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JPH0833509A - 面ファスナー雌材 - Google Patents

面ファスナー雌材

Info

Publication number
JPH0833509A
JPH0833509A JP19369994A JP19369994A JPH0833509A JP H0833509 A JPH0833509 A JP H0833509A JP 19369994 A JP19369994 A JP 19369994A JP 19369994 A JP19369994 A JP 19369994A JP H0833509 A JPH0833509 A JP H0833509A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
knitted fabric
heat
fiber
fibers
surface fastener
Prior art date
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Application number
JP19369994A
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English (en)
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JP2867113B2 (ja
Inventor
Hiroko Makihara
弘子 牧原
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Daiwa Boseki KK
Daiwabo Co Ltd
Original Assignee
Daiwa Boseki KK
Daiwabo Co Ltd
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Publication date
Application filed by Daiwa Boseki KK, Daiwabo Co Ltd filed Critical Daiwa Boseki KK
Priority to JP19369994A priority Critical patent/JP2867113B2/ja
Publication of JPH0833509A publication Critical patent/JPH0833509A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2867113B2 publication Critical patent/JP2867113B2/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 汎用されている従来の面ファスナー雌材の粗
剛さを改善し、使い捨ておむつのようなディスポーザブ
ル商品に適した柔軟な面ファスナー雌材を安価に提供す
る。 【構成】 最大熱収縮率が少なくとも50%である熱収
縮性繊維を50重量%以上含んでなる繊維ウェブ(3)
と目の粗い編物(2)を積層し、高圧水流処理によって
繊維間を交絡させて両者を一体化した後、加熱処理を施
して繊維ウェブ(3)を熱収縮させて編物(2)をギャ
ザリングすることにより、その表面に編物を構成する糸
条からなる多数のループ部(4)を形成させ、面ファス
ナー雌材(1)となした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は面ファスナー雌材、特に
使い捨ておむつのようなディスポーザブル商品に好適な
面ファスナー雌材に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、面ファスナーは、ループ型の雌材
と、雌材と係合する鉤型あるいはきのこ型等のフック部
を有する雄材からなる。面ファスナーは簡便に使用する
ことができるため、衣類、鞄、靴、日用品等の開閉部、
車両の座席カバーの取り付け部に設けられて使用されて
いる。また、最近では使い捨ておむつを固着・固定させ
るべく、面ファスナーをおむつのウエスト部に貼付した
ものも提案され、実用に供されている。一般に面ファス
ナー雌材としては、合成繊維のモノフィラメントやマル
チフィラメントから形成されたループが織編物の片面か
ら突出したシートが汎用されている。このような雌材
は、雄材との係合力が非常に強く、またその係合力は繰
り返しの使用にも衰えることがないので非常に有用なも
のである。
【0003】しかし、そのような雌材を使い捨ておむつ
等に使用するには不向きである。なぜならば、ループが
織編物から突出した構造を有する雌材は、一般に嵩が高
くて柔軟性に欠けるため、おむつの着用者に違和感を与
えることとなるからである。また、そのような雌材の製
造コストは一般的に高くつくため、価格競争の激しいデ
ィスポーザブル商品においてそのような雌材を使用する
ことは凡そ現実的ではない。つまり使い捨ておむつ等に
使用する面ファスナーの性能としては、人の動きに耐え
うるだけの係合力と、使用期間中の4〜5回程度の反復
着脱に耐えるだけの耐久性および係合性能があれば十分
であるから、係合力よりもむしろ製造コストの方が重視
されるのである。
【0004】そこで、従来より製造コストを重視した面
ファスナーが種々提案されてきた。例えば、特開昭62
−38105号公報においては、不織シートにステッチ
ングを行い不織布表面にループを突出させた面ファスナ
ー部材が提案されている。また、特開平4−10560
2号においては、流体攪乱処理により表面に多数のルー
プ、コイル等を有するマルチフィラメント糸条を布帛に
挿入することにより十分な係合力を有しかつ嵩高でない
面ファスナー雌材を得ることができる旨記載されてい
る。また、特開平6−33359号では、表面に多数の
皺を形成させた長繊維不織布からなる面ファスナー雌材
が示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の面ファスナー雌材には、以下のような不都合がある。
即ち、特開昭62−38105号で示されたファスナー
部材は、係合力の点では問題ないが、不織布にステッチ
ングを行うため製造コストが高くなることは避けられ
ず、価格競争の激しいディスポーザブル商品には依然不
向きである。同様に特開平4−105602号に記載さ
れた雌材も、剥離強力、引張強力に関しては問題ない
が、特定のマルチフィラメントを1本以上用いて製織す
る必要があるため製造コストは高くなる。一方、特開平
6−33359号で示された長繊維不織布は安価に製造
することができ、いわゆるディスポーザブル商品に適し
たものではあるが雄材との係合力が弱く、おむつに使用
された場合、人の動きによって離脱しやすいという問題
がある。つまり、汎用されている雌材のように強力な係
合力はなくてもおむつ等に使用しうるだけの係合力を示
し、かつ経済的に有利な面ファスナー雌材は未だ得られ
ていないのである。
【0006】そこで、本発明者らは、従来の面ファスナ
ー雌材に見られる不都合を解消し、使い捨ておむつ等に
適した係合力を示す雌材を廉価に提供することができる
よう鋭意検討した結果、比較的目の粗い編物に、最大熱
収縮率が少なくとも50%である熱収縮性繊維を50重
量%以上含んでなる繊維ウェブを積層し、繊維間を交絡
させて両者を一体化した後、加熱処理を施し、繊維ウェ
ブを熱収縮させて編物をギャザリングすることにより、
その表面に編物を構成する糸条からなるループ部を形成
させた複合シートを作成したところ、これが面ファスナ
ー雌材に好適であることを見い出し、本願発明に至っ
た。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、最大熱収縮率
が少なくとも50%である熱収縮性繊維を50重量%以
上含んでなる繊維ウェブと目の粗い編物とが積層されて
なり、目の粗い編物がギャザリングされてその表面に編
物を構成する糸条からなる多数のループ部が形成されて
おり、ループ部が形成されていない部分では繊維ウェブ
と目の粗い編物が繊維間交絡により一体化されているこ
とを特徴とする面ファスナー雌材である。
【0008】本発明は、熱収縮性繊維ウェブと、熱収縮
性繊維ウェブが収縮する温度では実質的に収縮しない目
の粗い編物(以下、単に編物という)を積層し、両者の
熱収縮率の差を利用して編物をギャザリングさせること
により、その表面に雄材のフック部との係合に適した多
数のループ部を形成させることを特徴とする。従って、
繊維ウェブには熱収縮性繊維が含まれていなければなら
ない。そして熱収縮性繊維の最大熱収縮率は少なくとも
50%であることが望ましく、繊維ウェブ中にそのよう
な熱収縮性繊維が50重量%以上含まれていることが望
ましい。ここで最大熱収縮率とは、加熱された繊維が繊
維形状を保ったままで示す熱収縮率のうち最大のものを
いう。最大熱収縮率が50%未満の熱収縮性繊維を用い
ると、繊維ウェブ全体の熱収縮が不十分で編物をうまく
ギャザリングさせることができず、表面に雄材との係合
に適したループ部を形成させることができない。同様
に、繊維ウェブ中に含まれる繊維の割合が50重量%未
満の場合も繊維ウェブが十分に収縮せず、編物表面にル
ープ部が形成されないこととなる。
【0009】熱収縮性繊維が50重量%以上含まれてい
れば、繊維ウェブにその他の繊維を混合することができ
る。混合する繊維は特に限定されず、レーヨン等の再生
繊維、アセテート等の半合成繊維、ナイロン6、ナイロ
ン66等のポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系
繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ン系繊維等から任意に一あるいは二以上選択して使用す
ることができる。
【0010】本発明においては、最大熱収縮率が少なく
とも50%である熱収縮性繊維として、融解ピーク温度
(Tm℃)が130<Tm<145℃の範囲内にあるエ
チレンープロピレンランダム共重合体を70重量%以上
含むポリマーからなる繊維を好ましく使用することがで
きる。ここで融解ピーク温度とは、示差走査熱量計(D
SC)によりポリマーの融解熱測定を行ったときにDS
C曲線が最高値を示すときの温度をいう。ここで融解ピ
ーク温度が130℃未満であると、ポリマーがゴム的弾
性を示すようになり、繊維のカード通過性が悪くなると
いった不都合がある。また145℃を超えると、繊維の
乾熱収縮性が通常のポリプロピレン程度になってしまう
ので好ましくない。
【0011】エチレン−プロピレンランダム共重合体
は、前記温度範囲内で優れた収縮性を示すポリマーであ
り、それのみからなる3倍程度に延伸された繊維は、融
点直下の130℃で1分以内に93%の熱収縮率を示
す。よって熱収縮性を制御するために他のポリマーを混
合して使用するとよい。このとき、エチレン−プロピレ
ンランダム共重合体の割合は70重量%以上であること
が望ましい。70重量%未満では得られる繊維の最大熱
収縮率が50%未満となるからである。混合する他のポ
リマーとしては、エチレン−ブテン-1−ポリプロピレン
の三元共重合体や、ポリプロピレン等のオレフィン系ポ
リマーを好ましく使用することができる。
【0012】繊維ウェブの態様は、ステープルファイバ
ーからなるパラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダ
ムウェブ、ランダムウェブ、あるいは連続繊維を集積し
たスパンボンドウェブ等いずれであってもよい。しか
し、繊維ウェブの熱収縮の方向を一方向に集中させる方
が、編物のギャザリングを均一に発現させやすく、整然
とした外観を呈する雌材を得ることができる。従って本
発明では、特に繊維長25〜151mm、より好ましくは
繊維長38〜76mmのステープルファイバーからなるパ
ラレルウェブを好ましく使用することができる。また、
繊維ウェブの目付は最終的に得ようとする雌材の厚み等
に応じて適宜選択することができるが、本発明では特に
10〜30g/m2 のものが好ましい。10g/m2
満では、編物との繊維間交絡が不十分となりやすく、3
0g/m2 を超えると熱収縮後の繊維ウェブの厚みが大
きくなってファスナー全体が嵩高くなり、柔軟性にも劣
るものとなるからである。
【0013】本発明においては、繊維ウェブの熱収縮に
より多数のループ部を発現させるべく編物を繊維ウェブ
と一体化させる。従って、ここで用いる編物は、前記繊
維ウェブ中に含まれる熱収縮性繊維が収縮する温度にお
いて本質的に収縮しない素材で構成されていればよく、
レーヨン、綿、アセテート、ナイロン、ポリエステル、
ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる紡績糸、モノ
フィラメント、マルチフィラメント、スプリットヤーン
等で編成されたものを任意に使用することができる。中
でもナイロンやポリエステルを溶融紡糸して得られるモ
ノフィラメントやマルチフィラメントからなる編物は安
価に入手することができるので、おむつ等のディスポー
ザブル商品において使用する面ファスナー雌材に好適で
ある。
【0014】熱収縮性繊維層と非熱収縮性繊維層を一体
化した後、熱収縮性繊維層の熱収縮により非熱収縮性繊
維層に凹凸を形成させたシート状物は従前より良く知ら
れているが、本発明は非熱収縮性繊維層として編物を使
用する点に特徴がある。本発明において編物は、その構
造が構成糸条間に比較的空隙を有する構造となっている
ため最も好ましく使用される。即ち、編物と熱収縮性繊
維を含む繊維ウェブを一体化したものに加熱処理を施
し、繊維ウェブの熱収縮力を利用して編物をギャザリン
グさせると、その表面に形成される凸部は糸条と糸条の
間が開放された一種のループとなり、雄材のフック部と
の係合に非常に適したものが得られるのである。従っ
て、雄材のフック部との係合に適した凸部すなわちルー
プ部を得るには、編密度の小さな比較的目の粗い編物を
使用することが望ましい。もし編物の密度が大きけれ
ば、ギャザリングにより形成されるループ部において糸
条と糸条の間隔が密になりすぎて開放部が少なくなり、
雄材のフック部と円滑に係合することができなくなるか
らである。
【0015】また、本発明において編物を使用するもう
ひとつの理由として、編物を構成する糸条が連続してい
るということが挙げられる。即ち、編物をギャザリング
させてループ部を形成させた場合、ループの基部、即ち
ループが形成されていない部分が繊維ウェブに保持され
てループ部の糸条が抜け出にくくなるので、雄材を雌材
から剥離させるときにループ抜けが生じにくくなる。従
って、本発明の雌材は、繰り返し使用しても表面状態の
変化が少なく、係合力の低下も抑えられるという利点を
有するものとなる。
【0016】本発明においては、使用する編物が柔らか
い程、また薄い程、ギャザリングしやすく、細かなルー
プ部を形成させることができる。さらに、編物を構成す
る糸条がマルチフィラメントのように複数本の糸条から
構成されたものであると、一のループ部が多数本の繊維
から構成されることになるので雄材との係合には有利で
ある。
【0017】具体的には、繊度10〜60デニールのモ
ノフィラメントもしくは合計繊度10〜60デニールの
マルチフィラメントで編成されたウェール数20〜60
個/インチ、コース数15〜50個/インチのトリコッ
トのような経編地、もしくは横編地が好ましく使用され
る。また、これらの編物に樹脂加工を施したものも好ま
しく使用することができる。その場合、編物の伸びが抑
えられるので製造工程における取り扱い性が向上し、寸
法安定性の優れた面ファスナー雌材を得ることができ
る。
【0018】上述した構成を有する繊維ウェブ及び編物
を積層し、繊維間交絡させて両者を一体化した後、加熱
処理を施し、繊維ウェブを収縮させて編物をギャザリン
グすることにより、編物表面に多数のループ部が形成さ
れ、ループ部が形成されない部分では繊維間交絡により
編物と繊維ウェブが一体化した本発明の面ファスナー雌
材を得ることができる。以下、その具体的な製造方法を
述べる。
【0019】繊維ウェブと編物の一体化は、両者を構成
する繊維間が交絡することによって達成される。繊維間
交絡させる方法としては、高圧水流処理やニードルパン
チングを挙げることが出来る。このうち高圧水流処理
は、毛羽立ちが少なく表面状態の良好なシート状物を得
ることができるので、最も好ましい交絡手段である。高
圧水流処理は通常の方法に従って行うことができる。具
体的には、90〜120メッシュ(メッシュ:1インチ
あたりの目開き数)の金網上に繊維ウェブと編物の積層
物を載置し、繊維ウェブの目付や編物の密度に応じて1
0〜150kg/cm2 の圧力で孔径0.1mm〜0.2mmの
ノズルから水を噴出させ、積層物に作用させればよい。
例えば、目付10〜30g/m2 の繊維ウェブと、繊度
10〜60デニールのモノフィラメントもしくは合計繊
度10〜60デニールのマルチフィラメントで編成され
たウェール数20〜60個/インチ、コース数15〜5
0個/インチの経編地もしくは横編地を一体化させる場
合、噴出させる水の圧力を30〜70kg/cm2 とするの
がよい。また、水流を繊維ウェブの側から作用させる
と、両者の絡合をより効果的に行うことができる。
【0020】次に、この一体化された積層物に加熱処理
を施す。加熱処理は、繊維ウェブだけを熱収縮させるこ
とによって編物をギャザリングし、編物の表面に多数の
ループ部を形成させるために行う。加熱処理は、繊維ウ
ェブ中に含まれる熱収縮性繊維が熱収縮してウェブ全体
の面積が30〜85%熱収縮するような条件、つまり加
熱後の面積が加熱前の70〜15%になるような条件で
行うとよい。このとき収縮率が30%未満では収縮が不
十分で編物表面にループ部を十分形成させることができ
ず好ましくない。また収縮率が大きくなる程、単位面積
あたりに形成されるループ部の数が多くなり、雄材との
係合に適したものとなるが、85%以上収縮させて多数
のループ部を形成させても係合力は変わらず、むしろ厚
みが増し柔軟性がなくなるので好ましくない。
【0021】加熱処理は、例えば熱風貫通型乾燥機によ
り行うことができる。この場合、熱収縮率は温度および
滞留時間によって決定される。例えば、熱収縮性繊維と
して前述したエチレン−プロピレンランダム共重合体か
らなる繊維を用いる場合には、加熱温度(T℃)を10
0<T<Tm+130の範囲内とし、この温度で30秒
〜1分間加熱処理を施せばよい。加熱温度が100℃未
満では熱収縮が不十分であり、Tm+130℃を超える
と繊維が完全に溶融し収縮応力が著しく低下するため好
ましくない。
【0022】繊維ウェブの熱収縮により、編物表面に編
物を構成する糸条からなる多数のループ部が形成され
る。ループ部(4)は図2に示すように、編物(2)の
一部が繊維ウェブ(3)から剥離し、繊維ウェブ(3)
の面収縮により剥離部が余剰部分となってアーチ状に浮
き上がった結果、形成されたものである。従って、ルー
プ部(4)が形成されていない部分では編物(2)と繊
維ウェブ(3)は依然、繊維間交絡されたままであり、
この交絡部の存在により両者の一体性が担保される。
【0023】前述した通り、繊維ウェブの面積を30〜
85%収縮させると、雄材のフック部との係合に適した
高さ1〜3.5mmの多数のループ部が形成される。この
ループ部の数、形、大きさ等は、繊維ウェブの目付や構
成繊維の種類、編物の密度や厚み等によって変わるの
で、雄材との係合のし易さやファスナーを使用する商品
を考慮して、所望のループ部を形成できるよう繊維ウェ
ブや編物を選択するとよい。例えば、繊維ウェブ(3)
として前述のステープルファイバーからなるパラレルウ
ェブを用い、編物(2)としてトリコット編地を用い、
繊維ウェブ中の繊維方向(縦方向)とトリコット編地の
ウェール方向が平行になるように両者を積層し、これに
加熱処理を施すとトリコット編地は専ら縦方向に収縮さ
れることとなる。その結果、図1のように、複数のルー
プ部(4)が連なってできた長さ0.5〜5cm程度の畝
状部(5)が、繊維ウェブ中の繊維方向と90°の角を
なす方向(横方向)に多数形成され、かつそれらが平行
に配列した状態となるので、整然とした外観を呈する美
麗な面ファスナー雌材(1)を得ることができる。
【0024】
【作用】本発明において、熱収縮性繊維を含む繊維ウェ
ブは、加熱処理によって熱収縮され、その際に発生する
熱収縮力によって編物をギャザリングさせる。また、熱
収縮によってウェブの目付が増すため、面ファスナー全
体の寸法安定性も向上する。編物のギャザリングによっ
て、編物表面には多数のループ部が形成される。ここで
目の粗い編物を用いた場合、形成されるループ部は構成
糸条間の間隙が大きいがゆえに開放された状態となるの
で雄材との係合に非常に適したものとなる。従って本発
明において編物は、雄材のフック部との係合を容易かつ
強固なものとし、ファスナー全体の係合力向上に直接寄
与するものとなる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明
する。なお、得られた面ファスナー雌材の係合力は引張
強力、剥離強力として評価し、それぞれ次のような方法
で測定した。
【0026】〔引張強力〕市販の面ファスナー(クラレ
(株)製:商品名マジックテープベルクロ)の雄材(フ
ック部:鉤型,幅25mm)と実施例で作成した面ファス
ナー雌材(幅25mm)を8cmの長さで係合させて2.0
kgのローラで加重係合した。次いでこれをオリエンテ
ック(株)製テンシロンを用いて、係合していない部分
の雄材と雌材の上下をつかみ間隔10cmでつかみ、速度
10cm/分で引張強力試験を行い、最大強力を読み取
り、これを引張強力とした。また、強力は初回のもの
と、着脱を5回繰り返したものについて測定した。
【0027】〔剥離強力〕上記引張強力と同じ方法にて
雌材と雌材を係合し、次いで係合した一方の端部4cm
(雄材と雌材の合計8cm)を剥がして、角度180℃の
方向に上と下に分け、オリエンテック(株)製テンシロ
ンを用いて、速度10cm/分、チャート速度10cm/分
で剥離を約3cm行った。そしてグラフから極大点6点、
極小点6点を読み取り、その平均値を剥離強力とした。
また、強力は初回のものと、着脱を5回繰り返したもの
について測定した。
【0028】[実施例1]熱収縮性繊維として、融解ピ
ーク温度が136℃のエチレン−プロピレンランダム共
重合体を260℃で溶融紡糸し、3.5倍に延伸したも
のを使用した(表中、PNEと略す)。この繊維は、1
50℃の雰囲気下に1分間置いたとき92%の乾熱収縮
率を示した。これを繊度2デニール、繊維長51mmのス
テープルファイバーとし、パラレルカードで目付10g
/m2 のパラレルウェブを作成した。このパラレルウェ
ブ(3)に15デニールのナイロンモノフィラメントで
編成されたウェール数24個/インチ、コース数20個
/インチのトリコット編地(2)を、ウェブ中の繊維方
向(縦方向)とトリコット編地のウェール方向が平行に
なるように積層し、100メッシュの金網上でウェブ側
から水圧40kg/cm2で高圧水流処理を施して繊維間を
交絡させるとともに、両者を一体化した。続いて、熱風
貫通型乾燥機を用いて120℃で30秒間加熱処理を施
し、ウェブを熱収縮させてトリコット編地をギャザリン
グし、表面にループ部(4)を形成させて面ファスナー
雌材(1)となした。トリコット編地(2)の表面に
は、図1および図2で示したようにループ部(4)が連
なってできた長さ0.5〜5cmの畝状部(5)が繊維ウ
ェブ(3)中の繊維方向と90℃の角をなす方向(横方
向)に多数形成され、それらが平行に配列された状態と
なっていた。そしてそのような畝状部(5)が、縦方向
1cmあたり約3〜4個形成されていた。この雌材を雄材
と係合させて引張強力、剥離強力を測定した結果を表1
に示す。表中、タテ方向の引張強力および剥離強力と
は、繊維ウェブ中の繊維方向を雌材の長さ方向として雄
材と係合させた場合の強力をいい、ヨコ方向の強力とは
繊維ウェブ中の繊維方向と90℃の角をなす方向を雌材
の長さ方向として雄材と係合させた場合の強力をいう。
また、表中、ループ数は縦方向1cmあたりに形成されて
いるループの数である。
【0029】[実施例2〜9]実施例1で使用した熱収
縮性繊維(PNE)およびトリコット編地を使用し、ウ
ェブの目付および加熱温度を変化させて、実施例1と同
様の方法で面ファスナー雌材を作成した。得られた雌材
の表面は、いずれも実施例1と同様、ループ部が連なっ
てできた畝状部が横方向に多数形成され、それらが平行
に配列した状態となっていた。それぞれの面ファスナー
雌材の性能を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】[実施例10]実施例1で使用したエチレ
ン−プロピレンランダム共重合体からなる繊度2デニー
ル、繊維長51mmのステープルファイバー(PNE)を
用いて、パラレルカードで目付15g/m2 のパラレル
ウェブを作成した。このパラレルウェブに、繊度5デニ
ールのナイロンフィラメントからなる合計繊度30デニ
ールのマルチフィラメントで編成したウェール数40個
/インチ、コース数20個/インチのトリコット編地を
積層し、100メッシュの金網上でウェブ側から水圧4
0kg/cm2 で高圧水流処理を施して繊維間を交絡させる
とともに、両者を一体化した。続いて、熱風貫通型乾燥
機を用いて130℃で30秒間加熱処理を施し、ウェブ
を熱収縮させて編物をギャザリングし、表面にループ部
を形成させて面ファスナー雌材となした。トリコット編
地の表面は、実施例1と同様、ループ部が連なってでき
た畝状部が横方向に多数形成され、それらが平行に配列
された状態となっていた。得られた面ファスナー雌材の
性能を表2に示す。
【0032】[実施例11〜13]実施例10におい
て、ウェブの目付および加熱温度を変化させて、実施例
10と同様の方法で面ファスナー雌材を作成した。得ら
れた雌材の表面は、いずれも実施例1〜10と同様、ル
ープ部が連なってできた畝状部が緯方向に多数形成さ
れ、それらが平行に配列したものなっていた。それぞれ
の面ファスナー雌材の性能を表2に示す。
【0033】[実施例14〜16]実施例1で使用した
エチレン−プロピレンランダム共重合体からなる繊度2
デニール、繊維長51mmのステープルファイバー(PN
E)70重量%と、繊度2デニール、繊維長51mmのレ
ーヨン、ポリプロピレン繊維(PP)、ポリエステル繊
維(PET)をそれぞれ30重量%混合し、パラレルカ
ードで目付15g/m2 のパラレルウェブを3種類作成
した。このパラレルウェブに、実施例10で使用したナ
イロントリコット編地をそれぞれ積層し、100メッシ
ュの金網上でウェブ側から水圧40kg/cm2 で高圧水流
処理を施して繊維間を交絡させるとともに、両者を一体
化した。続いて、熱風貫通型乾燥機を用いて130℃で
30秒間加熱処理を施し、ウェブを熱収縮させて編物を
ギャザリングし、表面にループ部を形成させて面ファス
ナー雌材となした。それぞれトリコット編地の表面は、
実施例1〜13と同様、ループ部が連なってできた畝状
部が横方向に多数形成され、それらが平行に配列された
状態となっていた。得られた面ファスナー雌材の性能を
表2に示す。
【0034】[比較例1]実施例1で使用したエチレン
−プロピレンランダム共重合体からなる繊度2デニー
ル、繊維長51mmのステープルファイバー(PNE)を
用いて、パラレルカードで目付15g/m2 のパラレル
ウェブを作成した。このパラレルウェブに、繊度2デニ
ール、繊維長51mmのレーヨンからなる目付15g/m
2 のパラレルウェブを積層し、100メッシュの金網上
で熱収縮性の繊維ウェブ側から水圧40kg/cm2 で高圧
水流処理を施して繊維間を交絡させるとともに、両者を
一体化した。続いて、熱風貫通型乾燥機を用いて130
℃で30秒間加熱処理を施し、熱収縮性の繊維ウェブを
熱収縮させてレーヨンウェブ表面に多数の皺状の凸部を
形成させ、これを面ファスナー雌材とした。この面ファ
スナー雌材の性能を表2に示す。なお、この面ファスナ
ー雌材は、雄材を剥離させる際に「綿抜け」が著しく発
生したため、5回着脱を繰り返すと、雄材との係合が不
可能となり、引張強力および剥離強力の測定を行うこと
ができなかった。
【0035】
【表2】
【0036】[剛軟性の評価]実施例1、2、3、6の
面ファスナー雌材と、市販の面ファスナー(クラレ
(株)製:商品名マジックテープベルクロ)の雌材につ
いて、それぞれカンチレバー法(JIS L 1018
6.22.1 A法)に基づいて曲げ長さを測定し、
剛軟性を評価した。得られた結果を表3に示す。表中、
タテ方向の曲げ長さは繊維ウェブ中の繊維方向を長さ方
向として測定したものであり、ヨコ方向の曲げ長さは繊
維ウェブ中の繊維方向と90°の角をなす方向を長さ方
向として測定したものである。
【0037】
【発明の効果】このように、本発明の面ファスナー雌材
は、熱収縮性繊維からなる繊維ウェブおよび目の粗い編
物から構成されているため、汎用されている面ファスナ
ー雌材に比べ著しく柔軟性に富んだものとなっている。
従ってこれを例えば使い捨ておむつ等に使用した場合、
着用者に違和感を与えることがない。また、編物表面に
形成されるループ部は、編物を構成する糸条からなり、
ループ部の基部が繊維ウェブに保持されているため、雄
材を剥離させた場合でも糸条が脱落しにくく、また繰り
返し使用された場合でもその良好な表面状態を保つこと
ができる。さらに本発明の面ファスナー雌材は、複雑な
製造工程を経ることなく安価に製造することができると
いう利点をも有する。従って、本発明の面ファスナー雌
材は、柔軟性と低コストが要求されるおむつ等のディス
ポーザブル商品に特に好ましく使用することができる。
また、強力な係合力を特に必要としないものであれば、
それ以外の商品、例えば衣類、車両の座席カバーの取り
付け部等へも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の面ファスナー雌材の一例を示す平面図
である。
【図2】本発明の面ファスナー雌材の一例を示す縦方向
の断面図である。
【符号の説明】
1 面ファスナー雌材 2 編物 3 繊維ウェブ 4 ループ部 5 畝状部
【表3】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最大熱収縮率が少なくとも50%である
    熱収縮性繊維を50重量%以上含んでなる繊維ウェブと
    目の粗い編物とが積層されてなり、目の粗い編物がギャ
    ザリングされてその表面に編物を構成する糸条からなる
    多数のループ部が形成されており、ループ部が形成され
    ていない部分では繊維ウェブと目の粗い編物が繊維間交
    絡によって一体化されていることを特徴とする面ファス
    ナー雌材。
  2. 【請求項2】 熱収縮性繊維が、融解ピーク温度(Tm
    ℃)が130<Tm<145のエチレン−プロピレンラ
    ンダムコポリマーを少なくとも70重量%以上含むポリ
    マーからなる繊維であることを特徴とする請求項1記載
    の面ファスナー雌材。
  3. 【請求項3】 繊維ウェブが、その構成繊維が一方向に
    配列された目付10〜30g/m2 の繊維ウェブである
    ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の面ファスナ
    ー雌材。
  4. 【請求項4】 目の粗い編物が、繊度10〜60デニー
    ルのモノフィラメントもしくは合計繊度10〜60デニ
    ールのマルチフィラメントで編成されたウェール数20
    〜60個/インチ、コース数15〜50個/インチの経
    編地もしくは横編地であることを特徴とする請求項1〜
    3記載の面ファスナー雌材。
  5. 【請求項5】 目の粗い編物に、最大熱収縮率が少なく
    とも50%である熱収縮性繊維を50重量%以上含んで
    なる繊維ウェブを積層し、繊維ウェブ側から高圧水流処
    理を施して繊維間を交絡させるとともに両者を一体化し
    た後、加熱処理を施し、繊維ウェブの面積を30〜85
    %熱収縮させて編物をギャザリングすることにより、そ
    の表面に編物を構成する糸条からなる多数のループ部を
    形成させることを特徴とする面ファスナー雌材の製造方
    法。
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