の濃度が高い流体を包含してこれを脱水する上で特に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 膨張可能な吸収材料で形成された、 水性の体液用のスリットを備えた吸収体部材 発明の分野 本願は、例えば尿、血液、月経、傷口からの流体等の水性の体液を吸収するの に特に適したものにする流体吸収特性及び保持特性を有する、可撓性で微孔質の 吸収体材料に関する。本願は、特に、連続気泡吸収体ポリマーフォーム材料で形 成された吸収体部材での、スリットを備えた領域（slitted region）の使用に関 する。吸収体フォーム材料は、水性の体液を吸収するとき、吸収体部材の平面内 の少なくとも一方向に潜在的膨張力（expansion potential）を有する。 発明の背景 使い捨ておむつ、成人失禁者用パッド及びブリーフ、衛生ナプキンのような生 理用品、及び包帯のような使い捨ての医療用品として使用するための非常に吸収 性の高い物品を開発することが、商業的な大きな関心の対象となっている。こう した製品で非常に望ましい特徴は、厚さである。例えば、薄型のおむつは、嵩張 らず、衣服の下に良好に装着でき、気付かれることが少ない。更に、薄型の物品 は、パッケージが更にコンパクトであり、消費者は、こうした物品の持ち運び及 び貯蔵を容易に行うことができる。更に、パッケージがコンパクトであるという ことは、一つづつの吸収体物品が貯蔵時に必要とする棚空間が小さくなるという ことを含めて製造者及び配送者の配送費用が小さくなるという結果をもたらす。 より薄型の吸収体物品、例えばおむつ、を提供できるかどうかは、大量の排出 された体液、特に尿を捕捉してこれを貯蔵できる比較的薄い吸収体コア又は吸収 体構造を開発できるかどうかにかかっている。これに関し、「ヒドロゲル」「超 吸収体」又は「ヒドロコロイド」材料と呼ばれる特定の粒状吸収体ポリマーを使 用することが特に重要であった。例えば、このような粒状吸収体ポリマーの吸収 体物品での使用を開示する、１９７２年６月１３日付けの（ハーパー等に賦与さ れた）米国特許第３，６９９，１０３号、及び１９７２年６月２０日付けの（ハ ーモンに賦与された）米国特許第３，７７０，７３１号を参照されたい。確かに 、より薄型のおむつの開発は、代表的には繊維質母材と組み合わせて使用した場 合に、排出された水性の体液を大量に吸収できるというこれらの粒状吸収体ポリ マーの利点を持つ、より薄型の吸収体コアの直接的な結果であった。例えば、薄 くコンパクトな嵩張らないおむつをつくる上で有用な繊維質母材及び粒状吸収体 ポリマーからなる二層コア構造を開示した、１９８７年６月１６日付けの（ワイ ズマン等に賦与された）米国特許第４，６７３，４０２号、及び１９９０年６月 １９日付けの（ラッシュ等に賦与された）米国特許第４，９３５，０２２号を参 照されたい。 これらの粒状吸収体ポリマーは、大量の水性の体液、例えば尿、を保持するこ とができる。このような粒状吸収体ポリマーの一例は、軽く架橋させたポリアク リレートである。多くの他の吸収体ポリマーと同様に、これらの軽く架橋させた ポリアクリレートは、多数の陰イオン性（帯電した）カルボキシ基がポリマーの 主鎖に取り付けられている。ポリマーが浸透圧の結果として水性の体液を吸収で きるようにするのがこれらの帯電したカルボキシ基である。 浸透圧を別として、毛管作用による力に基づく吸収力もまた、おむつを含む多 くの吸収体物品で重要である。毛管力は、例えば、こぼした流体をペーパータオ ルが吸い上げるといった毎日の種々の現象で明らかである。毛管現象を利用した 吸収体は、流体捕捉速度、及び毛管作用による吸い上げ力、即ち水性の流体を最 初の接触点から遠ざかるように移動する能力に関して優れた性能を提供できる。 確かに、上述の二層コア吸収体構造は、最初に捕捉した水性の体液を、コア内に 層をなして又はゾーンをなして配置された粒状吸収体ポリマーによって吸収し且 つ保持できるように、最初に捕捉した水性の体液を吸収体コア全体に亘って移動 する、毛管作用による主移送媒体（primary capiliary transport vehicle）と して繊維質母材を使用する。 毛管作用による流体移送力（capillary fluid transport CaPabilities）を持 つ他の吸収体材料は、連続気泡ポリマーフォームである。連続気泡ポリマーフォ ームは、適切につくられた場合には、おむつのような吸収体物品用の高性能の吸 収体コアで使用する上で必要な毛管作用による流体捕捉、移送、及び貯蔵特性を 提供する。このようなフォームを含む吸収体物品は、所望の湿潤時一体性を有し 、物品の全着用期間に亘って適当な装着性を提供し、使用中の形状の劣化を阻止 する。更に、このようなフォーム構造を含む吸収体物品は、商業的規模での製造 が容易である。例えば、連続したフォームシートから切り出すだけで吸収体おむ つのコアを形成でき、粒状吸収体ポリマーを含む空気堆積繊維質吸収体コアより もかなり大きい一体性及び均等性を持つように設計できる。更に、このようなフ ォームは、任意の所望の形状に形成でき、一体のおむつに形成することもできる 。 文献や商業的実務は、種々の目的で種々の流体を吸収できる種々のポリマーフ ォームについての記載が沢山ある。確かに、特定の種類のポリマーフォーム材料 をおむつや生理用品のような吸収体物品の要素として使用することは、従来技術 で提案されている。例えば、１９７７年６月１４日付けの（カラミに賦与された ）米国特許第４，０２９，１００号を参照されたい。この特許には、湿潤時の弾 性を高めるため、吸収体パッドアッセンブリの股領域でフオーム要素を使用でき る形状保持おむつが開示されている。更に、水性の体液を実際に吸収し、毛管作 用で吸い上げ、及び／又は保持する目的の吸収体物品で、特定の種類のポリマー フォーム材料が有用であると提案されている。例えば、１９７１年２月６日付け の（リンクゥイストに賦与された）米国特許第３，５６３，２４３号（主吸収体 が 親水性ポリウレタンフォームシートである、おむつ等用の吸収体パッド）１９８ ５年１１月１９日付けの（ダビに賦与された）米国特許第４，５５４，２９７号 （おむつ又は生理用品で使用できる体液吸収気泡質ポリマー）、１９８８年４月 ２６日付けの（ガービー等に賦与された）米国特許第４，７４０，５２８号（特 定の種類の超毛管作用（super-wicking）架橋済みポリウレタンフォームからつ くったスポンジ吸収体を含む、おむつ、生理用品等の吸収体複合構造）を参照さ れたい。１９９２年９月１５日付けの（ヤング等に賦与された）米国特許第５， １４７，３４５号には、このようなポリマーフォーム材料で形成された吸収体部 材で使用するのに適した可能な吸収体物品形体が例示されている。同特許につい て触れたことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れた ものとする。 吸収体物品で使用するための種々のポリマーフォーム材料が提案されているけ れども、以下の望ましい性質を持つ連続気泡吸収体ポリマーフォームが開発され た。 （ａ） 体液を吸収するための親和力が吸収体物品の他の構成要素よりも比較的 大きく、そのため、フォーム材料が流体をこれらの他の構成要素から排液（分配 ）でき且つ流体をフォーム構造内に貯蔵されたままにすることができ、 （ｂ） フォームが、吸収された尿又は他の体液を最初の排出ゾーンから遠ざけ てフォーム構造の未使用の部分に移送し、かくして流体の次の遜りを収容できる ようにするため、毛管作用による吸い上げ特性及び流体分配特性が比較的優れて おり、 （ｃ） 流体貯蔵力（fluid storage capacity）が比較的高く、荷重が加わった 状態、即ち圧縮力が加わった状態での流体吸収力（fluid capacity）が比較的高 い。 上述のように、薄型の吸収体コアは、通常は、比較的薄い吸収体物品、例えば おむつ、をつくるための必要条件である。しかしながら、水性の体液で湿潤され るまで比較的薄い形態を保つ吸収体ポリマーフォーム材料を提供することは容易 でない。吸収体フォーム材料は、通常の貯蔵中及び湿潤される前の使用中に比較 的薄いままである必要がある。この比較的薄いポリマーフォーム材料は、高性能 吸収体コアで有用であるためには、上述の必要とされる吸収特性を追加に備えて いなければならない。使用者にとって快適であるようにするのに十分に軟質であ り且つ可撓性の比較的薄型のポリマーフォームの製造は、簡単ではない。 水性の体液との接触時に膨張してこのような液体を吸収する、比較的薄い、潰 れた（即ち膨張していない）、ポリマーフォーム材料は開発されている。これら の吸収体ポリマーフォーム材料は、相互連結された連続気泡でできた親水性で、 可撓性で、非イオン性のポリマーフォーム構造からなる。このような潰れたポリ マーフォーム材料は、通常の輸送中、貯蔵中、及び使用状態で、水性の体液で最 終的に湿潤されるまで比較的薄いままである。このような潰れたポリマーフォー ム材料は、水性の体液で湿潤された時点で膨張する。これらの潰れたポリマーフ ォーム材料は、毛管作用による流体移送力を含む吸収特性が優れているため、使 い捨ておむつ、成人失禁者用パッド又はブリーフ、衛生ナプキンのような生理用 品、包帯のような医療用品、等の吸収体物品の高性能吸収体構造で極めて有用で ある。このような潰れたポリマーフォーム材料は、一般に譲渡された、現在継続 中の米国特許出願第０７／９８９，２７０号（１９９２年１２月１１日にダイヤ ー等の名で出願された）に説明されている。同特許出願について触れたことによ り、その特許出願に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。 このようなポリマーフォーム材料は優れた貯蔵力を示し、湿潤前に薄いという 有利な特徴を有するが、多くの場合、流体の捕捉が他の材料よりも緩慢である。 その結果、流体の突然の迸りはこのような吸収体部材の表面から流れ出てしまい 、実際には比較的僅かな流体が吸収されて貯蔵される。これは、物品の吸収力が 完全に使用される前に製品が早期漏れを起こすことに繋がる。更に、貯蔵力を高 めるために比較的厚いスライスを使用すること及びポリマーフォーム材料の追加 の 層を使用することは、吸収体物品の剛性を結果的に高めることとなり、捕捉速度 を改善しない。 従って、（１）使い捨ておむつ、成人失禁者用パッド又はブリーフ、衛生ナプ キンのような生理用品、包帯のような医療用品、等の吸収体物品で使用される高 性能吸収体コアで望ましいように、適当な、又は好ましくは優れた捕捉特性を持 ち、（２）吸収体物品の着用者に対して高度の快適性を与えるように十分に可撓 性であり且つ軟質であり、（３）有利な動的構造を形成するために機械的特徴及 び材料特性の組み合わせを使用し、（４）比較的妥当な価格で又は低価格で商業 的規模で製造できる、吸収体部材をつくることができるようにするのが望ましい 。 発明の開示 本発明は、水性の体液を吸収したときにその平面内の少なくとも一つの方向に 膨張できる吸収材料でできた吸収体部材でスリットを備えた領域を使用すること に関する。更に詳細には、本発明は、水性の体液を吸収したときに吸収体部材の 平面内の少なくとも一つの方向に膨張できる、比較的薄い、潰れた（膨張してい ない）、ポリマーフォーム材料で形成された吸収体部材でこのようなスリットを 備えた領域を使用することに関する。これらの吸収体ポリマーフォーム材料は、 好ましくは、相互連結された連続気泡でできた親水性で可撓性のポリマーフォー ム構造からなり、これは、水性の体液と接触すると、全ての方向に外方に膨張し 、こうした流体を吸収する。重要なことには、これらのフォーム材料では膨張プ ロセスが可逆的であり、蒸発又は他の吸収体部材への移動により吸収体部材から 流体が離れるとフォーム材料は少なくとも部分的に潰れ、流体の次の排出の吸収 に使用できる。 スリットを備えた領域は、吸収体部材のスリットを備えていない領域と比べる と、スリットの縁部が提供する表面積の増大のため、流体を かに迅速に捕捉す る。材料が膨張すると、スリットを備えた領域の表面積が劇的に増大し、この表 面積の増大により捕捉速度が更に増大する。多くの流体を捕捉することは、流体 がこれ以上導入されなくなるまで、又はフォーム材料がその一杯に膨張した状態 に至るまで、これらのいずれが最初に起ころうとも、更に大きく膨張することに なり、表面積等が増大する。 スリットを備えていない領域及び／又は比較的乾燥した周囲領域とともに流体 を捕捉するスリットを備えた領域は、捕捉速度が高く、可撓性が大きいことを別 にして、フオーム材料の平面膨張特性（planar expansion properties）により 、吸収体部材を種々の流体装入条件（fluid loading condition）に動的に応答 させ、有利な構造的特徴をもたらす。 一形体では、ポリマーフォーム吸収体部材の排出領域には複数のスリットが設 けられ、スリットを備えた領域を形成するが、吸収体部材の周囲はスリットが設 けられていないままである。スリットを備えていない周囲領域は、着用者による 使用中の吸収体部材の構造的一体性を高める。スリットを備えた領域を介して流 体を吸収体部材に導入したとき、スリットを備えた領域はスリットを備えていな い周囲領域よりも かに迅速に且つ大きく膨張する。スリットを備えた領域は、 ゆっくりと膨張するスリットを備えていない領域によってその縁部が拘束されて おり、及びかくして吸収体部材の平面内での連続した膨張により吸収体部材を変 形させて吸収体部材の平面の外側に曲げ、少なくとも一つのドーム状構造を形成 する。 このドーム状構造形成効果即ちドーミング効果（doming effect）によりスリ ットが開き、スリットの表面を角度的に及び／又は並進的に移動し、スリットの 表面を少なくとも部分的に露呈し、次の流体の排出に備えて表面積を増大する。 更に、このドーミング効果は、吸収体部材の下に空所空間を形成し、流体は、開 いたスリットを通ってこの空間に到達できる。この空所空間は、過剰の流体を、 吸収体部材によって吸収されて貯蔵されるまで捕捉してこれを隔離する一時的サ ージ容量（temporary surge capacity）を提供する。 別の形体では、上述の吸収体部材を多層形体のスリットを備えていないポリマ ーフォーム吸収体部材と流体連通状態で使用する。流体がスリットを備えた層の 排出領域に導入されたとき、スリットを備えた層は上述のように機能する。次い で、スリットを備えていない層がスリットを備えた層から流体を捕捉し始め、こ れが起こるとき、スリットを備えた層がその潰れた状態に戻り始め、スリットを 備えていない層は吸収体部材の平面内で膨張する。二つの層間の相対的な摺動移 動を阻止する二つの層間の拘束力のため（これらの層が直接接触している場合又 は相対的な移動を阻止する中間部材によって連結されている場合）、膨張するス リットを備えていない層によりスリットを備えた層のスリットは開放されたまま であり及び／又はスリットを備えた層が潰れるとき即ち流体をスリットを備えて いない層に分配するときに更に開放する。この効果は、スリット間のフォーム材 料が個々のストリップの平面方向で収縮することによって更に高められる。 更に、スリット表面は、単に開放するのでなく、有利な漏斗状形状（通常の、 側部が真っ直ぐな平行な配向と比べて）を獲得し、これは、来入流体に対して露 呈される表面積が増大するため、流体の次の排出を迅速に捕捉する吸収体部材の 性能を更に高める。この漏斗状形状は、スリットを備えていない層と接触したス リットを備えた層の表面が、スリットを備えていない層と接触した状態に保持さ れた状態に拘束された状態で、スリットを備えた層の自由表面が収縮し、かくし て、スリットを備えた層内に吸収体部材の平面に対して垂直方向に歪の差が生じ ることによってつくりだされる。 更に別の形体では、剛性の基材に付着させたポリマーフォーム吸収体部材にフ ォーム脱水作業を行うことによって、又はフォーム材料が乾燥しており、吸収体 製品に組み込む準備ができたときにスリットを漏斗状形状に形成する任意の他の プロセスによって、上述の漏斗状スリットの効果をつくりだすことができる。次 いで、かくしてつくりだされた吸収体部材を、開放形体に既に予備成形したスリ ットが流体を迅速に捕捉するための大きな表面積を提供するように、吸収体物品 に組み込むことができる。スリット表面は、流体を捕捉したとき、互いに近付き 、スリット間のフォーム材料がその膨張状態に戻るとき、更に平行になる。予備 成形した漏斗状スリットの配向は、水分の多い軟液状糞便を包含し且つ脱水する 上で、並びに血液、月経、又は傷口からの流体のような高粘度の流体及び／又は 粒状物の濃度が高い流体を捕捉する上で特に有用である。 図面の簡単な説明 本発明は、以下の詳細な説明及び添付図面を参照することによって更によく理 解されるであろう。 第１図は、本発明による例示の吸収体ポリマーフォームの潰れた状態での切断 断面の顕微鏡写真（倍率：１５００倍）である。 第２図は、本発明による例示の吸収体ポリマーフォームの膨張した状態での切 断断面の顕微鏡写真（倍率：１０００倍）である。 第３図は、好ましい共乳化剤システムを含むＨＩＰＥ乳濁液から形成した本発 明による吸収体ポリマーフォームの切断断面の顕微鏡写真（倍率：１０００倍） である。 第４図は、本発明の第１実施例による吸収体部材の平面図である。 第５図は、第４図の吸収体部材の５−５線に沿った断面図である。 第６図は、個々のスリットを示す、第４図の吸収体部材の部分断面図である。 第７図及び第８図は、部分的に湿潤させた状態の第４図の吸収体部材の（夫々 Ｙ軸方向及びＸ軸方向から見た）立面図である。 第９図は、部分的に湿潤させた状態の第４図の吸収体部材の斜視図である。 第１０図は、部分的に湿潤させた状態の第９図の吸収体部材の１０−１０線に 沿った断面図である。 第１１図は、本発明の第２実施例による多層吸収体部材の斜視図である。 第１２図及び第１３図は、部分的に湿潤させた状態の第１１図の吸収体部材の 、夫々１２−１２線及び１３−１３線に沿った断面図である。 第１４図は、本発明の第３実施例による吸収体部材の平面図である。 第１５図は、第１４図の吸収体部材の第５図と同様の断面図である。 第１６図は、呼び成形した状態での一つの個々のスリットの拡大図を示す、第 １４図の吸収体部材の部分平面図である。 第１７図及び第１８図は、本発明による吸収体部材にスリットを備えた領域を 形成する二つの可能な方法の概略図である。 発明の詳細な説明 本発明の原理は、水性の体液を内部で移送でき且つこのような流体の捕捉時に 膨張する開放空間の相互連結ネットワークを持つ任意の吸収材料で形成された吸 収体部材に適用できるが、本発明に従って使用するための現在の好ましい材料は 、ポリマーフォーム材料である。 本明細書中で言及した種類のポリマーフォームは、モノマーを含む重合可能な 液中にモノマーを比較的に含まない液体を液滴又は「バブル」として分散させ、 次いで、液滴を取り囲むモノマーを含む液中のモノマーを重合させることによっ て得られた構造としての特徴を持っている。結果的に得られた、重合させた分散 質は、凝固させた多孔質構造の形態であり、この構造は、気泡の結合体であり、 気泡の壁の境界は固体重合体からなる。気泡自体には、重合前には分散液中で液 滴を形成していたモノマーを比較的に含まない液体が入っている。 油中水型乳濁液から形成されたフォームを含むポリマーフォームは、気泡の壁 即ち境界即ち気泡窓がポリマー材料で満たされているかどうか、又はその程度に 応じて、比較的独立気泡であるか或いは比較的連続気泡である。本発明の吸収体 物品及び吸収体構造で有用なポリマーフォーム材料は、フォームの個々の気泡の 大部分が気泡壁のポリマー材料によって互いに完全には孤立していない、比較的 連続気泡の材料である。かくして、このような実質的に連続気泡のフォーム構造 内の気泡は、気泡間開口部即ち「窓」を有し、これらの窓は十分大きいため、流 体をフォーム構造内で気泡から気泡へ迅速に移動できる。 本発明で使用した種類の実質的に連続気泡の構造では、フォームは、相互に連 結された複数の立体的に分岐したウェブによって個々の気泡が形成された、実質 的に網状の性質を有する。連続気泡フォーム構造の分岐ウェブを形成するポリマ ー材料製のストランドを「支柱」と呼ぶ。代表的な支柱型構造を持つ連続気泡フ ォームを第２図の顕微鏡写真に例として示す。本発明の目的について、フォーム 材料は、フォーム構造中の少なくとも１μｍの大きさの気泡の少なくとも８０％ が少なくとも一つの隣接した気泡と流体連通している場合、「連続気泡」である 。またフォーム材料は、実測有効細孔容積（measured available pore volume） が、例えば、フォーム材料を形成する乳濁液の水の油に対する重量比で決まる理 論的な有効細孔容積の少なくとも８０％である場合、実質的に連続気泡であると 考えることができる。 本発明で有用なポリマーフォーム材料は、連続気泡であることに加え、親水性 である。本発明では、フォームは、以下に特定した量の水性の体液を吸収できる のに十分な親水性を持っていなければならない。フォームの好ましい種類及びフ ォームの形成方法に関して以下に論じるように、本発明のフォーム構造の内面は 、重合後にフォーム構造内に残っている残留親水化剤によって、又はフォーム構 造を形成する材料の表面エネルギを変化するのに使用できる選択された重合後フ ォーム処理手順によって、親水性にすることができる。本発明で有用なポリマー フォーム構造に加えられた「親水性」の程度は、吸収可能な試験液と接触したこ のようなフォームが示す「接着張力(adhesion tension)」を参照することによっ て計量できる。接着張力は、以下の等式によって定義される。即ち、 ＡＴ＝γＣＯＳθ ここで、ＡＴは dynes/cmで表した接着張力であり、 γは、dynes/cmで表した、フォーム材料が吸収した試験液の表面張力であり、 θは、ポリマーフォームと試験液がフォームの表面と接触した箇所での試験液 に対して接線方向のベクトルとの間の接触角度である。 任意の所与の親水性フォーム材料について、フォームが示す接着張力は、寸法 及び毛管吸引比表面積（capillary suction specific surface area）がわかっ ているフォーム試料について、試験液、例えば合成尿又はプロパノールの吸収重 量を計測する方法を使用して実験的に決定できる。このような方法は、一般に譲 渡された、現在継続中の米国特許出願第０７／９８９，２７０号（１９９２年１ ２月１１日にダイヤー等の名で出願された）の試験方法の章に詳細に説明されて いる。同特許出願について触れたことにより、その特許出願に開示されている内 容は本明細書中に組み入れたものとする。本発明で吸収体として有用なフォーム は、一般的には、６５±５dynes/cmの表面張力を持つ合成尿の毛管吸引吸い上げ 量（capillary suction uptake）によって決定した接着張力が約１５dynes/cm乃 至約６５dynes/cm、更に好ましくは約２０dynes/cm乃至約６５dynes/cmである程 度に親水化したフォームである。 本発明で有用なポリマーフォーム材料の性質、特徴、及び／又は特性は、相互 に関連しており且つ依存しているが、本質的には、（Ｉ）フォームの潰れた状態 と特に関連した性質、特徴、及び／又は特性、（II）フォームの膨張した状態と 特に関連した性質、特徴、及び／又は特性、（III）フォームの潰れた状態又は 膨張した状態のいずれかと等しく関連した性質、特徴、及び／又は特性、（IV） 水性の体液と接触したときのフォームの吸収性と関連した性質、特徴、及び／又 は特性、のカテゴリーに分けることができる。 以下のＩからＶまでの章に上文中に言及した性質、特徴、及び／又は特性を詳 細に説明する。章Ｖは、このような吸収体部材のスリットを備えた領域が提供す る特徴及び特性を記載し、章VIは、現在の好ましい種類のポリマーフォーム材料 を形成する上で有用なプロセスを説明する。本発明に従って特に有用であること がわかった特定のポリマーフォーム材料を説明する例を最後に記載する。 以下の章は、特にポリマーフォーム材料の現在の好ましい実施例に関するが、 本明細書中に特定的に説明した原理は、種類の異なるフォーム材料及び同様の膨 張特性を持つ他の吸収体材料にも適用できる。 Ｉ.潰れた状態 本発明で有用なポリマーフォーム材料は、通常は、以下に説明するＨＩＰＥ型 乳濁液を重合させることによって得られる。これらは、比較的少量の油相及び比 較的大量の水相を含む油中水型乳濁液である。従って、重合後、結果的に得られ たフォームは大量の水を含んでいる。この水は、圧縮力によってフォームから押 し出すことができ、及び／又はオーブン内での乾燥のような熱乾燥、又は真空脱 水を圧縮力を加えながら行うことによって減少させることができる。圧縮及び／ 又は乾燥を行った後、ポリマーフォーム材料は、立体的に潰れた（膨張していな い）状態にある。 圧縮によって水を押し出した例示の潰れたＨＩＰＥフォームの気泡構造を第１ 図の顕微鏡写真に示す。第１図に示すように、フォームの気泡構造は、特に、第 ２図に示すＨＩＰＥフォーム構造と比較すると、捩じれている。（第２図に示す フォーム構造は、膨張した状態で示してある。）更に、第１図でわかるように、 フォーム構造の空所即ち細孔は、ひしゃげているか或いは細長くなっている。更 に、フォーム構造の隣接した支柱間には、ほとんど又は全く接触がない。 圧縮及び／又は乾燥の後、潰れたポリマーフォーム材料は、特に水性の体液で 湿潤されたとき、再び膨張することができる。（本発明で有用な代表的なＨＩＰ Ｅフォーム構造を膨張状態で示す第２図を参照されたい。）驚くべきことに、こ れらのポリマーフォーム材料は、長期間に亘って、例えば少なくとも約１年まで 、この潰れた即ち膨張していない状態を保つ。これらのポリマーフォーム材料は 、毛管力、詳細にはフォーム構造内に発生する毛管圧力により、潰れた／膨張し ていない状態を保つことができるものと考えられている。本明細書中で使用され ているように、「毛管圧力」という用語は、フォーム内の細孔内のメニスカスの 湾曲による液体／空気界面の前後の圧力差に関する。〔テキスタイル科学及び技 術誌第７巻（１９８５年）の第３６頁に記載されたシャタジーの「吸収力」を参 照されたい。〕湿潤液体について、これは、大気圧と比較した大きな圧力降下で ある。 圧縮及び／又は乾燥の後、本発明で有用なポリマーフォーム材料内の残留水は 、内部に組み込まれた吸湿性の水和塩と関連した水和水並びにフォーム内に吸収 された自由水の両方を含む。この残留水が（水和塩に助けられて）、結果的に得 られた潰れたフォーム構造に毛管圧力を及ぼすものと考えられている。本発明で 有用な潰れたポリマーフォーム材料の残留水含有量は、温度が２２℃（７２°Ｆ ）で相対湿度が５０％の周囲条件で収納されたフォームの重量の少なくとも約４ ％、代表的には、約４％乃至約３０％である。本発明で使用するための好ましい 潰れたポリマーフォーム材料の残留水含有量は、フォームの重量の約５％乃至約 １５％である。 潰れた状態では、フォーム構造内に発生した毛管圧力は、圧縮されたポリマー の弾性回復率又は弾性率によって及ぼされる力と少なくとも等しい。換言すると 、潰れたフォーム材料を比較的薄い状態に保持するのに必要な毛管圧力は、圧縮 されたポリマーフォームが「スプリングバック(spring back)」しようとすると きに及ぼされる相殺力で決まる。ポリマーフォームの弾性回復の傾向は、膨張し たフォームをその元の膨張したキャリパ（厚さ）の約２５％に圧縮し、均衡した 即ち緩和した応力値が計測されるまでこの圧縮された状態に保持する応力−歪実 験から決定できる。変形例では、均衡した緩和した応力値は、潰れた状態のポリ マーフォームが水性の流体、例えば水と接触したときの計測値から決定される。 この変形例の緩和した応力値を、以下、フォームの「膨張圧力」と呼ぶ。フォー ムの膨張圧力を決定するための方法の詳細な説明は、一般に譲渡された、現在継 続中の米国特許出願第０７／９８９，２７０号（１９９２年１２月１１日にダイ ヤー等の名で出願された）の試験方法の章に説明されている。同特許出願につい て触れたことにより、その特許出願に開示されている内容は本明細書中に組み入 れたものとする。 本発明で有用なポリマーフォームの膨張圧力は、約３０kPa又はそれ以下であ り、代表的には、約７kPa乃至約２０kPaである。即ち、膨張圧力の範囲は比較的 狭い。これは、本発明で有用な代表的なポリマーフォームの弾性回復の傾向が比 較的一定であるということを意味する。従って、本発明で有用な潰れた膨張して いないポリマーフォーム材料を提供するのに必要な毛管圧力もまた、代表的には 、一定の範囲内にある。 本発明の目的について、本発明で有用な、潰れた状態を保つフォーム構造を実 験的に決定する上で、フォームの容積当たりの比表面積が特に有用であるという ことがわかっている。フォームの容積当たりの比表面積の更に詳細な議論が、一 般に譲渡された、現在継続中の米国特許出願第０７／９８９，２７０号（１９９ ２年１２月１１日にダイヤー等の名で出願された）に記載されており、同特許出 願について触れたことにより、その特許出願に開示されている内容は本明細書中 に組み入れたものとする。本明細書中で使用されているように、「フォームの容 積当たりの比表面積」という用語は、フォーム構造の毛管吸引比表面積とフォー ムの密度との積に関する。このフォームの容積当たりの比表面積の値は、乾燥し た潰れたフォーム構造を直接計測することによって得られるのでなく、（ａ）乾 燥したフォーム構造の湿潤中に計測される毛管吸引比表面積から、及び（ｂ）飽 和するまで湿潤させた後の膨張したフォーム構造の密度から得られるという点で 「実験的」であるということができる。そうだとしても、フォームの容積当たり の比表面積の特定の最小値は、フォーム構造の潰れた状態に保持できる性能と関 連しているということがわかっている。フォームの容積当たりの比表面積の値が 少なくとも約０．０２５m2/cc、好ましくは少なくとも約０．０５m2/cc、最も好 ましくは少なくとも約０．０７m2/ccの本発明で有用なポリマーフォームは、潰 れた状態を保つということが経験的にわかっている。 ポリマーフォームの毛管圧力及び／又は膨張圧力と関連した毛管吸引比表面積 、フォーム密度、及び気泡の大きさといったファクタを以下に更に詳細に説明す る。 Ａ）毛管吸引比表面積 毛管吸引比表面積は、一般的には、フォーム材料全体（ポリマー構造材料に残 留固形分を加えたもの）の単位質量当たりの特定のフォームを形成するポリマー ネットワークの、試験液に近付くことのできる表面積の値である。毛管吸引比表 面積は、フォーム内の気泡ユニットの寸法、及びポリマーの密度の両方によって 決定される。かくして、毛管吸引比表面積は、フォームネットワークによって構 成された表面が吸収力に寄与する程度を計量する方法である。 毛管吸引比表面積は、特に、フォーム構造を、水性の体液で湿潤されるまで潰 れた状態に維持するのに適当な毛管圧力がフォーム構造内に生ぜしめられるか否 かに関する。上文中に言及した一般に譲渡された、現在継続中の米国特許出願第 ０７／９８９，２７０号（１９９２年１２月１１日にダイヤー等の名で出願され た）に詳細に論じられているように、フォーム構造内で発生した毛管圧力は、毛 管吸引比表面積と比例する。同特許出願について触れたことにより、その特許出 願に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。フォームの密度 や流体の接着張力のような他のファクタが一定であると仮定すると、毛管吸引比 表面積が増大（減少）するにつれて、フォーム構造内の毛管圧力もまたこれに比 例して増大（減少）する。 本発明の目的について、毛管吸引比表面積は、質量及び寸法が周知のフォーム 試料内で起こる低表面張力の液体（例えばエタノール）の毛管作用による吸い上 げ量を計測することによって決定される。毛管吸引法を使用してフォームの比表 面積を決定するためのこのような方法の詳細な説明は、一般に譲渡された、現在 継続中の米国特許出願第０７／９８９，２７０号（１９９２年１２月１１日にダ イヤー等の名で出願された）の試験方法の章に記載されている。同特許出願につ いて触れたことにより、その特許出願に開示されている内容は本明細書中に組み 入れたものとする。毛管吸引比表面積を決定するための任意の適当な別の方法を 使用することもできる。 本発明で有用な、潰れた、連続気泡の、吸収体ポリマーフォームは、毛管吸引 比表面積が少なくとも約０．３m2/gの吸収体ポリマーフォームである。代表的に は、毛管吸引比表面積は、約０．７m2/g乃至約８m2/g、好ましくは約１m2/g乃至 約７m2/g、最も好ましくは約１．５m2/g乃至約６m2/gである。以下に定義される 細孔容積について、このような値の毛管吸引比表面積を持つ親水性フォームは、 一般的には、尿のような水性の体液に対する吸収力、流体保持特性、毛管作用に よる流体吸い上げ一分配特性のバランスが特に優れている。更に、このような毛 管吸引比表面積を持つフォームは、このような水性の体液で湿潤されるまで、フ ォームを潰れた膨張していない状態に保持するのに十分な毛管圧力を発生させる ことができる。 Ｂ）フォーム密度 空気中でフォーム１cm3当たりのフォームのｇ数で表したフォーム密度を、本 明細書中、乾燥状態を基準とした密度に基づいて特定する。かくして、吸収され た水性の液体の量、例えば、ＨＩＰＥ乳濁液を重合し、洗浄し、及び／又は親水 化した後の残留塩及びフォーム内に残っている液体は、フォーム密度を計算し、 算出する上で無視する。しかしながら、本明細書中で特定したフォーム密度には 、重合済みのフォームに存在する乳化剤のような他の残留材料が含まれてしまう 。このような残留材料は、実際には、フォーム材料に大きな質量を加える。 フォーム構造の単位容積当たりの固体フォーム材料の質量を提供する任意の適 当な重量決定法を使用してフォーム密度を計測することができる。例えば、一般 に譲渡された、現在継続中の米国特許出願第０７／９８９，２７０号（１９９２ 年１２月１１日にダイヤー等の名で出願された）の試験方法の章に詳細に説明さ れているＡＳＴＭ重量法が、密度を決定するのに使用できる一つの方法である。 フォーム試料製造方法（乾燥、老化、プレフレックシング等）が、得られた密度 の計測値を不時に変化させるような状況では、別の密度決定試験を使用するのが よい。このような別の方法には、例えば、フォーム材料内に吸収された試験液を 使用する重量的密度計測法が含まれる。この種の密度決定法は、乾燥密度がフォ ームの細孔容積の逆数である本発明のフォームのような非常に低密度のフォーム を特徴付ける上で有用である。〔テキスタイル科学及び技術誌第７巻（１９８５ 年）の第４１頁に記載されたシャタジーの「吸収力」を参照されたい。〕毛管吸 引比表面積と同様に、以下に記載したフォーム密度の範囲は、包括的な範囲であ り、即ち任意の適当な実験的試験方法によって決定できる密度の値を含む。 本発明で有用な潰れた吸収体ポリマーフォームの乾燥状態を基準とした密度は 、約０．０５g/cm3乃至約０．４g/cm3であり、好ましくは、約０．０７g/cm3乃 至約０．２５４g/cm3であり、最も好ましくは、約０．１g/cm3乃至約０．２g/cm 3である。フォーム材料の密度は、特に、ＨＩＰＥ乳濁液中の水相の油相に対す る比を制御することによって、以上の範囲内で調節できる。 Ｃ）気泡の大きさ 本発明で有用な潰れたポリマーフォーム材料を定義する上で利用できる別の特 徴は、気泡の大きさである。フォームの気泡、特に、モノマーを比較的含まない 水相の液滴を取り囲むモノマー含有油相を重合することによって形成された気泡 は、多くの場合、実質的に球形の形状を有する。かくして、このような実質的に 球形の気泡の大きさ即ち「直径」は、フォームを大まかに特徴付ける上で、及び 本発明で有用な特定の好ましい吸収体フォーム構造を特徴付ける上で共通に使用 される別のパラメータである。ポリマーフォームの所与の試料の気泡は必ずしも ほぼ同じ大きさでないため、気泡の平均的な大きさ、即ち気泡の平均直径を特定 する。 フォームの気泡の平均的な大きさを決定するのに多くの技術を利用できる。こ れらの技術には、当該技術分野で周知の水銀式多孔度測定法が含まれる。しかし ながら、フォーム内の気泡の大きさを決定するための最も有用な技術には、フォ ーム試料の走査式電子顕微鏡写真を利用した簡単な計測方法が含まれる。例えば 、第２図は、本発明で有用な代表的なＨＩＰＥフォーム構造をその膨張状態で示 す。顕微鏡写真には、２０μｍの寸法を示す目盛が重ね焼きしてある。このよう な目盛は、画像分析法で気泡の平均的な大きさを決定するのに使用できる。フォ ーム試料の顕微鏡写真の画像分析は、実際には、本発明のフォーム構造の気泡の 平均的な大きさを決定するのに使用できる一般的に使用されている分析手段であ る。このような技術は、１９８８年１１月２９日にエドワード等に賦与された米 国特許第４，７８８，２２５号に詳細に説明されている。同特許について触れた ことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとす る。 本明細書中で与えられた気泡の大きさの計測値は、例えば第２図に示す膨張状 態のフォームの気泡の大きさの数平均に基づく。水性の体液の吸収体として有用 な本発明によるフォームの気泡の大きさの数平均は、約５０μｍ又はそれ以下で あり、代表的には、約５μｍ乃至約５０μｍである。更に好ましくは、気泡の大 きさの数平均は、約５μｍ乃至約４０μｍであり、最も好ましくは、約５μｍ乃 至約３５μｍである。 II．膨張状態 Ａ）合成尿による飽和時の密度 本発明で有用な吸収体フォームの特に重要な性質は、潰れた状態の吸収体フォ ームの乾燥状態を基準とした密度に対する、水性の体液による飽和時の密度であ る。水性の体液で飽和させたときの膨張したフォームの密度の、潰れた（圧縮さ れた）状態のフォームの乾燥状態を基準とした密度に対する値は、膨張状態での フォームの相対的な厚さの計測値を与える。これは、特に、膨張させたとき及び 水性の体液で飽和させたときにフォームがどれ程薄いのかと関連する。 本発明の目的について、膨張状態での吸収体フォームの密度は、吸収体フォー ムを３１．１℃（８８°Ｆ）で、表面張力が６５±５dynes/cmの合成尿でその自 由吸収力まで飽和させたとき、計測される。合成尿で飽和させた場合の膨張状態 のフォームの密度は、一般に譲渡された、現在継続中の米国特許出願第０７／９ ８９，２７０号（１９９２年１２月１１日にダイヤー等の名で出願された）の試 験方法の章に更に詳細に説明された方法によって計測できる。同特許出願につい て触れたことにより、その特許出願に開示されている内容は本明細書中に組み入 れたものとする。膨張した飽和した状態で計測したフォームの密度は、潰れた状 態でのフォームの乾燥状態を基準とした密度と関連している。本発明の目的につ いて、本発明で有用なフォームの、合成尿で自由吸収力まで飽和させた膨張状態 での密度は、潰れた状態での乾燥状態を基準とした密度の約１０％乃至約５０％ の範囲内にあり、これは、好ましくは、約１０％乃至約３０％である、最も好ま しくは、約１５％乃至約２５％である。 Ｂ）細孔容積 細孔容積は、フォーム構造を形成する固形物（ポリマー構造及び残留固形分） 単位質量当たりの多孔質フォーム構造内の開口部即ち気泡の容積の計測値である 。細孔容積は、本発明の吸収体フォームの、特に膨張状態での多くの性能及び機 械 的特徴に影響を及ぼす上で重要である。このような性能及び機械的特徴には、水 性の体液に対するフォームの吸収力、フォームの可撓性、及びフォームの圧縮変 形特性が含まれる。 細孔容積は、構造の実際の細孔容積を正確に示す任意の適当な実験的方法によ って決定することができる。一般的には、このような実験的方法には、フォーム 構造に導入でき、従って、フォームの連続気泡が占有する容積を表す試験液の容 積及び／又は質量の計測を必要とする。このため、本発明のフォームの細孔容積 パラメータを「有効細孔容積」と呼ぶこともできる。 有効細孔容積を実験的に決定するための一つの従来の方法は、２−プロパノー ルのような表面張力の小さい、ポリマーでない膨潤液体をフォーム構造に導入す る工程を含む。２−プロパノールを使用して有効細孔容積を実験的に決定するた めの方法は、一般に譲渡された、現在継続中の米国特許出願第０７／９８９，２ ７０号（１９９２年１２月１１日にダイヤー等の名で出願された）の試験方法の 章に記載されている。同特許出願について触れたことにより、その特許出願に開 示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。しかしながら、有効細 孔容積を決定するのに別の試験液及び方法を使用することもできるということは 理解されよう。 本発明で有用なフォーム材料の細孔容積は、一般的には約１２mL/g乃至約１０ ０mL/gであり、更に好ましくは約２０mL/g乃至約７０mL/gであり、最も好ましく は約２５mL/g乃至約５０mL/gである。 Ｃ）圧縮変形に対する抵抗 本発明で有用なポリマーフォームの重要な機械的特徴は、圧縮変形に対する抵 抗によって決定される膨張させた状態での吸収体フォームの強度である。本発明 のフォームが示す圧縮変形に対する抵抗は、ポリマーの弾性率とフォームネット ワークの密度の関数である。ポリマーの弾性率は、ａ）ポリマーの組成、ｂ）加 工後にフォーム構造に残る例えば乳化剤のような残留材料によってポリマーフォ ームがどれ程塑性化されているか、及びｃ）フォームの重合条件、によって決ま る。 例えばおむつのような吸収体物品の吸収体構造として有用であるためには、吸 収体フォーム材料は、このような吸収体材料が吸収を行っており且つ流体を保持 するときに加わる力による変形又は圧縮に対して適当な抵抗を示さなければなら ない。圧縮変形に対する抵抗に関して十分な強度を持たないフォームは、荷重が 加わっていない状態では十分な量の体液を捕捉し貯蔵することができるが、フォ ームを含む吸収体物品の着用者の動きによって生じる圧縮応力の作用によって、 このような流体を非常に容易に出してしまう。 本発明で有用なポリマーフォームが示す、圧縮変形に対する抵抗は、特定の期 間に亘って特定の拘束圧力が加わった状態に保持された飽和状態のフォーム材料 の試料中に生じる歪の量を決定することによって計測できる。本発明の目的につ いては、このような計測は、標準的な大きさのフォーム試料（厚さが０．２５cm で円形の断面積が６．５cm2の円筒体）について行われる。このような試料を表 面張力が６５±５dynes/cmの合成尿で飽和させ、その後、３１．１℃（８８°Ｆ ）で１５分間に亘って５．１kPaの拘束圧力を加える。このような試験で生じた 歪の量を、飽和させ且つ一杯に膨張させた試料の厚さの割合として報告する。こ れが試料の圧縮厚さである。圧縮変形に対する抵抗を計測するためのこの特定の 種類の試験を実施するための方法は、一般に譲渡された、現在継続中の米国特許 出願第０７／９８９，２７０号（１９９２年１２月１１日にダイヤー等の名で出 願された）の試験方法の章に詳細に記載されている。同特許出願について触れた ことにより、その特許出願に開示されている内容は本明細書中に組み入れたもの とする。 本発明で有用な吸収体フォームは、表面張力が６５±５dynes/cmの合成尿でフ ォーム構造をその自由吸収力まで飽和させてある場合、５．１kPaの拘束圧力が 代表的には約２％乃至約８０％の歪をフォーム構造を生ぜしめるように、圧縮変 形に対して所定の抵抗を示すフォームである。好ましくは、このような条件下で 生じる歪は、約５％乃至約４０％であり、最も好ましくは、約５％乃至約２５％ である。本発明の好ましいＨＩＰＥフォームについては、乳濁液の適切な形成条 件及び重合条件及び重合技術を選択するのと相まって、モノマー、コモノマー、 及び架橋剤の種類及び濃度を適切に選択することによって、圧縮変形に対する抵 抗を歪の値に合わせて上述の範囲内に調節できる。かくして、このような好まし いフォームは、このようなフォームが低密度であり且つ非常に微細な支柱を持つ 場合でも、圧縮変形に対する適当な抵抗を提供するのに十分大きい弾性率を持つ 材料から形成できる。 Ｄ）圧縮変形からの回復 圧縮変形からの回復は、フォーム材料の片が、製造中、貯蔵中、又は使用中に 遭遇する力の作用で変形し圧縮した後にその元の寸法に戻る傾向即ち性質に関す る。本発明の目的については、本発明の好ましい吸収体フォームの圧縮変形から の回復は、吸収した体液を含む膨張状態のフォームについて決定される。従って 、圧縮変形からの回復は、合成尿で飽和した膨張状態のフォームについて計測さ れる。 圧縮変形からの回復を決定するための適当な方法は、一般に譲渡された、現在 継続中の米国特許出願第０７／９８９，２７０号（１９９２年１２月１１日にダ イヤー等の名で出願された）の試験方法の章に記載されている。同特許出願につ いて触れたことにより、その特許出願に開示されている内容は本明細書中に組み 入れたものとする。このような方法は、一般的には、合成尿でその自由吸収力ま で飽和させた標準的な大きさのフォーム試料を圧縮したり解放したりすることを 含む。試料を所定期間に亘って５０％圧縮状態に維持し、次いで圧縮状態から解 放する。試料が、利用可能な自由流体が存在した状態で、圧縮力の解放後１分間 で、その厚さを回復する程度を、試料の圧縮変形からの回復（レジリエンス）の 計測値とする。 本発明で有用な好ましい吸収体フォームの１分後の回復は、一般的には、湿潤 した膨張したキャリパの少なくとも７５％である。更に好ましくは、このような 好ましいフォーム材料の圧縮変形からの回復は、湿潤時では、少なくとも８０％ である。 III.潰れた又は膨張した状態 Ａ）可撓性 本発明で有用な吸収体フォームは、着用者の身体の形状と一致する吸収体製品 で使用できるように、十分可撓性でなければならない。従って、本発明において 吸収体フォームを可撓性であると特徴付けることは、フォームの構造的な一体性 及び吸収力を大きく損なうことなく、このような吸収体物品で使用するのに必要 とされる程度までこれらのフォームを変形させることができ、即ち曲げることが できるということを意味する。 更に、本発明で使用するための好ましい吸収体フォームは、このようなフォー ム材料を含む吸収体物品の形成中、加工中、包装中、輸送中、及び貯蔵中に遭遇 する圧縮力即ち変形力に耐えるのに十分可撓性でなければならない。例えば使い 捨ておむつは、一般的には、長手方向及び横方向の両方向に折畳まれた状態で包 装され、販売される。更に、使い捨ておむつは、一般的には、折畳まれたおむつ の積み重ねの形態で販売される。これらの積み重ねは、周囲包装体によって包ま れており且つ圧縮されている。従って、加工中及び販売中に本発明のフォーム吸 収体に加わえられる圧縮力即ち変形力は、場合によっては、使用時にフォーム材 料に加えられる力よりもかに大きい。 IV．流体取扱い特性及び流体吸収特性 上文中に説明したような、適当なポリマー組成、構造的特性、及び機械的特徴 を持つ吸収体フォームは、一般的には、特に望ましく且つ有用な体液取扱い及び 体液吸収特性を有する。このような流体取扱い特性及び流体吸収特性は、本発明 の好ましいフォーム材料を、水性の体液を捕捉してこれを保持するように設計さ れた吸収体物品の吸収体構造として使用するのに特に適したものにする属性であ る。 適当な吸収体フォームの実現に最も関連した流体取扱い特性及び流体吸収特性 は、Ａ）フォームの自由吸収力、Ｂ）フォーム構造を通る流体の毛管作用による 垂直方向移動速度（rate of vertical wicking）、及びＣ）毛管作用による基準 比高（speciflc reference Wicking heights）でのフォームの吸収力である。こ れらの特性の各々を以下に詳細に説明する。 Ａ）自由吸収力 自由吸収力は、所与のフォーム試料がその気泡構造内に吸収した、試料中の固 形物の単位質量当たりの試験流体（合成尿）の総量である。このような自由吸収 力の値は、本発明の目的では、均衡時に、即ち、試験液で完全に飽和したフォー ム試料を形成するのにどれ程の時間が必要とされようとも、フォーム試料が流体 の全てを捕捉し及び／又は保持した後に、計算される。おむつのような吸収体物 品の吸収体構造として特に有用なフォーム材料は、少なくとも、最小自由吸収力 を有する。 一般に譲渡された、現在継続中の米国特許出願第０７／９８９，２７０号（１ ９９２年１２月１１日にダイヤー等の名で出願された）の試験方法の章に詳細に 記載された方法を使用し、任意の所与のフォーム試料について自由吸収力を重量 分析技術によって決定できる。同特許出願について触れたことにより、その特許 出願に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。このような技 術では、特定の周知の大きさ及び重量のフォーム試料を試験流体（合成尿）が入 った皿に置き、試験流体を均衡に至るまで吸収させる。飽和した試料を流体から 取り出した後、１ｇのフォームが保持する流体の量、即ち計測自由吸収量を計算 する。本発明による吸収体物品内に尿を吸収する上で特に有用であるようにする ためには、吸収フォームは、乾燥フォーム材料１ｇ当たり合成尿を少なくとも約 １２mL、好ましくは少なくとも約２０mL吸収する自由吸収力を持たなければなら ない。 Ｂ）毛管作用による垂直方向移動性能（vertical wicking performance） 本発明で有用な気泡フォームの更に別の流体取扱い属性は、吸収体フォームの フォーム構造を通して大量の体液を迅速に移動する即ち「毛管作用で移動する」 、吸収体フォームの性能に関する。毛管作用による垂直方向移動、即ち流体の毛 管作用による重力方向と反対方向への移動は、本発明の吸収体フォーム材料の特 に望ましい性能属性である。これは、多くの場合、このような材料が、吸収され るべき流体を物品の吸収体コア内の比較的低い位置から比較的高い位置まで物品 内で移動させなければならない所定の方法で、吸収体物品で使用されるためであ る。 毛管作用による垂直方向移動性能は、フォームを通して液体を移動し、液体を フォーム構造内に保持する毛管吸引駆動力の大きさと関連している。かくして、 毛管作用による垂直方向移動性能と関連した、フォームを特徴付けるパラメータ は、本発明の好ましいフォームが吸収体物品の吸収体構造としてどれ程優れた作 用をなすのかについての表示を提供する。本発明で有用なフォーム吸収体につい て、毛管作用による流体移動性能は、毛管作用による垂直方向移動速度試験及び 毛管作用による垂直方向吸収力試験の両方を参照することによって計測すること ができる。 １）毛管作用による垂直方向移動速度 毛管作用による垂直方向移動速度試験は、試験を３７℃で実施する場合、特定 の大きさの試験片が着色した試験液（例えば合成尿）をリザーバから毛管作用に よって５cmの垂直方向距離吸い上げるのに要する時間を計測する。このような毛 管作用による垂直方向移動速度試験は、一般に譲渡された、現在継続中の米国特 許出願第０７／９８９，２７０号（１９９２年１２月１１日にダイヤー等の名で 出願された）の試験方法の章に詳細に説明されており、同特許出願について触れ たことにより、その特許出願に開示されている内容は本明細書中に組み入れたも のとする。尿を吸収するための吸収体物品で特に有用であるようにするため、フ ォーム吸収体の毛管作用による垂直方向５cm移動速度は、好ましくは、合成尿（ ６５±５dynes/cm）を毛管作用で吸い上げる場合、約３０分以下である。更に好 ましくは、本発明で使用する上で好ましいフォーム吸収体の毛管作用による垂直 方向５cm移動速度は、合成尿を毛管作用で吸い上げる場合、約５分以下である。 ２）毛管作用による垂直方向吸収力 毛管作用による垂直方向吸収力試験は、毛管作用による垂直方向移動速度試験 と関連して行われる。毛管作用による垂直方向吸収力は、毛管作用による垂直方 向移動速度試験で使用されたのと同じ標準的な大きさのフォーム試料の２．５４ cm（１インチ）毎に吸い込まれた、吸収体フォーム１ｇ当たりの試験流体の量を 計測する。このような決定は、一般的には、試料に試験流体を均衡に至るまで吸 い込ませた後（例えば約１８時間後）に行われる。毛管作用による垂直方向移動 速度試験と同様に、毛管作用による垂直方向吸収力試験は、一般に譲渡された、 現在継続中の米国特許出願第０７／９８９，２７０号（１９９２年１２月１１日 にダイヤー等の名で出願された）の試験方法の章に詳細に説明されており、同特 許出願について触れたことにより、その特許出願に開示されている内容は本明細 書中に組み入れたものとする。 尿を吸収するための吸収体物品で特に有用であるようにするためには、本発明 で使用するための好ましい吸収体フォームは、一般的には、１１．４cm（４．５ インチ）の毛管作用による垂直方向吸い上げ高さで、フォーム試験ストリップが その自由吸収力の少なくとも約５０％、最も好ましくは少なくとも約７５％を毛 管作用で吸収する毛管作用による垂直方向吸収力を有する。 Ｖ.スリットを備えた領域 本発明にとって、ポリマーフォーム吸収体部材内にスリットを備えた領域が含 まれるということが重要である。 本発明による改良されたポリマーフォーム材料吸収体部材は、スリットを備え た領域を形成するため、吸収体部材の厚さを少なくとも部分的に貫通した複数の スリットを有する。第４図に示すような、使い捨ておむつについての好ましい形 体では、スリットを備えた領域は、主に、代表的な排出領域（股）に配置されて いるが、フォーム材料の境界部には、この領域を取り囲むスリットを備えていな い領域がある。スリットは、フォーム材料が乾燥した潰れた状態にあるとき、又 は脱水前の膨張した状態にあるときに形成でき、好ましくは材料の全厚を貫通し ている。スリットを備えた領域の大きさは、所望に応じて変えることができ、任 意の所望のパターンでスリットを設けることができるが、第４図に示す交互の「 煉瓦積み」パターンが好ましい。 スリットの配向は、流体を吸収体部材内で移動させる上で所定の役割を果たす 。第４図に示す現在の好ましいパターンは、排出領域から吸収体部材の両端領域 までＸ軸方向に延びる比較的直接的な流体行路を維持し、及びかくして流体が更 に均等に分配されるようにし且つフォーム材料の貯蔵力を更に良好に使用される ようにする。逆に、Ｙ軸方向に更に大きく配向されたスリット配向は、Ｘ軸方向 に移動する流体に更に曲がりくねった流体行路を提供する。これは、スリットの 表面が互いにずれている場合、流体が各スリットの端部の廻りを移動しなければ ならないためである。 第４図は、ポリマーフォーム材料で形成された吸収体部材１０を、水分を実質 的に含まない潰れた状態で示す。吸収体部材１０には、本発明によるスリットを 備えた領域２０が設けられている。スリットを備えた領域２０は、好ましくは、 複数の個々のスリット３０を含み、好ましくは、スリットを備えていない境界領 域４０によって少なくとも部分的に取り囲まれている。端部領域５０及び６０は 、同様に、スリットを備えていない。スリットを備えた領域２０は、好ましくは 、吸収体部材１０を吸収体物品に位置決めし、個人が着用するとき、代表的な液 体排出領域とほぼ一致するようになっているが、スリットを備えた領域の少なく とも部分が代表的な排出領域の外にあること、又は排出領域の部分にスリットが 設けられていないことも本発明の範疇にある。 第４図には、使い捨ておむつ又は成人失禁者用物品で使用するのに適した吸収 体部材１０が構成する座標系が更に示してある。図示のＸ軸方向は、着用者の脚 の間を端部領域５０（個人の前胴に近い）から端部領域６０（個人の後胴に近い ）まで通る長手方向である。図示のＹ軸方向は、着用者の脚の間を一方の側境界 ４０から他方の側境界まで延びる横方向である。Ｚ軸方向は、Ｘ軸方向及びＹ軸 方向と直交する方向であり、吸収体部材１０の上面１１及び下面１２の夫々に対 して垂直である。 第４図の５−５線に沿った横断面図である第５図に更に明瞭に示してあるよう に、個々のスリット３０は二つのスリット表面３１及び３２を各々有する。好ま しい形体では、スリット３０はその上面１１及び下面１２の夫々に対してほぼ垂 直な方向で吸収体部材１０を完全に貫通している。第４図に示す全体に平らな吸 収体部材については、スリット表面３１及び３２は、各端部がスリットの端部に よって構成され、各側部が吸収体部材１０の上面１１及び下面１２の夫々によっ て構成された全体に矩形形状を有する。第６図は、スリット端部３３及び３４、 及び上面１１及び下面１２の夫々によって境界付けられたスリット表面３１を示 す、個々のスリットの近くでの吸収体部材の部分断面図である。 吸収体部材が、潰れた比較的水分を含まない状態にあるときには、個々のスリ ットの各々のスリット表面は、互いにぴったりと近接しており且つ互いにほぼ整 合している。スリットの形成時に吸収体部材から材料が好ましくは全く除去され ないため、吸収体部材に力が全く加えられていない状態では、スリット表面は、 代表的には、実質的にその全表面積に亘って互いに接触している。 このような吸収体部材の排出領域は、代表的には、着用者の股領域と使用中に 関連する。吸収体部材の周囲の全体の輪郭は、折畳まれておらず且つ変形を受け ていない状態では、代表的な着用者の解剖学的特徴と少なくとも部分的に適応す るように設計されているが、特定の位置でスリットを使用することによって、特 に着用者が動き回る場合に、吸収体部材がこれらの領域で着用者の解剖学的特徴 と更に良好に馴染むことができるようにする。これによって、更に快適に装着で き、装着時の隙間を小さくすることによって漏れが起こらないようにする。 スリットを使用すると吸収体部材の可撓性が改善されるが、これらのスリット は吸収体部材の有効表面積を増大する。各スリットの表面は、表面積の増大に寄 与し、特に、吸収体部材がＺ軸方向に膨張することによってスリット表面の高さ が増大する。これによって、吸収体部材が流体を捕捉してこれを貯蔵する速度が 増大する。この捕捉速度の増大は、程度の問題であり、フォーム吸収体部材及び 流体の最初の捕捉時に所定の役割を果たす他の吸収体構成要素（即ち、セルロー ス繊維、吸収体ゲル化剤、等）に使用する材料に大きく左右される。更に、捕捉 速度は、着用者が実際の着用条件で着用したときに吸収体部材に及ぼされる拘束 圧力（即ち外部圧力）に大きく左右される。表面積が増大するにつれて、更に多 くの流体が捕捉され、そのため、フォーム材料の全貯蔵力が使用されるまで更に 大きく膨張する等の効果が得られる。 フォーム材料の連続気泡構造は、実質的に水分のない状態では潰れた状態にあ り、流体を気泡構造にしみ込ませるとその膨張状態に戻り、比較的大量の流体を 内部空所空間に貯蔵する。この膨張特性は、流体の捕捉と密接に関係しており、 そのため、流体をより迅速に捕捉する領域は流体の捕捉速度が低い領域よりも迅 速に膨張する。 捕捉速度が高くなること及び可撓性が増大することの他に、スリットを備えた 領域をスリットが設けられていない及び／又は比較的乾燥した周囲領域と組み合 わせることによって、吸収体部材は、種々の流体装入状態に動的に応答できる。 かくして、本発明で使用する上で好ましいポリマーフォーム吸収体部材の平面方 向での膨張特性は、スリットを備えた領域の使用により、動的構造形体を提供す る上で予期せぬ追加の利点を提供する。これは、吸収体部材の流体捕捉力を更に 高める。 第７図、第８図、及び第９図は、流体が部分的に装入された状態の第４図の吸 収体部材を示す。流体が排出領域に導入されると、スリットを備えた領域は三つ の主方向全てで、周囲のスリットを備えていない領域よりも大きく非常に迅速に 膨張する。特に重要なのは、吸収体部材の平面内での少なくとも一方向での、こ の場合には、吸収体部材の平面内の全ての方向及び更に垂直方向での、好ましい フォーム材料の膨張力である。上面１１及び下面１２は、好ましい形体では、実 質的に平行であり、このような状態では、いずれかの表面が構成する全体平面を 参照することによって平面方向を定義できる。しかしながら、二つの表面が実質 的に平行でない場合には、本発明の目的について、二つの夫々の表面の全体平面 の中間に構成できる平面によって平面方向を定義できる。いずれかの方法によっ て平面方向が確立された後、これに対応して、平面方向に対して垂直な方向を定 義できる。 スリットを備えた領域は、膨張速度が緩慢なスリットを備えていない領域によ ってその縁部が拘束されており、及びかくして、膨張を続けることによって変形 し、吸収体部材の平面から曲がって突出し、一つ又はそれ以上のドーム状構造を 形成する。このドーミング効果により、スリットが開き、スリット表面を角度的 に及び／又は並進的に移動し、スリット表面を露呈し、続く流体排出のため、表 面積を増大する。更に、ドーミング効果により吸収体部材の下に空所空間が形成 され、流体は開いたスリットを通ってこの空間に到達できる。この空所空間は、 過剰の流体を、吸収体部材によって吸収されて貯蔵されるまで捕捉してこれを隔 離する一時的サージ容量を提供する。 本発明の文脈では、スリット表面の変位を「角度的」であると説明することに よって、説明しようとする現象が、スリット表面の全体に平行な最初の配向から 実質的に平行でない配向までのスリット表面の回転であり、ほぼ漏斗状「Ｖ」字 形形状又はカップ形状をつくりだすということを説明する。この漏斗状形状は、 各スリット表面毎に上方に突出した露呈領域を形成し、流体捕捉力を高める。ス リット表面によって形成されたこの形状は、流体が吸収体部材の表面に亘って移 動しないようにする上でのスリットの有効性を高める。スリットの縁部は、流体 を減速し、フォーム材料がこの流体を捕捉できるようにする。 同様に、「並進的」移動という用語を使用することによって説明しようとした 現象は、任意の特定の個々のスリットの二つのスリット表面の、初期配向（頂縁 部が全体に同延であり且つ底部縁部が全体に同延である）から、一つのスリット の頂縁部が他の頂縁部よりも幾分高く且つ一つのスリットの一つの底縁部が同様 に他の底縁部よりも幾分高い配向までの、相対的移動である。これは、おおまか に「ウィッカー(wicker)」型配向と説明されるものをつくりだし、各スリット表 面毎に横方向に突出した露呈領域を形成し、流体捕捉力を高める。 流体が吸収体部材の周囲領域に移動するため、及びこれらの比較的乾燥した領 域が流体を引きつけて、スリットを備えた最初に湿潤される領域から流体を遠ざ ける傾向を持つため、周囲領域の膨張がスリットを備えた領域の膨張に近付くと き、ドーム状領域及びスリットを備えた領域の変位が小さくなる。実際、吸収体 部材全体の含水量が比較的に均等になると、吸収体部材は、全ての方向に膨張し ているけれども、第４図に示す全体形体に戻る。 本発明による吸収体部材は、実際には、スリットを備えた領域を一つ以上有し 、或いは、そのほぼ全面に亘ってスリットが設けられている。この方法では、可 撓性の改善といった別の有利な特徴を得るためにスリットを使用できる。 更に、スリットの配置によっては、スリットを備えた一つの領域に一つ以上の 捩じれた構造又はドーム状構造を形成でき（第９図には、このような構造が二つ 示してある）、そのため、吸収体部材は、スリット表面を更に一杯に露呈するよ うに機能する凹凸形状を有する。 この動的構造と関連したポリマーフォーム材料の重要な特徴は、吸収体部材の 平面内の少なくとも一方向でフォームがどれ程膨張できるかということである。 これは、潜在的膨張力に関し、潰れた状態のポリマーフォーム材料は、流体を装 入したとき、その潰れた状態での大きさを越えて所定のパーセンテージまで膨張 する潜在力を有すると説明できる。本発明で使用するのに現在好ましいとされる 種類の吸収体材料の、流体を一杯に装入したときの潜在的膨張力は、潜在的膨張 力がＸ−Ｙ平面内の一つの方向だけに存在する場合には少なくとも約５％、材料 がＸ−Ｙ平面内の二つ又はそれ以上の方向に潜在的膨張力を持つ場合には少なく とも約３％である。このような材料は、好ましくは、Ｚ軸方向での潜在的膨張力 が少なくとも２００％である。更に好ましくは、このような材料は、流体を一杯 に装入したとき、Ｘ−Ｙ平面内の方向で少なくとも約１０％、Ｚ軸方向で少なく とも約３００％の潜在的膨張力を有する。現在の好ましいＨＩＰＥポリマーフォ ームは、流体を一杯に装入したとき、Ｘ軸方向（製造中の機械方向）で約１２％ 膨張し、Ｙ軸方向（製造中の機械方向に対して横方向）で約１５％膨張し、Ｚ軸 方向（厚さ方向）で約５００％膨張する。 第１０図は、流体を部分的に装入した第９図の吸収体部材の断面図である。第 １０図には、第７図とほぼ同じ場所が示してあり、断面線１０−１０は、第９図 のドーム状構造の一方と交わっている（が、個々のスリットとは交差していない ）。この図は、流体捕捉領域のスリットを備えた領域で起こるフォーム材料の膨 張及び変形を明瞭に示す。本発明によるスリット表面の開放及び変位を生ぜしめ るのは、第１０図に示す膨張及び変形である。 一般的には、スリットの方向と平行な所定方向での潜在的膨張力が主な作用と して並進変位現象を生じ、二次的に角変位を生じ、このとき、スリットの方向に 対して垂直な所定方向での潜在的膨張力は、主な作用として角変位現象を生じ、 二次的に並進変位を生じる。現在好ましいとされるフォーム材料では、全ての方 向、特にスリットの方向と平行な方向及び垂直な方向の両方向での潜在的膨張力 が、水性の体液の吸収中に膨張が起こる領域でスリット表面の角変位及び並進変 位の両方を生じる。角変位及び並進変位のこの組み合わせは、捕捉速度に関して 最適の形体を提供する。これは、表面の凹凸及び捕捉表面積を最大にするためで ある。 捕捉速度に関し、本発明の吸収体部材の変形量もまた、スリットの長さ、スリ ットのパターン、スリットのパターン密度、シートの厚さ、及びフォーム材料自 体の膨張特性及び捕捉速度といったファクタによって大きく左右される。流体排 出領域及びスリットを備えていない境界領域の有無もまた変形量に影響を及ぼす 。 第１１図は、本発明によるスリットを備えた吸収体部材の多層実施例を示し、 この実施例では、少なくとも一つの層がポリマーフォーム材料層からなり、スリ ットを備えた領域を有する。この図では、上層１１０に上述のスリットを備えた 領域及びスリットを備えていない領域が設けられている。下層、この図では層１ ２０及び１３０、のうちの少なくとも一方には、上層のスリットを備えた領域の 下に連続した表面を形成し且つ吸収体部材の構造全体の一体性を高めるため、好 ましくは、スリットを備えた領域が設けられていない。第１１図は、大きさ及び 形状が実質的に同じ三つの層を示すけれども、層の数は３以上でも以下でもよく 、 層の大きさ及び形状は異なっていてもよい。 多層形体では、スリットを備えた上層は、最初の流体捕捉に関し、実質的に上 文中に説明したように機能する。ポリマーフォーム材料でできた隣接した多数の 層を有する多層形体では、ひとたび上層が流体を捕捉すると、上層及びこれと隣 接した層が相互作用して独特の有利な構造形体を形成する。一つの層だけがフォ ーム材料であり、他の層がこのような膨張特性を持たない場合には、フォーム層 の挙動は上述の単層と本質的に同じである。 各層自体が流体を捕捉し貯蔵する性質を持つ、大部分の多層吸収体部材につい て、含水量の低い層は流体を含水量の高い層から引き出す傾向がある（この現象 は、一般に、「分配即ちパーティショニング(partitioning)」と呼ばれる）。吸 収特性がほぼ同じ層を有する吸収体部材では、吸収体部材に亘ってほぼ同じ流体 分布が得られるまで、流体が吸収体部材の層に亘って移動する傾向がある。 代表的には、最も上側の層（又は体液源の近くに配置された層）の方が、次の 下側の層よりも含水量が高く、かくして、含水量は、吸収体部材を通って下にい く程小さくなる。かくして、次の下層は、最も上側の層から接触面を通して流体 を引き出す傾向がある。これは、これらの層の間で含水量に関して均衡を得るた めである。 本発明による好ましいポリマーフォーム材料の独特の性能のため、流体を捕捉 する層内のフォーム材料は膨張し、これに対し、流体を放出する層内のフォーム 材料は収縮する。更に、ポリマーフォーム材料の表面は、湿潤時には比較的摩擦 係数が高く、これらの表面は、毛管力によって互いに引っ張られる傾向がある。 このようにして、隣接した層の隣接表面が濡れている場合には、層間の相対的摺 動移動が大きく減少する。 第１１図の吸収体部材の断面図である第１２図に示すように、ポリマーフォー ム材料のこれらの性質は、潰れたポリマーフォーム材料でできた多数の層を使用 する場合、有利な構造的形体を提供する。フォーム材料の種々の領域に及ぼされ る力を第１２図に小さな矢印で示し、上層１１０が流体を次の下層１２０に放出 するに従って収縮するとき、図示のように下層１２０及び１３０は外方に（実際 には三方向全てに）膨張する傾向がある。層１１０の底面及び層１２０の上面は 、上述の摩擦／毛管吸引現象により互いに対して移動できないため、外方に膨張 する層１２０が、第１２図に示すように、最も上側の層１１０のスリットを開放 状態に保持し、又は更に引っ張って開放する傾向がある。この効果は、最も上側 の層のスリット間及び縁部にあるフォーム材料の個々のストリップ１１５の収縮 によって高められる。スリットを備えた層のスリットを備えていない層と接触し た表面が、スリットを備えていない層と接触した状態に保持されるように拘束さ れた状態で、スリットを備えた層の自由表面が収縮することにより漏斗状形状が 生じ、かくしてスリットを備えた層内に吸収体部材の平面に対して垂直方向に歪 の差が生じる。 確かに、最も上側の層１１０のフォーム材料が次の下層１２０に対して収縮し 続けるため、スリットの側壁は更に大きく湾曲して第１３図に示すようなカップ 状形状を形成する傾向がある。このカップ状構造は、次の液体の排出に対してス リットの表面を露呈したままにし、流体をスリット内に及び下側の層に向かって 下方に差し向ける漏斗として作用する点で特に有利である。更に、この構造は、 水分の多い軟液状糞便を包含し且つ脱水し、これを吸収体部材の表面に亘って横 方向に移動させずにスリット内に下方に差し向けるという点でも有利である。 この有利なカップ状形状は、実際には、フォーム材料の単一の層が、この構造 形体を流体の捕捉前でも示すことができるように、吸収体物品の製造プロセス中 に形成できる。第１５図は、第５図と同様の断面図であり、開放したカップ状形 体に形成したスリット２１０を持つ、単一の予備成形したポリマーフォーム材料 製のシートを示す。第１４図は、このような吸収体部材の平面図であり、第１６ 図は、予備成形した状態の一つの個々のスリットを示す、第１４図の吸収体部材 の拡大部分平面図である。 このような吸収体部材を形成するとき、好ましくは、脱水プロセスの前にスリ ットをフォーム材料に切り込む。次いで、平らな無孔質の基材に下面がくっつい た状態で好ましくは空気及び／又は熱乾燥によってフォーム材料を脱水する。別 の方法では、水分を実質的に含まないフォーム材料にスリットを形成し、次いで この材料を再水和（re-hydrate）し、その後、基材と関連した脱水プロセスを同 様に行うことによって材料を脱水できる。濡れた状態では、湿潤状態のフォーム の摩擦係数が高いため、及び毛管吸引のため、下面は基材上で摺動しない。フォ ーム材料が乾燥し、収縮するとき、下面は、基材と接触した状態では収縮できな いため、その閉鎖スリット配向を保持する。これに対し、上面は、水分が失われ るにつれて自由に収縮し、フォーム材料のスリット間の個々のストリップが収縮 する。吸収体部材の上層と下層との間の収縮の差は、フォーム材料を完全に乾燥 させたとき「固定(locked in)」され、次いでこれを次の加工のために基材から 上方に引き剥がすことができる。 かくして、予備成形したカップ状形状は、最初の流体の排出及び／又は糞便の 排出に対して予め開放したスリットの表面を提供し、スリットを備えた従来の吸 収体部材と比べて表面積が大きいため、捕捉速度が改善される。吸収体部材が流 体をひとたび捕捉し、吸収体部材内の水分の分布が均等になると（単一の層の場 合）、スリットはカップ状形状を失い、全体に第４図に示す形体に戻る。 これらの予備成形したスリット形体は、水分の多い糞便即ち軟液状糞便を包含 してこれを脱水する上で、並びに血液、月経、又は傷口からの流体のような粘度 の高い流体及び／又は粒状物の濃度が高い流体を捕捉する上で特に有用である。 開放したカップ状領域は、これらの糞便等に含まれた水分がフォーム材料に吸引 されたとき、これらの糞便を捕捉して保持するための受け器として機能する。こ れらの予備成形したスリットは、上側の開口部を通って流体が内部に侵入する大 きな開口部を表面に設けることによって、流体がフォーム材料の表面から流れ出 難くする。 多層形体では、このような予備成形したスリットにより流体は次の下にある層 に直ちに流入でき（スリットが上面から下面まで実質的に開放している形体にお いて）、この際、来入流体に対して比較的大きな表面積を維持する。これによっ て、下側の層は流体の捕捉を最も上側の層からのパーティショニング作用による のでなく直ちに且つ直接的に開始し、及び従って吸収体部材の全体としての捕捉 速度が更に改善される。 多層実施例では、吸収体部材の一つ又はそれ以上の層は、非常にありきたりの 吸収体材料のようなポリマーフォーム以外の材料を含んでもよい。他の材料でで きたこのような層は、スリットを備えた領域を持つ一つ又はそれ以上のフォーム 材料層上で捕捉層として使用でき、及び／又はスリットを備えたフォーム材料層 の下で貯蔵層として使用できる。更に、このような材料は、フォーム材料量間で 使用することもできる。適当な材料には、セルロース繊維、改質セルロース繊維 、レーヨン、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル繊維（DACRON） 、疎水性ナイロン（HYDROFIL）、等が含まれる。熱的に結合した空気堆積セルロ ース繊維材料から形成された吸収体構造もまた使用できる。粒子又はシートの形 態の吸収体ゲル化剤をこれらの繊維質材料とともに使用することもまた望ましい 。シート形態の吸収体ゲル化剤にスリットを使用することは、流体捕捉性を高め る上で有利である。 第１７図及び第１８図は、ポリマーフォーム材料のシートにスリットを備えた 領域を形成する二つの可能な方法を概略に示す。第１７図では、フォーム材料の シート３００をナイフロール３１０とアンビルロール３２０との間に通す。ナイ フロール３１０は、一連の小さな鋭いナイフブレードを所望のパターン及び間隔 で有し、フォーム材料が二つのロール間で圧縮されるときにこれらのブレードが フォーム材料に切り込みを付けてスリットを備えた領域を形成する。第１８図は 、一連の小さな鋭いナイフブレードを所望のパターン及び間隔で有するダイ４１ ０及びアンビル４２０を互いに近づけてフォームシート４００を捕捉してこれを 圧縮するスタンプ作業を示す。かくして、ダイに設けられたブレードがフォーム 材料に切り込みを付けてスリットを備えた領域を形成する。例えば個々の又は順 次のナイフ又は同様の装置を使用する他の方法を使用することもできる。 上述の実施例の各々に関し、現在は、吸収体部材を完全に貫通したスリットが 好ましいけれども、スリットが吸収体部材の厚さを部分的にしか貫通していない 場合でも本発明の利点の少なくとも幾つかは得ることができる。 更に、吸収体部材にスリットでなく溝やチャンネルを形成することもできるが 、現在のところ、溝形成プロセスに伴う材料の無駄を最小にし、全吸引力を保持 するため、スリットを使用するのが好ましい。 吸収体部材の全体形状及び／又は大きさは、特定の用途について所望の通りに することができ、スリットを備えた領域の全体としての形状及び／又は大きさも また所望に応じて調節できる。 スリットを備えた領域の設計では、吸収体物品の使用中の一体性、可撓性、及 び弾性／延伸のような他の性能についても考慮を払うのがよい。スリットの長さ 、パターンの密度、及びスリットの配向は、全て、捕捉速度及び機械的性能に関 する吸収体部材の全体としての性能を最適にする上で調節できる特徴である。 単層及び多層における変形の程度、及び予備成形された開放スリットの成形に おいて被るカッピング（cupping）の量は、全て、スリット長さ、スリットのパ ターン密度、シートの厚さ、及び材料の性質の影響を受ける。一般的には、シー トの厚さが小さければ小さい程、単位面積当たりのフォーム材料が減少し、その ため動的効果のレベルが小さくなり、上面と下面との間の歪の差が小さくなる。 一般的には、パターンの密度が高いと、変位量及びカッピングの程度が小さくな るものと考えられている。更に、スリットの長さが短いと、変位量及びカッピン グの程度が小さくなるものと考えられている。膨張速度の低い材料は、一般的に は、動的応答が緩慢であり、構造の平面内の潜在的膨張力の小さい材料は、潜在 的膨張力の大きい材料よりも動的応答が小さい。 開放した形体のスリットを予備成形する領域では、脱水作業を行う温度が重要 な検討課題であると考えられている。周囲温度以下の温度で脱水が行われる場合 には、結果的に得られた構造は全体に剛性であり、及びかくして、潰してカップ 状形体の予め開放したスリットを形成するのが容易でない。脱水作業を例えば３ ７．８℃（１００°Ｆ）の高温で行う場合には、ポリマー構造は、代表的には、 軟らかさを保ち、更に軟質であり、及びかくしてカップ状形体の予め開放したス リットを更に容易に形成する。 本発明による吸収体部材は、別に、即ちこれに伴う構造なしに使用できるけれ ども、水性の体液の吸収で使用するためには、このような吸収体部材は、好まし くは、或る種の吸収体物品に組み込まれる。このように、吸収体物品は、一般的 には、本発明による一つ又はそれ以上の吸収体部材及び吸収体部材の排出領域を 水性の体液の排出源の近くに維持するように吸収体物品を着用者に取り付けるた めの手段を持っ或る種の裏打ちシートを有する。好ましい種類の吸収体物品では 、裏打ちシートは、濡れた吸収体部材と衣類や寝具等が接触しないように、実質 的に液体不透過性である。 本発明による吸収体部材は、使い捨ておむつの形体の吸収体物品及び成人失禁 者用衣料で使用するのに特に適していることがわかっている。これに関し、本発 明による吸収体部材とともに使用するための吸収体物品の現在の好ましい形体は 、上掲の１９９２年９月１５日付けの米国特許第５，１４７，３４５（ヤング等 ）に記載されている。同特許について触れたことにより、その特許に開示されて い る内容は本明細書中に組み入れたものとする。 VI．潰れたポリマーフォーム材料の形成 上述のように、本発明で有用な潰れたポリマーフォーム材料は、油相に対する 水相の割合が比較的大きい特定の油中水型乳濁液を重合させることによって形成 できる。油相に対する水相の割合が比較的大きいこの種の乳濁液は、当該技術分 野において、高分散相乳濁液（high internal phase emulsions）即ち（「ＨＩ ＰＥs」又は「ＨＩＰＥ」乳濁液）として一般的に周知である。本明細書中、こ のような乳濁液を重合させることによって得られたポリマーフォーム材料を「Ｈ ＩＰＥフォーム」と呼ぶ。 ＨＩＰＥ乳濁液の形成に使用される水相及び油相の相対的な量は、結果的に得 られたポリマーフォームの構造的性質、機械的性質、及び性能に関する性質を決 定する上で、多くの他のパラメータのうちとりわけ重要である。特に、フォーム 形成乳濁液中の水相の油相に対する比は、フォームの密度、気泡の大きさ、及び フォームの毛管吸引比表面積、及びフォームを形成する支柱の寸法に影響を及ぼ す。現在の好ましいＨＩＰＥフォームを形成するのに使用される乳濁液の水相の 油相に対する比は、一般的には、約１２：１乃至約１００：１であり、更に好ま しくは、約２０：１乃至約７０：１であり、最も好ましくは約２５：１乃至約５ ０：１である。 Ａ．油相成分 ＨＩＰＥ乳濁液の連続した油相は、重合されると固体フォーム構造を形成する モノマーからなる。このモノマー成分は、「ガラス状」モノマー、「ゴム状」コ モノマー、及び架橋剤を含む。一官能価のモノマー及びコモノマー及び多官能価 の架橋剤の特定の種類及び量の選択は、このような材料を本発明で使用する上で 有用なものにする構造的性質、機械的性質、及び流体取扱い特性の所望の組み合 わせを持つ吸収体ＨＩＰＥフォームの実現にとって重要である。ＨＩＰＥ乳濁液 の油相中で使用されるモノマー成分は、結果的に得られたポリマーフォーム構造 にガラスのような性質を与える一つ又はそれ以上の一官能価モノマーを含む。こ のようなモノマーを「ガラス状」モノマーと呼び、これらのモノマーは、本発明 の目的について、ガラス転移温度Ｔgが約４０℃以上の高分子量（６０００以上 ）のホモポリマーを生成する単量体材料であると定義される。これらの一官能価 ガラス状モノマーの種類には、メタクリレートを基剤としたモノマー（例えば、 メチルメタクリレート）及びスチレンを基剤としたモノマー（例えば、スチレン ）が含まれる。好ましい一官能価のガラス状モノマーの種類は、スチレンを基剤 としたモノマーであり、スチレン自体がこの種の最も好ましいモノマーである。 ｐ−メチルスチレンのような置換スチレンも使用できる。一官能価のガラス状モ ノマーは、通常は、モノマー成分の重量の約５％乃至約４０％、更に好ましくは 、約１０％乃至約３０％、最も好ましくは、約１５％乃至約２５％を占める。 モノマー成分は、結果的に得られたポリマーフォーム構造にゴムのような性質 を与える一つ又はそれ以上の一官能価コモノマーを更に含む。このようなコモノ マーを「ゴム状」コモノマーと呼び、これらのコモノマーは、本発明の目的につ いて、ガラス転移温度Ｔgが約４０℃又はそれ以下の高分子量（１００００以上 ）のホモポリマーを生成する単量体材料であると定義される。この種の一官能価 のゴム状コモノマーには、例えば、C4−C12アルキルアクリレート、C6−C14アル キルメタクリレート、及びこれらのコモノマーの組み合わせが含まれる。これら のコモノマーのうち、ｎ−ブチルアクリレート及び２−エチルヘキシルアクリレ ートが最も好ましい。一官能価のゴム状コモノマーは、モノマー成分の重量の約 ３０％乃至約８０％、更に好ましくは、約５０％乃至約７０％、最も好ましくは 約５５％乃至約６５％を占める。 ガラス状モノマーから形成された重合体鎖をゴム状コモノマーと架橋させるた め、モノマー成分は多官能価架橋剤を更に含む。一官能価のモノマー及びコモノ マーと同様に、架橋剤の特定の種類及び量の選択は、所望の構造的性質、機械的 性質、及び流体取扱い特性を持つ好ましいポリマーフォームを最終的に実現する 上で非常に重要である。 使用された一官能価モノマー及びコモノマーの種類及び量に応じて、及び結果 的に得られるポリマーフォームの所望の性質に応じて、多官能価架橋剤を広範な 多官能価モノマー、好ましくは二官能価モノマーから選択できる。かくして、架 橋剤は、ジビニルベンゼン、ジビニルトルレン、又はジアリルフタレートのよう なジビニル芳香族材料であるのがよい。変形例では、１，６ヘキサンジオール及 びその同族体のようなジアクリル酸又はジメチルアクリル酸のポリオールエステ ルのうちの任意のジビニル脂肪族架橋剤を使用するのがよい。本発明の好ましい ＨＩＰＥ乳濁液を形成する上で適当であることがわかっている架橋剤は、ジビニ ルベンゼンである。本発明のフォーム形成乳濁液の油相中で、一般にどのような 種類の架橋剤が使用されようとも、モノマー成分の重量の約１０％乃至約４０％ 、好ましくは、約１５％乃至約２５％、最も好ましくは約２０％を占める。 油相の別の重要な成分は、安定したＨＩＰＥ乳濁液を形成できるようにする乳 化剤である。このような乳化剤は、乳濁液の形成に使用された油相中に溶解性で ある。使用された乳化剤は、代表的には、非イオン性であり、ソルビタンの脂肪 酸エステル、ポリグリセロールの脂肪酸エステル、及びこれらの組み合わせであ る。好ましい乳化剤には、ソルビタンラウレート（例えばスパン２０）、ソルビ タンオレエート（例えばスパン８０）、ソルビタンラウレートとソルビタンパル ミテートの、約１：１乃至約３：１の重量比の組み合わせ（例えばスパン４０） 、及び特に、以下に説明するソルビタンラウレートとポリグリセロールの脂肪酸 エステルとの組み合わせが含まれる。 ＨＩＰＥ乳濁液の形成に使用された油相は、一般的には、モノマー成分が約６ ７重量％乃至約９８重量％を占め、乳化剤成分が約２重量％乃至約３３重量％を 占める。好ましくは、油相は、モノマー成分が約８０重量％乃至約９５重量％を 占め、乳化剤成分が約５重量％乃至約２０重量％を占める。 油相は、モノマー成分及び乳化剤成分の他に他の随意の成分を含むことができ る。このような随意の油相成分の一つは、以下に説明する一般的な種類の油溶性 重合開始剤である。別の可能な随意の油相成分は、モノマー成分及び乳化剤成分 用の実質的に水溶性の溶剤である。この種の溶剤は、結果的に得られたポリマー フォームを溶解させるものであってはならないということは勿論である。このよ うな溶剤の使用は好ましくないが、このような溶剤を使用する場合には、油相の 約１０重量％以下でなければならない。 Ｂ．水相成分 ＨＩＰＥ乳濁液の不連続分散相は水相であり、これは、一般的には、１つ又は それ以上の溶解成分を含む水溶液である。水相の一つの重要な溶解成分は、水溶 性電解質である。ＨＩＰＥ乳濁液の水相中に溶解した電解質は、主に油溶性のモ ノマー及び架橋剤の傾向を最小にし、水相中にも溶解するようにするのに役立つ 。これは、乳濁液の重合中に、水相の液滴によって形成された油相と水相の界面 の気泡窓をポリマー材料が塞ぐ程度を最小にすると考えられている。かくして、 電解質の存在及びその結果としての水相のイオン強度が、結果的に得られた好ま しいポリマーフォームが連続気泡であるかどうか及びその程度を決定するものと 考えられる。 水相にイオン強度を与えるイオン種を提供する任意の電解質を使用できる。好 ましい電解質は、水溶性ハロゲン化物のような一価、二価、及び三価の無機塩で あり、例えばアルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩化物、硝酸塩、及び硫酸塩 である。例には、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、及び硫酸 マグネシウムが含まれる。本発明で使用される現在の好ましいフォーム材料で使 用する上で塩化カルシウムが最も好ましい。電解質は、一般的には、ＨＩＰＥ乳 濁液の水相中で、水相の重量の約０．２％乃至乃至約２０％の範囲の濃度で使用 される。更に好ましくは、電解質は、水相の重量の約１％乃至約１０％である。 更に、ＨＩＰＥ乳濁液は、代表的には、重合開始剤を含む。このような開始剤 成分は、一般的には、ＨＩＰＥ乳濁液の水相に加えられ、任意の従来の水溶性遊 離基開始剤であるのがよい。この種の材料には、ナトリウム、カリウム、及び過 硫酸アンモニウム、過酸化水素、過酢酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、等の過 酸化化合物が含まれる。従来の酸化還元開始剤システムも使用できる。このよう なシステムは、上掲の過酸化化合物を、硫酸水素ナトリウム、Ｌ−アスコルビン 酸、又は第一鉄塩のような還元剤と組み合わせることによって形成できる。 開始剤は、油相中に存在する重合可能なモノマーの総モル数に基づいて、最大 約５mol％を占めることができる。更に好ましくは、開始剤は、油相中に存在す る重合可能なモノマーの総モル数に基づいて、約０．００１mol％乃至０．５mol ％を占める。水相中で使用する場合には、このような開始剤の濃度は、水相の重 量の約０．０２％乃至約０．４％、更に好ましくは、約０．１％乃至約０．２％ の程度で開始剤を水相に加えることによって実現できる。 Ｃ．親水化剤及び水和性の塩 本発明の好ましい潰れた吸収体フォーム構造を形成する架橋させたポリマー材 料は、好ましくは、そのポリマー構造上に極性官能基を実質的に持たない。かく して、このような好ましい吸収体フォームのフォーム構造表面を形成するポリマ ー材料は、重合工程の直後、通常は比較的疎水性である。従って、好ましい重合 直後のフォームは、このようなフォームを水性の体液の吸収体として使用できる ようにするため、フォーム構造の表面を比較的大きく親水性にするために更に処 理を加えることを必要とする。フォーム表面の親水化は、必要であれば、一般的 には、重合済みのＨＩＰＥフォーム構造を親水化剤で以下に更に詳細に説明する 方法で処理することによって行われる。 親水化剤は、この親水化剤が接触したポリマー表面の水湿潤性を高める任意の 材料である。親水化剤は当該技術分野で周知であり、好ましくは非イオン性の界 面活性剤材料を含む。親水化剤は、一般的には、液体の形態で使用され、ＨＩＰ Ｅフォームの表面に塗布される親水化剤溶液中に溶解でき、又は分散させること ができる。この方法では、親水化剤は、好ましくはＨＩＰＥフォーム構造のポリ マー表面を実質的に親水性にするがフォームの所望の可撓性及び圧縮変形特性を 変えない適当な量でこれらの表面に吸収させるのがよい。親水化剤で処理した好 ましいフォームでは、親水化剤は、フォーム構造内に残る親水化剤の残留量がフ ォームの重量の約０．５％乃至約２０％、好ましくは約５％乃至約１２％の範囲 であるようにフォーム構造に組み込まれている。 一つの種類の適当な親水化剤は、刺激のない油溶性界面活性剤である。このよ うな界面活性剤には、ソルビタンラウレート（例えばスパン２０）、及び以下に 説明するソルビタンラウレートとポリグリセロールの脂肪酸エステルとの組み合 わせのような、ＨＩＰＥ乳濁液の油相の乳化剤として使用された上述の全ての成 分が含まれる。このような親水化界面活性剤は、ＨＩＰＥ乳濁液の形成中及び重 合中に組み込むことができ、又は適当な担体即ち溶剤に溶解した又は分散させた 界面活性剤の溶液または懸濁液でポリマーフォームを処理することによって組み 込むことができる。 ＨＩＰＥフォーム構造に組み込む必要のある別の材料は、水和性の、及び好ま しくは吸湿性の又は潮解性の、水溶性無機塩である。このような塩には、例えば 、毒物学的に受入れることのできるアルカリ土類金属の塩が含まれる。この種の 材料及び油溶性界面活性剤と関連したフォーム親水化剤としての使用は、１９９ ３年３月４日に公開されたＰＣＴ出願第ＷＯ９３／０４１１３号に詳細に説明さ れている。この出願は、プロクターアンドギャンブル社の名で出願されており、 同出願について触れたことにより、その出願に開示されている内容は本明細書中 に 組み入れたものとする。この種の好ましい塩には、塩化カルシウムのようなカル シウムのハロゲン化物が含まれ、これは、上述のように、ポリマーフォームの形 成に使用されるＨＩＰＥ乳濁液の水相中の電解質としても使用できる。 フォームをこのような塩の水溶液で処理することによって、水和性の無機塩を 本発明のポリマーフォームに容易に組み込むことができる。水和性の無機塩の溶 液は、一般的には、重合直後のフォームから残留水相を除去するプロセスの完了 後に又はこのプロセスの部分として、フォームを処理するのに使用できる。フォ ームとこのような溶液との接触は、好ましくは、塩化カルシウムのような水和性 の無機塩を、フォームの重量の少なくとも約０．１％、代表的には、約０．１％ 乃至約８％、好ましくは、約３％乃至約６％の残留量で付着するのに使用される 。 重合した状態では比較的疎水性の好ましいフォーム構造の親水化剤（水和性の 塩を含んでもよいし含まなくてもよい）による処理は、代表的には、本発明の好 ましいＨＩＰＥフォームに適当な親水性を与えるのに必要であり且つ十分な程度 に行われる。しかしながら、好ましい種類のＨＩＰＥ乳濁液から形成したフォー ムによっては、形成した状態で適当な親水性を持ち、十分な量の水和性の塩が組 み込まれており、かくして、親水化剤又は水和性の塩による追加の処理を必要と しない。特に、このようなＨＩＰＥフォームは、ソルビタンラウレート（例えば スパン２０）又はソルビタンラウレートと以下に説明するポリグリセロールの脂 肪酸エステルとの組み合わせのようなソルビタンの脂肪酸エステルを油相に加え られる乳化剤として使用し、塩化カルシウムをＨＩＰＥ乳化剤の水相中の電解質 として使用したものである。この場合、乳化剤が残留している重合したフォーム の内面は適当な親水性を有し、残留した水相の液体にはポリマーフォームを脱水 した後ですら十分な量の塩化カルシウムを含んでいる。 Ｄ．ＨＩＰＥフォームを得るためのプロセス条件 本発明で使用する上で現在好ましいフォームの作製には、代表的には、以下の 工程が必要とされる。即ち、１）安定した高分散相乳濁液（ＨＩＰＥ）を形成す る工程と、２）この安定した乳濁液を固体ポリマーフォーム構造を形成するのに 適した条件下で重合／硬化させる工程と、３）固体ポリマーフォーム構造を洗浄 し、元々の残留水相をポリマーフォーム構造から除去し、必要であれば、ポリマ ーフォーム構造を親水化剤及び／又は水和性の塩によって処理し、必要とされる 親水化剤及び／又は水和性の塩を付着させる工程と、４）このポリマーフォーム 構造を、水性の体液用の吸収体として有用な潰れた膨張していないポリマーフォ ーム材料を提供するのに必要な程度まで脱水（好ましくはＺ軸方向圧縮を含む） する工程が必要とされる。 本発明で有用な比較的薄い潰れたポリマーフォーム材料を一貫して得るため、 ＨＩＰＥ乳濁液中の水滴の凝集が少ないように乳濁液形成工程及び重合工程を実 施することが特に重要であるということがわかった。ＨＩＰＥ乳濁液は、特に重 合及び硬化を行うために高温の条件を加えたとき、必ずしも安定していない。Ｈ ＩＰＥ乳濁液が不安定になると、内部に存在する水滴が互いに結合し、凝集して 非常に大きな水滴を形成する。確かに、乳濁液の重合中及び硬化中、フォーム構 造の固化と水滴の凝集との間に競い合いがある。水滴の凝集が少ないけれども、 フォーム構造の重合及び硬化を適当な時間内に実行できるような適当なバランス をとらなければならない。（残った水滴の大きさが非常に小さい場合には、或る 程度の凝集は許容されるが、結果的に得られたフォームの気泡の大きさ即ち孔径 が揃わないと、フォームの流体移送性、特に毛管作用による移動速度に悪影響が 及ぼされる。）ＨＩＰＥ乳濁液中での水滴の凝集を少なくすると、重合及び硬化 後に結果的に得られたフォーム構造内の平均孔径が小さくなる。このようにポリ マーフォーム材料内の平均孔径が結果的に小さくなるということが、本発明で使 用する上で現在好ましいとされる比較的薄い潰れたポリマーフォーム材料を一貫 して形成することの基となる重要な機構であると考えられる。（結果的に得られ たフォーム内の孔径が均等に小さいということは、良好な吸収性、特に、良好な 流体移送特性（例えば毛管作用による）をもたらすものと考えられる。）ポリマ ーフォーム材料の数平均孔径は、ＨＩＰＥ乳濁液中の水滴の凝集を少なくする条 件下で形成した場合、約５０μｍ又はそれ以下であり、代表的には、約５μｍ乃 至約５０μｍであり、好ましくは、約５μｍ乃至約４０μｍであり、最も好まし くは、約５μｍ乃至約３５μｍである。ＨＩＰＥ乳濁液中の水滴の凝集を一貫し て少なくするための技術を、潰れたポリマーフォームを得るための以下の乳濁液 形成工程及び重合／硬化工程の説明に詳細に論じる。 １．ＨＩＰＥ乳濁液の形成 ＨＩＰＥ乳濁液は、油相成分を水相成分と上文中に特定した重量比で組み合わ せることによって形成される。油相は、必須のモノマー、コモノマー、架橋剤、 及び乳化剤のような上文中に特定した不可欠の成分を含み、更に、溶剤及び重合 開始剤のような随意の成分を含む。使用された水相は、上文中に特定した電解質 を不可欠の成分として含み、更に、水溶性乳化剤、及び／又は重合開始剤のよう な随意の成分を含む。 ＨＩＰＥ乳化剤は、油相と水相とを組み合わせ、これらの組み合わせた相に剪 断攪拌を加えることによって形成できる。剪断攪拌は、一般的には、組み合わせ た油相及び水相から安定した乳濁液を形成するのに必要な程度及び期間に亘って 加えられる。このようなプロセスは、バッチ式又は連続式のいずれでも行うこと ができ、一般的には、結果的に得られたポリマーフォームが必須の細孔容積及び 他の構造的特徴を持つ程度まで水性の液滴が分散した乳濁液を性するのに適当な 条件の下で行われる。油相と水相の組み合わせの乳化は、多くの場合、ピンイン ペラーのような混合装置即ち攪拌装置を使用することを必要とする。 本発明で使用できるＨＩＰＥ乳濁液を形成するための一つの好ましい方法は、 必須の油相及び水相を組み合わせ、乳化するのに連続式プロセスを使用する。こ のようなプロセスでは、油相を構成する液体の流れを形成し、流量を約０．０８ mL/s乃至約１．５mL/sにする。これと同時に、水相を構成する液体の流れを形成 し、流量を約４mL/s乃至約５０mL/sにする。二つの流れを、水相の油相に対する 必須の重量比が上文中に特定した比に近付き、その比になり、その比を維持する ように、上述の範囲の流量で適当な混合チャンバ又は混合ゾーン内で組み合わせ る。 混合チャンバ又は混合ゾーン内で、組み合わせた流れに、例えば適当な形体及 び寸法のピンインペラーで剪断攪拌を加える。剪断は、代表的には、約１０００ /s乃至約２５００/sの程度で加えられる。混合チャンバ内での滞留時間は、多く の場合、約５秒乃至約３０秒の範囲内にある。液体の形態の安定したＨＩＰＥ乳 濁液は、ひとたび形成されると、混合チャンバ又は混合ゾーンから約４mL/s乃至 約５２mL/sの流量で取り出すことができる。ＨＩＰＥ乳濁液を連続式プロセスで 形成するためのこの好ましい方法は、１９９２年９月２２日にデスマライス等に 賦与された米国特許第５，１４９，７２０号に詳細に記載されている。同特許に ついて触れたことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組み入 れたものとする。 ＨＩＰＥ乳濁液中に存在する水滴の凝集を一貫して少なくする上で、特にＨＩ ＰＥ乳濁液を約５０℃以上の温度で重合させ、又は硬化させる場合、特定の種類 の乳化剤システムを油相中で使用するのが特に好ましい。これらの好ましい乳化 剤システムは、ソルビタンラウレート（例えばスパン２０）と特定のポリグリセ ロールの脂肪酸エステル（ＰＧＥｓ）との組み合わせを共乳化剤（co-emulsifie rs）として含む。ソルビタンラウレートのＰＧＥに対する重量比は、通常は、約 １０：１乃至約１：１０の範囲内にある。好ましくは、この重量比は、約４：１ 乃至約１：１である。 ソルビタンラウレートとともに共乳化剤として特に有用なＰＧＥｓは、通常は 、線状（即ち非環式）ジグリセロール分が高く、三価又はそれ以上のポリグリセ ロール分が低く、環状ジグリセロール分が低いことを特徴とするポリグリセロー ルから形成される。適当なポリグリセロール反応体は、通常は、重量をベースと して、線状ジグリセロール分が少なくとも約６０％（代表的には、約６０％乃至 約９０％の範囲）、三価又はそれ以上のポリグリセロール分が約４０％以下（代 表的には、約１０％乃至約４０％の範囲）、環状ジグリセロール分が約１０％以 下（代表的には、０％乃至約１０％）である。好ましくは、これらのポリグリセ ロールは、線状ジグリセロール分が約６０％乃至約８０％、三価又はそれ以上の ポリグリセロール分が約２０％乃至約４０％、環状ジグリセロール分が約１０％ 以下である。（ポリグリセロールの分布を決定するための方法は、一般に譲渡さ れた、現在継続中の米国特許出願第０７／９８９，２７０号（１９９２年１２月 １１日にダイヤー等の名で出願された）のＰＧＥ分析方法の章に説明されており 、同特許出願について触れたことにより、その特許出願に開示されている内容は 本明細書中に組み入れたものとする。） 更に、ソルビタンラウレートとともに共乳化剤として特に有用なＰＧＥｓは、 Ｃ12飽和脂肪酸及びＣ14飽和脂肪酸を組み合わせた飽和脂肪酸分が高く、他の脂 肪酸分が低い脂肪酸配合物によって特徴付けられた脂肪酸反応体から形成される 。適当な脂肪酸反応体は、Ｃ12飽和脂肪酸及びＣ14飽和脂肪酸を組み合わせた飽 和脂肪酸分が少なくとも約４０％（代表的には、約４０％乃至約８５％）、Ｃ16 飽和脂肪酸分が約２５％以下（代表的には、約５％乃至約２５％）、Ｃ18飽和脂 肪酸及びそれ以上の飽和脂肪酸を組み合わせた飽和脂肪酸分が約１０％以下（代 表的には、約２％乃至約１０％）、Ｃ10飽和脂肪酸及びそれ以下の飽和脂肪酸を 組み合わせた飽和脂肪酸分が約１０％以下（代表的には、約０．３％乃至約１０ ％）、残りの脂肪酸分が主にＣ18一価不飽和脂肪酸（C18 monounsaturated fatt y ac id）の脂肪酸配合物を有する。好ましくは、これらの脂肪酸反応体からなる脂肪 酸配合物は、少なくとも約６５％がＣ12飽和脂肪酸及びＣ14飽和脂肪酸の組み合 わせ（代表的には、約６５％乃至約７５％の範囲）、約１５％以下がＣ16飽和脂 肪酸（代表的には、約１０％乃至約１５％の範囲）、約４％以下がＣ18飽和脂肪 酸及びそれ以上の飽和脂肪酸（代表的には、約２％乃至約４％の範囲）、約３％ 以下がＣ10飽和脂肪酸及びそれ以下の飽和脂肪酸（代表的には、約０．３％乃至 約３％の範囲）である。（脂肪酸配合物を決定するための方法は、一般に譲渡さ れた、現在継続中の米国特許出願第０７／９８９，２７０号（１９９２年１２月 １１日にダイヤー等の名で出願された）のＰＧＥ分析方法の章に説明されており 、同特許出願について触れたことにより、その特許出願に開示されている内容は 本明細書中に組み入れたものとする。） 更に、ソルビタンラウレートとともに共乳化剤として有用なＰＧＥｓは、通常 は、ＨＩＰＥ乳濁液で使用されるモノマーを含む油相と塩化カルシウムを含む水 相との間の界面張力（ＩＦＴ）を最小にすることを特徴とする。適当なＰＧＥ共 乳化剤は、通常は、油相と水相との間の最小ＩＦＴを少なくとも約０．０６dyne s/cm（代表的には、約０．０６dynes/cm乃至約１．０dynes/cmの範囲）にする。 特に好ましいＰＧＥｓは、油相と水相との間の最小ＩＦＴを少なくとも約０．０ ９dynes/cmにし、その代表的な範囲は約０．０９dynes/cm乃至約０．３dynes/cm である。（これらのＰＧＥｓのＩＦＴを計測するための方法は、一般に譲渡され た、現在継続中の米国特許出願第０７／９８９，２７０号（１９９２年１２月１ １日にダイヤー等の名で出願された）のＰＧＥ分析方法の章に説明されており、 同特許出願について触れたことにより、その特許出願に開示されている内容は本 明細書中に組み入れたものとする。） ソルビタンラウレートとともに共乳化剤として有用なＰＧＥｓは、当該技術分 野で周知の方法で形成できる。例えば、１９７２年１月２５日付けの（ババヤン 等に賦与された）米国特許第３，６３７，７７４号、及びマッキンタイヤの「ポ リグリセロールエステル」J．Am．Oil Chem．Soc．第５６巻第１１号（１９７９ 年）の第８３５Ａ頁乃至第８４０Ａ頁を参照されたい。これらの文献について触 れたことにより、これらの文献に開示されている内容は本明細書中に組み入れた ものとする。これらの文献には、ポリグリセロールの形成方法及びこれらのポリ グリセロールをＰＧＥｓに転化する方法が記載されている。ＰＧＥｓは、代表的 には、ポリグリセロールを脂肪酸でエステル化することによって形成される。ポ リグリセロールの適当な組み合わせは、商業的供給源から得られたポリグリセロ ールを混合することによって、又は米国特許第３，６３７，７７４号に記載の周 知の方法を使用して合成することによってつくることができる。脂肪酸の適当な 組み合わせは、脂肪酸及び／又は商業的供給源から得られた脂肪酸の混合物を混 合することによってつくることができる。共乳化剤として有用なＰＧＥｓをつく るにあたり、ポリグリセロールの脂肪酸に対する重量比は、約５０：５０乃至約 ７０：３０であり、好ましくは、約６０：４０乃至約７０：３０である。 適当なＰＧＥ共乳化剤をつくるための代表的な反応条件には、０．１％乃至０ ．２％の水酸化ナトリウムがエステル化触媒として存在した状態でポリグリセロ ールを脂肪酸とエステル化する工程が含まれる。この反応は、周囲圧力で約２１ ０℃乃至２２０℃で機械的攪拌を加え且つ窒素を分散させながら開始される。反 応が進むにつれて、自由脂肪酸が減少し、負圧が徐々に約８mmHgまで増大する。 脂肪酸分が約０．５％以下に減少したとき、触媒を燐酸溶液で中和し、反応混合 物を約６０℃まで急冷する。次いで、この原料反応混合物に沈降又は他の従来の 精製工程を加え（例えば、未反応のポリグリセロール分を除去するため）、所望 のＰＧＥｓを生成する。 ２．ＨＩＰＥ乳濁液の重合／硬化 形成したＨＩＰＥ乳濁液は、一般的には、適当な反応容器、又は重合又は硬化 されるべき領域に集められ、又は注ぎ込まれる。本発明の一実施例では、反応容 器はポリエチレン製のタブからなり、重合/硬化を所望程度まで実行した後、最 終的に重合／硬化した固体フォーム材料をタブから次の加工のために容易に取り 外すことができる。通常は、ＨＩＰＥ乳濁液を容器に注ぎ込む温度は、重合／硬 化温度とほぼ同じであるのが好ましい。 ＨＩＰＥ乳濁液の重合／硬化条件は、乳濁液の油相及び水相のモノマー及び他 の成分によって大きく変化し、特に、使用された乳化剤システム及び使用された 重合開始剤の種類及び量によって大きく変化する。しかしながら、多くの場合、 重合／硬化条件には、ＨＩＰＥ乳濁液を約３０℃以上、更に好ましくは約３５℃ の高温に約４時間乃至約２４時間、更に好ましくは約４時間乃至約１８時間の期 間に亘って維持することが含まれる。 ＨＩＰＥ乳濁液中での水滴の凝集を少なくする上で、特に、ＨＩＰＥ乳濁液の 形成にソルビタンライウート及びＰＧＥ共乳化剤の好ましい組み合わせが使用さ れていない場合、重合／硬化を比較的低温で行うのが特に好ましい。このような 場合には、適当な低い重合／硬化温度は、約３０℃乃至約５０℃、好ましくは約 ３５℃乃至約４５℃、最も好ましくは約４０℃である。重合／硬化を約５０℃以 上の温度で行う場合には、乳濁液に作用する熱応力により、存在する水滴が結合 し凝集し、特にＨＩＰＥ乳濁液の形成にソルビタンライレート及びＰＧＥ共乳化 剤の好ましい組み合わせが使用されていない場合、かくして結果的に得られたポ リマーフォーム内に非常に大きな気泡が形成される。これによって形成されたポ リマーフォームは、脱水後に潰れた膨張していない状態に止まることができない 。 塊状固体ポリマーフォームは、代表的には、ＨＩＰＥ乳濁液をタブのような反 応容器内で重合／硬化させたときに得られる。代表的には、この重合させた塊状 ＨＩＰＥフォームを切断し、即ちシート状形態に薄切りする。重合させたＨＩＰ Ｅフォームのシートは、これに続く処理／洗浄及び脱水工程中の加工、並びに吸 収体物品で使用するためのＨＩＰＥフォームの形成が容易である。重合させた塊 状ＨＩＰＥフォームは、代表的には、切断／薄切りされて、約０．０８cm乃至約 ２．５cmの範囲のキャリパの部材を形成する。これに続く脱水中、これは、約０ ．００８cm乃至約１．２５cmの範囲のキャリパを持つ潰れたＨＩＰＥフォームを 形成する。 ３．ＨＩＰＥフォームの処理／洗浄 形成された重合済みの固体ＨＩＰＥフォームは、一般的には、可撓性連続気泡 構造であり、その気泡がＨＩＰＥフォームの形成に使用された残留水相材料で満 たされている。電解質の水溶液、残留乳化剤、及び重合開始剤を含むこの残留水 相材料を、この時点で、フォームを更に加工し使用する前に、フォーム構造から 少なくとも部分的に除去しなければならない。最初の水相材料の除去は、通常は 、フォーム構造を圧縮して残留液体を絞り出し及び／又はフォーム構造を水又は 他の水性の洗浄溶液で洗浄することによって行われる。圧縮工程及び洗浄工程は 、通常は数回行われ、例えば２回乃至４回行われる。 最初の水相材料をフォーム構造から必要な程度まで除去した後、必要であれば 、例えば適当な親水化剤及び／又は水和性の塩の水溶液で連続的に洗浄すること によってＨＩＰＥフォームを処理する。使用できる親水化剤及び／又は水和性の 塩は、上文中に記載してあり、これには、ソルビタンラウレート（例えばスパン ２０）及び塩化カルシウムが含まれる。上述のように、親水化剤／水和性の塩に よるＨＩＰＥフォーム構造の処理は、必要であれば、所望量の親水化剤／水和性 の塩が組み込まれるまで、及びフォームが任意の選択された試験液体について所 望の接着張力値を示すまで続けられる。 ４．フォームの脱水 最終的に乾燥したフォームに適当な親水性を与え、十分な量の水和性の塩、好 ましくは塩化カルシウムを随意に組み込むのに必要な程度にＨＩＰＥフォームに 処理／洗浄を施した後、フォームを脱水する。脱水は、フォームを（好ましくは Ｚ軸方向に）圧縮して残留水を絞り出すことによって、フォーム又はフォーム内 の水に高温を加えることによって、例えば約６０℃乃至約２００℃の温度で熱乾 燥することによって、又はマイクロ波処理を加えることによって、真空脱水する ことによって、又は圧縮及び熱乾燥／マイクロ波／真空脱水技術の組み合わせに よって行うことができる。ＨＩＰＥフォームの加工の脱水工程は、一般的には、 ＨＩＰＥフォームがいつでも使用できる状態になるまで、即ち実際上乾燥するま で行われる。多くの場合、このような圧縮脱水したフォームの含水量は、乾燥重 量をベースにした重量の約５０％乃至約５００％、更に好ましくは、約５０％乃 至約２００％である。次いで、圧縮されたフォームを、乾燥重量をベースにした 重量の約５％乃至約４０％、更に好ましくは、約５％乃至約１５％の含水量にま で熱乾燥（例えば加熱することによって）する。結果的に得られた圧縮／乾燥済 みのフォームは、潰れた膨張していない状態にある。 例 本発明の吸収体部材で使用する上で現在好ましいとされる種類の潰れたＨＩＰ Ｅ吸収体フォームの形成及びこのような潰れたフォームの性質を以下の例に例示 する。これらの例のうち、例IIＡが現在好ましいとされる材料である。 例Ｉ この例は、本発明の範疇の潰れたＨＩＰＥフォームの形成を例示する。 乳濁液の調製 無水塩化カルシウム（３６．３２kg）及び過硫酸カリウム（５６８ｇ）を３７ ８１の水に溶解する。これは、ＨＩＰＥフォーム乳濁液を形成するための連続式 のプロセスで使用する水相の流れを構成する。 スチレン（１６００ｇ）、工業銘柄の５５％ジビニルベンゼン（１６００ｇ） 、及び２−エチルヘキシル−アクリレート（４８００ｇ）からなるモノマーの組 み 合わせにソルビタンラウレート（９６０ｇ：スパン２０として）を加える。混合 後、材料のこの組み合わせを一晩に亘って沈降させる。上澄みを取り出し、ＨＩ ＰＥフォーム乳濁液を形成するための連続式のプロセスで油相として使用する（ 約７５ｇのねばねばした残滓は廃棄する）。 水相の温度が４８℃乃至５０℃で、油相の温度が２２℃で、油相及び水相の別 々の流れを動的混合装置に供給する。ピンインペラーによって、組み合わせられ た流れを動的混合装置内で完全に混合する。この規模の作動では、適当なピンイ ンペラーは、長さが約２１．６cmで直径が約１．９cmの円筒形のシャフトを有す る。シャフトには四列のピンが設けられ、これらの列のうち二つの列は１７本の ピンを有し、別の二つの列は１６本のピンを有し、各ピンの直径は０．５cmであ り、シャフトの中央軸線から外方に１．６cmの所定長さ延びている。ピンインペ ラーは、動的混合装置を形成する円筒形のスリーブに取り付けられており、ピン と円筒形のスリーブの壁との間の隙間は０．８mmである。 螺旋状の静的ミキサーが動的混合装置の下流に取り付けられており、動的ミキ サーに背圧を提供し、最終的に形成される乳濁液への成分の組み込みを改善する 。このような静的ミキサーは、長さが３５．６cm（１４インチ）で外径が１．３ cm（０．５インチ）である。静的ミキサーは、ター産業の０７０−８２１型を６ ．１cm（２．４インチ）切り詰めることによって改良したものである。 組み立てた複合混合装置を水相２部に対して油相１部の割合の油相及び水相で 充填する。装置を完全に充填したときに空気を抜くため、動的混合装置を通気す る。充填中の流量は、油相が１．１２７g/sであり、水相が２．１９cm3/sである 。 組み立てた装置をひとたび充填した後、インペラーを１８００rpmで回転させ て動的ミキサー内で攪拌を開始する。次いで、水相の流量を１３０秒の期間に亘 って３５．５６cm3/sの流量にまで一定の割合で減少する。この時点で、動的ミ キサー及び静的ミキサーによってつくりだされた背圧は５１．７５kPa （７． ５psi）である。次いで、インペラーの速度を６０秒の期間に亘って一定の割合 で１２００rpmまで減少する。背圧は３１．０５kPa（４．５psi）まで下がる。 この時点で、インペラーの速度を１８００rpmまで瞬間的に上昇する。その後、 システムの背圧は、３１．０５kPa（４．５psi）で一定のままである。 乳濁液の重合 この時点で静的ミキサーから流れる形成された乳濁液は、ラバーメイド・エコ ノミー・フード・ストレージ・ボックス３５００型に集められる。これらのボッ クスは、食品等級のポリエチレン製であり、呼称寸法が４５．７cm×６６cm×２ ２．９cm（１８インチ×２６インチ×９インチ）である。これらのボックスの真 の内側寸法は、３８．１cm×５８．４cm×２２．９cm（１５インチ×２３インチ ×９インチ）である。これらのボックスを、キシレンと２−プロパノールの等重 量の溶剤混合物に溶解したスパン２０の２０％溶液からなる溶液の薄膜で予め処 理する。溶剤混合物を気化させてスパン２０だけを残す。４７１の乳濁液を各ボ ックスに集める。 乳濁液が入ったボックスを６５℃に維持された室内に１８時間に亘って放置し 、ボックス内で乳濁液の重合を行い、これによってポリマーフォームを形成する 。 フォームの洗浄及び脱水 硬化の完了後、湿潤した硬化したフォームを硬化ボックスから取り出す。フォ ームは、この時点で、溶解させた乳化剤、電解質、及び開始剤を含む残留水相を 、重合させたポリマー材料の重量の約３０倍乃至４０倍含む。フォームを鋭い往 復動鋸刃で薄切りし、キャリパが０．８９cm（０．３５０インチ）のシートにす る。次いで、これらのシートに一連の３ニップロールで圧縮を加え、フォームの 残留水相含有量を重合させた材料の重量の約６倍に徐々に減少する。この時点で 、シートを６０℃の１％塩化カルシウム溶液で再び飽和させ、ニップで絞って水 相含 有量を約１０倍にし、６０℃の１％塩化カルシウム溶液で再び飽和させ、次いで ニップで再び絞って水相含有量を約１０倍にする。 １％塩化カルシウム溶液を約１０倍含むフォームシートを真空スロットを備え た最終ニップに通す。最終ニップは、塩化カルシウム溶液の含有量をポリマーの 重量の約５倍にまで減少する。フォームは、最終ニップの後、約０．２cm（０． ０８０インチ）のキャリパで圧縮されたままである。次いで、フォームを約６０ ℃に設定された空気循環オーブン内で３時間に亘って乾燥する。この乾燥により 水分含有量を重合させた材料の重量の約５％乃至７％にまで減少する。この時点 で、フォームシートのキャリパは約０．１８cm（０．０７５インチ）であり、非 常に皺が寄り易い。フォームは、約１１重量％の残留ソルビタンラウレート及び 約５重量％（無水状態をベースとした）の残留水和塩化カルシウムを更に含む。 潰れた状態では、フォームの密度は約０．１７g/cm3である。ジャイコ合成尿で 膨張させたとき、その自由吸収力は約３０．２mL/gである。膨張させたフォーム は、毛管吸引比表面積が約２．２４m2/gであり、細孔容積が約３１mL/gであり、 平均孔径が約１５μｍであり、接着張力が約３５dynes/cmであり、毛管作用によ る垂直方向吸収力が約２６．７mL/gであるか或いはその自由吸収力の約８８％で ある。 例II 以下の例は、ソルビタンラウレート（スパン２０）及びポリグリセロールの脂 肪酸エステル（ＰＧＥ）又はソルビタンパルミテート（スパン４０）共乳化剤シ ステムを使用したＨＩＰＥフォームの調製を例示する。 例IIＡ 無水塩化カルシウム（３６．３２kg）及び過硫酸カリウム（５６８g/cm3）を ３７８１の水に溶解する。これは、ＨＩＰＥフオーム乳濁液の形成に使用される 水相の流れを構成する。 スチレン（１６００ｇ）、ジビニルベンゼン（５５％、工業銘柄、１６００ｇ ）、及び２−エチルヘキシル−アクリレート（４８００g）からなるモノマー混 合物にソルビタンラウレート（９６０ｇ：スパン２０として）を加える。同じモ ノマー混合物からなる半分の大きさの別のバッチに、油相と水相との間の最小Ｉ ＦＴを０．０９dynes/cmにするＰＧＥ乳化剤（４８０ｇ）を加える。このＰＧＥ は、ポリグリセロールを脂肪酸と６４：３６の重量比でエステル化することによ って得られる。このエステル化は、水酸化ナトリウムを触媒として使用し、２１ ０℃で、機械的に攪拌し且つ窒素を分散させ、真空を徐々に作用させた状態で行 われる。これに続いて燐酸による中和を行い、約６０℃まで冷却し、沈降させて 未反応のポリグリセロールを除去する。ＰＧＥをつくるのに使用されたポリエチ レン脂肪酸の組成を以下の表に示す。 ポリグリセロール 重量％ 線状ジグリセロール ６３．５ 三価又はそれ以上のグリセロール ３６．０ 環状ジグリセロール ０．４ 脂肪酸 重量％ Ｃ8 − Ｃ10 − Ｃ12 ３１．７ Ｃ14 ３７．２ Ｃ16 １１．５ Ｃ18:0 ３．２ Ｃ18:1 １３．８ Ｃ18:2 １．５ 混合後、各油相バッチを一晩に亘って沈降させる。各バッチから上澄みを取り 出し、スパン２０を含む油相２部に対してＰＧＥを含む油相１部の割合で混合す る。（約７５ｇのねばねばした残滓はバッチの各々から廃棄する）。 水相の温度が４３℃乃至４５℃で、油相の温度が２２℃で、油相及び水相の別 々の流れをピンインペラーの形態の動的混合装置に供給する。このピンインペラ ーは、長さが約２１．６cmで直径が約１．９cmの円筒形のシャフトを有する。シ ャフトには四列のピンが設けられ、これらの列のうち二つの列は１７本のピンを 有し、別の二つの列は１６本のピンを有し、各ピンの直径は０．５cmであり、シ ャフトの中央軸線から外方に１．６cm延びている。ピンインペラーは、円筒形の スリーブに取り付けられており、ピンと円筒形のスリーブの壁との間の隙間は０ ．８mmである。 螺旋状の静的ミキサー（長さが３５．６cm（１４インチ）で外径が１３cm（０ ．５インチ）の６．１cm（２．４インチ）切り詰めることによって改良したター 産業の０７０−８２１型）が動的混合装置の下流に取り付けられており、動的ミ キサーに背圧を提供し、ＨＩＰＥ乳濁液を均等にする。動的ミキサー及び静的ミ キサーを組み合わせた装置を水相２部に対して油相１部の割合の油相及び水相で 充填する。装置を通気し、装置の充填が完了するまで空気を抜く。充填中の流量 は、油相が３．０g/sであり、水相が４．５cc/sである。 装置がひとたび充填された後、１１００rpmで回転するインペラーで攪拌を開 始する。次いで、１２０秒の期間に亘って、水相の流量を一定の割合で４６．５ cc/sまで上昇させ、油相の流量を一定の割合で１．７７g/sまで下降させる。動 的ミキサー及び静的ミキサーによってつくりだされた背圧は、この時点で、３３ ．８１kPa（４．９psi）である。３０秒の期間に亘ってインペラーを１０００rp mに減速する。背圧が約２０．７kPa（約３psi）まで下降したとき、インペラー の速度を１８００rpmまで瞬間的に加速し、背圧を３７．９５kPa（５．５psi） に上昇させる。次いで水相及び油相の流れを夫々４７．８cc/s及び１．６６ g/sに調節する。 ＨＩＰＥ乳濁液を型（中央コアを持つ円形のタブ）に集める。型には、スパン ２０を２０％含むキシレン溶液でできたフィルムが予め施してあり、一晩に亘っ て放置し、不溶物を除去する。型を予熱し、キシレンを気化させ、スパン２０だ けを残す。充填した型を６５℃に維持された室内に１８時間に亘って維持し、硬 化させる。フォームの硬化後、フォームを例Iにおけるように所望の厚さに切る 。次いで、硬化したフォームウェブを１％塩化カルシウム溶液で洗浄する。乾燥 前にフォーム内に保持された残留溶液は、フォームの重量の５倍である。 第３図は、この例と同様のスパン２０／ＰＧＥ共乳化剤システムを使用したＨ ＩＰＥ乳濁液から形成した例示のポリマーフォームを示す顕微鏡写真である（倍 率は１０００倍である）。第３図に示すフォーム構造は膨張した状態にある。こ の図からわかるように、このフォーム構造は大きさが比較的揃った比較的小さな 細孔を有する、即ち、フォーム構造が比較的均質である。これは、ＨＩＰＥ乳濁 液の硬化中の水滴の凝集が小さかった証拠である。 例IIＢ 塩化カルシウム／過硫酸カリウムを含む水相及びスパン２０を含む油相モノマ ー混合物を例IIＡにおけるように準備する。モノマー混合物にソルビタンラウレ ート（４８０ｇ：スパン２０として）及びソルビタンラウレート（２４０ｇ）及 びソルビタンパルミテート（２４０ｇ：スパン４０として）の混合物を加える。 混合後、油相を一晩に亘って沈降させ、上澄みを取り出し、ＨＩＰＥ乳濁液の形 成に使用する。 次いで、水相（４８℃乃至５０℃）及び油相を、例IIＡにおけるように、動的 ミキサーと静的ミキサーを組み合わせた装置に供給する。組み合わせた装置に、 水相２部に対して油相１部の割合で油相及び水相で充填する。この際、装置の充 填が完了するまで、装置を通気して空気を逃がす。充填中の流量は、油相が３． ０g/sであり、水相が６cc/sである。 装置をひとたび充填した後、１８００rpmで回転しているインペラーで攪拌を 開始する。次いで、６０秒の期間に亘って、水相の流量を一定の割合で４２．３ cc/sまで上昇し、油相の流量を一定の割合で１．５g/sまで下降させる。背圧は ３１．０５kPa（４．５psi）である。ＨＩＰＥ乳濁液を型（中央コアを持つ円形 のタブ）に集め、次いで６５℃に維持された室内に1８時間に亘って維持し、例I IＡにおけるように硬化させる。フォームの硬化後、フォームを例Ｉにおけるよ うに所望の厚さに切る。硬化済みのフォームウェブを１％塩化カルシウム溶液で 洗浄する。乾燥前にフォーム内に保持された残留溶液はフォームの重量の５倍で ある。 本発明の特定の実施例を例示し且つ説明したが、本発明の精神及び範囲から逸 脱することなく、種々の他の変形及び変更を行うことができるということは当業 者に明らかである。従って、本発明の範疇の全てのこのような変形及び変更は添 付の請求の範囲に含まれる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ， ＴＤ，ＴＧ)，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ， ＣＮ，ＣＺ，ＦＩ，ＧＥ，ＨＵ，ＪＰ，ＫＧ，ＫＰ，Ｋ Ｒ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＮ，ＭＷ，ＮＯ ，ＮＺ，ＰＬ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＩ，ＳＫ，ＴＪ， ＴＴ，ＵＡ，ＵＺ，ＶＮ (72)発明者 テイラー，グレゴリー ウェイド アメリカ合衆国オハイオ州、シンシナチ、 ブルー、ティール、ドライブ、463 (72)発明者 ロー，ドナルド キャロル アメリカ合衆国オハイオ州、ウェスト、チ ェスター、エンバーウッド、コート、6324 (72)発明者 アンデス，ウィリアム スコット アメリカ合衆国オハイオ州、スプリングフ ィールド、ミラー、ロード、3585 【要約の続き】 ような形状のスリットは、水分の多い糞便即ち軟液状糞 便粘度の高い流体及び／又は血液、月経、又は傷口から の流体のような粒状物の濃度が高い流体を包含してこれ を脱水する上で特に有用である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 周囲領域及び該周囲領域と隣接しており且つ前記周囲領域によって横方 向が取り囲まれた排出領域を有する吸収体部材において、 （ａ） 水性の体液と接触するとこれを吸収して膨張する吸収体材料でできた少 なくとも一つの層であって、前記吸収体材料は、相互連結された開放空間からな る親水性の可撓性構造を有し、前記少なくとも一つの層は上面及び下面を有し、 前記上面及び前記下面は、平面方向及びこの平面方向に対して垂直な方向を構成 し、前記吸収体材料は、前記平面方向内の少なくとも一方向に膨張自在である、 層と、 （ｂ） 前記少なくとも一つの層を少なくとも部分的に貫通した少なくとも一つ のスリットを有する少なくとも一つのスリットを備えた領域であって、前記少な くとも一つのスリットは、前記水性の体液が前記排出領域に導入されたときに互 いに関して変位可能な少なくとも二つのスリット表面を有する、スリットを備え た領域とを有し、 前記水性の体液が前記排出領域に導入されたとき、前記少なくとも一つのスリ ットを備えた領域の少なくとも一部が前記少なくとも一つの層の包囲領域よりも 迅速に且つ大きく膨張し、前記少なくとも一つのスリットを備えた領域の少なく とも一部が前記垂直方向に変形し、曲がり、かくして前記少なくとも一つのスリ ットを開き、前記少なくとも二つのスリット表面を、更に迅速な捕捉のため前記 水性の体液に対して露呈する、吸収体部材。 ２． 周囲領域及び該周囲領域と隣接しており且つ前記周囲領域によって横方 向が取り囲まれた排出領域を有する多層吸収体部材において、 （ａ） 水性の体液と接触するとこれを吸収して膨張する吸収体材料でできた少 なくとも二つの層であって、前記吸収体材料は、相互連結された開放空間からな る親水性の可撓性構造を有し、前記少なくとも二つの層は、平面方向及びこの平 面 方向に対して垂直方向を構成する上面及び下面を各々有し、前記吸収体材料は、 前記平面方向内の少なくとも一方向に膨張自在である、層と、 （ｂ） 前記少なくとも二つの層の少なくとも一方を少なくとも部分的に貫通し た少なくとも一つのスリットを有する少なくとも一つのスリットを備えた領域で あって、前記少なくとも一つのスリットは、前記水性の体液が前記排出領域に導 入されたときに互いに関して変位可能な少なくとも二つのスリット表面を有する 、スリットを備えた領域とを有し、 前記水性の体液が前記排出領域に導入されたとき、前記少なくとも一つのスリ ットを備えた領域の少なくとも一部が前記少なくとも二つの層の少なくとも一方 の包囲領域よりも迅速に且つ大きく膨張し、前記少なくとも一つのスリットを備 えた領域の少なくとも一部が前記垂直方向に変形し、曲がり、かくして前記少な くとも一つのスリットを開き、前記少なくとも二つのスリット表面を、更に迅速 な捕捉のため前記水性の体液に対して露呈する、多層吸収体部材。 ３． 周囲領域及び該周囲領域と隣接しており且つ前記周囲領域によって横方 向が取り囲まれた排出領域を有する吸収体部材において、 （ａ） 水性の体液と接触するとこれを吸収して膨張する吸収体材料でできた少 なくとも一つの層であって、前記吸収体材料は、相互連結された開放空間からな る親水性の可撓性構造を有し、前記少なくとも一つの層は上面及び下面を有し、 前記上面及び前記下面は、平面方向及びこの平面方向に対して垂直な方向を構成 し、前記吸収体材料は、前記平面方向内の少なくとも一方向に膨張自在である、 層と、 （ｂ） 前記少なくとも一つの層を少なくとも部分的に貫通した少なくとも一つ のスリットを有する、少なくとも一つのスリットを備えた領域であって、前記少 なくとも一つのスリットは、前記水性の体液が前記排出領域に導入されたときに 互いに関して変位可能な少なくとも二つのスリット表面を有し、前記少なくとも 二つのスリット表面は、前記水性の体液の導入前には、前記少なくとも二つのス リ ット表面が実質的に平行でない初期配向を有し、前記少なくとも二つのスリット 表面は、前記水性の体液の導入時に、前記少なくとも二つのスリット表面が実質 的に更に平行な配向をとるように変位可能である、スリットを備えた領域とを有 し、 前記水性の体液が前記排出領域に導入されたとき、前記少なくとも一つのスリ ットは、前記水性の体液を更に迅速に捕捉するための開放した受け入れチャンネ ルを形成し、前記少なくとも二つのスリット表面は、前記水性の体液の捕捉時に 互いに向かって移動し、更に平行な配向に向かって戻り、これによって前記少な くとも一つのスリットを少なくとも部分的に閉鎖する、吸収体部材。 ４． 前記吸収体部材は、前記少なくとも一つのスリットを備えた領域を少な くとも部分的に横方向に取り囲み且つ前記少なくとも一つのスリットを備えた領 域から外方に延びるスリットを備えていない領域を有することを特徴とする、請 求項１、２、又は３に記載の吸収体部材。 ５． 前記吸収体材料は、潰れたポリマーフォーム材料からなり、前記ポリマ ーフォーム材料は、相互連結された連続気泡からなる親水性の可撓性構造からな ることを特徴とする、請求項１乃至４のうちのいずれか一項に記載の吸収体部材 。 ６． 前記ポリマーフォーム材料は、前記平面方向内の少なくとも一方向での 潜在的膨張力が少なくとも５％であることを特徴とする、請求項５に記載の吸収 体部材。 ７． 前記ポリマーフォーム材料は、前記平面方向内の少なくとも二つの相互 に直交した方向での潜在的膨張力が少なくとも３％であることを特徴とする、請 求項５に記載の吸収体部材。 ８． 前記ポリマーフォーム材料は、前記少なくとも一つのスリットの方向と 平行な方向に潜在的膨張力を有し、好ましくは、前記少なくとも一つのスリット の方向に対して垂直方向に潜在的膨張力を更に有することを特徴とする、請求項 ５に記載の吸収体部材。 ９． 前記ポリマーフォーム材料は、 （ａ） フォーム容積当たりの比表面積が少なくとも約０．０２５m2/ccであり 、 （ｂ） 毒物学的に受入れることのできる吸湿性の水和塩を少なくとも約０．１ 重量％含み、 （ｃ） 潰れた状態では、膨張圧力は約３０kPa又はそれ以下であり、 （ｄ） 膨張した状態では、６５±５dynes/cmの表面張力を持つ合成尿で自由吸 収力まで３１．１℃（８８°Ｆ）で飽和させたときの密度が、潰れた状態での乾 燥状態をベースとした密度の約１０％乃至５０％である、 ことを特徴とする、請求項５に記載の吸収体部材。 １０． 水性の体液を吸収し保持するのに特に適した吸収体物品において、 （ａ） 裏打ちシートと、 （ｂ） 前記裏打ちシートと物品の着用者の流体排出領域との間に位置決めされ るように前記裏打ちシートと関連した、請求項１の吸収体部材からなる吸収体部 材とを有する、 吸収体物品。