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JP2009230991A - 円筒形電池及び円筒形電池の製造方法 - Google Patents

円筒形電池及び円筒形電池の製造方法 Download PDF

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JP2009230991A JP2008073761A JP2008073761A JP2009230991A JP 2009230991 A JP2009230991 A JP 2009230991A JP 2008073761 A JP2008073761 A JP 2008073761A JP 2008073761 A JP2008073761 A JP 2008073761A JP 2009230991 A JP2009230991 A JP 2009230991A
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Hiroyuki Shibaoka
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Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

【課題】凹部から内向き鍔部に渡る電池容器の密閉部の成形精度が高いことにより、密閉信頼性が高い円筒形電池を提供する。
【解決手段】円筒形電池は、周壁の一端側に中央よりも肉厚な肉厚領域(42)を有する金属製の電池容器材料(40)、極板(16,18)及び蓋材(24,28,30,32)を用いて組み立てられる。電池容器材料(40)の肉厚領域(42)には、周壁を蓋材(24,28,30,32)が配置される一端側の第1円筒部(47)と極板(16,18)が配置される他端側の第2円筒部(48)とに区画する凹部(38)と、肉厚領域(42)からなる電気容器材料(40)の部分が縮径された後に第1円筒部(47)の端縁を折り曲げて形成され、凹部(38)と協働して蓋材(24,28,30,32)を固定する内向き鍔部(36)とが形成される。
【選択図】図5

Description

本発明は、円筒形電池及び円筒形電池の製造方法に関する。
代表的な円筒形電池としては、円筒形のアルカリ蓄電池があり、その中でも、ニッケル水素蓄電池は、大容量且つクリーンである等の理由によって、近年、需要が拡大の一途を辿っている。
円筒形アルカリ蓄電池は、一端が開口した有底円筒状の外装缶を備える。外装缶の内部には電極群がアルカリ電解液とともに収容され、電極群は、セパレータを介して正極板及び負極板を渦巻状に巻回して形成される。外装缶を密封するため、外装缶の開口端には蓋材が配置される。ここで、外装缶には、開口端縁から所定の距離をおいて溝状の凹部が形成され、外装缶の開口端縁は、径方向内側に折り曲げられて内向き鍔部へと成形される。つまり、凹部から内向き鍔部に渡る外装缶の部分は、互いに協働して蓋材の外周部を挟み込み、密閉部として機能する。
ここで、外装缶は、板材を深絞り加工して円筒状に成形されるけれども、開口端側の部位が薄肉になると、内向き鍔部の強度が不足することから、外装缶の周壁の開口端側には肉厚な領域が設けられる(特許文献1、特許文献2)。
特開平5-114389号公報 特開2007-234305号公報
特許文献1及び特許文献2の電池では、確かに、外装缶の周壁の開口端側に肉厚領域を設けたことにより、周壁の開口端縁を径方向内側に折り曲げて内向き鍔部に成形したとき、内向き鍔部による蓋材の拘束力(封口強度)が高くなる。このため、外装缶の内部が高圧になったとしても、蓋材と外装缶との間から電解液やガスの漏出が防止されるものと考えられる。
しかしながら、内向き鍔部を成形して蓋材を固定した後、外装缶の外径を縮径する絞り工程を行った場合、外装缶の密閉性の低下を招く虞がある。これは以下の理由による。
外装缶の周壁の一端側に肉厚領域を設けた場合、外装缶への電極群の挿入性を考慮して、肉厚領域では径方向外側に厚さが増大される。このため絞り工程の前において、肉厚領域では、周壁の他端側に比べて外径が大きくなり、周壁の肉厚領域と他端側とを同時に縮径した場合、絞り工程での肉厚領域の縮径率が相対的に大きくなる。高い縮径率は、肉厚領域での絞り工程の成形精度の低下をもたらし、これにより外装缶の密閉性が低下する虞がある。
本発明は上述の事情に基づいてなされたものであって、その目的とするところは、凹部から内向き鍔部に渡る電池容器の密閉部の成形精度が高いことにより、密閉信頼性が高い円筒形電池を提供することにある。
上記目的を達成すべく、本発明によれば、周壁の一端側に中央よりも肉厚な肉厚領域を有する金属製の電池容器材料、極板及び蓋材を用いて組み立てられる円筒形電池において、前記電池容器材料の前記肉厚領域には、前記周壁を前記蓋材が配置される前記一端側の第1円筒部と前記極板が配置される他端側の第2円筒部とに区画する凹部と、前記肉厚領域からなる前記電気容器材料の部分が縮径された後に前記第1円筒部の端縁を折り曲げて形成され、前記凹部と協働して前記蓋材を固定する内向き鍔部とが形成されていることを特徴とする円筒形電池が提供される(請求項1)。
好ましくは、前記電池容器材料は、前記第2円筒部側に前記周壁と一体の端壁を有し、前記端壁の肉厚は、前記肉厚領域の肉厚よりも大である(請求項2)。
好ましくは、前記電池容器材料は、JIS G3141に規定されるSPCE及びSPCDのうちいずれかに相当する鉄鋼からのみなる(請求項3)。
好ましくは、前記肉厚領域は、前記周壁の他端側に向けて肉厚が徐々に減少するテーパ部を含み、前記第1円筒部の縮径前において、前記周壁の内径は前記肉厚領域と前記他端側とで同じである(請求項4)。
好ましくは、前記電池容器の軸線方向でみて、前記極板と前記肉厚領域との距離は0mm以上0.5mm以下の範囲にある(請求項5)。
また本発明によれば、周壁の一端側に中央よりも肉厚な肉厚領域を有する金属製の電池容器材料、極板及び蓋材を用いる円筒形電池の製造方法において、前記電池容器材料の前記肉厚領域に凹部を形成し、前記周壁を前記凹部よりも前記一端側の第1円筒部と他端側の第2円筒部とに区画する凹部形成工程と、前記凹部形成工程後に、前記第1円筒部内に蓋材を配置する配置工程と、前記配置工程後に、前記肉厚領域よりなる前記電池容器材料の部分を縮径する絞り工程と、前記絞り工程後に、前記第1円筒部の端縁を径方向内側に折り曲げるかしめ工程とを備えることを特徴とする円筒形電池の製造方法が提供される(請求項6)。
好ましくは、前記絞り工程後に前記第1円筒部及び第2円筒部を縮径する第2の絞り工程を更に備える(請求項7)。
本発明の請求項1の円筒形電池では、肉厚領域からなる電気容器材料の部分が縮径された後に、第1円筒部の端縁を折り曲げて内向き鍔部が形成される。肉厚領域からなる電気容器材料の部分を縮径した後に内向き鍔部を形成することにより、内向き鍔部の成形精度が向上し、密閉の信頼性が向上する。
また、内向き鍔部の形成後における第1円筒部の外径は、縮径されたことによって小さくなっており、この後に更に第1円筒部を縮径するとしても、縮径率を小さくすることができる。従って、内向き鍔部を形成後に更に絞り加工を行うときに、縮径率が小さいことにより成形精度が高くなる。この結果として、内向き鍔部から凹部に渡る外装缶の密閉部の成形精度が高くなり、密閉の信頼性が高くなる。
請求項2の円筒形電池は、端壁の肉厚が肉厚領域よりも厚いことにより、端壁にリード端子を溶接する場合の溶接性が維持されるとともに、電池内部圧力の増大による缶底膨れが起こり難くなる。
請求項3の円筒形電池では、電池容器がJIS G3141に規定されるSPCE及びSPCDのうちいずれかに相当する鉄鋼からのみなることにより、電池容器の部位によって肉厚を変える加工がしやすくなる。また、例えばテーパ部などの形状が大きく変化する部分の加工がしやすくなる。
請求項4の円筒形電池では、肉厚領域がテーパ部を有することにより、周壁における肉厚の変化率が小さく、応力集中が抑制され、周壁の不所望の変形が防止される。一方、前記周壁の内径は前記肉厚領域と前記他端側とで同じであるため、極板が電気容器内に容易に挿入される。
請求項5の円筒形電池では、極板と肉厚領域との間の距離が0mm以上0.5mm以下であるため、内向き鍔部を形成する際、肉厚領域と極板との間にて周壁が潰れ難い。
一方、極板と肉厚領域との間の距離が0mm以上であるため、肉厚領域からなる電池容器材料の部分を縮径しても極板が肉厚領域によって過剰に圧縮されることはなく、極板同士が直接接触して短絡することが防止される。
請求項6の円筒形電池の製造方法にあっては、絞り工程で肉厚領域からなる電池容器材料の部分が縮径された後に、かしめ工程で第1円筒部の端縁を折り曲げて内向き鍔部が形成される。絞り工程よりも前にかしめ工程を行うことにより、内向き鍔部の成形精度が向上し、密閉の信頼性が向上する。
請求項7の円筒形電池の製造方法にあっては、かしめ工程後における第1円筒部の外径は絞り工程で既に1回小さくされており、第2の絞り工程での第1円筒部の縮径率を小さくすることができる。従って、第2の絞り工程での外装缶の成形精度が高くなり、密閉の信頼性が高くなる。
図1は、本発明に係る一実施形態の円筒形電池として、ニッケル水素蓄電池を示す。
この電池は、例えば高さHが50.2mmで外径φが14.0mmのAAサイズの円筒形電池であり、金属製の電池容器(外装缶)10を備える。外装缶10は、一端が開口した有底円筒形状をなし、外装缶10の底壁の外面は、導電性を有した負極端子として機能する。
外装缶10内には略円柱状の電極群12が電解質としてのアルカリ電解液(図示せず)とともに収容され、電極群12の一端と外装缶10の底壁との間には、絶縁板14が配置されている。電極群12は、それぞれ帯状の正極板16、負極板18及びセパレータ20からなり、渦巻状に巻回された正極板16と負極板18との間にセパレータ20が挟まれている。即ち、セパレータ20を介して正極板16及び負極板18が互いに重ね合わされている。電極群12の最外周は負極板18の一部(最外周部)により形成され、負極板18の最外周部が外装缶10の周壁の内面と接触することで、負極板18と外装缶10とは互いに電気的に接続されている。
なお、正極板16としては、焼結式又は非焼結式のニッケル電極を用いることができ、負極板18としては、水素吸蔵合金電極を用いることができる。また、セパレータ20としては、例えばポリオレフィン系繊維の不織布に親水基を付加したものを用いることができ、アルカリ電解液としては、例えば、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液又はこれらの混合溶液を用いることができる。
電極群12の他端に位置する正極板16の部位には、正極リード22の一端が接続され、正極リード22の他端は、導電性を有する円形の蓋板24の内面に溶接されている。蓋板24は中央にガス抜き孔26を有し、蓋板24の外面上にはガス抜き孔26を塞ぐようにゴム製の弁体28が配置されている。更に、蓋板24の外面上には、弁体28を覆うフランジ付き円筒形状の正極端子30が固定され、正極端子30は弁体28を蓋板24に押圧している。
従って、通常時、ガス抜き孔26は、弁体28によって気密に閉塞される。一方、外装缶10内でガスが異常に発生し、その内圧が高まった場合には弁体28が圧縮され、ガス抜き孔26を通して外装缶10からガスが放出される。つまり、蓋板24、弁体28及び正極端子30は、安全弁を形成している。
蓋板24は、外装缶10の開口端に位置し、蓋板24の外周部と外装缶10の内周面との間には環状の絶縁ガスケット32が挟まれている。これら蓋板24及び絶縁ガスケット32は、電極群12よりも開口端側の外装缶10の部分をかしめ加工することによって外装缶10の開口端に固定され、絶縁ガスケット32によって、蓋板24の外周部と外装缶10との間が絶縁されるとともにシールされる。以下では、蓋板24、弁体28、正極端子30及び絶縁ガスケット32をまとめて蓋材ともいう。
より詳しくは、外装缶10の開口端縁は、径方向内側に折り曲げられて、内向き鍔部36を形成している。内向き鍔部36から所定距離だけ離れた外装缶10の周壁の部位には、径方向内側に突出する溝状の凹部38が形成され、内向き鍔部36及び凹部38は互いの間に位置する蓋板24の外周部及び絶縁ガスケット32を外装缶10の軸線方向、すなわち蓋板24の厚さ方向に挟み込む。このため、本明細書では、内向き鍔部36から凹部38に渡る外装缶10の部分を密閉部39ともいう。
図2は、外装缶10の材料としての材料缶40を示し、材料缶40に電極群12が挿入され、その後、かしめ加工が行われる。材料缶40は、絞り加工によって板状の素材を成形することによって得られ、好ましくは、材料缶40の素材として、JIS G3141に規定されたSPCD(絞り用)及びSPCE(深絞り用)のいずれかに相当する鋼板(冷間圧延鋼板)が用いられる。材料缶40の内面又は外面には必要に応じてNiめっき等の表面処理が施されていてもよいが、好ましくは、外装缶10は冷間圧延鋼板のみからなる。
材料缶40は、一端が開口した有底円筒状をなすけれども、その周壁の厚さは、部位によって異なる。具体的には、開口端側の周壁の部位(以下、肉厚領域ともいい、符号42を付す)は、底壁側の残りの周壁の部位(以下、薄肉領域ともいい、符号44を付す)よりも肉厚である。好ましくは、材料缶40の底壁の厚さTbは肉厚領域42の厚さTdよりも厚い。
そして、肉厚領域42は、薄肉領域44側にテーパ部46を有するのが好ましく、テーパ部46の厚さは、薄肉領域44に向けて徐々に減少する。ただし、材料缶40の周壁の内径は、肉厚領域42から薄肉領域44に渡り一定であり、肉厚領域42の厚さは、薄肉領域44に比べて、径方向外側に向けて増大されている。
以下、上述した電池の組み立て方法を概略的に説明する。
材料缶40に電極群12を挿入した後、材料缶40に凹部38を形成する(凹部形成工程)。凹部38は、材料缶40の開口端縁から所定距離をおいて肉厚領域42に形成され、材料缶40の周壁を、開口端側の第1円筒部47と電極群12を収容した底壁側の第2円筒部48とに区画する。
凹部38の形成後、他端が蓋材の蓋板24に溶接された正極リード22の一端を正極板16の所定部位に溶接する。この後、正極リード22を所定の形状に折り曲げて、図3に示したように、蓋材を材料缶40の第1円筒部47に配置する(配置工程)。
配置工程の後、図4に示したように、金型49を用いて、肉厚領域42により形成されている材料缶40の周壁の部分を縮径する(第1の絞り工程)。
第1の絞り工程の後、図5に示したように、金型50を用いて第1円筒部47の開口端縁を径方向内側に折り曲げ、内向き鍔部36を形成する。この後、図6に示したように、材料缶40の外径を開口端から底壁に渡り金型51で縮径し(第2の絞り工程)、図1に示した電池が得られる。なお、アルカリ電解液は、電極群12の挿入後、蓋材を材料缶40の開口端に配置するまでの間に材料缶40内に注入される。
内向き鍔部36から凹部38に渡る外装缶10の密閉部39は、肉厚領域42により形成されており、電極群12を囲む外装缶10の部位よりも肉厚である。すなわち、材料缶40の肉厚領域42に対応して、外装缶10は開口端側に肉厚領域52を有し、また、材料缶40の薄肉領域44に対応して、外装缶10は、肉厚領域52よりも薄く且つ電極群12を囲む薄肉領域54を有する。
そして、再び図1を参照すると、この電池では、軸線方向でみて、肉厚領域52と電極群12の正極板16及び負極板18の双方との距離Lは、0mm以上1.2mm以下の範囲にあり、好ましくは、0mm以上0.5mm以下の範囲にある。
なお、前述の第1の絞り工程にて、肉厚領域42により形成される周壁の部分は縮径されるため、材料缶40のテーパ部46に対応して、外装缶10の内周面側にテーパ部56が形成される。従って、距離Lは、テーパ部56と正極板16及び負極板18の双方との間の距離でもある。
上述したニッケル水素蓄電池では、内向き鍔部36から凹部38に渡る外装缶10の密閉部39が肉厚領域52により形成されているため、密閉部39の強度が高い。このため、密閉部39による封口強度が高く、蓋材が外装缶10の密閉部39から外れ難く、且つ蓋材の外周部と外装缶10の密閉部39との間でのシール性が高い。この一方、密閉部39の強度を確保したことで、電極群12を囲む外装缶10の薄肉領域54をより薄くすることが可能になり、電極群12を大径化し、もって高容量化が図られる。
更に、このニッケル水素蓄電池では、肉厚領域42からなる材料缶40の部分を縮径した後に内向き鍔部36を形成することにより、内向き鍔部36の成形精度が向上し、密閉の信頼性が向上する。
また、内向き鍔部36の形成後における第1円筒部47の外径は、縮径されたことによって小さくなっており、この後に更に第1円筒部47を縮径する際、縮径率を小さくすることができる。従って、第2の絞り加工での縮径率が小さいことにより密閉部39の成形精度が高くなり、この結果としても、密閉の信頼性が高くなる。
そして、この電池では、外装缶10の肉厚領域52と電極群12の正極板16及び負極板18との間の距離Lが1.2mm以下であるため、密閉部39と電極群12との間に位置する外装缶10の部位が、かしめ加工の際に潰れ難い。
また、この距離Lが0mm以上であるため、正極板16と負極板18とが重なり合っている電極群12の部位が肉厚領域52によって囲まれることはない。従って、肉厚領域52が正極板16及び負極板18を径方向にて過剰に締め付けることはなく、セパレータ20を突き破って正極板16及び負極板18が直接接触することが防止される。
これらの結果として、この電池は、外装缶10の薄肉化による高容量化に適し、封口強度及びシール性が高く、外装缶10の変形及び内部ショートが防止される。
1.電池の組立て
図2に示した材料缶40を用いて、表1に示した各条件にて、実施例1〜9及び比較例1の円筒形のニッケル水素蓄電池を200個ずつ製造した。
表1中の各項目については、以下の通りである。
(1)第1の絞り工程の有無及びその絞り量
実施例1〜9では、前述したように配置工程とかしめ工程との間に第1の絞り工程を行った。これに対して、比較例1では、第1の絞り工程を行わなかった。
第1の絞り工程における絞り量とは、用意したままの材料缶40の薄肉領域44の外径に対する、第1の絞り工程で圧縮された肉厚領域42からなる材料缶の部分の外径の比を百分率にて表したものである。
(2)電池縮径率
電池縮径率とは、第1の絞り工程にて圧縮された後の肉厚領域42からなる材料缶40の部分の外径をD1とし、第2の絞り工程で圧縮された後の薄肉領域54からなる外装缶10の部分の外径をD2とし、用意したままの材料缶40の肉厚領域42の外径をD3としたとき、以下の式で表される。
電池縮径率=(D1−D2)÷D3×100
なお、比較例1では、第1の絞り工程を行っていないため、D1にD3と同じ値を代入した。
(3)寸法Aの平均値及び標準偏差
寸法Aは、図1に示したように、外装缶10の軸線方向でみたときの凹部38から内向き鍔部36までの距離である。各実施例及び比較例の200個の電池について寸法Aを測定し、その平均値及び標準偏差を表1に示した。
(4)寸法Bの平均値及び標準偏差
寸法Bは、図1に示したように、蓋板24と凹部38との間に挟まれた圧縮状態の絶縁ガスケット32の部分の厚さである。各実施例及び比較例の200個の電池について寸法Bを測定し、その平均値及び標準偏差を表1に示した。
(5)電池における側面凹み
電池における側面凹みの欄には、各実施例及び比較例の200個の電池について、側面の凹みの有無を目視にて確認し、その結果を示した。分子は、側面に凹みが有った電池の数であり、分母は、確認した電池の総数である。
2.電池の評価
表1から以下のことが明らかである。
(1)寸法A及び寸法Bの標準偏差は、密閉部の成形精度を示すものであり、小さい方が好ましい。この観点から、絞り量は100.2%以下であるのが好ましく、100.1%以下であるのがより好ましい。
(2)一方、絞り量が99.8%を下回ると、側面に凹みが発生することから、絞り量は99.8%以上であるのが好ましく、99.9%以上であるのがより好ましい。
なお、側面に発生する凹みは傷のような凹みである。絞り量が大きくなると、第1の絞り工程後において肉厚領域42からなる材料缶40の部分と、薄肉領域44からなる材料缶40の部分との境界に段差が生じ、第2の絞り工程でこの段差に起因して凹みが発生する。
本発明は上記した一実施形態及び実施例に限定されることはなく、種々変形が可能である。
例えば、一実施形態において、肉厚領域52及び薄肉領域54の厚さは、特に限定されないが、肉厚領域52の厚さは、薄肉領域54の厚さの100%を超え且つ150%以下の範囲にあるのが好ましい。この場合、肉厚領域52の強度が薄肉領域54の強度よりも強くなり過ぎることがなく、かしめ加工の際、肉厚領域52と薄肉領域54との境界近傍の外装缶10(材料缶40)の部位の潰れが一層防止される。
一実施形態では、肉厚領域52が薄肉領域54側にテーパ部56を有していたけれども、段差をもって肉厚領域52と薄肉領域54とが連なっていてもよい。ただし、肉厚領域52が薄肉領域54側にテーパ部56を有するのが好ましく、この場合、かしめ加工の際、肉厚領域52と薄肉領域54との境界近傍に位置する外装缶10(材料缶40)の部位に応力が集中するのが防止される。この結果として、かしめ加工の際、肉厚領域52と薄肉領域54との境界近傍に位置する外装缶10(材料缶40)の部位の潰れが一層防止される。
そして、この場合、外装缶10のテーパ部56のテーパ角度、換言すれば、材料缶40のテーパ部46のテーパ角度は、特に限定されないけれども、0度を超え5度以下の範囲にあるのが好ましい。かしめ加工の際、肉厚領域52と薄肉領域54との境界近傍に位置する外装缶10(材料缶40)の部位の潰れがより確実に防止されるからである。
なお、本発明の円筒形電池は、アルカリ蓄電池のみならず、一次電池にも適用可能なのは勿論であるけれども、電池内圧が高くなるニッケル水素蓄電池等のアルカリ蓄電池に特に適する。
Figure 2009230991
一実施形態のニッケル水素蓄電池の縦断面を示す図である。 図1の電池に用いられた材料缶の縦断面を概略的に示す図である。 図1の電池の組み立て工程のうち、配置工程を説明するための図である。 図1の電池の組み立て工程のうち、第1の絞り工程を説明するための図である。 図1の電池の組み立て工程のうち、かしめ工程を説明するための図である。 図1の電池の組み立て工程のうち、第2の絞り工程を説明するための図である。
符号の説明
10 外装缶
12 電極群
16 正極板(極板)
18 負極板(極板)
20 セパレータ
24 蓋板(蓋材)
28 弁体(蓋材)
30 正極端子(蓋材)
32 絶縁ガスケット(蓋材)
36 内向き鍔部
38 凹部
40 材料缶(電池容器材料)
42 肉厚領域
47 第1円筒部
48 第2円筒部

Claims (7)

  1. 周壁の一端側に中央よりも肉厚な肉厚領域を有する金属製の電池容器材料、極板及び蓋材を用いて組み立てられる円筒形電池において、
    前記電池容器材料の前記肉厚領域には、
    前記周壁を前記蓋材が配置される前記一端側の第1円筒部と前記極板が配置される他端側の第2円筒部とに区画する凹部と、
    前記肉厚領域からなる前記電気容器材料の部分が縮径された後に前記第1円筒部の端縁を折り曲げて形成され、前記凹部と協働して前記蓋材を固定する内向き鍔部と
    が形成されている
    ことを特徴とする円筒形電池。
  2. 前記電池容器材料は、前記第2円筒部側に前記周壁と一体の端壁を有し、
    前記端壁の肉厚は、前記肉厚領域の肉厚よりも大である
    ことを特徴とする請求項1に記載の円筒形電池。
  3. 前記電池容器材料は、JIS G3141に規定されるSPCE及びSPCDのうちいずれかに相当する鉄鋼からのみなることを特徴とする請求項1又は2に記載の円筒形電池。
  4. 前記肉厚領域は、前記周壁の他端側に向けて肉厚が徐々に減少するテーパ部を含み、
    前記第1円筒部の縮径前において、前記周壁の内径は前記肉厚領域と前記他端側とで同じであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の円筒形電池。
  5. 前記電池容器の軸線方向でみて、前記極板と前記肉厚領域との距離は0mm以上0.5mm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の円筒形電池。
  6. 周壁の一端側に中央よりも肉厚な肉厚領域を有する金属製の電池容器材料、極板及び蓋材を用いる円筒形電池の製造方法において、
    前記電池容器材料の前記肉厚領域に凹部を形成し、前記周壁を前記凹部よりも前記一端側の第1円筒部と他端側の第2円筒部とに区画する凹部形成工程と、
    前記凹部形成工程後に、前記第1円筒部内に蓋材を配置する配置工程と、
    前記配置工程後に、前記肉厚領域よりなる前記電池容器材料の部分を縮径する絞り工程と、
    前記絞り工程後に、前記第1円筒部の端縁を径方向内側に折り曲げるかしめ工程と
    を備えることを特徴とする円筒形電池の製造方法。
  7. 前記絞り工程後に前記第1円筒部及び第2円筒部を縮径する第2の絞り工程を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の円筒形電池の製造方法。
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