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JP6590312B2 - 積層不織布および空気清浄機、ならびに積層不織布の製造方法 - Google Patents

積層不織布および空気清浄機、ならびに積層不織布の製造方法 Download PDF

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JP6590312B2 JP2015152716A JP2015152716A JP6590312B2 JP 6590312 B2 JP6590312 B2 JP 6590312B2 JP 2015152716 A JP2015152716 A JP 2015152716A JP 2015152716 A JP2015152716 A JP 2015152716A JP 6590312 B2 JP6590312 B2 JP 6590312B2
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Description

本発明は、積層不織布に関し、例えば、空気清浄機の濾材に用いられる積層不織布に関する。
空気清浄機等に用いられる濾材として、基材として機能する不織布(第1不織布)に、これよりも平均繊維径の小さな繊維を含み、集塵機能を有する不織布(第2不織布)と、これを保護するとともに集塵機能を有する他の不織布(第3不織布)とが積層された、積層不織布を用いることが提案されている(特許文献1)。
国際公開第2013/121733号パンフレット
しかし、特許文献1の積層不織布は、プリーツ形状に成形する際、第1不織布から第2不織布および第3不織布が剥離する場合がある。第2不織布および第3不織布が剥離すると、積層不織布を濾材として用いる場合、集塵効率が著しく低下する。
本発明の一局面は、第1繊維を含む第1不織布と、前記第1不織布に積層され、第2繊維を含む第2不織布と、前記第2不織布の前記第1不織布に対向しない主面側に積層され、かつ、第3繊維を含む第3不織布と、前記第1不織布と前記第3不織布との間に点在する接着剤と、を備えており、前記第2繊維の平均繊維径D2が、3μm以下であり、前記第1繊維の平均繊維径D1および前記平均繊維径D2が、D1>D2の関係を満たし、前記接着剤が、複数のドット領域を形成しており、前記ドット領域が、前記接着剤の単独の粒子により形成される第1ドットと、前記接着剤の2以上の粒子の融着体により形成される第2ドットと、を含み、前記第2不織布の前記主面に対して垂直な断面から見たとき、前記第2ドットの前記第2不織布の前記第3不織布側の表面からの高さは、前記第1ドットの前記第2不織布の前記第3不織布側の表面からの高さよりも大きい、積層不織布に関する。
本発明の他の一局面は、第1繊維および第2繊維を含む第1a不織布と、前記第1a不織布に積層され、第3繊維を含む第3不織布と、前記第1a不織布と前記第3不織布との間に介在する接着剤と、を備えており、前記第2繊維の平均繊維径D2が、3μm以下であり、前記第1繊維の平均繊維径D1および前記平均繊維径D2が、D1>D2の関係を満たし、前記第1a不織布が、前記第1繊維を含む基材層と、前記第3不織布に対向する主面側に配置される、前記第1繊維および前記第2繊維を含む複合層と、を含み、前記接着剤が、複数のドット領域を形成しており、前記ドット領域が、前記接着剤の単独の粒子により形成される第1ドットと、前記接着剤の2以上の粒子の融着体により形成される第2ドットと、を含み、前記1a不織布の前記第3不織布に対向する前記主面に対して垂直な断面から見たとき、前記第2ドットの前記複合層の前記第3不織布側の表面からの高さは、前記第1ドットの前記複合層の前記第3不織布側の表面からの高さよりも大きい、積層不織布に関する。
本発明のさらに他の一局面は、気体の吸い込み部と、前記気体の吐き出し部と、前記吸い込み部と前記吐き出し部との間に配置される、上記積層不織布と、を備える、空気清浄機に関する。
本発明のさらに他の一局面は、第1繊維を含む第1不織布を準備する第1準備工程と、第2繊維の原料となる原料樹脂および前記原料樹脂を溶解させる溶媒を含む原料液を準備する第2準備工程と、第3繊維を含む第3不織布を準備する第3準備工程と、前記第1不織布上で前記原料液を噴射して、前記原料液から第2繊維を生成させ、前記第1不織布の一方の主面に前記第2繊維を堆積させる不織布形成工程と、前記第2繊維を堆積させた前記第1不織布の前記主面に、接着剤の粒子を散布する接着剤散布工程と、前記主面に散布された前記接着剤を溶融させる加熱工程と、前記溶融した接着剤を有する前記第1不織布に、前記第2繊維を介して前記第3不織布を積層させる積層工程と、を具備し、前記接着剤の散布量が、5g/m2より大きく、前記接着剤の平均粒径が、150μm以上、200μm未満である、積層不織布の製造方法に関する。
本発明によれば、積層不織布において、不織布間の剥離を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る積層不織布の要部を模式的に示す上面図(a)および断面図(b)である。 本発明の一実施形態に係る積層不織布の製造に用いられる製造システムの構成例を示す図である。 本発明の他の一実施形態に係る積層不織布の要部を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る空気清浄機を模式的に示す斜視図である。 実施例1に係る第2不織布側の表面の顕微鏡写真である。 比較例1に係る第2不織布側の表面の顕微鏡写真である。
(第1実施形態)
本実施形態に係る積層不織布は、第1繊維を含む第1不織布と、第1不織布に積層され、第2繊維を含む第2不織布と、第2不織布の第1不織布に対向しない主面2A側に積層され、かつ、第3繊維を含む第3不織布と、第1不織布と第3不織布との間に点在する接着剤と、を備える。以下、積層不織布について、空気清浄機の濾材に適する形態として、具体的に説明するが、積層不織布の用途はこれに限定されるものではない。
第1不織布は、積層不織布の形状を保持する基材として機能する。積層不織布をプリーツ加工する場合、第1不織布が基材となって、プリーツの形状を保持する。
第1不織布は、第1繊維1Fを含む。第1繊維1Fの材質は特に限定されず、例えば、ガラス繊維、セルロース、アクリル樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート)、ポリアミド(PA)、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。なかでも、形状保持の観点から、第1繊維1Fの材質はPETまたはセルロースが好ましい。第1繊維1Fの平均繊維径D1は特に限定されず、例えば、1μm以上、40μm以下であっても良く、5μm以上、20μm以下であっても良い。
平均繊維径D1とは、第1繊維1Fの直径の平均値である。第1繊維1Fの直径とは、第1繊維1Fの長さ方向に対して垂直な断面の直径である。そのような断面が円形でない場合には、最大径を直径と見なしてよい。また、第1不織布の一方の主面の法線方向から見たときの、第1繊維1Fの長さ方向に対して垂直な方向の幅を、第1繊維1Fの直径と見なしても良い。平均繊維径D1は、例えば、第1不織布に含まれる任意の10本の第1繊維1Fの任意の箇所の直径の平均値である。後述する平均繊維径D2およびD3についても同じである。
第1不織布は、例えば、スパンボンド法、乾式法(例えば、エアレイド法)、湿式法、メルトブロー法、ニードルパンチ法等により製造された不織布であり、その製造方法は特に限定されない。なかでも、基材として適する不織布が形成され易い点で、第1不織布1は、湿式法により製造されることが好ましい。
第1不織布の圧力損失も特に限定されない。なかでも、第1不織布の初期の圧力損失は、JISB9908形式1の規格に準拠した測定機を用いて測定した場合、1Pa以上、10Pa以下程度であることが好ましい。第1不織布の初期の圧力損失がこの範囲であれば、積層不織布全体の圧力損失も抑制される。
第1不織布の厚みT1は、圧力損失の観点から、50μm以上、500μm以下であることが好ましく、150μm以上、400μm以下であることがより好ましい。不織布の厚みTとは、例えば、不織布の任意の10箇所の厚みの平均値である(以下、同じ)。厚みとは、不織布の2つの主面の間の距離である。不織布の厚みTは、具体的には、不織布の断面を写真に取り、不織布の一方の主面上にある任意の1地点から他方の主面まで、一方の表面に対して垂直な線を引いたとき、この線上にある繊維のうち、最も離れた位置にある2本の繊維の外側(外法)の距離として求められる。他の任意の複数地点(例えば、9地点)についても同様にして不織布の厚みを算出し、これらを平均化した数値を、不織布の厚みTとする。上記厚みTの算出に際しては、二値化処理された画像を用いても良い。
同様の観点から、第1不織布の単位面積当たりの質量は、10g/m2以上、80g/m2以下であることが好ましく、35g/m2以上、60g/m2以下であることがより好ましい。
第2不織布は、第1繊維1Fの平均繊維径D1よりも小さい平均繊維径D2を有する第2繊維2Fを備えており、ダストを捕捉する機能を有する。平均繊維径D2は、平均繊維径D1の1/10以下(D2≦D1/10)であることが好ましく、D2≦D1/10であることがより好ましい。また、平均繊維径D2は、平均繊維径D1の1/100以上であることが好ましい。平均繊維径D2がこの範囲であれば、圧力損失が抑制されるとともに集塵効率が高くなり易い。具体的には、平均繊維径D2は3μm以下である。平均繊維径D2は、1μm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましい。また、平均繊維径D2は30nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。
第2不織布の単位面積当たりの質量は、0.01g/m2以上、1.5g/m2以下であることが好ましく、0.01g/m2以上、0.5g/m2以下であることがより好ましく、0.03g/m2以上、0.1g/m2以下であることが特に好ましい。第2不織布の上記質量がこの範囲であると、圧力損失を抑制しながら、高い集塵効率を発揮し易い。
第2繊維2Fの材質は特に限定されず、例えば、PA、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアリレート(PAR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、PP、PET、ポリウレタン(PU)等のポリマーが挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いても良い。なかでも、第2繊維2Fを電界紡糸法により形成する場合、PESが好ましく用いられる。また、平均繊維径を細くし易い点で、PVDFが好ましく用いられる。
第2不織布の厚みT2は、圧力損失の観点から、0.5μm以上、10μm以下であることが好ましく、1μm以上、5μm以下であることがより好ましい。なお、第2不織布2の初期の圧力損失は、上記と同様の条件で測定する場合、5Pa以上、40Pa以下程度であることが好ましい。
第3不織布は、比較的大きなダストを集塵する機能を有するとともに、種々の外部負荷から第2不織布を保護する保護材として機能する。集塵効率の観点から、第3不織布3には帯電処理が施されていることが好ましい。
第3不織布は、第3繊維3Fを含む。第3繊維3Fの材質は特に限定されず、第1不織布と同じ材質が例示できる。なかでも、帯電され易い点で、PPが好ましい。第3繊維3Fの平均繊維径D3は、特に限定されない。平均繊維径D3は、例えば、0.5μm以上、20μm以下であり、5μm以上、20μm以下である。
第3不織布3の製造方法は特に限定されず、第1不織布1で例示した方法が同じく例示できる。なかでも、濾材として適する繊維径の細い不織布が形成され易い点で、第3不織布は、メルトブロー法により製造されることが好ましい。
第3不織布の圧力損失も、特に限定されない。なかでも、第3不織布の初期の圧力損失は、上記と同様の条件で測定する場合、10Pa以上、50Pa以下程度であることが好ましい。第3不織布の初期の圧力損失がこの範囲であれば、積層不織布全体の圧力損失も抑制される。
第3不織布の厚みT3は、圧力損失の観点から、100μm以上、500μm以下であることが好ましく、150μm以上、400μm以下であることがより好ましい。第3不織布の単位面積当たりの質量は、圧力損失の観点から、10g/m2以上、50g/m2以下であることが好ましく、10g/m2以上、30g/m2以下であることがより好ましい。
第2不織布と第3不織布とは、接着剤の粒子を用いて接着されている。例えば、第1不織布と第2不織布との積層体の第2不織布側に、接着剤として粒子状の熱可塑性樹脂を散布し、溶融させた後、第3不織布が積層される。
一方、第1不織布と第2不織布とは、接着剤を介さずに積層される。第2不織布は、例えば、電界紡糸法により第1不織布上に形成される。電界紡糸法では、第2不織布を構成する第2繊維の原料である樹脂(原料樹脂)を溶媒に溶解させた原料液に、高電圧を印加し、電荷をもった原料液をノズルから噴射することにより、第2繊維が形成される。第2繊維は、溶媒を含んだ状態で第1不織布上に堆積し、第2不織布を形成する。このとき、溶媒を含んだ第2繊維が、第1不織布を構成する第1繊維と密着することで、両者は接合される。
上記の場合、第1不織布と第2不織布とは、繊維同士の点接着によって接着されている。そのため、第1不織布と第2不織布との間では、剥離が生じ易く、第3不織布が剥離するとき、第3不織布に接着剤を介して接着している第2不織布は、第3不織布とともに第1不織布から剥離してしまう。第2不織布および第3不織布が剥離すると、積層不織布を濾材として用いる場合、集塵効率が著しく低下する。
接着剤は粒子状であるため、接着剤の溶融が不十分であると、積層不織布からの脱落や、第2不織布と第3不織布との接着に寄与しない接着剤の割合が増加する。そのため、第3不織布の剥離を抑制するために、接着剤を十分に溶融させることが考えられる。しかし、接着剤を十分に溶融させるために加熱条件を厳しくすると、得られる積層不織布の圧力損失は非常に大きくなる。接着剤を散布せずに加熱下で各不織布の圧着を行った場合にも、圧力損失は増大することから、積層不織布の圧力損失が増大する主な要因は、接着剤を溶融するための熱によって、平均繊維径の小さな第2繊維が変形し、第2不織布および第3不織布の空隙を減少させてしまうことにあると考えられる。そこで、本発明では、積層体の第2不織布側に、2以上の接着剤の粒子を含む融着体を形成することにより、第3不織布の剥離を抑制する。
ところで、従来、圧力損失が増大する要因の一つは、接着剤であると考えられている。そのため、接着剤は、2g/m2程度を上限に散布されることが一般的である。しかし、このような散布量では、融着体を形成することは困難である。一方、融着体を形成し得る程度に接着剤の散布量を増加しても、圧力損失は大きくは増えない。
すなわち、本発明に係る積層不織布は、第1繊維を含む第1不織布と、第1不織布に積層され、第2繊維を含む第2不織布と、第2不織布の第1不織布に対向しない主面2A側に積層され、かつ、第3繊維を含む第3不織布と、第1不織布と第3不織布との間に点在する接着剤と、を備えており、第1繊維の平均繊維径D1および第2繊維の平均繊維径D2が、D1>D2の関係を満たす。このとき、接着剤は、複数のドット領域を形成しており、ドット領域が、接着剤の単独の粒子により形成される第1ドットと、接着剤の2以上の粒子の融着体により形成される第2ドットと、を含む。これにより、圧力損失を増加させることなく、第3不織布、さらには第2不織布の剥離が抑制される。
以下、本発明に係る積層不織布を、図1を参照しながら説明する。図1(a)は、本実施形態に係る積層不織布10Aの要部を模式的に示す上面図であり、図1(b)は、図1(a)のB−B線における断面図である。
第1不織布1と第3不織布3との間に点在する接着剤4は、複数のドット領域を形成している。言い換えれば、接着剤4を第2不織布2の第1不織布1に対向しない主面から見た形状は、ドット状である。ドット領域の少なくとも一部は、接着剤の粒子が2以上融着することにより形成される融着体である。つまり、接着剤4により形成されるドット領域は、接着剤の単独の粒子により形成される第1ドットA1と、接着剤の2以上の粒子の融着体により形成される第2ドットA2と、を含む。
複数の粒子の融着体である第2ドットA2の上記主面から見た最大径および1つ当たりの面積S2は、単独の粒子から形成される第1ドットA1の上記主面から見た最大径および1つ当たりの面積S1よりも大きい。そのため、第2ドットA2により、第1不織布1および第2不織布2の積層体と第3不織布3とは、より大きな面積で接着される。また、第2ドットA2の上記主面に対して垂直な断面から見た高さH2は、第1ドットA1の当該断面から見た高さH1よりも大きい。すなわち、接着剤の粒子は、第3不織布3および積層体の表面だけではなく、これらの内部にまで侵入して、第3不織布3と積層体とを接着している。そのため、第3不織布3の剥離は生じ難い。
ここで、第2ドットA2の最大径および高さに相当する径を備えるドット領域を、単独の接着剤の粒子で形成することも考えられる。この場合、第2ドットA2を形成するのに使用されるよりも大きな粒径を有する接着剤の粒子を使用すれば良い。しかし、大きな接着剤の粒子を溶融させるには、より大きな熱量が必要である。そのため、加熱条件を厳しくすると、上記のとおり、第2繊維2Fの変形が生じ、圧力損失の上昇を招く。また、接着剤の溶融が不十分であると、積層不織布から脱落する。すなわち、比較的粒径の小さな接着剤粒子を用いて、これを積層体上で融着させることにより、熱による第2繊維2Fの変形および圧力損失の上昇が抑制されるとともに、接着強度を高めることができる。
第1ドットおよび第2ドットの形成に用いられる接着剤粒子の平均粒径は、150〜350μmであることが好ましく、180〜300μmであることがより好ましい。接着剤の平均粒径がこの範囲であると、第2繊維2Fの変形を生じさせない加熱条件での溶融が可能であるとともに、第2ドットA2が形成され易い。平均粒径とは、レーザー回折式の粒度分布測定装置により求められる体積粒度分布におけるメディアン径(D50)である(以下、同じ)。
接着剤の粒子の種類は特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂を主成分とするホットメルト接着剤等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、PU、PET等のポリエステル、ウレタン変性共重合ポリエステル等の共重合ポリエステル、PA、ポリオレフィン(例えば、PP、PE)等が例示できる。接着剤の融点は、60〜140℃程度であることが好ましい。
第2ドットA2は、例えば、接着剤の粒子が2以上、10以下融着することにより形成されており、通常、不定形である。このとき、接着剤粒子同士は、その界面が確認できる程度に融着していても良いし、上記界面は確認できなくても良い。
第2ドットA2の1つ当たりの面積S2は特に限定されず、粒子の重なり具合や、粒径に応じて決定される。面積S2は、例えば、第1ドットA1の1つ当たりの面積S1の1.3倍以上である。上記面積S1は、例えば、0.02〜0.20mm2であり、好ましくは0.03〜0.10mm2である。
第2ドットA2の最大径は、例えば、200μm以上であり、好ましくは300μm以上である。第1ドットA1の径は、例えば、50〜500μmであり、好ましくは1500〜300μmである。なお、第1ドットA1の径は、第1ドットA1が円形である場合にはその直径であり、第1ドットA1が不定形である場合には、その最大径の平均値である。
第2ドットA2の上記高さH2は特に限定されない。例えば、第1ドットA1の上記高さH1の1.3倍以上である。第1ドットA1の高さH1は、例えば、50〜300μmであり、好ましくは100〜200μmである。各ドットの高さHは、当該ドットと第1不織布1あるいは第2不織布2との接点を通り、第1不織布に垂直な直線と、当該ドットの外表面とが交わる2点を結んだ距離の平均値として求められる。
第1ドットA1と第2ドットA2との割合は、特に限定されない。なかでも、剥離抑制の観点から、第1ドットA1と第2ドットA2との合計数に対する第2ドットA2の割合は、上記合計数の50%より大きいことが好ましい。また、第2ドットA2の割合は、上記合計数の80%より小さいことが好ましい。第2ドットA2の単位面積当たりの個数も特に限定されないが、剥離抑制の観点から、50〜250個/cm2であることが好ましい。
なお、第1ドットA1の面積S1等の物性値は、第1ドットA1が複数ある場合、それらの平均値である。第2ドットA2の面積S2等の物性値も同様に、第2ドットA2が複数ある場合、それらの平均値である。
第2ドットA2および第1ドットA1の各物性値は、例えば、第2ドットA2および第1ドットA1を合計で20個以上含む領域Rから算出できる。すなわち、第1不織布1および第2不織布2の積層体を上記主面の法線方向から写真に撮り、第2ドットA2および第1ドットA1を合計で20個以上含む領域Rを決定した後、各ドットについての物性値を算出する。ドットの高さについては、領域Rに含まれる各ドットを切断するような断面を写真に撮って、計測すれば良い。
第2ドットA2を形成する方法は、特に限定されない。例えば、第1不織布1と第2不織布2との積層体の第2不織布2側(上記主面側)に、接着剤の粒子を5g/m2より多く散布する方法が挙げられる。これにより、少なくとも一部の接着剤の粒子同士は、互いにその一部が重なるように積層体の表面に付着される。その後、接着剤を溶融することにより、重なりあった接着剤の粒子同士は融着し、第2ドットA2が形成される。
すなわち、積層不織布10A(10)は、第1繊維を含む第1不織布を準備する第1準備工程と、第2繊維の原料となる原料樹脂および原料樹脂を溶解させる溶媒を含む原料液を準備する第2準備工程と、第3繊維を含む第3不織布を準備する第3準備工程と、第1不織布上で原料液を噴射して、原料液から第2繊維を生成させ、第1不織布の一方の主面に第2繊維を堆積させる不織布形成工程と、第2繊維を堆積させた第1不織布の上記主面に、接着剤の粒子を散布する接着剤散布工程と、上記主面に散布された接着剤を溶融させる加熱工程と、溶融した接着剤を有する第1不織布に、第2繊維を介して第3不織布を積層させる積層工程と、を具備する製造方法により得ることができる。このとき、接着剤の散布量を5g/m2より大きくする。
接着剤の散布量は、第2ドットA2が形成され易い点で、5.5g/m2より多いことが好ましい。一方、接着剤の散布量は、20g/m2より少ないことが好ましい。接着剤の散布量がこの範囲を超えると、製造コストの上昇や、積層不織布の質量が増加することによる、輸送費用等の増加が懸念される。
加熱工程により、互いにその一部が重なるように積層体の表面に付着した複数の接着剤粒子は溶融し、融着する。融着した接着剤粒子(融着粒子)は、積層工程で押しつぶされて、第2ドットA2を形成する。このとき、融着粒子の第2不織布2あるいは第1不織布1からの高さは、単独の粒子の高さよりも高い。そのため、融着粒子は、単独粒子に対して優先的に加圧される。よって、融着粒子と第1不織布1との間にある第2繊維以外の第2繊維には、大きな荷重がかからず、変形が抑制される。融着粒子(第2ドットA2)と第1不織布1との間にある第2繊維は集塵効率への寄与が小さい一方、この第2繊維以外の第2繊維は、集塵効率に大きく寄与する。集塵効率に寄与する第2繊維の変形が抑制されるため、集塵効率はより向上し易い。
上記のような積層不織布の製造方法は、例えば、ラインの上流から下流に第1不織布1を搬送し、搬送される第1不織布の主面に第2不織布を形成した後、第3不織布を積層する製造システムにより実施することが可能である。このような製造システムは、例えば、(1)第1不織布を搬送ベルトに供給する第1不織布供給装置と、(2)原料液から静電気力により第2繊維を生成させる電界紡糸機構を有する第2不織布形成装置と、(3)第2不織布形成装置から送り出される第2不織布の上方から、接着剤を散布する接着剤散布装置と、(4)散布された接着剤を溶融する加熱装置と、(5)加熱装置から送り出される第2不織布の上方から、第3不織布を積層する第3不織布積層装置を具備する。
以下、図2を参照しながら、積層不織布の製造方法およびこれを行う製造システムについて説明するが、以下のシステムおよび製造方法は、本発明を限定するものではない。図2は、積層不織布10の製造システムの一例の構成を概略的に示す図である。製造システム200は、積層不織布10を製造するための製造ラインを構成している。
まず、第1不織布1を準備する。製造システム200では、第1不織布1は、各搬送ロール11、31、41、51および搬送コンベア21により、製造ラインの上流から下流に搬送される。製造システム200の最上流には、ロール状に捲回された第1不織布1を内部に収容した第1不織布供給装置201が設けられている。供給装置201は、モータ13により第1供給リール12を回転させて、第1供給リール12に捲回された第1不織布1を搬送ロール11に供給する。
第1不織布1は、搬送ロール11により、電界紡糸ユニット202に搬送される。電界紡糸ユニット202が具備する電界紡糸機構は、装置内の上方に設置された第2繊維2Fの原料液を放出するための放出体23と、放出された原料液をプラスに帯電させる帯電手段(後述参照)と、放出体23と対向するように配置された第1不織布1を上流側から下流側に搬送する搬送コンベア21と、を備えている。搬送コンベア21は、第1不織布1とともに第2繊維2Fを収集するコレクタ部として機能する。なお、電界紡糸ユニット202の台数は、特に限定されるものではなく、1台でも2台以上でもよい。
電界紡糸ユニット202および/または放出体23が複数ある場合、電界紡糸ユニット202ごと、あるいは、放出体23ごとに、形成される第2繊維2Fの平均繊維径を変化させても良い。第2繊維2Fの平均繊維径は、後述する原料液の吐出圧力、印加電圧、原料液の濃度、放出体23と第1不織布1との距離、温度、湿度などを調整することにより、変化させることができる。また、第2繊維2Fの堆積量は、原料液の吐出圧力、印加電圧、原料液の濃度、第1不織布1の搬送速度などを調整することにより、制御される。
放出体23の第1不織布1の主面と対向する側には、原料液の放出口(図示せず)が複数箇所設けられている。放出体23の放出口と、第1不織布1との距離は、製造システムの規模や所望の繊維径にもよるが、例えば、100〜600mmであればよい。放出体23は、電界紡糸ユニット202の上方に設置された、第1不織布1の搬送方向と平行な第1支持体24から下方に延びる第2支持体25により、自身の長手方向が第1不織布1の主面と平行になるように支持されている。第1支持体24は、放出体23を第1不織布1の搬送方向とは垂直な方向に揺動させるように、可動であっても良い。
帯電手段は、放出体23に電圧を印加する電圧印加装置26と、搬送コンベア21と平行に設置された対電極27とで構成されている。対電極27は接地(グランド)されている。これにより、放出体23と対電極27との間には、電圧印加装置26により印加される電圧に応じた電位差(例えば20〜200kV)を設けることができる。なお、帯電手段の構成は、特に限定されない。例えば、対電極27はマイナスに帯電されていても良い。また、対電極27を設ける代わりに、搬送コンベア21のベルト部分を導体から構成してもよい。
放出体23は、導体で構成されており、長尺の形状を有し、その内部は中空になっている。中空部は原料液22を収容する収容部となる。原料液22は、放出体23の中空部と連通するポンプ28の圧力により、原料液タンク29から放出体23の中空に供給される。そして、原料液22は、ポンプ28の圧力により、放出口から第1不織布1の主面に向かって放出される。放出された原料液22は、帯電した状態で放出体23と第1不織布1との間の空間(生成空間)を移動中に静電爆発を起し、繊維状物(第2繊維2F)を生成する。
原料液22に含まれる溶媒としては、原料樹脂の種類や製造条件に応じて、適切なものを選択すればよい。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド、ピリジン、水等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。なかでも、後述するようにポリエーテルサルフォン(PES)を含む第2繊維2Fを電界紡糸法により形成する場合、電界紡糸法に適している点およびPESを溶解し易い点で、DMAcが好ましい。
原料液22には、無機質固体材料を添加してもよい。無機質固体材料としては、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、珪化物、弗化物、硫化物等を挙げることができる。なかでも、加工性などの観点から、酸化物を用いることが好ましい。酸化物としては、Al23、SiO2、TiO2、Li2O、Na2O、MgO、CaO、SrO、BaO、B23、P25、SnO2、ZrO2、K2O、Cs2O、ZnO、Sb23、As23、CeO2、V25、Cr23、MnO、Fe23、CoO、NiO、Y23、Lu23、Yb23、HfO2、Nb25等を例示することができる。これらは単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
原料液22における溶媒と原料樹脂との混合比率は、選定される溶媒の種類と原料樹脂の種類により異なる。原料液22における溶媒の割合は、例えば、60質量%から95質量%である。
第2繊維2Fを形成する電界紡糸機構は、上記の構成に限定されない。所定の第2繊維2Fの生成空間において、原料液から静電気力により第2繊維2Fを生成させ、生成した第2繊維2Fを第1不織布1の主面に堆積させることができる機構であれば、特に限定なく用いることができる。例えば、放出体23の長手方向に垂直な断面の形状は、上方から下方に向かって次第に小さくなる形状(V型ノズル)であってもよい。
第2不織布2が形成された後、第1不織布1と第2不織布2との積層体を、接着剤散布装置203に搬送する。接着剤散布装置203では、第2不織布2の上方から、接着剤粒子4が散布される。接着剤4は、例えば、スプレー法、自由落下等により散布される。
接着剤散布装置203は、例えば、接着剤散布装置203の上方に設置された接着剤4を収容する接着剤タンク32と、接着剤4を散布するための散布部材33とを備える散布装置34を具備する。
接着剤4が散布された後、積層体に第3不織布3が積層される前に、加熱機器42を備える加熱装置204により、接着剤4が加熱される。これにより、一部が重なり合って付着していた接着剤粒子は融着する。加熱装置204では、第2不織布2に含まれる溶媒の除去も行われる。
加熱機器42は特に限定されず、公知のものを適宜選択すれば良い。加熱温度は、溶媒の沸点および接着剤4の融点に応じて適宜設定すれば良い。加熱温度は、積層体の表面が好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜170℃になるように、調整される。なお、第2繊維の材質の一つであるPESの軟化温度は、200〜230℃である。
次いで、融着した接着剤粒子を備える積層体は、第3不織布積層装置205に搬送される。第3不織布積層装置205では、積層体の上方から、第3不織布3が供給され、接着剤4を介して積層体に積層される。第3不織布3が長尺である場合、第1不織布1と同様に、第3不織布3は第2リール52に巻き取られていても良い。この場合、第3不織布3は、第2リール52から捲き出されながら、積層体に積層される。
第3不織布3を積層した後、積層不織布10を挟んで上下に配置された一対の加圧ロール53(53aおよび53b)により圧力を加えながら、積層不織布10を加圧して積層体と第3不織布3とをさらに密着させても良い。
最後に、第3不織布積層装置205から積層不織布10を搬出し、ロール61を経由して、より下流側に配置されている回収装置206に搬送する。回収装置206は、例えば、搬送されてくる積層不織布10を捲き取る回収リール62を内蔵している。回収リール62はモータ63により回転駆動される。
(第2実施形態)
本実施形態に係る積層不織布10Bは、図3に示すように、上記第1不織布および第2不織布に替えて、第1繊維1Fを含む基材層5aと、第1繊維1Fおよび第2繊維2Fを含む複合層5bとを含む第1a不織布5を備えること以外、第1実施形態と同様である。この場合、第3不織布3は、第1a不織布5の複合層5bに対向するように積層され、接着剤4は、複合層5bと第3不織布3との間に介在する。基材層5aは上記第1不織布1に相当し、積層不織布10Bの形状を保持する機能を有する。例えば、積層不織布をプリーツ加工する場合、基材層によってプリーツの形状は保持される。複合層は、上記第2不織布に相当し、集塵効果を発揮する。
このような第1a不織布5は、上記第1不織布および第2不織布の積層体を得る方法と同様に、第1繊維1Fを含む基材上に、例えば電界紡糸法を用いて第2繊維2Fを堆積させることにより得ることができる。このとき、例えば、第2繊維2Fの堆積量を少なくする。これにより、基材に堆積する第2繊維2Fのほとんど(例えば、90質量%以上)は第1繊維1F同士の間隙に埋没して、上記複合層5bを形成する。そのため、第1繊維1Fと第2繊維2Fとが分離することが抑制される。また、複合層5bの第2繊維2Fは、自己支持性を備える層を形成していない。そのため、第2繊維2Fの一部が第1繊維1Fから分離しても、他の第2繊維2Fが連鎖的に分離するという事態は生じ難い。よって、第3不織布3の剥離はさらに抑制され易くなる。
第1a不織布5(基材層5aと複合層5bとの合計)の厚みは、圧力損失の観点から、50μm以上、500μm以下であることが好ましく、150μm以上、400μm以下であることがより好ましい。
第2繊維2Fは、集塵効率の観点から、第1a不織布5の厚み方向に、第1a不織布5の一方の主面から2μmまでの領域に配置されることが好ましく、第1a不織布5の一方の主面から1μmまでの領域に配置されることがより好ましい。言い換えれば、複合層5bの厚みは、0.1μm以上、2μm以下であることが好ましく、0.5μm以上、1μm以下であることがより好ましい。
[空気清浄機]
本発明に係る空気清浄機100は、図4に例示されるように、気体の吸い込み部101と、気体の吐き出し部102と、これらの間に配置される積層不織布10と、を備える。積層不織布10は、蛇腹状にプリーツ加工されて配置されても良い。積層不織布10は、大気中のダストを捕捉する濾材である。積層不織布10を備える空気清浄機は、長期間にわたって、圧力損失が小さく抑えられる。集塵効率の点で、積層不織布10は、第3不織布3が吸い込み部101側に位置するように、吸い込み部101と吐き出し部102との間に配置されることが好ましい。
空気清浄機100は、外部の大気を吸い込み部101から空気清浄機100内部に取り込む。取り込まれた大気に含まれるダストは、積層不織布10等を通過する間に捕捉され、清浄化された大気が吐き出し部102から外部に放出される。空気清浄機100は、さらに、吸い込み部101と積層不織布10との間に、大きな塵等を捕捉するプレフィルタ103等を備えても良い。また、積層不織布10と吐き出し部102との間に消臭フィルタ104や加湿フィルタ(図示せず)等が備えられても良い。
[実施例]
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
第1不織布としてセルロースを主体とする基材(厚みT1:300μm、D1:15μm、単位面積当たりの質量:42g/m2、空隙率P1:61%)を使用した。図2に示すような製造システムを用いて、搬送される第1不織布1に第2繊維を堆積させて第2不織布を形成し、積層体を得た。このとき、放出体を連続的に搬送方向とは垂直な方向に揺動させるとともに、生成空間において、ガス流を第1不織布の上流側から第2繊維に衝突させた。第2繊維の原料液としては、PESを20質量%含むDMAc溶液を用いた。D2は、273nmであった。
次いで、積層体の第2不織布2側から、粉末状の接着剤(ポリエステル系ホットメルト樹脂、融点:約100℃)を自由落下により散布した。接着剤の散布量は6g/m2であり、平均粒径は215μmであった。積層体の表面が158℃になるように加熱した後、第2不織布2側から、第3不織布を積層した。第3不織布として、ポリプロピレン繊維を主体とするメルトブロー不織布(T3:165μm、D3:5μm、P3:61体積%、単位面積当たりの質量:18g/m2)を用いた。続いて、加圧ロールにより圧着して、積層不織布を得た。圧着の圧力は5kPaとした。
得られた積層不織布の第3不織布を、接着剤が第3不織布側に残らないように剥離した。残った積層体について、第2不織布側から顕微鏡を用いて観察し、ドット状の接着剤を20個以上含む領域Rを決定した。図5に領域Rの一部の顕微鏡写真(50倍)を示す。
領域Rには、単独の接着剤粒子により形成されたとみられる第1ドット、および、複数の接着剤粒子が2〜8個融着したとみられる第2ドットが含まれていた。領域Rにおける第1ドットと第2ドットとの合計数に対する第2ドットの割合は62%であり、第2ドットは98個/cm2含まれていた。第1ドットの平均の径は179μmであり、第2ドットの平均の最大径は313μmであった。さらに、各ドットの中心付近を通る直線により各ドットを切断し、これらの断面を確認した。第1ドットの高さは121μmであり、第2ドットの高さは225μmであった。
(圧力損失の評価)
別途、積層不織布を12cm×12cmに裁断し、面風速5.3cm/secで吸引試験を行った。サンプルの上流側の空気圧P0および下流側の空気圧P1を測定し、圧力損失(=P0−P1)を算出した。空気圧の測定には、JISB9908の規格に準拠した測定機(マノメータ)を使用した。結果を表1に示す。
(接着強度の評価)
さらに、別途、積層不織布を幅30mm、長さ180mmに裁断し、JISZ0237に準拠した方法により、第1不織布と第3不織布との間の剥離強度を測定した。具体的には、第1不織布側を両面テープで台座に貼り付けて、はさみ冶具により第3不織布を90°方向に5mm/secで引張り、剥離強度を測定した。
[比較例1]
接着剤の散布量を2g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、積層不織布を作成し、領域Rを決定した。領域Rには、単独の接着剤粒子により形成されたとみられる第1ドットが確認されたが、複数の接着剤粒子が2個以上融着したとみられる第2ドットは確認されなかった。図6に領域Rの一部の顕微鏡写真(50倍)を示す。別途、得られた積層不織布について、実施例1と同様にして、圧力損失および剥離強度の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
平均粒径が334μmである接着剤を用いたこと、接着剤の散布量を2g/m2としたこと、および、積層体の表面が177℃になるように加熱したこと以外は、実施例1と同様にして、積層不織布を作成し、領域Rを決定した。領域Rには、単独の接着剤粒子により形成されたとみられる第1ドットが確認されたが、複数の接着剤粒子が2個以上融着したとみられる第2ドットは確認されなかった。第1ドットの粒径は412μmであった。別途、得られた積層不織布について、実施例1と同様にして、圧力損失および剥離強度の評価を行った。結果を表1に示す。
本発明の積層不織布は、平均繊維径の小さな繊維を備える不織布の剥離が抑制されるため、空気清浄機、あるいは空調機の濾材、電池用の分離シート、燃料電池用のメンブレン、妊娠検査シート等の体外検査シート、細胞培養用等の医療用シート、防塵マスク等の防塵布や防塵服、化粧用シート、塵を拭き取る拭取シート等として、好適である。
1:第1不織布、1F:第1繊維、2:第2不織布、2F:第2繊維、3:第3不織布3F:第3繊維、4:接着剤、5:第1a不織布、5a:基材層、5b:複合層、10、10A、10B:積層不織布、11:搬送ロール、12:第1供給リール、13:モータ、21:搬送コンベア、22:原料液、23:放出体、24:第1支持体、25:第2支持体、26:電圧印加装置、27:対電極、28:ポンプ、29:原料液タンク、31:搬送ロール、32:接着剤タンク、33:散布部材、34:散布装置、41:搬送ロール、42:加熱機器、51:搬送ロール、52:第2供給リール、53、53a、53b:加圧ロール、61:ロール、62:回収リール、63:モータ、100:空気清浄機、101:吸い込み部、102:吐き出し部、103:プレフィルタ、104:消臭フィルタ、200:製造システム、201:第1不織布供給装置、202:電界紡糸ユニット、203:接着剤散布装置、204:加熱装置、205:第3不織布積層装置、206:回収装置

Claims (7)

  1. 第1繊維を含む第1不織布と、
    前記第1不織布に積層され、第2繊維を含む第2不織布と、
    前記第2不織布の前記第1不織布に対向しない主面側に積層され、かつ、第3繊維を含む第3不織布と、
    前記第1不織布と前記第3不織布との間に点在する接着剤と、を備えており、
    前記第2繊維の平均繊維径D2が、3μm以下であり、
    前記第1繊維の平均繊維径D1および前記平均繊維径D2が、D1>D2の関係を満たし、
    前記接着剤が、複数のドット領域を形成しており、
    前記ドット領域が、前記接着剤の単独の粒子により形成される第1ドットと、前記接着剤の2以上の粒子の融着体により形成される第2ドットと、を含み、
    前記第2不織布の前記主面に対して垂直な断面から見たとき、前記第2ドットの前記第2不織布の前記第3不織布側の表面からの高さは、前記第1ドットの前記第2不織布の前記第3不織布側の表面からの高さよりも大きい、積層不織布。
  2. 第1繊維および第2繊維を含む第1a不織布と、
    前記第1a不織布に積層され、第3繊維を含む第3不織布と、
    前記第1a不織布と前記第3不織布との間に介在する接着剤と、を備えており、
    前記第2繊維の平均繊維径D2が、3μm以下であり、
    前記第1繊維の平均繊維径D1および前記平均繊維径D2が、D1>D2の関係を満たし、
    前記第1a不織布が、前記第1繊維を含む基材層と、前記第3不織布に対向する主面側に配置される、前記第1繊維および前記第2繊維を含む複合層と、を含み、
    前記接着剤が、複数のドット領域を形成しており、
    前記ドット領域が、前記接着剤の単独の粒子により形成される第1ドットと、前記接着剤の2以上の粒子の融着体により形成される第2ドットと、を含み、
    前記1a不織布の前記第3不織布に対向する前記主面に対して垂直な断面から見たとき、前記第2ドットの前記複合層の前記第3不織布側の表面からの高さは、前記第1ドットの前記複合層の前記第3不織布側の表面からの高さよりも大きい、積層不織布。
  3. 前記第2ドットの数が、前記第1ドットの数より多い、請求項1または請求項2に記載の積層不織布。
  4. 前記接着剤の単位面積当たりの質量が、5g/m2より大きい、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層不織布。
  5. 前記平均繊維径D2が、1μm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層不織布。
  6. 気体の吸い込み部と、
    前記気体の吐き出し部と、
    前記吸い込み部と前記吐き出し部との間に配置される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層不織布と、を備える、空気清浄機。
  7. 第1繊維を含む第1不織布を準備する第1準備工程と、
    第2繊維の原料となる原料樹脂および前記原料樹脂を溶解させる溶媒を含む原料液を準備する第2準備工程と、
    第3繊維を含む第3不織布を準備する第3準備工程と、
    前記第1不織布上で前記原料液を噴射して、前記原料液から第2繊維を生成させ、前記第1不織布の一方の主面に前記第2繊維を堆積させる不織布形成工程と、
    前記第2繊維を堆積させた前記第1不織布の前記主面に、接着剤の粒子を散布する接着剤散布工程と、
    前記主面に散布された前記接着剤を溶融させる加熱工程と、
    前記溶融した接着剤を有する前記第1不織布に、前記第2繊維を介して前記第3不織布を積層させる積層工程と、を具備し、
    前記接着剤の散布量が、5g/m2より大きく、
    前記接着剤の平均粒径が、150μm以上、200μm未満である、積層不織布の製造方法。
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