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JP7065664B2 - 水性接着剤用共重合体ラテックス及びその製造方法 - Google Patents

水性接着剤用共重合体ラテックス及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水性接着剤用共重合体ラテックス及びその製造方法に関する。
水性高分子イソシアネート系接着剤は、共重合体ラテックス、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂、及び炭酸カルシウム等の無機充填剤からなる主剤水溶液(ベースコンパウンド)に、イソシアネート系化合物を硬化剤として配合した接着剤である。水性高分子イソシアネート系接着剤は、従来のユリア樹脂系接着剤やメラミン樹脂系接着剤とは異なり、ホルムアルデヒドの発生が無く、短時間で圧締するだけで、極めて高い接着強度が得られ、特に木工接着剤用に優れた性能を示す。このため、水性高分子イソシアネート系接着剤は、集成材分野等の分野で広く使用されている。水性高分子イソシアネート系接着剤を使用する場合、通常、使用直前にベースコンパウンドに硬化剤を配合する。このため、硬化反応に伴う粘度上昇、炭酸ガス発生に伴う発泡が進行して使用できなくなるまでの間(ポットライフ)に、加工する必要がある。従って、水性高分子イソシアネート系統接着剤のポットライフの延長を一層向上することが求められている。また、硬化剤を配合する前のベースコンパウンドは、主に接着剤業者によって生産され、ベースコンパウンドの形態で木工加工業者等に流通する。この流通過程で、ベースコンパウンドの安定性が十分でないと粘度上昇、ゲル化が発生することから、流通過程での保存性を更に向上することが求められている。
上記水性高分子イソシアネート系接着剤に使用されている共重合体ラテックスとして、酢酸ビニル系共重合体ラテックス、エチレン-酢酸ビニル系共重合体ラテックス等が知られている。これらの共重合体ラテックスを使用すると、得られる水性高分子イソシアネート系接着剤は、良好な常態接着強度を有するが、上記水性高分子イソシアネート系接着剤の耐水接着強度は、十分でないという問題がある。これは、酢酸ビニル系共重合体ラテックス又はエチレン-酢酸ビニル系共重合体ラテックスの耐水性不良に起因すると考えられる。
そこで、これらの共重合体ラテックスに代えて、合成ゴム系共重合体ラテックスを使用すると、得られる水性高分子イソシアネート系接着剤は、耐水接着強度を向上できる。しかしながら、水性高分子イソシアネート系接着剤のポットライフが低下するため、使用性が十分でないという問題がある。そこで、上記の合成ゴム系共重合体ラテックスを使用した接着剤にポットライフを向上するための様々な検討がなされている。
例えば、特許文献1には、脂肪族共役ジエン系単量体とエチレン系不飽和ジカルボン酸単量体と水酸基含有エチレン系不飽和単量体と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とを所定の割合で乳化共重合して得られる共重合体ラテックスであり、共重合体ラテックスのトルエン不溶分が特定値以上である共重合体ラテックスが開示されている。特許文献2には、脂肪族共役ジエン系単量体と、(メタ)アクリル酸アルキル単量体と、水酸基含有エチレン系不飽和単量体と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とを所定の割合で乳化重合して得られる共重合体ラテックスであり、共重合体ラテックスのトルエン不溶分が特定値以上である共重合体ラテックスが開示されている。これらの文献によれば、各共重合体ラテックスは、上記の構成とすることにより、ポットライフに優れることが開示されている。
特許文献3には、脂肪族共役ジエン系単量体と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体と、エチレン性不飽和カルボン酸系単量体と、これらの単量体と共重合可能な所定のビニル系単量体とを所定の割合で乳化重合して得られる共重合体ラテックスであり、数平均粒子径が所定の範囲内であり、ゲル含有率が所定の範囲内である耐水接着剤用共重合体ラテックスが開示されている。この文献では、共重合体ラテックスは、特にエチレン性不飽和カルボン酸系単量体の含有量を所定の割合で乳化重合させることにより、ポットライフに優れることが開示されている。
特開2003-82309号公報 特開2005-213373号公報 特開2004-182794号公報
しかしながら、特許文献1の実施例9では、エチレン系不飽和ジカルボン酸単量体の単量体全体に対する仕込み量が大きすぎることに起因して、ポットライフが満足できるレベルに達していない。また特許文献2の実施例6では、エチレン系不飽和ジカルボン酸単量体の単量体全体に対する仕込み量及び水酸基含有エチレン系不飽和単量体の単量体全体に対する仕込み量が大きすぎることに起因して、ポットライフが満足できるレベルに達していない。特許文献3の実施例では、共重合体ラテックスの平均粒子径が小さすぎることに起因して、ポットライフが満足できるレベルに達していない。このように、共重合体ラテックスの組成を、特許文献1~3に記載された組成とすると、ポットライフを満足するレベルにすることができない。また、ポットライフの改善を意識するあまりに、粒子径を大きくしたり、水酸基含有エチレン系不飽和単量体の単量体全体に対する仕込み量を低減したりすると、共重合体ラテックスの常態接着強度及び耐水接着強度が低下したり、ベースコンパウンドの安定性が低下したりする虞がある。このため、ベースコンパウンドの安定性を損なわずに、接着強度とポットライフとを高いレベルで両立させることが求められている。
そこで、本発明の目的は、ベースコンパウンドの安定性、常態接着強度及び耐水接着強度、並びにポットライフに優れる水性接着剤用共重合体ラテックス及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は前記課題を解決するために鋭意研究した結果、共役ジエン系単量体単位及び水酸基含有エチレン系不飽和単量体単位を所定の割合で含有し、機械的安定性試験における凝集物発生率が特定値以上であり、平均粒子径が特定範囲内である共重合体ラテックスは、上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のとおりである。
(1)
水性接着剤に用いられる共重合体ラテックスであって、
共役ジエン系単量体単位aと、水酸基含有エチレン系不飽和単量体単位bと、エチレン系不飽和カルボン酸単量体単位cと、前記各単量体単位における単量体と共重合可能なその他の単量体単位dとを含有し、
前記共役ジエン系単量体単位aの含有量が、前記単量体単位a、b、c及びdの総量に対して、10~60質量%であり、
前記水酸基含有エチレン系不飽和単量体単位bの含有量が、前記単量体単位a、b、c及びdの総量に対して、0.1~2.0質量%であり、
前記エチレン系不飽和カルボン酸単量体単位cの含有量が、前記単量体単位a、b、c及びdの総量に対して、1.0質量%以下であり、
前記その他の単量体単位dの含有量が、前記単量体単位a、b、c及びdの総量に対して、37.0~89.9質量%であり、
前記共重合体ラテックスの機械的安定性試験における凝集物発生率が、0.1%以上であり、
前記共重合体ラテックスの平均粒子径が、300nmよりも大きく、450nm未満である、水性接着剤用共重合体ラテックス。
(2)
前記共重合体ラテックスの乾燥被膜のトルエン不溶分率が、80%以上である、(1)の水性接着剤用共重合体ラテックス。
(3)
共役ジエン系単量体Aと、水酸基含有エチレン系不飽和単量体Bと、エチレン系不飽和カルボン酸単量体Cと、前記各単量体と共重合可能なその他の単量体Dとを仕込み、
前記共役ジエン系単量体Aの仕込み量が、前記単量体A、B、C及びDの総量に対して、10~60質量%であり、
前記水酸基含有エチレン系不飽和単量体Bの仕込み量が、前記単量体A、B、C及びDの総量に対して、0.1~2.0質量%であり、
前記エチレン系不飽和カルボン酸単量体Cの仕込み量が、前記単量体A、B、C及びDの総量に対して、1.0質量%以下であり、
前記その他の単量体Dの仕込み量が、前記単量体A、B、C及びDの総量に対して、37.0~89.9質量%となるように重合させる重合工程を含む共重合体ラテックスの製造方法。
本発明によれば、ベースコンパウンドの安定性、常態接着強度及び耐水接着強度、並びにポットライフに優れる水性接着剤用共重合体ラテックス及びその製造方法を提供可能である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[共重合体ラテックス]
本実施形態の共重合体ラテックスは、水性接着剤に用いられる共重合体ラテックスである。共重合体ラテックスは、共役ジエン系単量体単位aと、水酸基含有エチレン系不飽和単量体単位bと、エチレン系不飽和カルボン酸単量体単位cと、各単量体単位における単量体と共重合可能なその他の単量体単位dとを含有する。共役ジエン系単量体単位aの含有量は、単量体単位a、b、c及びdの総量に対して、10~60質量%である。水酸基含有エチレン系不飽和単量体単位bの含有量は、単量体単位a、b、c及びdの総量に対して、0.1~2.0質量%である。エチレン系不飽和カルボン酸単量体単位cの含有量は、単量体単位a、b、c及びdの総量に対して、0~1.0質量%である。その他の単量体単位dの含有量は、単量体単位a、b、c及びdの総量に対して、37.0~89.9質量%である。共重合体ラテックスの機械的安定性試験における凝集物発生率は、0.1%以上である。共重合体ラテックスの平均粒子径は、300nmよりも大きく、450nm未満である。本実施形態の共重合体ラテックスは、上記の構成を備えることにより、ベースコンパウンドの安定性、常態接着強度及び耐水接着強度、並びにポットライフに優れる。
本実施形態の共重合体ラテックスは、共役ジエン系単量体単位aを含有することにより、適度な柔軟性を有し、水性接着剤等に用いた場合、接着強度(常態接着強度及び耐水接着強度)を向上できる。
共役ジエン系単量体単位aにおける共役ジエン系単量体としては、特に限定されず、例えば、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2-クロロ-1,3-ブタジエン(クロロプレン)、1,3-ペンタジエン、及びシクロペンタジエンが挙げられる。これらの中でも、共役ジエン系単量体は、1,3-ブタジエン、イソプレン、及び2-クロロ-1,3-ブタジエンからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
共役ジエン系単量体単位aの含有量は、単量体単位a、b、c及びdの総量に対して、10~60質量%である。含有量が上記範囲内であることにより、共重合体ラテックスは、良好な柔軟性を有し、水性接着剤等に用いた場合、接着強度(常態接着強度及び耐水接着強度)を向上できる。同様の観点から、含有量の下限値は、10質量%であることが好ましく、11質量%であることがより好ましく、11.5質量%(好ましくは12質量%、より好ましくは13質量%)であることが更に好ましい。同様の観点から、含有量の上限値は、60質量%であることが好ましく、55質量%であることが好ましく、53質量%であることがより好ましく、50質量%であることが更に好ましい。
本実施形態の共重合体ラテックスは、水酸基含有エチレン系不飽和単量体単位bを含有する。共重合体ラテックスは、水酸基含有エチレン系不飽和単量体単位bを含有することにより、良好な分散安定性を有し、水性接着剤(例えば、水性高分子イソシアネート系接着剤等)等に用いた場合、ベースコンパウンドの安定性を向上できる。
水酸基含有エチレン系不飽和単量体単位bにおける水酸基含有エチレン系不飽和単量体としては、特に限定されず、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル系単量体、アリルアルコール、及びN-メチロールアクリルアミドが挙げられる。エチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル系単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ-(エチレングリコール)マレエート、ジ-(エチレングリコール)イタコネート、2-ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2-ヒドロキシエチル)マレエート、及び2-ヒドロキシエチルメチルフマレートが挙げられる。これらの中でも、水酸基含有エチレン系不飽和単量体は、エチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル系単量体であることが好ましく、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートであることがより好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート((メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル)であることが更に好ましい。
水酸基含有エチレン系不飽和単量体単位bの含有量は、単量体単位a、b、c及びdの総量に対して、0.1~2質量%である。含有量が上記範囲内であることにより、共重合体ラテックスは、良好な分散安定性を有し、水性接着剤(例えば、水性高分子イソシアネート系接着剤等)等に用いた場合、ベースコンパウンドの安定性を向上できる。また、含有量が上記範囲内であることにより、共重合体ラテックスは、機械的安定性試験における凝集物発生率を0.1%以上とすることができる傾向にある。同様の観点から、含有量は、0.1~1.0質量%であることが好ましい。
エチレン系不飽和カルボン酸単量体単位cの含有量は、単量体単位a、b、c及びdの総量に対して、1.0質量%以下(0~1.0質量%)である。共重合体ラテックスは、エチレン系不飽和カルボン酸単量体単位cを含有することにより、一層良好な分散安定性を有することができる。一方、エチレン系不飽和カルボン酸単量体単位cの含有量が大きすぎると、機械的安定性試験における凝集物発生率が低下する虞がある。このため、エチレン系不飽和カルボン酸単量体単位cの含有量を特定値以下とすることにより、共重合体ラテックスは、機械的安定性試験における凝集物発生率の低下を抑制できる。同様の観点から、含有量は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
エチレン系不飽和カルボン酸単量体単位cにおけるエチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、桂皮酸、スチレンスルホン酸、メタアリルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、ムコン酸、及びこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩)が挙げられる。
本実施形態の共重合体ラテックスは、共役ジエン系単量体単位a、水酸基含有エチレン系不飽和単量体単位b、及びエチレン系不飽和カルボン酸単量体単位cを除き、各単量体単位における単量体と共重合可能なその他の単量体単位dを含有する。その他の単量体単位dにおける単量体は、その種類を適宜選択することにより、共重合体ラテックスに様々な特性を付与できる。
その他の単量体単位dの含有量は、単量体単位a、b、c及びdの総量に対して、37.0~89.9質量%である。
その他の単量体単位dにおける単量体としては、特に限定されず、例えば、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体が挙げられる。
シアン化ビニル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、及びα-クロルアクリロニトリルが挙げられる。
シアン化ビニル系単量体単位の含有量は、単量体単位a、b、c及びdの総量に対して、1~10質量%であることが好ましい。
芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、及びp-メチルスチレンが挙げられる。
芳香族ビニル系単量体単位の含有量は、単量体単位a、b、c及びdの総量に対して、5~85質量%であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、及び(メタ)アクリル酸ドデシルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体単位の含有量は、単量体単位a、b、c及びdの総量に対して、5~50質量%であることが好ましい。
上記のその他の単量体単位は、上記した単量体(シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体)単位以外にも、他の共重合可能な単量体単位を含有してもよい。そのような単量体単位における単量体としては、例えば、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル等のアミノアルキルエステル類;2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン等のピリジン類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のグリシジルエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、グリシジルメタクリルアミド、N,N-ブトキシメチルアクリルアミド等のアミド類;酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル類;ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の多官能ビニル系単量体;が挙げられる。
本実施形態の共重合体ラテックスにおいて、機械的安定性試験における凝集物発生率は、0.1%以上である。凝集物発生率が0.1%以上であることにより、共重合体ラテックスは、ポットライフに優れる。同様の観点から、凝集物発生率は、0.3%以上であることが好ましく、0.5%以上であることがより好ましい。なお、ポットライフは、ベースコンパウンドに硬化剤を配合し、硬化反応に伴う粘度上昇や炭酸ガス発生による発泡が進んで使用不可となるまでの可使時間をいう。共重合体ラテックスの機械的安定性が低いと、ポットライフは長くなる。この理由は定かではないが、共重合体ラテックスの機械的安定性が低いと、ベースコンパウンド中でラテックス粒子同士の合一(凝集)が発生し、共重合体ラテックス粒子の比表面積が小さくなることに起因して、硬化反応が抑制されると推測される。但し、この推測により本発明は何ら限定されない。機械的安定性試験における凝集物発生率は、共重合体ラテックスのガラス転移温度(Tg)、及びゲル分率、水酸基含有エチレン系不飽和単量体単位b及びエチレン系不飽和カルボン酸単量体単位cの各含有量、共重合体ラテックスを得るための乳化剤の配合量に影響を受ける。これらの中でも、機械的安定性試験における凝集物発生率は、特に水酸基含有エチレン系不飽和単量体単位b(水酸基含有エチレン系不飽和単量体)及びエチレン系不飽和カルボン酸単量体単位c(エチレン系不飽和カルボン酸単量体)の各含有量(各配合量)に影響を受ける。このため、機械的安定性試験における凝集物発生率を特定値以上とするためには、水酸基含有エチレン系不飽和単量体単位b(水酸基含有エチレン系不飽和単量体)及びエチレン系不飽和カルボン酸単量体単位c(エチレン系不飽和カルボン酸単量体)の各配合量(核含有量)を調整すればよい。本実施形態では、上記の因子を組み合わせることにより、機械的安定性試験における凝集物発生率を調整することが重要である。機械的安定性試験における凝集物発生率は、例えば、後述する実施例に記載の方法により求められる。
本実施形態の共重合体ラテックスの平均粒子径は、300nmよりも大きく、450nm未満である。平均粒子径が300nmよりも大きいことにより、共重合体ラテックスは、ポットライフを向上できる。平均粒子径が450nm未満であることにより、共重合体ラテックスは、耐水接着強度を向上できる。同様の観点から、平均粒子径の下限値は320nmであることが好ましく、平均粒子径の上限値は420nmであることが好ましい。平均粒子径は、例えば、後述する実施例に記載の方法により求められる。
数平均粒子径を上記範囲内とするために、例えば、共重合体ラテックスを得るために用いられる乳化剤の使用量を調節したり、公知のシード重合法を用いたりすることにより調整できる。シード重合法としては、シードを作製後同一反応系内で共重合体ラテックスの重合を行うインターナルシード法、別途作製したシードを用いるエクスターナルシード法などの方法が適宜用いられる。
本実施形態の共重合体ラテックスの乾燥被膜のトルエン不溶分(ゲル分率)は、80質量%以上(好ましくは、80~99.9質量%)であることが好ましい。トルエン不溶分率が80質量%以上であることにより、共重合体ラテックスは、耐水強度を一層向上できる傾向にある。同様の観点から、トルエン不溶分率(ゲル分率)は、85質量%以上であることが好ましい。トルエン不溶分率を上記特定値以上とするためには、公知の方法が用いられ、例えば、共重合体ラテックスを得るために用いられる連鎖移動剤の配合量を制御する方法が用いられる。トルエン不溶分率(ゲル分率)は、後述する実施例に記載の方法により求められる。
ここでいう「乾燥被膜」とは、共重合体ラテックスのpHを7に調整した上で、共重合体ラテックスを乾燥温度130℃、乾燥時間30分間の条件にて乾燥することにより得られるフィルム状の形態をいう。
本実施形態の共重合体ラテックスの固形分濃度としては、例えば、30質量%~60質量%である。
本実施形態の共重合体ラテックスは、本発明の作用効果を阻害しない範囲において、添加剤を含有したり、他のラテックスを含有したりしてもよい。添加剤又は他のラテックスとしては、例えば、分散剤、消泡剤、老化防止剤、耐水化剤、殺菌剤、増粘剤、保水剤、印刷適性剤、滑剤、架橋剤、アルカリ感応型ラテックス、有機顔料、ウレタン樹脂ラテックス、アクリル樹脂系ラテックス、水系クロロプレンラテックス、酢酸ビニルラテックス、及び他のジエン系共重合体ラテックスが挙げられる。
[共重合体ラテックスの製造方法]
本実施形態の共重合体ラテックスの製造方法は、共役ジエン系単量体Aと、水酸基含有エチレン系不飽和単量体Bと、エチレン系不飽和カルボン酸単量体Cと、各単量体と共重合可能なその他の単量体Dとを仕込み、共役ジエン系単量体Aの仕込み量が、単量体A、B、C及びDの総量に対して、10~60質量%であり、水酸基含有エチレン系不飽和単量体Bの仕込み量が、単量体A、B、C及びDの総量に対して、0.1~2.0質量%であり、エチレン系不飽和カルボン酸単量体Cの仕込み量が、単量体A、B、C及びDの総量に対して、1.0質量%以下であり、その他の単量体Dの仕込み量が、単量体A、B、C及びDの総量に対して、37.0~89.9質量%となるように重合させる重合工程を含む。本実施形態の製造方法は、上記重合工程を含むことにより、ベースコンパウンドの安定性、常態接着強度及び耐水接着強度、並びにポットライフに優れる共重合体ラテックスを得ることができる。
共役ジエン系単量体Aとしては、特に限定されず、「共役ジエン系単量体単位a」の項において、共役ジエン系単量体単位aにおける共役ジエン系単量体として例示した共役ジエン系単量体が挙げられる。これらの共役ジエン系単量体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、共役ジエン系単量体Aは、入手容易性の観点から、1,3-ブタジエン、イソプレン、及び2-クロロ-1,3-ブタジエンからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
共役ジエン系単量体Aの仕込み量は、単量体A、B、C及びDの総量に対して、10~60質量%である。含有量が上記範囲内であることにより、得られる共重合体ラテックスは、良好な柔軟性を有し、水性接着剤等に用いた場合、接着強度(常態接着強度及び耐水接着強度)を向上できる。同様の観点から、仕込み量の下限値は、20質量%であることが好ましく、30質量%であることがより好ましく、仕込み量の上限値は、55質量%であることが好ましく、53質量%であることがより好ましい。
水酸基含有エチレン系不飽和単量体Bとしては、特に限定されず、「水酸基含有エチレン系不飽和単量体単位b」の項において、水酸基含有エチレン系不飽和単量体単位bにおける水酸基含有エチレン系不飽和単量体として例示した水酸基含有エチレン系不飽和単量体が挙げられる。これらの水酸基含有エチレン系不飽和単量体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、水酸基含有エチレン系不飽和単量体は、エチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル系単量体であることが好ましく、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートであることがより好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート((メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル)であることが更に好ましい。
水酸基含有エチレン系不飽和単量体Bの仕込み量は、単量体A、B、C及びDの総量に対して、0.1~2質量%である。仕込み量が上記範囲内であることにより、得られる共重合体ラテックスは、良好な分散安定性を有し、水性接着剤(例えば、水性高分子イソシアネート系接着剤等)等に用いた場合、ベースコンパウンドの安定性を向上できる。また、仕込み量が上記範囲内であることにより、得られる共重合体ラテックスは、機械的安定性試験における凝集物発生率を0.1%以上とすることができる。同様の観点から、仕込み量は、0.1~1.0質量%であることが好ましい。
エチレン系不飽和カルボン酸単量体単位cの仕込み量は、単量体A、B、C及びDの総量に対して、1.0質量%以下(0~1.0質量%)である。エチレン系不飽和カルボン酸単量体Cの仕込み量を特定値以下とすることにより、得られる共重合体ラテックスは、機械的安定性試験における凝集物発生率の低下を抑制できる。同様の観点から、仕込み量は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
エチレン系不飽和カルボン酸単量体Cとしては、特に限定されず、「エチレン系不飽和カルボン酸単量体単位c」の項において、エチレン系不飽和カルボン酸単量体単位cにおけるエチレン系不飽和カルボン酸単量体として例示したエチレン系不飽和カルボン酸単量体が挙げられる。これらのエチレン系不飽和カルボン酸単量体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
その他の単量体Dの含有量は、が、単量体A、B、C及びDの総量に対して、37.0~89.9質量%である。
その他の単量体Dとしては、特に限定されず、「その他の単量体単位d」の項において、その他の単量体単位dにおけるその他の単量体として例示したその他の単量体が挙げられる。これらの単量体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記重合工程において、各単量体を重合させる重合方法としては、公知の乳化重合法が用いられる。乳化重合の具体的な方法としては、特に制限されず、従来公知の方法、すなわち水性媒体中で、連鎖移動剤、界面活性剤、ラジカル重合開始剤、及び必要に応じて用いられる他の添加剤成分を基本構成成分とする分散系において、各単量体を重合させて合成樹脂の粒子の水性分散液、すなわちラテックスを製造する方法が挙げられる。そして、重合に際しては、単量体組成を全重合過程で均一にする方法、単量体組成を重合過程で逐次的又は連続的に変化させることにより、生成するラテックス粒子の形態的な組成変化を与える方法等が用いられる。
上記重合工程におけるより具体的な重合方法としては、例えば、水性媒体中で乳化剤の存在下、ラジカル開始剤により重合を行う方法が用いられる。
ここで、使用する乳化剤として、従来公知のアニオン、カチオン、両性及び非イオン性の乳化剤が用いられる。好ましい乳化剤の例としては、例えば、脂肪族セッケン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩等のアニオン性乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン性乳化剤が挙げられる。これらの乳化剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。乳化剤の使用量としては、単量体A、B、C及びDの総量100質量部に対して、好ましくは0.1~2.0質量部である。
また、乳化剤は、その分子中にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等のラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤であってもよい。
ラジカル開始剤としては、熱又は還元剤の存在下でラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであればよく、例えば、無機系開始剤、及び有機系開始剤が挙げられる。ラジカル開始剤としては、例えば、ペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、及びアゾビス化合物が挙げられる。
ラジカル開始剤の具体例としては、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、t-ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、及び2,2-アゾビスブチロニトリル、クメンヒドロペルオキシドが挙げられる。これらのラジカル開始剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
また、本実施形態の重合工程は、酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリット等の還元剤を上述の重合開始剤と組み合わせて用いる、いわゆるレドックス重合法を用いてもよい。
本発明の共重合体ラテックスを得るために連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、核置換α-メチルスチレンの二量体の一つであるα-メチルスチレンダイマー;n-ブチルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、n-ラウリルメルカプタンなどのメルカプタン類;テトラメチルチウラジウムジスルフィド、テトラエチルチウラジウムジスルフィド等のジスルフィド類が挙げられる。これらの連鎖移動剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、連鎖移動剤は、メルカプタン類であることが好ましい。
本実施形態の重合工程における重合温度(重合開始時から各単量体の添加終了時までの期間における温度)としては、例えば、40℃~100℃である。重合温度は、生産効率、得られる共重合体ラテックスの衝撃吸収性等の品質の観点から、好ましくは45℃~95℃、より好ましくは55℃~90℃である。
また、各単量体を重合系内に添加終了後に、各単量体の重合コンバージョンを引き上げるために重合温度を上げる方法(いわゆるクッキング工程)を採用してもよい。このような工程における重合温度としては、80℃~100℃であってもよい。
本実施形態の共重合体ラテックスの製造方法において、得られる共重合体ラテックスの固形分濃度としては、生産効率と、乳化重合時の粒子径制御の観点から、例えば、30質量%~60質量%であり、好ましくは40質量%~55質量%である。ここで、固形分濃度とは、重合が完結した際の固形分濃度で、乾燥後の固形分質量の、乾燥前の共重合体ラテックス質量に対する割合をいう。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明するが、本実施の形態はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、各物性の評価は以下の通りの方法で行った。
(1)ゲル分率
水酸化ナトリウムでpH7に調整した共重合体ラテックスを130℃で30分間乾燥し、ラテックスフィルムを得た。このラテックスフィルム約0.5gを精秤した。これをトルエン30mlと混合して3時間振とうした後、目開き32μmの金属網にてろ過し、残留物を130℃で1時間乾燥して乾燥質量を秤量した。もとのラテックスフィルム質量に対する残留物の乾燥質量の割合をゲル分率(%)とした。
ゲル分率(%)=(残留物乾燥質量/ラテックスフィルム質量)×100
(2)平均粒子径
共重合体ラテックスの平均粒子径を動的光散乱法により測定した。測定装置は、粒子径測定装置(大塚電子株式会社製FPAR-1000)を用いて体積平均粒子径を測定した。
(3)機械的安定性試験
共重合体ラテックスに水酸化ナトリウムを添加してpH7に調整し、固形分が30%になるように水を添加した。この共重合体ラテックス150gを、マロン式機械的安定性試験機を用いて、30kgの荷重をかけた状態で15分間試験した。目開き32μmの金属網にてろ過し、凝集物を130℃で1時間乾燥して乾燥質量を秤量した。水を除いた共重合体ラテックスの質量に対する残留物の乾燥質量の割合を凝集物発生率(%)とした。
凝集物発生率(%)
=(凝集物乾燥質量/水を除いた共重合体ラテックス質量)×100
(4)水性接着剤の調整
15質量%に調整したポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、ポバール217)水溶液40質量部、分散剤(ヘキサメタリン酸ソーダ)0.1質量部、水5質量部、炭20質量部及び共重合体ラテックス(50質量%)35質量部を混合撹拌し、ベースコンパウンドを作成した。次いで、このベースコンパウンドに架橋剤としてジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート系化合物を15質量部配合し撹拌して、水性接着剤を作成した。
(5)ポットライフ
上記(4)で作成した水性接着剤の作成直後の粘度及び25℃で60分放置後の粘度をBH型粘度計で測定し、作成直後の粘度に対して60分放置後の粘度の比が低いほどポットライフが良好と判断した。
(6)常態接着強度
厚さ11mm、縦25mm、横30mmの大きさのカバ材サンプルの表面(25mm×25mm)に、上記(4)で作成した水性接着剤を250g/m2塗布し、その上に同一のカバ材を重ねて、圧力0.15MPaで24時間圧締した後、20℃で7日間養生した。この試験片をJIS K 6852に基づいて圧縮せん断強度を測定した。
(7)耐水接着強度
常態接着強度(6)の測定用に作成したサンプルについて、JIS K 6852の煮沸繰り返し試験に基づいて測定した。
(8)ベースコンパウンドの安定性
上記(4)で作成したベースコンパウンド作成直後の粘度及び25℃で7日間放置後の粘度をBH型粘度計で測定し、作成直後の粘度に対して7日間放置後の粘度比が低いほど安定性が良好と判断した。
実施例A1
攪拌機と内部温度調整用の温水ジャケット、及び各種原材料の定量添加設備を備えた耐圧反応容器に、重合初期の原料としてイオン交換水72質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.05質量部、及び平均粒子径80nmのポリスチレン製シードラテックス1.0質量部を含む重合初期原料を一括して仕込み、80℃にて十分に攪拌した。次いで、スチレン50.8質量部、1,3-ブタジエン30質量部、メチルメタアクリレート7質量部、アクリロニトリル7質量部、2-エチルヘキシルアクリレート5質量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート0.2質量部、t-ドデシルメルカプタン0.1質量部、及びαメチルスチレンダイマー0.1質量部の混合物(以下、「単量体等混合物」と略記する)を6時間かけてこの耐圧容器内に添加を行った。一方、この添加開始から10分後より、水25質量部、水酸化ナトリウム0.15質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.2質量部、及びペルオキソ二硫酸ナトリウム0.7質量部からなる水系混合物の添加を開始し、重合反応を開始させた。この水系混合物については7時間かけて添加した。水系混合物の添加終了後に温度を95℃に昇温して1時間保持し重合を終了した。次いで、生成した共重合体ラテックスに水酸化ナトリウムを添加してpHを7に調整し、スチームストリッピング法により未反応の単量体を除去した後、200メッシュの金網でろ過し、共重合体ラテックスを得た。共重合体ラテックスの各物性の評価結果を表1と表2に示す。
実施例A3、A4、A5、A6、A7、A10、A11、A12、A13、及びA14については、表1に示す単量体組成に変更したこと以外は、実施例A1と同様にして共重合体ラテックスを得た。これらの共重合体ラテックスの各物性の評価結果を表1と表2に示す。
実施例A2
ポリスチレン製シードラテックスの仕込み量を1.0質量部に代えて1.6質量部に変更し、表1に示す単量体組成に変更したこと以外は、実施例A1と同様にして共重合体ラテックスを得た。この共重合体ラテックスの各物性の評価結果を表1と表2に示す。
実施例A8
ポリスチレン製シードラテックスの仕込み量を1.0質量部に代えて0.7質量部に変更し、表1に示す単量体組成に変更したこと以外は、実施例A1と同様にして共重合体ラテックスを得た。この共重合体ラテックスの各物性の評価結果を表1と表2に示す。
実施例A9
攪拌機と内部温度調整用の温水ジャケット、及び各種原材料の定量添加設備を備えた耐圧反応容器に、重合初期の原料としてイオン交換水72質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.05質量部、イタコン酸0.1質量部及び平均粒子径80nmのポリスチレン製シードラテックス1.0質量部を含む重合初期原料を一括して仕込み、80℃にて十分に攪拌した。次いで、スチレン51.4質量部、1,3-ブタジエン20質量部、メチルメタアクリレート3質量部、アクリロニトリル5質量部、2-エチルヘキシルアクリレート20質量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート0.5質量部、t-ドデシルメルカプタン0.1質量部、αメチルスチレンダイマー0.1質量部の混合物(以下、「単量体等混合物」と略記する)を6時間かけてこの耐圧容器内に添加を行った。一方、この添加開始から10分後より、水25質量部、水酸化ナトリウム0.15質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.2質量部、及びペルオキソ二硫酸ナトリウム0.7質量部からなる水系混合物の添加を開始し、重合反応を開始させた。この水系混合物については7時間かけて添加した。水系混合物の添加終了後に温度を95℃に昇温して1時間保持し重合を終了した。次いで、生成した共重合体ラテックスに水酸化ナトリウムを添加してpHを7に調整し、スチームストリッピング法により未反応の単量体を除去した後、200メッシュの金網でろ過し、共重合体ラテックスを得た。共重合体ラテックスA1の各物性の評価結果を表1と表2に示す。
比較例B1、B2、B3、B4、及びB5
比較例B1、B2、B3、B4、及びB5については、表1に示す単量体組成に変更したこと以外は、実施例A1と同様にして共重合体ラテックスを得た。この共重合体ラテックスの各物性の評価結果を表1と表2に示す。
比較例B6
ポリスチレン製シードラテックスの仕込み量を1.0質量部に代えて2.5質量部に変更し、表1に示す単量体組成に変更したこと以外は、実施例A1と同様にして共重合体ラテックスを得た。この共重合体ラテックスの各物性の評価結果を表1と表2に示す。
比較例B7
ポリスチレン製シードラテックスの仕込み量を1.0質量部に代えて0.4質量部に変更し、表1に示す単量体組成に変更したこと以外は、実施例A1と同様にして共重合体ラテックスを得た。この共重合体ラテックスの各物性の評価結果を表1と表2に示す。
比較例B8
攪拌機と内部温度調整用の温水ジャケット、及び各種原材料の定量添加設備を備えた耐圧反応容器に、重合初期の原料としてイオン交換水70質量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1質量部、イタコン酸1.5質量部及び平均粒子径80nmのポリスチレン製シードラテックス1.0質量部を含む重合初期原料を一括して仕込み、85℃にて十分に攪拌した。次いで、スチレン46質量部、1,3-ブタジエン37質量部、メチルメタアクリレート10質量部、アクリロニトリル5質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート0.5質量部、t-ドデシルメルカプタン0.2質量部の混合物を7時間かけてこの耐圧容器内に添加を行った。一方、この添加開始から10分後より、水20質量部、水酸化ナトリウム0.25質量部、ラウリル酸ナトリウム0.1質量部、及びペルオキソ二硫酸ナトリウム1.0質量部からなる水系混合物の添加を開始し、重合反応を開始させた。この水系混合物については8時間かけて添加した。水系混合物の添加終了後に温度を85℃に昇温して1時間保持し重合を終了した。
次いで、生成した共重合体ラテックスに水酸化ナトリウムを添加してpHを7に調整し、スチームストリッピング法により未反応の単量体を除去した後、200メッシュの金網でろ過し、共重合体ラテックスを得た。共重合体ラテックスA1の各物性の評価結果を表1と表2に示す。
比較例B9
表1に示す単量体組成に変更したこと以外は、比較例B8と同様にして共重合体ラテックスを得た。この共重合体ラテックスの各物性の評価結果を表1と表2に示す。
Figure 0007065664000001
Figure 0007065664000002
Figure 0007065664000003
Figure 0007065664000004
本実施形態の共重合体ラテックスは、水性接着剤用途の他、カーペットバッキング剤、各種塗料、塗工紙用バインダー、各種コーティング剤などに好適に用いられる。

Claims (2)

  1. 水性接着剤に用いられる共重合体ラテックスであって、
    共役ジエン系単量体単位aと、水酸基含有エチレン系不飽和単量体単位bと、エチレン系不飽和カルボン酸単量体単位cと、前記各単量体単位における単量体と共重合可能なその他の単量体単位dとを含有し、
    前記共役ジエン系単量体単位aの含有量が、前記単量体単位a、b、c及びdの総量に対して、10~60質量%であり、
    前記水酸基含有エチレン系不飽和単量体単位bの含有量が、前記単量体単位a、b、c及びdの総量に対して、0.1~2.0質量%であり、
    前記エチレン系不飽和カルボン酸単量体単位cの含有量が、前記単量体単位a、b、c及びdの総量に対して、1.0質量%以下であり、
    前記その他の単量体単位dの含有量が、前記単量体単位a、b、c及びdの総量に対して、37.0~89.9質量%であり、
    以下の方法により測定される前記共重合体ラテックスの凝集物発生率が、0.1%以上であり、
    前記共重合体ラテックスの平均粒子径が、300nmよりも大きく、450nm未満である、水性接着剤用共重合体ラテックス。
    <凝集物発生率の測定方法>
    共重合体ラテックスに水酸化ナトリウムを添加してpH7に調整し、固形分が30%になるように水を添加する。この共重合体ラテックス150gを、マロン式機械的安定性試験機を用いて、30kgの荷重をかけた状態で15分間試験する。目開き32μmの金属網にてろ過し、得られる凝集物を130℃で1時間乾燥して乾燥質量を秤量する。前記試験に供した共重合体ラテックスの固形分の質量に対する前記凝集物の乾燥質量の割合を凝集物発生率(%)とする。
  2. 前記共重合体ラテックスの乾燥被膜のトルエン不溶分率が、80%以上である、請求項1記載の水性接着剤用共重合体ラテックス。
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