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JP6730952B2 - エンジンの運転制御装置、及び、エンジンの運転制御方法 - Google Patents

エンジンの運転制御装置、及び、エンジンの運転制御方法 Download PDF

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JP6730952B2 JP2017065717A JP2017065717A JP6730952B2 JP 6730952 B2 JP6730952 B2 JP 6730952B2 JP 2017065717 A JP2017065717 A JP 2017065717A JP 2017065717 A JP2017065717 A JP 2017065717A JP 6730952 B2 JP6730952 B2 JP 6730952B2
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Description

本発明は、燃焼室内に着火性の異なる第1燃料と第2燃料とを供給し、これら第1燃料及び第2燃料を含む混合気を予混合圧縮自着火燃焼させるエンジンの運転制御装置、及び、エンジンの運転制御方法に関する。
従来、燃焼室内に主燃料(第1燃料)を噴射する燃料噴射弁とは別に、主燃料よりも高自着火性の着火用燃料(第2燃料)を噴射する燃料噴射弁を備え、圧縮行程にて噴射した着火用燃料の自己着火燃焼をトリガとして、燃焼室内の予混合気(主燃料+空気)を火炎伝播燃焼させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の燃焼法は、高い着火エネルギーによる安定した燃焼を実現できる反面、排出ガスに含まれるNOxやPMを低減する要望が高まっている。
特開2009−91995号公報
NOxやPMを低減するために、近年、燃料と空気を予混合して圧縮自己着火させる予混合圧縮自着火燃焼(例えば、PCCI、RCCIなど)が注目されている。しかし、この予混合圧縮自着火燃焼は、負荷の増加に伴い、着火遅れ期間の確保が困難となるため、中〜高負荷運転では、例えば燃焼速度が過大になるなどの異常燃焼を生じ易い傾向にあり、運転適用範囲が比較的、低負荷領域に限られるという問題があった。
この問題を解決するために、気筒内に燃焼状態を検知するセンサを設け、検知信号に基づいて、適正な燃焼となるように、噴射燃料の量や噴射時期を制御することもできるが、使用する燃料が変更された場合には制御範囲外となることも想定される。また、複数気筒を有するエンジンでは、通常、すべての気筒をほぼ同じ負荷で運転するため、高負荷運転によって異常燃焼が生じた場合には、すべての気筒の負荷を下げるなどして回避する必要があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、異常燃焼が生じうる許容限界負荷を把握し、安定した予混合自着火燃焼運転を実行できるエンジンの運転制御装置及びエンジンの運転制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の気筒を有し、気筒の燃焼室内に第1燃料を供給し、かつ、該第1燃料よりも着火性の高い第2燃料を燃焼室内に直接噴射し、第1燃料及び第2燃料を含む混合気を圧縮して自着火燃焼させる予混合圧縮自着火燃焼運転を実行するエンジンの運転制御装置であって、複数の気筒の一部の気筒をエンジン要求負荷よりも高い負荷で運転し、複数の気筒の残りの気筒をエンジン要求負荷よりも低い負荷で運転する運転モードを実行可能な制御部と、エンジン要求負荷よりも高い負荷で運転する気筒に異常燃焼が生じるか否かを判別する判別部と、異常燃焼と判別された場合、該異常燃焼が生じた負荷値を許容限界負荷として設定する設定部と、を備え、制御部は、すべての気筒に対して、エンジン要求負荷が許容限界負荷に達するまで、予混合圧縮自着火燃焼運転を実行することを特徴とする。
この構成によれば、一部の気筒の運転状況から許容限界負荷を設定し、すべての気筒に対して、エンジン要求負荷が許容限界負荷に達するまで予混合圧縮自着火燃焼運転を実行するため、すべての気筒に異常燃焼が生じることを回避でき、許容限界負荷までの領域で安定燃焼させることができる。
この構成において、制御部は、残りの気筒よりも一部の気筒における第1燃料の供給量及び第2燃料の噴射量の少なくとも一方を増加させることにより、一部の気筒の負荷を高めて運転する構成としてもよい。この構成によれば、一部の気筒と残りの気筒との間で負荷に差をつけた運転を容易に行うことができる。
また、制御部は、一部の気筒が異常燃焼と判別された場合、一部の気筒に対する予混合圧縮自着火燃焼運転の運転条件を調整し、許容限界負荷を上回りつつ異常燃焼の発生を抑制する新たな運転条件を試行してもよい。この構成によれば、新たな運転条件を試行することで、許容限界負荷の上昇を図ることができ、より高負荷側での安定燃焼を実現することができる。
また、エンジン要求負荷が許容限界負荷を超えて増加した場合、制御部は、すべての気筒の燃焼室内に第1燃料を供給し、該第1燃料を含む混合気を圧縮する過程で燃焼室内に第2燃料をパイロット燃料として直接噴射して自着火燃焼させるパイロット火炎伝播燃焼を実行してもよい。この構成によれば、予混合圧縮自着火燃焼運転からパイロット火炎伝播燃焼運転に変更することにより、エンジン要求負荷が許容限界負荷を超えて増加した場合においても安定燃焼を実現することができる。
また、制御部は、一部の気筒を複数の気筒の中から順番に選択して決定してもよい。この構成によれば、特定の気筒に負荷が偏って課されることを防止でき、エンジン性能を長く保持することができる。
また、本発明は、複数の気筒を有し、気筒の燃焼室内に第1燃料を供給し、かつ、該第1燃料よりも着火性の高い第2燃料を燃焼室内に直接噴射し、第1燃料及び第2燃料を含む混合気を圧縮して自着火燃焼させる予混合圧縮自着火燃焼運転を実行するエンジンの運転制御方法であって、複数の気筒の一部の気筒をエンジン要求負荷よりも高い負荷で運転し、複数の気筒の残りの気筒をエンジン要求負荷よりも低い負荷で運転する運転モードを実行する工程と、エンジン要求負荷よりも高い負荷で運転する気筒に異常燃焼が生じるか否かを判別する工程と、異常燃焼と判別された場合、該異常燃焼が生じた負荷値を許容限界負荷として設定する工程と、すべての気筒に対して、エンジン要求負荷が許容限界負荷に達するまで、予混合圧縮自着火燃焼運転を実行する工程とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、一部の気筒の運転状況から許容限界負荷を設定し、すべての気筒に対して、エンジン要求負荷が許容限界負荷に達するまで予混合圧縮自着火燃焼運転を実行するため、すべての気筒に異常燃焼が生じることを回避でき、許容限界負荷までの領域で安定燃焼させることができる。
図1は、本実施形態に係るエンジンの運転制御装置の機能構成を示す図である。 図2は、エンジンの各気筒の負荷量変化を示すグラフである。 図3は、エンジンの制御手順を示すフローチャートである。 図4は、別の実施形態に係るエンジンの制御手順を示すフローチャートである。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
図1は、本実施形態に係るエンジンの運転制御装置の機能構成を示す図である。本実施形態に係るエンジン10は、図1に示すように、シリンダブロック11上にシリンダヘッド12が締結されており、このシリンダブロック11に形成された複数(例えば4つ)の気筒13(13A〜13D)を備えた多気筒型エンジンである。これら気筒13A〜13Dについて、特段区別する必要が無い場合には、単に気筒13と称する。エンジン10は、各気筒13の内部に往復移動自在に収容されたピストン14を備え、このピストン14が2往復する間に、吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程からなる一連の4行程を行う、いわゆる4サイクルエンジンである。
気筒13内には燃焼室15が形成される。燃焼室15は、気筒13の内壁面13A1とシリンダヘッド12の下面12Aとピストン14の頂面14Aとにより構成されている。本実施形態では、エンジン10は、燃焼室15内に着火性の異なる2種類の第1燃料F1及び第2燃料F2が供給される二元燃料エンジンとして構成されており、第1燃料F1として天然ガスが用いられ、第1燃料F1よりも着火性の高い第2燃料F2として軽油が用いられている。この他にも第1燃料F1として、ガソリンやLPG(液化石油ガス)を用いることもできる。また、同一の燃料(例えば軽油)に異なる燃料添加物をそれぞれ加えることにより、着火性を異ならせる構成としてもよい。
燃焼室15の上部であるシリンダヘッド12の下面12Aには、吸気ポート16と排気ポート17とが形成されている。吸気ポート16及び排気ポート17には、それぞれ吸気弁18及び排気弁19が配置され、これら吸気弁18及び排気弁19は、不図示の可変動弁機構により開閉される。
また、吸気ポート16には、上記した第1燃料F1を噴射する第1燃料噴射弁20が設けられている。第1燃料噴射弁20から噴射された第1燃料F1は、吸気行程にて吸気ポート16を通じて空気と共に燃焼室15内に供給され、燃焼室15内に空気と第1燃料F1との混合気が生成される。また、燃焼室15の上面中央には、該燃焼室15内に第2燃料F2を直接噴射する第2燃料噴射弁21と、燃焼室15内の燃焼状態としての圧力変化を検知する圧力センサ22とが設けられている。
これら第1燃料噴射弁20、第2燃料噴射弁21及び圧力センサ22は運転制御装置30に接続されている。運転制御装置30は、制御部31と、判別部32と、設定部33とを備える。制御部31は、第1燃料噴射弁20及び第2燃料噴射弁21の燃料噴射量や噴射時期を制御することにより、エンジン10の動作全般を司る。制御部31には、アクセル35の開度等によりエンジン10への総要求負荷が伝達される。制御部31は、伝達された総要求負荷に応じて、各気筒13が分担する負荷を決定し、この負荷の大きさに基づいて各気筒13の動作を制御する。
本実施形態では、制御部31は、各気筒13の負荷を異ならせて運転可能に構成されている。具体的には、制御部31は、一の気筒13A(一部の気筒)の第2燃料噴射弁21から噴射される第2燃料F2の噴射量を、残りの気筒13B〜13Dにおける噴射量よりも増加することより、一の気筒13Aが発揮する負荷を残りの気筒13B〜13Dが発揮する負荷よりも増大させる。もちろん、第1燃料噴射弁20から噴射される第1燃料F1の噴射量(供給量)を増加させても良いし、これら第1燃料F1、第2燃料F2の両方を増加させてもよい。また、負荷を増大させる気筒13は、特定のものではなく、制御部31が、例えば、所定の運転時間が経過するごとに、ローテーションで順番に選択して変更する。これにより、各気筒13の運転に偏りが生じることを防止でき、エンジン性能を長く保持することができる。
また、制御部31は、第2燃料噴射弁21の燃料噴射時期(タイミング)を適宜調整することにより、第1燃料F1及び第2燃料F2を含む混合気を圧縮して該混合気を自着火燃焼させる予混合圧縮自着火燃焼運転と、第2燃料F2をパイロット燃料として、第1燃料F1を含む混合気を自着火燃焼させるマイクロパイロット火炎伝播燃焼運転(パイロット火炎伝播燃焼運転)と、を選択して実行可能に構成されている。
予混合圧縮自着火燃焼運転は、圧縮行程中期にて、燃焼室15内に第2燃料F2を噴射することにより、該燃焼室15内に第1燃料F1及び第2燃料F2を含む混合気を生成し、この混合気を圧縮することで、着火性の高い第2燃料F2から混合気全体を自着火燃焼させる燃焼法である。
一方、マイクロパイロット火炎伝播燃焼運転は、第1燃料F1を含む混合気の圧縮行程後期にて、燃焼室15内に第2燃料F2を噴射することにより、この第2燃料F2がパイロット燃料として機能し、第1燃料F1を含む混合気を自着火燃焼させる燃焼法である。
予混合圧縮自着火燃焼運転は、マイクロパイロット火炎伝播燃焼運転に比べて、排出ガスに含まれるNOxやPMを低減することができる利点があるため、近年、特に注目されている。しかしながら、予混合圧縮自着火燃焼運転は、負荷の増加に伴い、着火遅れ期間の確保が困難となるため、中〜高負荷運転では、例えば燃焼速度が過大になるなどの異常燃焼を生じ易い傾向にある。このため、本構成におけるエンジン10の制御では、予混合圧縮自着火燃焼運転を基本としつつ、負荷の増加に応じて、予混合圧縮自着火燃焼運転よりも安定した燃焼法であるマイクロパイロット火炎伝播燃焼運転に切り替えることにより、エンジン10の安定燃焼制御を実現する。
判別部32は、負荷を高めた気筒13Aに異常燃焼が生じたか否かを判別する。具体的には、判別部32は、圧力センサ22の検出値から気筒13内の圧力変化率を監視し、圧力変化率が所定の許容範囲を外れた場合に、異常燃焼が生じたと判別する。設定部33は、判別部32が異常燃焼を生じたと判別した際の気筒13Aの負荷値を取得し、この負荷値を許容限界負荷として設定する。
次に、運転制御装置の動作について説明する。図2は、エンジンの各気筒の負荷量変化を示すグラフである。図3は、動作手順を示すフローチャートである。
図2において、時間経過と共に、右上がりに上昇する破線50は、エンジン要求負荷を表す。この場合、エンジン要求負荷は、総要求負荷を気筒数で除したもの(総要求負荷/気筒数)に相当する。また、運転開始直後の低負荷運転時には、制御部31は、すべての気筒13に対して予混合圧縮自着火燃焼運転を実行する。
制御部31は、一の気筒13Aをエンジン要求負荷50よりも高い負荷で運転する高負荷気筒に設定する(ステップS1)。この場合、制御部31は、残りの気筒13B〜13Dをエンジン要求負荷50よりも低い負荷で運転する気筒に設定する。次に、制御部31は、エンジン要求負荷50を取得し(ステップS2)、取得したエンジン要求負荷50に基づき、高負荷気筒である一の気筒13Aの負荷51と、残りの気筒13B〜13Dの各負荷52をそれぞれ設定する(ステップS3)。一の気筒13Aの負荷51と、残りの気筒13B〜13Dの各負荷52とは、これらの平均負荷53がエンジン要求負荷50とほぼ一致するように設定される。これにより、エンジン要求負荷50を満たしつつも、特定(高負荷気筒)の気筒13Aの負荷51を先行して上昇させることができる。
次に、制御部31は、判別部32を通じて、高負荷気筒である一の気筒13Aに異常燃焼が発生しているか否かを判別する(ステップS4)。この判別において、異常燃焼が生じていなければ(ステップS4;No)、処理をステップS2に戻し、その時点におけるエンジン要求負荷50に基づいて、ステップS2〜ステップS4を実行する。一方、異常燃焼が生じている(ステップS4;Yes)場合には、制御部31は、設定部33に異常燃焼が生じた負荷値を許容限界負荷Qとして設定させる(ステップS5)。
本実施形態では、高負荷気筒に設定された一の気筒13Aをエンジン要求負荷50よりも高い負荷51で運転することにより、予混合圧縮自着火燃焼運転において異常燃焼が生じる許容限界負荷Qを先行して把握することができる。この許容限界負荷Qよりも低い負荷であれば、異常燃焼は生じないため、エンジン要求負荷50が許容限界負荷Qに達するまでは、残りの気筒13B〜13Dの負荷52を安定して上昇させることができ、すべての気筒13A〜13Dに対する予混合圧縮自着火燃焼運転を安定して行うことができる。この場合、高負荷気筒に設定された一の気筒13Aは、エンジン要求負荷50が上昇しても、許容限界負荷Qに相当する負荷51で運転を行う。
次に、制御部31は、エンジン要求負荷50が許容限界負荷Qを超えたか否かを判別する(ステップS6)。この判別において、エンジン要求負荷50が許容限界負荷Qを超えていなければ(ステップS6;No)、そのまま予混合圧縮自着火燃焼運転を継続して実行する。一方、エンジン要求負荷50が許容限界負荷Qを超えた(ステップS6;Yes)場合には、すべての気筒13において、異常燃焼が生じるおそれがあるため、すべての気筒13をマイクロパイロット火炎伝播燃焼運転に変更する(ステップS7)。このマイクロパイロット火炎伝播燃焼運転は、高負荷領域において予混合圧縮自着火燃焼運転よりも安定した燃焼を実現できるため、マイクロパイロット火炎伝播燃焼運転に変更することでエンジン10の燃焼の安定化を図ることができる。さらに、予混合圧縮自着火燃焼運転からマイクロパイロット火炎伝播燃焼運転への変更は、第2燃料噴射弁21の燃料噴射時期や噴射量を変更するだけで実現できるため、既存の装置の制御を変更するだけでよい。
次に、別の実施形態について説明する。この別の実施形態では、予混合圧縮自着火燃焼運転において異常燃焼が生じる許容限界負荷Qを先行して把握するだけでなく、許容限界負荷Qの引き上げをするために、高負荷気筒に設定された一の気筒13Aの運転条件を試行する点で上記した実施形態と異にする。エンジン10や運転制御装置30の構成については、同一であるため、同一の符号を付して説明を省略する。図4は、別の実施形態に係るエンジンの制御手順を示すフローチャートである。
図4に示すように、制御部31は、一の気筒13Aをエンジン要求負荷50よりも高い負荷で運転する高負荷気筒に設定する(ステップS11)。この場合、制御部31は、残りの気筒13B〜13Dをエンジン要求負荷50よりも低い負荷で運転する気筒に設定する。次に、制御部31は、エンジン要求負荷50を取得し(ステップS12)、取得したエンジン要求負荷50に基づき、高負荷気筒である一の気筒13Aの負荷51と、残りの気筒13B〜13Dの各負荷52をそれぞれ設定する(ステップS13)。一の気筒13Aの負荷51と、残りの気筒13B〜13Dの各負荷52とは、これらの平均負荷53がエンジン要求負荷50とほぼ一致するように設定される。これにより、エンジン要求負荷50を満たしつつも、特定(高負荷気筒)の気筒13Aの負荷51を先行して上昇させることができる。
次に、制御部31は、判別部32を通じて、高負荷気筒である一の気筒13Aに異常燃焼が発生しているか否かを判別する(ステップS14)。この判別において、異常燃焼が生じていなければ(ステップS14;No)、処理をステップS12に戻し、その時点におけるエンジン要求負荷50に基づいて、ステップS12〜ステップS14を実行する。一方、異常燃焼が生じている(ステップS14;Yes)場合には、制御部31は、設定部33に異常燃焼が生じた負荷値を許容限界負荷Qとして設定させる(ステップS15)。
次に、制御部31は、高負荷気筒である一の気筒13Aの運転条件を調整する(ステップS16)。具体的には、制御部31は、制御プログラムに基づき、一の気筒13Aにおける第2燃料噴射弁21の燃料噴射圧力や噴射時期を調整したり、燃焼室15内の第1燃料F1と第2燃料F2を含む混合気の比率(重量比または体積比)を調整する。この種の運転条件の調整は、すべての気筒13A〜13Dの平均負荷53がエンジン要求負荷50を満たす条件下で行われる。
次に、制御部31は、調整した運転条件において、一の気筒13Aが従前よりも高い負荷51で運転可能であるか否かを判別する(ステップS17)。具体的には、制御部31は、調整した運転条件により、一の気筒13Aの負荷51を従前の負荷よりも高めて運転し、この状態で一の気筒13Aに異常燃焼が発生するか否かを判別する。この判別において、従前よりも高い負荷51で運転可能でなければ(ステップS17;No)、処理をステップS19に移行する。この場合、制御部31は、運転条件の調整を予め決めた所定回数(所定時間)試行した場合であっても、従前よりも高い負荷51で運転可能とならなければステップS19に移行する。
一方、この判別において、従前よりも高い負荷51で運転可能であれば(ステップS17;Yes)、上記した許容限界負荷Qを引き上げて更新する(ステップS18)。この場合、制御部31は、気筒13Aの負荷51が従前の許容限界負荷Qに相当する負荷に達すると、新たに調整された運転条件の下で制御する。
本実施形態では、新たな運転条件を試行することで、予混合圧縮自着火燃焼運転において異常燃焼が生じる許容限界負荷Qの上昇を図ることができる。このため、すべての気筒13A〜13Dに対して、より高負荷側での安定燃焼を実現することができる。
次に、制御部31は、エンジン要求負荷50が許容限界負荷Qを超えたか否かを判別する(ステップS19)。ステップS18で許容限界負荷Qが更新された場合には、更新された許容限界負荷Qを比較する。この判別において、エンジン要求負荷50が許容限界負荷Qを超えていなければ(ステップS19;No)、そのまま予混合圧縮自着火燃焼運転を継続して実行する。一方、エンジン要求負荷50が許容限界負荷Qを超えた(ステップS19;Yes)場合には、すべての気筒13において、異常燃焼が生じるおそれがあるため、すべての気筒13をマイクロパイロット火炎伝播燃焼運転に変更する(ステップS20)。このマイクロパイロット火炎伝播燃焼運転は、高負荷領域において予混合圧縮自着火燃焼運転よりも安定した燃焼を実現できるため、マイクロパイロット火炎伝播燃焼運転に変更することでエンジン10の燃焼の安定化を図ることができる。さらに、予混合圧縮自着火燃焼運転からマイクロパイロット火炎伝播燃焼運転への変更は、第2燃料噴射弁21の燃料噴射時期や噴射量を変更するだけで実現できるため、既存の装置の制御を変更するだけでよい。
以上、説明したように、本実施形態によれば、複数の気筒13を有し、各気筒13の燃焼室15内に第1燃料F1を供給し、かつ、該第1燃料F1よりも着火性の高い第2燃料F2を燃焼室15内に直接噴射し、第1燃料F1及び第2燃料F2を含む混合気を圧縮して自着火燃焼させる予混合圧縮自着火燃焼運転を実行するエンジン10の運転制御装置30であって、一の気筒13Aをエンジン要求負荷50よりも高い負荷51で運転し、残りの気筒13B〜13Dをエンジン要求負荷50よりも低い負荷52で運転する運転モードを実行可能な制御部31と、エンジン要求負荷50よりも高い負荷51で運転する一の気筒13Aに異常燃焼が生じるか否かを判別する判別部32と、異常燃焼と判別された場合、該異常燃焼が生じた負荷値を許容限界負荷Qとして設定する設定部33とを備え、制御部31は、すべての気筒13に対して、エンジン要求負荷50が許容限界負荷Qに達するまで、予混合圧縮自着火燃焼運転を実行するため、すべての気筒13A〜13Dに異常燃焼が生じることを回避でき、許容限界負荷Qまでの領域で安定燃焼させることができる。
また、本実施形態によれば、制御部31は、残りの気筒13B〜13Dよりも一の気筒13Aにおける第1燃料F1及び第2燃料F2の少なくとも一方の噴射量を増加させることにより、一の気筒13Aの負荷51を高めて運転するため、一の気筒13Aと残りの気筒13B〜13Dとの間で負荷に差をつけた運転を容易に行うことができる。
また、本実施形態によれば、制御部31は、一の気筒13Aが異常燃焼と判別された場合、一の気筒13Aに対する予混合圧縮自着火燃焼運転の運転条件を調整し、許容限界負荷Qを上回りつつ異常燃焼の発生を抑制する新たな運転条件を試行するため、許容限界負荷Qの上昇を図ることができ、より高負荷側での安定燃焼を実現することができる。
また、本実施形態によれば、エンジン要求負荷50が許容限界負荷Qを超えて増加した場合、制御部31は、すべての気筒13の燃焼室15内に第1燃料F1を供給し、該第1燃料F1を含む混合気を圧縮する過程で燃焼室15内に第2燃料F2をパイロット燃料として直接噴射して自着火燃焼させるマイクロパイロット火炎伝播燃焼を実行するため、エンジン要求負荷が許容限界負荷を超えて増加した場合においても安定燃焼を実現することができる。
また、本実施形態によれば、制御部31は、高負荷気筒となる一の気筒を複数の気筒13の中から順番に選択して決定するため、特定の気筒に負荷が偏って課されることを防止でき、エンジン性能を長く保持することができる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、本実施形態では、高負荷気筒として、一の気筒13Aを設定しているため、この一の気筒13Aの負荷51を早く異常燃焼が生じ得る負荷まで上昇させる利点があるが、高負荷気筒として複数の気筒を設定することもできる。この構成によれば、複数の気筒がそれぞれ独立して、予混合圧縮自着火燃焼運転の運転条件を調整し、許容限界負荷Qを上回りつつ異常燃焼の発生を抑制する新たな運転条件を試行できるため、新たな運転条件を早期に見出すこともできる。
10 エンジン
13 気筒
13A 一の気筒(一部の気筒)
13B、13C、13D 残りの気筒
15 燃焼室
16 吸気ポート
17 排気ポート
20 第1燃料噴射弁
21 第2燃料噴射弁
22 圧力センサ
30 運転制御装置
31 制御部
32 判別部
33 設定部
50 エンジン要求負荷
51、52 負荷
F1 第1燃料
F2 第2燃料
Q 許容限界負荷

Claims (6)

  1. 複数の気筒を有し、前記気筒の燃焼室内に第1燃料を供給し、かつ、該第1燃料よりも着火性の高い第2燃料を前記燃焼室内に直接噴射し、前記第1燃料及び前記第2燃料を含む混合気を圧縮して自着火燃焼させる予混合圧縮自着火燃焼運転を実行するエンジンの運転制御装置であって、
    複数の気筒の一部の前記気筒をエンジン要求負荷よりも高い負荷で運転し、前記複数の気筒の残りの前記気筒を前記エンジン要求負荷よりも低い負荷で運転する運転モードを実行可能な制御部と、
    前記エンジン要求負荷よりも高い負荷で運転する前記気筒に異常燃焼が生じるか否かを判別する判別部と、
    異常燃焼と判別された場合、該異常燃焼が生じた負荷値を許容限界負荷として設定する設定部と、を備え、
    前記制御部は、すべての前記気筒に対して、前記エンジン要求負荷が前記許容限界負荷に達するまで、前記予混合圧縮自着火燃焼運転を実行する、
    ことを特徴とするエンジンの運転制御装置。
  2. 前記制御部は、残りの前記気筒よりも一部の前記気筒における前記第1燃料の供給量及び前記第2燃料の噴射量の少なくとも一方を増加させることにより、一部の前記気筒の負荷を高めて運転することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの運転制御装置。
  3. 前記制御部は、一部の前記気筒が前記異常燃焼と判別された場合、一部の前記気筒に対する前記予混合圧縮自着火燃焼運転の運転条件を調整し、
    前記許容限界負荷を上回りつつ前記異常燃焼の発生を抑制する新たな運転条件を試行することを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンの運転制御装置。
  4. 前記エンジン要求負荷が前記許容限界負荷を超えて増加した場合、
    前記制御部は、すべての前記気筒の燃焼室内に前記第1燃料を供給し、該第1燃料を含む混合気を圧縮する過程で前記燃焼室内に前記第2燃料をパイロット燃料として直接噴射して自着火燃焼させるパイロット火炎伝播燃焼を実行することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のエンジンの運転制御装置。
  5. 前記制御部は、一部の前記気筒を複数の前記気筒の中から順番に選択して決定することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のエンジンの運転制御装置。
  6. 複数の気筒を有し、前記気筒の燃焼室内に第1燃料を供給し、かつ、該第1燃料よりも着火性の高い第2燃料を前記燃焼室内に直接噴射し、前記第1燃料及び前記第2燃料を含む混合気を圧縮して自着火燃焼させる予混合圧縮自着火燃焼運転を実行するエンジンの運転制御方法であって、
    複数の気筒の一部の前記気筒をエンジン要求負荷よりも高い負荷で運転し、前記複数の気筒の残りの前記気筒を前記エンジン要求負荷よりも低い負荷で運転する運転モードを実行する工程と、
    前記エンジン要求負荷よりも高い負荷で運転する前記気筒に異常燃焼が生じるか否かを判別する工程と、
    異常燃焼と判別された場合、該異常燃焼が生じた負荷値を許容限界負荷として設定する工程と、
    すべての前記気筒に対して、前記エンジン要求負荷が前記許容限界負荷に達するまで、前記予混合圧縮自着火燃焼運転を実行する工程と、
    を備えたことを特徴とするエンジンの運転制御方法。
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