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JP4973551B2 - 運転者状態判定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、運転中の運転者の生体状態を判定する運転者状態判定装置に関する。
従来より、特別な時間を割くことなく体調管理を行うために、例えば被測定者の指から脈波や心電位をそれぞれ検出する脈波センサや心電センサ等(以下、生体センサと総称する)が車両のステアリングに設置された体調管理装置が知られている。なお、この体調管理装置では、被測定者が運転中にステアリングを握ることによって得られる生体センサからの検出信号(脈波,心電位等)や、その検出信号から算出される脈拍数または心拍数等(以下、生体情報と総称する)を記録している。ちなみに、生体情報は、脈拍数や心拍数の他に、自律神経活動量や血圧、脈波伝播速度等であってもよい。
この体調管理装置の一例として、走行環境や車両挙動を検出する他の車載装置から取得する各種情報を、生体情報の測定環境として記憶しておき、運転中に得られた生体情報を、同じ測定環境下で過去に記憶した生体情報(以下、判定基準値という)と比較することによって、運転者の体調を判定する体調判定装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
なお、この体調判定装置では、運転者の体調に異常があると判定した場合、警告画面の表示や音声メッセージによって運転者に車両の停止を促したり、車両を停止させるよう自動的にブレーキを作動させて車両を徐々に減速させたりする安全確保制御を行っている。
特開2007−290504号公報
ところで、単なる体調異常の場合だけでなく、運転中の運転者が、眠気を帯びた状態(以下、眠気状態という)、又は、興奮しすぎる状態(以下、興奮状態という)にある場合にも、上記の安全確保制御を行うことができれば、そのような状態の運転者の身を守ることができると共に、運転者が運転していた車両が更なる重大な事故を引き起こしてしまうことを防止することができる。
一方、従来の体調判定装置では、過去と同じ測定環境下においても、運転前の体調や運転中の時間経過などに起因する運転者の疲労度合(例えば、サーカディアンリズムの変化による影響)に応じて生じる生体情報の変化にも対応させるために、判定基準値を含む正常範囲(体調が正常であるとみなせる範囲)を同じ測定環境下ごとに広めに設定しておかなければならなかった。
このため、従来の体調判定装置によって、眠気状態や興奮状態を含む運転者の体調(以下、生体状態という)の判定(以下、運転者状態判定という)を行おうとすると、正常範囲内での急激な脈拍(心拍)数の変化や、車両挙動の変化に応じた脈拍(心拍)数の微妙な変化を看過してしまい、適切な運転者状態判定を行うことができない可能性があるという問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するために、運転中の運転者の生体状態の変化に応じて精度よく運転者状態判定を行うことが可能な運転者状態判定装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の運転者状態判定装置は、検出手段が、車両の運転者から生体信号を検出し、挙動取得手段が、車両が走行または停止のいずれの状態であるかを示す挙動情報を取得する。なお、検出手段は、車両の構成要素(例えば、ステアリングや、シート等)に設けられるものでもよいし、車両の外でも使用可能な携帯型のもの、或いは、運転者に非接触な状態で計測するための車内カメラ等を利用してもよい。
そして、算出手段が、検出手段により検出した生体信号に基づく生体情報と、挙動取得手段により取得した挙動情報とに基づいて、車両の走行時に対応する生体情報(以下、走行時生体情報という)と、車両の停止時に対応する生体情報(以下、停止時生体情報という)とを設定し、この走行時生体情報と停止時生体情報との変化の度合を表す生体変化値を算出する。
最後に、判定手段が、算出手段により算出した生体変化値に基づいて、運転者の生体状態を判定する。なお、生体状態とは、眠気状態や興奮状態を含む運転者の体調のことをいう。
したがって、本発明の運転者状態判定装置によれば、運転状態(走行,停止)における生体情報の変化の度合(生体変化値)を判定対象とするため、個々の生体情報が正常範囲内の値であっても、正常範囲内での急激な生体情報の変化を捉えて、精度よく運転者の生体状態(以下、運転者状態という)の判定を行うことができる
ここで、本発明の運転者状態判定装置において、算出手段は、車両が停止してから運転者が落ち着くために予め確保された規定時間経過時に、検出手段により検出された生体信号に基づく生体情報を、停止時生体情報として設定する。
したがって、本発明の運転者状態判定装置によれば、車両の停止直後のものに比べてより安定した生体情報を、停止時生体情報として設定することができ、例えば車両の停止時における運転者状態の誤判定を防止することができる。
なお、生体信号は、請求項2に記載のように、心拍数または脈拍数を表す心電位または脈波であってもよいし、血圧値や皮膚温度であってもよい。また、生体変化値は、請求項3に記載のように、走行時生体情報と停止時生体情報との差であればよい。
ところで、運転中の運転者状態が正常であれば、車両の走行中では停止中に比べて緊張するため運転者の脈拍(心拍)数等が高くなり、車両の停止中では走行中に比べてリラックスするため運転者の脈拍(心拍)数等が低くなることが知られている。
このため、判定手段は、請求項4に記載のように、生体変化値が予め規定された第1の判定閾値以下である場合、運転者の生体状態が異常であると判定することが望ましい。なお、ここで用いる第1の判定閾値は、走行時生体情報と停止時生体情報とが同じ値であるとみなすことが可能な値であればよい。
このように構成された運転者状態判定装置によれば、運転者状態の異常のうち、眠気状態(過度なリラックス状態)または興奮状態(過度な緊張状態)を確実に捉えることができる。
或いは、運転者状態判定装置は、請求項5に記載のように、記憶手段が生体変化値を記憶し、判定手段が、記憶手段により記憶した生体変化値を判定基準値として設定し、生体変化値と判定基準値との変化の度合が予め設定された第2の判定閾値を超える場合、運転者の生体状態が異常であると判定してもよい。なお、ここで用いる第2の判定閾値は、生体変化値と判定基準値とが大きく異なるとみなすことが可能な値であればよい。
このように構成された運転者状態判定装置によれば、現在の生体変化値と過去の生体変化値とを比較することにより判定するため、生体変化値が第1の判定閾値を上回っている場合であっても、運転者の急激な脈拍(心拍)数等の変化を捉えることができ、ひいては、運転者状態の判定精度を向上させることができる。
なお、判定手段は、請求項6に記載のように、前回の判定手段による判定時に使用した生体変化値を判定基準値として設定してもよい。
この場合、運転中の運転者状態を連続的に判定するため、運転状態に応じて生じる生体情報の変化により即して、運転者状態の判定を行うことができる。
また、運転者状態判定装置は、請求項7に記載のように、環境取得手段が、車両の走行環境を表す環境情報を取得し、記憶手段が、生体変化値を、環境取得手段により取得した環境情報に対応づけて記憶する。そして、判定手段が、環境取得手段により取得した環境情報に対応づけられている生体変化値を、判定基準値として設定してもよい。
この場合、現在の生体変化値と過去の生体変化値との測定条件を揃えて比較するため、運転者状態の判定精度をより向上させることができる。
ちなみに、走行環境としては、車両が走行中の道路種別(高速道路,一般道路)や、車両の外部環境(時間帯,天候),車両の内部環境(室内温度,湿度)等が挙げられるが、請求項8に記載のように、車両の周囲に他車両が存在するか否かであることであってもよい。
この場合、運転者の緊張(ストレス)の度合いに応じて、判定基準を変更することができる。
ところで、算出手段は、請求項9に記載のように、一定時間内に検出手段により検出された生体信号から抽出された抽出生体値に基づく生体情報を、走行時生体情報および停止時生体情報として設定することが望ましい。
具体的に言うと、抽出生体値は、請求項10に記載のように、一定時間内における生体信号の最大値であってもよいし、請求項11に記載のように、一定時間内における生体信号の平均値であってもよい。
両者の場合共に、走行時生体情報および停止時生体情報の設定条件を揃えることによって、走行時生体情報と停止時生体情報との変化を表す生体変化値の測定環境をより近づけることができ、ひいては、運転者状態の判定精度をさらに向上させることができる。
また、運転者状態判定装置は、請求項12に記載のように、異常報知手段が、判定手段により運転者の生体状態が異常であると判定した場合、運転者の生体状態が異常であることを報知するようにしてもよい。
このように構成された運転者状態判定装置によれば、例えば車両が停止中に行う場合、運転者を落ち着かせてから、運転者状態が異常である旨の報知(異常報知)を行うことができる。
或いは、運転者状態判定装置は、請求項13に記載のように、車両制御手段が、判定手段により運転者の生体状態が異常であると判定した場合、挙動情報に応じた車両制御を行うことが望ましい。
具体的に言うと、車両制御手段は、警告音による報知を車両制御として行うようにしてもよいし、請求項14に記載のように、車載エアコンの温度調整、又は、車載オーディオ装置の音量調整を車両制御として行うようにしてもよい。
前者の場合、例えば眠気状態にある運転者を覚醒させることができ、後者の場合、例えば興奮状態にある運転者を落ち着かせることが可能な空間を提供することができる。
さらに、運転者状態判定装置は、請求項15に記載のように、正常報知手段が、車両制御手段による車両制御後に、判定手段により運転者の生体状態が正常であると判定した場合、運転者の生体状態が正常であることを報知することが望ましい。
この場合、運転者状態が正常に戻った旨を報知することによって、運転者に安心して運転させることができる。
なお、運転者状態判定装置は、請求項16に記載のように、座席検出手段が、運転者の座席位置を検出し、禁止手段が、座席検出手段により運転者が所定位置を外れて着座していることを検出した場合、判定手段による生体状態の判定を禁止することが望ましい。
この場合、運転者が移動することによって判定誤差が生じてしまうことを防止することができる。
以下に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
<全体構成>
図1は、本発明が適用された運転者状態判定装置の構成、及び、運転者状態判定装置が接続される車内LANの概要を示すブロック図である。
図1に示すように、運転者状態判定装置1が接続される車内LAN(Local Area Network)10には、車両の走行制御を実行する走行電子制御装置(以下、電子制御装置のことをECUという)2や、車両に搭載された空調機器(エアコン)14を制御するエアコンECU3等の各種ECUと共に、ナビゲーション装置4が接続されている。
このうち、走行ECU2は、車速センサ11、加速度センサ12、車両の外部周辺を撮像する周辺カメラ13からの検出データに基づいて、先行車との車間距離や自車両の速度を制御すると共に、車両が走行または停止のいずれの状態であるかを示す挙動情報や、車両の外部周辺に他車両が存在するか否かを示す周辺情報などを、車内LAN10を介して運転者状態判定装置1に送信するように構成されている。
エアコンECU3は、車室内の温度を最適に制御する自動温度制御を実行すると共に、車室内の温度を示す温度情報を、車内LAN10を介して運転者状態判定装置1に送信する。また、エアコンECU3は、エアコン14が、停止している状態、又は、運転者により温度/風量が設定された状態であっても、車内LAN10を介して温度調整を指示するコマンドを受信すると、自動温度制御を実行するように構成されている。
ナビゲーション装置4は、GPS装置15からの検出データ、及び、地図データ入力器16からの入力データに基づいて、車両周辺の地図表示や、設定された目的地までの経路設定、音声による案内制御などを実行すると共に、車両の現在位置における道路種別(一般道路,高速道路)を示す道路情報などを、車内LAN10を介して運転者状態判定装置1に送信するように構成されている。
なお、ナビゲーション装置4は、ナビゲーション機能と共に、CDやDVD、TV、FM/AMラジオ等の各種メディアの再生といったAV機能を実現する周知のものであり、車内LAN10を介して音量調整を指示するコマンドを受信すると、各種メディアの再生音量を低くする音量制御を実行するように構成されている。
<運転者状態判定装置の構成>
運転者状態判定装置1は、運転者の手が触れる位置に設けられて運転者の生体状態を検出するための生体センサ群21と、車体のうち車室外に設けられて車両の外部環境を検出するための外部センサ群22と、車体のうち車室内に設けられて運転者の座席位置を検出するための座席センサ群23と、車内LAN10を介して各種データを送受信するバスコントローラ24と、各センサ群21〜23及びバスコントローラ24を介して入力した各種データを記憶する不揮発性のメモリ(例えば、EEPROM)25と、画像を表示するための表示部26と、音声を出力するための音声出力部27と、各部21〜24からの入力に応じて各種処理を実行し、表示部26および音声出力部27を制御する制御部20とを備えている。
このうち、生体センサ群21は、運転者の心電位を表す心電信号を出力する心電センサ21aと、運転者の脈波を表す脈波信号を出力する脈波センサ21bとから構成される。なお、心電センサ21aは、ステアリングの周方向に沿って設置された一対の電極からなり、この一対の電極に被測定者の左右の手がそれぞれ接触することによって発生する電位差を検出し、この電位差に基づく信号を心電信号として出力する。また、脈波センサ21bは、ステアリングの表面内側の所定位置に設置された光電素子からなり、この光電素子に被測定者の指先が接触することによって生じる受光量の変化(即ち、運転者の血流量の変化)を検出し、この受光量の変化に基づく信号を脈波信号として出力する。
外部センサ群22は、車室外の照度を検出するライトセンサ22aと、車室外の雨滴を検出するレインセンサ22bとから構成され、これらのセンサの検出結果である外部情報を出力する。また、座席センサ群23は、運転座席における被測定者の着座の有無を検出するシートセンサ23aと、運転座席における被測定者を撮像するための室内カメラ23bとから構成され、これらのセンサ及びカメラの検出結果である座席情報を出力する。
表示部26は、カラー表示装置であり、周知の半透過型の液晶ディスプレイ,一般的な液晶ディスプレイ,有機ELディスプレイ,CRT,ヘッドアップディスプレイなどがあるが、そのいずれを用いてもよい。また、表示部26は、当該装置に専用のものを設けてもよいし、ナビゲーション装置4のために既に設置されているものを使用してもよい。
メモリ25には、生体センサ群21からの検出信号(心電信号,脈波信号;以下、生体信号という)が示す信号データ(以下、生体信号データという)を、予め設定された保持期間分だけ記憶するための領域(以下、生体信号領域という)が設けられている。また、メモリ25には、後述する生体情報を記憶するための領域(以下、生体情報領域という)や、後述する生体変化値を記憶するための領域(以下、生体変化領域という)等が設けられている。
制御部20は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成要素を接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROMに記憶されたプログラムに基づいて、以下で説明する運転者支援処理を実行する他に、生体センサ群21から生体信号を入力すると、生体信号データをメモリ25の生体信号領域に書き込むための処理(以下、データ書込処理という)を実行するように構成されている。
<運転者支援処理>
ここで、制御部20のCPUが実行する運転者支援処理を、図2に示すフローチャートに沿って詳細に説明する。なお、本処理は、運転者状態判定装置1に電源が投入されると起動されてその後繰り返し実行され、電源が遮断されるまでデータ書込処理と並列実行される。
まず、本処理が起動されると、S110では、運転者の眠気状態や興奮状態を含む体調(生体状態)を判定する運転者状態判定処理を実行する。
続くS120では、S110における判定結果に基づく車両制御を行うための車両制御処理を実行し、本処理を終了する。
<運転者状態判定処理>
次に、運転者支援処理のS110で実行される運転者状態判定処理を、図3に示すフローチャートに沿って詳しく説明する。
まず、本処理が開始されると、S205では、座席センサ群23から座席情報を取得し、この座席情報に基づいて、運転座席における運転者の位置が、生体信号の測定条件を揃えるよう予め設定された所定位置であるか否かを判断し、肯定判断した場合にはS210に進み、否定判断した場合には同ステップを繰り返す。なお、本実施形態では、座席センサ群23から取得した座席情報のうち、シートセンサ23aの検出結果に基づいて、運転席における運転者の着座の有無を判断すると共に、室内カメラ23bの検出結果に基づいて、運転者の位置が所定位置であるか否かを判断している。
S210では、走行ECU2から車内LAN10を介して受信した挙動情報に基づいて、車両が走行中であるか否かを判断し、肯定判断した場合にはS230に進み、否定判断した場合には、車両が停止中であるとみなし、S215に進む。
S215では、車両が停止してから運転者が落ち着くために予め確保された規定時間(例えば、3秒)が経過し、且つ、S210における挙動情報に基づいて、車両が停止した状態のままであるか否かを判断し、肯定判断した場合にはS220に進み、否定判断した場合にはS205に戻る。
S220では、運転状態を表す運転フラグを、車両が停止中であることを示す1に設定し、S225に進む。
S225では、データ書込処理によってメモリ25の生体信号領域に記憶された生体信号データのうち、S215における規定時間経過時のデータに基づいて、運転者の脈拍(心拍)数や自律神経活動量、血圧値、脈波伝播速度等を表す生体情報を算出する。
なお、脈波伝播速度は、脈波センサ21aとして、被測定者の手首に巻かれるベルト式のものや指に装着するものを用いて、その検出結果と心電センサ21aにより得られる心拍伝播速度とから求められる。また、血圧値は、脈波伝播速度や脈波信号に基づいて算出(推定)することが可能である。
そして、ここで算出した生体情報である停止時生体情報を、外部センサ群22及び車内LAN10を介して取得した各種情報(以下、環境情報という)に対応づけて、メモリ25の生体情報領域に記憶し、S240に進む。
なお、環境情報には、走行ECU2からの周辺情報や、エアコンECU3からの温度情報、ナビゲーション装置4からの道路情報、外部センサ群22からの外部情報が含まれている。また、生体情報は、心電信号または脈波信号の少なくとも一方の生体信号データ(即ち、両方の生体信号データであってもよい)に基づいて算出される。
一方、先のS210で車両が走行中であると判断した場合に進むS230では、運転フラグを、車両が走行中であることを示す0に設定し、S235に進む。
S235では、データ書込処理によってメモリ25の生体信号領域に記憶された生体信号データのうち、一定時間内における最大値に基づいて生体情報を算出して、ここで算出した生体情報である走行時生体情報を環境情報に対応づけて、メモリ25の生体情報領域に記憶し、S240に進む。
S240では、メモリ25の生体情報領域に記憶されている生体情報から、最新の走行時生体情報と停止時生体情報とを抽出し、この走行時生体情報と停止時生体情報との差を求め、その求めた結果である生体変化値を環境情報に対応づけて、メモリ25の生体変化領域に記憶し、S245に進む。
S245では、S240で記憶した生体変化値が予め規定された第1判定閾値以下であるか否かを判断し、肯定判断した場合にはS285に進み、否定判断した場合にはS250に進む。なお、第1判定閾値は、最新の走行時生体情報と停止時生体情報とが同じ値であるとみなすことが可能な値(即ち、ゼロ近傍値)をいう。
S250では、メモリ25の生体変化領域に記憶されている生体変化値に対応づけられている環境情報のうち、前回の本処理で記憶した生体変化値(以下、前回変化値という)に対応するものと、S240で記憶した生体変化値に対応するものとが一致するか否かを判断する。ここで、両者の環境情報が、一致した場合には、走行環境に変化がないものとみなしてS255に進み、一方、一致しない場合には、走行環境に変化があるものとみなしてS260に進む。
S255では、前回変化値を、運転者の生体状態を判定するための比較基準となる判定基準値に設定し、S265に進む。
一方、S260では、メモリ25の生体変化領域に記憶されている生体変化値の中から、S240で記憶した生体変化値と同一の環境情報が対応付けられているもの(以下、環境変化値という)を抽出して、この環境変化値を判定基準値に設定し、S265に進む。
S265では、S240で記憶した生体変化値が、S255又はS260で設定された判定基準値を下回るか否かを判断し、肯定判断した場合にはS285に進み、否定判断した場合にはS270に進む。
S270では、S240で記憶した生体変化値と、S255又はS260で設定された判定基準値との差が、予め設定された第2判定閾値を超えるか否かを判断し、肯定判断した場合にはS285に進み、否定判断した場合にはS275に進む。なお、第2判定閾値は、生体変化値と判定基準値とが大きく異なるとみなすことが可能な値(例えば、過去の判定基準値の平均値から1〜3割減じた値)をいう。
S275では、運転者の状態を表す状態フラグが、運転者の生体状態が正常であることを示す0に設定されているか否かを判断し、肯定判断した場合にはS205に戻り、否定判断した場合には、状態フラグが1に設定されているものとみなしてS280に進む。
S280では、状態フラグを0に設定(変更)し、本処理を終了する。
一方、先のS245又はS270で肯定判断した場合に進むS285では、状態フラグを、運転者の生体状態が異常であることを示す1に設定し、本処理を終了する。
つまり、本処理では、図4に示すように、車両の走行時には、走行時の生体情報と、車両の前回停止時の生体情報との差(以下、走行時測定差という)を、前回の本処理で記憶した走行時測定差に基づいて判定し、車両の停止時には、停止時の生体情報と、車両の前回走行時の生体情報との差(以下、停止時測定差という)を、前回の本処理で記憶した停止時測定差に基づいて判定することになる。
また、本処理では、同じ走行環境下であれば、生体変化値(走行時測定差,停止時測定差)が第1判定閾値(ゼロ近傍値)以下である場合、又は、生体変化値が判定基準値を下回り、且つ、生体変化値と判定基準値との差が第2判定閾値(判定基準値の7〜9割)を超える場合に、運転者の生体状態が異常であると判定している。
<車両制御処理>
次に、運転者支援処理のS120で実行される車両制御処理を、図5に示すフローチャートに沿って詳しく説明する。
まず、本処理が開始されると、S310では、先の運転者支援処理で設定された状態フラグが1であるか否かを判断し、肯定判断した場合には、運転者の生体状態が異常であるとみなしてS320に進み、否定判断した場合には、運転者の生体状態が異常から正常に変化したとみなしてS360に進む。
S320では、先の運転者支援処理で設定された運転フラグが0であるか否かを判断し、肯定判断した場合には、車両が走行中であるとみなしてS330に進み、否定判断した場合には、車両が停止中であるとみなしてS340に進む。
S330では、音声出力部27を介して警告音による報知を行い、S350に進む。
一方、S340では、車内LAN10を介して、温度調整を指示するコマンドをエアコンECU3に送信すると共に、音量調整を指示するコマンドをナビゲーション装置4に送信し、S350に進む。
S350では、表示部26および音声出力部27を介して、運転者の生体状態が異常であることを報知して、本処理を終了する。
一方、先のS310で運転者の生体状態が異常から正常に変化したとみなした場合に進むS360では、表示部26および音声出力部27を介して、運転者の生体状態が正常であることを報知して、本処理を終了する。なお、このステップ(S360)は、必要に応じて行わずに本処理を終了してもよい。
なお、上記実施形態において、生体センサ群21が検出手段、車速センサ11が挙動取得手段、メモリ25が記憶手段、外部センサ群22,走行ECU2,エアコンECU3,ナビゲーション装置4が環境取得手段、座席センサ群23が座席検出手段、S210〜S240が算出手段、S245〜S285が判定手段、S310〜S340が車両制御手段、S350が異常報知手段、S360が正常報知手段、S205が禁止手段に相当する。
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の運転者状態判定装置1では、運転者状態判定処理によって、運転状態(走行,停止)に応じて当然異なるべき生体情報がほぼ同じである場合、運転者の生体状態(運転者状態)が異常であると判定する。
したがって、本実施形態の運転者状態判定装置1によれば、個々の生体情報(走行時生体情報,停止時生体情報)が正常範囲内の値であっても、正常範囲内での生体情報の変化を捉えることができ、ひいては、精度よく運転者状態の判定を行うことができる。
また、運転者状態判定処理では、走行環境が似ていればあまり変わるはずのない生体変化値(走行時生体情報と停止時生体情報との差)が大きく異なる場合にも、運転者状態が異常であると判定する。このため、走行時生体情報と停止時生体情報とが異なる値である場合であっても、運転者状態の異常を捉えることができ、ひいては、運転者状態の判定精度を向上させることができる。
なお、運転者状態判定処理では、車両の走行環境(道路種別,車両外部の照度)に変化があれば、過去に記憶した生体変化値の中から、同一の環境情報が対応づけられているもの(環境測定値)を判定基準値に設定するため、測定条件を揃えて現在の生体変化値と過去の生体変化値とを比較することができ、ひいては、運転者状態の判定精度をより向上させることができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、上記実施形態の運転者状態判定処理では、走行時生体情報を算出するための生体信号データとして、一定時間内における最大値を用いているが、これに限らず、一定時間内における平均値を用いてもよいし、標準偏差により表されるトレンド値を用いてもよい。
一方、上記実施形態の運転者状態判定処理では、停止時生体情報を算出するための生体信号データとして、規定時間経過時の値を用いているが、これに限らず、車両停止後の一定時間内における値(最大値,平均値,トレンド値)を用いてもよい。
また、上記実施形態の運転者状態判定処理では、走行環境に変化がない場合の判定基準値として、前回測定値を設定しているが、これに限らず、初回に本処理で記憶した生体変化値(初回測定値)を設定してもよい。
なお、上記実施形態の運転者状態判定処理では、走行環境に変化がある場合の判定基準値である環境測定値として、生体変化値と同一の環境情報が対応付けられているものを用いているが、これに限らず、環境情報が極力近似するものを用いてもよい。
ちなみに、上記実施形態の環境情報は、周辺情報(車両の有無),温度情報,道路情報(道路種別),外部情報であるが、これに限定されるものではなく、例えば、周辺情報としての歩行者の有無や、地図情報としての郊外地/市街地の違い、ウインドガラスの曇りの有無、挙動情報としての車両挙動(加減速/定速,高速/低速)の違いなどであってもよい。
ところで、上記実施形態の運転者状態判定処理では、走行環境に変化がないときに運転者状態が異常であると判定するための条件として、生体変化値と判定基準値との差が第2判定基準値を超える場合であれば、生体変化値が判定基準値を下回ることを必須としているが、これに限定されるものではなく、生体変化値が判定基準値を上回ることを加えてもよい。
この場合、車両の走行時における運転者の過度な緊張を検出することができる。このため、車両制御処理としては、警告音による報知の代わりに、警告画面の表示や音声メッセージによって運転者に車両の停止を促したり、車両を停止させるよう自動的にブレーキを作動させて車両を徐々に減速させたりする安全確保制御を行ってもよい。或いは、エアコンの温度調整やオーディオの音量調整を行なってもよい。
さらに言うと、上記実施形態の運転者状態判定処理では、運転者の生体状態の判定を、走行時生体情報と停止時生体情報との差(生体変化値)や、生体変化値と判定基準値との差に基づいて行っているが、これらに限定されるものではなく、走行時生体情報と停止時生体情報との比や、生体変化値と判定基準値との比に基づいて行ってもよい。
また、上記実施形態の車両制御処理では、車両の停止時には温度調整や音量調整を行うための制御を行っているが、これに限定されるものではなく、例えば、リラックス効果のある香りを放出する芳香装置や運転座席を振動させる振動装置に対して、それぞれアクチュエートさせるための制御を行ってもよい。さらに、走行前の運転者を覚醒させるための音声出力を行ってもよい。
なお、上記実施形態の生体センサ群21は、ステアリングに設置されているが、これに限定されるものではなく、例えば被測定者の手首に巻かれるように形成されたベルト式のものであってもよいし、シート内蔵式などの非接触型のものを用いて他の車載装置に設置されてもよい。
また、上記実施形態の座席センサ群23は、シートセンサ23aと室内カメラ23bとから構成されているが、運転者の座席位置を検出するものであればよく、例えば赤外線を用いた距離センサやイメージセンサ等で構成されてもよい。或いは、生体センサ群21が座席センサ群23の機能を実現するように構成されていてもよい。
本発明が適用された運転者状態判定装置の構成、及び、運転者状態判定装置が接続される車内LANの概要を示すブロック図 制御部20のCPUが実行する運転者支援処理の詳細を示すフローチャート。 運転者支援処理で実行される運転者状態判定処理の詳細を示すフローチャート。 運転者状態判定処理による判定方法を説明するためのグラフ。 運転者支援処理で実行される車両制御処理の詳細を示すフローチャート。
符号の説明
1…運転者状態判定装置、2…走行ECU、3…エアコンECU、4…ナビゲーション装置、10…車内LAN、11…車速センサ、12…加速度センサ、13…周辺カメラ、14…エアコン、15…GPS装置、16…地図データ入力器、20…制御部、21…生体センサ群、21a…心電センサ、21b…脈波センサ、22…外部センサ群、22a…ライトセンサ、22b…レインセンサ、23…座席センサ群、23a…シートセンサ、23b…室内カメラ、24…バスコントローラ、25…メモリ、26…表示部、27…音声出力部。

Claims (16)

  1. 車両の運転者からの生体信号を検出する検出手段と、
    前記車両が走行または停止のいずれの状態であるかを示す挙動情報を取得する挙動取得手段と、
    前記検出手段により検出した前記生体信号に基づく生体情報と、前記挙動取得手段により取得した前記挙動情報とに基づいて、前記車両の走行時に対応する前記生体情報である走行時生体情報と、前記車両の停止時に対応する前記生体情報である停止時生体情報とを設定し、該走行時生体情報と該停止時生体情報との変化の度合を表す生体変化値を算出する算出手段と、
    前記算出手段により算出した前記生体変化値に基づいて、前記運転者の生体状態を判定する判定手段と、
    を備え
    前記算出手段は、前記車両が停止してから前記運転者が落ち着くために予め確保された規定時間経過時に、前記検出手段により検出された前記生体信号に基づく前記生体情報を、前記停止時生体情報として設定することを特徴とする運転者状態判定装置。
  2. 前記生体信号は、心電位または脈波であることを特徴とする請求項1に記載の運転者状態判定装置。
  3. 前記生体変化値は、前記走行時生体情報と前記停止時生体情報との差であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の運転者状態判定装置。
  4. 前記判定手段は、前記生体変化値が予め規定された第1の判定閾値以下である場合、前記運転者の生体状態が異常であると判定することを特徴とする請求項3に記載の運転者状態判定装置。
  5. 前記生体変化値を記憶する記憶手段を備え、
    前記判定手段は、前記記憶手段により記憶した前記生体変化値を判定基準値として設定し、前記生体変化値と前記判定基準値との変化の度合が、予め設定された第2の判定閾値を超える場合、前記運転者の生体状態が異常であると判定することを特徴とする請求項3に記載の運転者状態判定装置。
  6. 前記判定手段は、前回の前記判定手段による判定時に使用した前記生体変化値を、前記判定基準値として設定することを特徴とする請求項5に記載の運転者状態判定装置。
  7. 前記車両の走行環境を表す環境情報を取得する環境取得手段を備え、
    前記記憶手段は、前記生体変化値を、前記環境取得手段により取得した前記環境情報に対応づけて記憶し、
    前記判定手段は、前記環境取得手段により取得した前記環境情報に対応づけられている前記生体変化値を、前記判定基準値として設定することを特徴とする請求項5に記載の運転者状態判定装置。
  8. 前記走行環境は、前記車両の周囲に他車両が存在するか否かであることを特徴とする請求項7に記載の運転者状態判定装置。
  9. 前記算出手段は、一定時間内に前記検出手段により検出された前記生体信号から抽出された抽出生体値に基づく前記生体情報を、前記走行時生体情報および前記停止時生体情報として設定することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の運転者状態判定装置。
  10. 前記抽出生体値は、前記一定時間内における前記生体信号の最大値であることを特徴とする請求項9に記載の運転者状態判定装置。
  11. 前記抽出生体値は、前記一定時間内における前記生体信号の平均値であることを特徴とする請求項9に記載の運転者状態判定装置。
  12. 前記判定手段により前記運転者の生体状態が異常であると判定した場合、前記運転者の生体状態が異常であることを報知する異常報知手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の運転者状態判定装置。
  13. 前記判定手段により前記運転者の生体状態が異常であると判定した場合、前記挙動情報に応じた車両制御を行う車両制御手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の運転者状態判定装置。
  14. 前記車両制御手段は、車載エアコンの温度調整、又は、車載オーディオ装置の音量調整を前記車両制御として行うことを特徴とする請求項13に記載の運転者状態判定装置。
  15. 前記車両制御手段による前記車両制御後に、前記判定手段により前記運転者の生体状態が正常であると判定した場合、前記運転者の生体状態が正常であることを報知する正常報知手段を備えることを特徴とする請求項13または請求項14に記載の運転者状態判定装置。
  16. 前記運転者の座席位置を検出する座席検出手段と、
    前記座席検出手段により前記運転者が所定位置を外れて着座していることを検出した場合、前記判定手段による前記生体状態の判定を禁止する禁止手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の運転者状態判定装置。
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