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JP7031445B2 - 発泡積層体の製造方法 - Google Patents

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JP7031445B2 JP2018069472A JP2018069472A JP7031445B2 JP 7031445 B2 JP7031445 B2 JP 7031445B2 JP 2018069472 A JP2018069472 A JP 2018069472A JP 2018069472 A JP2018069472 A JP 2018069472A JP 7031445 B2 JP7031445 B2 JP 7031445B2
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Description

本発明は、従来の発泡積層体の製造技術に比べ短時間で発泡積層体を製造する方法に関するものである。
従来から、断熱性を有する容器や間紙として、合成樹脂、特にポリスチレンを発泡させたものが多く使用されている。しかし、発泡ポリスチレンは、廃棄時の環境への負荷が高い、印刷適性に劣るなどの欠点があり、他の素材への代替が検討されている。
そこで、水分を含んだ基材の一面に高融点の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートし、もう一方の面に低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートし、熱風で加熱することにより、基材に含まれている水分を利用して低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムを発泡させる技術が考案された(例えば、特許文献1~2参照。)。しかしながら、このような積層体が発泡する条件としては、低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムが溶融し、かつ、基材に含まれる水分が気化する温度まで積層体の温度が上昇せねばならない。そのため、熱伝導により対象物が加熱される熱風加熱方式では、発泡積層体を得るために長時間の加熱が必要であり、コスト高になるという欠点があった。
特開2007-217024号公報 特開2009-196200号公報
本発明は、発泡積層体の製造工程である発泡工程の時間を従来技術より短縮化できる製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、発泡積層体を特定の方法により製造することで、発泡時間を短縮できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、少なくとも(A)層、基材層、(B)層をこの順で含む発泡積層体の製造方法であって、(A)層がポリエチレン系樹脂(a)からなり、(B)層が防湿層であって、下記(i)~(ii)の工程を経ることを特徴とする発泡積層体の製造方法に係るものである。
(i)誘電加熱により発泡前の積層体を加熱することにより、(A)層のポリエチレン系樹脂(a)を軟化する工程
(ii)(i)より低出力の誘電加熱により(i)の積層体を加熱することにより、(A)層のポリエチレン系樹脂(a)を発泡する工程
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の発泡用積層体の(A)層を構成するポリエチレン系樹脂(a)は、本発明の目的が達成される限りにおいては特に限定はなく、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体などを例示することができる。これらのポリエチレン系樹脂(a)は、1種単独又は2種以上の組み合わせで用いてもよい。このうち発泡安定性に優れることから、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体又はこれらの組成物が好ましい。
低密度ポリエチレンは、従来公知の高圧法ラジカル重合法により得ることができる。
直鎖状低密度ポリエチレンは、チーグラー・ナッタ触媒やフィリップス触媒、メタロセン触媒を用いた高圧イオン重合法、中圧イオン重合法、低圧イオン重合法により、エチレンとα-オレフィンを共重合することで得ることができる。
直鎖状低密度ポリエチレンに用いるα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上が用いられる。
エチレン・酢酸ビニル共重合体は、従来公知の高圧法ラジカル重合法により得ることができる。
ポリエチレン系樹脂(a)に用いる低密度ポリエチレン乃至直鎖状低密度ポリエチレンのJIS K6922-1(1997年)により測定された密度(以下、単に密度と略す)は、発泡安定性に優れるため、910~930kg/mの範囲が好ましく、より好ましくは914~925kg/m、さらに好ましくは916~920kg/mの範囲である。
ポリエチレン系樹脂(a)に用いるエチレン・酢酸ビニル共重合体のJIS K7192(1999年)で測定した酢酸ビニル含有量は2~42重量%が好ましく、発泡安定性に優れることから、より好ましくは3~20%、さらに好ましくは4~15%の範囲である。
ポリエチレン系樹脂(a)に用いるエチレン・アクリル酸共重合体のアクリル酸の含有量は、発泡安定性に優れることから、2~30重量%が好ましく、より好ましくは5~20%である。
ポリエチレン系樹脂(a)に用いるエチレン・メタクリル酸共重合体のメタクリル酸の含有量は、発泡安定性に優れることから、2~30重量%が好ましく、より好ましくは5~20%である。
ポリエチレン系樹脂(a)のJIS K6922-1(1997年)により測定したメルトマスフローレート(以下、単にMFRと略す)は、6.0~30g/10分の範囲が好ましく、発泡安定性に優れることから、より好ましくは7.0~27g/10分、さらに好ましくは8.0~25g/10分の範囲である。
本発明の発泡用積層体の(A)層を構成するポリエチレン系樹脂(a)には、誘電加熱の効率向上のため他の樹脂を配合してもよい。
配合する樹脂としてはこれらに限定されるものではないが、塩素基含有ポリマー、酢酸ビニル含有ポリマー、アクリル酸含有ポリマー、メタクリル酸含有ポリマー、アクリロニトリル系ポリマー、ヒドロキシル基含有ポリマー、アクリル系又はアクリレート系ポリマー、エポキシ基含有ポリマー、無水マレイン酸含有又は無水マレイン酸変性ポリマー、アセテート系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、ポリケトン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリウレタン系ポリマーなどが挙げられる。
本発明の積層体を構成するポリエチレン系樹脂(a)に他の樹脂を混合する時は、ポリエチレン系樹脂(a)のペレットと他の樹脂のペレットを固体状態で混合した混合物であってもよいが、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリー等で溶融混練した混合物の方が、品質の安定した製品が得られるので好ましい。溶融混練装置を用いる場合、溶融温度はポリオレフィン系樹脂の融点~300℃程度もしくは混合する他の樹脂の分解温度以下が好ましい。
また、本発明の積層体を構成する低密度ポリエチレン(a)には、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般に用いられている添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。
本発明の発泡用積層体の(A)層を構成するポリエチレン系樹脂(a)には、誘電加熱の効率向上のためにマイクロ波感受性物質を添加してもよい。
マイクロ波感受性物質としてはこれに限定されるものではないが、例えば、炭素化合物、金属、金属塩、金属酸化物、ゼオライト、水和鉱物、金属化合物の水和塩、粘土、シリケート、セラミック、スルフィド、チタネート、カーバイド、硫黄、無機固体酸又は塩、無機もしくはポリマーイオン交換樹脂、グリセリンなどが挙げられる、これらを1種のみで用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
マイクロ波感受性物質をポリエチレン系樹脂(a)に混合する時は、ポリエチレン系樹脂(a)のペレットとマイクロ波受容物質を混合した混合物であってもよいが、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリー等で溶融混練した混合物の方が、品質の安定した製品が得られるので好ましい。溶融混練装置を用いる場合、溶融温度はポリオレフィン系樹脂の融点~300℃程度もしくはマイクロ波感受性物質が分解する温度以下が好ましい。
本発明の発泡用積層体の防湿層である(B)層としては、合成高分子重合体から形成される層や織布、不織布、金属箔、セロファン等が挙げられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、アイオノマー等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、セルロース系樹脂など合成高分子重合体から形成される層等が挙げられる。更に、これらの高分子重合体フィルム及びシートはさらにアルミ蒸着、アルミナ蒸着、二酸化珪素蒸着、アクリル処理されたものでもよい。また、これらの高分子重合体フィルム及びシートはさらにウレタン系インキ等を用い印刷されたものでもよい。金属箔としては、アルミ箔、銅箔などが例示できる。
このような防湿層の透湿度は発泡の厚みに優れることから、15g/m/24hr以下が好ましく、より好ましくは12g/m/24hr以下、更に好ましくは10g/m/24hr以下である。
ここで透湿度は、JIS K7129 A法(2008年)記載の加湿センサー法に準拠し行い、40μm換算の値を用いた。
これらの中で、発泡の厚みに優れることから、(B)層はポリエチレン系樹脂(b)、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂およびこれらの高分子重合体フィルムにアルミ蒸着、アルミナ蒸着、二酸化ケイ素蒸着を施したフィルムやクレイなどの無機物をコートしたフィルム、金属箔が好ましく、より好ましくはポリエチレン系樹脂(b)である。
このようなポリエチレン系樹脂(b)の密度は、発泡の安定性に優れることから、930~970kg/mの範囲が好ましく、より好ましくは935~970kg/mの範囲であり、最も好ましくは945~965kg/mの範囲である。
ポリエチレン系樹脂(b)としては、エチレン単独重合体、エチレン・α-オレフィン共重合体又はこれらの組成物であり、その分子鎖の形態は直鎖状でもよく、分岐を有していてもよい。このようなポリエチレン系樹脂(b)は、特に限定されるものではなく、前記密度範囲を外れなければよい。
エチレン単独重合体としては、中圧法または低圧法エチレン単独重合体、高圧法低密度ポリエチレンが例示することができる。中圧法または低圧法エチレン単独重合体は、従来公知の中圧イオン重合法や低圧イオン重合法により得ることができる。また、高圧法低密度ポリエチレンは、従来公知の高圧ラジカル重合法により得ることができる。
エチレン・α-オレフィン共重合体に用いるα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上が用いられる。
エチレン・α-オレフィン共重合体を得るための方法は特に限定するものではなく、チーグラー・ナッタ触媒やフィリップス触媒、メタロセン触媒を用いた高・中・低圧イオン重合法などを例示することができる。このような共重合体は、市販品の中から便宜選択することができる。
このようなポリエチレン系樹脂(b)にポリプロピレンなどのポリオレフィンを混合する時は、ポリエチレン系樹脂(b)のペレットとポリオレフィンのペレットを固体状態で混合したペレット混合物であってもよいが、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリー等で溶融混練した混合物の方が、品質の安定した製品が得られるので好ましい。溶融混練装置を用いる場合、溶融温度はポリエチレン系樹脂の融点~300℃程度が好ましい。
さらに、ポリエチレン系樹脂(b)には、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般に用いられている添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。
本発明の発泡用積層体を構成する紙基材については、紙基材の坪量は30~400g/mの範囲であることが好ましく、発泡後厚みに優れることから、より好ましくは、60~350g/m、更に好ましくは、90~320g/mである。紙の坪量が30g/m以上では、発泡後の厚みが大きく、400g/m未満では、ヒートシール性と柔軟性に優れるため好ましい。
このような紙基材に含まれる水分については、ポリエチレン系樹脂(a)の発泡倍率が向上することから、5~33g/mの範囲であることが好ましく、より好ましくは7~30g/m、最も好ましくは9~28g/mである。紙基材の水分が5g/m以上では、発泡後の厚みが大きく、33g/m以下では過剰な水分のために発泡成形中に発泡膜が破泡することなく、外観が悪化しないため好ましい。
本発明の発泡用積層体は、少なくともポリエチレン系樹脂(a)である(A)層と紙基材と防湿層である(B)層をこの順で含むものである。
本発明の発泡用積層体を構成する(A)層の発泡前の厚みは、本発明の目的が達成される限りにおいて特に制限はないが、発泡外観に優れることから、30~150μmの範囲が好ましく、より好ましくは、50~120μm、更に好ましくは、60~100μmである。
本発明の発泡用積層体を構成する(B)層の厚みは、本発明の目的が達成される限りにおいて特に制限はないが、発泡性に優れ、破損などの問題が小さいことから、20~100μmの厚みであることが好ましく、経済性の観点から、20~50μmの範囲が最も好適である。
本発明の発泡用積層体を得る手法として、ポリエチレン系樹脂(a)を押出ラミネート加工する方法が例示される。
押出ラミネート成形法により積層体を得る手法として、シングルラミネート加工法、タンデムラミネート加工法、サンドウィッチラミネート加工法、共押出ラミネート加工法などの各種押出ラミネート加工法を例示することができる。押出ラミネート法における樹脂の温度は、240~350℃の範囲が好ましく、冷却ロールの表面温度は10~50℃の範囲が好ましい。
また、押出ラミネート成形法において、ポリエチレン系樹脂(a)からなる(A)層を形成する際の加工速度は、発泡外観・生産性に優れることから、50~200m/分の範囲が好ましい。
本発明の発泡用積層体を構成する(B)層を形成する手法としては特に限定はなく、押出ラミネート加工法、ドライラミネート加工法、サーマルラミネート加工法、ウェットラミネート加工法などの各種ラミネート加工法を例示することができる。
このような押出ラミネート加工において、ポリエチレン系樹脂を溶融状態で押出し層とした直後に、該層の基材接着面を含酸素気体又は含オゾン気体に曝し、基材と貼り合わせる手法を用いると、基材層との接着性に優れることから好ましい。含オゾン気体により熱可塑製樹脂と基材との接着性を向上させる場合は、オゾンガスの処理量としては、ダイより押出された熱可塑製樹脂よりなるフィルム1m当たり0.5mg以上のオゾンを吹き付けることが好ましい。
本発明の発泡用積層体を得る手法における押出ラミネート加工法は、熱可塑製樹脂層と基材層との接着性をさらに向上させるため、ポリエチレン系樹脂が発泡しない程度の温度、例えば3~60℃の温度で10時間以上熱処理することができる。また必要に応じて、紙基材の接着面に対してコロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理などの公知の表面処理を施してもよい。また、必要であれば紙基材にアンカーコート剤を塗布しても良い。
本発明の発泡用積層体を得る手法として、発泡積層体の断熱性及び経済性に優れるため、ポリエチレン系樹脂(a)乃至防湿層(B)を紙基材層に積層する前に、紙基材に水を塗布してもよい。
水分を塗布する手法は、本発明の目的が達成される限りにおいて特に限定はなく、ロールコート装置、リップコート装置、スプレー装置、ダイコート装置、グラビア装置、ダンプニング装置などを用いた手法が例示することができる。水の塗布量が均一になるため、ダンプニング装置を用いた手法が好ましい。
このようなダンプニング装置は、例えば、鈴木産業(株)より商品名「ハイローターS」が、ニッカ(株)より商品名「WEKOローターダンプニング」が、東機エレクトロニクス(株)より商品名「TSD-3000」が販売されている。
本発明における水の塗布量は、本発明の目的が達成される限りにおいて特に限定はないが、ポリエチレン系樹脂(a)の発泡倍率が高くでき、かつ、紙基材とポリエチレン系樹脂(a)との接着強度が低下しないことから、1.5~30g/mが好ましく、3~15g/mがより好ましい。
水を塗布する面は、(A)層と接する紙の表面、乃至(B)層と接する紙の表面、およびその両面とすることができるが、発泡成形後の発泡層の平滑性が高く緩衝性に優れることから、(B)層と接する紙の表面のみに塗付することが好ましい。
また、水を塗布する前に、紙の濡れ性を向上させるため、紙基材にコロナ処理を行うことが好ましい。
本発明の発泡用積層体は、少なくとも(A)層/紙基材/(B)層を含むことを特徴とするものであり、(A)層と紙基材層と(B)層の3層のみからなるものだけでなく他の層、例えば(C)層を含んでいてもよい。具体的には、(A)層/紙基材層/(B)層、(A)層/紙基材層/(B)層/(A)層、(B)層/紙基材層/(A)層/(B)層、(A)層/紙基材層/(B)層/(B)層、(A)層/(A)層/紙基材層/(B)層、(A)層/紙基材層/(B)層/(C)層、(B)層/紙基材層/(A)層/(C)層、(C)層/(B)層/紙基材層/(A)層/(B)層/(C)層、(A)層/紙基材層/(B)層/(C)層/(B)層/(A)層、(B)層/紙基材層/(A)層/(C)層/(A)層/(B)層などが例示される。なお、層の間の記号/は、隣接する層であることを表している。
(C)層としては、合成高分子重合体から形成される層や織布、不織布、金属箔、紙類、セロファン等が挙げられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、アイオノマー等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、セルロース系樹脂など合成高分子重合体から形成される層等が挙げられる。更に、これらの高分子重合体フィルム及びシートはさらにアルミ蒸着、アルミナ蒸着、二酸化珪素蒸着、アクリル処理されたものでもよい。また、これらの高分子重合体フィルム及びシートはさらにウレタン系インキ等を用い印刷されたものでもよい。金属箔としては、アルミ箔、銅箔などが例示でき、また、紙類としてはクラフト紙、上質紙、伸張紙、グラシン紙、カップ原紙や印画紙原紙等の板紙などが挙げられる。
本発明の発泡積層体は、誘電加熱方式により発泡用積層体を加熱し(A)層を発泡させることにより、得ることができる。
本発明では下記(i)~(ii)の工程を経て発泡積層体が製造される。
(i)誘電加熱により発泡前の積層体を加熱することにより、(A)層のポリエチレン系樹脂(a)を軟化する工程
(ii)(i)より低出力の誘電加熱により(i)の積層体を加熱することにより、(A)層のポリエチレン系樹脂(a)を発泡する工程
工程(i),(ii)の誘電加熱の方式としては、高周波加熱やマイクロ波加熱が挙げられ、好ましくはマイクロ波加熱である。また、誘電加熱とともに熱風、電熱、電子線など、他の加熱手段を併用してもよい。マイクロ波加熱装置の出力は200~300000Wの範囲が好ましく、500~35000Wがより好ましい。
工程(i)で、(A)層のポリエチレン系樹脂(a)が軟化するまで加熱され、(ii)の工程で、(A)層のポリエチレン系樹脂(a)が発泡するまで加熱される。
誘電加熱の出力は、短時間で高発泡倍率の発泡積層体が得られ、かつ、発泡層の外観に優れることから、工程(i),(ii)で切り替えることが好ましく、工程(i)で高出力のマイクロ波で加熱したのち、工程(ii)で(i)より低出力の誘電加熱で加熱する。
具体的には、工程(i)で高出力のマイクロ波で発泡前の積層体のポリエチレン系樹脂(a)を軟化させる。工程(i)では、ポリエチレン系樹脂(a)が融点~適正発泡温度になるまで加熱することが好ましい。工程(ii)で工程(i)より低出力のマイクロ波でポリエチレン系樹脂(a)を発泡させる。工程(ii)では適正発泡温度を維持して(A)層を発泡させることが好ましい。工程(i)の高出力のマイクロ波で加熱を続けるとポリエチレン系樹脂(a)の温度が適正発泡温度を超えてしまい、発泡層の溶融張力低下による破泡のため発泡外観が悪化する。また、低出力のマイクロ波でのみ加熱すると、ポリエチレン系樹脂(a)の発泡が開始するまでに時間がかかるため、発泡時間の短縮化への効果が小さい。
ここで、ポリエチレン系樹脂(a)の適正発泡温度とは、発泡体の外観が良好な状態で発泡できる温度であれば特に限定されるものではないが、好ましくはポリエチレン系樹脂(a)の融点以上200℃以下であり、より好ましくはポリエチレン系樹脂(a)の融点以上150℃以下であり、更に好ましくはポリエチレン系樹脂(a)の融点以上135℃以下である。
加熱は、オーブン内で回分式に行う手法、コンベア式の設備などで連続的に行う手法により行うことができる。
加熱時間は本発明の目的が達成される限りにおいて特に限定はなく、一般的に10秒~6分間である。
本発明の発泡積層体は、包装紙、緩衝性包装紙、包装袋などの緩衝材料や、滑り止め材料、遮音材料、断熱材料、食品容器、断熱紙容器などとして用いられ、特に緩衝材料や断熱紙容器に好的に用いられる。
本発明の製造方法により、従来の発泡方法に比べ短時間で発泡積層体を製造することができる。
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)密度
密度は、JIS K6922-1(1997年)に準拠して測定した。
(2)メルトマスフローレート(MFR)
MFRは、JIS K6922-1(1997年)に準拠して測定した。
(3)酢酸ビニル含有量
酢酸ビニル含有量は、JIS K7192(1999年)に準拠して測定した。
(4)融点
融点は、JIS K6922-2(2010年)に準拠して測定した。
(5)透湿度
透湿度は、JIS K7129 A法(2008年)に準拠して測定した。試料は、Tダイ直下の樹脂温度が320℃、引き取り速度が50m/分、エアギャップ長さが130mmで40μmの厚さになるよう押出ラミネート成形を行ったフィルムを、基材より剥離し測定に用いた。
(6)加熱発泡
実施例により得られた積層体を10cm×20cmに切り出し円筒状に成形したサンプルを出力700~500Wの電子レンジ(日立製作所製 MR M-25)乃至ギア老化試験機(安田精機製作所製 No.102-SHF-77)を用いて所定時間加熱を行った後、取り出して空気中で室温まで冷却した。
(7)紙基材の水分量
ポリエチレン系樹脂積層後の紙基材についてカールフィッシャー法水分測定装置(三菱化学(株)製、商品名CA-05)を使用し測定した。測定温度は165℃である。
(8)加熱後の(A)層の温度
電子レンジ乃至ギア老化試験機で加熱した後の(A)層の表面温度を非接触式温度計(堀場製作所製 IT-540)にて測定した。測定は加熱終了後直ちに行った。
(9)発泡層厚み
実施例により得られた発泡体の断面写真を光学顕微鏡により撮影した。断面写真から発泡後の(A)層の厚み(以下DAと略す)を測定し、5箇所で測定した。加熱時間60秒での発泡層厚み(DA60)が450μm以上で良好とした。
(10)発泡後外観
実施例により得られた発泡体の外観を目視にて評価した。発泡後の(A)層の平滑性が良好なものを○、発泡層の(A)層の平滑性が悪い乃至発泡後の(B)層が溶融しているものを×とした。
実施例1
(A)層の樹脂としてMFRが14g/10分、密度が918kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、A1)を、(B)層の樹脂としてMFRが7.0g/10分、密度が940kg/mである高密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン LW04-1)(B1)を使用した。
まず、(A1)を直径90mmφのスクリューを有する単軸押出ラミネーター(ムサシノキカイ(株)製)へ供給し、Tダイ直下の樹脂温度が320℃となるようにTダイより押し出し、坪量300g/mであるカップ原紙基材上に引き取り速度が50m/分、エアギャップ長さが130mmで70μmの厚さになるよう押出ラミネート成形を行った。さらに、(B1)を直径90mmφのスクリューを有する単軸押出機(ムサシノキカイ(株)製)へ供給し、320℃の温度、50m/分の引き取り速度、130mmのエアギャップ長さで、(B1)の厚みが40μmとなるように押出し、高圧法低密度ポリエチレン(A1)、紙基材、高密度ポリエチレン(B1)の順に積層されてなる発泡用積層体を得た。得られた発泡用積層体を電子レンジ(日立製作所製 MR M-25)にて出力700Wで20秒加熱し、直ちに出力500Wに切替えてさらに40秒加熱して発泡させ、発泡積層体を得た。得られた発泡積層体について、発泡層厚み(DA60)および発泡外観を評価した。評価の結果を表1に示す。発泡層厚み(DA60)および発泡外観に優れていた。
実施例2
(A)層の樹脂として、MFRが24g/10分、密度が918kg/m、である高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、A2)を使用した以外は、実施例1と同様の手法により発泡積層体を得た。得られた発泡積層体について、発泡層厚み(DA60)および発泡外観を評価した。評価の結果を表1に示す。発泡層厚み(DA60)および発泡外観に優れていた。
実施例3
(B1)を積層する面の紙基材に5g/mの水を塗布した後、(B1)を積層した以外は、実施例2と同様の手法により発泡積層体を得た。得られた発泡積層体について、発泡層厚み(DA60)および発泡外観を評価した。評価の結果を表1に示す。発泡層厚み(DA60)および発泡外観に優れていた。
実施例4
(A)層の樹脂として、MFRが8.5g/10分、密度が925kg/m、酢酸ビニル含有量が6%であるエチレン・酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製、A3)を使用した以外は、実施例1と同様の手法により発泡積層体を得た。得られた発泡積層体について、発泡層厚み(DA60)および発泡外観を評価した。評価の結果を表1に示す。発泡層厚み(DA60)および発泡外観に優れていた。
実施例5
紙基材として坪量100g/mのクラフト紙を使用した以外は、実施例3と同様の手法により発泡積層体を得た。得られた発泡積層体について、発泡層厚み(DA60)および発泡外観を評価した。評価の結果を表1に示す。発泡層厚み(DA60)および発泡外観に優れていた。
Figure 0007031445000001
比較例1
発泡用積層体を120℃に加熱したギア老化試験機(安田精機製作所製 No.102-SHF-77)中で熱風をあてながら60秒加熱することで発泡させた以外は、実施例2と同様の手法により発泡積層体を得た。得られた発泡積層体について、発泡層厚み(DA60)および発泡外観を評価した。評価の結果を表2に示す。発泡外観に優れていたものの発泡層厚み(DA60)が劣っていた。
比較例2
発泡用積層体を140℃に加熱したギア老化試験機(安田精機製作所製 No.102-SHF-77)中で熱風をあてながら60秒加熱することで発泡させた以外は、実施例2と同様の手法により発泡積層体を得た。得られた発泡積層体について、発泡層厚み(DA60)および発泡外観を評価した。評価の結果を表2に示す。発泡層厚み(DA60)および発泡外観に劣っていた。
比較例3
電子レンジ(日立製作所製 MR M-25)にて出力700Wで60秒加熱した以外は、実施例2と同様の手法により発泡積層体を得た。得られた発泡積層体について、発泡層厚み(DA60)および発泡外観を評価した。評価の結果を表2に示す。発泡層厚み(DA60)に優れていたものの発泡外観に劣っていた。
比較例4
電子レンジ(日立製作所製 MR M-25)にて出力500Wで60秒加熱した以外は、実施例2と同様の手法により発泡積層体を得た。得られた発泡積層体について、発泡層厚み(DA60)および発泡外観を評価した。評価の結果を表2に示す。発泡外観に優れていたものの発泡層厚み(DA60)に劣っていた。
Figure 0007031445000002
本発明の発泡積層体は、包装紙、緩衝性包装紙、包装袋などの緩衝材料や、滑り止め材料、遮音材料、断熱材料、食品容器、断熱紙容器などとして用いられ、特に緩衝材料や断熱紙容器に好的に用いられる。

Claims (8)

  1. 少なくとも(A)層、基材層、(B)層をこの順で含む発泡積層体の製造方法であって、(A)層がポリエチレン系樹脂(a)からなり、(B)層が防湿層であって、下記(i)~(ii)の工程を経ることを特徴とする発泡積層体の製造方法。
    (i)誘電加熱により発泡前の積層体を加熱することにより、(A)層のポリエチレン系樹脂(a)を軟化する工程
    (ii)(i)より低出力の誘電加熱により(i)の積層体を加熱することにより、(A)層のポリエチレン系樹脂(a)を発泡する工程
  2. 前記(i)の工程において、(A)層のポリエチレン系樹脂(a)を融点以上200℃以下で加熱する請求項1に記載の発泡積層体の製造方法。
  3. 前記(ii)の工程において、ポリエチレン系樹脂(a)の融点以上200℃以下で温度を維持する請求項1又は2に記載の発泡積層体の製造方法。
  4. (A)層の発泡前の厚みが30μm~150μmであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の発泡積層体の製造方法。
  5. (B)層の透湿度が15g/m/24hr以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の発泡積層体の製造方法。
  6. 紙基材の坪量が30g/m~400g/mであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の発泡積層体の製造方法。
  7. 誘電加熱がマイクロ波による加熱方式であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の発泡積層体の製造方法。
  8. 誘電加熱のマイクロ波の出力が200W~300000Wであることを特徴とする請求項7に記載の発泡積層体の製造方法。
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