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JP6313007B2 - 乾燥即席麺及びその製造方法 - Google Patents

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JP6313007B2 JP2013204802A JP2013204802A JP6313007B2 JP 6313007 B2 JP6313007 B2 JP 6313007B2 JP 2013204802 A JP2013204802 A JP 2013204802A JP 2013204802 A JP2013204802 A JP 2013204802A JP 6313007 B2 JP6313007 B2 JP 6313007B2
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Description

本発明は、乾燥即席麺及びその製造方法に関する。
即席麺の製造方法は、フライ(油揚げ)麺とノンフライ麺に大別することができる。フライ麺は、α化処理した麺線を150℃前後の油でフライ処理して乾燥させたものである。一方、ノンフライ麺とは、α化処理した麺線を、油で揚げる以外の乾燥方法により乾燥させたものであり、幾つか方法があるが、70〜100℃程度で風速5m/s以下程度の熱風を当てて30分から90分程度乾燥させる熱風乾燥方法が一般的で、その他には、低温で長時間乾燥させる低温乾燥方法や、100℃〜200℃程度の高温高速の気流を麺線に当てる高温高速気流乾燥方法(例えば、特許文献1参照)がある。
熱風乾燥によるノンフライ麺は、フライ麺よりも麺線内部が緻密であり、より生麺的な食感を有する。フライ麺は、フライ油内で麺線が浮揚しつつ水分が蒸散して形状が固定され、麺塊は比較的嵩高く、麺線同士の結着も比較的起こりにくいため、調理時、喫食時のほぐれが良い。これに対して、熱風乾燥によるノンフライ麺は、α化処理した麺線をリテーナに入れて空気中で乾燥するので、重力によって麺線は下方に圧縮されて麺線同士が接触しやすい。特に麺塊の下方は麺線が密集して結着しやすいため、調理時、喫食時のほぐれが悪く、また、結着した箇所は調理時に湯が入りにくいため、その箇所は湯戻りせずに食感が悪くなるという問題がある。
ところで、従来の即席麺は、麺線切り出し時に切刃の直下に据えたウェーブボックスと呼ばれる箱形の導管により麺線にウェーブを付与した、いわゆる「ウェーブ麺」と呼ばれる麺が一般的であった。これにより、重なり合う麺線相互間の接点を少なくすることができるため、α化工程においても麺線同士の結着を少なくすることができるという利点が得られる。
一方、近年、消費者の趣向の多様化を反映し、麺線にウェーブを付与せず、またはウェーブを少なくし、湯戻しすると麺線が略直線状となるようにした、いわゆる「ストレート麺」と呼ばれる麺を用いた即席麺が普及してきている(例えば、特許文献2、3参照)。このストレート麺は、蒸煮等によりα化させた後リテーナに入れて熱風乾燥すると、ウェーブ麺よりも麺線相互間が密集した状態となり易い。特にリテーナ底面付近の麺線は、上に載る麺線の重みにより顕著に密度が高くなる傾向があり、ウェーブ麺のノンフライ麺よりも乾燥時に麺線同士が結着しやすく、また、熱風の通りが悪いので乾燥に時間がかかり、さらには乾燥ムラにも繋がるという問題があった。その結果、喫食時のほぐれ、戻りの悪化、戻りムラ、食感ムラ、保存時の割れ等の原因ともなっていた。
従来より、ノンフライ麺のほぐれを改善する方法として、ほぐれ剤を麺線に練り込んだり麺線表面に付着させることで、ほぐれ剤を麺線に添加する方法が知られている(例えば、特許文献4、5参照)。これらの方法を用いると、ある程度のほぐれ改善効果は得られるが、麺線の重みにより麺線相互間が密集することは避けられず、乾燥中の麺線同士の結着が起こってしまい、ほぐれ改善の効果は十分に得られなかった。
また、麺線の結着を防止する技術として、蒸煮途中または蒸煮直後に乳化液を付着させ、圧縮空気を吹き付けてほぐす方法が知られている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、この方法では、蒸煮時の結着を防止することはできるが、乾燥前の麺線水分は下がらないため、麺線の重みにより麺線相互間が密集し、乾燥中の麺線同士の結着が起こってしまい、ほぐれ改善の効果は十分に得られなかった。
また、麺線相互間の密度を低くして空隙を持たせほぐれを改善する技術として、乾燥前の麺線の水分を下げる方法(例えば、特許文献7参照)や麺塊を嵩高く乾燥させる方法(例えば、特許文献8参照)が知られている。
特許文献7記載の方法は、α化後の麺線に対し、動植物油脂の乳化物を添加した着味液を付着させ、過熱蒸気で膨化がおきない程度に加熱し、加熱した麺線を乾燥する方法である。この方法によると、麺線をカットする前の段階で高いエネルギーを持つ過熱蒸気により加熱するため、麺線同士が結着してしまい、その後、カットする前の麺線を引き伸ばす工程で上手く引き伸ばせなかったり、麺線が切れたりしてカット後の麺線重量にバラツキが発生してしまう問題があった。また、乾燥前に麺線水分が低くなることで、麺線の重みによる麺線相互間の密度は緩和されるものの、乾燥前に結着した麺は喫食時にほぐれにくいため、結果的にほぐれの良い麺を得ることはできなかった。
特許文献8記載の方法は、所定の水分まで乾燥した後に温風圧縮空気を下から吹き付ける方法である。この方法によっても、温風圧縮空気を吹き付ける前の段階で、麺線の自重により麺線相互間の密度が高くなり、表面がゆっくりと乾いていくため、麺線表面の粘性が高くなり、温風圧縮空気によるほぐし効果が弱まり、やはり十分な効果は得られなかった。
特開平9−51773号公報 特許第4381470号公報 特許第4860773号公報 特開2000−139387号公報 特開2001−314163号公報 特開平3−251150号公報 特開2011−244725号公報 特開平3−251148号公報
本発明は、喫食時のほぐれの良い乾燥即席麺及びその製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明に係る乾燥即席麺の製造方法は、α化した麺線に対し麺用ほぐれ剤を付着させるほぐれ剤付着工程と、前記ほぐれ剤付着工程の後、風速30m/s以上、温度60℃〜160℃の熱風を5〜240秒間前記麺線に吹き付けて乾燥させる第一乾燥工程と、前記第一乾燥工程の後、熱風乾燥する第二乾燥工程と、を含むことを特徴とする。
さらに、前記麺用ほぐれ剤は、アラビアガム、大豆由来の水溶性ヘミセルロース、ショ糖脂肪酸エステル、乳化油脂、またはレシチンのうち少なくとも1種類以上含むことが望ましい。
さらに、前記ほぐれ剤付着工程は、前記麺線を前記麺用ほぐれ剤に浸漬するまたは前記麺線に前記麺用ほぐれ剤を噴霧もしくはシャワーすることにより行われることが望ましい。
さらに、前記第二乾燥工程は、温度60〜100℃で20〜120分間行われることが望ましい。
さらに、前記α化した麺線には、ウェーブが付与されていないことが望ましい。
さらに、前記第一乾燥工程後、前記麺線の水分含有量が40〜55%であることが望ましい。
本発明によれば、乾燥即席麺において問題であった麺線相互間の密度の上昇による麺線同士の結着を防止でき、喫食時のほぐれの良い乾燥即席麺及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態に係る乾燥即席麺の製造方法を工程順に具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、本実施形態において製造する乾燥即席麺の種類は、特に限定されず、通常、当技術分野で知られるいかなるものであってもよい。例えば、うどん、そば、中華麺、パスタ等が挙げられる。
1.原料配合
本実施形態に係る乾燥即席麺には、通常の即席麺の原料が使用できる。すなわち、原料粉としては、小麦粉、そば粉、及び米粉等の穀粉、並びに馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチ等の各種澱粉を単独で使用しても、または混合して使用してもよい。前記澱粉として、生澱粉、α化澱粉、エーテル化澱粉等の加工澱粉等を使用することもできる。
本実施形態では、これら原料粉に対して即席麺の製造において一般に使用されている食塩やアルカリ剤、各種増粘剤、麺質改良剤、カロチン色素等の各種色素及び保存料等を添加することができる。これらは、原料粉と一緒に粉体で添加しても、練り水に溶かすか懸濁させて添加してもよい。
2.混捏、圧延、及び切り出し
本実施形態において、前記麺生地は、即席麺を製造する常法に従って、前記麺生地材料を混練することによって製造することができる。より具体的には、前記原料粉に練り水を加え、ついでミキサーを用いて各種材料が均一に混ざるように良く混練して麺生地を作成する。
麺線は、上述のようにして麺生地を製造した後に、前記麺生地を複合機で圧延して麺帯を製造し、前記麺帯を圧延して、切刃を用いて切り出す事によって製造できる。麺線の切り出し方法は、切刃の直下に据えたウェーブボックスにより麺線にウェーブを付与したウェーブ麺とするか、ウェーブを付与しない麺、例えばストレート麺とするか、いずれでも良い。ウェーブが付与されていない麺線の方が、ウェーブ麺よりも一般的にほぐれが悪いため、本発明によるほぐれ防止の効果は、ウェーブが付与されていない麺線で、より発揮される。
ストレート麺の切り出し方法としては、特許文献2または3記載の方法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、別法として、麺線は、前記麺生地をエクストルーダー等の押出機によって押し出すことによって製造することもできる。
4.α化工程
次いで、得られた麺線を常法により蒸煮、ボイル、または過熱蒸気処理、若しくはこれらの組み合わせ等によってα化させる。
5.ほぐれ剤付着工程
本実施形態においては、このようにしてα化した麺線を、ほぐれ剤を含む溶液に浸漬する、あるいは、ほぐれ剤を含む溶液を麺線に噴霧やシャワーする等の方法によって、麺線表面にほぐれ剤を付着させる。
また、α化処理の後に麺線に調味液(着液)を付着させる着味工程がある麺の場合には、この調味液にほぐれ剤を添加する方法をとることもできる。また、着味工程の後にほぐれ剤を含む溶液に浸漬する、あるいは、ほぐれ剤を含む溶液を麺線に噴霧やシャワーする等の方法によって、麺線表面にほぐれ剤を付着させることもできる。
また、ほぐれ剤付着工程は、後述するカット及び型詰め工程の後に行うこともできる。
ほぐれ剤の種類としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、カゼインナトリウム等の乳化剤や、油脂をこれらの乳化剤で乳化した乳化油脂、また、寒天、カラギーナン、ゼラチン、ファーセレラン、大豆多糖類、タマリンド種子多糖類、タラガム、カラヤガム、ペクチン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、トラガントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、プルラン、ジェランガム、アラビアガム、グルコマンナン、サイリウムシードガム、カードラン、アグロバクテリウムスクシノグリカン、ヒアルロン酸、シクロデキストリン、キトサン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルギン酸プロピレングリコールエステル、加工デンプンなどの増粘安定剤やそれらの分解物などが挙げられる。
好ましくは、大豆多糖類である大豆由来の水溶性ヘミセルロース、アラビアガム、乳化油脂、ショ糖脂肪酸エステル、レシチンであり、特に好ましくは、大豆由来の水溶性ヘミセルロース、アラビアガム、であり、それぞれを単独、もしくは組み合わせて使用することできる。
6.カット及び型詰め
次いで、蒸煮した麺線を1食分20〜50cmにカットする。また、カットをする前に麺線を直線状に引っ張る必要があるが、この麺線を引っ張る工程は、ほぐれ剤付着工程の前でも後でもどちらでもよい。これをリテーナ(乾燥用型枠)に麺塊を形成するように投入して型詰めする。また、エクストルーダー等により押し出された麺線などの蒸煮工程前にカットされ、バケット等に充填して蒸煮されたものに関しては、ほぐれ剤付着工程の後、バケットからリテーナ(乾燥用型枠)に麺塊を形成するように投入して型詰めする。
リテーナの形状は、麺塊を包装する容器により異なるため、特に限定されないが、略水平な底面と底面から立ち上がる側面を有する略カップ形状、または略深皿形状の即席麺用のリテーナで、側面は通気性を有さず、凹凸の無い滑らかな面であることが好ましい。底面は、通気性のため多数の小孔が開けられていることが好ましい。小孔の個々の大きさは、径0.5〜6.0mm程度が良く、底面に略等しく分散して形成されているのが好ましい。底面に形成された複数の小孔の総面積は、特には限定されないが、リテーナ底面の面積の10〜60%が好ましい。後述する第一乾燥工程の熱風が上方から下方に吹き付けられる場合においては、麺塊を嵩高くするために、底面に形成された複数の小孔の総面積は、リテーナ底面積の10〜30%が特に好ましい。
また、第一乾燥工程では、高風速の熱風が吹き付けられるため、麺線吹き飛び防止のために、リテーナにパンチング板でできた被せ蓋やリテーナ周囲を覆うリングを装着することや、リテーナを底深くするなどの対策をとることが好ましい。
7.第一乾燥工程
次いでリテーナに充填した麺線を第一乾燥工程として風速30m/s以上、温度60〜160℃の熱風で5〜240秒間乾燥する。
熱風の吹き付け方法は、特に限定はしないが、麺線を充分にほぐしながら乾燥するにあたっては、熱風をリテーナの上方向から下方向に垂直に吹き付けるか、リテーナの上方向から下方向と下方向から上方向を同時、もしくは交互に垂直に吹き付けることが好ましい。熱風をリテーナの下方向から上方向にのみ垂直に吹き付ける場合は、リテーナの底面に最初に衝突し、エアの勢いを減衰してしまうために、充分なほぐし効果を得られにくい。また、強い風を吹き付けた場合、麺線が吹き飛びやすく、麺形状を維持することが困難である。
熱風の温度が60℃未満では、乾燥効率が悪く、麺線表面のべたつきが残り、充分なほぐし効果を得ることができず、また、麺線水分が落ちにくいため、麺線の重みにより、リテーナ底面付近の麺線密度が高くなり、ほぐれの良い嵩高い形状を得ることができない。また、160℃より高い温度では、急激に乾燥しすぎるため、麺線表面に焼けを生じたり、麺線が変色したり不均質に発泡するなどの問題が生じやすい。乾燥が短時間で済み、食感も調理感のある好ましいものとなる、特に好ましい温度は80〜120℃である。
風速が30m/s未満では、麺線を充分にほぐす効果はなく、風速80m/s以上では、麺線がリテーナから吹き出してしまうなどの問題がある。特に好ましい条件としては、風速50〜70m/sの範囲である。
本実施形態においては、このような強い風速を与えられる装置であればどのようなものでもよいが、強力なファンから送出される気流を噴出部において絞ることによって風速を上げて噴射するシステムが例示でき、例えば、噴出部としてチューブ状の噴射ノズルやスリット状の噴射ノズルを有し、これらノズルをリテーナ上方および下方に配置し、当該ノズルから勢い良く熱風を噴射させるのが良い。このようにスポット的に強く気流を吹き付けることで、より麺線が攪拌され、ほぐしながら嵩高く乾燥することができる。
具体的には、特開平9−47224号や特開2003−90680等に記載されているような、スナック菓子の膨化乾燥や各種加工食品の焼成、焙煎等に用いられる高温気流乾燥装置において、ノズルの下をゆっくりリテーナを搬送させるか、特開平9−210554のように上下に配置された噴射ノズルの間にリテーナを搬送させる方法が挙げられる。
また、第一乾燥工程の時間としては、100℃以上の温度の場合、長時間乾燥を行うと麺線が膨化発泡してしまい、生麺的な食感を有しなくなることから、膨化発泡が起きない範囲で行うことが好ましく、第一乾燥工程後の水分含有量としては、40〜55%程度の範囲になるように乾燥することが望ましい。
また、温度に関わらず麺線の動きが止まった後に上方から下方への熱風を長時間強く吹き続けると、風圧により麺が押しつぶされたり、急激な乾燥のため麺塊が収縮し、ほぐれが悪化したりするなどの問題がある。また、あまりに短時間過ぎると麺塊の水分が充分に落ちず、麺の重さにより、麺がつぶれて嵩高くほぐれがよい麺塊形状を得ることが困難となる。
よって第一乾燥工程においては、麺線の動きが小さくなってきて止まる直前程度になるまで乾燥することが好ましく、好ましい時間としては、温度や風速条件によっても異なるが、5〜240秒間の範囲、特に好ましくは30〜150秒間の範囲で行うのがよい。
8.第二乾燥工程
第一乾燥工程後、第二乾燥工程として、水分が5〜14%の範囲になるように熱風乾燥を行う。ここで、熱風乾燥は、常法による熱風乾燥の方式を使用できる。熱風乾燥機としては、箱型、トンネル型や、スパイラル方式の種々のタイプを利用することができる。急激な乾燥は麺塊の収縮の原因となり、引いてはほぐれ悪化の原因となるため、熱風乾燥の条件としては、乾燥温度は、約60〜100℃程度の熱風により行うのが好適である。60℃より低い温度帯では、乾燥時間が長くなり非効率である。また、100℃より高い温度帯では、乾燥ムラや麺塊の焼けが生じやすい。乾燥時間は、約20〜120分間行うのが好適である。また、風速に関しては特に限定されないが、1〜5m/s程度の通常の範囲が好ましい。 第二乾燥工程は、単一の条件で行っても複数の条件を組み合わせて行ってもよい。また、第二乾燥工程の後、特開2012−60999に記載されているような膨化処理をとることもできる。
9.冷却工程
乾燥後、麺塊を所定時間冷却し、リテーナを持ち上げて型抜きし、乾燥後の麺塊を得る。
以上のように、蒸煮等によるα化処理を終えた麺線に麺用ほぐれ剤を付着した後、直ちに高風速の熱風を吹き付けることで、麺線表面を素早く乾燥し、麺線の乾燥時に麺線同士が結着することを防止できるとともに、ほぐしながら乾燥することで麺線水分が低下し、麺線の自重により麺線がリテーナ底面に高密度となることを防止でき、結果よく乾燥するので、喫食時におけるほぐれや湯戻りが良い乾燥即席麺を製造することができる。
本実施形態で用いられる麺線の切り出し方法は限定されないが、いわゆるストレート麺等、ウェーブを付与されていない麺線においては、以前よりほぐれの良いものを得ることが困難であったので、特に効果的である。
なお、本願発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
以下に実施例を挙げて本実施形態をさらに詳細に説明する。
(実験1)
<ほぐれ剤付着工程と第一乾燥工程の組み合わせによる効果の検証>
(実施例1−1)<ほぐれ剤付着あり、第一乾燥工程あり>
小麦粉850gに澱粉150gを混合し、これに食塩20g、かんすい3g、重合リン酸塩1gを溶解した練り水400mlを加え、常圧ミキサーで15分間混練して麺生地(ドウ)を得た。
得られた麺生地を整形、複合して麺帯化し、圧延を繰り返して最終麺厚1.2mmの麺帯とした後、特許文献2の方法に従い、切刃16番角で、いわゆるストレート麺として麺線を切り出した。
切り出された麺線を直ちに2分間にわたって蒸煮処理した後、10秒間ボイルし蒸煮麺を得た。得られた蒸煮麺を次いで、1L当り食塩10gを溶解して60℃に加温した着味液に約6秒間浸漬し、麺線を引き伸ばした後、1L当りアラビアガム50gを溶解した水溶液を1食当り10gとなるように麺線にシャワーをした。
次いで1食分30〜50cmにカットし、これを略深皿形状のリテーナに投入した。リテーナは容積約450cc、リテーナ開口径φ137mm、高さ40mm、テーパー角20°、リテーナ側面に形成された小孔の径φ4.0mmで底面全体に略均等に開口し、小孔の総面積がリテーナ底面積に対して58%のものを用いた。リテーナ内の麺重量は170gであった。
この麺線集合体に対して、リテーナの上下から温度100℃、風速70m/sの熱風を72秒間処理し第一乾燥工程を行った。
第一乾燥工程を経た麺塊に対して、温度90℃、風速4m/sの熱風を60分処理し第二乾燥工程を行い、70gの乾燥麺塊を得た。
(比較例1−1)<ほぐれ剤付着あり、第一乾燥工程なし>
第一乾燥工程を行わないこと以外は、実施例1−1の方法に従って製造した。
(比較例1−2)<ほぐれ剤付着なし、第一乾燥工程あり>
アラビアガムを溶解した水溶液を水に変更する以外は、実施例1−1の方法に従って製造した。
(比較例1−3)<ほぐれ剤付着なし、第一乾燥工程なし>
アラビアガムを溶解した水溶液を水に変更する以外は、比較例1−1の方法に従って製造した。
(実施例1−2)<ウェーブ状切り出し、第一乾燥工程あり>
麺線をウェーブ状に切り出す以外は、実施例1−1の方法に従って製造した。
(比較例1−4)<ウェーブ状切り出し、第一乾燥工程なし>
第一乾燥工程を行わないこと以外は、実施例1−2の方法に従って製造した。
これらのサンプルをポリスチレン製の容器にいれて500mlの熱湯を注加し、蓋をして4分放置して復元し、喫食した。喫食時のほぐれの評価方法は、ベテランのパネラー5人によって官能評価を行い、評価5はほぐれが非常によい状態、評価4は箸で軽くほぐせる状態、3は箸でほぐせる状態、2は箸でほぐすのがやや困難な状態、1は結着が多く箸でほぐすことが困難な状態、とした。
また、麺塊の形状について高さを測定した。測定方法は、麺塊の任意の直径上において、麺塊の両端、麺塊の中央、麺塊の端と中央の中間点の計5点を計測し、5点の平均を麺塊の高さとした。これを各試験区3つの麺塊で測定し、3つの麺塊の平均値を各試験区の麺塊の高さとした。
以後の実験についても同じ方法により、官能評価ならびに麺塊の高さの測定を行った。
なお、実験1の官能評価結果ならびに麺塊の高さの測定結果を表1に示す。
Figure 0006313007
これらの結果を対比すると、実施例1−1では、第一乾燥工程において麺線が飛び散る寸前まで動き、ほぐれながら乾燥できている様子が確認できた。また、麺塊の高さも高く、喫食時のほぐれも良好であった。
比較例1−1では、第一乾燥工程がないためか、麺の重みにより麺が沈み込み麺塊の高さは低かった。また、喫食時に麺の一部が固まっており、ほぐれが悪かった。
比較例1−2では、第一乾燥工程において麺線の動きが悪く、麺塊の高さは実施例1−1と比較して低かった。また、喫食時に麺の一部が固まっており、ほぐれがやや悪かった。
比較例1−3では、第一乾燥工程がないためか、麺の重みにより麺が沈み込み麺塊の高さは低かった。また、喫食時に麺全体が固まっており、ほぐれが非常に悪かった。
実施例1−2では、第一乾燥工程において麺線が飛び散る寸前まで動き、ほぐれながら乾燥できている様子が確認できた。また、麺塊の高さも高く、喫食時のほぐれも非常に良好であった。
比較例1−4では、比較例1−1と比較して麺塊の高さは高かった。喫食時に麺の一部が固まっていたものの容易にほぐすことが可能であった。
このように、ウェーブ麺では第一乾燥工程がなくてもほぐれは悪くはないが、第一乾燥工程を経ることでより一層ほぐれが良くなった。
(実験2)
<第一乾燥工程条件の検討>
(実験2−1)
<第一乾燥工程の風速条件の検討>
第一乾燥工程での風速を30m/s、50m/sとする以外は実施例1−1の方法に従って製造した。それぞれを実施例2−1−1、2−1−2とした。
また、第一乾燥工程での風速を20m/sにする以外は実施例1−1の方法に従って製造した。これを比較例2−1とした。
なお、実験2−1の官能評価結果ならびに麺塊の高さの測定結果を表2に示す。参考に、実施例1−1の結果も併せて記載した。
Figure 0006313007
これらの結果を対比すると、比較例2−1では、第一乾燥工程において麺線がほとんど動かなかった。また、麺塊の高さも低く、喫食時のほぐれもやや悪かった。
実施例2−1−1では、第一乾燥工程において麺線がやや動いていた。また、麺塊の高さも比較例2−1よりも高くなり、喫食時のほぐれも悪くなかった。
実施例2−1−2では、第一乾燥工程において麺線がよく動き、ほぐれながら乾燥できていた。麺塊の高さも高くなり、喫食時のほぐれも良好であった。
(実験2−2)
<第一乾燥工程の温度条件の検討>
第一乾燥工程での温度を60℃、80℃、120℃、155℃で行う以外は実施例1−1の方法に従って製造した。それぞれ、実施例2−2―1、実施例2−2−2、実施例2−2−3、実施例2−2−4とした。
また、第一乾燥工程での温度を30℃とする以外は、実施例1−1の方法に従って製造した。これを比較例2−2とした。
なお、実験2−2の官能評価結果ならびに麺塊の高さの測定結果を表3に示す。参考に、実施例1−1の結果も併せて記載した。
Figure 0006313007
これらの結果を対比すると、比較例2−2では、第一乾燥工程時に麺線は最後まで動いてはいたが、水分の落ちが悪く、第二乾燥工程時に麺の重みで麺塊の高さが非常に低くなった。喫食時は、一部麺線の固まりがありほぐれがやや悪かった。食感は表面が柔らかくやや芯の粘りに欠けていた。
実施例2−2−1では、第一乾燥工程時に麺線は最後まで動きながら乾燥できていたが、水分の落ちがやや悪く、第二乾燥工程時に麺の重みで麺塊の高さが低くなった。喫食時は、一部麺線の固まりがあるものの容易にほぐすことが可能であった。食感はやや芯の粘りに欠けていたが概ね良好であった。
実施例2−2−2では、第一乾燥工程時に麺線が最後まで動きながら乾燥できていた。麺線の乾燥が進んでも麺の重みで麺塊の高さが低くなることはなく、喫食時のほぐれは非常に良好であった。食感は芯の粘りがあり良好であった。
実施例1−1では、第一乾燥工程後半で水分の減少により麺線の動きがやや悪くなった。その結果、風圧により麺塊の高さがやや低くなったが、喫食時のほぐれは概ね良好であった。食感は芯の粘りがあり非常に良好であった。
実施例2−2−3では、第一乾燥工程中盤で水分の減少により麺線の動きが悪くなった。その結果、風圧により麺線の高さが低くなったが、喫食時のほぐれは概ね良好であった。食感は芯の粘りがあり非常に良好であった。
実施例2−2−4では、第一乾燥工程序盤で水分の減少により麺線の動きが悪くなった。風圧や高温乾燥によると考えられる麺塊収縮により麺塊の高さは低くなったが、喫食時のほぐれは概ね良好であった。食感は、芯の粘りがあるがやや表面に張りがあり硬かった。また、一部麺線に膨化が見られた。
(実験2−3)
<第一乾燥工程の時間の検討>
第一乾燥工程の時間を13秒、36秒、144秒、216秒とする以外は実施例1−1の方法に従って製造した。それぞれを実施例2−3−1、2−3−2、2−3−3、2−3−4とした。
第一乾燥工程での温度を60℃とし、乾燥時間を240秒とする以外は実施例1−1の方法に従って製造し、これを実施例2−3−5とした。
第一乾燥工程での温度を155℃とし、乾燥時間を5秒、10秒とする以外は実施例1−1の方法に従って製造し、それぞれ実施例2−3−6、2−3−7とした。
なお、実験2−3の官能評価結果ならびに麺塊の形状の測定結果を表4に示す。参考に、実施例1−1の結果も併せて記載した。
Figure 0006313007
これらの結果を対比すると、実施例2−3−1では、第一乾燥工程終了まで麺線は動きながら乾燥できていたが、水分の落ちが悪く、第二乾燥工程時に麺の重みと思われる影響で麺塊の高さが低くなった。喫食時、一部麺線に固まりがあるもののほぐすことは可能であった。
実施例2−3−2では、第一乾燥工程終了まで麺線は動きながら乾燥できていた。麺線の乾燥が進んでも麺塊の高さが低くなることはなく、喫食時のほぐれも概ね良好であった。
実施例2−3−3では、第一乾燥工程時の約72秒後以降は麺線が殆ど動かず、その結果、風圧による麺塊収縮と思われる影響により麺塊の高さが低くなった。喫食時、麺線の一部にやや固まりがあるものの容易にほぐすことが可能であった。
実施例2−3−4では、第一乾燥工程時の約72秒後以降麺線は殆ど動かず、風圧や高温乾燥による麺塊収縮と思われる影響により麺塊の高さは低くなった。喫食時、麺線の一部に固まりがあるもののほぐすことは可能であった。
実施例2−3−5では、第一乾燥工程時の約144秒後以降麺線は殆ど動かず、風圧や急激な乾燥による麺塊収縮と思われる影響により麺塊の高さは低くなった。喫食時、麺線の一部に固まりがあるもののほぐすことは可能であった。
実施例2−3−6では、第一乾燥工程終了まで麺線は動いていたが、乾燥時間が短いためか、水分が充分に落ちず、第二乾燥工程時に麺の自重によると思われる影響で麺塊の高さは低くなった。喫食時、麺線の一部に固まりがあるもののほぐすことは可能であった。
実施例2−3−7では、第一乾燥工程終了まで麺線は動いていたが、乾燥時間が短いためか、水分が充分に落ちず、第二乾燥工程時に麺の自重によると思われる影響で麺塊の高さは低くなった。喫食時、麺線の一部に固まりがあるもののほぐすことは可能であった。
(実験3)
<ほぐれ剤の検討>
ほぐれ剤として、実施例1−1で使用したアラビアガム50gの代わりに、大豆由来の水溶性ヘミセルロース製剤(大豆由来の水溶性ヘミセルロース82、レシチン12、乳糖6)20g、乳化油脂製剤(菜種油95:グリセリン脂肪酸エステル5)20g、ショ糖脂肪酸エステル(HLB11)15gとする以外は、実施例1−1以外の方法で製造した。それぞれを実施例3−1、実施例3−2、実施例3−3とした。
なお、実験3の官能評価結果ならびに麺塊の形状の測定結果を表5に示す。参考に、実施例1−1の結果も併せて記載した。
Figure 0006313007
これらの結果を対比すると、実施例1−1では、第一乾燥工程時の麺線の動きが良かった。麺塊の高さも高く、喫食時のほぐれは概ね良好であった。
実施例3−1では、第一乾燥工程時の麺線の動きは実施例1−1のアラビアガム使用時よりも良かった。麺塊の高さもアラビアガム使用時より高く、喫食時のほぐれはアラビアガム使用時と同程度に概ね良好であった。
実施例3−2では、第一乾燥工程時の麺線の動きは実施例1−1のアラビアガム使用時の方が良く、麺塊の高さもアラビアガム使用時の方が高かった。喫食時のほぐれもアラビアガム使用時の方が良く、一部固まりがあるが容易にほぐすことが可能であった。
実施例3−3では、第一乾燥工程時の麺線の動きは実施例1−1のアラビアガム使用時と同程度で麺塊の高さもほぼ同程度であった。喫食時のほぐれもアラビアガム使用時と同程度だが、スープに白濁が見られた。

Claims (7)

  1. α化した麺線に対し麺用ほぐれ剤を付着させるほぐれ剤付着工程と、
    前記麺線をリテーナに投入する型詰め工程と、
    前記型詰め工程の後、前記リテーナに投入された前記麺線に前記リテーナの上方向から下方向に、または上方向から下方向及び下方向から上方向に風速30m/s以上、温度60℃〜160℃の熱風を5〜240秒間前記麺線に吹き付けて麺線をほぐしながら乾燥させる第一乾燥工程と、
    前記第一乾燥工程の後、前記麺線を風速1〜5m/s、温度60〜100℃で20〜120分間熱風乾燥する第二乾燥工程と、を含むことを特徴とする乾燥即席麺の製造方法。
  2. 前記第一乾燥工程は、前記リテーナに充填された前記麺線に前記リテーナの上方向から下方向に、または上方向から下方向及び下方向から上方向に風速30m/s以上、温度80℃〜120℃の熱風を30〜150秒間吹き付けて麺線をほぐしながら乾燥させることを特徴とする請求項1記載の乾燥即席麺の製造方法
  3. 前記α化した麺線には、ウェーブが付与されていないことを特徴とする請求項1または2記載の乾燥即席麺の製造方法。
  4. 前記第一工程における前記熱風が風速50〜70m/sであることを特徴とする請求項1〜3何れか一項記載の乾燥即席麺の製造方法。
  5. 前記麺用ほぐれ剤は、アラビアガム、大豆由来の水溶性ヘミセルロース、ショ糖脂肪酸エステル、乳化油脂、またはレシチンのうち少なくとも1種類以上含むことを特徴とする請求項1〜4何れか一項記載の乾燥即席麺の製造方法。
  6. 前記リテーナの容器形状が略水平な底面と底面から立ち上がる側面を有する略カップ形状、または略深皿形状であることを特徴とする請求項1〜5何れか一項記載の乾燥即席麺の製造方法。
  7. 前記第一乾燥工程後、前記麺線の水分含有量が40〜55%であることを特徴とする請求項1〜6何れか一項記載の乾燥即席麺の製造方法。
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