JP6749739B2 - 屋外貯蔵物の上屋の構築工法および上屋架構 - Google Patents
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Description
の場所に存置のまま、貯蔵物上屋を後で建設する場合があった。
(1)前記屋外貯蔵物を挟んでその両側の全長に亘り、スライド用レールを敷設する工程。
(2)前記スライド用レールを、前記上屋架構の組立て場所まで更に延長して敷設する工程。
(3)前記上屋架構の組立て場所にて、前記屋外貯蔵物両側のスライド用レールの上をそれぞれスライド移動する複数の柱と、前記屋外貯蔵物を跨いで当該両柱間に架け渡される複数の梁とからなり、かつ前記両柱のうちの一方の柱の柱頭部と前記梁の一方の梁端部との接合部を剛接合、他方の柱の柱頭部と前記梁の他方の梁端部との接合部をある程度回転を許容する回転許容接合とした部分架構を前記スライド用レールの敷設方向に複数組み立てる工程。
(4)前記部分架構に対して、両側の前記柱の柱頭部と前記梁の梁端部との接合部間
もしくはその接合部近傍間にテンション材を設置する工程(図4、5参照)。
なお、前記部分架構において、ある程度回転を許容する接合状態とした回転許容接合および前記剛接合の位置より下方部分を柱、上方部分を梁と称する。
(5)前記テンション材に張力を導入して、前記部分架構を構造的に自立させる工程。
(6)自立した前記部分架構を前記屋外貯蔵物の所定位置まで、前記スライド用レールの上をスライド移動させる工程。
(7)工程(3)〜(6)を、前記屋外貯蔵物の全体もしくはその必要な範囲を覆うまで繰り返す工程。
(8)前記部分架構のスライド移動工程が全て完了した後、回転許容接合されている側の柱頭部と梁端部との接合部に、前記回転許容接合部の回転を固定する挿入部材を取り付ける工程。
(9)その後、前記テンション材の張力を解除し、かつ前記テンション材を撤去する工程。
本発明の屋外貯蔵物の上屋架構は、上屋架構の組立て場所で組立てられた複数の部分架構を、前記屋外貯蔵物を挟んでその両側に敷設されたスライド用レールの上を前記屋外貯蔵物の所定位置までスライド移動させ、屋外貯蔵物の上を覆うように設置して構築される上屋架構であり、前記部分架構が前記屋外貯蔵物の両側のスライド用レールの上をそれぞれスライド移動する複数の柱と、当該両柱間に前記屋外貯蔵物を跨いで架け渡された複数の梁とを備え、かつ前記屋外貯蔵物両側の柱のうち、一方の柱の柱頭部と前記梁の一端部は剛接合され、他方の柱の柱頭部と前記梁の他端部は回転許容接合と当該回転許容接合の回転を固定する挿入部材とによって剛接合されていることを特徴とする。
また特に、前記部分架構の剛接合側および回転許容接合側の柱頭部と梁端部との接合部相互間、または前記剛接合側の柱脚部と前記梁の中間部間、および前記梁の回転許容接合側の梁端部と前記梁の中間部間、或いは前記梁の剛接合側および回転許容接合側の両梁端部もしくはその近傍と前記梁の中間部間に張力を導入するためのテンション材がそれぞれ設置されていることで、部分架構を屋外貯蔵物の所定位置までスライド用レールの上をスライド移動させる間、前記テンション材に張力を導入して部分架構を構造的に自立させることにより、スライド用レールを支える基礎を特に剛強にしなくても部分架構のスライド移動をきわめて安全に行うことができる。
また、部分架構の数量を、屋外貯蔵物の積み付け量に応じてスライド用レールの敷設方向に増減することにより、最適規模の上屋架構をきわめて容易にかつ経済的に構築することができる。
既存の屋外貯蔵物に、スライド工法にて上屋を架設する際に、
(1)移動中の部分架構の柱脚部に水平反力を生じさせることなく、かつ部分架構の柱頭部が外側に水平変位(柱が傾斜)するのを抑制するテンション材が、高く積み付けされた屋外貯蔵物と干渉することもなく、スライド移動が実行できる。
(2)部分架構のスライド移動中に、部分架構の柱脚部に水平反力が生じないので、安全性が高い。
(3)従って、スライド移動時の水平反力に対する基礎の補強が、移動区間全長に亘り不要になる。
(4)よって、従来のスライド工法の場合に比べて、基礎工事費を大幅に縮減できる。
(5)部分架構の梁端部に座屈拘束ブレース等のエネルギー吸収部材を組み込むことにより、上屋完成後だけでなく、スライド移動中に発生する地震に対しても安全性が向上する。
部分架構3a、3b、…は、スライド用レール2、2の上に屋外貯蔵物1を挟んでそれぞれ設置された複数の柱A1、A2と当該柱A1、A2間に屋外貯蔵物1の上方をスライド用レール2、2の軸直角方向に跨いでそれぞれ設置された複数のアーチ形状の梁B、Bとから構成されている。
柱A1の柱頭部Dと梁Bの梁端部BDおよび柱A2の柱頭部Cと梁Bの梁端部BCは、共に剛接合され、特に柱A2の柱頭部Cと梁Bの梁端部BCは、組立て途中においてはある程度回転を許容する状態で接合され(回転許容接合)、組立て完了後に挿入部材mを追加することにより剛接合されている。
続いて、本発明の屋外貯蔵物の上屋の構築工法の第1実施例を説明する(図1および図3乃至図6を参照)。
(1)最初に、円錐状や堤防状に積み付けされた屋外貯蔵物1を挟んでその両側の全長に亘り、スライド用レール2、2を敷設する(図1)。
(2)次に、スライド用レール2、2を上屋架構3の組立て場所まで更に延長して、上屋架構3の部分架構3a、3b、…の組み立てに必要な位置まで敷設する(図1参照)。
(3)次に、上屋架構3の組立て場所にて、スライド用レール2、2の上をスライド用レール2、2の敷設方向にスライド移動する部分架構3a、3b、…を組み立てる(図3参照)。部分架構3a、3b、…は、屋外貯蔵物1の積み付け量に応じて最適数を組み立てる。
組み立てに際しては、まず、スライド用レール2、2の上に複数の柱A1と柱A2をそれぞれスライド用レール2、2の軸方向に一定間隔をおいて設置し、当該各柱A1と柱A2間にそれぞれ梁Bを屋外貯蔵物1の上方をスライド用レール2の軸直角方向に跨いで設置する。
そして、柱A1の柱頭部Dと梁Bの梁端部BDとを剛接合し(以下「剛接合部n1」)、反対側の柱A2の柱頭部Cと梁Bの梁端部BCとをある程度回転を許容する接合状態に接合する(以下「回転許容接合部n2」)。
(4)次に、組み立てられた各部分架構3a、3b、…に対して、屋外貯蔵物1の高さが、剛接合部n1側の梁端部BDと回転許容接合部n2側の梁端部BCとを結ぶ直線Lの位置よりも低い場合においては、梁Bの両端部BCとBD間にテンション材T1を水平にかけ渡して梁Bの両梁端部BCとBDをテンション材T1によって繋ぐ(図4参照)。
(5)次に、テンション材T1に張力tを導入して、部分架構3a、3b、…を構造的に安定させて自立させる(図4参照)。
(6)次に、自立した各部分架構3a、3b、…を、スライド用レール2、2の上を順にスライドさせて屋外貯蔵物1の所定位置までスライド移動させる(図4参照)。
(7)工程(3)〜(6)を、屋外貯蔵物1の全体もしくはその必要な範囲を覆うまで繰り返す。
(8)次に、部分架構3a、3b、…のスライド移動工程が全て完了した後、各部分架構3a、3b、…の回転許容接合部n2側の柱頭部Cと梁Bの端部BCとの接合部に挿入部材mを追加して、柱A2の柱頭部Cと梁Bの梁端部BCとの接合部を剛接合する(図5参照)。また、部分架構3a、3b、…どうしを互いに接合する。
(9)そして、その後、テンション材T1の張力tを解除し、テッション材T1を撤去して上屋架構3の組み立てを完了する(図6参照)。
なお、工程1〜3は、実施例1で説明した工程とほぼ同じなので、説明を省略し、工程4から説明する。
(4)工程1〜3で組立てられた各部分架構3a、3b、…に対して、剛接合部n1側の柱A1の柱脚部Fと梁Bの中間部とを繋ぐテンション材T1と、回転許容接合部n2側の梁Bの梁端部BCと梁Bの中間部とを繋ぐテンション材T2を、それぞれ両者相互に可能な限り大きく交差するように、かつ屋外貯蔵物1と干渉しないように設置する(図7参照)。
(5)次に、テンション材T1,T2に張力tを導入して、各部分架構3a、3b、…をそれぞれ構造的に安定させて自立させる(図7参照)。
(6)次に、自立した部分架構3a、3b、…を、スライド用レール2、2の上をスライドさせて屋外貯蔵物1の所定位置まで、順次スライド移動する(図7参照)。
(7)工程(3)〜(6)を、屋外貯蔵物1全体もしくはその必要な範囲を覆うまで繰り返す。
(8)次に、部分架構3a、3b、…のスライド移動工程が全て完了した後、回転許容接合部n2側の柱A2の柱頭部Cと梁Bの梁端部BCとの接合部に挿入部材mを追加して、柱A2の柱頭部Cと梁端部BCとの接合部を剛接合にする(図8参照)。また、部分架構3a、3b、…どうしを接合する。
(9)そして、その後、テンション材T1、T2の張力tを解除し、テンション材T1、T2を撤去して上屋架構3の施工を完了する(図9参照)。
(4)工程1〜3で組み立てられた部分架構3a、3b、…の梁Bの梁端部BCおよびBDと梁Bの中間部とを繋ぐテンション材T1、T2を、それぞれ両者相互に可能な限り大きく交差するように、かつ屋外貯蔵物1に干渉しない高さに取り付ける(図10参照)。
(5)次に、テンション材T1、T2に張力tを導入して、部分架構3a、3b、…を構造的に安定させて自立させる工程(図10参照)。
(6)次に、自立した部分架構3a、3b、…を、スライド用レール2、2の上をスライドさせて屋外貯蔵物1の所定位置までスライド移動させる(図10参照)。
(7)工程(3)〜(6)を、屋外貯蔵物1の全体もしくはその必要な範囲を覆うまで繰り返す。
(8)部分架構3a、3b、…のスライド移動工程が全て完了した後、回転許容接合部n2側の柱A2の柱頭部Cと梁Bの梁端部BCとの接合部に挿入部材mを追加して、柱A2の柱頭部Cと梁端部BCを剛接合にする(図11参照)。また、部分架構3a、3b、…どうしを接合する。
(9)その後、テンション材T1、T2の張力tを解除し、テンション材T1、T2を撤去して上屋架構3の施工を完了する(図12参照)。
なお、座屈拘束ブレース等のエネルギー吸収部材は、必要に応じて、剛接合部n1側の一部の梁端部BDまたは全ての梁端部BDに設けてもよく、また、剛接合部n1側および回転許容接合部n2側の両方の梁端部BC、BDに設けてもよい。
1a:屋外貯蔵物
2:スライド用レール
3:上屋(貯蔵物上屋)
3a、3b:部分架構
A1:剛接合部側の柱
A2:回転許容接合部側の柱
B:梁
BC:回転許容接合部側の梁端部、
BD:剛接合部側の梁端部
C:柱頭部
D:柱頭部
F:柱脚部
T1:テンション材
T2:テンション材
t:張力
m:挿入部材
n1:剛接合部
n2:回転許容接合部
δ:水平変位
RH:水平反力
RV:垂直反力
Claims (3)
- 屋外貯蔵物を挟んでその両側に敷設されるスライド用レールと、前記屋外貯蔵物の上屋架構の組立て場所で組み立てられ、前記スライド用レールの上をスライド移動して前記屋外貯蔵物の上に設置される複数の部分架構からなる屋外貯蔵物の上屋の構築工法であって、以下の工程を含むことを特徴とする屋外貯蔵物の上屋の構築工法。
(1)前記屋外貯蔵物を挟んでその両側の全長に亘り、スライド用レールを敷設する工程。
(2)前記スライド用レールを前記上屋架構の組立て場所まで更に延長して敷設する工程。
(3)前記上屋架構の組立て場所にて、前記屋外貯蔵物両側のスライド用レールの上をそれぞれスライド移動する複数の柱と、前記屋外貯蔵物を跨いで当該両柱間に架け渡される複数の梁とからなり、かつ前記両柱のうちの一方の柱の柱頭部と前記梁の一方の梁端部との接合部を剛接合、他方の柱の柱頭部と前記梁の他方の梁端部との接合部を回転許容接合とした複数の部分架構を組立てる工程。
(4)前記部分架構に対して、両側の前記柱の柱頭部と前記梁の梁端部との接合部間またはその接合部近傍間にテンション材を設置する工程。
(5)前記テンション材に張力を導入して、前記部分架構を構造的に自立させる工程。
(6)自立した前記部分架構を前記屋外貯蔵物の所定位置まで前記スライド用レールの上をスライド移動させる工程。
(7)工程(3)〜(6)を、前記屋外貯蔵物の全体もしくはその必要な範囲を覆うまで繰り返す工程。
(8)前記部分架構のスライド移動工程が全て完了した後、回転許容接合されている側の柱頭部と梁端部との接合部に挿入部材を追加して、当該接合部を剛接合する工程。
(9)その後、前記テンション材の張力を解除し、当該テンション材を撤去する工程。 - 屋外貯蔵物を挟んでその両側に敷設されるスライド用レールと、前記屋外貯蔵物の上屋架構の組立て場所で組み立てられ、前記スライド用レールの上をスライド移動して前記屋外貯蔵物の上に設置される複数の部分架構からなる屋外貯蔵物の上屋の構築工法であって、以下の工程を含むことを特徴とする屋外貯蔵物上屋の構築工法。
(1)前記屋外貯蔵物を挟んでその両側の全長に亘り、スライド用レールを敷設する工程。
(2)前記スライド用レールを前記上屋架構の組立て場所まで更に延長して敷設する工程。
(3)前記上屋架構の組立場所にて、前記屋外貯蔵物の両側のスライド用レールの上をそれぞれスライド移動する複数の柱と、前記屋外貯蔵物を跨いで当該両柱間に架け渡される複数の梁とからなり、かつ前記両柱のうちの一方の柱の柱頭部と前記梁の一方の梁端部との接合部を剛接合、他方の柱の柱頭部と前記梁の他方の梁端部との接合部を回転許容接合とした複数の部分架構を組み立てる工程。
(4)前記部分架構の剛接合側の柱脚部もしくはその柱脚部近傍と前記梁の中間部との間、および前記回転許容接合側の柱頭部と前記梁端部との接合部もしくはその接合部近傍と前記梁の中間部との間に、テンション材をそれぞれ両者相互に交差するように、かつ前記屋外貯蔵物と干渉しないように設置する工程。
(5)前記テンション材に張力を導入して、前記部分架構を構造的に自立させる工程。
(6)自立した前記部分架構を前記屋外貯蔵物の所定位置まで前記スライド用レールの上をスライド移動させる工程。
(7)工程(3)〜(6)を、前記屋外貯蔵物の全体もしくはその必要な範囲を覆うまで繰り返す工程。
(8)前記部分架構のスライド移動工程が全て完了した後、回転許容接合側の柱頭部と梁端部との接合部に挿入部材を取り付けて、当該接合部を剛接合する工程。
(9)その後、前記テンション材の張力を解除し、当該テンション材を撤去する工程。 - 屋外貯蔵物を挟んでその両側に敷設されるスライド用レールと、前記屋外貯蔵物の上屋架構の組立て場所で組み立てられ、前記スライド用レールの上をスライド移動して前記屋外貯蔵物の上に設置される複数の部分架構からなる屋外貯蔵物の上屋の構築工法であって、以下の工程を含むことを特徴とする屋外貯蔵物上屋の構築工法。
(1)前記屋外貯蔵物を挟んでその両側の全長に亘り、スライド用レールを敷設する工程。
(2)前記スライド用レールを前記上屋架構の組立て場所まで更に延長して敷設する工程。
(3)前記上屋架構の組立て場所にて、前記屋外貯蔵物の両側のスライド用レールの上をそれぞれスライド移動する複数の柱と、前記屋外貯蔵物を跨いで当該両柱間に架け渡される複数の梁とからなり、かつ前記両柱のうちの一方の柱の柱頭部と前記梁の一方の梁端部との接合部を剛接合、他方の柱の柱頭部と前記梁の他方の梁端部との接合部を回転許容接合とした複数の部分架構を組み立てる工程。
(4)前記部分架構の両側の柱の柱頭部と前記梁端部との接合部、もしくはその接合部近傍と前記梁の中間部との間に、テンション材をそれぞれ両者相互に交差するように、かつ前記屋外貯蔵物に干渉しないようにそれぞれ設置する工程。
(5)前記テンション材に張力を導入して、前記部分架構を構造的に自立させる工程。
(6)自立した前記部分架構を前記屋外貯蔵物の所定位置まで前記スライド用レールの上をスライド移動させる工程。
(7)工程(3)〜(6)を、前記屋外貯蔵物の全体もしくは必要な範囲を覆うまで繰り返す工程。
(8)部分架構のスライド移動工程が全て完了した後、回転許容接合側の柱頭部と梁端部との接合部に挿入部材を追加して、当該接合部を剛接合にする工程。
(9)その後、前記テンション材の張力を解除し、当該テンション材を撤去する工程。
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