JP5101439B2 - インクジェット記録用インクセットおよびインクジェット画像記録方法 - Google Patents
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Description
本発明は、白地光沢、着弾干渉、および画像の耐傷性に優れるインクジェット記録用インクセットおよびこれを用いたインクジェット画像記録方法を提供することを課題とする。
<1> 25℃における表面張力が25mN/m以上40mN/m未満であるインク組成物と、有機酸、及び、前記有機酸に対する含有率が0.15〜0.70である水溶性有機溶剤を含み、25℃における表面張力が40mN/m以上である反応液と、を含むインクジェット記録用インクセット。
<2> 前記反応液は、有機カルボン酸を10〜35質量%含有する前記<1>に記載のインクジェット記録用インクセット。
<3> 前記反応液は、有機カルボン酸を15〜30質量%含有する前記<1>または<2>に記載のインクジェット記録用インクセット。
<4> 前記有機カルボン酸は、2価以上の多価カルボン酸である前記<2>または<3>に記載のインクジェット記録用インクセット。
<6> 前記反応液は、pHが0.5〜2.5である前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
<7> 前記反応液は、25℃における表面張力が42〜50mN/mである請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
<8> 前記反応液は、前記水溶性有機溶剤を3〜20質量%含有する前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
<9> 前記反応液は、前記水溶性有機溶剤を5〜15質量%含有する前記<1>〜<8>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
<10> 前記反応液は、アニオン性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤をさらに含有する前記<1>〜<9>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
<12> 前記インク打滴工程は、前記反応液付与工程の後、0.1秒以上10秒以内に開始される前記<11>に記載のインクジェット画像記録方法。
本発明のインクジェット記録用インクセットは、25℃における表面張力が25mN/m以上40mN/m未満であるインク組成物の少なくとも1種と、有機酸および前記有機酸に対する含有率が0.15〜0.70(質量基準)である水溶性有機溶剤を含み、25℃における表面張力が40mN/m以上であって、前記インク組成物を凝集させる反応液の少なくとも1種と、を含む。
かかる構成のインクセットを用いることで、非画像部の白地光沢に優れ、インクの着弾干渉が抑制され、耐傷性に優れる画像を形成することができる。
本発明のインクセットは反応液の少なくとも1種を含む。本発明における反応液は、インク組成物と接触した場合にインク組成物を凝集させる。これによりインクジェット記録を高速化することが可能となり、さらに高速記録においても濃度、解像度の高い画像を形成することが可能となる。
本発明における反応液は、有機酸および水溶性有機溶剤を含むが、必要に応じて、水、界面活性剤、およびその他の添加剤を含んで構成することができる。
本発明における反応液は、有機酸の少なくとも1種を含む。有機酸はインク組成物を凝集させる凝集成分として反応液に含まれる。
前記有機酸としては、少なくとも1種の酸性基を有する有機化合物であれば特に制限はない。前記酸性基としては、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、およびカルボキシル基等を挙げることができる。本発明において酸性基は、インク組成物の凝集速度の観点から、リン酸基またはカルボキシル基であることが好ましく、カルボキシル基であることがより好ましい。
また前記反応液は、インク組成物の凝集速度の観点から、有機カルボン酸を10〜35質量%含むことが好ましく、有機カルボン酸を15〜30質量%含むことがより好ましく、2価以上の多価カルボン酸を10〜35質量%含むことがより好ましく、2価以上の多価カルボン酸を15〜30質量%含むことがさらに好ましい。
多価金属塩としては、周期表の第2属のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3属の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13属からのカチオン(例えば、アルミニウム)、ランタニド類(例えば、ネオジム)の塩、及びポリアリルアミン、ポリアリルアミン誘導体を挙げることができる。金属の塩としては、カルボン酸塩(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩が好適である。中でも、好ましくは、カルボン酸(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びチオシアン酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩である。
多価金属塩の反応液中における含有量としては、例えば1〜10質量%とすることができる。
本発明における反応液は、水溶性有機溶剤の少なくとも1種を含む。前記有機酸に対する水溶性有機溶剤の含有率は質量基準で0.15〜0.70であるが、0.20〜0.60であることが好ましく、0.25〜0.50であることがよりに好ましい。
有機酸に対する水溶性有機溶剤の含有率が前記範囲内であることで、白地光沢、着弾干渉、耐傷性が良好になる。また反応液を塗布で付与する場合に、反応液の塗布性が良好になり、均一な塗布面状を得ることができる。
前記構成であることによりカール抑制、白地光沢、着弾干渉、耐傷性がより効果的に向上する。
本発明における反応液は、界面活性剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。界面活性剤は、表面張力調整剤として用いることができる。表面張力調整剤としては、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられる。
中でも、インク組成物の凝集速度の観点から、ノニオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤であることが好ましい。
また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載のフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等も挙げられる。
本発明における反応液は、有機酸および水溶性有機溶剤に加えて、その他の添加剤を含んで構成することができる。反応液におけるその他の添加剤としては、後述するインク組成物におけるその他の添加剤と同様である。
反応液の表面張力は、例えば、界面活性剤を添加することで調整することができる。また反応液の表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、プレート法により25℃の条件下で測定されるものである。
また反応液の粘度としては、インク組成物の凝集速度の観点から、1〜30mPa・sの範囲が好ましく、1〜20mPa・sの範囲がより好ましく、2〜15mPa・sの範囲がさらに好ましく、2〜10mPa・sの範囲が特に好ましい。なお、粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて25℃の条件下で測定されるものである。
本発明のインクジェット記録用インクセットは、少なくとも1種のインク組成物を含むが、2種以上のインク組成物を含むことが好ましい。また本発明におけるインク組成物は25℃における表面張力が25mN/m以上40mN/m未満であるが、27〜37mN/mであることが好ましい。これにより打滴性が良好になる。
またインク組成物の表面張力が、前記反応液の表面張力よりも小さいことで、着弾干渉、画像の耐傷性が良好になる。
尚、インク組成物の表面張力は、例えば、界面活性剤を含むことで調整することができる。またインク組成物の表面張力は前記反応液と同様にして測定される。
本発明におけるインク組成物は水を含有するが、含有する水の量には特に制限はない。本発明において水の好ましい含有量は、10〜99質量%であり、より好ましくは30〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。
本発明におけるインク組成物は、色材の少なくとも1種を含有する。前記色材は水不溶性色材であることが好ましい。水不溶性色材を含有することで、インク着色性が良好になり、色濃度及び色相の良好な可視画像を記録できる。
水不溶性色材とは、水に殆ど不溶であるか、又は難溶である色材をいい、具体的には、25℃の水に溶解する量が0.5質量%以下であることをいう。
本発明においては、水不溶性の顔料自体、又は分散剤で表面処理された水不溶性の顔料を水不溶性色材として含有することができる。
これら顔料のうち、特に、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、カーボンブラック系顔料が好ましい。
オレンジ又はイエロー用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメント・オレンジ31、C.I.ピグメント・オレンジ43、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー13、C.I.ピグメント・イエロー14、C.I.ピグメント・イエロー15、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・イエロー93、C.I.ピグメント・イエロー94、C.I.ピグメント・イエロー128、C.I.ピグメント・イエロー138、C.I.ピグメント・イエロー151、C.I.ピグメント・イエロー155、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185等が挙げられる。
色材として顔料を含有する場合、分散剤によって水系溶媒に分散されていることが好ましい。分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。また、ポリマー分散剤としては、水溶性の分散剤でも非水溶性の分散剤のいずれでもよい。
アニオン性基は、マイナスの電荷を有するものであれば特に制限はないが、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基又はカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基又はカルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることがさらに好ましい。
カチオン性基は、プラスの電荷を有するものであれば、特に制限はないが、有機のカチオン性置換基であることが好ましく、窒素又はリンを含むカチオン性基であることがより好ましく、窒素を含むカチオン性基であることが更に好ましい。中でも、ピリジニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであることが特に好ましい。
ノニオン性基は、マイナス又はプラスの電荷を有しないものであれば、特に制限はなく、例えば、ポリアルキレンオキシド、ポリグリセリン、糖ユニットの一部等が挙げられる。
また、低分子分散剤がアニオン性の親水性基を有する場合、酸性の反応液と接触させて凝集反応を促進させる観点から、そのpKaは3以上であることが好ましい。本発明における低分子分散剤のpKaは、テトラヒドロフラン−水=3:2(V/V)溶液に低分子分散剤1mmol/Lに溶解した液を酸あるいはアルカリ水溶液で滴定し、滴定曲線より実験的に求めた値のことである。
理論上、低分子分散剤のpKaが3以上であれば、pH3程度の反応液と接したときに、アニオン性基の50%以上が非解離状態になる。したがって、低分子分散剤の水溶性が著しく低下し、凝集反応が起こる。すなわち、凝集反応性が向上する。この観点から、低分子分散剤が、アニオン性基としてカルボン酸基を有していることが好ましい。
疎水性基は、炭素数2〜24の炭化水素基が好ましく、炭素数4〜24の炭化水素基がより好ましく、炭素数6〜20の炭化水素基が更に好ましい。
染料を保持した担体(水不溶性色材)は、分散剤を用いて水系分散物として用いることができる。分散剤としては上述した分散剤を好適に用いることができる。
更に、凝集性の観点から、後述するポリマー粒子(好ましくは自己分散性ポリマー粒子)の酸価に対して、ポリマー分散剤の酸価が大きいことが好ましい。
なお、色材の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒子径を測定することにより求められるものである。
水不溶性色材は、1種単独で又は2種以上を組合わせて使用してもよい。
本発明におけるインク組成物は、水を溶媒として含むものであるが、水溶性有機溶媒の少なくとも1種を更に含有することが好ましい。水溶性有機溶剤を含有することで、乾燥防止、浸透促進を図ることができる。水溶性有機溶剤を乾燥防止剤として用いる場合、インク組成物をインクジェット法で吐出して画像記録する際に、インク吐出口でのインクの乾燥によって発生し得るノズルの目詰まりを効果的に防止することができる。
中でも、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが好ましい。また、これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの水溶性有機溶剤は、インク組成物中に10〜50質量%含有されることが好ましい。
なお、水溶性有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
本発明におけるインク組成物は、界面活性剤の少なくとも1種を含有することが好ましい。界面活性剤は、表面張力調整剤として用いられる。表面張力調整剤としては、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられる。本発明においては、凝集速度の観点から、アニオン性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤であることが好ましく、アニオン性界面活性剤であることがより好ましい。
また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載のフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等も挙げられ、耐擦過性を良化することもできる。
本発明におけるインク組成物は、ポリマー粒子の少なくとも1種を含むことが好ましい。これにより形成される画像の耐傷性がより効果的に向上する。
本発明におけるポリマー粒子としては、例えば、熱可塑性、熱硬化性あるいは変性のアクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリアミド系、不飽和ポリエステル系、フェノール系、シリコーン系、又はフッ素系の樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、又はポリビニルブチラール等のポリビニル系樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂等のポリエステル系樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等のアミノ系材料、あるいはそれらの共重合体又は混合物などのアニオン性基を有する樹脂の粒子が挙げられる。これらのうち、アニオン性のアクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(アニオン性基含有アクリルモノマー)及び必要に応じて該アニオン性基含有アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。前記アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン基からなる群より選ばれる1以上を有するアクリルモノマーが挙げられ、中でもカルボキシル基を有するアクリルモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等)が好ましく、特にはアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
本発明における水不溶性ポリマーにおいては、液体組成物としたときの凝集速度と定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる水不溶性ポリマーであることが好ましい。
また、縮合系ポリマーと縮合系ポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−247787号公報に記載されているものを挙げることができる。
本発明において前記親水性基は、自己分散促進の観点、形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離基であることがより好ましい。前記解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インク組成物を構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が好ましい。
解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
上記解離性基含有モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
特に、酸価は、25以上であると自己分散性の安定性が良好になり、100以下であると凝集性が向上する。
また前記重合性基は、縮重合性の重合性基であっても、付加重合性の重合性基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、付加重合性の重合性基であることが好ましく、エチレン性不飽和結合を含む基であることがより好ましい。
なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
本発明においては、自己分散状態の安定性、芳香環同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点から、15質量%〜90質量%であることがより好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
前記アルキル基含有モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
また、水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことがより好ましく、更には加えて、酸価が25〜100であって重量平均分子量が3000〜20万であることが好ましく、酸価が25〜95であって重量平均分子量が5000〜15万であることがより好ましい。
B−02:フェノキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(30/35/29/6)
B−03:フェノキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(50/44/6)
B−04:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(30/55/10/5)
B−05:ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(35/59/6)
B−06:スチレン/フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸 共重合体(10/50/35/5)
B−07:ベンジルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸 共重合体(55/40/5)
B−08:フェノキシエチルメタクリレート/ベンジルアクリレート/メタクリル酸 共重合体(45/47/8)
B−09:スチレン/フェノキシエチルアクリレート/ブチルメタクリレート/アクリル酸 共重合体(5/48/40/7)
B−10:ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(35/30/30/5)
B−11:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/メタクリル酸 共重合体(12/50/30/8)
B−12:ベンジルアクリレート/イソブチルメタクリレート/アクリル酸 共重合体(93/2/5)
B−13:スチレン/フェノキシエチルメタクリレート/ブチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(50/5/20/25)
B−14:スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(62/35/3)
B−15:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(45/51/4)
B−16:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(45/49/6)
B−17:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(45/48/7)
B−18:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(45/47/8)
B−19:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(45/45/10)
工程(1):ポリマー(水不溶性ポリマー)、有機溶媒、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を、攪拌する工程
工程(2):前記混合物から前記有機溶媒を除去する工程
該混合物の攪拌方法に特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。
アルコール系溶媒としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、エタノール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒が好ましい。また、油系から水系への転相時への極性変化を穏和にする目的で、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを併用することも好ましい。該溶剤を併用することで、凝集沈降や粒子同士の融着が無く、分散安定性の高い微粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。
なお、ポリマー粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
ポリマー粒子(特に自己分散性ポリマー粒子)は、1種単独又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明におけるインク組成物は、上記成分以外にその他の添加剤を更に含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、インク組成物を調製後に直接添加してもよく、インク組成物の調製時に添加してもよい。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、インク組成物を25℃の条件下で測定されるものである。
本発明のインクジェット画像記録方法は、インク組成物、および前記インク組成物を凝集させる反応液を用いるインクジェット画像記録方法であって、有機酸、および、前記有機酸に対する含有率が15〜70質量%の水溶性有機溶剤を含み、25℃における表面張力が40mN/m以上である反応液を、記録媒体上に付与し、乾燥する反応液付与工程と、25℃における表面張力が25以上40mN/m未満であるインク組成物を、前記反応液が付与された記録媒体上に、インクジェット方式で打滴するインク打滴工程と、を備える。
また前記インク打滴工程は、前記反応液付与工程の後、0.1秒以上10秒以内に開始されることが好ましい。
反応液付与工程は、インク組成物と接触したときに凝集体を形成可能な既述の反応液を記録媒体上に付与する工程であって、インク組成物と反応液とを接触させて画像化する構成とすることができる。この場合、反応液が例えば顔料粒子を含有するインク組成物と接触したときには、インク組成物中の顔料粒子を含む分散粒子が凝集し、記録媒体上に画像が固定化される。
反応液の詳細及び好ましい態様については、既述の通りである。
インク打滴工程は、既述のインク組成物をインクジェット法で、反応液が付与された記録媒体上に付与する。本工程では、記録媒体上に選択的にインク組成物を付与でき、所望の可視画像を形成できる。なお、インク組成物の詳細については既述の通りである。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
尚、前記インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
ここで「反応液付与工程の後、0.1秒以上10秒以内に開始」とは、反応液の付与・乾燥終了から、最初のインク滴が記録媒体上に着滴するまでの時間が0.1秒以上10秒以内であることを意味する。
本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体に上に画像を記録するものである。
記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。セルロースを主体とする一般印刷用紙は、水性インクを用いた一般のインクジェット法による画像記録においては比較的インクの吸収、乾燥が遅く、打滴後に色材移動が起こりやすく、画像品質が低下しやすいが、本発明のインクジェット記録方法によると、色材移動を抑制して色濃度、色相に優れた高品位の画像の記録が可能である。
〜インク組成物の調製〜
[顔料分散液の調製]
(ポリマー分散剤P−1の調製)
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加え窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、メチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温し4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥してポリマー分散剤P−1を96g得た。
得られた樹脂の組成は1H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)記載の方法により、このポリマーの酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブル−A220、大日精化株式会社製)10部と、前記ポリマー分散剤P−1を5部と、メチルエチルケトン42部と、1規定 NaOH水溶液5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルにより0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去した後、更に、高速遠心冷却機7550(久保田製作所製)を用いて、50mL遠心菅を使用し、8000rpmで30分間遠心処理を行ない、沈殿物以外の上澄み液を回収した。その後、吸光度スペクトルから顔料濃度を求め、顔料濃度が10.2質量%の樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤で被覆された顔料)の分散物(シアン分散液)を得た。
シアン分散物の調製において、ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブル−A220、大日精化株式会社製)の代わりに、ピグメント・レッド122を用いた以外はシアン分散液の調製と同様にして、樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤で被覆された顔料)の分散物(マゼンタ分散液)を調製した。
シアン分散液の調製において、シアン顔料ピグメント・ブルー15:3の代わりに、イエロー顔料ピグメント・イエロー74を用いた以外は、シアン分散液の調製と同様にして、樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤で被覆された顔料)の分散物(イエロー分散液)を調製した。
シアン分散液の調製において、シアン顔料ピグメント・ブルー15:3の代わりに、カーボンブラック(デグッサ社製NIPEX160-IQ)を用いた以外は、シアン分散液の調製と同様にして、樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤で被覆された顔料)の分散物(ブラック分散液)を調製した。
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。反応容器内温度を75℃に保ちながら、フェノキシエチルアクリレート180.0g、メチルメタクリレート162.0g、アクリル酸18.0g、メチルエチルケトン72g、及び「V−601」(和光純薬(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、「V−601」0.72g、メチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌後、さらに「V−601」0.72g、イソプロパノール36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した後、85℃に昇温して、さらに2時間攪拌を続けた。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は64000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出、使用カラムはTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製))、酸価は38.9(mgKOH/g)であった。
次に、重合溶液668.3gを秤量し、イソプロパノール388.3g、1mol/L NaOH水溶液145.7mlを加え、反応容器内温度を80℃に昇温した。次に蒸留水720.1gを20ml/minの速度で滴下し、水分散化せしめた。その後、大気圧下にて反応容器内温度80℃で2時間、85℃で2時間、90℃で2時間保った後、反応容器内を減圧にし、イソプロパノール、メチルエチルケトン、蒸留水を合計で913.7g留去し、固形分濃度28.0%の自己分散性ポリマー微粒子(B−01)の水分散物(エマルジョン)を得た。
上記で得られた各色の顔料分散液、及び自己分散性ポリマー微粒子を用いて、下記表1に示したインク組成(固形分)になるように各成分を混合してそれぞれインク組成物を調製した。調製したインク組成物をプラスチック製ディスポーサブルシリンジにて、PVDF5μmフィルター(ミリポア社製Millex SV、直径25mm)で濾過して完成インク組成物とした。
各色インク組成物について、東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGを用いてpH(25℃)を測定した。また、協和界面科学(株)製 FASE Automatic Surface Tensionmeter CBVP-Zにて、25℃における表面張力を測定した。結果を表1に示す。
(反応液1)
以下の材料を混合して、反応液1を調製した。
・マレイン酸 ・・・ 5g
・アニオン性界面活性剤A(10%) ・・・ 0.01g
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル ・・・ 20g
・イオン交換水 ・・・ 全体で100gとなるように添加
尚、アニオン性界面活性剤Aは下記構造式で表される化合物である。
反応液1の調製において、有機酸、水溶性有機溶剤の種類および添加量を下記表2に示す組成に変更し、アニオン性界面活性剤の添加量を反応液の表面張力が40〜50mN/mになるように適宜変更した以外は、反応液1の調製と同様にして反応液2〜反応液25を調製した。
記録媒体としてA4サイズの特菱アート(三菱製紙製)を用いて、上記のインク及び反応液を用いて、下記画像記録条件で画像を描画記録した。
尚、反応液付与工程の後、1秒以降にインク打滴が開始されるようにした。
媒体へのインク描画の直前に表1に示した反応液を、塗布バーを用いて1.7g/m2になる様に記録媒体表面に塗設した。
−−反応液用乾燥条件(送風乾燥)−−
風速 :15m/s
温度 :記録媒体の表面温度が60℃となるように記録媒体記録面背面から接触型平面ヒーターで加熱した。
送風領域:450mm(乾燥時間0.7秒)
インク組成物として、上記で得られたシアン顔料インクC1、マゼンタ顔料インクM1、イエロー顔料インクY1、黒色顔料インクK1を用いて、下記の条件で、4色シングルパス画像形成を行った。尚、インクの各色の打滴順は、M1−K1−C1−Y1の順で行った。
反応液が付与された記録媒体上に下記条件で、インク組成物を付与した。
ヘッド :1,200dpi/20inch幅ピエゾフルラインヘッドを4色分配置した。
吐出液滴量:2.4pLの記録とした。
駆動周波数:30kHz(記録媒体搬送速度635mm/sec)
−−インク用乾燥条件(送風乾燥)−−
風速 :15m/s
温度 :記録媒体の表面温度が60℃となるように記録媒体記録面背面から接触型平面ヒーターで加熱した。
送風領域:640mm(乾燥時間1秒間)
−−定着−−
シリコンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
ローラ温度:90℃
圧力:0.8MPa
1.処理液塗布面状評価
上記作成した反応液100gに対して上記マゼンタ顔料インクM1を1g添加して着色液とし、この反応液を記録媒体上に塗布(塗布条件は上記の反応液付与工程と同じ)して、塗布面状を目視観察し、下記評価基準にしたがって評価した。評価結果を下記表2に示す。
A:全体に色濃度ムラがなく均一だった。
B:僅かにスジ状の濃淡があるが、全体としては均質で実用上問題ないレベルであった。
C:スジ状の濃淡ムラ、及び、部分的にハジキ状ムラがあり、実用上問題があった。
上記描画作成した試料のインクを打滴していない白地部分の光沢をHORIBA GLOSS CHECKER IG-331を用いて、入射角60度の条件で測定し、下記評価基準に従って評価した。評価結果を下記表2に示す。
A:処理液を未塗布の記録媒体の光沢に対して±3%未満の範囲内であった。
B:処理液を未塗布の記録媒体の光沢に対して±3%以上5%未満であり、僅かに変化が分かり限界レベルであった。
C:処理液を未塗布の記録媒体の光沢に対して±5%以上で、未塗布との差が明らかに分かった。
画像描画において、異なる色の打点が隣同士一部重なり合う打点を一点ずつ交互に時間差を付けて打滴し、最初に打滴された液滴がどれだけの時間で凝集しているかを評価した。画像を光学顕微鏡で観察し、最初に打滴した点に対して後から打滴した点が混合した場合、最初の点がまだ凝集していないと判断した。あとから打滴した点が混合しなくなった時間を着弾干渉時間とした。着弾干渉時間を下記評価基準に従って評価した。評価結果を下記表2に示す。
A:最初の液滴が20ms未満で固化しており、隣接打点の混合が全く見られなかった。
B:最初の液滴が20ms以上100ms未満で固化しており、僅かに隣接打点と混合が見られるが実用上問題なかった。
C:最初の液滴固化に100ms以上かかり、隣接打点の色混合が多く、色むらが発生し実用上問題があった。
画像を描画した記録媒体について、描画乾燥後、常温常湿条件下で1日経過後に、描画していない記録媒体を、画像を描画した面上に重ね240g/cm2の加重を掛けて10回擦り、そのときの描画画像の傷付き易さの度合いを調べた。下記評価基準に従って評価した。評価結果を下記表2に示す。
A:擦られた部分は、擦られていない部分と変わらず全く傷がなかった。
B:擦られた部分の表面が僅かに傷付いているが画像としては損傷なく、実用上問題ないレベルだった。
C:擦られた部分の表面は僅かに剥がれ、極細い傷が見られ、実用上、下限のレベルだった。
D:擦られた部分のインクが剥がれ、部分的に媒体の白地が露出し実用上問題があるレベルだった。
DEGmEE:ジエチレングリコールモノエチルエーテル
DEGmME:ジエチレングリコールモノメチルエーテル
TEGmME:トリエチレングリコールモノメチルエーテル
DPG:ジプロピレングリコール
TPGmME:トリプロピレングリコールモノメチルエーテル
GP−250:ポリオキシプロピレングリセリルエーテル(三洋化成工業(株)製、ニューポールGP−250)
PE−62:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(三洋化成工業(株)製、ニューポールPE−62)
反応液の調製
実施例1の反応液9、10、12の調製において、表面張力が下記表3に示す値になるように添加する界面活性剤量を適宜変更した以外は実施例1と同様にして反応液30、31、32をそれぞれ調製した。これらの反応液を用いて、以下の方法でカール性を評価した。
上記反応液付与工程と同様にして反応液を付与・乾燥した記録媒体について、MD、CDそれぞれの方向に対して50mm×5mmサイズに断裁した試験片に、インク組成物C1を10g/m2となるように吐出してベタ画像を記録した。画像記録後、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.15−2:2000に規定されたカール曲率測定法に準拠して、23℃、60%RH、8時間後のカール度を測定し、下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果を下記表3に示す。
A:カール度10未満だった。
B:カール度10以上20未満だった。
C:カール度20以上30未満だった。
D:カール度30以上だった。
(反応液の調製)
実施例1の反応液8、17、20の調製において、界面活性剤をエマルゲン109E(ノニオン性界面活性剤、花王(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様にして反応液をそれぞれ調製し、実施例1と同様な評価を行った結果、いずれも実施例1の本発明と同様に良好な結果であった。
Claims (12)
- 25℃における表面張力が25mN/m以上40mN/m未満であるインク組成物と、
有機酸、及び、前記有機酸に対する含有率が0.15〜0.70である水溶性有機溶剤を含み、25℃における表面張力が40mN/m以上である反応液と、
を含むインクジェット記録用インクセット。 - 前記反応液は、有機酸として有機カルボン酸を10〜35質量%含有する請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記反応液は、有機酸として有機カルボン酸を15〜30質量%含有する請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記有機カルボン酸は、2価以上の多価カルボン酸である請求項2または請求項3に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記反応液は、pHが3.5以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記反応液は、pHが0.5〜2.5である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記反応液は、25℃における表面張力が42〜50mN/mである請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記反応液は、前記水溶性有機溶剤を3〜20質量%含有する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記反応液は、前記水溶性有機溶剤を5〜15質量%含有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記反応液は、アニオン性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤をさらに含有する請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 有機酸、および、前記有機酸に対する含有率が0.15〜0.70の水溶性有機溶剤を含み、25℃における表面張力が40mN/m以上である反応液を、記録媒体上に付与し、乾燥する反応液付与工程と、
25℃における表面張力が25以上40mN/m未満であるインク組成物を、前記反応液が付与された記録媒体上に、インクジェット方式で打滴するインク打滴工程と、
を備えるインクジェット画像記録方法。 - 前記インク打滴工程は、前記反応液付与工程の後、0.1秒以上10秒以内に開始される請求項11に記載のインクジェット画像記録方法。
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