JP6935982B2 - 樹脂組成物、硬化レリーフパターンの製造方法、及び半導体装置 - Google Patents
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Description
そこで、ポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体を含有する組成物に熱架橋剤を添加することによって、ポリイミド皮膜又はポリベンゾオキサゾール皮膜の耐熱性を向上させる方法が開示されている(特許文献1参照)。
本発明は以下の通りである。
(B)下記一般式(B1)で表されるアミド化合物:1〜10,000質量部を含有することを特徴とする樹脂組成物。
R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のエーテル結合を有してもよい炭化水素基であり、但し、R2及びR3は、互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。}
[2] 前記(A)樹脂が、側鎖に重合性基を有する樹脂である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 前記(A)樹脂が、下記一般式(A1)で表される構造を有するポリマーである、[1]に記載の樹脂組成物。
Y1は2価の有機基であり;
R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4の飽和脂肪族基、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数5〜30の脂肪族基、炭素数6〜30の芳香族基、又はラジカル重合し得る1価の有機基であり;但し、
R4及びR5のうちの少なくとも一方はラジカル重合し得る1価の有機基である。}
[4] 前記式(A1)において、
R4及びR5が、それぞれ独立に、
水素原子、下記一般式(R1):
R4及びR5のすべてに対する上記一般式(R1)で表される1価の有機基、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数5〜30の脂肪族基、及び炭素数6〜30の芳香族基の合計の割合が80モル%以上であり、かつ
R4及びR5のすべてに対する上記一般式(R1)で表される1価の有機基の割合が20モル%〜80モル%である、[3]に記載の樹脂組成物。
R4及びR5が、それぞれ独立に、水素原子、上記一般式(R1)で表される1価の有機基、又は炭素数1〜4の飽和脂肪族基であり、但し、
R4及びR5の両者が同時に水素原子であることはない、[3]に記載の樹脂組成物。
[6] 前記(A)樹脂が、下記一般式(A2)で表される構造を有するポリマーである、[1]に記載の樹脂組成物。
c及びdは、それぞれ独立に、0〜4の整数であり;
R16は炭素原子数2〜60の(2+a+c)価の有機基であり;
R17は炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から成る、炭素数2〜60の(2+b+d)価の有機基であり;
R18、R19、R20、及びR21は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜20の1価の有機基である。}
[7] (C)下記一般式(C1):
[8] 前記(B)アミド化合物が3―メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドである、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[9] (D)感光剤を更に含有する、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
(1)[1]〜[9]のいずれか一項に記載の樹脂組成物を基板上に塗布し、該基板上に樹脂層を形成する塗布工程と、
(2)該樹脂層を露光する露光工程と、
(3)該露光後の樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する現像工程と、
(4)該レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する加熱工程と
を上記に記載の順で経由することを特徴とする、硬化レリーフパターンの製造方法。
[11] [10]に記載の製造方法によって得られる硬化レリーフパターンを有してなることを特徴とする、半導体装置。
本発明の樹脂組成物は、(A)樹脂、(B)上記一般式(B1)で表されるアミド化合物を必須成分とする。本発明の樹脂組成物は、これら以外に、(C)シラン化合物及び(D)感光剤から成る群より選択される1種以上を更に含有していてもよい。
本発明に用いられる(A)樹脂について説明する。
本発明の(A)樹脂は、ポリアミド酸(ポリアミック酸)、ポリアミド酸エステル、ポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリオキサゾール、ポリオキサゾール前駆体、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンズチアゾール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂、及びアクリル樹脂から成る群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましい。
これら(A)樹脂の重量平均分子量は、熱処理後の耐熱性及び機械特性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値として、1,000以上であることが好ましく、5,000以上がより好ましい。重量平均分子量の上限については、100,000以下であることが好ましい。本実施形態の樹脂組成物を感光性樹脂組成物とする場合は、現像液に対する溶解性の観点から、(A)樹脂の重量平均分子量は50,000以下がより好ましい。
耐熱性及び感光性の観点から、特に好ましい(A)樹脂は、前記一般式(A1):
Y1は2価の有機基であり;
R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4の飽和脂肪族基、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数5〜30の脂肪族基、炭素数6〜30の芳香族基、又はラジカル重合し得る1価の有機基であり;但し、
R4及びR5のうちの少なくとも一方はラジカル重合し得る1価の有機基である。}で表わされる構造を有するポリマー(ポリマー(A1))、下記一般式(A2):
c及びdは、それぞれ独立に、0〜4の整数であり;
R16は炭素原子数2〜60の(2+a+c)価の有機基であり;
R17は炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から成る、炭素数2〜60の(2+b+d)価の有機基であり;
R18、R19、R20、及びR21は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。}で表される構造を有するポリマー(ポリマー(A2))、及びポリヒドロキシアミド(ポリマー(A3))から成る群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有するものであることが好ましい。本実施形態の樹脂組成物におけるこれらの樹脂の使用割合は、(A)樹脂の全体に対して、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
上記一般式(A1)におけるR4及びR5のラジカル重合しうる1価の有機基としては、下記一般式(R1):
上記一般式(R1)におけるR14及びR15としては、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基であることが好ましく、感光特性の観点から水素原子であることが好ましい。R13は水素原子又はメチル基であることが好ましい。また、qは、感光特性の観点から、2以上10以下が好ましく、より好ましくは2以上4以下の整数である。
−COOR4基及び−CONH−基のうちの一方が同一の芳香環に結合し、両者が互いにオルト位置にあり、かつ
−COOR5基と−CONH−基のうちの他方が同一の芳香環に結合し、両者が互いにオルト位置にある、4価の芳香族基であるか、或いは
4価の脂環式脂肪族基である。前者の場合、−COOR4基が結合している芳香環と、
−COOR5基が結合している芳香環とは、同一の芳香環であってもよいし、異なる芳香環であってもよい。この文脈における芳香環は、ベンゼン環であることが好ましい。
X1で表される4価の有機基として、更に好ましくは、下記式:
上記一般式(R1)中、Y1で表される2価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するとの観点から、好ましくは炭素数6〜40の芳香族基であり、例えば、下記式:
イソブチル基、イソペンチル基等の第二級炭化水素基;
t−ブチル基等の第三級炭化水素基等を挙げることができる。R4及びR5のヘテロ原子を有していてもよい炭素数5〜30の脂肪族基としては、例えばブトキシメチル基、ブチルスルフィドメチレン基、ブチルアミノメチレン基等の他;ヘテロ原子として酸素原子、窒素原子、硫黄原子、又はリン原子を含有する脂肪族基を挙げることができる。R4及びR5の炭素数6〜30の芳香族としては、例えばフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等を挙げることができる。
水素原子、上記一般式(R1)で表される1価の有機基、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数5〜30の脂肪族基、又は炭素数6〜30の芳香族基であり、そして
R4及びR5のすべてに対する上記一般式(R1)で表される1価の有機基、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数5〜30の脂肪族基、及び炭素数6〜30の芳香族基の合計の割合が80モル%以上であり、かつ
R4及びR5のすべてに対する上記一般式(R1)で表される1価の有機基の割合が20モル%〜80モル%である場合;又は、
水素原子、上記一般式(R1)で表される1価の有機基、又は炭素数1〜4の飽和脂肪族基であり、但し、
R4及びR5の両者が同時に水素原子であることはない場合
である。
このような(A)樹脂は、例えば200℃以上の加熱処理を施すことにより、環化してポリイミドに変換されるポリイミド前駆体として好適に働く。
上記エステル結合型のポリマー(A1)の調製は、例えば
先ず、所望の4価の有機基X1を有するテトラカルボン酸二無水物と、ラジカル重合性基(例えば不飽和二重結合)を有するアルコール類とを反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製した後、これと、2価の有機基Y1を有するジアミン類とをアミド重縮合させることにより得られる。上記ラジカル重合性基(例えば不飽和二重結合)を有するアルコール類とともに、任意に飽和脂肪族アルコール類を併用してもよい。
本実施形態において、エステル結合型のポリマー(A1)を調製するために好適に用いられる、4価の有機基X1を有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)プロパン、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独で用いることができるのは勿論のこと、2種以上を混合して用いてもよい。
アルコール類の使用量としては、4価の有機基X1を有するテトラカルボン酸二無水物1モルに対するアルコール類の合計使用量として、10〜500モル%とすることが好ましく、100〜300モル%とすることがより好ましい。
ケトン類として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等を;
エステル類として、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル等を;
ラクトン類として、例えば、γ−ブチロラクトン等を;
エーテル類として、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等を;
ハロゲン化炭化水素類として、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等を;
炭化水素類として、例えばヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等を、
それぞれ挙げることができる。これらは必要に応じて、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
上記アシッド/エステル体(典型的には上記反応溶媒中に溶解された溶液状態にある)に、好ましくは氷冷下、適当な脱水縮合剤、を投入混合してアシッド/エステル体をポリ酸無水物とする。次いでこれに、本実施形態で好適に用いられる2価の有機基Y1を有するジアミン類を別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、両者をアミド重縮合させることにより、目的のポリマー(A1)を得ることができる。上記2価の有機基Y1を有するジアミン類とともに、ジアミノシロキサン類を併用してもよい。
上記脱水縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネート等が挙げられる。脱水縮合剤の使用量は、アシッド/エステル体の1モルに対して、0.1〜10モルとすることが好ましく、1〜5モルとすることがより好ましい。
アシッド/エステル体と脱水縮合剤との反応は、例えば−50〜50℃、好ましくは−20〜30℃において、例えば1分〜24時間、好ましくは5分〜18時間行われる。
以上のようにして、中間体であるポリ酸無水化物が得られる。
並びにその混合物等が挙げられる。前記置換体の具体例としては、例えば3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル等;及びこれらの混合物等が挙げられる。ジアミン類は、上記の例示に限定されるものではない。
ポリ酸無水化物とジアミン類とのアミド重縮合反応は、例えば−50〜100℃、好ましくは−20〜80℃において、例えば1分〜48時間、好ましくは5分〜24時間行われる。
本実施形態における(A)樹脂の一つであるポリマー(A2)は、上記一般式(A2)で表される構造を有するポリマーであり、加熱又は適当な触媒によって、オキサゾール環を有するポリマーとなり得るものである。ポリマー(A2)がオキサゾール環構造を有するポリマーとなることにより、形成される皮膜の耐熱性及び耐溶剤性が飛躍的に向上する。
ポリマー(A2)における一般式(A2)で表される構造単位の繰り返し数は、正の整数であれば限定されないが、現像性の観点から1〜1,000の範囲が好ましく、3〜50の範囲がより好ましく、3〜30の範囲であることが最も好ましい。
ポリマー(A2)中、一般式(A2)で表される構造単位は、1種でも2種以上でもよい。ポリマー(A2)中に2種以上の構造単位が存在する場合、構造単位の配列はブロックでもランダムでもよい。
R16(OR18)d(COOR20)f(COOH)2の構造を有するジカルボン酸と、
R17(NH2)2(OR19)e(COOR21)g構造を有するジアミンと
を重縮合させることにより得ることができる。これらの式中のR16〜R21、d〜gは、それぞれ、上記一般式(A2)におけるのと同じ意味である。
先ず、R17(NH2)2(OR19)e(COOR21)g構造を有するジアミンについて説明する。
R17(NH2)2(OR19)e(COOR21)gにおけるR17が下記式群:
これらのビスアミノフェノール化合物のうち、アルカリ現像液に対する溶解性及び耐熱性の観点から特に好ましいものは、R17が上記式群から選ばれる4価の有機基である化合物である。
ビス(アミノフェノール)(例えば、R17(NH2)2(OR19)e(COOR21)g構造におけるR17が上記式群から選ばれるもの)においては、ベンゼン環同士を結合している結合に対して、メタ位がアミノ基であってパラ位がヒドロキシル基である場合、及びメタ位がヒドロキシル基であってパラ位がアミノ基である場合のいずれでも構わないが、溶剤への溶解性の観点からは、メタ位がアミノ基であってパラ位がヒドロキシル基である場合が好ましい。
また、R17(NH2)2(OR19)e(COOR21)g構造を有するジアミンとして、下記構造:
X52は、炭素原子数2〜60の4価の有機基であれば限定されないが、アルカリ現像液に対する溶解性及び耐熱性の観点から、前述したR17で表される好ましい有機基として例示された構造であることが好ましい。X52が芳香族基である場合、同一の芳香環に結合したアミド結合とフェノール性水酸基とは、互いにオルト位にことが好ましい。このようなジアミンを、(以下、「分子内にPBO前駆体構造を有するジアミン」という。
分子内にPBO前駆体構造を有するジアミンの好ましい構造としては、より具体的には、下記構造:
更に、R17(NH2)2(OR19)e(COOR21)g構造を有するジアミンとして、下記構造:
このような化合物の好ましい例としては、具体的には下記構造群:
これら以外に、R17(NH2)2(OR19)e(COOR21)g構造を有するジアミンとして、分子内に2組のポリイミド前駆体構造を持つ化合物(以下、「分子内にPI前駆体構造を有するビスアミノフェノール」という。)を使用することもできる。このような化合物の例としては、下記構造:
分子内にPI前駆体構造を有するビスアミノフェノールの製造方法としては、例えば、
テトラカルボン酸二無水物に、モノアルコール、モノアミン等を作用させて開環したジカルボン酸と、
互いにオルトの位置にヒドロキシル基とニトロ基とを有するアニリン誘導体の2分子と
を縮合させた後、ニトロ基を還元する方法を例示できる。
これらの芳香族ジアミンの芳香核の水素原子が、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基、シアノ基、フェニル基等によって置換されたジアミン等を挙げることができる。
R16(OR18)d(COOR20)f(COOH)2において、d=f=0、d=0かつf=2、d=1又は2かつf=2等であってよい。
このようなジカルボン酸は、アルカリ現像液に対する溶解性を調整する場合に有利に使用できる。
d=f=0である場合のR16としては、例えば下記構造群のいずれかで表される構造が挙げられる。
環炭素と結合しているk個のL1は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アミド基、ウレア基、イミド基、及びウレタン基からなる群より選ばれる基であり、そしてk=4である。}、−(CH2)n10−(式中、n10は1〜12の整数である。)、及び
上記のうち、トリシクロデカン骨格を有するジカルボン酸として代表的な化合物としては、ビス(カルボキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン等が挙げられる。この化合物の製造方法としては、例えば国際公開第2009/081950号パンフレットに記載された合成例を例示できる。
R16(OR18)d(COOR20)f(COOH)2においてd=0かつf=2である場合のジカルボン酸としては、例えばテトラカルボン酸二無水物をモノアルコール、モノアミン等で開環したジカルボン酸を使用することができる。ここで、上記モノアルコールの例としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。モノアミンの例としては、例えばブチルアミン、アニリン等が挙げられる。
上記のテトラカルボン酸二無水物の例としては、例えば下記の化学式群のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。
R16(OR18)d(COOR20)f(COOH)2においてd=0かつf=2である場合のジカルボン酸は、別法として、テトラカルボン酸二無水物とビスアミノフェノール又はジアミンとを反応させて生成するカルボン酸残基を、モノアルコール又はモノアミンによってエステル化又はアミド化する方法によって合成することもできる。
R16(OR18)d(COOR20)f(COOH)2において、d=1又は2かつf=2の場合のジカルボン酸においては、R18は例えば水素であることができる。このようなジカルボン酸としては、例えば互いにオルト位にあるアミド結合及びフェノール性水酸基を分子内に2組有するジカルボン酸を挙げることができる。そのようなジカルボン酸として、例えば下記式で表される化合物を例示できる。
本実施形態の樹脂組成物に用いられる(B)アミド化合物について説明する。
(B)アミド化合物は下記一般式(B1):
R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のエーテル結合を有していてもよい炭化水素基であり、但し、R2及びR3は、互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。}で表される化合物である。
本実施形態の樹脂組成物は、このような(B)アミド化合物を用いることにより、膜厚均一性に優れ、基材との密着性に優れる厚膜レリーフパターンを形成可能な樹脂組成物とすることができる。
レリーフパターン形成時には、溶媒を除去するための加熱工程(およそ100℃)においてベナール対流が起こり易い。そうすると、溶媒が充分に除去された後にも対流の跡が残るために、塗膜の膜厚均一性が悪くなる傾向がある。特に、厚膜のレリーフパターン形成時には、ベナール対流による塗膜の凹凸がより酷くなるから、膜厚均一性が更に悪くなる傾向がある。
レリーフパターンを形成する際の溶媒除去の加熱工程においては、添加している感光剤の反応を抑えるため、又は銅等からなる基材と樹脂が反応することを防ぐために、加熱温度を140℃以下にすることが望ましい。ポリイミド前駆体等の主溶媒として用いられるN−メチル−2−ピロリドン等は、その沸点は溶媒除去時の加熱温度よりも高く、塗膜中に溶媒が残り易い。そのため、膜硬化時の粘度が低くなるから、ベナール対流が起こり易い傾向がある。そして、塗膜中に溶媒が残った状態で露光及び現像工程を経るため、現像時に樹脂が現像液に溶解し易いこととなり、従って形成されるレリーフパターンが、その端面から剥がれ易くなる傾向がある。
(B)アミド化合物が塗膜の膜厚均一性に寄与するメカニズムは定かではないが、(A)樹脂と(B)アミド化合物とが相互作用することによって、溶媒揮発時の粘度が上がり、ベナール対流が抑制されたものと推定される。また、現像後のレリーフパターンの密着性に優れるメカニズムも定かではないが、(A)樹脂と(B)アミド化合物とが相互作用することによって、現像液の溶媒和による樹脂の溶解が抑制された結果、レリーフパターンの膨潤が抑制され、その結果、基材とレリーフパターンとの界面にかかる応力が低減されたものと推定される。
(B)アミド化合物の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、1〜10,000質量部であり、好ましくは100〜1,000質量部である。
本実施形態において、任意的に用いられる(C)シラン化合物について説明する。
本実施形態における(C)シラン化合物は、下記一般式(C1)で表されるように、アルコキシシリル基を含む有機化合物であれば特に制限されるものではない。
前記一般式(C1)において、Y4は、下記一般式(Y4−1)又は(Y4−2)で表される基であることが好ましい。
式(Y4−2)中、X7は単結合又は炭素数1〜10の2価の有機基であり、そしてY6は炭素数1〜20の芳香族基、メルカプト基、グリシジル基、ビニル基、アクリロイル基及びメタクリロイル基から成る群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有する1価の有機基である。}
硬化レリーフパターンにスパッタ処理した場合において、該パターン上に発生することがあるシワ、膨れ等の外観不良の発生を抑制する観点、及び硬化膜の伸度の観点から、前記一般式(C1)において、Y5は下記一般式群のそれぞれで表される5つの基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
硬化レリーフパターンにスパッタ処理した場合において、該パターン上に発生することがあるシワ、膨れ等の外観不良の発生を抑制する観点から、前記一般式(C1)において、Y6は、下記一般式(Y6−1)群のそれぞれで表される3つの基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記Y4が一般式(Y4−1)で表される化合物としては、硬化膜の基板への接着性の観点から、下記一般式(C1−1)〜(C1−4)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選択される1種以上がより好ましい。
式(C1−2)中、X25及びX27は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の2価の有機基であり、X26は4価の有機基であり、X23、X24、X28及びX29は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の1価の有機基であり、そしてsは0〜2の整数であり;
式(C1−3)中、X30は−NH−R34又は−O−R35(式中、R34及びR35は、それぞれ独立に、1価の有機基である。)で表される1価の基であり、X31は炭素数1〜10の2価の有機基であり、X32及びX33は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の1価の有機基であり、そしてsは0〜2の整数であり;
式(C1−4)中、X36は2価の有機基であり、X37及びX38は、それぞれ独立に、1価の有機基であり、そしてsは0〜2の整数である。}
上記酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、無水フタル酸等が挙げられる。
前記一般式(C1−1)で表されるアルコキシシリル基含有シラン化合物の中では、硬化膜の基板への接着性の観点から、下記構造で表される化合物が特に好ましい。
イソシアネート基含有シラン化合物と、アミノ化合物又はアルコールとの反応
によって得ることができる。
一般式(C1−3)で表されるアルコキシシリル基含有シラン化合物を、アミノ基を有するシラン化合物と、イソシアネート化合物又は炭酸エステル誘導体との反応によって合成する場合、アミノ基を有するシラン化合物としては、前述の化合物を挙げることができる。
炭酸エステル誘導体としては、例えば、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸メチル、クロロ炭酸n−ブチル、クロロ炭酸イソブチル、Z−クロリド、クロロ炭酸2−メトキシエチル等のクロロ炭酸エステル化合物;二炭酸ジ−tブチル等の炭酸エステル二無水物が挙げられる。これらの炭酸エステル誘導体の中でも、二炭酸ジ−t−ブチルは、塩化物を使用しないため、反応後に塩素イオンを除去する等の操作が必要ないため、好ましい。二炭酸ジ−t−ブチルが使用される場合には、得られるt−ブトキシカルボニル基は、200℃程度の焼成によって完全に脱離することから、より低温における焼成でも優れた接着性を発現することができるので、好ましい。
前記アルコールとしては、例えば、一価のアルコール等が挙げられる。
一般式(C1−3)で表されるアルコキシシリル基含有シラン化合物の中で、硬化膜の基板への接着性の観点で、下記構造群のそれぞれで表される化合物が特に好ましい。
式(C1−6)中、X43は水素原子又はメチル基であり、X45は2価の有機基であり、X46及びX47は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の1価の有機基であり、sは0〜2の整数であり、そしてuは1〜3の整数であり;
式(C1−7)中、X49は炭素数1〜10の2価の有機基であり、X50及びX51は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の1価の有機基であり、そしてsは、0〜2の整数であり;そして
式(C1−6)中のX44及び式(C1−7)中のX48は、それぞれ独立に、下記式群:
Y6がビニル基を有する化合物としては、具体的には、例えば、ビニルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製 商品名KBE1003)、ビニルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン等が;
Y6がアクリロイル基を有する化合物としては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が;
Y6がメタクリロイル基を有する化合物としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越シリコーン社製 商品名KBE503)、3−(メタクリロキシ)プロピルトリ(2−メトキシエトキシ)シラン等が、
それぞれ挙げられる。
上記のような態様で(C)シラン化合物を用いることにより、基材と現像後の樹脂との密着性に優れる樹脂組成物を得ることができる。前述したように、(A)樹脂と(B)アミド化合物とが相互作用することにより、現像液の溶媒和による樹脂の溶解が抑制され、レリーフパターンの膨潤が抑制される結果、基材とレリーフパターンとの界面にかかる応力が低減すると推定される。ここで、(C)シラン化合物は、基材とシランカップリング反応し、該(C)シラン化合物と(B)アミド化合物とが相互作用することによって、現像時に樹脂と基材との界面にかかる応力を、より緩和するものと推定される。
次に、本実施形態の樹脂組成物に任意的に用いられる(D)感光剤について説明する。
本実施形態における(D)感光剤としては、UV硬化用の光重合開始剤として従来用いられている化合物を任意に選択できる。(D)感光剤として好適に使用できる化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体;
2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体;
チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;
ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体;
N−フェニルグリシン等のN−アリールグリシン類;
ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類;
芳香族ビイミダゾール類等が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの使用にあたっては、1種でも2種以上の混合物でもかまわない。上記の光重合開始剤の中では、特に光感度の点で、オキシム類がより好ましい。
(D)感光剤の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から2〜15質量部がより好ましい。(D)感光剤を(A)樹脂100質量部に対して1質量部以上の配合することにより光感度に優れ、20質量部以下の配合することにより厚膜硬化性に優れることとなる。
本実施形態における樹脂組成物は、上記(A)〜(D)成分以外の成分を更に含有してもよい。本実施形態における樹脂組成物は、典型的には、上記各成分及び必要に応じて更に使用される任意成分を、適当な溶剤に溶解してワニス状にした樹脂組成物として使用される。そのため、(E)その他成分としては、溶剤を挙げることができる他、例えば増感剤、光重合性の不飽和結合を有するモノマー、接着助剤、熱重合禁止剤、架橋剤、アゾール化合物、ヒンダードフェノール化合物等を挙げることができる。
本実施形態の樹脂組成物における溶剤としては、(A)樹脂の中でも特にポリイミド前駆体に対する溶解性の点から、極性の有機溶剤を用いることが好ましい。具体的には、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン等が挙げられる。これらは単独又は2種以上の組合せで用いることができる。
乳酸エチル等の乳酸エステル類;
プロピレングリコール−1−メチルエーテル、プロピレングリコール−2−メチルエーテル、プロピレングリコール−1−エチルエーテル、プロピレングリコール−2−エチルエーテル、プロピレングリコール−1−(n−プロピル)エーテル、プロピレングリコール−2−(n−プロピル)エーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル等のモノアルコール類;
2−ヒドロキシイソ酪酸エステル類;
エチレングリコール、プロピレングリコール等のジアルコール類
等を挙げることができる。これらの中では、乳酸エステル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、2−ヒドロキシイソ酪酸エステル類、及びエチルアルコールが好ましく、特に乳酸エチル、プロピレングリコール−1−メチルエーテル、プロピレングリコール−1−エチルエーテル、及びプロピレングリコール−1−(n−プロピル)エーテルがより好ましい。
なお、本実施形態の樹脂組成物における(B)アミド化合物は、常温で液体状であるものを包含する。本実施形態の樹脂組成物が液体状の(B)アミド化合物を含有する場合、溶剤を添加しなくてもワニス状組成物として存在することができる場合がある。そのような場合には、本実施形態の樹脂組成物は、溶剤を含有する必要はないが、溶剤を添加しても構わない。
本実施形態の樹脂組成物が増感剤を含有する場合の配合量は、(A)樹脂100質量部に対して、0.1〜25質量部であることが好ましい。
プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;
グリセロールのモノ、ジ、又はトリ(メタ)アクリレート;
シクロヘキサンジ(メタ)アクリレート;
1,4−ブタンジオールのジ(メタ)アクリレート;
1,6−ヘキサンジオールのジ(メタ)アクリレート;
ネオペンチルグリコールのジ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールAのモノ又はジ(メタ)アクリレート;
イソボルニル(メタ)アクリレート;
アクリルアミド及びその誘導体;
メタクリルアミド及びその誘導体;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;
グリセロールのジ又はトリ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラ(メタ)アクリレート;
並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物に配合する場合の熱重合禁止剤の配合量としては、(A)樹脂100質量部に対し、0.005〜12質量部の範囲が好ましい。
架橋剤は、本実施形態の樹脂組成物を用いて形成されたレリーフパターンを加熱硬化する際に、(A)樹脂を架橋し得るか、又は架橋剤自身が架橋ネットワークを形成し得る機能を有する。架橋剤は、硬化膜の耐熱性及び耐薬品性を更に強化することができる。
このような架橋剤としては、アミノ樹脂及びその誘導体が好適に用いられ、中でも、尿素樹脂、グリコール尿素樹脂、ヒドロキシエチレン尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、及びこれらの誘導体が好適に用いられる。特に好ましくは、アルコキシメチル化尿素化合物及びアルコキシメチル化メラミン化合物である。その具体例として、例えばMX−290(日本カーバイド社製)、UFR−65(日本サイテック社製)、MW−390(日本カーバイド社製)等が挙げられる。
耐熱性及び耐薬品性以外の諸性能との兼ね合いで、本実施形態の樹脂組成物が架橋剤を含有する場合の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.5〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜10質量部である。該配合量が0.5質量部以上である場合、良好な耐熱性及び耐薬品性が発現し、一方、20質量部以下である場合、保存安定性に優れる。
本発明はまた、硬化レリーフパターンの製造方法も提供するものである。
本実施形態において硬化レリーフパターンを形成するには、
(A)樹脂がその側鎖に重合性基を含有する樹脂である場合、及び
樹脂組成物が架橋剤を含有するものである場合
のうちの少なくとも一方を満足する樹脂組成物を使用することが好ましい。このような樹脂組成物は、ネガ型の感光性樹脂組成物として機能し、効果レリーフパターンを容易かつ効率的に製造することが可能となる。
上記いずれの場合も、該樹脂組成物は更に(D)感光剤を含有することが好ましい。
(1)上述したネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、該基板上に樹脂層を形成する塗布工程と、
(2)該樹脂層を露光する露光工程と、
(3)該露光後の樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する現像工程と、
(4)該レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する加熱工程と
を上記に記載の順で経由することを特徴とすることを特徴とする。使用する樹脂組成物がネガ型感光性樹脂組成物として機能する場合、上記の樹脂層は感光性樹脂層である。
以下、上記の各工程の典型的な態様について説明する。
本工程では、ネガ型感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じてその後乾燥させて感光性樹脂層を形成する。
基板としては、例えばシリコン、窒化シリコン、酸化シリコン、アルミ、ニッケル、チタン、銅、銅合金等から成る基板を使用することができる。
塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法を用いることができる。例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等である。
必要に応じて、感光性樹脂層を乾燥させることができる。乾燥方法としては、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。また、使用する樹脂組成物中に含有される(A)樹脂がポリマー(A1)からなる場合には、上記塗膜の乾燥は、該ポリマー(A1)のイミド化が起こらないような条件で行うことが望ましい。具体的には、風乾又は加熱乾燥を行う場合、20℃〜140℃で1分〜1時間の条件で乾燥を行うことができる。以上により基板上に感光性樹脂層を形成できる。
本工程では、上記で形成した感光性樹脂層を、露光する。露光装置としては、例えばコンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等が用いられる。露光は、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して、又は直接に行うことができる。露光に使用する光線は、例えば紫外線等である。
露光後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)及び/又は現像前ベークを施してもよい。ベーク条件の範囲は、温度は40〜120℃、時間は10秒〜240秒が好ましいが、本実施形態におけるネガ型感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、この範囲に限らない。
本工程では、露光後の感光性樹脂層のうち未露光部を現像除去する。露光(照射)後の感光性樹脂層を現像する現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法を選択して使用することができる。例えば回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等である。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。現像後ベークの温度は、例えば30〜180℃とすることができ、時間は例えば1〜30分とすることができる。
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱して感光成分を希散させる。使用する樹脂組成物中に含有される(A)樹脂がポリマー(A1)からなる場合には、本工程において該樹脂をイミド化させることによって、ポリイミドからなる硬化レリーフパターンに変換することができる。
加熱硬化の方法としては、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。加熱は、例えば200℃〜400℃で30分〜5時間の条件で行うことができる。加熱硬化の際の雰囲気気体としては空気を用いてもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いてもよい。
以上のようにして、効果レリーフパターンを製造することができる。
<<半導体装置>>
本発明はまた、上述した本発明の硬化レリーフパターンの製造方法により得られる硬化レリーフパターンを有して成る、半導体装置を提供する。
上記の半導体装置は、例えば半導体素子である基材と、該基材上に、上述した硬化レリーフパターン製造方法により形成された硬化レリーフパターンとを有する半導体装置であることができる。
各感光性樹脂の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)により、以下の条件で測定した。
カラム:昭和電工社製 商標名 Shodex 805M/806M直列
標準単分散ポリスチレン:昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105
展開溶媒:N−メチル−2−ピロリドン
検出器:昭和電工製 商標名 Shodex RI−930
感光性樹脂としてポリイミド前駆体を用いたネガ型感光性樹脂組成物を、6インチシリコンウエハー上にスピン塗布した後、100℃において5分加熱して溶媒を除去することにより、表1に記載の平均膜厚を有する塗膜を形成した。次いで、この塗膜の膜厚(T1)を、ウェハー上から以下の基準で選んだ39点において測定した。膜厚測定は、Nanospec5100光学式膜厚測定機(ナノメトリクス社製)を用いて行った。感光性樹脂組成物の膜厚均一性は以下の式から見積もった。
膜厚均一性[%]=(塗布後の膜厚39点の最大膜厚−塗布後の膜厚39点の最小膜厚)/39点の平均膜厚
測定点の選定基準: ウェハーの外周端から10mmの領域を除き、残余の全領域から均等の間隔で同心円状に設定した39点を測定点とした。
6インチシリコンウエハー上に、ネガ型感光性樹脂組成物をスピン塗布し、溶媒を除去して塗膜を形成した。この塗膜にテストパターン付レチクルを介して、i線ステッパーNSR2005i8A(ニコン社製)により、300mJ/cm2のエネルギーを照射して露光した。次いで、露光後の塗膜につき、シクロペンタノンを現像液とし、現像機(D−SPIN636型、日本国、大日本スクリーン製造社製)を用いてスプレー現像した。次いで、現像後の塗膜をプロピレングリコールメチルエーテルアセテートによりリンスして未露光部を現像除去し、レリーフパターンを得た。
得られたパターンについて、露光部の2〜30μm幅の細線パターン形状を光学顕微鏡下で観察し、剥がれがない最小幅の細線パターンのサイズが16μm未満のものを密着性「良好」とし、16μm以上のものを密着性「不良」として評価した。
4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2リットル容量のセパラブルフラスコに入れた。次いで2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2g及びγ−ブチロラクトン400mlを加え、室温下で攪拌しながらピリジン81.5gを加えて、反応混合物を得た。
この反応混合物につき、反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、更に16時間静置した。
この反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3リットルのエチルアルコールに投入して、粗ポリマーからなる沈殿物を生成させた。生成した粗ポリマーを濾取し、テトラヒドロフラン1.5リットルに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28リットルの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾取し、真空乾燥することにより、粉末状のポリマー(1)を得た。
このポリマー(1)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
前述の製造例1において、4,4’−オキシジフタル酸二無水物155.1gに代えて3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物147.1gを用いた以外は、製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(2)を得た。
このポリマー(2)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
前述の製造例で得たポリマー(1)及びポリマー(2)を用いて、以下の方法で感光性樹脂組成物を調製し、評価を行った。(A)樹脂としてのポリマー(1)50g及びポリマー(2)50gを、(B)アミド化合物としての3―メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド200g中に溶解し樹脂組成物とした。
この樹脂組成物につき、前述の方法に従ってシリコンウエハー上に塗布して乾燥させた時の膜厚均一性は4.5%であった。
実施例1の樹脂組成物に、(D)感光剤としての1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)−オキシム6gを添加し、ネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物につき、前述の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させた時の膜厚均一性は4.3%であった。また、該樹脂組成物を前述の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させ、露光及び現像した後の露光部細線は12μm以上で密着しており、密着性は「良好」であった。
実施例2の樹脂組成物に、(C)シリカ化合物としてのN−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸1gを添加し、ネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物につき、前述の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させた時の膜厚均一性は4.4%であった。また、該樹脂組成物を前述の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させ、露光及び現像した後の露光部細線は10μm以上で密着しており、密着性は「良好」であった。
実施例3において、(B)アミド化合物としての3―メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドの配合量を1gに変更し、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを199g添加した他は実施例3と同様にして、ネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物につき、前述の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させた時の膜厚均一性は7.1%であった。また、該樹脂組成物を前述の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させ、露光及び現像した後の露光部細線は14μm以上で密着しており、密着性は「良好」であった。
実施例3において、(B)アミド化合物としての3―メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドの配合量を10gに変更し、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを190g添加した他は実施例3と同様にして、ネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物につき、前述の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させた時の膜厚均一性は6.9%であった。また、該樹脂組成物を前述の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させ、露光及び現像した後の露光部細線は14μm以上で密着しており、密着性は「良好」であった。
実施例3において、(B)アミド化合物としての3―メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドの配合量を100gに変更し、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを100g添加した他は実施例3と同様にして、ネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物につき、前述の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させた時の膜厚均一性は6.3%であった。また、該樹脂組成物を前述の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させ、露光及び現像した後の露光部細線は12μm以上で密着しており、密着性は「良好」であった。
実施例3において、(B)アミド化合物としての3―メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドの配合量を1,000gに変更した他は実施例3と同様にして、ネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物につき、前述の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させた時の膜厚均一性は3.8%であった。
実施例3において、(B)アミド化合物としての3―メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドの配合量を10,000gに変更した他は実施例3と同様にして、ネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
該組成物につき、前述の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させた時の膜厚均一性は2.1%であった。
実施例3において、(B)アミド化合物として3―メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドの代わりに3―ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド100gを使用し、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを100g添加した他は実施例3と同様にして、ネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物につき、前述の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させた時の膜厚均一性は7.2%であった。また、該樹脂組成物を前述の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させ、露光及び現像した後の露光部細線は14μm以上で密着しており、密着性は「良好」であった。
(A)樹脂としてのポリマー(1)50g及びポリマー(2)50gをN−メチル−2−ピロリドン200gに溶解することにより、樹脂組成物とした。
この樹脂組成物につき、前述の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させた時の膜厚均一性は8.2%であった。
比較例1の樹脂組成物に、(D)感光剤としての1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)−オキシム6g、及び(C)シリカ化合物としてのN−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸(1gを添加することにより、ネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物につき、前述の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させた時の膜厚均一性は8.1%であった。また、該樹脂組成物を前述の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させ、露光及び現像した後、密着していた露光部細線は20μm以上であり、密着性は「不良」であった。
また、各成分の略称は、それぞれ、以下の意味である。
A1:ポリマー(1)
A2:ポリマー(2)
B1:3―メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド
B2:3―ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド
C1:N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸
D1:1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)−オキシム
E1:N−メチル−2−ピロリドン
Claims (12)
- (A)樹脂:100質量部、
(B)3―メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド及び3―ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドから選ばれる1種以上のアミド化合物:1〜10,000質量部、並びに
(D)光重合開始剤である感光剤
を含有し、
前記(A)樹脂が、下記一般式(A1)で表される構造を有し、かつ
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000〜100,000のポリマーであることを特徴とする樹脂組成物。
Y1は2価の有機基であり;
R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4の飽和脂肪族基、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数5〜30の脂肪族基、炭素数6〜30の芳香族基、又はラジカル重合し得る1価の有機基であり;但し、
R4及びR5のうちの少なくとも一方はラジカル重合し得る1価の有機基である。} - 前記(B)アミド化合物が3―メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記(D)感光剤がオキシム類を含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記(D)感光剤の配合量が、(A)樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 溶剤を更に含有し、
前記溶剤が、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、及びN−シクロヘキシル−2−ピロリドンから選択される1種以上を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の樹脂組成物。 - 以下の工程:
(1)請求項1〜10のいずれか一項に記載の樹脂組成物を基板上に塗布し、該基板上に樹脂層を形成する塗布工程と、
(2)該樹脂層を露光する露光工程と、
(3)該露光後の樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する現像工程と、
(4)該レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する加熱工程と
を上記に記載の順で経由することを特徴とする、硬化レリーフパターンの製造方法。 - 請求項11に記載の製造方法によって得られる硬化レリーフパターンを有してなることを特徴とする、半導体装置。
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