JP7360817B2 - デジタル式マイクロメータ - Google Patents
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Description
U字形フレームの一端の内側にアンビルを有するU字フレーム部と、前記U字フレーム部の他端側において前記アンビルから離れる方向に長さを有するように設けられたスピンドル保持部と、を有する本体フレームと、
前記スピンドル保持部に保持され、前記アンビルに対して進退するように軸方向に進退可能に設けられ、一端面に接触子を有するスピンドルと、
回転操作を前記スピンドルの直線運動に変換するシンブル部と、
前記スピンドルの変位を検出する変位検出器と、を具備するデジタル式マイクロメータであって、
前記本体フレームと前記スピンドルとは、非磁性体の材料で形成され、
前記シンブル部および前記変位検出器は、前記スピンドル保持部の他端側に配設され、
前記スピンドル保持部の長さが所定値以上である
ことを特徴とする。
前記スピンドルを前記アンビルから最も離間させたときの前記アンビルと前記接触子との距離を当該デジタル式マイクロメータの測定範囲dとするとき、
前記スピンドル保持部の長さが前記測定範囲d以上である
ことが好ましい。
前記スピンドル保持部の長さが200mm以上である
ことが好ましい。
前記シンブル部は、
軸線に沿ったスリットを有し、前記本体フレームの他端側に固定的に設けられたインナースリーブと、
前記インナースリーブに対して周方向に回転可能な状態で外嵌し、かつ、内周面にスパイラル溝を有するアウタースリーブと、を有しており、
前記スピンドルに固定的に設けられた係合ピンが前記スリットを通して前記スパイラル溝に係合しており、
前記シンブル部は、前記スピンドル保持部の他端に設けられている
ことが好ましい。
前記変位検出器は、前記シンブル部の他端に設けられている
ことが好ましい。
前記変位検出器は、
前記シンブル部の他端から前記シンブル部の内部に挿入されて、前記スピンドルの他端と一体的に移動する接触子と、
前記接触子と一体的に移動するスケールおよび前記スケールに対する相対位置または相対変位量を検出する検出ヘッドを有するエンコーダと、を有する
ことが好ましい。
さらに、
前記シンブル部の周囲において、前記シンブル部から所定距離離れた位置に非磁性体で形成された第1保護部材が配設されている
ことが好ましい。
さらに、
前記変位検出器の周囲において、前記変位検出器から所定距離離れた位置に非磁性体で形成された第2保護部材が配設されている
ことが好ましい。
(第1実施形態)
本発明のデジタル式マイクロメータ100に係る第1実施形態について説明する。
図1は、デジタル式マイクロメータ100の外観を表わす正面図である。
図2は、デジタル式マイクロメータ100の内部構造を表わす断面図である。
デジタル式マイクロメータ100は、本体フレーム200と、スピンドル300と、シンブル部400と、検出部500と、を備える。
本体フレーム200の他端側にはスピンドル300が進退可能に設けられている。
このとき、本体フレーム200の他端側において、アンビル210に近い側にはガイドブッシュ220が取り付けられ、アンビル210から遠い側にはシンブル部400が取り付けられている。
また、本体フレーム200の正面側には表示パネル201が配設されている。表示パネル201には、デジタル表示部230と複数の操作スイッチ240とが配設されている。表示パネル201は、プラスチックや樹脂等の非磁性体の材料で形成されている。
なお、ガイドブッシュ220をオーステナイト系ステンレス鋼で形成してもよい。
ただ、摺動する軸と穴との関係において、硬度差を持たせておくことが好ましいと考えられる。
マイクロメータの場合、スピンドルの硬度を高くし、ガイドブッシュの硬度を低く設計して耐久時にガイドブッシュが摩耗する設定とすることが好ましい。
オーステナイト系ステンレス鋼は焼き入れできない。
焼き入れすると若干磁性が生じたり、軟化してしまったりするからである。そのため、オーステナイト系ステンレス鋼は、焼き入れの違いで硬度差のコントロールが出来ない。そこで、スピンドルとガイドブッシュとで異種材料を選択せざるを得ず、スピンドル300をオーステナイト系ステンレス鋼で形成するとした場合、ガイドブッシュ220は黄銅とすることが好ましい。
シンブル部400は、本体フレーム200の他端側に設けられた全体としては筒状のユニットである。シンブル部400の内側にスピンドル300の他端側を受け入れるようになっている。ユーザーは、シンブル部400の回転操作によってスピンドル300を進退させる。シンブル部400は、インナースリーブ410と、アウタースリーブ420と、カバー部材430と、を有する。
このとき、アウタースリーブ420は、インナースリーブ410に対して周方向に回転可能になっている。ここで、アウタースリーブ420の内周面には、1条のスパイラル溝421が形成されている。スパイラル溝421には係合ピン332が係合する。
係合ピン332、係合駒部材330およびスピンドル300は一体的になっているので、係合ピン332の進退によってスピンドル300も進退する。
黄銅は非磁性体の材料であり、かつ、快削材である。
インナースリーブ410は軸受材であるから内径の加工精度が求められる。また、インナースリーブ410にはスリット411を形成しており、このスリット411によりスピンドル300の移動の真直度を確保するとともに回り止めが実現されている。後述するようにスピンドル300の移動をエンコーダ510で検出するにあたって本実施形態ではスピンドルにメインスケール511を直接または間接的に取り付けている。
したがって、スピンドル300がわずかでも回転したりすると、エンコーダの検出精度に影響する。この観点からオーステナイト系ステンレス鋼では加工が難しいので、インナースリーブ410の材料としては黄銅が好ましいと考えられる。
小型測定器(スモールツール)にあっては長時間片手で持っていても負担にならない程度の重さであることが望ましいし、落としたときに破損しにくいし安全でもある。
逆に、本体フレーム200を純アルミニウムあるいは非磁性体のアルミニウム合金で形成するのであれば、インナースリーブ410は黄銅にするのがよいであろう。
さらには、インナースリーブ410は、オーステナイト系ステンレス鋼で形成してもよい。
オーステナイト系ステンレス鋼は、非磁性体の材料のなかでは熱膨張が小さいことや強度が高いという点で測定器の材料としては好ましいといえる。ただし、加工が難しいのと、重量が増す、という問題はある。
図4は、検出部500の分解斜視図である。
検出部500は、エンコーダ510と、ヘッド固定部530と、を有する。
エンコーダ510は、リニアエンコーダ510であって、長手状のメインスケール511と、検出ヘッド512と、を有する。
メインスケール511と検出ヘッド512とはメインスケール511の長手方向に沿って相対移動可能となっており、検出ヘッド512はメインスケール511に対する位置または変位を検出する。本実施形態では、検出ヘッド512は本体フレーム200に対して固定的に設けられ、メインスケール511がスピンドル300とともに進退するようになっている。
ヘッド保持板531の一面において、検出ヘッド512と干渉しない位置に複数(3つ)の突起532が形成されており、突起532の先端がメインスケール511に対して摺動可能に当接する。これにより、検出ヘッド512がメインスケール511に対して所定ギャップを位置しながら対向する。
本発明の第2実施形態を図5から図8を参照しながら説明する。
第2実施形態の基本的な構成は第1実施形態と共通するが、第2実施形態では、U字フレーム部710とシンブル部400との間にあるスピンドル保持部720が所定値以上の長さを有している点に特徴がある。
第2実施形態と第1実施形態とで共通する要素には対応する符号を付してその説明を省略する。
図5において、本体フレーム700は、U字フレーム部710と、スピンドル保持部720と、を有する。
U字フレーム部710の一端の内側にはアンビル210が設けられている。U字フレーム部710の他端側には、筒状のスピンドル保持部720が設けられている。そして、本体フレーム700を構成するU字フレーム部710およびスピンドル保持部720は、非磁性体で形成されている。本体フレーム700を形成する非磁性体の材料としては、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼、純アルミニウム、非磁性のアルミニウム合金が例として挙げられる。
筒状のスピンドル保持部720の内部にスピンドル300が挿通される。スピンドル保持部720の一端からスピンドル300が突き出てアンビル210に対して軸方向進退可能となっている。スピンドル300の一端面には接触子310が設けられている。
基本的には、シンブル部400の構成自体は、第1実施形態で説明したシンブル部400の構成と同じでよい。ただし、第2実施形態のシンブル部400においては、必ずしも、構成材料を非磁性体にする必要はない。例えば、インナースリーブは鉄系(鉄鋼系)の材料で形成されていてもよい。
U字フレーム部710の一端と他端との間のエリアを測定物配置エリアと称することにする。
測定物配置エリアから所定距離以内に配置されてしまうもの、例えば、U字フレーム部710およびスピンドル保持部720からなる本体フレーム700、スピンドル300、アンビル210については、非磁性体で構成する必要がある。
その一方、測定物配置エリアから所定距離以上離れて配置されるシンブル部400や変位検出器800の構成材料については、強磁性体(鉄鋼系の材料)を使用できるようになる。
(ここで、スピンドル保持部720の長さLというのは、測定物配置エリアとシンブル部400との距離、あるいは、測定物配置エリアと変位検出器800との距離、に相当する。)
典型的なHEV(電気式ハイブリッド自動車)や電気自動車のモータに使用される磁石の質量は約1kgとされているので、ここでは磁石の質量を約1kgとして力を算出した。
図8より、磁石から200mm離れると、磁石が鉄板を引き寄せる力は0.04Nとなり、ほとんど磁石の影響を受けないことが分かる。そこで、本第2実施形態ではスピンドル保持部720の長さLを200mm以上に設定することが望ましい。
(換言すると、測定物配置エリアとシンブル部との距離が200mm以上、あるいは、測定物配置エリアと変位検出器との距離が200mm以上、ということである。)
これにより、HEVのモータを構成する強磁石を測定する場合でも、本実施形態のマイクロメータと測定対象物(強磁石)とがほとんど引き合わず、高精度な測定が可能となる。
いま、スピンドル300をアンビル210から最も離間させたときのアンビル210と接触子310との距離を当該デジタル式マイクロメータの測定範囲dとする。
このとき、スピンドル保持部720の長さLは、d以上とすることが好ましい。
さらには、スピンドル保持部720の長さLを、測定範囲dの1.5倍以上とすることが好ましい。
さらに、スピンドル保持部720の長さLを測定範囲dの2倍以上としてもよい。
さらに、スピンドル保持部720の長さLを測定範囲dの3倍以上としてもよい。
スピンドル保持部720の長さLが測定範囲dの1.5倍や2倍以上であれば、測定作業中に測定対象物とシンブル部400、あるいは、測定対象物と変位検出器800とが引き合う力は十分に小さくなると考えられる。
さらに、スピンドル保持部720の長さLが測定範囲dの3倍以上になれば、測定対象物を交換するようなときでも測定対象物をシンブル部400や変位検出器800に接近させてしまうような事故がかなり少なくなると考えられる。
測定作業中にスピンドル保持部720が伸縮すると、測定値の誤差として重畳することになる。そこで、スピンドル保持部720をゴムや合成樹脂で覆うことで、本実施形態のマイクロメータを人が手に持ちながら使用するような場合でも、測定値に誤差が生じることを低減するようにすることが好ましい。
図9に、本発明の第3実施形態を例示する。
第3実施形態としては、第2実施形態で説明したデジタル式マイクロメータにさらに保護部材を追加したものである。
保護部材としては、前側保護部材(第1保護部材)910と、後側保護部材(第2保護部材)930と、が設けられている。
前側保護部材(第1保護部材)910は、シンブル部400の周囲に配設されて、測定対象物(強磁石)がシンブル部400に接近したり接触したりすることを防ぐ。
前側保護部材910は、所定角度間隔(ここでは例えば120°間隔)で配置された複数本(ここでは3本)の前側アーム部920からなる。
取付部921は、スピンドル保持部720の他端寄り(シンブル部寄り)において、スピンドル保持部720に外嵌するように取り付けられている。
すべての(3本の)前側アーム部920は一つの取付部921で繋がっている。
延在部922は、取付部921から連続しており、スピンドル保持部720と略平行にスピンドル保持部720の途中まで延在している。
前側アーチ部923は、延在部922の先端から連続していて、弧を描くようにスピンドル保持部720から離れながらシンブル部400の方に向い、先端がシンブル部400の周囲にある。
後側保護部材930は、所定角度間隔(ここでは例えば120°間隔)で配置された複数本(ここでは3本)の後側アーム部940からなる。
後側アーム部940は、変位検出器800のキャップ821に取り付けられる延長棒941と、後側アーチ部942と、を有する。
後側アーチ部942は、延長棒941の他端(後端)から連続していて、弧を描くように延長棒941から離れながら変位検出器800の方に向い、先端が変位検出器800の周囲にある。
これは、図8より、測定対象物(強磁石)と鉄(シンブル部400や変位検出器800の構成材料)との距離を100mm以上にしておけば、両者の間の磁力は約1N以下になると期待できることによる。
上記実施形態の説明において、本体フレーム、アンビル、ガイドブッシュ、スピンドル、係合駒部材、シンブル部(インナースリーブ、アウタースリーブ)の材料を例示したが、上記に挙げた例の他、非磁性体の材料として、高マンガンオーステナイト系ステンレス鋼などのオーステナイト系ステンレス鋼、純アルミニウム、非磁性のアルミニウム合金、チタン合金、セラミクス、炭素繊維強化プラスチック等のプラスチック(合成樹脂)、ベリリウム銅、マグネシウム合金、および、黄銅のなかから選択してもよい。
この他、光電式エンコーダ、電磁誘導式エンコーダ、磁気式エンコーダが採用できる。
エンコーダとしては、メインスケールにも検出ヘッドにもガラス基板を使用するのがよいと考えられる。
ただ、演算処理回路のチップだけは磁気シールド材(例えば強磁性体の金属)で囲んでおいてもよい。チップが十分に小さければ、強磁石である測定対象物(ワーク)との間に生じる力(磁力)もそれほど大きくはならない。
シンブル部と変位検出器との位置を逆にして、スピンドル保持部の他端に変位検出器を取り付け、さらに、変位検出器の他端にシンブル部を取り付けるようにしてもよい。
ただし、第2実施形態のように、演算処理部や通信機能等を内蔵する変位検出器の方を測定物配置エリアからできるかぎり遠いところに配置した方がよい。
200…本体フレーム、
210…アンビル、220…ガイドブッシュ、230…デジタル表示部、240…操作スイッチ、250…取付台座、
300…スピンドル、310…接触子、320…テーパー、
330…係合駒部材、331…テーパー孔、332…係合ピン、
400…シンブル部、
410…インナースリーブ、411…スリット、412…キャップ、
420…アウタースリーブ、421…スパイラル溝、
430…カバー部材、
500…検出部、
510…エンコーダ、511…メインスケール、512…検出ヘッド、
520…スケール台座、
530…ヘッド固定部、
531…ヘッド保持板、532…突起、533…押さえ板、534…固定板。
540…フレキシブルプリント回路基板、
600…デジタル式マイクロメータ、
700…本体フレーム、710…字フレーム部、720…スピンドル保持部、
800…変位検出器、810…筐体、820…ステム、830…測定子、840…継手、
910…前側保護部材、
920…前側アーム部、921…取付部、922…延在部、923…前側アーチ部、
930…後側保護部材、
940…後側アーム部、941…延長棒、942…後側アーチ部。
Claims (7)
- 本体フレームと、
一端面に接触子を有し、軸方向に進退可能に前記本体フレームに保持されたスピンドルと、
回転操作を前記スピンドルの直線運動に変換するシンブル部と、
前記スピンドルの変位を検出する変位検出器と、を備え、
前記本体フレームと前記スピンドルとは、非磁性体の材料で形成され、
前記シンブル部は、前記スピンドルの他端側を受け容れるように、前記シンブル部の一端側が前記本体フレームに取り付けられた筒状のユニットであって、前記シンブル部の回転操作によって前記スピンドルが無回転の状態で軸方向に進退するようになっており、
前記変位検出器は、前記シンブル部の他端側に設けられており、前記変位検出器は、前記シンブル部の内部に挿入されて前記スピンドルの他端と一体的に移動する接触子と、前記接触子と一体的に移動するスケールおよび前記スケールに対する相対位置または相対変位量を検出する検出ヘッドを有するエンコーダと、を有する
ことを特徴とするデジタル式マイクロメータ。 - 請求項1に記載のデジタル式マイクロメータにおいて、
前記シンブル部は、軸線に沿ったスリットを有するインナースリーブと、前記インナースリーブに対して周方向に回転可能な状態で外嵌し、かつ、内周面にスパイラル溝を有するアウタースリーブと、を有し、前記スピンドルに固定的に設けられた係合ピンが前記スリットを通して前記スパイラル溝に係合しており、
前記インナースリーブは、前記スピンドルの他端側を受け容れるように前記本体フレームに固定的に取り付けられている
ことを特徴とするデジタル式マイクロメータ。 - 請求項1または請求項2に記載のデジタル式マイクロメータにおいて、
前記本体フレームは、U字形フレームの一端の内側にアンビルを有するU字フレーム部と、前記U字フレーム部の他端側において前記アンビルから離れる方向に長さを有するように設けられ、前記スピンドルを保持するためのスピンドル保持部と、を有し、
前記スピンドル保持部の長さが所定値以上である
ことを特徴とするデジタル式マイクロメータ。 - 請求項3に記載のデジタル式マイクロメータにおいて、
前記スピンドルを前記アンビルから最も離間させたときの前記アンビルと前記接触子との距離を当該デジタル式マイクロメータの測定範囲dとするとき、
前記スピンドル保持部の長さが前記測定範囲d以上である
ことを特徴とするデジタル式マイクロメータ。 - 請求項3または請求項4に記載のデジタル式マイクロメータにおいて、
前記スピンドル保持部の長さが200mm以上である
ことを特徴とするデジタル式マイクロメータ。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載のデジタル式マイクロメータにおいて、
さらに、
前記シンブル部の周囲において、前記シンブル部から所定距離離れた位置に非磁性体で形成された第1保護部材が配設されている
ことを特徴とするデジタル式マイクロメータ。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載のデジタル式マイクロメータにおいて、
さらに、
前記変位検出器の周囲において、前記変位検出器から所定距離離れた位置に非磁性体で形成された第2保護部材が配設されている
ことを特徴とするデジタル式マイクロメータ。
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