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JP3887141B2 - 即席麺類の製造方法 - Google Patents

即席麺類の製造方法 Download PDF

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JP3887141B2 JP2000134662A JP2000134662A JP3887141B2 JP 3887141 B2 JP3887141 B2 JP 3887141B2 JP 2000134662 A JP2000134662 A JP 2000134662A JP 2000134662 A JP2000134662 A JP 2000134662A JP 3887141 B2 JP3887141 B2 JP 3887141B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、即席麺類の製造方法、特に、生麺に近い食感を有し、それでいて麺線が結着せず、食感が均一で、湯戻りの早い即席麺を得るための製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
即席麺類は、一般に次のような工程で作られている。すなわち、小麦粉、澱粉等の麺原料に、練り水を加えてミキサー等で混練して、麺生地を調製し、この麺生地をロールによって圧延後切り出して麺線とする。さらに、このようにして得た麺線を蒸し機によってα化処理し、α化した麺線を型枠等に入れて、調味液に浸漬するかまたは浸漬せずに、フライ処理、もしくは熱風乾燥、あるいはマイクロ波乾燥等によって乾燥し、製造されている。
【0003】
このような一般的な即席麺の製造方法は、現在の即席麺においてはほぼ例外なく使用されているが、麺線が粉っぽく、調理感が充分でないと感じる場合があり、生麺を茹で上げた時のような麺の食感とはかけ離れたものであった。そこで、本発明者らは麺線の調理感をさらに高めるため、α化処理の工程に注目して研究した結果、蒸し工程に替えて茹で工程によってα化を行うか、又は蒸し工程に加えてさらに茹で工程を行うことで、即席麺の調理感を増し、生麺を茹で上げたときのような食感に近づけることに成功した。
【0004】
しかし、このようにして即席麺を製造してみると、麺線を茹でた後に隣り合う麺線同士が結着しやすく、喫食時に複数の麺線が結着したままであったり、結着した部分の湯戻りが悪く食感が不均一になった。これは、蒸し処理に比して茹で処理した麺では、麺線の表面の水分含量が高く、澱粉質が溶けだした状態になっていること、しかも茹で処理によって麺線のウェーブが弱くなることで、麺線同士の接着面積が多いこと等に起因するものと考えられた。
【0005】
そこで、本発明者らはこのような茹で処理を行った即席麺の麺線の結着を防止するために、各種の結着防止剤を茹で処理後の麺線の表面に塗布して実験を行った。現在まで、麺線の結着防止剤あるいは麺線のほぐれ改良剤に関する技術としては、例えば、澱粉分解物やデキストリンを使用する技術として、特開平6-319474号、特開平6-327427号、特開平8-154605号等が、また、特開平9-51764号にはアラビアガムを用いる技術が、特開平6-121647号には水溶性ヘミセルロースを用いる技術が記載されている。しかし、これらのいずれの結着防止剤を茹で処理した麺線の表面に塗布しても、充分に満足できる結果は得られなかった。特に、茹で処理工程を有する即席麺が、熱風乾燥麺、とりわけ熱湯を注加するだけで喫食できるワンタッチタイプの熱風乾燥麺である場合には、麺線の結着を防止することは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のように、調理感の向上した、生麺を茹で上げたときの食感にできるだけ近い、高品質な即席麺を得ることをその第一の目的とする。そして本発明においては、このような即席麺において、麺線間の結着が防止され、麺線が均一に復元され、喫食時に食感の良い麺を得ることも発明の課題とした。また、本発明は、このような即席麺において、麺線の復元性にも優れた即席麺を得ることもその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、即席麺類における上記課題に対して、下記のような方法で課題を解決した。すなわち、本発明は、即席麺の製造方法であって、以下のa〜eの各工程を有するものである。
a:原料粉及びまたは練り水に水溶性ヘミセルロースを添加して麺生地を調製する工程
b:麺生地を圧延後切り出して麺線とするか、又は押し出して麺線とする工程
c:麺線を茹でてα化処理する工程
d:α化処理した麺線の麺線表面に水溶性ヘミセルロースを付着させる工程
e:麺線表面に水溶性ヘミセルロースを付着させた麺線を乾燥処理する工程。
【0008】
これら各工程を有する即席麺の製造方法によれば、即席麺において調理感の向上した麺とすることができ、しかも麺線間の結着が防止され、食感が良く、復元性にも優れた即席麺を得ることができる。とりわけ即席麺が熱風乾燥麺や高温気流乾燥麺等のいわゆるノンフライ麺の場合には、製造工程において茹で処理を採用すると、麺線間の結着に特に問題があったが、本発明の方法によればこのような即席麺においても、ほぐれが良好であった。
【0009】
また、本発明は、前記工程cにおいて、麺線を茹でてα化処理する前に麺線を蒸す工程をさらに含む前記a〜eの工程を有する即席麺類の製造方法である。茹で処理する前にさらに蒸し処理を追加することで、麺線のウェーブを固定し、麺線間の結着面積を減らすとともに、茹で時における麺線の溶失を抑えることができ、麺線の結着をさらに防止することができる。
【0010】
また、本発明は、前記a〜eの工程において、工程aまたはdのいずれか一方または両方に、水溶性ヘミセルロースと共にレシチンを添加または付着させる即席麺類の製造方法である。水溶性ヘミセルロースに、さらにレシチンを加えることで、麺線の調理感がさらに向上し、復元性も改良されるとともに、麺線のほぐれについても改善が見られる。
【0011】
なお、本発明は、前記工程aにおける水溶性ヘミセルロースの添加量としては、具体的には原料粉に対して重量比で0.2〜10g/1kg、好ましくは1〜5g/1kgとすることで高い効果が得られる。また、前記工程dにおける水溶性ヘミセルロースの麺線への付着方法を、α化処理した麺線を水溶性ヘミセルロースの水溶液、または水溶性ヘミセルロースを含む調味液に浸漬する方法とし、かつ、該水溶液または調味液における水溶性ヘミセルロースの濃度を0.1〜5%、好ましくは0.4〜2%(w/v)とすることで高い効果が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の製造方法を詳細に説明する。
本発明に使用される麺原料は小麦粉、澱粉、そば粉等の通常の麺原料が使用される。本発明ではこれらを麺原料とし、これに必須に水溶性ヘミセルロースを添加する。水溶性ヘミセルロースとは、主として豆類、穀類、種子を原料とし、これらの細胞壁から抽出される分子量数千〜数百万の多糖類であって、水溶性の食物繊維である。本発明においては、特に大豆由来の水溶性ヘミセルロースを使用するのが好ましく、商品名「ソヤファイブS」(不二製油株式会社製)等として市販されているものが使用できる。その他大豆由来以外のものとして、とうもろこし由来の商品名「日食セルエース」(日本食品化工株式会社製)等が使用可能である。
【0013】
本発明においては、このような水溶性ヘミセルロースを麺原料1kgに対して0.2g〜10g、好ましくは1g〜5g程度添加する。なお、本発明においては、麺線間の結着を防ぐという課題を適切に解決するためには、当該工程である水溶性ヘミセルロースの原料添加だけでは充分ではなく、後述する茹で処理後の麺線への付着処理も必要である。
【0014】
また、水溶性ヘミセルロースと共に、好ましくはレシチンを添加するのがよい。レシチンの添加量は麺原料に対して0.5g〜10g/kg程度がよく、レシチンを添加することで、調理感が向上し、麺線の湯戻り性も改良されるとともに、麺線の結着の防止効果も向上する。
【0015】
その他副原料として、かんすい、食塩、増粘剤、グルテン、卵白、色素等を必要に応じて添加する。これら副原料と水溶性ヘミセルロース及びレシチンの添加方法としては、小麦粉等麺原料と共に、粉体で添加しても、水に溶解、懸濁して練り水として加えても良い。
【0016】
次に、麺原料に練り水(水あるいは前記副原料を含む水)を加えて、ミキサーで混練し、麺生地を調製する。次いで、麺生地を圧延して麺帯とした後切り出して麺線とするか、麺生地をダイ等から押し出して麺線とする。麺生地の調製や麺線の押し出しには、真空ミキサーや真空麺帯機を用いることもでき、このような装置を使用することで、緻密で食感の良い麺を得ることができる。また、製造された麺線はウェーブが付けられている方が、麺線間の接触面積が少ないために好ましく、そのためにはウェーブボックスあるいはラバーなどを装着した切り刃で切り出して麺線とするのが望ましい。しかし、押し出し麺線においてもダイの形状を工夫したり、押し出し、あるいは切り出した麺線を、物理的に押圧する等によってウェーブを付けることもでき、特に限定されない。
【0017】
このようにして製造した生麺線はα化処理されるが、その前に麺線にねかしを加えたり、一旦乾燥処理を施して半乾麺や乾麺の形態としても良い。次いで、麺線をα化処理するが、本発明においてはα化処理において必須に茹で処理を行う。茹で処理を行うことで、即席麺の調理感が増し、生麺を茹で上げたときの麺の食感に近づけることができ、即席麺の粉っぽい様な食感を改良して麺質を向上させることができる。茹で処理を行う時間は、蒸し処理を行うか否か、あるいは、乾燥方法や麺線の太さによっても全く異なるが、通常、ラーメン等細いタイプの麺で5秒〜2分、うどん等太い麺線の場合は30秒〜20分程度が適当である。茹での方法としては、個食ごとに麺線をカットして茹で釜で茹でる方法や、連続する麺線をネットコンベア等に載置したまま茹で槽を通過させて茹でる方法等がある。
【0018】
また、本発明においては茹で処理は必須であるが、併せて蒸し処理を行っても良い。この場合、蒸し処理を予め行った後に茹で処理を行うのが特に好ましく、蒸し処理を追加することで、さらに調理感を上げると共に、先の工程で蒸し処理を行うことで、切り出し時に麺線に付与されたウェーブを固定して麺線間の結着面積を減らすと共に、麺線表面の澱粉質の溶失を抑え、麺線間の結着を低減することができる。
【0019】
以上のようにしてα化した麺線は液切りし、次いで、好ましくは水シャワー、水冷等を行って冷却し、麺線を締めると同時に麺線表面のぬめりを落とす。
【0020】
本発明においては、このようにしてα化した麺線を、水溶性ヘミセルロースを含む溶液に浸漬、あるいは、水溶性ヘミセルロースを含む溶液を麺線に噴霧する等の方法によって、麺線表面に水溶性ヘミセルロースを付着させる。麺線に均一に水溶性ヘミセルロースを付着させるという点からすれば、水溶性ヘミセルロースの水溶液に麺線を浸漬する方法が好ましく、また、即席麺がα化処理後麺線に調味液(着味液)を付着させる麺の場合には、この調味液に水溶性ヘミセルロースを添加する方法が、余分な工程を要さず好ましい。ここで使用する水溶性ヘミセルロースは前述したものと同様であり、原料に添加したものと同一のものを使用しても良い。この場合の水溶性ヘミセルロースを含む溶液中の水溶性ヘミセルロースの濃度はその適切な効果を得る量として0.1〜5%、好ましくは0.4〜2%、熱風乾燥麺の場合には、特に好ましくは、0.6〜1.5%(いずれもw/v)とする。
【0021】
このように本発明においては、麺線表面に水溶性ヘミセルロースを付着させると共に、前工程において麺原料に水溶性ヘミセルロースを添加することで、茹で工程を有する即席麺においても麺線の結着を有効に防止でき、復元むらのない食感の良い麺とすることができ、また復元性も改良される。
【0022】
なお、原料に添加する場合と同様に、水溶性ヘミセルロースに加えて、さらにレシチンをα化処理した麺線の表面に付着させることで、調理感の向上や、麺線のほぐれ改良において一層高い効果が得られる。レシチンの添加量としては、水溶性ヘミセルロースを含む溶液に0.05〜0.5%(w/v)含有するように添加するのが好ましい。
【0023】
α化した麺線に水溶性ヘミセルロースを付着させた後は、液切りし、即席麺の製法において通常採用される乾燥工程が施される。なお、乾燥時は、麺線はリテーナ等に型詰めされて乾燥されるが、麺線のリテーナへの型詰めは、麺線の形成以降いずれの工程でも可能である。また、麺線の乾燥までの間に機械的に麺線をほぐす等の工程の追加も可能であり、α化処理以降の工程で、ほぐし棒やエアーを使った機械的なほぐし工程を与えることで、麺線間の結着をさらに防ぐこともできる。
【0024】
乾燥工程は、フライ乾燥、熱風乾燥、高温気流乾燥、マイクロ波乾燥、凍結乾燥等の乾燥方法が可能であるが、これらを組み合わせて乾燥させても良い。特に熱風乾燥、高温気流乾燥、マイクロ波乾燥等を用いるいわゆるノンフライ麺の場合には、従来製法(蒸し処理でα化する方法)においてさえ麺線間の結着が起こりやすかったが、本発明によれば、これらの乾燥方法による麺線であっても、しかも、麺線のα化に茹で処理の工程を用いても、麺線同士が結着せずに、均一に復元する食感の良い麺とすることができる。なお、フライ乾燥は通常130℃〜160℃で1分〜3分、熱風乾燥の場合は60℃〜120℃で15分〜180分程度乾燥し、乾燥後の水分含量はフライ麺の場合で1〜5重量%、熱風乾燥麺の場合で5〜12重量%程度にする。
【0025】
乾燥した麺塊は、袋、あるいはカップ状又は丼形状の容器に包装されて製品とする。完成された製品はお湯を入れるだけで喫食可能なワンタッチタイプの麺とすることも、炊いて調理するタイプの麺とすることもできる。また、製品形態としてはラーメン等中華麺や、うどん、そば等の和風麺、スパゲティー等パスタ類等各種のものが可能である。
【0026】
【実施例】
以下に、本発明を、即席麺類の製造例に沿って具体的に説明するが、これら実施例の開示に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきでない。
【0027】
実施例1
次の工程a〜eを経て製造した即席麺(熱風乾燥麺)を実施例1とした。
a:小麦粉800g、澱粉200gからなる麺原料に、食塩20g、かんすい8g、ポリリン酸ナトリウム1g、大豆由来水溶性ヘミセルロース(商品名:ソヤファイブS、不二製油株式会社製)3gを溶解させた練り水360mlを加えて、これらをミキサーで15分間混練した。
b:得られた混練物を常法に従って整形・複合・圧延し、1.2mm厚の麺帯とした後、丸刃18番で切り出して麺線とした。
c:該麺線を200kg/hrの蒸気で2分間蒸し、カットした後、100℃の沸騰水で1分間茹でた後、水シャワーをかけ、麺線を冷却した後、よく液切りした。
d:水1000ml中に食塩50gと大豆由来水溶性ヘミセルロース(商品名:ソヤファイブS、不二製油株式会社製)10gを溶解させた着味液に15秒間浸漬し、液切りし、一食分ずつ円筒型のリテーナに約190gずつ充填した。
e:リテーナごと麺線を85℃風速2m/sで60分間熱風乾燥し、乾燥後風冷した。
【0028】
比較例1
上記実施例1の製法において、工程a、dにおいて大豆由来水溶性ヘミセルロースを使用しなかった以外同様にして製造した即席麺を、比較例1とした。
【0029】
比較例2
上記実施例1の製法において、工程dにおいて大豆由来水溶性ヘミセルロースを使用しなかった以外同様にして(工程aのみ大豆由来水溶性ヘミセルロースを添加)製造した即席麺を、比較例2とした。
【0030】
比較例3
上記実施例1の製法において、工程aにおいて大豆由来水溶性ヘミセルロースを使用しなかった以外同様にして(工程dのみ大豆由来水溶性ヘミセルロースを添加)製造した即席麺を、比較例3とした。
【0031】
参考例1
食感を比較するため、上記実施例1の製法において、工程a、dにおいて大豆由来水溶性ヘミセルロースを使用せず、工程cにおいて茹で処理を行わずに蒸煮のみとした即席麺を参考例1(通常の熱風乾燥麺の製法)とした。
【0032】
上記、実施例1、比較例1〜3、参考例1で得た即席麺(熱風乾燥麺)を丼型のスチロール製容器に入れ、熱湯490mlを加え、4分放置した後、箸でほぐした後喫食し、麺線のほぐれ、食感についてパネラー5人で評価した。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0003887141
【0034】
表1の結果から、茹で処理を蒸し処理に併用することで、麺線の食感(調理感)が良くなったが、麺線の結着がひどく、ほぐれの悪い戻りムラのある麺となったことがわかる(参考例1に対する各比較例)。そこで、大豆由来水溶性ヘミセルロースを、練り水、着味液の双方に添加することによって、その問題点が克服され、さらに調理感も向上し、戻りムラも無く復元性も改善された(実施例1)。
【0035】
実施例2
次に、前記実施例1において、工程dの着味液に添加する大豆由来水溶性ヘミセルロース(商品名:ソヤファイブS、不二製油株式会社製)の量を変更して効果の違いを確認した。変更した着味液における前記大豆由来水溶性ヘミセルロースの量(w/v)は、0%、0.42%、0.85%、1.0%、1.7%である。評価は実施例1と同様に行ない、結果を表2に記載した。
【0036】
【表2】
Figure 0003887141
【0037】
表2の結果から、水溶性ヘミセルロースをα化後麺線表面に処理する場合、表面処理する溶液の水溶性ヘミセルロースの濃度(w/v)としては、好ましくは0.4〜2%、特に好ましくは0.6〜1.5%程度とするのがよい(熱風乾燥麺の場合)ことがわかった。
【0038】
実施例3
次に、前記実施例1において、工程aの練り水にさらに大豆レシチン7.5gを添加して麺生地を調製し、工程dの着味液1000mlにさらに大豆レシチン2gを添加して麺線を浸漬し、実施例1同様に即席麺(熱風乾燥麺)を製造した。当該即席麺を実施例1と同様にして評価した結果、麺の調理感がさらに向上して、生麺に近づいた食感となり、湯戻り性も向上し、麺線のほぐれについてもさらに改良される傾向が見られた。
【0039】
実施例4
小麦粉800g、澱粉200gからなる麺原料に、食塩18g、かんすい2g、ポリリン酸ナトリウム3g、大豆由来水溶性ヘミセルロース(商品名:ソヤファイブS、不二製油株式会社製)1g、大豆レシチン6gを溶解させた練り水360mlを加えて、これらをミキサーで15分間混練した。得られた混練物を常法に従って整形・複合・圧延し、1.2mm厚の麺帯とした後、角刃20番で切り出して麺線とした。該麺線を200kg/hrの蒸気で2分間蒸し、カットした後、100℃の沸騰水で10秒間茹でた後、水シャワーをかけ、麺線を冷却した後、よく液切りした。
【0040】
次いで、水1000ml中に食塩30gと大豆由来水溶性ヘミセルロース(商品名:ソヤファイブS、不二製油株式会社製)を添加しない着味液、又は3gあるいは5gを添加溶解させた着味液に10秒間浸漬し、液切りし、一食分ずつ円筒型のリテーナに約130gずつ充填した。リテーナごと麺線を150℃のパーム油を入れたフライ槽に100秒間浸漬してフライ処理し、風冷し即席麺(フライ麺)とした。
【0041】
該即席麺を丼型のスチロール製容器に入れ、熱湯420mlを加えて3分間放置後、箸でほぐして5人のパネラーが喫食したところ、着味液に水溶性ヘミセルロースを添加しない場合は、麺線のほぐれが若干悪かったが、着味液に水溶性ヘミセルロースを3g又は5gを添加した場合は、麺線のほぐれがよかった。また、麺線の調理感は水溶性ヘミセルロースを3g又は5gを添加した方が勝っていた。本実施例4のように、即席麺がフライ麺の場合でも、水溶性ヘミセルロースを原料およびα化後の浸漬液に加えることで、本発明の効果が得られることが確認された。
【0042】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、即席麺の調理感が増し、生麺を茹で上げた時の食感に近づけることができる。しかし、本発明の工程では、α化処理において茹で処理を導入しているために、麺線間の結着がひどく、従来知られている結着防止剤を麺線に添加した程度では、麺線が結着して、結着部の乾燥が不十分になったり、喫食時に湯戻りが悪く麺質が不均一になったりした。そこで、本発明では、即席麺の麺原料に水溶性ヘミセルロースを添加すると共に、さらに、茹で処理後の麺線に水溶性ヘミセルロースを処理する(水溶性ヘミセルロースの溶液液に浸漬する)という2段階の処理を行うことによって、茹で処理を行う即席麺においても、とりわけ、結着の起こりやすい熱風乾燥麺や高温気流乾燥麺等の麺においても、麺線間の結着が無く、均一な食感の即席麺とすることができた。
【0043】
また、製造工程において、蒸し処理を茹で処理に替えるだけでなく、茹で処理の前に一旦蒸し処理を施してから茹で処理を行うことで、さらに即席麺の調理感が増し、麺線の結着防止効果も向上する。この結着防止効果は、蒸し処理によって麺線のウェーブが固定されることと、麺線表面の溶失が抑えられるために得られるものと考えられる。また、水溶性ヘミセルロースに、レシチンを加えることによっても麺の調理感が向上すると共に、麺線の結着防止効果を向上させることができる。
【0044】
また、本発明の方法によれば麺線の復元性も改善される。この復元性の改善は、麺線の復元に時間のかかる麺線の結着部が減少することも一つの要因であるが、麺線内に添加あるいは麺線表層部に存在する水溶性ヘミセルロースが、水分を積極的に取り込む等の作用によっても改善されるものと考えられる。
【0045】
このように本発明によれば、即席麺の調理感を向上させ、生麺を茹で上げた時の食感に近づけることができ、また、麺線間に結着が無く、均一に復元し、しかも復元性に優れた即席麺を得ることができる。

Claims (4)

  1. a:原料粉及びまたは練り水に水溶性ヘミセルロースを添加して麺生地を調製する工程
    b:麺生地を圧延後切り出して麺線とするか、又は押し出して麺線とする工程
    c:麺線を茹でてα化処理する工程
    d:α化処理した麺線の麺線表面に水溶性ヘミセルロースを付着させる工程
    e:麺線表面に水溶性ヘミセルロースを付着させた麺線を熱風乾燥、高温気流乾燥、マイクロ波乾燥のいずれかによって乾燥処理する工程、のa〜eの各工程を含むノンフライ即席麺類の製造方法
  2. 前記工程cにおいて、麺類を茹でてα化処理する前に麺線を蒸す工程をさらに含む請求項1に記載のノンフライ即席麺類の製造方法
  3. 前記工程aまたはdのいずれか一方または両方の工程において、水溶性ヘミセルロースと共にレシチンを添加または付着させる請求項1または2に記載のノンフライ即席麺類の製造方法
  4. 前記工程dにおける水溶性ヘミセルロースを付着させる方法が、α化処理した麺線を水溶性ヘミセルロースの水溶液、または水溶性ヘミセルロースを含む調味液に浸漬する方法であり、かつ、該水溶液または調味液における水溶性ヘミセルロースの濃度が0.1%〜5%(w/v)である請求項1ないし3のいずれかに記載のノンフライ即席麺類の製造方法
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