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JP6447861B2 - 蓄電素子 - Google Patents

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JP6447861B2
JP6447861B2 JP2014201135A JP2014201135A JP6447861B2 JP 6447861 B2 JP6447861 B2 JP 6447861B2 JP 2014201135 A JP2014201135 A JP 2014201135A JP 2014201135 A JP2014201135 A JP 2014201135A JP 6447861 B2 JP6447861 B2 JP 6447861B2
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Description

本明細書に記載された技術は、ケース内に蓄電要素が収容された蓄電素子に関する。
従来、蓄電素子として、例えば、特開2011−154813号公報に記載のものが知られている。蓄電素子は、有底筒状をなすケースと、ケース内に収容された蓄電要素と、を備える。
特開2011−154813号公報
蓄電素子に対して充電又は放電を繰り返すと、ケース内において、例えばガスが発生する場合がある。すると、ケース内の内圧が上昇して、ケースが変形することが懸念される。なお、このような問題は、アルカリ蓄電池以外の蓄電素子においても生じ得る。
本明細書では、ケースの変形が抑制された蓄電素子に係る技術を提供することを目的とする。
本明細書に記載された蓄電素子は、蓄電要素と、有底円筒形状をなすと共に内部に前記蓄電要素が収容されるケースと、を備えた蓄電素子であって、前記ケースは、円盤状をなす底壁と、前記底壁の側縁から立ち上がる側壁と、を有し、前記底壁は、前記底壁と同心円形状をなすと共に、前記ケースの外方に突出する凸部を有し、前記凸部の直径の、前記底壁の直径に対する比が0.20〜0.95である。
上記の構成によれば、底壁に形成された凸部によって底壁が補強される。これにより、ケース内の内圧が上昇した場合であっても、ケースの底壁が変形することを抑制することができる。
更に、凸部の直径の、底壁の直径に対する比を0.20〜0.95とすることにより、ケースの底壁が変形することを一層抑制することができる。凸部の直径の、底壁の直径に対する比が、0.20よりも小さい場合には、底壁の変形を十分に抑制することができないので、好ましくない。また、凸部の直径の、底壁の直径に対する比が、0.95よりも大きい場合には、底壁の直径と凸部の直径とがほとんど等しくなってしまい、凸部を形成することが困難になるので好ましくない。
本明細書に記載された発明によれば、蓄電素子のケースが変形することを抑制することができる。
実施形態1に係る電池を示す断面図 サンプル1〜23に係る電池を示す一部拡大断面図 サンプル1〜23に係る電池を示す一部拡大断面図 サンプル1〜23に係る電池において、凸部の直径の、底壁の直径に対する比と、底壁の中心部分の変位量との関係を示すグラフ サンプル24〜29に係る電池を示す一部拡大断面図 サンプル24〜29に係る電池を示す一部拡大断面図 サンプル24〜29に係る電池において、外側隅部曲面の曲率半径の、底壁の厚さ寸法に対する比、及び、内側隅部曲面の曲率半径の、底壁の厚さ寸法に対する比と、底壁の中心部分の変位量との関係を示すグラフ 実施形態2に係る電池を示す一部拡大断面図 実施形態2に係る電池を示す一部拡大断面図 サンプル30〜49に係る電池において、内側第1曲面の曲率半径の底壁の厚さ寸法に対する比、内側第2曲面の曲率半径の底壁の厚さ寸法に対する比、外側第1曲面の曲率半径の底壁の厚さ寸法に対する比、及び、外側第2曲面の曲率半径の底壁の厚さ寸法に対する比と、底壁の中心部分の変位量との関係を示すグラフ
<実施形態の概要>
本明細書に記載された蓄電素子は、蓄電要素と、有底円筒形状をなすと共に内部に前記蓄電要素が収容されるケースと、を備えた蓄電素子であって、前記ケースは、円盤状をなす底壁と、前記底壁の側縁から立ち上がる側壁と、を有し、前記底壁は、前記底壁と同心円形状をなすと共に、前記ケースの外方に突出する凸部を有し、前記凸部の直径の、前記底壁の直径に対する比が0.20〜0.95である。
上記の構成によれば、底壁に形成された凸部によって底壁が補強される。これにより、ケース内の内圧が上昇した場合であっても、ケースの底壁が変形することを抑制することができる。
更に、凸部の直径の、底壁の直径に対する比を0.20〜0.95とすることにより、ケースの底壁が変形することを一層抑制することができる。凸部の直径の、底壁の直径に対する比が、0.20よりも小さい場合には、底壁の変形を十分に抑制することができないので、好ましくない。また、凸部の直径の、底壁の直径に対する比が、0.95よりも大きい場合には、底壁の直径と凸部の直径とがほとんど等しくなってしまい、凸部を形成することが困難になるので好ましくない。
蓄電素子は、前記凸部の直径の、前記底壁の直径に対する比が0.38〜0.85である。
上記の構成によれば、底壁の変位量が小さくなるのでより好ましい。
蓄電素子は、前記底壁が、前記凸部よりも前記底壁の径方向の外方に位置する基部を有し、前記基部と前記凸部とは底壁連結部によって連結されており、前記底壁連結部の内面及び外面の、双方又は一方には曲面が形成されている。
上記の構成によれば、凸部と、基部とが連結された底壁連結部には、ケース内の内圧が上昇したときに、応力が集中しやすくなっている。そこで、上記の構成においては、底壁連結部の内面及び外面の、双方又は一方には曲面が形成される構成とした。これにより、底壁連結部に応力が集中することが抑制されるので、ケースの底壁が変形することを抑制することができる。
蓄電素子は、前記底壁は、前記凸部よりも前記底壁の径方向の外方に位置する基部を有し、前記基部と前記凸部とは底壁連結部によって連結されており、前記基部の内面と前記底壁連結部の内面との間には内側第1曲面が形成されており、前記底壁連結部の内面と前記凸部の内面との間には内側第2曲面が形成されており、前記基部の外面と前記底壁連結部の外面との間には外側第1曲面が形成されており、前記底壁連結部の外面と前記凸部の外面との間には外側第2曲面が形成されており、前記内側第1曲面、前記内側第2曲面、前記外側第1曲面、又は前記外側第2曲面の曲率半径の、前記底壁の厚さ寸法に対する比の少なくとも一つは0.50〜11.90である。
凸部と、基部とが連結された底壁連結部には、ケース内の内圧が上昇したときに、応力が集中しやすくなっている。そこで、上記の構成においては、基部の内面と底壁連結部の内面との間には内側第1曲面を形成し、底壁連結部の内面と凸部の内面との間には内側第2曲面を形成し、基部の外面と底壁連結部の外面との間には外側第1曲面を形成し、底壁連結部の外面と凸部の外面との間には外側第2曲面を形成している。これにより、基部と底壁連結部との間、及び凸部と底壁連結部との間は、滑らかな曲面で連結されている。この結果、ケース内の内圧が上昇した場合でも、底壁連結部に応力が集中することが抑制されるので、ケースの底壁が変形することを抑制することができる。
更に、内側第1曲面、内側第2曲面、外側第1曲面、及び外側第2曲面の曲率半径の少なくとも一つは、前記底壁の厚さ寸法に対して0.50〜11.90とされている。この結果、底壁連結部に応力が集中することを一層抑制することができるので、ケースの底壁が変形することを更に抑制することができる。
蓄電素子は、前記側壁の外面には、前記底壁寄りの位置に、外方に突出する肉厚部が形成されており、前記肉厚部の厚さ寸法は、前記側壁のうち前記肉厚部と異なる部分の厚さ寸法よりも大きく設定されている。
側壁のうち底壁寄りの領域は、ケース内の内圧が上昇したときに、応力が集中しやすくなっている。そこで、上記の構成においては、側壁のうち底壁寄りの位置に肉厚部が形成されている。これにより、ケース内の内圧が上昇した場合でも、ケースの側壁が変形することを抑制することができる。
蓄電素子は、前記底壁の周縁部には、前記底壁と前記側壁とが連結される隅部連結部が形成されており、前記隅部連結部の内面及び外面の双方又は一方には隅部曲面が形成されており、前記隅部曲面の曲率半径の、前記底壁の厚さ寸法に対する比の少なくとも一つは、1.33〜4.67である。
隅部連結部は、底壁の周縁部であって、底壁と側壁との境界に形成されている。このため、隅部連結部には、ケース内の内圧が上昇したときに応力が集中しやすくなっている。そこで、上記の構成においては、隅部連結部の内面及び外面の双方又は一方には隅部曲面を形成する構成とした、これにより、ケース内の内圧が上昇した場合でも、隅部連結部に応力が集中することが抑制されるので、ケースが変形することが抑制される。
更に、隅部曲面の曲率半径の、底壁の厚さ寸法に対する比の少なくとも一つは、1.33〜4.67とされている。この結果、隅部連結部に応力が集中することを一層抑制することができるので、ケースが変形することを更に抑制することができる。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を、図1ないし図7を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電池10(蓄電素子の一例)は、ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池等のアルカリ蓄電池である。以下の説明では、図1における紙面手前側を電池10の前側とし、紙面右側を電池10の右側とし、紙面上側を電池10の上側とする。
(電池10)
図1に示すように、電池10は、蓄電要素11と、蓄電要素11が収容される金属製のケース12と、を備える。ケース12は、上方に開口する開口部13を有すると共に内部に蓄電要素11が収容される収容空間14を有する。ケース12の開口部13は、ケース12の開口部13に対応する形状をなした蓋部15によって、上方から塞がれている。
(ケース12)
ケース12は、表面にニッケルめっき層が形成された金属板からなる。ケース12を構成する金属としては、鉄、鋼、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択することができる。また、金属板の表面に形成されるめっき層を構成する金属としては、ニッケル、亜鉛等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択することができる。
ケース12は、後述する負極板16が電気的に接続されることで電池10の負極端子として機能する。ケース12は、上下方向に細長く延びた形状をなしており、長手方向(上下方向)における一端(本実施形態では上端)が開口し、他端(本実施形態では下端)が閉塞されている。ケース12は有底円筒形状をなしている。
ケース12は、例えば、1枚のニッケルめっき鋼板をプレス加工することにより形成される。本実施形態に係るケース12は、このプレス加工の後に、更に縮径加工する工程を実行することにより形成される。なお、縮径加工は省略してもよい。
ケース12は、円盤状をなす底壁17と、底壁17の側縁から上方に立ち上がる側壁18と、を備える。底壁17は、上方から見て円形状をなしている。
(底壁17)
図2に示すように、底壁17には、この底壁17と同心円状をなすと共に、ケース12の外方(図1における下方)に突出する凸部19を有する。凸部19は、上方から見て円形状をなしている。凸部19の直径D1は、底壁17の直径D2よりも小さく設定されており、底壁17と凸部19とは、上方から見て同心円状に形成されている。
凸部19の直径D1の、底壁17の直径D2に対する比は、下記の式で表される。
(凸部の直径)/(底壁の直径)
上記した、凸部19の直径D1の、底壁17の直径D2に対する比は、0.20〜0.95が好ましい。これにより、ケース12の底壁17が変形することを抑制することができるようになっている。凸部19の直径D1の、底壁17の直径D2に対する比が、0.20よりも小さい場合には、底壁17の変形を十分に抑制することができないので好ましくない。また、凸部19の直径D1の、底壁17の直径D2に対する比が0.95よりも大きい場合には、底壁17の直径D2と凸部19の直径D1とがほとんど等しくなってしまい、凸部19を形成することが困難になるので好ましくない。
凸部19の直径D1の、底壁17の直径D2に対する比が、0.38〜0.85である場合には、底壁17の変位量が小さくなるので、より好ましい。また、凸部19の直径D1の、底壁17の直径D2に対する比が、0.52〜0.80である場合には、底壁17の変位量が小さくなるので、特に好ましい。
図3に示すように、底壁17には、凸部19よりも底壁17の径方向の外方の位置に、凸部19を環状に包囲する基部20を有する。基部20と凸部19とは、底壁連結部21によって連結されている。底壁連結部21は、側方から見て、基部20と凸部19との間に配されてクランク状に屈曲した形状に形成されている。
底壁連結部21の外面には、外側曲面22(曲面の一例)が形成されている。また、底壁連結部21の内面には、内側曲面23(曲面の一例)が形成されている。
本実施形態においては、外側曲面22の曲率半径P1は0.35mmとされる。また、内側曲面23の曲率半径P2も、0.35mmとされる。
(側壁18)
側壁18は円筒形状をなしており、側壁18の断面形状は円形状をなしている。側壁18の厚さ寸法は、底壁17の厚さ寸法よりも小さく設定されている。
側壁18のうち凸部19寄りの位置(本実施形態では下端部寄りの位置)には、側壁18の肉厚方向について外方に突出する肉厚部24が形成されている。換言すると、肉厚部24は、側壁18から、断面が円形状をなす側壁18の径方向外方に突出している。この肉厚部24の厚さ寸法は、側壁18のうち、肉厚部24と異なる部分の厚さ寸法よりも大きく設定されている。肉厚部24は、側壁18の全周に亘って形成されている。
側壁18の内面のうち、肉厚部24に対応する領域と、肉厚部24と異なる部分に対応する領域とは、面一に形成されている。また、側壁18の外面のうち、肉厚部24に対応する領域においては、肉厚部24のうち上側の部分の傾斜は、肉厚部24のうち下側の部分の傾斜よりも緩やかに形成されている。
(隅部連結部25)
底壁17の周縁部には、底壁17と側壁18との境界部分に隅部連結部25が形成されている。本実施形態においては、隅部連結部25は、底壁17に形成された基部20と連結されている。隅部連結部25の外面には外側隅部曲面26(隅部曲面の一例)が形成されており、隅部連結部25の内面には内側隅部曲面27(隅部曲面の一例)が形成されている。外側隅部曲面26により、側壁18の外面と、底壁17の外面とは滑らかに連続している。また、内側隅部曲面27により、側壁18の内面と、底壁17の内面とは、滑らかに連続している。
(蓋部15)
図1に示すように、蓋部15は、後述する正極板28と、弾性を有する接続端子29を介して電気的に接続されており、電池10の正極端子として機能する。蓋部15は全体として円盤状の形状を有し、ケース12の開口部13を塞いでいる。具体的には、蓋部15の周縁部分が、絶縁性の合成樹脂等で形成されたガスケット30を介して、ケース12の開口部13の先端部に嵌められ、その先端部にかしめられている。これにより、蓋部15とケース12との絶縁性を保ちつつ、ケース12が密閉されている。なお、蓋部15には、安全弁31が設けられており、この安全弁31により、ケース12の内圧が所定値以上になったときに、ケース12内のガスを外部に排出することができる。
(蓄電要素11)
図1に示すように、蓄電要素11は、ケース12の収容空間14に収容されている。蓄電要素11は、正極板28、負極板16、及び、それらの間に配置されるセパレータ32が、例えばケース12の長手方向(本実施形態における上下方向)に沿った巻き軸を中心に渦巻き状に巻回された構成である。
正極板28は、例えば、発泡ニッケル等の正極金属板に、水酸化ニッケル等の正極活物質、及びコバルト化合物等の導電剤等の混合物を塗布したものである。負極板16は、例えばニッケルめっきを施した平板状の穿孔鋼板等の負極金属板に、カドミウム粉末や水素吸蔵合金の粉末等の負極活物質を塗布したものである。セパレータ32は、例えばポリオレフィン製の不織布からなる。セパレータ32には、水酸化カリウムあるいは水酸化ナトリウムを主成分とする電解液が含浸されている。
(製造工程)
続いて、本実施形態に係る電池10の製造工程の一例を説明する。なお、本実施形態の製造工程は以下の記述に限定されない。
ニッケルめっき鋼板を所定の形状にプレス加工することにより、ケース12を作成する。このケース12内に、蓄電要素11を収容する。次いで、ケース12内に電解液を注入し、蓄電要素11に含浸させる。
ケース12の開口部13にガスケット30を介して蓋部15を重ね、ケース12の側壁18の先端部を蓋部15にかしめつける。これによりケース12を蓋部15により封口する。
続いて、ケース12に対して縮径工程を実行する。これにより、ケース12を電池10の規格の幅寸法に縮径する。
(サンプル1〜23)
本実施形態に係る電池10において、凸部19の直径D1を異ならせたサンプル1〜23につき、一般的なCAE(Computer Aided Engineering)解析手法を行い、凸部19の直径D1の、底壁17の直径D2に対する比と、底壁17及び凸部19の中心部分の、ケース12の外方への変位量と、の関係を算出した。結果を図4に示す。また、凸部19の直径D1の、底壁17の直径D2に対する比と、底壁17及び凸部19の中心部分の、底壁17の中心部分Cの外方(図1における下方)への変位量と、を表1にまとめた。
サンプル1〜23に係る電池10の各部の寸法を、以下に示す。底壁17の直径D2は、7.05mmとした。底壁17の厚さ寸法は、0.30mmとした。側壁18の厚さ寸法は0.13mmとした。
凸部19の、基部20の外面(下面)からの外方(下方)への突出寸法は、底壁17の厚さ寸法と同じである、0.30mmとした。
サンプル1〜23においては、内側隅部曲面27の曲率半径Q2は0.65mmとした。一方、外側隅部曲面26は、複数(本解析例では2つ)の曲率半径を有する曲面が滑らかに連続して形成されている。底壁17の近傍の領域の外側隅部曲面26の曲率半径Q11は、0.60mmとした。また、側壁18の近傍の領域の外側隅部曲面26の曲率半径Q12は、0.80mmとした。
ケース12を構成するニッケルめっき鋼板のヤング率を1.72×1011Pa、ポアソン比を0.23、降伏応力を1.95×10Pa、接線係数を5.99×10Paとした。
解析は、以下のようにして行った。まず、初期状態として、電池10の温度を25℃とし、電池10の内圧および外圧を0Paとした。この時点における底壁17の中心部分Cの位置を、本解析における、底壁17の中心部分Cの基準位置とした。その後、電池10の内圧を2MPaとし、この圧力で1秒間保持させた。その後、電池10の内圧を0Paに減じて除荷した。除荷後、底壁17が復帰変形した状態における底壁17の中心部分Cの位置を算出した。そして、底壁17の中心部分Cの基準位置と、除荷後における底壁17の中心部分Cの位置との差を、底壁17の中心部分Cの外方への変位量とした。
Figure 0006447861
(作用、効果)
続いて、サンプル1〜23の作用、効果について説明する。サンプル3〜23は実施例とされ、サンプル1〜2は比較例とされる。サンプル3〜23に係る蓄電素子は、蓄電要素11と、有底円筒形状をなすと共に内部に蓄電要素11が収容されるケース12と、を備え、ケース12は、円盤状をなす底壁17と、底壁17の側縁から立ち上がる側壁18と、を有し、底壁17は、底壁17と同心円形状をなすと共に、ケース12の外方に突出する凸部19を有する。これにより、底壁17に形成された凸部19によって底壁17が補強される。これにより、ケース12内の内圧が上昇した場合であっても、ケース12の底壁17が変形することを抑制することができる。
また、表1より、凸部19の直径D1の、底壁17の直径D2に対する比は、0.20〜0.95が好ましい。これにより、ケース12の底壁17が変形することを抑制することができるようになっている。凸部19の直径D1の、底壁17の直径D2に対する比が、0.20よりも小さい場合には、底壁17の変形を十分に抑制することができないので好ましくない。また、凸部19の直径D1の、底壁17の直径D2に対する比が0.95よりも大きい場合には、底壁17の直径D2と凸部19の直径D1とがほとんど等しくなってしまい、凸部19を形成することが困難になるので好ましくない。
凸部19の直径D1の、底壁17の直径D2に対する比が、0.38〜0.85である場合には、底壁17の変位量が小さくなるので、より好ましい。また、凸部19の直径D1の、底壁17の直径D2に対する比が、0.52〜0.80である場合には、底壁17の変位量が小さくなるので、特に好ましい。
また、サンプル3〜23によれば、側壁18の厚さ寸法T1は底壁17の厚さ寸法T2よりも小さく設定されている。これにより、側壁18の厚さ寸法T1と、底壁17の厚さ寸法T2とを同じに設定した場合に比べて、ケース12の容積を大きくすることができるので、電池10を高容量化することができる。
また、サンプル3〜23によれば、側壁18の外面には、底壁17寄りの位置に、外方に突出する肉厚部24が形成されており、肉厚部24の厚さ寸法は、側壁18のうち肉厚部24と異なる部分の厚さ寸法よりも大きく設定されている。側壁18のうち底壁17寄りの領域は、ケース12内の内圧が上昇したときに、応力が集中しやすくなっている。そこで、サンプル1〜23においては、側壁18のうち底壁17寄りの位置に肉厚部24が形成されている。これにより、ケース12内の内圧が上昇した場合でも、ケース12の側壁18が変形することを抑制することができる。
また、サンプル3〜23によれば、底壁17は、凸部19よりも底壁17の径方向の外方に位置する基部20を有し、基部20と凸部19とは底壁連結部21によって連結されており、底壁連結部21の内面及び外面の、双方又は一方には曲面が形成されている。凸部19と、基部20とが連結された底壁連結部21には、ケース12内の内圧が上昇したときに、応力が集中しやすくなっている。そこで、サンプル13〜23においては、底壁連結部21の内面及び外面の、双方又は一方には曲面が形成される構成とした。これにより、底壁連結部21に応力が集中することが抑制されるので、ケース12の底壁17が変形することを抑制することができる。
<サンプル24〜29>
続いて、サンプル24〜29について説明する。サンプル24〜29においては、図5及び図6に示すように、外側隅部曲面26の曲率半径Q1、及び内側隅部曲面27の曲率半径Q2を同じ値としつつ、曲率半径Q1及び曲率半径Q2の値を種々に変化させた場合における、底壁17の中心部分Cの変位量を、CAE解析の手法により解析した。
サンプル24〜29は、上記以外の構成については、サンプル9とほぼ同様の構成とした。また、サンプル24〜29について、サンプル1〜23と同様にしてCAE解析を行った。サンプル24〜サンプル29の解析結果を、表2と、図7にまとめた。
Figure 0006447861
(作用、効果)
サンプル24〜29は実施例とされる。サンプル24〜29においては、底壁17の周縁部には、底壁17と側壁18とが連結される隅部連結部25が形成されている。隅部連結部25の内面には内側隅部曲面27が形成されており、隅部連結部25の外面には外側隅部曲面26が形成されている。内側隅部曲面27の曲率半径Q2、及び外側隅部曲面26の曲率半径Q1の双方は、同じ値に設定されており、且つ、0.40mm〜1.40mmに設定されている。サンプル24〜29においては、底壁17の厚さ寸法は0.30mmであるので、内側隅部曲面27の曲率半径Q2の、底壁17の厚さ寸法に対する比は、1.33〜4.67とされる。また、外側隅部曲面26の曲率半径Q1の、底壁17の厚さ寸法に対する比も、1.33〜4.67とされる。
なお、曲率半径の、底壁の厚さ寸法に対する比は、下記の式で表される。
(曲率半径)/(底壁の厚さ寸法)
隅部連結部25は、底壁17の周縁部であって、底壁17と側壁18との境界に形成されている。このため、隅部連結部25には、ケース12内の内圧が上昇したときに応力が集中しやすくなっている。そこで、サンプル24〜29においては、隅部連結部25の内面に内側隅部曲面27を形成し、隅部連結部25の外面に外側隅部曲面26を形成する構成とした、これにより、ケース12内の内圧が上昇した場合でも、隅部連結部25に応力が集中することが抑制されるので、ケース12が変形することが抑制される。
また、外側隅部曲面26の曲率半径Q1の、底壁17の厚さ寸法に対する比、及び内側隅部曲面27の曲率半径Q2の、底壁17の厚さ寸法に対する比の、少なくとも一つは、1.33〜4.67とされており、本実施形態では、外側隅部曲面26の曲率半径Q1の、底壁17の厚さ寸法に対する比、及び内側隅部曲面27の曲率半径Q2の、底壁17の厚さ寸法に対する比の双方が、1.33〜4.67とされている。この結果、隅部連結部25に応力が集中することを一層抑制することができるので、ケース12が変形することを更に抑制することができる。
図7に示すように、外側隅部曲面26の曲率半径Q1の、底壁17の厚さ寸法に対する比、及び内側隅部曲面27の曲率半径Q2の、底壁17の厚さ寸法に対する比が大きくなるに従って、底壁17の中心部分Cの外方への変位量は小さくなっている。これは、外側隅部曲面26の曲率半径Q1の、底壁17の厚さ寸法に対する比、及び内側隅部曲面27の曲率半径Q2の、底壁17の厚さ寸法に対する比が大きくなることにより、隅部連結部25における応力の集中が緩和されるためであると考えられる。
外側隅部曲面26の曲率半径Q1の、底壁17の厚さ寸法に対する比、又は内側隅部曲面27の曲率半径Q2の、底壁17の厚さ寸法に対する比が、1.33〜4.67である場合には、底壁17の変位量を小さくしつつ、蓄電要素11を隙間空間を少なく収納できるので、より好ましい。更に詳細に説明すると、1.33未満では底壁17の変位量が大きくなり過ぎるので好ましくない。また4.67より大きいと、蓄電要素11をケース12に収納した際に,丸まった部分には蓄電要素11を収納することができず,曲率のついた箇所は空の空間になってしまうので好ましくない。加えて,空間が空いてしまうと,蓄電要素11が振動によって型崩れする虞もあるので好ましくない。
また、外側隅部曲面26の曲率半径Q1、底壁17の厚さ寸法に対する比、又は内側隅部曲面27の曲率半径Q2、底壁17の厚さ寸法に対する比が、1.33〜2.67である場合には、上記と同様なので、特に好ましい。
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を、図8ないし図10を参照しつつ説明する。本実施形態においては、基部20の内面と底壁連結部21の内面との間には内側第1曲面33が形成されている。これにより、基部20の内面と底壁連結部21の内面とは滑らかに連結されている。また、底壁連結部21の内面と凸部19の内面との間には内側第2曲面34が形成されている。これにより、底壁連結部21の内面と凸部19の内面とは滑らかに連結されている。
一方、基部20の外面と底壁連結部21の外面との間には外側第1曲面35が形成されている。これにより、基部20の外面と底壁連結部21の外面とは滑らかに連結されている。また、底壁連結部21の外面と凸部19の外面との間には外側第2曲面36が形成されている。これにより、底壁連結部21の外面と凸部19の外面とは滑らかに連結されている。
本実施形態においては、内側第1曲面33の曲率半径R2、内側第2曲面34の曲率半径S2、外側第1曲面35の曲率半径R1、及び外側第2曲面36の曲率半径S1は、全て同じ値に設定されている。本実施形態においては、内側第1曲面33の曲率半径R2の底壁17の厚さ寸法T2に対する比、内側第2曲面34の曲率半径S2の底壁17の厚さ寸法T2に対する比、外側第1曲面35の曲率半径R1の底壁17の厚さ寸法T2に対する比、及び外側第2曲面36の曲率半径S1の底壁17の厚さ寸法T2に対する比は0.50〜11.90とされる。
上記以外の構成については、実施形態1のサンプル9と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(サンプル30〜49)
続いて、サンプル30〜49について説明する。サンプル30〜49においては、図9に示すように、内側第1曲面33の曲率半径R2、内側第2曲面34の曲率半径S2、外側第1曲面35の曲率半径R1、及び外側第2曲面36の曲率半径S1を同じ値としつつ、種々の値に変化させた場合における、底壁17の中心部分Cの変位量を、CAE解析の手法により解析した。
上記以外の構成については、サンプル1〜23と同様にしてCAE解析を行った。サンプル30〜49の解析結果を、表3と、図10にまとめた。サンプル30〜49は実施例とされる。
Figure 0006447861
(作用、効果)
凸部19と、基部20とが連結された底壁連結部21には、ケース12内の内圧が上昇したときに、応力が集中しやすくなっている。そこで、サンプル30〜49においては、基部20の内面と底壁連結部21の内面との間には内側第1曲面33を形成し、底壁連結部21の内面と凸部19の内面との間には内側第2曲面34を形成し、基部20の外面と底壁連結部21の外面との間には外側第1曲面35を形成し、底壁連結部21の外面と凸部19の外面との間には外側第2曲面36を形成している。これにより、基部20と底壁連結部21との間、及び凸部19と底壁連結部21との間は、滑らかな曲面で連結されている。この結果、ケース12内の内圧が上昇した場合でも、底壁連結部21に応力が集中することが抑制されるので、ケース12の底壁17が変形することを抑制することができる。
更に、内側第1曲面33の曲率半径R2、内側第2曲面34の曲率半径S2、外側第1曲面35の曲率半径R1、及び外側第2曲面36の曲率半径S1の少なくとも一つは、底壁17の厚さ寸法T2に対して0.50〜11.90とされている。本実施形態においては、内側第1曲面33の曲率半径R2の底壁17の厚さ寸法T2に対する比、内側第2曲面34の曲率半径S2の底壁17の厚さ寸法T2に対する比、外側第1曲面35の曲率半径R1の底壁17の厚さ寸法T2に対する比、及び外側第2曲面36の曲率半径S1の底壁17の厚さ寸法T2に対する比は、全て、0.50〜11.90とされている。この結果、底壁連結部21に応力が集中することを一層抑制することができるので、ケース12の底壁17が変形することを更に抑制することができる。
内側第1曲面33の曲率半径R2、内側第2曲面34の曲率半径S2、外側第1曲面35の曲率半径R1、及び外側第2曲面36の曲率半径S1の少なくとも一つが、底壁17の厚さ寸法T2に対して、0.50〜9.17である場合には、底壁17の変位量が小さくなるので、より好ましい。また、内側第1曲面33の曲率半径R2、内側第2曲面34の曲率半径S2、外側第1曲面35の曲率半径R1、及び外側第2曲面36の曲率半径S1の少なくとも一つが、底壁17の厚さ寸法T2に対して、1.00〜7.17である場合には、底壁17の変位量が小さくなるので、特に好ましい。
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような態様も含まれる。
本実施形態においては、蓄電素子はアルカリ蓄電池としたが、これに限られず、蓄電素子はキャパシタ、コンデンサでもよい。また、蓄電素子は、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオン電池等、アルカリ蓄電池と異なる二次電池であってもよい。
本実施形態においては、側壁18の厚さ寸法T1は、底壁17の厚さ寸法T2よりも小さく設定されていたが、これに限られず、側壁18の厚さ寸法T1は、底壁17の厚さ寸法T2と同じか、又は、大きく設定されていてもよい。
本実施形態においては、側壁18の外面には肉厚部24が形成される構成としたが、肉厚部24を設けない構成としてもよい。
本実施形態1においては、底壁連結部21の内面及び外面の双方に曲面が形成される構成としたが、これに限られず、底壁連結部21の内面のみに曲面が形成される構成としてもよく、また、底壁連結部21の外面のみに曲面が形成される構成としてもよい。
本実施形態1においては、内側曲面23の曲率半径P2と、外側曲面22の曲率半径P1とは同じに設定される構成としたが、これに限られず、内側曲面23の曲率半径P2と、外側曲面22の曲率半径P1とが異なっていてもよい。
本実施形態2においては、内側第1曲面33の曲率半径R2、外側第1曲面35の曲率半径R1、内側第2曲面34の曲率半径S2、及び外側第2曲面36の曲率半径S1は、全て同じに設定されていたが、これに限られず、内側第1曲面33の曲率半径R2、外側第1曲面35の曲率半径R1、内側第2曲面34の曲率半径S2、及び外側第2曲面36の曲率半径S1は、必要に応じて任意の値に設定することができる。
本実施形態2に係る内側第1曲面33、外側第1曲面35、内側第2曲面34、及び外側第2曲面36は、必要に応じて省略することができる。
本実施形態においては、隅部連結部25の内面に内側隅部曲面27が形成されて、且つ、隅部連結部25の外面に外側隅部曲面26が形成される構成としたが、これに限られず、隅部連結部25の内面のみに内側隅部曲面27が形成される構成としてもよく、また、隅部連結部25の外面のみに外側隅部曲面26が形成される構成としてもよい。
10:電池 11:蓄電要素 12:ケース 17:底壁 18:側壁 19:凸部 20:基部 21:底壁連結部 22:外側曲面 23:内側曲面 24:肉厚部 25:隅部連結部 26:外側隅部曲面 27:内側隅部曲面 33:内側第1曲面 34:内側第2曲面 35:外側第1曲面 36:外側第2曲面

Claims (6)

  1. 蓄電要素と、
    有底円筒形状をなすと共に内部に前記蓄電要素が収容されるケースと、を備えた蓄電素子であって、
    前記ケースは、円盤状をなす底壁と、前記底壁の側縁から立ち上がる側壁と、を有し、
    前記底壁は、前記底壁と同心円形状をなすと共に、前記ケースの外方に突出する凸部を有し、
    前記凸部の直径の、前記底壁の直径に対する比が0.20〜0.95であり、
    前記底壁は、前記凸部よりも前記底壁の径方向の外方に位置する基部を有し、
    前記基部と前記凸部とは底壁連結部によって連結されており、
    前記基部の内面と前記底壁連結部の内面との間には内側第1曲面が形成されており、
    前記底壁連結部の内面と前記凸部の内面との間には内側第2曲面が形成されており、
    前記基部の外面と前記底壁連結部の外面との間には外側第1曲面が形成されており、
    前記底壁連結部の外面と前記凸部の外面との間には外側第2曲面が形成されており、
    前記内側第1曲面、前記内側第2曲面、前記外側第1曲面、又は前記外側第2曲面の曲率半径の、前記底壁の厚さ寸法に対する比の少なくとも一つは0.50〜11.90である蓄電素子。
  2. 請求項1に記載の蓄電素子であって、
    前記側壁の外面には、前記底壁寄りの位置に、外方に突出する肉厚部が形成されており、
    前記肉厚部の厚さ寸法は、前記側壁のうち前記肉厚部と異なる部分の厚さ寸法よりも大きく設定されている蓄電素子。
  3. 請求項1または請求項2に記載の蓄電素子であって、
    前記底壁の周縁部には、前記底壁と前記側壁とが連結される隅部連結部が形成されており、
    前記隅部連結部の内面及び外面の双方又は一方には隅部曲面が形成されており、
    前記隅部曲面の曲率半径の、前記底壁の厚さ寸法に対する比の少なくとも一つは、1.33〜4.67である蓄電素子。
  4. 蓄電要素と、
    有底円筒形状をなすと共に内部に前記蓄電要素が収容されるケースと、を備えた蓄電素子であって、
    前記ケースは、円盤状をなす底壁と、前記底壁の側縁から立ち上がる側壁と、を有し、
    前記底壁は、前記底壁と同心円形状をなすと共に、前記ケースの外方に突出する凸部を有し、
    前記凸部の直径の、前記底壁の直径に対する比が0.20〜0.95であり、
    前記側壁の外面には、前記底壁寄りの位置に、外方に突出する肉厚部が形成されており、
    前記肉厚部の厚さ寸法は、前記側壁のうち前記肉厚部と異なる部分の厚さ寸法よりも大きく設定されている蓄電素子。
  5. 請求項4に記載の蓄電素子であって、
    前記底壁の周縁部には、前記底壁と前記側壁とが連結される隅部連結部が形成されており、
    前記隅部連結部の内面及び外面の双方又は一方には隅部曲面が形成されており、
    前記隅部曲面の曲率半径の、前記底壁の厚さ寸法に対する比の少なくとも一つは、1.33〜4.67である蓄電素子。
  6. 蓄電要素と、
    有底円筒形状をなすと共に内部に前記蓄電要素が収容されるケースと、を備えた蓄電素子であって、
    前記ケースは、円盤状をなす底壁と、前記底壁の側縁から立ち上がる側壁と、を有し、
    前記底壁は、前記底壁と同心円形状をなすと共に、前記ケースの外方に突出する凸部を有し、
    前記凸部の直径の、前記底壁の直径に対する比が0.20〜0.95であり、
    前記底壁の周縁部には、前記底壁と前記側壁とが連結される隅部連結部が形成されており、
    前記隅部連結部の内面及び外面の双方又は一方には隅部曲面が形成されており、
    前記隅部曲面の曲率半径の、前記底壁の厚さ寸法に対する比の少なくとも一つは、1.33〜4.67である蓄電素子。
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