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JP6350970B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの制御装置に係わり、特に、複数の気筒を備えるガソリンエンジンに適用されるエンジンの制御装置に関する。
一般的に、ガソリン又はガソリンを主成分とする燃料を用いるエンジンでは、点火プラグによって着火する火花点火方式が広く採用されている。近年では、燃費の向上を図る観点などから、エンジンの幾何学的圧縮比として高圧縮比を適用して、ガソリン又はガソリンを主成分とする燃料を用いつつ、所定の運転領域において、圧縮自己着火(具体的にはHCCI(Homogeneous-Charge Compression Ignition)と呼ばれる予混合圧縮自己着火)を行う技術が開発されている。
上記のような圧縮自己着火を行うようにしたエンジンが、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1には、複数の気筒を備える多気筒エンジンにおいて、混合気を火花点火させる火花点火運転から、混合気を圧縮自己着火させる圧縮自己着火運転へと移行させるときに、複数の気筒の一部ずつを順に火花点火運転から圧縮自己着火運転へと移行させる技術が開示されている。
特開2004−239217号公報
一般的に、圧縮自己着火を行うようにしたガソリンエンジンにおいては、圧縮自己着火運転(以下では適宜「CI(Compression Ignition)運転」と呼ぶ。)は、エンジンの所定の低負荷領域で実行し、火花点火運転(以下では適宜「SI(Spark Ignition)運転」と呼ぶ。)は、エンジンの所定の高負荷領域で実行している。これは、CI運転は、燃費が良好であるが、エンジンの負荷が高くなると、燃焼が急峻になり、燃焼騒音が発生したり、着火時期の制御が困難になったりするので、エンジンの負荷が所定値以上になるとCI運転からSI運転へと切り替えるようにしたものである。しかしながら、このようなCI運転からSI運転へと切り替えるべき運転領域では、SI運転を行うと燃費が悪くなってしまう。これは、SI運転はある程度高い負荷において良好な燃費が得られるが、CI運転からSI運転へと切り替えるべき運転領域における負荷は、そのようなSI運転により良好な燃費が得られるようになる負荷よりも小さいからである。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、圧縮自己着火運転と強制点火運転との間で切り替えを行うべき運転領域において、燃費を適切に改善することができるエンジンの制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、複数の気筒を備えるガソリンエンジンに適用されるエンジンの制御装置であって、エンジンの負荷が所定値以下である第1の運転領域において、燃料を含む混合気を圧縮自己着火させてエンジンを運転させる圧縮自己着火運転を実行するようにエンジンを制御すると共に、この第1の運転領域よりも負荷が高い第2の運転領域において、燃料を含む混合気を強制点火させてエンジンを運転させる強制点火運転を実行するようにエンジンを制御するエンジン制御手段を有し、このエンジン制御手段は、第1の運転領域よりも負荷が高く且つ第2の運転領域よりも負荷が低い第3の運転領域において、エンジンの全気筒のうちの一部の気筒を圧縮自己着火運転させ、残りの気筒を強制点火運転させる混合運転制御を実行し、この混合運転制御により圧縮自己着火運転させる気筒から発生させるトルクを当該混合運転制御前のトルク以下にし、且つ、この混合運転制御により強制点火運転させる気筒から発生させるトルクを当該混合運転制御前のトルクよりも大きくする、ことを特徴とする。
このように構成された本発明によれば、第3の運転領域において、混合運転制御によって、一部の気筒を圧縮自己着火運転させてトルクを当該制御前のトルク以下にし、且つ、残りの気筒を強制点火運転させてトルクを当該制御前のトルクよりも大きくするので、要求トルクを満たしつつ、燃費を向上させることができる。
具体的には、通常、中低負荷域に相当する第3の運転領域において強制点火運転させると燃費が悪化してしまうが、そのような第3の運転領域において、一部の気筒を圧縮自己着火運転させ、そのトルクを混合運転制御前のトルク以下に抑えることで、要求トルクを満たすのに当たって、強制点火運転させる残りの気筒のトルクを混合運転制御前のトルクよりも大きくすることとなるが、それにより、強制点火運転により良好な燃費が得られるようなトルクを強制点火運転する気筒に速やかに適用することができる。例えば、エンジンの要求負荷が上昇する場合には、この要求負荷を実現するように強制点火運転する気筒のトルクを大きくして、強制点火運転により良好な燃費が得られる中高負荷域に速やかに到達させることができる。したがって、本発明によれば、第3の運転領域での強制点火運転の燃費を改善することができる。
他方で、通常、中低負荷域に相当する第3の運転領域において圧縮自己着火運転させるべきではないが、そのような第3の運転領域において、上記のように、一部の気筒を強制点火運転させ、そのトルクを混合運転制御前のトルクよりも大きくすることで、要求トルクを満たすのに当たって、圧縮自己着火運転させる残りの気筒のトルクを混合運転制御前のトルク以下にすることとなるが、それにより、燃焼騒音の抑制や着火時期の制御性などが確保された適切な圧縮自己着火運転を実現することができる。これにより、第3の運転領域において、圧縮自己着火運転による良好な燃費を適切に享受することができる。
以上より、本発明によれば、第3の運転領域において圧縮自己着火運転及び強制点火運転の両方を行い、それらのトルクを適当に制御することで、要求トルクを満たしつつ、エンジン全体での燃費を向上させることができる。
他の観点では、本発明複数の気筒を備えるガソリンエンジンに適用されるエンジンの制御装置であって、エンジンの負荷が所定値以下である第1の運転領域において、燃料を含む混合気を圧縮自己着火させてエンジンを運転させる圧縮自己着火運転を実行するようにエンジンを制御すると共に、この第1の運転領域よりも負荷が高い第2の運転領域において、燃料を含む混合気を強制点火させてエンジンを運転させる強制点火運転を実行するようにエンジンを制御するエンジン制御手段を有し、このエンジン制御手段は、第1の運転領域よりも負荷が高く且つ第2の運転領域よりも負荷が低い第3の運転領域において、エンジンの全気筒のうちの一部の気筒を圧縮自己着火運転させ、残りの気筒を強制点火運転させる混合運転制御を実行し、この混合運転制御により圧縮自己着火運転させる気筒から発生させるトルクを当該混合運転制御の前後においてほぼ一定に維持且つ、この混合運転制御により強制点火運転させる気筒から発生させるトルクを当該混合運転制御前のトルクよりも大きくする、ことを特徴とする
このように構成された本発明によれば、混合運転制御により圧縮自己着火運転させる気筒からのトルクを当該制御の前後においてほぼ一定に維持するので、混合運転制御の実行中において、燃焼位相の制御性を適切に確保することができる。
本発明において、好ましくは、エンジン制御手段は、混合運転制御により圧縮自己着火運転させる気筒及び強制点火運転させる気筒の両方が理論空燃比にて燃焼を行うようにする。
このように構成された本発明によれば、混合運転制御により圧縮自己着火運転させる気筒及び強制点火運転させる気筒の両方が理論空燃比(λ=1)にて燃焼を行うようにするので、圧縮自己着火運転する気筒及び強制点火運転する気筒の両方からの排気ガスが理論空燃比になり、そのようにして理論空燃比になった排気ガスを排気浄化触媒(三元触媒など)に供給することができる。よって、強制点火運転する気筒からの排気ガスに含まれるNOxを、触媒によって適切に浄化させることができる。
本発明において、好ましくは、エンジン制御手段は、エンジンの複数の気筒を所定の燃焼順序に従って運転させたときに、混合運転制御により圧縮自己着火運転させる気筒と、混合運転制御により強制点火運転させる気筒とが交互に燃焼を行うようにする。
このように構成された本発明によれば、複数の気筒を所定の燃焼順序に従って運転させたときに、混合運転制御において圧縮自己着火運転する気筒と強制点火運転する気筒とが交互に燃焼を行うようにするので、圧縮自己着火運転によるトルクと強制点火運転によるトルクとの差に起因するエンジン振動を適切に抑制することができる。具体的には、圧縮自己着火運転によるトルクと強制点火運転によるトルクとが切り替わる周期が短くなり、エンジン振動を感じにくくすることができる。
本発明において、好ましくは、エンジン制御手段は、混合運転制御により圧縮自己着火運転させる気筒から発生させるトルクと、混合運転制御により強制点火運転させる気筒から発生させるトルクとの平均トルクを、エンジンの要求負荷に応じた要求トルクに一致させるようにする。
このように構成された本発明によれば、混合運転制御により圧縮自己着火運転する気筒のトルクと強制点火運転する気筒のトルクとの平均トルクを、エンジンの要求負荷に応じた要求トルクに一致させるようにするので、混合運転制御の実行中に要求トルクを確実に満たすことができる。
本発明のエンジンの制御装置によれば、圧縮自己着火運転と強制点火運転との間で切り替えを行うべき運転領域において、燃費を適切に改善することができる。
本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンの概略構成図である。 本発明の実施形態によるエンジンの制御装置に関する電気的構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態によるエンジンの運転領域の説明図である。 本発明の実施形態による、第1の運転領域での吸気弁及び排気弁の動作の説明図である。 本発明の実施形態による、第2の運転領域での吸気弁及び排気弁の動作の説明図である。 本発明の実施形態による混合運転制御の説明図である。 本発明の実施形態において、第1の運転領域の上限負荷において微小に要求負荷が増加して第3の運転領域に移行する場合に行う制御についての説明図である。 本発明の実施形態による混合運転制御を実行した場合の燃費についての説明図である。 本発明の実施形態による混合運転制御に係る第1の制御例を示すタイムチャートである。 本発明の実施形態による混合運転制御に係る第2の制御例を示すタイムチャートである。 本発明の実施形態による混合運転制御に係る第3の制御例を示すタイムチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置について説明する。
[装置構成]
図1は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジン(エンジン本体)1の概略構成を示し、図2は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置を示すブロック図である。
エンジン1は、車両に搭載されると共に、少なくともガソリンを含有する燃料が供給されるガソリンエンジンである。エンジン1は、複数の気筒18が設けられたシリンダブロック11(なお、図1では、1つの気筒のみを図示するが、例えば4つの気筒が直列に設けられる)と、このシリンダブロック11上に配設されたシリンダヘッド12と、シリンダブロック11の下側に配設され、潤滑油が貯留されたオイルパン13とを有している。各気筒18内には、コンロッド142を介してクランクシャフト15と連結されているピストン14が往復動可能に嵌挿されている。ピストン14の頂面には、ディーゼルエンジンでのリエントラント型のようなキャビティ141が形成されている。キャビティ141は、ピストン14が圧縮上死点付近に位置するときには、後述するインジェクタ67に相対する。シリンダヘッド12と、気筒18と、キャビティ141を有するピストン14とは、燃焼室19を画定する。なお、燃焼室19の形状は、図示する形状に限定されるものではない。例えばキャビティ141の形状、ピストン14の頂面形状、及び、燃焼室19の天井部の形状等は、適宜変更することが可能である。
このエンジン1は、理論熱効率の向上や、後述する圧縮着火燃焼の安定化等を目的として、15以上の比較的高い幾何学的圧縮比に設定されている。なお、幾何学的圧縮比は15以上20以下程度の範囲で、適宜設定すればよい。
シリンダヘッド12には、気筒18毎に、吸気ポート16及び排気ポート17が形成されていると共に、これら吸気ポート16及び排気ポート17には、燃焼室19側の開口を開閉する吸気弁21及び排気弁22がそれぞれ配設されている。
吸気弁21及び排気弁22をそれぞれ駆動する動弁系の内、排気側には、排気弁22の作動モードを通常モードと特殊モードとに切り替える、例えば油圧作動式の可変バルブリフト機構(図2参照。以下、VVL(Variable Valve Lift)と称する)71と、クランクシャフト15に対する排気カムシャフトの回転位相を変更することが可能な位相可変機構(以下、VVT(Variable Valve Timing)と称する)75と、が設けられている。VVL71は、その構成の詳細な図示は省略するが、カム山を一つ有する第1カムとカム山を2つ有する第2カムとの、カムプロフィールの異なる2種類のカム、及び、その第1及び第2カムのいずれか一方のカムの作動状態を選択的に排気弁22に伝達するカムシフティング機構を含んで構成されている。第1カムの作動状態を排気弁22に伝達しているときには、排気弁22は、排気行程中において一度だけ開弁される通常モードで作動するのに対し、第2カムの作動状態を排気弁22に伝達しているときには、排気弁22が、排気行程中において開弁すると共に、吸気行程中においても開弁するような、いわゆる排気の二度開きを行う特殊モードで作動する。VVL71の通常モードと特殊モードとは、エンジンの運転状態に応じて切り替えられる。具体的には、特殊モードは、内部EGRに係る制御の際に利用される。なお、排気弁22を電磁アクチュエータによって駆動する電磁駆動式の動弁系を採用してもよい。
VVT75は、液圧式、電磁式又は機械式の公知の構造を適宜採用すればよく、その詳細な構造についての図示は省略する。排気弁22は、VVT75によって、その開弁時期及び閉弁時期を、所定の範囲内で連続的に変更可能である。また、複数の気筒18のそれぞれに設けられた排気弁22は、各気筒18ごとに別個に、VVL71及びVVT75によってリフト量及び動作タイミングが制御されるようになっている。
なお、内部EGRの実行は、上記したような排気弁22の二度開きのみによって実現されるのではない。例えば吸気弁21を二回開く、吸気の二度開きによって内部EGR制御を行ってもよいし、排気行程乃至吸気行程において吸気弁21及び排気弁22の双方を閉じるネガティブオーバーラップ期間を設けて既燃ガスを気筒18内に残留させる内部EGR制御を行ってもよい。
VVL71及びVVT75を備えた排気側の動弁系と同様に、吸気側には、図2に示すように、VVL74とVVT72とが設けられている。吸気側のVVL74は、排気側のVVL71とは異なる。吸気側のVVL74は、吸気弁21のリフト量を相対的に大きくする大リフトカムと、吸気弁21のリフト量を相対的に小さくする小リフトカムとの、カムプロフィールの異なる2種類のカム、及び、大リフトカム及び小リフトカムのいずれか一方のカムの作動状態を選択的に吸気弁21に伝達するカムシフティング機構を含んで構成されている。VVL74が大リフトカムの作動状態を吸気弁21に伝達しているときには、吸気弁21は、相対的に大きいリフト量で開弁すると共に、その開弁期間も長くなる。これに対し、VVL74が小リフトカムの作動状態を吸気弁21に伝達しているときには、吸気弁21は、相対的に小さいリフト量で開弁すると共に、その開弁期間も短くなる。大リフトカムと小リフトカムとは、閉弁時期又は開弁時期を同じにして切り替わるように設定されている。
吸気側のVVT72は、排気側のVVT75と同様に、液圧式、電磁式又は機械式の公知の構造を適宜採用すればよく、その詳細な構造についての図示は省略する。吸気弁21もまた、VVT72によって、その開弁時期及び閉弁時期を、所定の範囲内で連続的に変更可能である。また、複数の気筒18のそれぞれに設けられた吸気弁21は、各気筒18ごとに別個に、VVL74及びVVT72によってリフト量及び動作タイミングが制御されるようになっている。なお、吸気側にVVL74を適用せずに、VVT72のみを適用し、吸気弁21の開弁時期及び閉弁時期のみを変更するようにしてもよい。
シリンダヘッド12にはまた、気筒18毎に、気筒18内に燃料を直接噴射する(直噴)インジェクタ67が取り付けられている。インジェクタ67は、その噴口が燃焼室19の天井面の中央部分から、その燃焼室19内に臨むように配設されている。インジェクタ67は、エンジン1の運転状態に応じて設定された噴射タイミングでかつ、エンジン1の運転状態に応じた量の燃料を、燃焼室19内に直接噴射する。この例において、インジェクタ67は、詳細な図示は省略するが、複数の噴口を有する多噴口型のインジェクタである。これによって、インジェクタ67は、燃料噴霧が、燃焼室19の中心位置から放射状に広がるように、燃料を噴射する。ピストン14が圧縮上死点付近に位置するタイミングで、燃焼室19の中央部分から放射状に広がるように噴射された燃料噴霧は、ピストン頂面に形成されたキャビティ141の壁面に沿って流動する。キャビティ141は、ピストン14が圧縮上死点付近に位置するタイミングで噴射された燃料噴霧を、その内部に収めるように形成されている、と言い換えることが可能である。この多噴口型のインジェクタ67とキャビティ141との組み合わせは、燃料の噴射後、混合気形成期間を短くすると共に、燃焼期間を短くする上で有利な構成である。なお、インジェクタ67は、多噴口型のインジェクタに限定されず、外開弁タイプのインジェクタを採用してもよい。
図外の燃料タンクとインジェクタ67との間は、燃料供給経路によって互いに連結されている。この燃料供給経路上には、燃料ポンプ63とコモンレール64とを含みかつ、インジェクタ67に、比較的高い燃料圧力で燃料を供給することが可能な燃料供給システム62が介設されている。燃料ポンプ63は、燃料タンクからコモンレール64に燃料を圧送し、コモンレール64は圧送された燃料を、比較的高い燃料圧力で蓄えることが可能である。インジェクタ67が開弁することによって、コモンレール64に蓄えられている燃料がインジェクタ67の噴口から噴射される。ここで、燃料ポンプ63は、図示は省略するが、プランジャー式のポンプであり、エンジン1によって駆動される。このエンジン駆動のポンプを含む構成の燃料供給システム62は、30MPa以上の高い燃料圧力の燃料を、インジェクタ67に供給することを可能にする。燃料圧力は、最高で120MPa程度に設定してもよい。インジェクタ67に供給される燃料の圧力は、エンジン1の運転状態に応じて変更される。なお、燃料供給システム62は、この構成に限定されるものではない。
シリンダヘッド12にはまた、燃焼室19内の混合気に強制点火(具体的には火花点火)する点火プラグ25が取り付けられている。点火プラグ25は、この例では、エンジン1の排気側から斜め下向きに延びるように、シリンダヘッド12内を貫通して配置されている。点火プラグ25の先端は、圧縮上死点に位置するピストン14のキャビティ141内に臨んで配置される。
エンジン1の一側面には、図1に示すように、各気筒18の吸気ポート16に連通するように吸気通路30が接続されている。一方、エンジン1の他側面には、各気筒18の燃焼室19からの既燃ガス(排気ガス)を排出する排気通路40が接続されている。
吸気通路30の上流端部には、吸入空気を濾過するエアクリーナ31が配設され、その下流側には、各気筒18への吸入空気量を調節するスロットル弁36が配設されている。また、吸気通路30における下流端近傍には、サージタンク33が配設されている。このサージタンク33よりも下流側の吸気通路30は、気筒18毎に分岐する独立通路とされ、これら各独立通路の下流端が各気筒18の吸気ポート16にそれぞれ接続されている。
排気通路40の上流側の部分は、気筒18毎に分岐して排気ポート17の外側端に接続された独立通路と該各独立通路が集合する集合部とを有する排気マニホールドによって構成されている。この排気通路40における排気マニホールドよりも下流側には、排気ガス中の有害成分を浄化する排気浄化装置として、直キャタリスト41とアンダーフットキャタリスト42とがそれぞれ接続されている。直キャタリスト41及びアンダーフットキャタリスト42はそれぞれ、筒状ケースと、そのケース内の流路に配置した、例えば三元触媒とを備えて構成されている。
吸気通路30におけるサージタンク33とスロットル弁36との間の部分と、排気通路40における直キャタリスト41よりも上流側の部分とは、排気ガスの一部を吸気通路30に還流するためのEGR通路50を介して接続されている。このEGR通路50は、排気ガスをエンジン冷却水によって冷却するためのEGRクーラ52が配設された主通路51を含んで構成されている。主通路51には、排気ガスの吸気通路30への還流量を調整するためのEGR弁511が配設されている。
エンジン1は、パワートレイン・コントロール・モジュール(以下、PCMという)10によって制御される。PCM10は、CPU、メモリ、カウンタタイマ群、インターフェース及びこれらのユニットを接続するパスを有するマイクロプロセッサで構成されている。このPCM10が制御器を構成する。
PCM10には、図1及び図2に示すように、各種のセンサSW1、SW2、SW4〜SW18の検出信号が入力される。具体的には、PCM10には、エアクリーナ31の下流側で、新気の流量を検出するエアフローセンサSW1の検出信号と、新気の温度を検出する吸気温度センサSW2の検出信号と、EGR通路50における吸気通路30との接続部近傍に配置されかつ、外部EGRガスの温度を検出するEGRガス温センサSW4の検出信号と、吸気ポート16に取り付けられかつ、気筒18内に流入する直前の吸気の温度を検出する吸気ポート温度センサSW5の検出信号と、シリンダヘッド12に取り付けられかつ、気筒18内の圧力を検出する筒内圧センサSW6の検出信号と、排気通路40におけるEGR通路50の接続部近傍に配置されかつ、それぞれ排気温度及び排気圧力を検出する排気温センサSW7及び排気圧センサSW8の検出信号と、直キャタリスト41の上流側に配置されかつ、排気中の酸素濃度を検出するリニアO2センサSW9の検出信号と、直キャタリスト41とアンダーフットキャタリスト42との間に配置されかつ、排気中の酸素濃度を検出するラムダO2センサSW10の検出信号と、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサSW11の検出信号と、クランクシャフト15の回転角を検出するクランク角センサSW12の検出信号と、車両のアクセルペダル(図示省略)の操作量に対応したアクセル開度を検出するアクセル開度センサSW13の検出信号と、吸気側及び排気側のカム角センサSW14、SW15の検出信号と、燃料供給システム62のコモンレール64に取り付けられかつ、インジェクタ67に供給する燃料圧力を検出する燃圧センサSW16の検出信号と、エンジン1の油圧を検出する油圧センサSW17の検出信号と、エンジン1の油温を検出する油温センサSW18の検出信号と、が入力される。
PCM10は、これらの検出信号に基づいて種々の演算を行うことによってエンジン1や車両の状態を判定し、これに応じて、(直噴)インジェクタ67、点火プラグ25、吸気弁側のVVT72及びVVL74、排気弁側のVVT75及びVVL71、燃料供給システム62、並びに、各種の弁(スロットル弁36、EGR弁511)のアクチュエータへ制御信号を出力する。こうしてPCM10は、エンジン1を運転する。詳細は後述するが、PCM10は、本発明におけるエンジンの制御装置に相当する。
[運転領域]
次に、図3を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの運転領域について説明する。図3は、本実施形態によるエンジン1の運転制御マップの一例を示している。このエンジン1は、燃費の向上や排気エミッション性能の向上を目的として、エンジン負荷が相対的に低い低負荷域である第1の運転領域R11では、点火プラグ25による点火を行わずに、圧縮自己着火によって燃焼を行う圧縮着火燃焼を行う。しかしながら、エンジン1の負荷が高くなるに従って、この圧縮着火燃焼では、燃焼が急峻になりすぎてしまい、燃焼騒音が発生したり、着火時期の制御が困難になったりする(失火などが発生する傾向にある)。そのため、このエンジン1では、エンジン負荷が相対的に高い高負荷域である第2の運転領域R12では、圧縮着火燃焼の代わりに、点火プラグ25を利用した強制点火燃焼(ここでは火花点火燃焼)を行うようにする。このように、このエンジン1は、エンジン1の運転状態、特にエンジン1の負荷に応じて、圧縮着火燃焼による運転を実行するCI(Compression Ignition)運転と、火花点火燃焼による運転を実行するSI(Spark Ignition)運転とを切り替えるように構成されている。
特に、本実施形態では、CI運転を行う第1の運転領域R11とSI運転を行う第2の運転領域R12との間に第3の運転領域R13を更に規定し、つまり第1の運転領域R11よりも負荷が高く且つ第2の運転領域R12よりも負荷が低い中低負荷域としての第3の運転領域R13を更に規定し、この第3の運転領域R13では、CI運転及びSI運転の両方を行うようにする。具体的には、本実施形態では、エンジン負荷が第3の運転領域R13にある場合には、PCM10は、エンジン1の全気筒18のうちの一部の気筒18をCI運転させ、残りの気筒18をSI運転させる混合運転制御を実行する。
好適には、第3の運転領域R13の下側における第1の運転領域R11との境界は、当該境界の負荷以上においてCI運転を行うと、燃焼騒音が発生したり着火時期の制御が困難になったりするような負荷に基づいて規定するのがよい。また、第3の運転領域R13の上側における第2の運転領域R12との境界は、当該境界の負荷未満ではSI運転による良好な燃費が得られないが、当該境界の負荷以上になるとSI運転による良好な燃費が得られるような負荷に基づいて規定するのがよい。
ここで、第1の運転領域R11において実行するCI運転と、第2の運転領域R12において実行するSI運転について具体的に説明する。
第1の運転領域R11内における低負荷側の領域では、CI運転として、圧縮着火燃焼の着火性及び安定性を高めるために、気筒18内の圧縮端温度を高めるべく、排気側のVVL71をオンにして、排気弁22を吸気行程中に開弁する排気の二度開きを行って、相対的に温度の高い内部EGRガスを気筒18内に導入する。また、CI運転では、第1の運転領域R11における低負荷側の領域では、均質な混合気を形成すべく、少なくとも吸気行程から圧縮行程中期までの期間内において、インジェクタ67が気筒18内に燃料を噴射する。この場合、吸気行程と圧縮行程とにおいて、燃料を分割噴射してもよい。
一方で、第1の運転領域R11内における高負荷側の領域では、CI運転として、気筒18内の温度環境が高くなるので、過早着火を抑制するために、内部EGRガス量を低下させる一方で、EGRクーラ52を通過することによって冷却された外部EGRガスを気筒18内に導入する。また、このような気筒18内の温度制御に加えて、過早着火等の異常燃焼を回避しつつ、圧縮着火燃焼の安定化を図るべく、大幅に高圧化した燃料圧力でもって、少なくとも圧縮行程後期から膨張行程初期までの期間内で、気筒18内に燃料噴射を実行する(高圧リタード噴射)。
このような第1の運転領域R11でのCI運転に対して、第2の運転領域R12でのSI運転では、排気側のVVL71をオフにして、ホットEGRガスの導入を中止する一方で、クールドEGRガスの導入は継続する。SI運転ではまた、スロットル弁36を全開にする一方で、EGR弁511の開度調整により、気筒18内に導入する新気量及び外部EGRガス量を調整する。こうして気筒18内に導入するガス割合を調整することは、ポンプ損失の低減と共に、大量のクールドEGRガスを気筒18内に導入することによる異常燃焼の回避、火花点火燃焼の燃焼温度を低く抑えることによるRaw NOxの生成抑制及び冷却損失の低減が図られる。なお、全開負荷域では、EGR弁511を閉弁することにより、外部EGRをゼロにする。
また、SI運転においては、過早着火やノッキングなどの異常燃焼を回避すべく、高圧リタード噴射を行う。具体的には、30MPa以上の高い燃料圧力でもって、圧縮行程後期から膨張行程初期にかけてリタード期間内で、気筒18内に燃料噴射を実行する高圧リタード噴射を行う。なお、SI運転においては、リタード期間内での高圧リタード噴射に加えて、噴射する燃料の一部を、吸気弁21が開弁している吸気行程期間内で気筒18内に噴射するようにしてもよい(つまり分割噴射を行うとしてもよい)。
[吸気弁及び排気弁の制御]
次に、図4及び図5を参照して、本発明の実施形態による吸気弁21及び排気弁22の制御の具体例について説明する。図4は、CI運転を行う第1の運転領域R11での吸気弁21及び排気弁22の動作を示し、図5は、SI運転を行う第2の運転領域R12での吸気弁21及び排気弁22の動作を示している。図4及び図5は、それぞれ、横方向にクランク角を示し、実線のグラフG11、G21は、クランク角に応じた排気弁22の動作を示し、破線のグラフG12、G22は、クランク角に応じた吸気弁21の動作を示している。上記したように、吸気弁21は、VVT72及びVVL74を介してPCM10によって開弁時期、閉弁時期及びリフト量が制御され、排気弁22は、VVT75及びVVL71を介してPCM10によって開弁時期、閉弁時期及びリフト量が制御される。
図4に示すように、CI運転を行う第1の運転領域R11においては、排気弁22を排気行程中に開弁させると共に吸気行程中にも開弁させる二度開きを実行して(実線のグラフG11参照)、相対的に温度の高い内部EGRガスを気筒18内に導入するようにする。他方で、図5に示すように、SI運転を行う第2の運転領域R12においては、排気弁22を排気行程中にのみ開弁させる(実線のグラフG21参照)。特に、SI運転を行う第2の運転領域R12においては、吸気弁21をCI運転時よりも早めに開弁すると共に遅めに閉弁し、且つ、吸気弁21のリフト量をCI運転時よりも大きくして(破線のグラフG22参照)、所謂ミラーサイクルが実現されるようにする。
[混合運転制御]
次に、本発明の実施形態による混合運転制御について説明する。
最初に、本実施形態による混合運転制御の概要について説明する。本実施形態では、PCM10は、第1の運転領域R11よりも負荷が高く且つ第2の運転領域R12よりも負荷が低い第3の運転領域R13において(図3参照)、エンジン1の全気筒18のうちの一部の気筒18をCI運転させ、残りの気筒18をSI運転させる混合運転制御を実行する。例えば、4気筒エンジンであれば、2つの気筒18をCI運転させ且つ2つの気筒18をSI運転させるか、3つの気筒18をCI運転させ且つ1つの気筒18をSI運転させるか、1つの気筒18をCI運転させ且つ3つの気筒18をSI運転させる。
この場合、PCM10は、エンジン1の要求負荷が上昇して第1の運転領域R11から第3の運転領域R13へと移行する場合には、第1の運転領域R11においてCI運転を行っている全気筒18のうちの一部の気筒18についてはCI運転を維持し、残りの気筒18についてはCI運転からSI運転へと切り替える。他方で、PCM10は、エンジン1の要求負荷が減少して第2の運転領域R12から第3の運転領域R13へと移行する場合には、第2の運転領域R12においてSI運転を行っている全気筒18のうちの一部の気筒18についてはSI運転を維持し、残りの気筒18についてはSI運転からCI運転へと切り替える。以下では、混合運転制御においてCI運転させる気筒を適宜「CI気筒」と呼び、混合運転制御においてSI運転させる気筒を適宜「SI気筒」と呼ぶ。
なお、CI運転及びSI運転のそれぞれについて具体的に実行する制御内容は、上記した[運転領域]のセクションで述べた通りである。
特に、本実施形態では、PCM10は、上記のような混合運転制御を行う場合に、エンジン1の要求負荷の変化に対して、混合運転制御においてCI運転させる気筒18から発生させるトルクの変化率を、混合運転制御においてSI運転させる気筒18から発生させるトルクの変化率よりも小さくする。具体的には、PCM10は、エンジン1の要求負荷が上昇して第1の運転領域R11から第3の運転領域R13へと移行する場合、及び第3の運転領域R13内での負荷上昇時には、CI気筒18からのトルクを上昇させるときの傾き(上昇させずに減少させるか又は一定に維持してもよい)を、SI気筒18からのトルクを上昇させるときの傾きよりも緩やかにする。これに対して、PCM10は、エンジン1の要求負荷が減少して第2の運転領域R12から第3の運転領域R13へと移行する場合、及び第3の運転領域R13内での負荷減少時には、CI気筒18からのトルクを減少させるときの傾き(減少させずに上昇させるか又は一定に維持してもよい)を、SI気筒18からのトルクを減少させるときの傾きよりも緩やかにする。
更に、本実施形態では、PCM10は、CI気筒18からのトルクを混合運転制御前のトルク以下にし、且つ、SI気筒18からのトルクを混合運転制御前のトルクよりも大きくする。例えば、PCM10は、混合運転制御の開始直後に、CI気筒18からの最終要求トルクをほぼステップ状に低下させると共に、SI気筒18からのトルクをほぼステップ状に上昇させ、その後に、CI気筒18からのトルクを緩やかに変化させる一方で、SI気筒18からのトルクを大きく変化させる。
このような混合運転制御を行う理由は以下の通りである。
CI運転は、燃費が良好であるが、エンジン負荷が高くなると、燃焼が急峻になり、燃焼騒音が発生したり、着火時期の制御が困難になったりするので、従来から、エンジン負荷が相対的に低い第1の運転領域R11でのみCI運転を実行し、エンジン負荷が第1の運転領域R11よりも高くなると、CI運転からSI運転へと切り替えている。しかしながら、エンジン負荷が第1の運転領域R11を少し超える運転領域(中低負荷域)では、SI運転を行うと燃費が悪くなってしまう。これは、SI運転は、ある程度高い負荷域(中高負荷域)において良好な燃費が得られ、エンジン負荷が第1の運転領域R11を少し超える運転領域(中低負荷域)では良好な燃費が得られないからである。
したがって、本実施形態では、上記したような第1の運転領域R11を少し超える運転領域(中高負荷域)を、より具体的には、CI運転の特性よりCI運転ではなくSI運転を実行すべき運転領域であるが、SI運転により良好な燃費が得られないような運転領域(従来ではSI運転のみを行っていた運転領域内の低負荷側の領域に相当する)を、第1及び第2の運転領域R11、R12とは別に第3の運転領域R13として新たに規定した。そして、本実施形態では、このような第3の運転領域R13において、全気筒18のうちの一部の気筒18をCI運転させ、残りの気筒18をSI運転させる混合運転制御を実行し、こうしてCI運転させる気筒18からのトルクの変化率をSI運転させる気筒18からのトルクの変化率よりも小さくするようにした。
こうすることで、CI気筒18については、CI運転による燃費向上を図りつつ、トルクを緩やかに変化させることで、燃焼騒音の抑制や着火時期の制御性などを確保するようにし、また、SI気筒18については、トルクを大きく変化させることで、SI運転により良好な燃費が得られるようなトルクが速やかに適用されるようにして、燃費を向上させるようにした。特に、本実施形態では、CI気筒18からのトルクを混合運転制御前のトルク以下にし、SI気筒18からのトルクを混合運転制御前のトルクよりも大きくして、エンジン全体での燃費を効果的に向上させるようにした。この場合、CI気筒18からのトルクが要求トルク以下になるが、SI気筒18からのトルクが要求トルクよりも大きくなるので、エンジン全体として要求トルクを適切に満たせるようになる。
次に、図6を参照して、本発明の実施形態による混合運転制御についてより具体的に説明する。図6は、横軸に、グラフG31、G34、G37に対応する、複数の気筒18における負荷の平均(言い換えるとエンジン全体での平均の負荷であり、要求負荷に相当する)を示している。また、縦軸に、グラフG32、G33、G35、G36に対応する、CI運転又はSI運転を行う各気筒18のそれぞれの負荷を示している。なお、図6に示す負荷は、一義的にトルクに相当するものである(以下同様とする)。
図6に示すように、PCM10は、第1の運転領域R11では、全気筒18についてCI運転を実行し、エンジン負荷が上昇して第1の運転領域R11から第3の運転領域R13へと移行すると、矢印A11に示すように、全気筒18のうちの一部の気筒18をCI運転し、残りの一部の気筒18をSI運転する。図6に示す例では、PCM10は、4気筒エンジンについて、所定の2つの気筒18をCI運転し、残りの2つの気筒18をSI運転する。この場合、PCM10は、第1の運転領域R11においてCI運転を行っている4つの気筒18のうちの所定の2つの気筒18についてはCI運転を維持し、残りの2つの気筒18をCI運転からSI運転へと切り替える。
好適には、PCM10は、4つの気筒18を所定の燃焼順序(点火順序に相当する)に従って運転させたときに、CI気筒18とSI気筒18とが交互に燃焼を行うようにする(CI燃焼→SI燃焼→CI燃焼→SI燃焼…)。例えば、PCM10は、第1気筒→第3気筒→第4気筒→第2気筒の順に燃焼を行っている場合、若しくは第1気筒→第2気筒→第4気筒→第3気筒の順に燃焼を行っている場合、第1気筒及び第4気筒についてはCI運転及びSI運転の一方を実行させ、第3気筒及び第2気筒についてはCI運転及びSI運転の他方を実行させる。こうすることで、SI気筒18のトルクとCI気筒18のトルクとの差に起因するエンジン振動を抑制するようにする。つまり、SI気筒18のトルクとCI気筒18のトルクとが切り替わる周期を短くして、エンジン振動が感じられにくくなるようにしている。
より具体的には、PCM10は、グラフG32に示すように、SI運転させる気筒18については、第1の運転領域R11と第3の運転領域R13との境界付近においてSI気筒18の負荷をほぼステップ状に上昇させ、この境界以降においてSI気筒18の負荷を大きく上昇させ、第3の運転領域R13と第2の運転領域R12との境界付近においてSI気筒18の負荷をほぼステップ状に低下させる。他方で、CI運転させる気筒18については、PCM10は、グラフG33に示すように、第1の運転領域R11と第3の運転領域R13との境界付近においてCI気筒18の負荷をほぼステップ状に低下させ、この境界以降においてCI気筒18の負荷を緩やかに上昇させる。この後、PCM10は、CI気筒18の負荷が、CI運転に関する燃焼騒音や着火時期の制御性などを考慮して定められた負荷閾値Thr1を超えると、CI運転からSI運転に切り替えて、負荷をほぼステップ状に上昇させる。このようにグラフG32、G33に示すようにSI運転及びCI運転を行うことで、CI運転における燃焼騒音の抑制や着火時期の制御性などを確保しつつ、CI運転の良好な燃費の適用に加えて、SI運転の燃費の改善効果により、エンジン全体での燃費が適切に向上するようになる。
なお、PCM10は、第3の運転領域R13と第2の運転領域R12との境界では、全気筒18の負荷が同一になるようにする。つまり、グラフG32に示す気筒18の負荷と、グラフG33に示す気筒18の負荷とが同一になるようにする。これにより、エンジン1の全ての気筒18が同一の負荷にてSI運転を行うようになる。
また、PCM10は、上記のようにSI運転とCI運転とを行う場合に、SI気筒18の負荷とCI気筒18の負荷との平均値が、グラフG31を延長させたグラフG34に示す負荷に一致するようにする。こうすることで、SI気筒18の負荷(トルク)とCI気筒18の負荷(トルク)の平均負荷(平均トルク)が、要求負荷(要求トルク)に一致するようにする。更に、PCM10は、第3の運転領域R13においては、SI気筒18及びCI気筒18の両方が理論空燃比(λ=1)にて運転を行うようにする。特に、CI運転は、通常、空燃比をリーンに設定するが、少なくとも第3の運転領域R13においては、理論空燃比にてCI運転を行うようにする。こうすることで、SI気筒18及びCI気筒18の両方からの排気ガスが理論空燃比になり、そのような理論空燃比になった排気ガスを、三元触媒などで構成されたキャタリスト41、42に供給することで、SI気筒18からの排気ガスに含まれるNOxがキャタリスト41、42にて適切に浄化されるようになる。
次に、第2の運転領域R12においては、PCM10は、基本的には、全気筒18を同一の燃焼形態にてSI運転させる、つまり全気筒18を同一の負荷にてSI運転させる。但し、矢印A12に示すような負荷域においては、PCM10は、SI運転の燃費を改善する観点から、SI運転させる全気筒18のうちの2つの気筒18の負荷を要求負荷よりも高くなるように上昇させ(グラフG35参照)、残りの2つの気筒18の負荷を要求負荷よりも低くなるように低下させる(グラフG36参照)。この場合にも、PCM10は、負荷を上昇させる2つのSI気筒18からの負荷と、負荷を低下させる2つのSI気筒18からの負荷との平均値が、グラフG31を延長させたグラフG37に示す負荷に一致するようにする(つまり要求負荷に一致するようにする)。
なお、矢印A12に示す負荷域では、後述する図8に示すように、全気筒18を同一の負荷にてSI運転させると燃費が悪くなるため、SI運転の燃費を改善すべく、上記したように気筒18ごとに負荷を変えるようにしたのである。
なお、図6を参照した上記した説明では、エンジン1の要求負荷が上昇して、負荷が第1の運転領域R11→第3の運転領域R13→第2の運転領域R12と移行する場合の制御について述べたが、このような制御は、エンジン1の要求負荷が減少して、負荷が第2の運転領域R12→第3の運転領域R13→第1の運転領域R11と移行する場合にも同様に行われる。
また、PCM10は、図6に示したようなCI運転及びSI運転を実現するに当たって、各気筒18ごとに、インジェクタ67や、点火プラグ25や、吸気弁側のVVT72及びVVL74や、排気弁側のVVT75及びVVL71などを制御する。その具体的な制御内容は、上記した[運転領域]のセクションで述べた通りである。
ここで、図6に加えて、図7を参照して、第1の運転領域R11の上限負荷において微小に要求負荷が増加して、第3の運転領域R13に移行する場合について説明する。図6及び図7において、符号P1は、SI気筒18の発揮すべき最終要求トルクを示しており、符号P2は、第3の運転領域R13の下限負荷において、燃費性能を最適にするためにCI気筒18の発揮すべき最終要求トルクを示している。これらのトルクP1、P2は、第1の運転領域R11の上限負荷からステップ状に変化したものとなっている。この場合、図7に示すように、PCM10は、時刻t1から時刻t2にかけて、CI気筒18からのトルクを緩やかにトルクP2へと低下させ、一方で、機関平均負荷を第3の運転領域R13の下限負荷に保つために、相応してSI気筒18からのトルクを緩やかにトルクP2へと上昇させる。
次に、図8を参照して、本発明の実施形態による混合運転制御を実行した場合の燃費について説明する。図8は、横軸に負荷を示し、縦軸に燃費を示している。
図8において、グラフG41は、4気筒エンジンにおいて、全気筒18を同一の燃焼形態にて運転した場合の燃費を示している。具体的には、グラフG41は、第1の運転領域R11において、全気筒18をCI運転させ、第3の運転領域R13及び第2の運転領域R12において、全気筒18をSI運転させた場合の燃費を示している。なお、グラフG41は、本実施形態の比較例による燃費を示すものであり、これに対して、後述するグラフG42、G43、G44は、本実施形態による燃費を示すものである。
グラフG42は、4気筒エンジンにおいて、或る2つの気筒18の組と他の2つの気筒18の組とで燃焼形態を異ならせて運転した場合の燃費を示している。具体的には、グラフG42は、第3の運転領域R13において、一方の2つの気筒18の組をCI運転させ、他方の2つの気筒18の組をSI運転させると共に(矢印A21参照)、第2の運転領域R12中の矢印A22で示すような負荷域において、一方の2つの気筒18の組の負荷を低下させるSI運転を行い、他方の2つの気筒18の組の負荷を上昇させるSI運転を行った場合の燃費を示している。
グラフG43は、4気筒エンジンにおいて、或る1つの気筒18と残りの3つの気筒18の組とで燃焼形態を異ならせて運転した場合の燃費を示している。具体的には、グラフG43は、第3の運転領域R13において、1つの気筒18をCI運転させ、3つの気筒18の組をSI運転させると共に(矢印A21参照)、第2の運転領域R12中の矢印A22で示すような負荷域において、1つの気筒18の負荷を低下させるSI運転を行い、3つの気筒18の組の負荷を上昇させるSI運転を行った場合の燃費を示している。
グラフG44は、4気筒エンジンにおいて、或る3つの気筒18と残りの1つの気筒18とで燃焼形態を異ならせて運転した場合の燃費を示している。具体的には、グラフG44は、第3の運転領域R13において、3つの気筒18の組をCI運転させ、1つの気筒18をSI運転させると共に(矢印A21参照)、第2の運転領域R12中の矢印A22で示すような負荷域において、3つの気筒18の組の負荷を低下させるSI運転を行い、1つの気筒18の負荷を上昇させるSI運転を行った場合の燃費を示している。
図8に示すように、第3の運転領域R13において、全気筒18を同一の燃焼形態にて運転した場合、つまり全気筒18をSI運転した場合には、燃費が悪くなるが(グラフG41参照)、気筒18ごとに燃焼形態を異ならせて運転した場合、つまり一部の気筒18をCI運転させ、残りの気筒18をSI運転させた場合には、燃費が改善していることがわかる(グラフG42、G43、G44参照)。更に、第2の運転領域R12中の矢印A22で示すような負荷域において、全気筒18の負荷が同一になるようにSI運転した場合には、燃費が悪くなるが(グラフG41参照)、一部の気筒18の負荷を上昇させ、残りの気筒18の負荷を低下させてSI運転した場合には、燃費が改善していることがわかる(グラフG42、G43、G44参照)。
[制御例]
次に、図9、図10及び図11を参照して、本発明の実施形態による混合運転制御の種々の具体例について説明する。図9、図10及び図11は、それぞれ、本発明の実施形態による混合運転制御に係る第1の制御例、第2の制御例及び第3の制御例を示すタイムチャートである。図9、図10及び図11は、横軸に時間を示し、縦軸にトルクを示している(縦軸に示すトルクは、一義的に負荷に相当する)。
なお、図9乃至図11に示す制御例は、要求トルク(要求負荷)の変化によりエンジン1の燃焼位相を変化させるときに、CI気筒18のトルクをできるだけ緩やかに変化させることや、エンジン全体のトルク(平均トルク)を速やかに変化させることなどを図るべく実行されるものである。そのような制御は、基本的には、図3に示した第1乃至第3の運転領域R11〜R13に基づき要求負荷に応じて実行されるが、場合によっては、第1乃至第3の運転領域R11〜R13に依らずに実行されることもある。例えば、第1の運転領域R11において、CI気筒18のトルクをできるだけ緩やかに変化させつつ、エンジン全体のトルクを速やかに変化させるように、CI運転を行っている気筒18の一部をSI運転に切り替える場合もある。
図9乃至図11に示すように、PCM10は、時刻t11までは、全気筒18についてCI運転を実行しており、時刻t11から、要求トルクの上昇(言い換えるとアクセルペダルの踏み込みによる加速要求)に応じて、混合運転制御を実行する。つまり、PCM10は、時刻t11より、全気筒18のうちの一部の気筒18をCI運転からSI運転に切り替え、残りの一部の気筒18についてはCI運転に維持する。
第1の制御例では、図9に示すように、PCM10は、時刻t11より、SI気筒18のトルクを大きく上昇させる一方で(グラフG51参照)、燃焼位相の制御性を確保すべく、CI気筒18のトルクを緩やかに上昇させる(グラフG52参照)。また、PCM10は、時刻t11以降において、SI気筒18のトルクとCI気筒18のトルクとの平均トルクが要求トルクに一致するようにする(グラフG53参照)。この後、CI気筒18のトルクが緩やかに上昇された結果、時刻t12において、CI気筒18のトルクが、上記した負荷閾値Thr1(CI運転に関する燃焼騒音や着火時期の制御性などを考慮して定められた負荷)に対応するトルク閾値Thr2に達する。この時刻t12において、PCM10は、CI気筒18をSI運転に切り替えて、トルクをほぼステップ状に上昇させる一方で、時刻t12以前からSI運転を行っているSI気筒18についてはトルクをほぼステップ状に低下させて、時刻t12の直後において全気筒18のトルクが同一になるようにする。
第2の制御例では、図10に示すように、PCM10は、時刻t11より、SI気筒18のトルクを大きく上昇させる一方で(グラフG61参照)、CI気筒18のトルクを緩やかに低下させる(グラフG62参照)。こうするのは、第2の制御例では、第1の制御例と異なり、時刻t11以前における、全気筒18をCI運転させているときのトルクがトルク閾値Thr2に既に達しているので、時刻t11よりCI気筒18のトルクを上昇させるべきでないからである。そのため、第2の制御例では、PCM10は、時刻t11より、CI気筒18のトルクをある程度まで緩やかに低下させ、その後、CI気筒18のトルクを緩やかに上昇させる。このようにCI気筒18のトルクを一旦低下させることで、燃費を改善することができる。また、PCM10は、時刻t11以降において、SI気筒18のトルクとCI気筒18のトルクとの平均トルクが要求トルクに一致するようにする(グラフG63参照)。この後、CI気筒18のトルクが緩やかに上昇された結果、時刻t12において、CI気筒18のトルクがトルク閾値Thr2に達する。この時刻t12において、PCM10は、CI気筒18をSI運転に切り替えて、トルクをほぼステップ状に上昇させる一方で、時刻t12以前からSI運転を行っているSI気筒18についてはトルクをほぼステップ状に低下させて、時刻t12の直後において全気筒18のトルクが同一になるようにする。
第3の制御例では、図11に示すように、PCM10は、時刻t11より、SI気筒18のトルクを大きく上昇させる一方で(グラフG71参照)、CI気筒18のトルクを一定に維持する(グラフG72参照)。第3の制御例でも、第2の制御例と同様に、時刻t11以前における、全気筒18をCI運転させているときのトルクがトルク閾値Thr2に既に達しているが、第3の制御例では、第2の制御例と異なり、CI気筒18のトルクを低下させずに一定に維持する、つまりCI気筒18のトルクをトルク閾値Thr2に維持する。また、PCM10は、時刻t11以降において、SI気筒18のトルクとCI気筒18のトルクとの平均トルクが要求トルクに一致するようにする(グラフG73参照)。この後、時刻t12において、PCM10は、CI気筒18をSI運転に切り替えて、トルクをほぼステップ状に上昇させる一方で、時刻t12以前からSI運転を行っているSI気筒18についてはトルクをほぼステップ状に低下させて、時刻t12の直後において全気筒18のトルクが同一になるようにする。
[作用効果]
次に、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の作用効果について説明する。
本実施形態によれば、第1の運転領域R11よりも負荷が高く且つ第2の運転領域R12よりも負荷が低い第3の運転領域R13を規定し(図3参照)、この第3の運転領域R13において、全気筒18のうちの一部の気筒18をCI運転させ、残りの気筒18をSI運転させる混合運転制御を実行し、要求負荷の変化に対して、こうしてCI運転させる気筒18からのトルクの変化率をSI運転させる気筒18からのトルクの変化率よりも小さくするようにした(図6等参照)。
このような本実施形態によれば、第3の運転領域R13において、一部の気筒18をCI運転させてトルクを緩やかに変化させ、且つ、残りの気筒18をSI運転させてトルクを大きく変化させるので、要求トルクを満たしつつ、燃費を向上させることができる。
具体的には、通常、中低負荷域である第3の運転領域R13において全気筒18をSI運転させると燃費が悪化してしまうが、そのような第3の運転領域R13において、一部の気筒18をCI運転させ、そのトルクを緩やかに変化させることで、要求トルクを満たすのに当たって、SI運転させる残りの気筒18のトルクを大きく変化させることで、SI運転により良好な燃費が得られるようなトルクをSI気筒18に速やかに適用することができる。例えば、SI気筒18のトルクを大きく上昇させて、SI運転により良好な燃費が得られる中高負荷域に速やかに到達させることができる。したがって、本実施形態によれば、中低負荷域である第3の運転領域R13でのSI運転の燃費を改善することができる。
他方で、通常、中低負荷域である第3の運転領域R13において全気筒18をCI運転させるべきではないが、そのような第3の運転領域R13において、上記のように、一部の気筒18をSI運転させ、そのトルクを大きく変化させることで、要求トルクを満たすのに当たって、CI運転させる残りの気筒18のトルクを緩やかに変化させることで、燃焼騒音の抑制や着火時期の制御性などが確保された適切なCI運転を実現することができる。これにより、中低負荷域である第3の運転領域R13において、CI運転による良好な燃費を適切に享受することができる。
以上のことから、本実施形態によれば、第3の運転領域R13においてCI運転及びSI運転の両方を行い、それらのトルクを適当に制御することで、要求トルクを満たしつつ、エンジン全体での燃費を向上させることができる。
特に、本実施形態によれば、混合運転制御によりCI運転させる気筒18のトルクを当該制御前のトルク以下にし、混合運転制御によりSI運転させる気筒18のトルクを当該制御前のトルクよりも大きくするので(図6等参照)、要求トルクを満たしつつ、エンジン全体での燃費を効果的に向上させることができる。
また、本実施形態によれば、混合運転制御によりCI運転させる気筒18から発生させるトルクを当該制御の前後においてほぼ一定に維持するので(例えば図11参照)、混合運転制御の実行中において、燃焼位相の制御性を適切に確保することができる。
また、本実施形態によれば、混合運転制御によりCI運転させる気筒18及びSI運転させる気筒18の両方が理論空燃比(λ=1)にて燃焼を行うようにするので、SI気筒18及びCI気筒18の両方からの排気ガスが理論空燃比になり、そのような理論空燃比になった排気ガスを、三元触媒などで構成されたキャタリスト41、42に供給することができ、SI気筒18からの排気ガスに含まれるNOxをキャタリスト41、42によって適切に浄化させることができる。
また、本実施形態によれば、エンジン1の複数の気筒18を所定の燃焼順序に従って運転させたときに、混合運転制御によりCI運転させる気筒18と混合運転制御によりSI運転させる気筒18とが交互に燃焼を行うようにするので、CI気筒18のトルクとSI気筒18のトルクとの差に起因するエンジン振動を抑制することができる。具体的には、SI気筒18のトルクとCI気筒18のトルクとが切り替わる周期を短くして、エンジン振動が感じられにくくすることができる。
また、本実施形態によれば、混合運転制御によりCI運転させる気筒18からのトルクと、混合運転制御によりSI運転させる気筒18からのトルクとの平均トルクを、エンジン1の要求負荷に応じた要求トルクに一致させるようにするので、混合運転制御の実行中に要求トルクを確実に満たすことができる。
[変形例]
以下では、上記した実施形態の変形例について述べる。
上記した実施形態では、点火プラグ25を用いた火花点火運転(SI運転)を、強制点火運転の一例として示したが、本発明は、そのような火花点火運転だけでなく、レーザ点火プラグによる強制点火運転にも適用可能である。
また、上記した実施形態では、エンジン1の複数の気筒18を所定の燃焼順序に従って運転させたときに、混合運転制御によりCI運転させる気筒18とSI運転させる気筒18とが交互に燃焼を行うようにしていた。この場合、複数の気筒18において混合運転制御によりCI運転させる気筒18とSI運転させる気筒18は、混合運転制御を開始するタイミングなどにより変わることとなる、つまり混合運転制御を開始するタイミングにおいて次に燃焼させる気筒18(気筒番号)などに応じて変わることとなる。
他の例では、複数の気筒18において混合運転制御によりCI運転させる気筒18とSI運転させる気筒18を変化させずに固定にしてもよい。その場合、三元触媒などで構成された排気浄化触媒を2分割し、一方の触媒には、SI運転させる気筒18からの排気ガスのみが流れるようにし、他方の触媒には、CI運転させる気筒18からの排気ガスのみが流れるようにするとよい。これにより、理論空燃比にてSI運転を行えば、SI気筒18からの排気ガスに含まれるNOxを、CI気筒18からの排気ガスの空燃比の影響を受けることなく、分割された一方の触媒によって適切に浄化することができる。
1 エンジン(エンジン本体)
10 PCM
18 気筒
21 吸気弁
22 排気弁
25 点火プラグ
67 インジェクタ
71、74 VVL
72、75 VVT
R11 第1の運転領域
R12 第2の運転領域
R13 第3の運転領域

Claims (5)

  1. 複数の気筒を備えるガソリンエンジンに適用されるエンジンの制御装置であって、
    エンジンの負荷が所定値以下である第1の運転領域において、燃料を含む混合気を圧縮自己着火させてエンジンを運転させる圧縮自己着火運転を実行するようにエンジンを制御すると共に、この第1の運転領域よりも負荷が高い第2の運転領域において、燃料を含む混合気を強制点火させてエンジンを運転させる強制点火運転を実行するようにエンジンを制御するエンジン制御手段を有し、
    このエンジン制御手段は、上記第1の運転領域よりも負荷が高く且つ上記第2の運転領域よりも負荷が低い第3の運転領域において、エンジンの全気筒のうちの一部の気筒を圧縮自己着火運転させ、残りの気筒を強制点火運転させる混合運転制御を実行し、この混合運転制御により圧縮自己着火運転させる気筒から発生させるトルクを当該混合運転制御前のトルク以下にし、且つ、この混合運転制御により強制点火運転させる気筒から発生させるトルクを当該混合運転制御前のトルクよりも大きくする、ことを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 複数の気筒を備えるガソリンエンジンに適用されるエンジンの制御装置であって、
    エンジンの負荷が所定値以下である第1の運転領域において、燃料を含む混合気を圧縮自己着火させてエンジンを運転させる圧縮自己着火運転を実行するようにエンジンを制御すると共に、この第1の運転領域よりも負荷が高い第2の運転領域において、燃料を含む混合気を強制点火させてエンジンを運転させる強制点火運転を実行するようにエンジンを制御するエンジン制御手段を有し、
    このエンジン制御手段は、上記第1の運転領域よりも負荷が高く且つ上記第2の運転領域よりも負荷が低い第3の運転領域において、エンジンの全気筒のうちの一部の気筒を圧縮自己着火運転させ、残りの気筒を強制点火運転させる混合運転制御を実行し、この混合運転制御により圧縮自己着火運転させる気筒から発生させるトルクを当該混合運転制御の前後においてほぼ一定に維持且つ、この混合運転制御により強制点火運転させる気筒から発生させるトルクを当該混合運転制御前のトルクよりも大きくする、ことを特徴とするエンジンの制御装置。
  3. 上記エンジン制御手段は、上記混合運転制御において圧縮自己着火運転させる気筒及び強制点火運転させる気筒の両方が理論空燃比にて燃焼を行うようにする、請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置。
  4. 上記エンジン制御手段は、エンジンの複数の気筒を所定の燃焼順序に従って運転させたときに、上記混合運転制御により圧縮自己着火運転させる気筒と、上記混合運転制御により強制点火運転させる気筒とが交互に燃焼を行うようにする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  5. 上記エンジン制御手段は、上記混合運転制御により圧縮自己着火運転させる気筒から発生させるトルクと、上記混合運転制御により強制点火運転させる気筒から発生させるトルクとの平均トルクを、エンジンの要求負荷に応じた要求トルクに一致させるようにする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
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