図面を参照しながら、開示のための複数の実施形態及び変形例を説明する。なお、説明の便宜上、複数の実施形態及び変形例の間において、それまでの説明に用いた図に示した部分と同一の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。同一の符号を付した部分については、他の実施形態及び/又は変形例における説明を参照することができる。
(実施形態1)
<生体情報計測システム1の概略構成>
以下、本発明の実施形態1について図面を用いて説明する。図1に示すように、生体情報計測システム1は、車両側ユニット2及びウェアラブルデバイス3を含んでいる。
車両側ユニット2は、車両HVで用いられて、ウェアラブルデバイス3と無線通信を行う。また、車両側ユニット2は、車両HVのドライバの状態(以下、ドライバ状態)を推定したり、ドライバ状態を提示したりする。
ウェアラブルデバイス3は、ユーザに装着されて、そのユーザの生体情報を計測する。このウェアラブルデバイス3が請求項の生体情報計測装置に相当する。ウェアラブルデバイス3としては、ユーザの腕に装着する腕時計型、ユーザの頭部に眼鏡と同様にして装着する眼鏡型等があるが、以下では腕時計型を例に挙げて説明を行う。
<車両側ユニット2の概略構成>
続いて、図2を用いて車両側ユニット2の概略構成を説明する。車両側ユニット2は、図2に示すように、HCU(Human Machine Interface Control Unit)20、近距離通信機21、車両制御ECU22、ドライバモニタカメラ23、操作デバイス24、表示装置25、及び音声出力装置26を備えている。HCU20、近距離通信機21、及び車両制御ECU22は、例えば車内LANで各々接続されている。
近距離通信機21は、近距離無線通信規格に沿って信号を送受信する。近距離通信機21は、通信範囲が車両HVの車室内に止まることが好ましく、例えば最大通信距離が1m未満程度となるようにすればよい。近距離通信機21は、車両HVのドライバが装着するウェアラブルデバイス3との間で無線通信を行う。近距離通信機21は、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の近距離無線通信規格に沿って信号を送受信する構成とすればよいが、以下ではBluetoothの規格に沿って信号を送受信する場合を例に挙げて説明を行う。なお、消費電力低減の観点からは、Bluetooth Low Energyの規格に沿って信号を送受信する構成とすることがより好ましい。
以下では、ユーザが装着するウェアラブルデバイス3と近距離通信機21とのペアリングが実行済みであるものとして以降の説明を行う。また、車両HVのドライバとなったユーザが装着しているウェアラブルデバイス3以外のペアリング済みのウェアラブルデバイス3が車両HVの車室内にある場合でも、ドライバのウェアラブルデバイス3と近距離通信機21との接続が、例えばドライバの操作入力によって選択されているものとして以降の説明を行う。
車両制御ECU22は、車両HVの加減速制御及び/又は操舵制御を行う電子制御装置である。車両制御ECU22としては、操舵制御を行う操舵ECU、加減速制御を行うパワーユニット制御ECU及びブレーキECU等がある。車両制御ECU22は、車両HVに搭載されたアクセルポジションセンサ、ブレーキ踏力センサ、舵角センサ、車速センサ、加速度センサ等の各センサから出力される検出信号を取得し、電子制御スロットル、ブレーキアクチュエータ、EPS(Electric Power Steering)モータ等の各走行制御デバイスへ制御信号を出力する。また、車両制御ECU22は、上述の各センサの検出信号を車内LANへ出力可能である。
ドライバモニタカメラ23は、近赤外光源及び近赤外カメラを含んでいる。ドライバモニタカメラ23は、近赤外カメラを車両HVの運転席側に向けた姿勢にて、例えばインスツルメントパネルの上面に配置される。ドライバモニタカメラ23では、近赤外光源によって近赤外光を照射されたドライバの顔を含む範囲を、近赤外カメラによって撮影する。近赤外カメラによるドライバの顔を含む範囲の撮像画像は、HCU20へ出力される。
操作デバイス24は、車両HVのドライバが操作するスイッチ群である。例えば、操作デバイス24としては、車両HVのステアリングのスポーク部に設けられたステアリングスイッチがある。ステアリングスイッチは、ウェアラブルデバイス3との連携の要否等を含む各種設定を行うために用いられたりする。
表示装置25としては、例えばコンビネーションメータ、CID(Center Information Display)、HUD(Head-Up Display)等がある。コンビネーションメータは、車両HVの運転席前方に配置される。CIDは、車両HVの車室内にてセンタクラスタの上方に配置される。コンビネーションメータ及びCIDは、HCU20から取得した画像データに基づいて、情報提示のための種々の画像をディスプレイの表示画面に表示する。
HUDは、HCU20から取得した画像データに基づく画像の光を、車両HVのウインドシールドに規定された投影領域に投影する。ウインドシールドによって車室内側に反射された画像の光は、運転席に着座するドライバによって知覚される。ドライバは、HUDによって投影された画像の虚像を、車両HVの前方の外界風景と重ねて視認可能となる。
音声出力装置26としては、例えばオーディオスピーカ等がある。オーディオスピーカは、車両HVのドアの内張り内に配置される。オーディオスピーカは、再生する音声によって乗員への情報提示を行う。
HCU20は、CPU、ROM及びRAM等のメモリ、I/O、これらを接続するバスを備え、メモリに記憶された制御プログラムを実行することで各種の処理を実行する。なお、HCU20が実行する機能の一部または全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。
一例として、ドライバモニタカメラ23から取得した撮像画像から、ドライバの顔向き及びドライバの瞼の開閉状態を検出し、ドライバの体調異常状態及び覚醒状態を推定する。ドライバの姿勢を検出してドライバの体調異常状態を推定する等してもよい。また、ドライバの顔向き及び/又は視線方向を検出してドライバの脇見を推定する等、他のドライバ状態を推定する構成としてもよいが、以下ではドライバの体調異常状態及び覚醒状態を推定する場合を例に挙げて説明を行う。
また、HCU20は、推定したドライバ状態が警告を要する状態である場合に、表示装置25及び/又は音声出力装置26から警告を行わせる。他にも、HCU20は、近距離通信機21を介してウェアラブルデバイス3から受信した情報に基づく処理を実行する。一例として、ウェアラブルデバイス3からドライバ状態を受信した場合であって、このドライバ状態が警告を要する状態である場合に、表示装置25及び/又は音声出力装置26から情報提示を行わせる。このHCU20が請求項の車載器に相当する。
<HCU20の概略構成>
続いて、図3を用いてHCU20の概略構成を説明する。HCU20は、図3に示すように、ドライバ状態推定部201、提示制御部202、連携状況検出部203、及び要求送信部204を備えている。
ドライバ状態推定部201は、ドライバモニタカメラ23から取得した撮像画像から、画像認識処理によって、ドライバの顔向き、ドライバの姿勢、瞼の開閉状態等を検出する。そして、検出した顔向き、ドライバの姿勢をもとに、ドライバ状態としてドライバの体調異常状態を推定する。例えば、顔向きが下方向の状況が継続すること、ドライバの姿勢が崩れていることをもとに、ドライバの失神といった体調異常状態を推定する。また、検出した瞼の開閉状態をもとに、ドライバ状態としてドライバの覚醒状態を推定する。例えば、瞼の開閉における振幅対速度から眠気の開始を推定したり、瞼の閉じた状態の継続時間から居眠り(つまり、睡眠)を推定したりする。ドライバの覚醒状態は、例えば「覚醒」、「眠気開始」、「睡眠」の順に覚醒度が低くなっていくものとする。このドライバ状態推定部201が請求項の車両側推定部に相当する。
なお、ドライバモニタカメラ23から取得した撮像画像から推定するドライバ状態として上述で述べたのはあくまで一例であって、他のドライバ状態を推定する構成であってもよい。
提示制御部202は、ドライバ状態推定部201で推定したドライバ状態が警告を要する状態である場合に、表示装置25及び/又は音声出力装置26から情報提示を行わせる。例えば、体調異常状態と推定した場合には、同乗者に向けてドライバの体調異常を知らせる情報提示を行わせる。また、推定した覚醒状態が所定の覚醒度以下の場合に、ドライバの覚醒を促す情報提示を行わせる。なお、体調異常状態と推定した場合には、情報提示を行わせるだけでなく、車両制御ECU22が車両HVを手動運転から自動運転に切り替えて路肩に退避させる等してもよい。
他にも、提示制御部202は、近距離通信機21を介してウェアラブルデバイス3からドライバ状態を受信した場合に、このドライバ状態に応じて、表示装置25及び/又は音声出力装置26から情報提示を行わせる。
連携状況検出部203は、車両HVのドライバのウェアラブルデバイス3が車室内に位置している状況を検出する。一例としては、近距離通信機21とドライバのウェアラブルデバイス3との間で通信確立してから通信確立が解除されるまでを、ドライバのウェアラブルデバイス3が車室内に位置している状況として検出する。通信確立してから通信確立が解除されるまでの状態には、通信確立して接続前の状態、通信確立して接続中となっている状態、及び未接続となったが速やかに接続中に復帰できる省電力状態が含まれる。
連携状況検出部203においてドライバのウェアラブルデバイス3が車室内に位置している状況が検出されるケースについて、以下で説明を行う。ウェアラブルデバイス3を装着したドライバが車両HVに乗車し、ACC電源をオンにすると、近距離通信機21が起動する。続いて、ドライバのウェアラブルデバイス3と近距離通信機21とがペアリング済みである場合であって、近距離通信機21との接続対象にこのウェアラブルデバイス3が選択された場合に、近距離通信機21とこのウェアラブルデバイス3との間で通信が確立して通信が開始される。この際に、連携状況検出部203においてドライバのウェアラブルデバイス3が車室内に位置している状況が検出される。一方、ドライバが車両HVから降車するためにACC電源をオフにすると、近距離通信機21の動作が終了し、ドライバのウェアラブルデバイス3と近距離通信機21との接続が解消される。この際に、連携状況検出部203においてドライバのウェアラブルデバイス3が車室内に位置している状況が検出されなくなる。
なお、ドライバのウェアラブルデバイス3が車室内に位置している状況の検出は、上述したような通信の状態以外にも、操作デバイス24へのドライバによる所定の入力操作、運転席ドアの開閉、運転席の着座センサでのドライバの着座の検出等を条件とする構成としてもよい。ここで言うところの所定の入力操作とは、ドライバのウェアラブルデバイス3とHCU20との接続(詳しくは近距離通信機21を介した接続)を要求する旨の入力操作等である。
要求送信部204は、ウェアラブルデバイス3での生体情報の計測を開始することを要求する開始要求を、近距離通信機21を介してウェアラブルデバイス3へ送信する。近距離無線通信の対象とするウェアラブルデバイス3は、ペアリング中のものとすればよい。
一例として、要求送信部204は、ドライバ状態推定部201でのドライバモニタカメラ23を用いたドライバ状態の推定を行うことができない状況となった場合に、開始要求をウェアラブルデバイス3へ送信する。ドライバモニタカメラ23を用いたドライバ状態の推定を行うことができない状況の一例としては、ドライバモニタカメラ23の故障、ドライバ状態推定部201での顔画像の画像認識処理のエラー等がある。このドライバモニタカメラ23が請求項の車両側センサに相当する。
<ウェアラブルデバイス3の概略構成>
続いて、図4を用いてウェアラブルデバイス3の概略構成を説明する。ウェアラブルデバイス3は、図4に示すように、計測関連部30、バッテリ31、操作入力部32、通信部33、及び提示部34を備えている。
バッテリ31は、ウェアラブルデバイス3の作動のための電力を供給する電源である。バッテリ31は、リチウム電池等の一次電池であってもよく、リチウムイオン電池等の二次電池であってもよい。
操作入力部32は、ユーザが操作するスイッチ群である。操作入力部32はメカニカルなスイッチであってもよいし、タッチパネル式のスイッチであってもよい。一例として、ウェアラブルデバイス3の電源をオン状態とオフ状態との間で切り替える電源スイッチ、生体情報の計測開始を指示する計測開始スイッチ、計測結果の提示を指示する提示開始スイッチ等を有している。計測開始スイッチ及び提示開始スイッチは、複数の生体情報の個々を対象として指定できる構成としてもよい。
なお、ウェアラブルデバイス3の電源のオンオフは、操作入力部32へのユーザからの操作入力によって切り換えない構成としてもよい。例えば、ウェアラブルデバイス3の着脱に応じて自動的に切り換わる構成としてもよい。
通信部33は、車両HVの近距離通信機21との間で近距離無線通信を行う。本実施形態の例では、Bluetooth Low Energyの規格に沿って信号を送受信する。
提示部34は、計測関連部30から出力された情報をもとに情報提示を行う。情報提示は、表示装置によって行ってもよいし、音声出力装置によって行ってもよい。一例として、計測関連部30で計測されるユーザの生体情報の数値を表示したり、計測関連部30で推定したユーザ状態に応じたテキスト及び/又はアイコンを表示したりすればよい。
<計測関連部30の概略構成>
続いて、図4を用いて計測関連部30の概略構成を説明する。計測関連部30は、図4に示すように、加速度センサ301、体動判定部302、脈波センサ303、心拍計測部304、血圧計測部305、異常判定部306、蓄積部307、状態推定部308、連携関連部309、及び切替部310を備えている。
加速度センサ301は、起動された場合に、ウェアラブルデバイス3に生じる加速度を電圧値として逐次計測するセンサである。よって、加速度センサ301は、ユーザの生体情報として、ウェアラブルデバイス3を装着したユーザの部位に生じる加速度を計測することになる。この加速度センサ301が請求項の計測部及び加速度計測部に相当する。例えば加速度センサ301としては、互いに直交する3軸それぞれの軸方向に沿った加速度を計測可能な3軸加速度センサを用いればよい。なお、加速度センサ301としては、1軸加速度センサ、2軸加速度センサを用いる構成としてもよい。加速度センサ301は、計測した加速度を体動判定部302に出力する。
体動判定部302は、加速度センサ301で計測した加速度をもとに、ユーザの体動を判定する。一例として、3軸の加速度のいずれかでも閾値以上となった場合に、ユーザの体動ありと判定し、3軸の加速度のいずれも閾値未満となった場合に、ユーザの体動なしと判定する。つまり、体動判定部302は、ユーザの体動の有無を判定する。ここで言うところの閾値とは、例えばユーザの体動なしの場合のノイズを体動ありと判定しない程度に設定された任意の値とすればよい。なお、3軸それぞれの閾値が異なる構成であってもよい。
脈波センサ303は、起動された場合に、ウェアラブルデバイス3を装着した部位におけるユーザの脈波を検出する。脈波センサ303は、計測周期(言い換えるとサンプリングレート)を変更可能な脈波センサであって、サンプリングレートを例えば20Hzの低周期と200Hzの高周期とに切り替えることができるものとする。このような脈波センサ303としては、例えば光電式脈波センサ、インピーダンス式脈波センサ等を用いることができる。
本実施形態では、一例として光電式脈波センサを用いて容積脈波を計測する場合を例に挙げて説明を行う。なお、本実施形態では、ウェアラブルデバイス3が腕時計型である場合を例に挙げているので、透過式よりも反射式の光電式脈波センサを用いることが好ましい。よって、LEDを発光させてユーザへ照射した光の反射光を受光することで容積脈波を計測する光電式脈波センサを用いる場合を例に挙げて説明を行う。LEDとしては緑色LEDを用いる構成とすればよい。
心拍計測部304は、脈波センサ303で逐次検出される容積脈波の信号に周知の信号処理を行い、容積脈波からユーザの心拍数を計測する。計測結果は異常判定部306へ出力する。この心拍計測部304も請求項の計測部に相当する。
血圧計測部305は、脈波センサ303で逐次検出される容積脈波の信号に周知の信号処理を行い、容積脈波からユーザの血圧を計測する。計測結果は異常判定部306へ出力する。この血圧計測部305も請求項の計測部に相当する。
容積脈波の信号をもとに血圧を計測するには、心拍数の計測に必要なサンプリングレートよりもサンプリングレートを大きくして、容積脈波の波形を詳細に計測することが必要になる。よって、脈波センサ303で検出される容積脈波を用いて血圧を計測する場合には、心拍数と血圧とのうちの心拍数のみを計測する場合よりもサンプリングレートを大きくする必要があり、計測に要する消費電力が多くなる。また、加速度センサ301で加速度を計測するのに要する消費電力は、脈波センサ303を用いて心拍計測部304で心拍数を計測するのに要する消費電力よりも小さいものとする。従って、ユーザの生体情報を計測するのに要する消費電力は、「加速度」、「心拍数」、「血圧」の順に多くなるものとする。
異常判定部306は、心拍計測部304で計測した心拍数に異常ありか否か、及び血圧計測部305で計測した血圧に異常ありか否かを判定する。一例として、計測結果の値が上限値を越えたり、下限値を下回ったりした場合に異常ありと判定する構成とすればよい。ここで言うところの上限値及び下限値は、計測結果が異常と言える程度の値であって、任意に設定された固定値であってもよいし、学習によって逐次設定される可変値であってもよい。可変値とする場合には、例えば過去の計測結果の平均値を基準心拍数として設定する構成とすればよい。例えば上限値は基準心拍数の2倍、下限値は基準心拍数の3分の2とすればよい。
異常判定部306で異常ありと判定した計測結果については、例えば計測した時刻を示すタイムスタンプを付与して蓄積部307に蓄積する。蓄積部307としては、不揮発性のメモリを用いる構成とすればよい。また、異常判定部306は、心拍数及び血圧に異常ありと判定した場合に、計測部304及び血圧計測部305から取得した計測結果を状態推定部308に出力する。
状態推定部308は、心拍計測部304及び血圧計測部305での計測結果から、ユーザ状態を推定する。この状態推定部308が請求項のユーザ側推定部に相当する。一例として、心拍数及び血圧と体調異常状態とを予め対応付けたマトリクスをもとに、ユーザ状態として体調異常状態を推定する構成とすればよい。他にも、心拍数及び血圧と覚醒状態を予め対応付けたマトリクスをもとに、ユーザ状態として覚醒状態を推定する構成としてもよい。状態推定部308は、推定したユーザ状態を提示部34に出力する。
連携関連部309は、ウェアラブルデバイス3が車両HVの車室内に位置していることを検出したり、通信部33を介して車両側ユニット2から送信される要求を検出したりする。一例としては、通信部33と車両側ユニット2の近距離通信機21との間で通信確立してから通信確立が解除されるまでを、ウェアラブルデバイス3が車室内に位置しているものとして検出する。通信確立してから通信確立が解除されるまでの状態には、通信確立して接続前の状態、通信確立して接続中となっている状態、及び未接続となったが速やかに接続中に復帰できる省電力状態が含まれる。
なお、車両側ユニット2の連携状況検出部203でドライバのウェアラブルデバイス3が車室内に位置していることを検出したことを示す情報を、通信部33を介して車両側ユニット2から受信したことをもとに、ウェアラブルデバイス3が車室内に位置していることを検出してもよい。
切替部310は、加速度センサ301、心拍計測部304、及び血圧計測部305での計測実施有無を切り替えたり、脈波センサ303の作動有無及びサンプリングレートを切り替えたりする。切替部310は、操作入力部32で受け付けた操作入力に応じて、加速度センサ301、心拍計測部304、及び血圧計測部305での計測実施有無を切り替える。また、切替部310は、連携関連部309での検出結果、加速度センサ301での計測結果、及び異常判定部306での判定結果に応じて、加速度センサ301、心拍計測部304、及び血圧計測部305での計測実施有無を切り替える。以下では、連携関連部309での検出結果、加速度センサ301での計測結果、及び異常判定部306での判定結果に応じた、加速度センサ301、心拍計測部304、及び血圧計測部305での計測実施有無の切り替えの詳細について述べる。
<非乗車時計測関連処理>
ここでは、図5のフローチャートを用いて、ウェアラブルデバイス3が車両HVの車室内に位置しない状況におけるウェアラブルデバイス3での生体情報の計測に関連する処理(以下、非乗車時計測関連処理)の流れの一例について説明を行う。図5のフローチャートは、ウェアラブルデバイス3の電源がオンになった場合であって、且つ、ウェアラブルデバイス3が車室内に位置していることを連携関連部309で検出しなかった場合に開始する構成とすればよい。
まず、ステップS1では、切替部310が加速度センサ301を起動させる。ステップS2では、切替部310が脈波センサ303を低周期で作動させる。本実施形態の例では、サンプリングレート20Hzで作動させる。
ステップS3では、体動判定部302が、加速度センサ301で計測した加速度をもとに、ユーザの体動の有無を判定する。そして、体動なしと判定した場合(S3でYES)には、ステップS4に移る。一方、体動ありと判定した場合(S3でNO)には、ステップS14に移る。
ステップS4では、切替部310が心拍計測部304での計測を実施させ、心拍計測部304が、脈波センサ303で逐次検出される容積脈波をもとにユーザの心拍数を計測する。体動判定部302でユーザの体動なしと判定しなければ、脈波センサ303を用いた生体情報の計測を開始しないのは、ユーザの大きな体動によって計測精度が低下するのを防ぐためである。
ステップS5では、異常判定部306が、心拍計測部304で計測した心拍数に異常ありか否かを判定する。そして、異常ありと判定した場合(S5でYES)には、ステップS7に移る。一方、異常なしと判定した場合(S5でNO)には、ステップS6に移る。
ステップS6では、非乗車時計測関連処理の終了タイミングであった場合(S6でYES)には、非乗車時計測関連処理を終了する。一方、非乗車時計測関連処理の終了タイミングでなかった場合(S6でNO)には、S2に戻って処理を繰り返す。非乗車時計測関連処理の終了タイミングの一例としては、ウェアラブルデバイス3の電源がオフされたこと、ウェアラブルデバイス3が車室内に位置していることを連携関連部309で検出したこと等がある。
ステップS7では、異常判定部306が、S5で異常ありと判定した際の心拍数(つまり、異常計測値)を蓄積部307に蓄積する。ステップS8では、切替部310が脈波センサ303を高周期で作動させる。本実施形態の例では、サンプリングレート200Hzで作動させる。
ステップS9では、切替部310が血圧計測部305での計測を実施させ、血圧計測部305が、脈波センサ303で逐次検出される容積脈波をもとにユーザの血圧を計測する。なお、血圧計測部305で血圧の計測が実施されるようになった場合には、例えば心拍計測部304は高周期で作動している脈波センサ303で逐次検出される容積脈波をもとに心拍数を計測すればよい。
ステップS10では、異常判定部306が、血圧計測部305で計測した血圧に異常ありか否かを判定する。そして、異常ありと判定した場合(S10でYES)には、ステップS11に移る。一方、異常なしと判定した場合(S10でNO)には、ステップS14に移る。
ステップS11では、異常判定部306が、S10で異常ありと判定した際の血圧(つまり、異常計測値)を蓄積部307に蓄積する。ステップS12では、状態推定部308が、心拍計測部304及び血圧計測部305での計測結果から、ユーザ状態を推定する。
ステップS13では、提示部34が、状態推定部308で推定したユーザ状態に応じた提示を行う。なお、非乗車時計測関連処理においては、覚醒状態に応じた提示を行わない構成としてもよい。また、非乗車時計測関連処理においては、操作入力部32で受け付けた操作入力に応じて、心拍計測部304及び血圧計測部305での計測結果を提示する構成としてもよい。
ステップS14では、非乗車時計測関連処理の終了タイミングであった場合(S14でYES)には、非乗車時計測関連処理を終了する。一方、非乗車時計測関連処理の終了タイミングでなかった場合(S14でNO)には、S3に戻って処理を繰り返す。
なお、図5のフローチャートで示したタイミングに限らず、切替部310は、操作入力部32で受け付けた操作入力に応じて、血圧計測部305での計測実施有無を切り替える構成としてもよい。
<乗車時計測関連処理>
続いて、図6のフローチャートを用いて、ウェアラブルデバイス3が車両HVの車室内に位置する状況におけるウェアラブルデバイス3での生体情報の計測に関連する処理(以下、乗車時計測関連処理)の流れの一例について説明を行う。図6のフローチャートは、ウェアラブルデバイス3の電源がオンになっている場合であって、且つ、ウェアラブルデバイス3が車室内に位置していることを連携関連部309で検出した場合に開始する構成とすればよい。
まず、ステップS21では、蓄積部307に異常計測値が蓄積されている場合(S21でYES)には、ステップS22に移る。一方、蓄積部307に異常計測値が蓄積されていない場合(S21でNO)には、ステップS23に移る。
ステップS22では、通信部33が、蓄積部307に蓄積されている異常計測値を、車両側ユニット2の近距離通信機21へ送信する。送信された異常計測値については、蓄積部307から消去すればよい。また、異常計測値を受信した車両側ユニット2では、HCU20が、受信した乗車前の異常計測値に応じた提示等を行わせる構成とすればよい。一例としては、受信した乗車前の異常計測値の重篤さの度合いを閾値によって判断し、重篤さの度合いが高い場合には、病院に行くことを勧めたり、同乗者に運転を交代して貰うことを勧めたり、公共交通機関の利用を勧めたりする提示を行わせればよい。
ステップS23では、連携関連部309が、車両側ユニット2から送信される開始要求を検出した場合に、開始要求を受信したものとして(S23でYES)、ステップS25に移る。一方、車両側ユニット2から送信される開始要求を検出していない場合には、開始要求を受信していないものとして(S23でNO)、ステップS24に移る。
ステップS24では、乗車時計測関連処理の終了タイミングであった場合(S24でYES)には、乗車時計測関連処理を終了する。一方、乗車時計測関連処理の終了タイミングでなかった場合(S24でNO)には、S23に戻って処理を繰り返す。乗車時計測関連処理の終了タイミングの一例としては、ウェアラブルデバイス3の電源がオフされたこと、ウェアラブルデバイス3が車室内に位置していることを連携関連部309で検出しなくなったこと等がある。
ステップS25〜ステップS29の処理は、前述したS1〜S5の処理と同様である。ステップS30では、乗車時計測関連処理の終了タイミングであった場合(S30でYES)には、乗車時計測関連処理を終了する。一方、乗車時計測関連処理の終了タイミングでなかった場合(S30でNO)には、S26に戻って処理を繰り返す。
ステップS31〜ステップS33の処理は、前述したS8〜S10の処理と同様である。ステップS34の処理は、前述したS12の処理と同様である。言い換えると、ステップS25〜ステップS34の処理は、異常判定部306で異常ありと判定された際の異常計測値を蓄積部307に蓄積する処理を含まないことを除けば、前述したS1〜S12の処理と同様である。S34では、状態推定部308が、心拍計測部304及び血圧計測部305での計測結果から、ドライバとなったユーザのユーザ状態を推定する。このドライバとなったユーザのユーザ状態が請求項のユーザの運転状態に相当する。
ステップS35の処理では、通信部33が、S34で推定したユーザ状態を、車両側ユニット2の近距離通信機21へ送信する。乗車時計測関連処理において推定したユーザ状態は、ドライバとなったユーザのユーザ状態であるので、ドライバ状態と言い換えることができる。このドライバ状態を受信した車両側ユニット2では、HCU20が、受信したドライバ状態に応じた提示を、表示装置25及び/又は音声出力装置26に行わせる。一例としては、ドライバ状態が体調異常状態であった場合には、同乗者に向けてドライバの体調異常を知らせる情報提示を行わせる。また、ドライバ状態が所定の覚醒度以下の覚醒状態であった場合には、ドライバの覚醒を促す情報提示を行わせる。
ステップS36では、乗車時計測関連処理の終了タイミングであった場合(S36でYES)には、乗車時計測関連処理を終了する。一方、乗車時計測関連処理の終了タイミングでなかった場合(S36でNO)には、S27に戻って処理を繰り返す。
車両側ユニット2からの開始要求の送信は、前述したように、車両側ユニット2においてドライバモニタカメラ23を用いたドライバ状態の推定を行うことができない状況となった場合に行われる。よって、車両側ユニット2のHCU20において、ウェアラブルデバイス3で推定するのと同様のユーザ状態を推定可能な状況では、車両側ユニット2から開始要求は送信されない。従って、車両側ユニット2のHCU20において、ウェアラブルデバイス3で推定するのと同様のユーザ状態を推定可能な状況では、ウェアラブルデバイス3での加速度センサ301、心拍計測部304、及び血圧計測部305での計測は実施されないことになる。
なお、図6のフローチャートで示したタイミングに限らず、切替部310は、操作入力部32で受け付けた操作入力に応じて、加速度センサ301、心拍計測部304、及び血圧計測部305での計測実施有無を切り替える構成としてもよい。
<実施形態1のまとめ>
実施形態1の構成によれば、加速度センサ301での加速度の計測よりも計測に要する消費電力の大きい、脈波センサ303を用いた心拍計測部304及び血圧計測部305での計測を、この加速度をもとに体動判定部302でユーザの体動ありと判定した場合には実施しないように切り替える。よって、加速度の計測に比べて消費電力がより大きい心拍数及び/又は血圧の計測を実施する頻度を減らす分だけ、ウェアラブルデバイス3において消費電力量を抑えることができる。また、体動判定部302でユーザの体動ありと判定した場合に、心拍計測部304及び血圧計測部305での計測を実施しないので、ユーザの体動によって計測精度が低下する可能性がある場合に、心拍計測部304及び血圧計測部305での計測を実施しないようにすることができる。その結果、ウェアラブルデバイス3において、計測精度の低下を抑えつつ、消費電力量を抑えることが可能になる。
他にも、実施形態1の構成によれば、心拍計測部304よりも計測に要する消費電力の大きい、血圧計測部305での計測を、異常判定部306で心拍数の異常ありと判定されるまでは実施しないように切り替える。よって、心拍数の計測に比べて消費電力がより大きい血圧の計測を実施する頻度を減らす分だけ、ウェアラブルデバイス3において消費電力量を抑えることができる。また、心拍数に異常ありと判定されるまでは、血圧に異常が生じていない可能性が高いので、血圧に異常が生じる可能性が高いタイミングといった、血圧を計測する必要性の高いタイミングに絞って血圧を計測することが可能になる。従って、ウェアラブルデバイス3において、血圧を計測する必要性の高いタイミングに絞って血圧を計測しつつ、消費電力量を抑えることが可能になる。
また、実施形態1の構成によれば、ドライバのウェアラブルデバイス3が車両HVの車室内に位置するようになった場合に、蓄積部307に蓄積されている乗車前の異常計測値をHCU20に送信するので、乗車前の異常計測値に応じた対応をドライバに促す情報提示をHCU20で行わせることが可能になる。
さらに、実施形態1の構成によれば、ドライバのウェアラブルデバイス3が車両HVの車室内に位置していることを検出している状況において、HCU20から近距離通信機21を介して送信される開始要求を通信部33で受信するまでは、加速度センサ301、心拍計測部304、及び血圧計測部305のいずれでの計測も開始しない。よって、ウェアラブルデバイス3が車両HVの車室内に位置していることを検出している状況において生体情報の計測を常時行う構成に比べて、計測を実施する頻度を減らすことが可能になる。従って、生体情報の計測を実施する頻度を減らす分だけ、ウェアラブルデバイス3において消費電力量を抑えることが可能になる。
車両側ユニット2からの開始要求の送信は、前述したように、車両側ユニット2のHCU20において、ウェアラブルデバイス3で推定するのと同様のユーザ状態を推定可能な状況では行われない。よって、ウェアラブルデバイス3の必要性に応じて、ウェアラブルデバイス3において消費電力量を抑えることが可能になる。
(変形例1)
実施形態1では、ウェアラブルデバイス3において、異常判定部306で心拍数に加えて血圧まで異常ありと判定した場合に、状態推定部308でユーザ状態を推定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、異常判定部306で心拍数に異常ありと判定したが、血圧は異常なしと判定した場合にも、状態推定部308でユーザ状態を推定する構成としてもよい。他にも、異常判定部306で心拍数及び血圧のいずれも異常なしと判定した場合にも、状態推定部308でユーザ状態を推定する構成としてもよい。なお、推定に用いることのできる計測結果の種類に応じて、推定するユーザ状態を変更しない構成としてもよいし、推定するユーザ状態を変更する構成としてもよい。
(変形例2)
実施形態1では、ウェアラブルデバイス3において、加速度センサ301で計測した加速度をもとに心拍計測部304での計測実施有無を切り替え、心拍計測部304で計測した心拍数をもとに血圧計測部305での計測実施有無を切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。計測に要する消費電力がより小さい計測結果をもとに、計測に要する消費電力がより大きい計測の実施を制限する構成であれば、上述した組み合わせに限らない。
例えば、加速度センサ301で計測した加速度をもとに心拍計測部304及び血圧計測部305の両方での計測実施有無を切り替える構成としてもよい。また、加速度センサ301、心拍計測部304、及び血圧計測部305のうちの一部を備えない構成としてもよい。さらに、加速度センサ301、心拍計測部304、及び血圧計測部305以外の生体情報を計測する計測部を用いる構成としてもよい。
(変形例3)
実施形態1では、切替部310が加速度センサ301での加速度の計測、心拍計測部304での心拍数の計測、血圧計測部305での血圧の計測の実施有無を切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、これらのうちの一部の計測実施有無のみを切り替える構成としてもよい。
(変形例4)
実施形態1では、ウェアラブルデバイス3での乗車時計測関連処理において、蓄積部307に異常計測値が蓄積されている場合に、蓄積されている異常計測値を、車両側ユニット2の近距離通信機21へ送信する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、蓄積部307に異常計測値を蓄積したり、異常計測値を近距離通信機21へ送信したりしない構成としてもよい。この場合、図5のフローチャートでは、S7及びS11の処理を省略すればよい。また、図6のフローチャートでは、S21〜S22の処理を省略すればよい。
(変形例5)
また、切替部310は、HCU20から近距離通信機21を介して、ドライバになったユーザの運転状態が異常であることを示す運転状態異常の情報を通信部33で受信した場合に、計測に要する消費電力がそれぞれ異なる複数の生体情報のうちの、計測に要する消費電力がより大きい生体情報の計測を実施するように切り替える構成(以下、変形例5)としてもよい。
変形例5では、HCU20において、例えば舵角センサ、車速センサ、加速度センサ等の各センサから出力される検出信号といった、車両の挙動に関する車両情報を用いて、ドライバとなったユーザの運転状態異常を検出するものとする。一例としては、急操舵、急加速、及び急制動のいずれかが一定時間内に規定回数以上(例えば3分間に5回以上等)生じた場合に、運転状態異常を検出する構成とすればよい。例えば、操舵角の単位時間あたりの変化率が閾値を越えた場合に急操舵、加速度が閾値を越えた場合に急加速、減速度が閾値を越えた場合に急制動とすればよい。そして、HCU20は、近距離通信機21を介して、検出したその運転状態異常を送信するものとする。
ここで、図7のフローチャートを用いて、変形例5におけるウェアラブルデバイス3での乗車時計測関連処理の流れの一例について説明を行う。図7のフローチャートは、例えば図6のフローチャートと同様の条件に従って開始する構成とすればよい。また、図7のフローチャートでは、変形例4と同様に乗車時計測関連処理において異常計測値を近距離通信機21へ送信しない場合を例に挙げて説明を行うが、実施形態1と同様に異常計測値を近距離通信機21へ送信する構成としてもよい。
まず、ステップS41〜ステップS47の処理は、前述したS23〜S29の処理と同様である。S47では、心拍計測部304で計測した心拍数に異常ありと判定した場合(S47でYES)には、ステップS50に移って、脈波センサ303を高周期で作動させて血圧計測部305での血圧の計測が実施される。一方、異常なしと判定した場合(S47でNO)には、ステップS48に移る。
ステップS48では、近距離通信機21を介してHCU20から送信される運転状態異常の情報を通信部33で受信した場合(S48でYES)には、ステップS50に移って、脈波センサ303を高周期で作動させて血圧計測部305での血圧の計測が実施される。一方、運転状態異常の情報を通信部33で受信していない場合(S48でNO)には、ステップS49に移る。
ステップS49〜ステップS55の処理は、前述したS30〜S36の処理と同様である。なお、図7のフローチャートで示したタイミングに限らず、切替部310は、操作入力部32で受け付けた操作入力に応じて、加速度センサ301、心拍計測部304、及び血圧計測部305での計測実施有無を切り替える構成としてもよい。
変形例5の構成によれば、ウェアラブルデバイス3の計測部での計測結果には表れないが、車両の挙動に関する車両情報には表れるドライバの異常時にも、ウェアラブルデバイス3でのより詳細な生体情報の計測を実施することが可能になる。図7の例では、心拍計測部304での計測結果に表れないが、車両の挙動に関する車両情報には表れるドライバの異常時に、血圧計測部305での血圧の計測を実施することが可能になる。
(変形例6)
実施形態1では、ドライバとなったユーザのユーザ状態を、心拍計測部304、血圧計測部305といった計測部での計測結果をもとに、ウェアラブルデバイス3で推定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ウェアラブルデバイス3の計測部での計測結果をもとに、車両側において、ドライバとなったユーザのユーザ状態を推定する構成(以下、変形例6)としてもよい。
まず、変形例6のウェアラブルデバイス3についての説明を行う。変形例6のウェアラブルデバイス3は、乗車時計測関連処理の一部の処理が異なる点を除けば実施形態1と同様である。
ここで、図8のフローチャートを用いて、変形例6におけるウェアラブルデバイス3での乗車時計測関連処理の流れの一例について説明を行う。図8のフローチャートは、例えば図6のフローチャートと同様の条件に従って開始する構成とすればよい。また、図8のフローチャートでは、便宜上、変形例4と同様に乗車時計測関連処理において異常計測値を近距離通信機21へ送信しない場合を例に挙げて説明を行う。
まず、ステップS61〜ステップS68の処理は、前述したS23〜S30の処理と同様である。S67では、異常判定部306が、心拍計測部304で計測した心拍数に異常ありと判定した場合(S47でYES)には、ステップS69に移る。ステップS69では、通信部33が、S67で異常ありと判定した際の心拍数(つまり、異常計測値)を、車両側ユニット2の近距離通信機21へ送信する。ステップS70では、提示部34が、心拍数に異常があったことを示す情報提示を行う。一例としては、異常ありと判定した際の心拍数を提示したり、心拍数に異常があったことを知らせる旨を提示したりする。
ステップS71〜ステップS73の処理は、前述したS31〜S33の処理と同様である。S73では、異常判定部306が、血圧計測部305で計測した血圧に異常ありと判定した場合(S73でYES)には、ステップS74に移る。ステップS74では、通信部33が、S73で異常ありと判定した際の血圧(つまり、異常計測値)を、車両側ユニット2の近距離通信機21へ送信する。ステップS75では、提示部34が、血圧に異常があったことを示す情報提示を行う。一例としては、異常ありと判定した際の血圧を提示したり、血圧に異常があったことを知らせる旨を提示したりする。
ステップS76の処理は、前述したS36の処理と同様である。なお、図8のフローチャートで示したタイミングに限らず、切替部310は、操作入力部32で受け付けた操作入力に応じて、加速度センサ301、心拍計測部304、及び血圧計測部305での計測実施有無を切り替える構成としてもよい。
続いて、変形例6の車両側ユニットについての説明を行う。変形例6の車両側ユニット2は、HCU20の代わりにHCU20aを備える点を除けば、実施形態1の車両側ユニット2と同様である。
ここで、図9を用いて、変形例6のHCU20aについての説明を行う。HCU20aは、図9に示すように、ドライバ状態推定部201a、提示制御部202a、連携状況検出部203、及び要求送信部204を備えている。HCU20aは、ドライバ状態推定部201及び提示制御部202の代わりにドライバ状態推定部201a及び提示制御部202aを備える点を除けば、実施形態1のHCU20と同様である。このHCU20aも請求項の車載器に相当する。
ドライバ状態推定部201aは、ウェアラブルデバイス3から送信されてくる異常計測値をもとに、ドライバとなったユーザのユーザ状態(つまり、ドライバ状態)を推定する点を除けば、実施形態1のドライバ状態推定部201と同様である。このドライバ状態推定部201aも請求項の車両側推定部に相当する。
ドライバ状態推定部201aは、例えば心拍数についての異常計測値と血圧についての異常計測値とを近距離通信機21を介して取得した場合に、実施形態1の状態推定部308と同様にしてユーザ状態を推定すればよい。なお、心拍数についての異常計測値と血圧についての異常計測値とのうちの心拍数についての異常計測値のみをもとにユーザ状態を推定してもよい。この場合には、例えば心拍数とユーザ状態とを予め対応付けた対応関係をもとに、心拍数についての異常計測値からユーザ状態を推定すればよい。
提示制御部202aは、ウェアラブルデバイス3から受信したドライバ状態に応じた情報提示を行わない点を除けば、実施形態1の提示制御部202と同様である。
変形例6の構成によれば、ウェアラブルデバイス3がHCU20aと通信可能な状況において、計測部での計測結果をもとにしたユーザ状態の推定をHCU20aで行わせることが可能になる。よって、ウェアラブルデバイス3において、ウェアラブルデバイス3でユーザ状態の推定を行う分の消費電力量を抑えることが可能になる。
なお、図8のフローチャートでは、異常判定部306で異常ありと判定した場合に、提示部34が、異常があったことを示す情報提示を行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、異常判定部306で異常ありと判定した場合にも、提示部34が、異常があったことを示す情報提示を行わない構成としてもよい。
(変形例7)
実施形態1では、ウェアラブルデバイス3での生体情報の計測を開始することを要求する開始要求を、ドライバ状態推定部201でのドライバモニタカメラ23を用いたドライバ状態の推定を行うことができない状況となった場合に送信する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ドライバ状態推定部201でのドライバモニタカメラ23を用いたドライバ状態の推定を行うことができない状況以外を条件として開始要求を送信する構成としてもよい。
一例として、ウェアラブルデバイス3での生体情報の計測を開始することを要求する操作入力が操作デバイス24に行われたことを条件として開始要求を送信する構成としてもよい。他にも、ドライバ状態を推定する機能を有していない車両側ユニット2を搭載している車両HVにおいて、この車両側ユニット2の近距離通信機21とウェアラブルデバイス3との通信確立時に、ユーザが設定する要否に応じて開始要求を送信する構成としてもよい。要否の設定は、例えば操作デバイス24を介してユーザが予め行っておく構成としてもよいし、操作デバイス24を介して、上述の通信確立時にユーザがその都度設定する構成としてもよい。
(変形例8)
実施形態1では、ドライバモニタカメラ23から取得した撮像画像からドライバ状態推定部201でドライバ状態を推定する場合の例を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば舵角センサ、車速センサ、加速度センサ等の各センサから出力される検出信号といった車両情報からドライバ状態推定部201でドライバ状態を推定する構成(以下、変形例8)としてもよい。変形例のうちの変形例5にはこの変形例8の構成を組み合わせないことが好ましい。
(変形例9)
実施形態1では、ドライバモニタカメラ23から取得した撮像画像から、HCU20のドライバ状態推定部201でドライバ状態を推定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ドライバモニタカメラ23から取得した撮像画像からドライバ状態を推定する制御ユニットがHCU20と別体に設けられる構成としてもよい。変形例6においてこの構成を採用する場合、ウェアラブルデバイス3から送信される計測結果をもとにドライバ状態を推定するのは、例えばHCU20のドライバ状態推定部201とすればよい。
(変形例10)
また、前述の実施形態及び変形例で述べたHCU20の機能を、近距離通信機21と一体となった電子制御装置が担う構成としてもよい。
(変形例11)
実施形態1では、ウェアラブルデバイス3が車両HVの車室内に位置していることが連携関連部309で検出されている状況において、車両側ユニット2のHCU20から送信される開始要求の有無でウェアラブルデバイス3での生体情報の計測実施有無を切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ウェアラブルデバイス3が車両側ユニット2と無線通信を行う機能を有していない構成としてもよいし、ウェアラブルデバイス3が車室内に位置しているか否かに関わらず、自律的に生体情報の計測実施有無を切り替える構成としてもよい。
(変形例12)
実施形態1では、切替部310が血圧計測部305といった計測部での計測実施有無を切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、切替部310が計測部での計測間隔を切り替える構成(以下、変形例12)としてもよい。
変形例12のHCU20は、実施形態1のHCU20と同様である。なお、変形例12に変形例6の構成を採用する場合には、変形例12のHCU20は、変形例6のHCU20aと同様になる。また、変形例12のウェアラブルデバイス3は、心拍数及び血圧のデフォルトでの定期計測間隔が定められている点、及び非乗車時計測関連処理及と乗車時計測関連処理との一部の処理が異なる点を除けば実施形態1のウェアラブルデバイス3と同様である。
ここで、図10のフローチャートを用いて、変形例12のウェアラブルデバイス3での非乗車時計測関連処理の流れの一例について説明を行う。図10のフローチャートは、例えば図5のフローチャートと同様の条件に従って開始する構成とすればよい。
まず、ステップS81〜ステップS83の処理は、前述したS1〜S3の処理と同様である。ステップS84では、心拍数の定期計測タイミングであった場合(S84でYES)には、ステップS85に移る。一方、心拍数の定期計測タイミングでなかった場合(S84でNO)には、ステップS96に移る。心拍数の定期計測間隔は例えば5分間隔等とすればよい。定期計測タイミングは、S82において脈波センサ303の低周期での作動を開始させた時点を起点として、タイマ回路等によって計時を行うことにより、切替部310で判断する構成とすればよい。
ステップS85〜ステップS86の処理は、前述したS4〜S5の処理と同様である。S5では、S86では、異常判定部306が、心拍計測部304で計測した心拍数に異常ありと判定した場合(S86でYES)には、ステップS89に移り、異常ありと判定した際の心拍数(つまり、異常計測値)を蓄積部307に蓄積する。一方、異常なしと判定した場合(S86でNO)には、ステップS87に移る。
ステップS87では、血圧の定期計測タイミングであった場合(S87でYES)には、ステップS90に移り、脈波センサ303を高周期で作動させて血圧計測部305での血圧の計測が実施される。一方、血圧の定期計測タイミングでなかった場合(S87でNO)には、ステップS88に移る。血圧の定期計測間隔は例えば10分間隔等とすればよい。血圧の定期計測タイミングについても、心拍数の定期計測タイミングと同様にして、切替部310で判断する構成とすればよい。
図10のフローチャートで示す通り、心拍計測部304で計測した心拍数に異常ありと判定された場合には、血圧の定期計測タイミングでなかった場合であっても、血圧計測部305での血圧の計測が実施され、血圧の計測間隔が短く切り替えられる。
ステップS88〜ステップS96の処理は、前述したS6〜S14の処理と同様である。なお、図10のフローチャートで示したタイミングに限らず、切替部310は、操作入力部32で受け付けた操作入力に応じて、心拍計測部304及び血圧計測部305での計測実施有無を切り替える構成としてもよい。
変形例12のウェアラブルデバイス3での乗車時計測関連処理については、以下のようにすればよい。一例として、図6のフローチャートのS27の処理とS28の処理との間にS84と同様の処理を行う構成とすればよい。また、図6のフローチャートのS29の処理とS30の処理との間にS87と同様の処理を行う構成とすればよい。
変形例12の構成によれば、心拍計測部304よりも計測に要する消費電力の大きい、血圧計測部305での計測間隔を、異常判定部306で心拍数の異常ありと判定されるまでは計測間隔を短く切り替えないようにする。よって、心拍数の計測に比べて消費電力がより大きい血圧の計測を実施する頻度を減らす分だけ、ウェアラブルデバイス3において消費電力量を抑えることができる。
(変形例13)
変形例12で示した例に限らず、心拍計測部304で計測した心拍数に異常ありと判定された場合に、切替部310が血圧の定期計測間隔を短く切り替えることによって、ウェアラブルデバイス3における消費電力量を抑える構成としてもよい。一例としては、心拍計測部304で心拍数に異常ありと判定されるまでは、血圧計測部305での計測間隔を10分間隔とする一方、心拍計測部304で心拍数に異常ありと判定された場合には、血圧計測部305での計測間隔を5分間隔に切り替える等すればよい。
(変形例14)
また、計測法がそれぞれ異なる脈波センサを使い分ける構成(以下、変形例14)としてもよい。変形例14のHCU20は、実施形態1のHCU20と同様である。なお、変形例14に変形例6の構成を採用する場合には、変形例14のHCU20は、変形例6のHCU20aと同様になる。また、変形例14のウェアラブルデバイス3bは、計測関連部30の代わりに計測関連部30bを備える点を除けば実施形態1のウェアラブルデバイス3と同様である。このウェアラブルデバイス3bも請求項の生体情報計測装置に相当する。
ここで、図11を用いて、変形例14のウェアラブルデバイス3bについての説明を行う。ウェアラブルデバイス3bの計測関連部30bは、図11に示すように、加速度センサ301、体動判定部302b、脈波センサ303b、心拍計測部304b、血圧計測部305、異常判定部306、蓄積部307、状態推定部308、連携関連部309、及び切替部310bを備えている。計測関連部30bは、体動判定部302、脈波センサ303、心拍計測部304、及び切替部310の代わりに体動判定部302b、脈波センサ303b、心拍計測部304b、及び切替部310bを備える点を除けば、実施形態1の計測関連部30と同様である。
脈波センサ303bは、計測法がそれぞれ異なる光電式脈波センサ3031及びインピーダンス式脈波センサ3032を備えている。この脈波センサ303bが備える光電式脈波センサ3031及びインピーダンス式脈波センサ3032が請求項の計測法がそれぞれ異なるセンサに相当する。光電式脈波センサ3031は、インピーダンス式脈波センサ3032よりも体動による計測誤差への影響が小さいものの、インピーダンス式脈波センサ3032よりも消費電力が大きいものとする。
心拍計測部304bは、第1心拍計測部3041及び第2心拍計測部3042を備えている。第1心拍計測部3041は、光電式脈波センサ3031で逐次検出される容積脈波からユーザの心拍数を計測する。第2心拍計測部3042は、インピーダンス式脈波センサ3032で逐次検出される容積脈波からユーザの心拍数を計測する。よって、第1心拍計測部3041は、第2心拍計測部3042よりも体動による計測誤差への影響が小さいものの、第2心拍計測部3042よりも計測に要する消費電力が大きいことになる。
なお、血圧計測部305は、光電式脈波センサ3031及びインピーダンス式脈波センサ3032のうちのいずれかで逐次検出される容積脈波からユーザの血圧を計測する。
体動判定部302bは、加速度センサ301で計測した加速度をもとに、ユーザの体動を判定する。一例として、3軸の加速度のいずれかでも第1の閾値以上となった場合に、ユーザの体動「大」と判定し、3軸の加速度のいずれも第1の閾値よりも小さい第2の閾値未満である場合に、ユーザの体動なしと判定する。また、3軸の加速度のいずれも第1の閾値未満だが、3軸の加速度のいずれかでも第2の閾値以上となった場合に、ユーザの体動「小」と判定する。つまり、体動判定部302bは、ユーザの体動の大きさを判定する。
第1の閾値については、光電式脈波センサ3031及びインピーダンス式脈波センサ3032のいずれを用いた場合でも計測誤差が許容される範囲を超えると推定される程度の値とすればよい。第2の閾値については、光電式脈波センサ3031を用いた場合には計測誤差が許容される範囲内におさまると推定されるが、インピーダンス式脈波センサ3032を用いた場合には計測誤差が許容される範囲を超えると推定される程度の値とすればよい。
切替部310bは、加速度センサ301での計測結果に応じて、心拍計測部304bでの計測実施有無を切り替える点を除けば、実施形態1の切替部310と同様である。切替部310は、デフォルトでは、消費電力の小さいインピーダンス式脈波センサ3032を作動させる。インピーダンス式脈波センサ3032で心拍数を計測する場合であって、加速度センサ301で計測した加速度をもとに体動判定部302bで体動「なし」と判定した場合には、第2心拍計測部3042で計測した心拍数を後の処理に使用する。一方、インピーダンス式脈波センサ3032で心拍数を計測する場合であって、体動判定部302bで体動「大」または「小」と判定した場合は、第2心拍計測部3042で計測した心拍数を後の処理に使用しない。体動「大」または「小」と判定した場合には、体動「小」と判定される状態が継続された場合においても心拍数を定期計測できるように、切替部310bが、インピーダンス式脈波センサ3032の代わりに光電式脈波センサ3031を作動させる。そして、体動判定部302bで体動「小」と判定した場合には、第1心拍計測部3041で計測した心拍数を後の処理に使用する。そして、体動「なし」となるまで光電式脈波センサ3031を用いる。なお、体動「大」と判定した場合には、計測精度が低下するのを防ぐため、第1心拍計測部3041で計測した心拍数を後の処理に使用しないようにすればよい。
変形例14の構成によれば、デフォルトでは消費電力の小さいインピーダンス式脈波センサ3032を用いた心拍数の計測を行うことで消費電力量を抑える。一方、インピーダンス式脈波センサ3032では計測誤差が大きくなるような体動が判定された場合に限り、体動による計測誤差への影響が小さい光電式脈波センサ3031を用いて心拍数を計測する。このように、計測法がそれぞれ異なる脈波センサを使い分けることで、心拍数の計測精度を確保することと、ウェアラブルデバイス3bにおける消費電力量を抑えることとを両立することが可能になる。
(変形例15)
また、脈波センサとして光電式脈波センサを用いるとともに、光電式脈波センサから照射する光の色を切り替えて、それぞれ異なる生体情報を計測する構成としてもよい。以下では、光電式脈波センサから照射する光の色を切り替えて心拍数、血圧、呼吸数、及び血中酸素濃度を計測する構成(以下、変形例15)について、図12及び図13を用いて説明を行う。
変形例15のHCU20は、実施形態1のHCU20と同様である。なお、変形例15に変形例6の構成を採用する場合には、変形例14のHCU20は、変形例6のHCU20aと同様になる。また、変形例15のウェアラブルデバイス3cは、計測関連部30の代わりに計測関連部30cを備える点を除けば実施形態1のウェアラブルデバイス3と同様である。このウェアラブルデバイス3cも請求項の生体情報計測装置に相当する。
ここで、図12を用いて、変形例15のウェアラブルデバイス3cについての説明を行う。ウェアラブルデバイス3cの計測関連部30cは、図12に示すように、加速度センサ301、体動判定部302、脈波センサ303c、心拍計測部304、血圧計測部305、異常判定部306c、蓄積部307、状態推定部308c、連携関連部309、切替部310c、呼吸計測部311、及び血中酸素計測部312を備えている。計測関連部30cは、脈波センサ303、異常判定部306、状態推定部308、及び切替部310の代わりに脈波センサ303c、異常判定部306c、状態推定部308c、及び切替部310cを備える点と、呼吸計測部311及び血中酸素計測部312を備える点とを除けば、実施形態1の計測関連部30と同様である。
脈波センサ303cは、光電式脈波センサであって、複数色のLEDを有しているものとする。また、脈波センサ303cは、切替部310cの指示に従い、複数色の光を切り替えて照射できるものとする。一例としては、脈波センサ303cは、緑色LEDによって緑色光を照射し、赤色LEDによって赤色光を照射し、赤外線LEDによって赤外光を照射する場合を例に挙げて説明を行う。また、一例として、脈波センサ303cは、サンプリングレートを、例えば1Hzと20Hzと200Hzとに切り替えることができるものとする。
呼吸計測部311は、脈波センサ303cで逐次検出される容積脈波の信号を高速フーリエ変換し、0〜0.8Hz区間でスペクトル最大となる周波数を呼吸周波数として呼吸数に換算することで、ユーザの呼吸数を計測する。計測結果は異常判定部306へ出力する。この呼吸計測部311も請求項の計測部に相当する。
血中酸素計測部312は、脈波センサ303cで赤色LED及び赤外線LEDから赤色光及び赤外光を照射した場合に受光する反射光の赤色光と赤外光との比率から、ユーザの血中酸素濃度を計測する。この計測では、酸素と結びついたヘモグロビン(HbO2)と酸素を離したヘモグロビン(Hb)とで、赤外光の吸収率に大きな差がない一方、赤色光の吸収率に大きな差があることを利用している。血中酸素計測部312は、計測結果を異常判定部306へ出力する。この血中酸素計測部312も請求項の計測部に相当する。
異常判定部306cは、呼吸計測部311で計測した呼吸数に異常ありか否か、及び血中酸素計測部312で計測した血中酸素濃度に異常ありか否かを判定する点を除けば、実施形態1の異常判定部306と同様である。異常判定部306cでも実施形態1の異常判定部306と同様に、計測結果の値が上限値を越えたり、下限値を下回ったりした場合に異常ありと判定する構成とすればよい。
状態推定部308cは、心拍計測部304、血圧計測部305、呼吸計測部311、及び血中酸素計測部312での計測結果から、ユーザ状態を推定する。この状態推定部308cも請求項のユーザ側推定部に相当する。一例として、心拍数、血圧、呼吸数、及び血中酸素濃度とユーザ状態とを予め対応付けた対応関係をもとに、ユーザ状態を推定する構成とすればよい。他にも、心拍数、血圧、呼吸数、及び血中酸素濃度のうちの所定数異常の生体情報に異常ありの場合に体調異常状態を推定する等してもよい。
切替部310cは、脈波センサ303cでの照射光の色を切り替える点を除けば、実施形態1の切替部310と同様である。切替部310cは、例えば心拍計測部304での心拍数の計測を実施させる場合には、緑色LEDを発光させ、脈波センサ303cでのサンプリングレートを20Hzとする。例えば血圧計測部305での血圧の計測を実施させる場合には、緑色LEDを発光させ、脈波センサ303cでのサンプリングレートを200Hzとする。例えば呼吸計測部311での呼吸数の計測を実施させる場合には、緑色LEDを発光させ、脈波センサ303cでのサンプリングレートを1Hzとする。例えば血中酸素計測部312での血中酸素濃度の計測を実施させる場合には、赤色LED及び赤外線LEDを発光させ、脈波センサ303cでのサンプリングレートを1Hzとする。
続いて、図13のフローチャートを用いて、変形例15のウェアラブルデバイス3cでの非乗車時計測関連処理の流れの一例について説明を行う。図13のフローチャートは、例えば図5のフローチャートと同様の条件に従って開始する構成とすればよい。
まず、ステップS101の処理は、前述したS1の処理と同様である。S102では、切替部310cが、脈波センサ303cをサンプリングレート20Hzで作動させる。また、切替部310cは、脈波センサ303cの緑色LEDを発光させる。
ステップS103〜ステップS107の処理は、S3〜S7の処理と同様である。S103では、体動判定部302が体動なしと判定した場合(S103でYES)には、S104に移る。一方、体動ありと判定した場合(S103でNO)には、ステップS122に移る。S105では、異常判定部306cが、心拍計測部304で計測した心拍数に異常ありと判定した場合(S105でYES)には、ステップS107に移る。一方、異常なしと判定した場合(S105でNO)には、ステップS106に移る。S106では、非乗車時計測関連処理の終了タイミングであった場合(S106でYES)には、非乗車時計測関連処理を終了する。一方、非乗車時計測関連処理の終了タイミングでなかった場合(S106でNO)には、S102に戻って処理を繰り返す。
ステップS108では、切替部310cが、脈波センサ303cをサンプリングレート1Hzで作動させる。また、切替部310cは、脈波センサ303cの緑色LEDを発光させる。ステップS109では、切替部310cが呼吸計測部311での計測を実施させ、呼吸計測部311が、脈波センサ303で逐次検出される容積脈波をもとにユーザの呼吸数を計測する。
ステップS110では、異常判定部306cが、呼吸計測部311で計測した呼吸数に異常ありと判定した場合(S110でYES)には、ステップS111に移る。一方、異常なしと判定した場合(S110でNO)には、ステップS112に移る。ステップS111では、異常判定部306cが、S110で異常ありと判定した際の呼吸数(つまり、異常計測値)を蓄積部307に蓄積する。
ステップS112では、切替部310cが、脈波センサ303cをサンプリングレート1Hzで作動させる。また、切替部310cは、脈波センサ303cの赤色LED及び赤外線LEDを発光させる。ステップS113では、切替部310cが血中酸素計測部312での計測を実施させ、血中酸素計測部312が、脈波センサ303で逐次検出される反射光の赤色光と赤外光との比率からユーザの血中酸素濃度を計測する。
ステップS114では、異常判定部306cが、血中酸素計測部312で計測した血中酸素濃度に異常あり(つまり、酸素吸入量異常あり)と判定した場合(S114でYES)には、ステップS115に移る。一方、異常なしと判定した場合(S114でNO)には、ステップS122に移る。ステップS115では、異常判定部306cが、S114で異常ありと判定した際の血中酸素濃度(つまり、異常計測値)を蓄積部307に蓄積する。
ステップS116では、切替部310cが、脈波センサ303cをサンプリングレート200Hzで作動させる。また、切替部310cは、脈波センサ303cの緑色LEDを発光させる。ステップS117〜ステップS119の処理は、S9〜S11の処理と同様である。S118では、異常判定部306cが、血圧計測部305で計測した血圧に異常ありと判定した場合(S118でYES)には、ステップS119に移る。一方、異常なしと判定した場合(S118でNO)には、ステップS122に移る。
ステップS120では、状態推定部308cが、心拍計測部304、血圧計測部305、及び呼吸計測部311での計測結果、若しくは心拍計測部304、血圧計測部305、呼吸計測部311、及び血中酸素計測部312での計測結果から、ユーザ状態を推定する。
ステップS121では、提示部34が、状態推定部308cで推定したユーザ状態に応じた提示を行う。なお、非乗車時計測関連処理においては、操作入力部32で受け付けた操作入力に応じて、心拍計測部304、血圧計測部305、呼吸計測部311、血中酸素計測部312での計測結果を提示する構成としてもよい。また、異常判定部306cで異常ありと判定されるごとに、心拍計測部304、血圧計測部305、呼吸計測部311、血中酸素計測部312での異常計測値を提示する構成としてもよい。
ステップS122では、非乗車時計測関連処理の終了タイミングであった場合(S122でYES)には、非乗車時計測関連処理を終了する。一方、非乗車時計測関連処理の終了タイミングでなかった場合(S122でNO)には、S103に戻って処理を繰り返す。
なお、図13のフローチャートで示したタイミングに限らず、切替部310cは、操作入力部32で受け付けた操作入力に応じて、血圧計測部305、呼吸計測部311、血中酸素計測部312での計測実施有無を切り替える構成としてもよい。
変形例15のウェアラブルデバイス3cでの乗車時計測関連処理については、例えば実施形態1の図5のフローチャートに対する図13のフローチャートに示す変更と同様の変更を、実施形態1の図6のフローチャートに行ったものと同様の処理とすればよい。
変形例15の構成によれば、脈波センサ303cで発光させるLEDの色を切替部310cで切り替えることにより、計測に適した光の色が異なる生体情報であっても単一の脈波センサ303cを用いて計測することが可能になる。例えば、赤色光及び赤外光が必要な血中酸素濃度の計測と、緑色光が好ましい心拍数、血圧、呼吸数の計測とを単一の脈波センサ303cを用いて行うことが可能になる。
(変形例16)
また、光電式脈波センサから照射する光の色を切り替えて心拍数、血圧、呼吸数、及び血中酸素濃度を計測し、ユーザの睡眠時無呼吸症候群の危険度を推定する構成(以下、変形例16)について、図14を用いて説明を行う。
ここで、変形例16のウェアラブルデバイス3cについての説明を行う。変形例16のウェアラブルデバイス3cは、状態推定部308cがユーザの睡眠状態を推定したり、睡眠時無呼吸症候群の危険度を推定したりする点を除けば、図12に示した変形例15のウェアラブルデバイス3cと同様である。
続いて、図14のフローチャートを用いて、変形例16のウェアラブルデバイス3cでの睡眠時無呼吸症候群の診断に関連する処理(以下、睡眠時無呼吸症候群関連処理)の流れの一例について説明を行う。睡眠時無呼吸症候群関連処理は、前述の非乗車時計測関連処理の代わりに実施される構成としてもよいし、操作入力部32へのユーザからの操作入力によって前述の非乗車時計測関連処理との間で選択されて実施される構成としてもよい。
図14のフローチャートは、前述の非乗車時計測関連処理の代わりに実施される構成とした場合には、例えば図5のフローチャートと同様の条件に従って開始する構成とすればよい。一方、操作入力部32へのユーザからの操作入力によって前述の非乗車時計測関連処理との間で選択されて実施される構成とした場合には、睡眠時無呼吸症候群関連処理の実施が選択されている場合であって、且つ、ウェアラブルデバイス3cが車室内に位置していることを連携関連部309で検出しなかった場合に開始する構成とすればよい。
まず、ステップS131〜ステップS133の処理は、前述したS101〜S103の処理と同様である。ステップS134では、状態推定部308cがユーザの睡眠状態を推定する。一例としては、ユーザに生じる加速度及び心拍数と覚醒状態とを対応付けた対応関係をもとに、加速度センサ301で計測した加速度と、S133で計測した心拍数とから、例えば「覚醒」、「眠気開始」、「睡眠」といった覚醒状態を推定する。
ステップS135では、S134で推定した覚醒状態が睡眠状態であった場合(S135でYES)には、ステップS137に移る。一方、睡眠状態でなかった場合(S135でNO)には、ステップS136に移る。S136では、睡眠時無呼吸症候群関連処理の終了タイミングであった場合(S136でYES)には、睡眠時無呼吸症候群関連処理を終了する。一方、睡眠時無呼吸症候群関連処理の終了タイミングでなかった場合(S136でNO)には、S132に戻って処理を繰り返す。睡眠時無呼吸症候群関連処理の終了タイミングの一例としては、ウェアラブルデバイス3cの電源がオフされたこと、ウェアラブルデバイス3cが車室内に位置していることを連携関連部309で検出したこと等がある。
ステップS137〜ステップS139の処理は、前述したS108〜S110の処理と同様である。S110では、異常判定部306cが、呼吸計測部311で計測した呼吸数に異常ありと判定した場合(S139でYES)には、ステップS140に移る。一方、異常なしと判定した場合(S139でNO)には、ステップS136に移る。S142では、呼吸数が下限値を下回った場合に異常ありと判定する構成とすればよい。
ステップS140〜ステップS142の処理は、前述したS112〜S114の処理と同様である。S142では、異常判定部306cが、血中酸素計測部312で計測した血中酸素濃度に異常ありと判定した場合(S142でYES)には、ステップS143に移る。一方、異常なしと判定した場合(S142でNO)には、ステップS149に移る。ステップS143では、異常判定部306cが、S142で異常ありと判定した際の血中酸素濃度(つまり、異常計測値)を蓄積部307に蓄積する。S143では、異常判定部306cが、S139で異常ありと判定した際の呼吸数も異常計測値として蓄積部307に蓄積する構成としてもよい。
ステップS144〜ステップS145の処理は、前述したS116〜S117の処理と同様である。ステップS146では、状態推定部308cが、心拍数、呼吸数、及び血中酸素濃度に異常があったことと、S145での血圧計測部305での計測結果とをもとに、ユーザの睡眠時無呼吸症候群の危険度を推定する。睡眠時無呼吸症候群と高血圧とは高い確率で合併することが知られている。よって、血圧の値が大きくなるのに応じて危険度を高く推定する構成とすればよい。
ステップS147では、S146で推定した危険度が閾値以上であった場合(S147でYES)に、睡眠時無呼吸症候群の危険ありと推定する。一方、閾値未満であった場合(S147でNO)には、睡眠時無呼吸症候群の危険なしと推定する。ここで言うところの閾値は、睡眠時無呼吸症候群である可能性が高いと推定される程度の値とすればよい。
ステップS148では、提示部34が、睡眠時無呼吸症候群の危険があることを示す情報提示を行う。なお、この情報提示は、操作入力部32で受け付けた操作入力に応じて行う構成としてもよい。
ステップS149では、睡眠時無呼吸症候群関連処理の終了タイミングであった場合(S149でYES)には、睡眠時無呼吸症候群関連処理を終了する。一方、睡眠時無呼吸症候群関連処理の終了タイミングでなかった場合(S149でNO)には、S133に戻って処理を繰り返す。変形例16の構成によれば、睡眠時無呼吸症候群の診断を行うことが可能になる。
(実施形態2)
実施形態1では、消費電力の小さい生体情報をもとに消費電力の大きい生体情報の計測実施有無を切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、同一の生体情報の計測について、計測された生体情報の異常有無に応じてその生体情報の計測間隔を切り替える構成(以下、実施形態2)としてもよい。
実施形態2のHCU20は、実施形態1のHCU20と同様である。なお、実施形態2に変形例6の構成を採用する場合には、実施形態2のHCU20は、変形例6のHCU20aと同様になる。また、実施形態2のウェアラブルデバイス3dは、計測関連部30の代わりに計測関連部30dを備える点、心拍数及び血圧のデフォルトでの定期計測間隔が定められている点、及び非乗車時計測関連処理及と乗車時計測関連処理との一部の処理が異なる点を除けば実施形態1のウェアラブルデバイス3と同様である。このウェアラブルデバイス3dも請求項の生体情報計測装置に相当する。
ここで、図15を用いて、実施形態2のウェアラブルデバイス3dについての説明を行う。ウェアラブルデバイス3dの計測関連部30dは、図15に示すように、加速度センサ301、体動判定部302、脈波センサ303、心拍計測部304、血圧計測部305、異常判定部306、蓄積部307、状態推定部308、連携関連部309、及び切替部310dを備えている。計測関連部30dは、切替部310の代わりに切替部310dを備える点とを除けば、実施形態1の計測関連部30と同様である。
続いて、図16のフローチャートを用いて、実施形態2のウェアラブルデバイス3dでの非乗車時計測関連処理の流れの一例について説明を行う。図16のフローチャートは、例えば図5のフローチャートと同様の条件に従って開始する構成とすればよい。
まず、ステップS161では、切替部310dが脈波センサ303を低周期で作動させる。例えば、サンプリングレート20Hzで作動させる。ステップS162では、切替部310dが加速度センサ301を起動させる。
ステップS163の処理は、前述のS3の処理と同様である。S163では、体動判定部302がユーザの体動なしと判定した場合(S163でYES)には、ステップS164に移る。一方、体動ありと判定した場合(S163でNO)には、ステップS179に移る。
ステップS164の処理は、前述のS84の処理と同様である。S164では、心拍数の定期計測タイミングであった場合(S164でYES)に、ステップS165に移る。一方、心拍数の定期計測タイミングでなかった場合(S164でNO)には、ステップS179に移る。デフォルトの心拍数の定期計測間隔は、例えば5分間隔とする。
ステップS165〜ステップS166の処理は、前述のS4〜S5の処理と同様である。S166では、異常判定部306が、心拍計測部304で計測した心拍数に異常ありと判定した場合(S166でYES)には、ステップS167に移り、異常ありと判定した際の心拍数(つまり、異常計測値)を蓄積部307に蓄積する。一方、異常なしと判定した場合(S166でNO)には、ステップS170に移る。
S167に続くステップS168では、切替部310dが心拍計測部304での心拍数の定期計測間隔を短く切り替える。一例として、5分間隔であったものを1秒間隔に切り替える構成とすればよい。ステップS169では、切替部310dが血圧計測部305での血圧の定期計測間隔を短く切り替える。一例として、10分間隔であったものを10秒間隔に切り替える構成とすればよい。そして、ステップS174に移る。
また、S166で心拍数に異常なしと判定した場合に行われるステップS170では、心拍数の定期計測間隔をデフォルトよりも短く切り替えていた場合には、心拍数の定期計測間隔をデフォルトに戻す。つまり、本実施形態の例では、5分間隔に戻す。
ステップS171の処理は、前述のS87の処理と同様である。S171では、血圧の定期計測タイミングであった場合(S171でYES)には、ステップS172に移る。一方、血圧の定期計測タイミングでなかった場合(S171でNO)には、ステップS162に戻って処理を繰り返す。デフォルトの血圧の定期計測間隔は、例えば10分間隔とする。なお、心拍数に異常ありと判定した場合には、血圧の定期計測タイミングでなかった場合でも直ちに血圧の計測を実施させる構成としてもよい。
ステップS172〜ステップS174の処理は、前述のS8〜S10の処理と同様である。S174では、異常判定部306が、血圧計測部305で計測した心拍数に異常ありと判定した場合(S174でYES)には、ステップS176に移り、異常ありと判定した際の心拍数(つまり、異常計測値)を蓄積部307に蓄積する。一方、異常なしと判定した場合(S174でNO)には、ステップS175に移る。
ステップS170では、血圧の定期計測間隔をデフォルトよりも短く切り替えていた場合には、血圧の定期計測間隔をデフォルトに戻す。つまり、本実施形態の例では、10分間隔に戻す。そして、ステップS179に移る。
ステップS176〜ステップS179の処理は、前述のS11〜S14の処理と同様である。S179では、非乗車時計測関連処理の終了タイミングであった場合(S179でYES)には、非乗車時計測関連処理を終了する。一方、非乗車時計測関連処理の終了タイミングでなかった場合(S179でNO)には、S163に戻って処理を繰り返す。なお、図16のフローチャートで示したタイミングに限らず、切替部310dは、操作入力部32で受け付けた操作入力に応じて、心拍計測部304及び血圧計測部305での計測を実施するように切り替える構成としてもよい。
実施形態2のウェアラブルデバイス3dでの乗車時計測関連処理については、例えば実施形態1の図5のフローチャートに対する図15のフローチャートに示す変更と同様の変更を、実施形態1の図6のフローチャートに行ったものと同様の処理とすればよい。
実施形態2の構成によれば、ウェアラブルデバイス3dにおいて、心拍計測部304での心拍数の計測結果が異常を示した場合に、心拍計測部304での心拍数の計測間隔を短く切り替える。また、血圧計測部305での血圧の計測間隔をデフォルトよりも短縮した場合であっても、血圧計測部305での血圧の計測結果が異常を示していない場合には、短縮した計測間隔をデフォルトに戻す。よって、心拍数、血圧といった生体情報の計測間隔を短く切り替えない構成に比べて、計測を実施する頻度を減らす分だけ、ウェアラブルデバイス3dにおいて消費電力量を抑えることが可能になる。また、計測間隔を短く切替えるのは、心拍数、血圧といった生体情報に異常がある場合であるので、生体情報を計測する必要性の高いタイミングに絞って生体情報を計測しつつ、消費電力量を抑えることが可能になる。
なお、実施形態2の構成についても、変形例1〜2、4〜11、14〜16に示したのと同様な変形例を採用することができる。また、実施形態2では、一例として心拍数及び血圧の計測間隔を短く切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らず、心拍数及び血圧以外の生体情報の計測にも適用できる。
(実施形態3)
また、実施形態1では、HCU20がウェアラブルデバイス3での生体情報の計測実施を指示する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、HCU20がウェアラブルデバイス3での生体情報の計測中止を指示する構成(以下、実施形態3)としてもよい。
まず、実施形態3の車両側ユニット2についての説明を行う。実施形態3の車両側ユニット2は、HCU20の代わりにHCU20eを備える点を除けば、実施形態1の車両側ユニット2と同様である。
ここで、図17を用いて、実施形態3のHCU20eについての説明を行う。HCU20eは、図17に示すように、ドライバ状態推定部201、提示制御部202、連携状況検出部203、要求送信部204e、及び適否判定部205を備えている。HCU20eは、要求送信部204の代わりに要求送信部204eを備える点、及び適否判定部205を備える点を除けば、実施形態1のHCU20と同様である。
適否判定部205は、例えば舵角センサ、車速センサ、加速度センサ等の各センサから出力される検出信号といった、車両の挙動に関する車両情報をもとに、ウェアラブルデバイス3eで生体情報を計測するのに適しているタイミングであるか否かを判定する。例えば適否判定部205は、車両情報をもとに、ドライバが緊張を強いられると推定される状況を、生体情報を計測するのに適していないタイミングと判定する。一方、ドライバが緊張を強いられないと推定される状況を、生体情報を計測するのに適したタイミングと判定する。
ドライバが緊張を強いられると推定される状況とは、例えば体調異常でないにも関わらず、緊張によって心拍数、血圧等が上昇するような状況である。一例としては、舵角センサで検出される操舵角が閾値以上となる急カーブの走行等がある。
なお、車両HVの周辺の障害物及び走行区画線等を検出する周辺監視センサでの検出結果、ロケータによって特定される車両HVの走行位置の情報等から、生体情報を計測するのに適したタイミングであるか否かを判定する構成としてもよい。例えば、周辺監視センサでの検出結果、走行位置の情報等から、高速道路の料金ゲートの通過、高速道路本線への合流等を、生体情報を計測するのに適していないタイミングと判定する等すればよい。この車両の挙動に関する車両情報、周辺監視センサでの検出結果、走行位置の情報等が請求項の走行状況に関する情報に相当する。
要求送信部204eは、ウェアラブルデバイス3eでの生体情報の計測を中止することを要求する中止要求を送信する点と、適否判定部205での判定結果に応じて開始要求及び中止要求を送信する点とを除けば、実施形態1の要求送信部204と同様である。一例として、要求送信部204eは、適否判定部205で生体情報を計測するのに適していないタイミングと判定した場合に、中止要求を送信して、生体情報計測装置での計測を中止させる。一方、適否判定部205で生体情報を計測するのに適しているタイミングと判定した場合に、開始要求を送信して、ウェアラブルデバイス3eでの計測を開始させる。
要求送信部204eは、生体情報別に計測を中止させる対象を指定して計測を中止させる構成としてもよい。例えば、加速度センサ301で計測する加速度、心拍計測部304で計測する心拍数、血圧計測部305で計測する血圧のうちの血圧の計測を指定した中止要求を送信して、血圧の計測のみを中止させる等してもよい。また、中止要求によってウェアラブルデバイス3eでの全ての生体情報の計測を中止させる構成としてもよい。開始要求についても同様である。
続いて、実施形態3のウェアラブルデバイス3eは、計測関連部30の代わりに計測関連部30eを備える点を除けば実施形態1のウェアラブルデバイス3と同様である。このウェアラブルデバイス3eも請求項の生体情報計測装置に相当する。
ここで、図18を用いて、実施形態3のウェアラブルデバイス3eについての説明を行う。ウェアラブルデバイス3eの計測関連部30eは、図18に示すように、加速度センサ301、体動判定部302、脈波センサ303、心拍計測部304、血圧計測部305、異常判定部306、蓄積部307、状態推定部308、連携関連部309、及び切替部310eを備えている。計測関連部30eは、切替部310の代わりに切替部310eを備える点を除けば、実施形態1の計測関連部30と同様である。
切替部310eは、連携関連部309での検出結果に応じた、加速度センサ301、心拍計測部304、及び血圧計測部305での計測実施有無の切り替えが一部異なる点を除けば、実施形態1の切替部310と同様である。
切替部310eは、連携関連部309でウェアラブルデバイス3eが車両HVの車室内に位置していることを検出している状況において、以下の処理を行う。詳しくは、開始要求を通信部33で受信した場合に、ユーザの生体情報の計測を開始し、中止要求を通信部33で受信した場合に、ユーザの生体情報の計測を中止する。これにより、HCU20eから開始要求及び中止要求によって指示される期間に絞って、ユーザの生体情報の計測を実施する。
実施形態3の構成によれば、ウェアラブルデバイス3eが車両HVの車室内に位置していることを検出している状況においては、生体情報を計測するのに適していないタイミングでの生体情報の計測が中止要求によって中止される。よって、生体情報を計測するのに適していないタイミングでの生体情報の計測を中止し、ユーザ状態の誤推定を防止することが可能になる。加えて、生体情報の計測を実施する頻度を減らすことで、ウェアラブルデバイス3eにおける消費電力量を抑えることも可能になる。
なお、実施形態3の構成についても、変形例1〜10、12〜16に示したのと同様な変形例を採用することができる。
(変形例17)
前述の実施形態1〜3では、操作入力部32で受け付けた操作入力に応じて、生体情報の計測実施有無を切り替えることができる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、操作入力部32で受け付けた操作入力に応じた生体情報の計測実施有無の切り替えを行わない構成としてもよい。
(変形例18)
また、生体情報の計測結果をウェアラブルデバイス3,3b,3c,3d,3e又はHCU20,20a,20eからサーバに送信し、サーバ側で計測結果をもとにユーザ状態を推定することで、ウェアラブルデバイス3,3b,3c,3d,3eでの消費電力量を抑える構成としてもよい。
(変形例19)
前述の実施形態1〜3、及び変形例14では、体動判定部302,302bが加速度センサ301で計測した加速度をもとに、ユーザの体動を判定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、加速度センサ301で計測した加速度だけでなく、車両HVに生じる加速度を用いてユーザの体動を判定する構成としてもよい。
加速度センサ301で計測される加速度には、車両HVの走行に伴う影響、すなわち車両HVの加速度が影響していることが考えられる。それ故、加速度センサ301で計測した加速度だけで体動を判定をすると、車両HVに生じる加速度の影響により、ユーザの体動の誤判定が生じる可能性がある。そこで、加速度センサ301で計測した加速度だけでなく、車両HVに生じる加速度をも考慮したうえでユーザの体動の判定を行うことが好ましい。一例としては、加速度センサ301で計測した加速度から、車両HVに生じる加速度を差し引いた上で、ユーザの体動を判定することで、車両HVに生じる加速度の影響を除外してユーザの体動を判定する等すればよい。これによれば、ユーザの体動をより精度良く判定することが可能になる。
この場合、車両HVに生じる加速度は、体動判定部302,302bが、車両HVの加速度センサから出力された検出信号から決定する構成としてもよいし、車両HVの車速センサから出力された検出信号から決定する車速を微分することで決定する構成としてもよい。この加速度センサから出力された検出信号、車速センサから出力された検出信号が、請求項の加速度決定用情報に相当する。また、これらの検出信号は、HCU20,20a,20eから近距離通信機21を介して送信されたものを、体動判定部302,302bが、通信部33を介して取得する構成とすればよい。
なお、本発明は、上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態及び変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。