JP6388249B2 - インクセット及びそれを用いた記録方法 - Google Patents
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Description
〔1〕
凝集剤を含む反応液と、色材を含む第1インクと、色材を含む第2インクと、を備えるインクセットを用い、非吸収性被記録媒体又は低吸収性被記録媒体に対して記録を行う記録方法であって、
前記非吸収性被記録媒体又は前記低吸収性被記録媒体に、前記反応液を付与する反応液付与工程と、
前記反応液を付与した領域に、前記第1インクを付与する第1工程と、
前記第1インクを付与した領域に、前記第2インクを付与する第2工程と、を有し、
前記第1工程の後であって、前記第2工程の前における、前記非吸収性被記録媒体又は前記低吸収性被記録媒体上の前記反応液及び前記第1インクに含まれる揮発成分の揮発量が、付与前の前記反応液及び前記第1インクに含まれる揮発成分の総質量100質量%に対して、10〜95質量%であり、
前記第1工程後で前記第2工程前に、前記被記録媒体を加熱する工程を備え、
前記第1インク及び前記第2インクの少なくとも一方が、カラー色材を含むカラーインク又はブラック色材を含むブラックインクであり、
前記第1インク及び前記第2インクの他方が、白色色材を含む白インクまたは、メタリック色材を含むメタリックインクである、
記録方法。
〔2〕
前記凝集剤が、多価金属塩及び有機酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、
〔1〕に記載の記録方法。
〔3〕
前記反応液に含まれる前記多価金属塩のモル数(単位:mol)と、前記第1インク及び前記第2インクに含まれる前記色材の総質量(単位:g)との比(色材:多価金属塩)が、1000:1〜31000:1である、
〔2〕に記載の記録方法。
〔4〕
前記反応液に含まれる前記有機酸のモル数(単位:mol)と、前記第1インク及び前記第2インクの色材に含まれる総質量(単位:g)との比(色材:有機酸)が、800:1〜5500:1である、
〔2〕又は〔3〕に記載の記録方法。
〔5〕
前記第1インクが白色色材を含む白インクまたはメタリック色材を含むメタリックインクであり、
前記第2インクがカラー色材を含むカラーインク又はブラック色材を含むブラックインクである、
〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の記録方法。
〔6〕
前記反応液の表面張力が、25℃において、55mN/N以下である、
〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の記録方法。
〔7〕
前記反応液が、反応液の次に付与されるインクの受容層となる成分、並びに、カチオン性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種をさらに含む、
〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の記録方法。
〔8〕
前記反応液に含まれる、前記受容層となる成分、並びに、前記カチオン性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種(単位:g)と、前記第1インクに含まれる色材(単位:g)との質量比(色材:群より選ばれる少なくとも1種)が、7:1〜70:1である、
〔7〕に記載の記録方法。
〔9〕
前記非吸収性被記録媒体又は前記低吸収性被記録媒体の単位面積当たりの、前記反応液に含まれる多価金属塩のモル数(単位:mol)と、前記第1インク及び前記第2インクに含まれる色材の総質量(単位:g)との比(色材:多価金属塩)が、1000:1〜31000:1である、
〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の記録方法。
〔10〕
前記非吸収性被記録媒体又は前記低吸収性被記録媒体の単位面積当たりの、前記反応液に含まれる有機酸のモル数(単位:mol)と、前記第1インク及び前記第2インクに含まれる色材の総質量(単位:g)との比(色材:有機酸)が、800:1〜5500:1である、
〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の記録方法。
〔11〕
前記非吸収性被記録媒体又は前記低吸収性被記録媒体の単位面積当たりの、前記反応液に含まれる、前記第1インク及び前記第2インクの受容層となる成分、並びに、カチオン性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の質量(単位:g)と、前記第1インクに含まれる色材の質量(単位:g)との比(色材:群より選ばれる少なくとも1種)が、7:1〜70:1である、
〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の記録方法。
〔12〕
前記第1工程と前記第2工程における、前記被記録媒体の表面温度が40℃以下である、
〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の記録方法。
〔13〕
前記反応液付与工程後で前記第1工程前に、前記被記録媒体を加熱する工程を備える、
〔1〕〜〔12〕のいずれか1項に記載の記録方法。
〔14〕
前記反応液付与工程における前記被記録媒体の表面温度が40℃以下である、
〔1〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の記録方法。
〔15〕
前記揮発量が、10〜80%である、
〔1〕〜〔14〕のいずれか1項に記載の記録方法。
〔16〕
前記揮発量が、10〜60%である、
〔1〕〜〔15〕のいずれか1項に記載の記録方法。
〔17〕
前記加熱する工程における前記被記録媒体の表面温度が45℃以下である、
〔1〕〜〔16〕のいずれか1項に記載の記録方法。
〔18〕
前記非吸収性被記録媒体が、インク吸収層を有していないプラスチックフィルムであり、
前記低吸収性被記録媒体が、塗工紙である、
〔1〕〜〔17〕のいずれか1項に記載の記録方法。
本実施形態に係るインクセットは、凝集剤を含む反応液と、色材を含む第1インクと、色材を含む第2インクと、を備え、非吸収性被記録媒体又は低吸収性被記録媒体(以下、まとめて「被記録媒体」ともいう。)への記録に用いるものであり、前記非吸収性被記録媒体又は前記低吸収性被記録媒体上に、前記反応液、前記第1インク、及び前記第2インクが、この順に重ねて付与されるものである。なお、以下、第1インク及び第2インクをまとめて、単に「インク」ともいう。
反応液は、凝集剤を含む。このような反応液を用いることで、被記録媒体を加熱することなく良質な記録物を得ることができ、被記録媒体の加熱によりノズルが乾燥等することに起因するノズルの目詰まりを抑制することができる。具体的には、凝集剤を含むことにより、加熱をしなくても、第1インクに含まれる顔料や、第2インクに含まれる顔料を凝集させることができ、第2インクのブリードを防止することができ、第1インクのベタムラを防止することが可能となり、良質な記録物を得ることができる。
凝集剤としては、特に限定されないが、例えば、多価金属塩及び有機酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
多価金属塩としては、特に限定されないが、例えば、無機酸の多価金属塩あるいは有機酸の多価金属塩が好ましい。このような多価金属塩としては、特に限定されないが、例えば、周期表の第2族のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3族の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13族の土類金属(例えば、アルミニウム)、ランタニド類(例えば、ネオジム)、の塩を挙げることができる。これら多価金属の塩としては、カルボン酸塩(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩が好適である。中でも、好ましくは、カルボン酸(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硫酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びチオシアン酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩が挙げられる。多価金属塩を構成する上記多価金属と塩とは、いずれを組み合わせたものであってもよく、水和物であってもよい。なお、多価金属塩は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
有機酸としては、特に限定されないが、例えば、リン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、酢酸が挙げられる。このなかでも、1価あるいは2価以上のカルボン酸が好ましい。このようなカルボン酸を含むことにより、得られる記録物の耐ブリード性により優れる傾向にある。なお、有機酸は1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。また、有機酸は塩の状態であってもよい。有機酸塩としては、特に限定されないが、例えば、上記有機酸の塩(ただし、上記多価金属塩と重複しない。)が挙げられる。上記有機酸の塩としては、特に限定されないが、例えば、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。なお、有機酸塩は1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
反応液が、受容層成分を含むことにより、得られる記録物の耐ブリード性及び発色性により優れる傾向にある。受容層成分としては、特に限定されないが、例えば、無機微粒子や液中で固体の樹脂微粒子を含む、液中で固体の微粒子が挙げられる。このような粒子としては、例えば、カチオン性粒子、ノニオン性粒子、アニオン性粒子が挙げられる。このなかでも被記録媒体に付着され塗膜を形成した状態で微粒子間に隙間が残留するものが好ましい。「隙間」とは、反応液の塗膜が乾燥した状態における空隙をいう。反応液が被記録媒体に付与され塗膜を形成した際、塗膜に、受容層となる成分により隙間ができ、少なくとも反応液の次に付与されるインクが隙間に吸収されることで、ブリードがより抑制される点で一層好ましい。受容層となる成分は、通常、少なくとも第1インクの受容層となる成分であり、さらに、その次に付与される第二インクの受容層となってもよい。
反応液が、カチオン性樹脂を含むことにより、得られる記録物の耐ブリード性及び発色性により優れる傾向にある。カチオン性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、反応液に可溶な樹脂、樹脂エマルションなどの液中で分散状態を示す樹脂が挙げられる。カチオン性樹脂は、第1インクや第2インクに含まれる顔料との相互作用が前述の凝集剤と比べて比較的弱いため、凝集剤よりも凝集剤の補助剤として働く。相互作用が優れる点で反応液に可溶な樹脂が好ましい。
本実施形態における反応液は、溶剤をさらに含むことが好ましい。溶剤としては、特に限定されないが、例えば、有機溶剤又は水を用いることができる。
本実施形態で用いる反応液は、界面活性剤を含むことが好ましい。当該界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、及びポリシロキサン系界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
第1インクは、色材を含む。第1インクにおける色材の含有量は、第1インクの総質量100質量%に対して、15〜2質量%が好ましく、13〜3質量%がより好ましい。色材の含有量が上記範囲内であることにより、得られる記録物の耐ブリード性及び発色性により優れる傾向にある。
第2インクは、色材を含む。第2インクにおける色材の含有量は、第2インクの総質量100質量%に対して、15〜2質量%が好ましく、13〜3質量%がより好ましい。色材の含有量が上記範囲内であることにより、得られる記録物の耐ブリード性及び発色性により優れる傾向にある。
第1インク及び第2インクに含まれ得る色材について以下説明する。なお、第1インク及び第2インクは、それぞれ、色材を1種単独で含んでもよいし2種以上含んでもよい。また、色材は、染料であってもよく顔料であることが好ましい。
本実施形態で用いるインクが色材として顔料を含む場合、樹脂エマルションをさらに含むことが好ましい。当該樹脂エマルションを用いることにより、インクの乾燥に伴い、樹脂エマルション中の樹脂同士と、樹脂及び顔料と、がそれぞれ互いに融着して顔料を被記録媒体に固着させるため、記録物の画像部分の耐擦性及び密着性を一層良好にすることができる。樹脂エマルションの中でもウレタン樹脂エマルション、アクリル樹脂エマルションが好ましく、ウレタン樹脂エマルションがより好ましい。これにより、インクの定着性が優れたものとなるため、記録物の耐擦性及び密着性が共に優れたものとなる。
本実施形態におけるインクは、溶剤をさらに含むことが好ましい。溶剤としては、特に限定されないが、例えば、有機溶剤又は水を用いることができる。
本実施形態で用いるインクは、界面活性剤を含むことが好ましい。当該界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、及びポリシロキサン系界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。インクがこれらの界面活性剤を含むことにより、被記録媒体に付着したインクの乾燥性が一層良好となり、かつ、高速記録が可能となる。
本実施形態で用いるインクは、保湿剤(湿潤剤)をさらに含むことが好ましい。保湿剤としては、一般にインクジェットインクに用いられるものであれば特に制限されることなく使用可能である。保湿剤の沸点は、好ましくは180℃以上であり、より好ましくは200℃以上である。沸点が上記範囲内であることにより、インクに良好な保水性及び湿潤性を付与することができる。
本実施形態で用いるインクは、その保存安定性及びヘッドからの吐出安定性を良好に維持するため、目詰まり改善のため、又はインクの劣化を防止するため、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、及び分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤などの、種々の添加剤を適宜添加することもできる。本実施形態で用いるインクは、揮発性成分中、水を最も多く含む水系インクとすることが、安全性の点で好ましい。
本実施形態に係るインクセットは、非吸収性被記録媒体又は低吸収性被記録媒体への記録に用いるものである。吸収性被記録媒体は、耐水性や耐擦性などに劣り、表面にインク受容層を設けて構成した吸収性被記録媒体の場合、高コストとなる場合があるのに対して、非吸収性被記録媒体又は低吸収性被記録媒体は、耐水性、耐擦性、表面にインク受容層を設けて構成した吸収性被記録媒体と比べて低コストの点で優れる反面、低吸収、さらには非吸収であるほどブリードが発生しやすく、ブリードの発生と印刷スピードの両立が困難となる為、本実施形態に係るインクセットを用いることが有利であり、非吸収性被記録媒体が一層有利である。
本実施形態に係る記録方法は、上記インクセットを用いて、非吸収性被記録媒体又は低吸収性被記録媒体上に反応液を付与する反応液付与工程と、反応液の上から第1インクを付与する第1工程と、第1インクの上から第2のインクを付与する第2工程と、を有する。
反応液付与工程は、非吸収性被記録媒体又は低吸収性被記録媒体上に反応液を付与する工程である。付与手段としては、特に限定されないが、例えば、ローラー塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布を利用することができる。なお、反応液付与工程中又は反応液付与工程後において被記録媒体へ塗布した反応液の少なくとも一部を乾燥する工程をさらに有していてもよい。
第1工程は、反応液の上から第1インクを付与する工程である。このとき、反応液と第1インクは直接反応するため、迅速に第一インクの凝集が可能であり、反応液は完全に乾燥していなくてもよい。反応液は完全に乾燥していなくてもよく反応液が乾燥していなくてもよい為、第一インクの付与を早く始めることができ、記録速度の高速化が達成できる。なお、第1工程中又は第1工程後において被記録媒体へ塗布した反応液及び第1インクの少なくとも一部を乾燥する工程をさらに有していてもよい。
第2工程は、第1インクの上から第2のインクを付与する工程である。このとき、反応液及び第1インクは完全には乾燥していなくてもよい。第1のインクが完全には乾燥していない状態で、第2のインクを付与することで、第1インクの上からであっても反応液と第2のインクが反応することができ、反応液及び第1インクが完全に乾燥していなくとも、ブリードを抑制しつつ第2インクを付与することができ記録速度の高速化が達成できる。第2工程の前に、被記録媒体へ塗布した反応液及び第1インクの少なくとも一部を乾燥する工程を有していてもよく、完全には乾燥させず一部を乾燥させる工程とすることが好ましい。また、第2工程中または工程後に被記録媒体へ塗布した第2インクを乾燥する工程を有していてもよい。
上記の第1工程及び第2工程における各色材の付与量、色材の総付与量、反応液付与工程における凝集剤の付与量、後述の比E〜比Hは、第1インクと第2インクを重ねて付与する領域における、色材の総付与量が最も多い領域におけるものであるとすることが、記録物の画質を一層よくできる点で好ましい。
下記の実施例及び比較例において使用した反応液及びインク用の主な材料は、以下の通りである。
〔顔料〕
二酸化チタン:金属酸化物 NanoTek(R) Slurry シーアイ化成社製 シアン顔料:C.I.ピグメントブルー15:3
〔多価金属塩〕
硫酸マグネシウム・7水和物(分子量246.47g/mol)
酢酸カルシウム・1水和物(分子量176.18g/mol)
硝酸カルシウム・4水和物(分子量164.09g/mol)
〔有機酸〕
コハク酸(分子量118.09g/mol)
〔界面活性剤〕
BYK348(シリコーン系界面活性剤、ビックケミー・ジャパン社製)
〔樹脂エマルション〕
ジョンクリル62J(アクリルスチレン系樹脂、BASF社製)
〔受容層成分〕
アニオン性コロイダルシリカ(日産化学工業社製「スノーテックスZL」)
〔カチオン性樹脂〕
カチオン樹脂エマルション(ユニチカ社製「アローベースCD−1200」)
〔有機溶剤〕
1,2ヘキサンジオール
〔保湿剤〕
プロピレングリコール
各材料を下記の表1に示す組成(質量%)で混合し、十分に撹拌し、反応液、第1インク、及び第2インクをそれぞれ得た。
なお、反応液の表面張力は、表面張力計(協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定した。
得られた反応液、第1インク、及び第2インクを表2のように組み合わせてインクセットをそれぞれ得た。
PX−G930(エプソン社製)の改造機を用いた。改造点はプラテンにヒーターを取り付け、被記録媒体を加熱可能とした点である。ノズルピッチは180dpiである。上記で調製したインクセットを表1〜3に示す記録条件でインクジェット法により各ヘッドから、反応液、第1インク及び第2インクの順で吐出し、非吸収性被記録媒体である東レ製PETフィルム「ルミラー S10」(商品名、厚み100μm)、又は、低吸収性被記録媒体であるNPコート紙(リンテック製)上にベタパターンをそれぞれ付着させた。この際、反応液のみ付与したパターン1と、反応液と第1インクのみを重ねて付与したパターン2と、反応液と第1インクと第2インクを重ねて付与したパターン3をそれぞれ形成した。なお、パターン2と3は互いに接するように同時に形成した。
第1工程後第2工程前(被記録媒体が第2インク用ヘッドと対向する位置に搬送されてきた時点)のパターン3における反応液及び第1インクの揮発成分の揮発量は、以下の式で算出した。ここで、Afは被記録媒体へ重ねて付与する部分の反応液と第1インクの合計の付与量(mg)である。また、Aeは、記録物を使用するのに十分な状態まで反応液及び第1インクを乾燥(揮発)させた状態の被記録媒体上の反応液と第1インクの合計の残留物量である。さらに、Aは、第2工程直前の被記録媒体上の反応液と第1インクの総質量である。
揮発成分の揮発量%=((Af−A)/(Af−Ae))×100
〔第1インクと第2インクの重ね合わせ記録時のブリード〕
パターン3における第2インクの付与量を、表3〜5に記載の値を100%として、30〜200%の間で変化させて記録した記録物をそれぞれ得た。第1インクと第2インクの重ね合わせ記録時のブリードは、得られた記録物のパターン3とパターン2の接する部分を目視で観察し、下記評価基準で評価した。なお、「200%」は、複数色のカラーインクを用いて2次色以上の色を記録する場合の、複数色のインクの合計の最大の付与量を想定した値である。下記評価基準でA又はAAであれば複数のカラーインクを用いた場合でもブリードが抑制された記録物が得られるといえる。
(評価基準)
AA: 第2インクの付与量が200%でも混色がない。
A: 第2インクの付与量が100%までなら混色がない。
B: 第2インクの付与量が50%までなら混色がない。
C: 第2インクの付与量が30%でも混色が発生する。
被記録媒体上の反応液の析出は、パターン1を目視で観察し、下記評価基準で評価した。
(評価基準)
A: 析出が認められない。
B: 析出が認められるが、白濁は認められない。
C: 析出が認められ、かつ白濁が認められる。
インクを付与した部分(画像部)の白濁は、パターン3を目視で観察し、下記評価基準で評価した。
(評価基準)
A: 白濁が認められない。
B: 白濁が認められる。
被記録媒体上の第1インクのベタムラは、パターン2を目視で観察し、下記評価基準で評価した。
(評価基準)
A: 第1インクに凝集ムラが認められない。
B: 第1インクに凝集ムラが若干認められる。
C: 第1インクに凝集ムラがかなり認められる。
記録物の臭気は、パターン3を官能評価にて、下記評価基準で評価した。
(評価基準)
A: 臭気がない。
B: 臭気がわずかにある。
C: 臭気が非常にある。
記録物のべたつきは、パターン3を印刷面同士の重ね合わせにて、下記評価基準で評価した。
(評価基準)
A: 2枚の印刷面同士を重ねた状態で1日放置しても張り付きがない。(べたつきがない)
B: 2枚の印刷面同士を重ねた状態で1日放置して、1枚を持ち上げると2枚が張り付いてくるが、1分以内に剥がれ落ちる。(わずかにべたつきがある、)
C: 2枚の印刷面同士を重ねた状態で1日放置して、1枚を持ち上げると2枚が張り付いてくるが、1分以上しても剥がれ落ちない。(べたつきがある。)
記録スピードは、パターン3が得られる記録スピードに基づいて、下記評価基準で評価した。
(評価基準)
A: A4サイズの被記録媒体1枚に30秒未満で記録できる。
B: A4サイズの被記録媒体1枚に30秒〜1分で記録できる。
C: A4サイズの被記録媒体1枚に3分を超えれば記録できる。
目詰まり信頼性は、パターン3をA4サイズの被記録媒体50枚に記録した後のノズルを目視で観察し、下記評価基準で評価した。
(評価基準)
A: 被記録媒体に50枚記録してもノズル抜けもノズル曲がりも発生しない。
B: 被記録媒体に50枚記録すると、ノズル抜けは発生しないがノズル曲がりが発生する。
C: 被記録媒体に50枚記録すると、ノズル抜け及びノズル曲がりが発生する。
Claims (18)
- 凝集剤を含む反応液と、色材を含む第1インクと、色材を含む第2インクと、を備えるインクセットを用い、非吸収性被記録媒体又は低吸収性被記録媒体に対して記録を行う記録方法であって、
前記非吸収性被記録媒体又は前記低吸収性被記録媒体に、前記反応液を付与する反応液付与工程と、
前記反応液を付与した領域に、前記第1インクを付与する第1工程と、
前記第1インクを付与した領域に、前記第2インクを付与する第2工程と、
前記第1工程後で前記第2工程前に、前記被記録媒体を加熱する工程と、を有し、
前記第1工程の後であって、前記第2工程の前における、前記非吸収性被記録媒体又は前記低吸収性被記録媒体上の前記反応液及び前記第1インクに含まれる揮発成分の揮発量が、付与前の前記反応液及び前記第1インクに含まれる揮発成分の総質量100質量%に対して、10〜95質量%であり、
前記第1インク及び前記第2インクの少なくとも一方が、カラー色材を含むカラーインク又はブラック色材を含むブラックインクであり、
前記第1インク及び前記第2インクの他方が、白色色材を含む白インクまたは、メタリック色材を含むメタリックインクである、
記録方法。 - 前記凝集剤が、多価金属塩及び有機酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、
請求項1に記載の記録方法。 - 前記反応液に含まれる前記多価金属塩のモル数(単位:mol)と、前記第1インク及び前記第2インクに含まれる前記色材の総質量(単位:g)との比(色材:多価金属塩)が、1000:1〜31000:1である、
請求項2に記載の記録方法。 - 前記反応液に含まれる前記有機酸のモル数(単位:mol)と、前記第1インク及び前記第2インクの色材に含まれる総質量(単位:g)との比(色材:有機酸)が、800:1〜5500:1である、
請求項2又は3に記載の記録方法。 - 前記第1インクが白色色材を含む白インクまたはメタリック色材を含むメタリックインクであり、
前記第2インクがカラー色材を含むカラーインク又はブラック色材を含むブラックインクである、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の記録方法。 - 前記反応液の表面張力が、25℃において、55mN/N以下である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の記録方法。 - 前記反応液が、反応液の次に付与されるインクの受容層となる成分、並びに、カチオン性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種をさらに含む、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の記録方法。 - 前記反応液に含まれる、前記受容層となる成分、並びに、前記カチオン性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種(単位:g)と、前記第1インクに含まれる色材(単位:g)との質量比(色材:群より選ばれる少なくとも1種)が、7:1〜70:1である、
請求項7に記載の記録方法。 - 前記非吸収性被記録媒体又は前記低吸収性被記録媒体の単位面積当たりの、前記反応液に含まれる多価金属塩のモル数(単位:mol)と、前記第1インク及び前記第2インクに含まれる色材の総質量(単位:g)との比(色材:多価金属塩)が、1000:1〜31000:1である、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の記録方法。 - 前記非吸収性被記録媒体又は前記低吸収性被記録媒体の単位面積当たりの、前記反応液に含まれる有機酸のモル数(単位:mol)と、前記第1インク及び前記第2インクに含まれる色材の総質量(単位:g)との比(色材:有機酸)が、800:1〜5500:1である、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の記録方法。 - 前記非吸収性被記録媒体又は前記低吸収性被記録媒体の単位面積当たりの、前記反応液に含まれる、前記第1インク及び前記第2インクの受容層となる成分、並びに、カチオン性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の質量(単位:g)と、前記第1インクに含まれる色材の質量(単位:g)との比(色材:群より選ばれる少なくとも1種)が、7:1〜70:1である、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の記録方法。 - 前記第1工程と前記第2工程における、前記被記録媒体の表面温度が40℃以下である、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の記録方法。 - 前記反応液付与工程後で前記第1工程前に、前記被記録媒体を加熱する工程を備える、
請求項1〜12のいずれか1項に記載の記録方法。 - 前記反応液付与工程における前記被記録媒体の表面温度が40℃以下である、
請求項1〜13のいずれか1項に記載の記録方法。 - 前記揮発量が、10〜80%である、
請求項1〜14のいずれか1項に記載の記録方法。 - 前記揮発量が、10〜60%である、
請求項1〜15のいずれか1項に記載の記録方法。 - 前記加熱する工程における前記被記録媒体の表面温度が45℃以下である、
請求項1〜16のいずれか1項に記載の記録方法。 - 前記非吸収性被記録媒体が、インク吸収層を有していないプラスチックフィルムであり、
前記低吸収性被記録媒体が、塗工紙である、
請求項1〜17のいずれか1項に記載の記録方法。
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