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JP2009042730A - 液体現像剤および画像形成装置 - Google Patents

液体現像剤および画像形成装置 Download PDF

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JP2009042730A
JP2009042730A JP2008035327A JP2008035327A JP2009042730A JP 2009042730 A JP2009042730 A JP 2009042730A JP 2008035327 A JP2008035327 A JP 2008035327A JP 2008035327 A JP2008035327 A JP 2008035327A JP 2009042730 A JP2009042730 A JP 2009042730A
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Takashi Tejima
孝 手嶋
Satoru Miura
覚 三浦
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Seiko Epson Corp
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Abstract

【課題】環境に優しく、保存性、および低温定着性に優れた液体現像剤を提供すること、また、このような液体現像剤を用いた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】本発明の液体現像剤は、脂肪酸モノエステルを含む絶縁性液体と、主として樹脂材料で構成されたトナー粒子とを有し、樹脂材料の重量平均分子量Mwは、20000〜200000であり、かつ、樹脂材料中、分子量が10000以下の成分は5〜40wt%であることを特徴とする。また、このような樹脂材料の重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとしたとき、樹脂材料の分子量分布の指標であるMw/Mnの値は、1.4〜40であるのが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、液体現像剤および画像形成装置に関するものである。
潜像担持体上に形成した静電潜像を現像するために用いられる現像剤には、顔料等の着色剤および結着樹脂を含む材料で構成されるトナーを乾式状態で用いる乾式トナーと、特許文献1に示すようなトナーを電気絶縁性の担体液(絶縁性液体)に分散した液体現像剤(液体トナー)とがある。
乾式トナーを用いる方法は、固体状態のトナーを取り扱うので、取り扱い上の有利さはあるものの、粉体による人体等への悪影響が懸念されるほか、トナーの飛散による汚れ、トナーを分散した際の均一性等に問題がある。また、乾式トナーでは、粒子の凝集が起こり易く、トナー粒子の大きさを十分に小さくするのが困難であり、解像度の高いトナー画像を形成するのが困難であるという問題がある。また、トナー粒子の大きさを比較的小さなものとした場合には、上述したような粉体であることによる問題が更に顕著なものとなる。
一方、液体現像剤を用いる方法では、液体現像剤中におけるトナー粒子の凝集が効果的に防止されるため、微細なトナー粒子を用いることが可能であり、また、結着樹脂として、低軟化点(低軟化温度)のものを用いることができる。その結果、液体現像剤を用いる方法では、細線画像の再現性が良く、階調再現性が良好で、カラーの再現性に優れており、また、高速での画像形成方法としても優れているという特徴を有している。
しかしながら、従来の液体現像剤では、乾式トナーに比べ、トナー粒子の分散性が向上するものの、絶縁性液体とトナー粒子との親和性が低く、長期にわたって良好な分散状態を維持するのが困難であった。その結果、液体現像剤の保存性、長期安定性を十分に確保するのが困難であった。また、近年の省エネルギー化に伴う、低温での定着では、オフセット(低温オフセット)等が頻発する問題があった。
特開2006−251253号公報
本発明の目的は、環境に優しく、保存性、および低温定着性に優れた液体現像剤を提供すること、また、このような液体現像剤を用いた画像形成装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の液体現像剤は、脂肪酸モノエステルを含む絶縁性液体と、樹脂材料を含むトナー粒子とを有し、
前記樹脂材料の重量平均分子量Mwは、20000〜200000であり、かつ、
前記樹脂材料中、分子量が10000以下の成分は5〜40wt%であることを特徴とする。
本発明の液体現像剤では、前記樹脂材料の重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとしたとき、前記樹脂材料の分子量分布の指標であるMw/Mnの値は、1.4〜40であることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記樹脂材料は、化学構造中にエステル結合を有するものであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記脂肪酸モノエステルは、脂肪酸成分として、炭素数が8〜20の飽和脂肪酸を含むものであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記脂肪酸モノエステルは、炭素数が1〜4のアルコール成分を含むものであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記絶縁性液体中における前記脂肪酸モノエステルの含有量は、10〜60wt%であることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、液体現像剤は、高分子分散剤を含むものであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記高分子分散剤は、下記一般式(I)で表される構造を有するものであることが好ましい。
Figure 2009042730
(ただし、lは9〜12の整数、mは3〜6の整数、nは5〜8の整数、Rは−OH、R’はH−またはCH(CHCO−であり、pは15〜18の整数である。)
本発明の液体現像剤では、液体現像剤における前記高分子分散剤の含有量は、前記トナー粒子100重量部に対して、1.0重量部〜10.0重量部であることが好ましい。
本発明の液体現像剤は、脂肪酸モノエステルを含む絶縁性液体と、樹脂材料を含むトナー粒子とを有し、
液体現像剤から取り出した前記トナー粒子に含まれる樹脂成分をサイズ排除クロマトグラフィー法により該樹脂成分の分子量分布を分析した結果、
前記分子量分布から算出される前記樹脂成分由来の重量平均分子量は、19000〜195000であり、かつ、
前記分子量分布から算出される分子量が10000以下の成分は、前記樹脂成分中に6〜42wt%含まれることを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、色の異なる複数の液体現像剤を用いて、複数の前記液体現像剤に対応した前記単色像を形成する複数の現像部と、
複数の前記現像部で形成された複数の前記単色像が順次転写され、転写された複数の前記単色像を重ね合わせてなる中間転写像を形成する中間転写部と、
前記中間転写像を前記記録媒体に転写し、前記記録媒体上に未定着カラー画像を形成する2次転写部と、
前記未定着カラー画像を前記記録媒体上に定着する定着部と、を有し、
前記液体現像剤が、脂肪酸モノエステルを含む絶縁性液体と、樹脂材料を含むトナー粒子とを有し、前記樹脂材料の重量平均分子量Mwは、20000〜200000であり、かつ、前記樹脂材料中、分子量が100000以下の成分は5〜40wt%であることを特徴とする。
本発明の画像形成装置では、前記現像部は、前記単色像を形成するための前記液体現像剤を供給する供給部と、前記供給部にある余剰の前記液体現像剤を回収する回収部と、前記回収部と前記供給部との間に設けられた仕切とを有し、
前記仕切を通じて、前記供給部にある余剰の前記液体現像剤は、前記回収部に回収されるものであることが好ましい。
以上の構成を満足することにより、環境に優しく、保存性、および低温定着性に優れた液体現像剤を提供すること、また、このような液体現像剤を用いた画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
《液体現像剤》
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体中に主として樹脂材料で構成されたトナー粒子が分散したものである。
このような液体現像剤は、絶縁性液体として脂肪酸モノエステルを含むとともに、後述するような樹脂材料を構成成分とするトナー粒子を有する。これにより、一般的に両立が困難である、保存性および低温定着性が優れた液体現像剤を提供することができる。以下、液体現像剤を構成する各構成成分について詳細に述べる。
<トナー粒子>
まず、トナー粒子について説明する。
[トナー粒子の構成材料(トナー材料)]
本発明の液体現像剤を構成するトナー粒子(トナー)は、少なくとも、樹脂材料を含むものである。
1.樹脂材料
本発明の液体現像剤中に含まれるトナー粒子を構成する樹脂材料は、重量平均分子量Mwが20000〜200000であり、かつ、10000以下の分子量の成分を5〜40wt%含むものである。このような樹脂材料は、十分に高い重量平均分子量を有するものである。そのため、このような樹脂材料を構成成分として有するトナー粒子が、後述するような絶縁性液体中で分散した液体現像剤では、トナー粒子同士が接触した際に、凝集、融着の発生が確実に抑えられる。また、比較的低い熱量で溶融することができる分子量が10000以下の樹脂成分を所定量含むことにより、トナー粒子を低温で記録媒体に定着させることができる。
さらに、後述するような脂肪酸モノエステルを含む絶縁性液体と、上記条件を満足する樹脂材料を構成成分とするトナー粒子とを有する液体現像剤では、以下のような優れた効果を得ることができる。なお、後に詳述するように、脂肪酸モノエステルは、トナー粒子を構成する樹脂材料を可塑化する可塑効果を有する成分である。すなわち、このような液体現像剤では、トナー粒子を構成する樹脂材料中に脂肪酸モノエステルが好適に浸入し、トナー粒子は可塑化される。トナー粒子を構成する樹脂材料は、上述したように、十分に高い重量平均分子量を有するとともに、比較的低いガラス転移温度を有する分子量が10000以下の成分を上述したような含有率で含むものである。そのため、このようなトナー粒子は、脂肪酸モノエステルにより可塑化されても、トナー粒子同士が接触した際に、凝集したり、融着したりするのが確実に防止される。したがって、液体現像剤の保存性は優れたものとなる。特に、高温下でこのような液体現像剤を保存する場合でも、トナー粒子同士の不本意な凝集、融着を確実に防止することができ、液体現像剤は高温保存性にも優れたものとなる。また、定着時には、分子量が10000以下の樹脂成分が比較的低温で溶融することができる成分であるとともに、トナー粒子は脂肪酸モノエステルを含み可塑化されたものであるため、トナー粒子が溶融するのに必要な熱量を少なくすることができる。その結果、トナー粒子を低温で記録媒体に好適に定着させることができる。また、トナー粒子が溶融するのに必要な熱量を少なくすることができるため、高速での画像形成にも好適に適応する液体現像剤となる。
上述したように、本発明の液体現像剤は、トナー粒子を構成する樹脂材料が、上記条件を満足するとともに、絶縁性液体として脂肪酸モノエステルを含んでいることに特徴を有し、これにより優れた効果が得られる。これに対して、液体現像剤が上記の構成を有するものでない場合には、上記のような優れた効果を得ることができない。
より具体的には、トナー粒子を構成する樹脂材料の重量平均分子量Mwが上記範囲下限値未満である場合には、以下のような問題がある。すなわち、このような樹脂材料中に脂肪酸モノエステルが浸入すると、樹脂材料のガラス転移温度は過度に低くなってしまう。したがって、このような樹脂材料を構成成分とするトナー粒子は、脂肪酸モノエステルが浸透することにより、トナー粒子同士が接触した際に、凝集や融着を起こしやすいものとなる。その結果、液体現像剤の保存性を十分なものとすることができない。また、このようなトナー粒子を有する液体現像剤を用いて画像形成を行うと、トナー粒子同士が凝集した状態で定着されるため、鮮明なトナー画像を得ることができなくなってしまう。また、記録媒体上に定着したトナー粒子は剥離しやすく、十分な定着強度を有するトナー画像を形成することが困難となる。
また、樹脂材料の重量平均分子量Mwが上記範囲上限値よりも大きい場合には、トナー粒子同士の凝集、融着は十分に抑えられるが、トナー粒子中に脂肪酸モノエステルが浸透しづらくなる。また、トナー粒子中に脂肪酸モノエステルが浸透しても、トナー粒子全体を均一に可塑化することができなくなってしまう。結果として、脂肪酸モノエステルの可塑効果が十分に発現されず、トナー粒子を記録媒体に低温で定着させることが困難となる。
また、樹脂材料中における、分子量が10000以下の成分の含有率が、前記下限値未満の場合には、トナー粒子中に脂肪酸モノエステルを好適に浸透させることができない。その結果、トナー粒子を十分に可塑化することができず、トナー粒子を記録媒体に定着させるのに多大な熱エネルギーが必要となり、トナー粒子を記録媒体に低温で定着させることが困難となる。また、仮に、高温で定着させても、安定して十分な定着強度を有するトナー画像を形成することが困難となる。
また、樹脂材料中における、分子量が10000以下の成分の含有率が、前記上限値よりも多い場合には、トナー粒子を比較的低温で記録媒体に定着させることができるが、脂肪酸モノエステルが浸透し、可塑化されたトナー粒子は、保存時において、お互いに凝集、融着してしまう。その結果、液体現像剤の保存性を十分なものとすることができない。また、このような樹脂材料を主原料とするトナーでは、粒径を揃えるために、ビーズミルなどを用いて解砕、または粉砕しようとしても、十分なせん断力をかけることができない。そのため、均一な粒径のトナー粒子を得ようとすると、トナー粒子の製造コストが高くなってしまう。
このような樹脂材料の重量平均分子量Mwは、20000〜200000であるが、30000〜150000であるのが好ましく、45000〜120000であるのがより好ましい。これにより、トナー粒子の保存性を十分に優れたものとすることができる。また、脂肪酸モノエステルが浸透し、可塑化されたトナー粒子を、低温でより安定して記録媒体に定着させることができる。また、このような液体現像剤は、高速での画像形成にもより好適に適用することができる。さらに、定着されたトナー粒子は記録媒体との密着性、および耐候性がさらに優れたものとなり、得られるトナー画像は特に優れた耐久性を有するものとなる。
また、このような樹脂材料中における、分子量が10000以下の成分の含有率は、5〜40wt%であるが、10〜35wt%であるのが好ましく、20〜30wt%であるがより好ましい。これにより、後述する脂肪酸モノエステルがトナー粒子により好適に浸透し、トナー粒子はより好適に可塑化される。また、このように可塑化されたトナー粒子同士が、凝集、融着するのがより確実に防止される。結果として、液体現像剤の保存性、低温定着性は、特に優れたものとなる。さらに、トナー粒子が上述したような樹脂材料とともに、後述するような着色剤を含むものである場合には、トナー粒子中における着色剤の分布をより均一なものとすることができる。その結果、形成されるトナー画像は、より鮮明なものとなる。
また、上述したような樹脂材料を用いて製造された本発明の液体現像剤から取り出したトナー粒子に含まれる樹脂材料をサイズ排除クロマトグラフィー法により分析した際に、樹脂材料は、以下のような関係を満足するものである。
すなわち、液体現像剤から取り出した前記トナー粒子に含まれる樹脂成分をサイズ排除クロマトグラフィー法により該樹脂成分の分子量分布を分析した結果、分子量分布から算出される樹脂成分由来の重量平均分子量は、19000〜195000であり、かつ、分子量分布から算出される分子量が10000以下の成分は、樹脂成分中に6〜42wt%含まれるものである。
このように、液体現像剤中において、トナー粒子の樹脂材料が比較的の低い分子量の樹脂成分を含むことにより、トナー粒子が好適に可塑化された状態となる。また、液体現像剤中においてトナー粒子に含まれる樹脂成分の重量平均分子量の高い樹脂成分を含むことにより、液体現像剤中において、トナー粒子は、その形状を維持することが容易となり、トナー粒子同士が接触した際に、凝集したり、融着したりすることが抑制される。
また、液体現像剤から取り出したトナー粒子を分析した際の、分子量分布から算出される樹脂成分由来の重量平均分子量は、上述したような範囲内であればよいが、29000〜140000であるのが好ましく、43000〜110000であるのがより好ましく、上述したような効果をより顕著に得ることができる。
また、液体現像剤から取り出したトナー粒子を分析した際の、分子量分布から算出される分子量が10000以下の成分は、上述のような範囲が含まれていればよいが、樹脂成分中に12〜38wt%含まれるのが好ましく、23〜33wt%含まれるのがより好ましい。
このように、トナー粒子の構成材料として用いた樹脂成分と、製造された液体現像剤中から取り出されたトナー粒子の樹脂成分とで分子量分布が異なるのは、後述するようなモノエステルの一部の酸成分が遊離して樹脂成分を分解したり、樹脂成分の一部が絶縁性液体中に溶解したためだと考えられる。
また、上述したような分子量分布の測定は、サイズ排除クロマトグラフィー法によって行われるものであるが、例えば、ゲルパーミッションクロマトグラフィー法によって行うことができる。また、この場合、検出されたピークは、標準物質によって作成した検量線に基づいて、ピーク面積から樹脂成分の含有量、重量平均分子量を求めることができる。また、このような測定に用いることのできる標準物質としては、例えば、ポリスチレンが挙げられる。
本発明において、樹脂(バインダー樹脂)は、上述したような条件を満足するものであれば特に限定されず、例えば、公知の樹脂を用いることができるが、このような樹脂としては、化学構造中にエステル結合を有するものが好ましい。このような条件を満足する樹脂で構成されたトナーは、後述する脂肪酸モノエステルとの化学構造の類似性により、絶縁性液体と高い親和性を有するものとなる。したがって、液体現像剤中でのトナー粒子の分散性を特に優れたものとすることができ、保存時におけるトナー粒子同士の凝集を、より効率的に防止し、液体現像剤の保存性、長期安定性を特に優れたものとすることができる。また、このような樹脂を構成成分として含むトナー粒子は、トナー粒子中に浸透した脂肪酸モノエステルを確実に保持するものとなり、トナー粒子はより好適に可塑化されたものとなる。これにより、液体現像剤の低温定着性はさらに優れたものとなる。
また、化学構造中にエステル結合を有する樹脂としては、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。この中でも、ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができる。なお、このようなポリエステル樹脂は、ジオールとジカルボン酸との縮合物である。
また、このような樹脂材料の重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとしたとき、分子量分布の指標であるMw/Mnの値は、1.4〜40であるのが好ましく、1.5〜30であるのがより好ましく、1.6〜25であるのがさらに好ましい。トナー粒子を構成する樹脂材料が、このような分子量分布の広がりを有するものであると、トナー粒子は、主に保存性や、定着強度に寄与する比較的高分子量の樹脂成分と、主に低温定着性に寄与する比較的低分子量の樹脂成分とを、よりバランス良く含むものとなる。その結果、液体現像剤の保存性、低温定着性のいずれもが、特に優れたものとなる。
また、トナー粒子を構成する樹脂材料は、ガラス転移温度Tgが、35〜60℃であるのが好ましく、40〜55℃であるのがより好ましい。上記条件を満たす樹脂材料をトナー粒子の構成材料として用いることにより、保存時において、トナー粒子同士の凝集、融着がより確実に抑制され、液体現像剤の保存性はより優れたものとなる。さらに、トナー粒子を記録媒体に低温でより好適に定着させることができる。
また、トナー粒子を構成する樹脂材料の軟化温度Tfは、60〜180℃であるのが好ましく、80〜120℃であるのがより好ましい。上記条件を満たす樹脂材料をトナー粒子の構成材料として用いることにより、保存時においては、トナー粒子同士の凝集、融着がより確実に抑制され、液体現像剤の保存性はより優れたものとなる。さらに、定着時においては、トナー粒子をより少ない熱量で溶融させることができる。これにより、トナー粒子を低温で、より安定して定着させることができる。また、このような液体現像剤は、高速での画像形成にも、より好適に適応するものとなる。
なお、本明細書で、ガラス転移温度Tgとは、示差走査熱量測定機DSC−220C(SII製)における測定条件:サンプル量10mg、昇温速度10℃/min、測定温度範囲10〜150℃で測定した際に、ガラス転移点以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度をいう。
また、軟化温度とは、高化式フローテスター(島津製作所製)における測定条件:昇温速度:5℃/min、ダイ穴径1.0mmで規定される軟化開始温度のことを指す。
2.着色剤
また、トナーは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、特に限定されず、例えば、公知の顔料、染料等を使用することができる。
3.その他の成分
また、トナーは、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、公知のワックス、磁性粉末等が挙げられる。
また、トナーの構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
[トナー粒子の形状等]
本発明の液体現像剤に適用されるトナー粒子としては、その表面に微小の凹凸を有するものを用いるのが好ましい。このように微小の凹凸を有することにより、前述した脂肪酸モノエステルをトナー粒子の表面付近により効果的に偏在(吸着)させることができる。
液体現像剤を構成するトナー粒子についての下記式(II)で表される円形度Rの平均値(平均円形度)は、0.94〜0.99であるのが好ましく、0.96〜0.99であるのがより好ましい。
R=L/L・・・(II)
(ただし、式中、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
トナー粒子の平均円形度がこのような範囲のものであると、記録媒体上に転写した未定着のトナー画像中に絶縁性液体を適度に含ませることができ、トナー粒子の定着強度をより高いものとすることができる。
また、上記のような材料で構成されたトナー粒子の平均粒径は、0.7〜3μmであるのが好ましく、0.8〜2.5μmであるのがより好ましく、0.8〜2μmであるのがさらに好ましい。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、各トナー粒子間での特性のばらつきを小さいものとし、液体現像剤全体としての信頼性を高いものとしつつ、液体現像剤により形成されるトナー画像の解像度を十分に高いものとすることができる。また、トナー粒子の絶縁性液体への分散を良好にし、液体現像剤の保存性を高いものとできる。
液体現像剤中におけるトナー粒子の含有率は、10〜60wt%であるのが好ましく、20〜50wt%であるのがより好ましい。
<絶縁性液体>
次に、絶縁性液体について説明する。
本発明で用いる絶縁性液体は、脂肪酸と一価のアルコールとの間のエステルである脂肪酸モノエステルを含むものであり、このような脂肪酸モノエステルはR−COO−R’の一般式で表されるものである(ただし、R、R’はアルキル基)。
脂肪酸モノエステルは、天然由来の成分であり、環境に優しい成分である。したがって画像形成装置外への絶縁性液体の漏出や、使用済液体現像剤の廃棄などによる絶縁性液体の環境への負荷を低減することができる。その結果、環境に優しい液体現像剤を提供することができる。
また、脂肪酸モノエステルは、比較的低い粘度を有する液体であるとともに、前述したような樹脂材料との親和性に優れたものである。したがって、絶縁性液体が脂肪酸モノエステルを含むことにより、液体現像剤中のトナー粒子の分散性は優れたものとなり、液体現像剤の保存性、長期安定性を優れたものとすることができる。
また、脂肪酸モノエステルは、トナー粒子を構成する樹脂材料の分子錯間に浸入しやすい性質を有するものであり、このようにして樹脂材料中に取り込まれた脂肪酸モノエステルは、トナー粒子(樹脂材料)を可塑化する可塑効果を有するものである。そのため、脂肪酸モノエステルを取り込んだトナー粒子は、比較的低温であっても、容易に溶融して記録媒体に定着させることができる。また、このように可塑化されたトナー粒子は、記録媒体に、より密着して定着させることができ、得られるトナー画像の定着強度は特に優れたものとなる。例えば、記録媒体として、紙を用いた場合には、トナー粒子が紙繊維の隙間に入り込み易くなる。そして、定着時の熱で溶融したトナー粒子(トナー粒子を構成する樹脂材料)の一部が記録媒体の内部に浸透し、この状態でトナー粒子が放冷されて硬化することにより、アンカー効果が働き、トナー粒子を紙に強固に定着させることができる。したがって、このようなトナー粒子を含む液体現像剤は、低温定着性が向上するとともに、トナー粒子の記録媒体への定着強度は優れたものとなる。
このような脂肪酸モノエステルを構成する脂肪酸成分は、R−COOHの一般式で表され(ただし、Rはアルキル基)、特に限定されないが、例えば、オレイン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等に代表される不飽和脂肪酸、酪酸、ラウリン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等に代表される飽和脂肪酸等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この中でも、脂肪酸モノエステルが、脂肪酸成分として飽和脂肪酸を含む場合、脂肪酸モノエステルは、劣化(酸化、分解など)が起こりづらい、化学的に特に安定なものとなる。このため、このような脂肪酸モノエステルを含む絶縁性液体は、粘度上昇、変色、電気抵抗値の低下などの劣化現象が長期間に渡って確実に防止され、液体現像剤の保存性、長期安定性は特に優れたものとなる。また、定着時には、トナー粒子とともに脂肪酸モノエステルも紙に転写され、形成されるトナー画像中に飽和脂肪酸モノエステルが含まれる。上述したように飽和脂肪酸モノエステルは、劣化しづらい成分であり、トナー画像が外部環境(光、熱、酸素など)に晒されても、変色するのが確実に防止され、形成されるトナー画像は長期間に渡って鮮明なものとなる。
また、脂肪酸モノエステルは、脂肪酸成分として飽和脂肪酸を含む場合、飽和脂肪酸として、炭素数が8〜20の脂肪酸を含むことが好ましい。これにより、脂肪酸モノエステルの可塑効果はより好適に発現され、液体現像剤の保存性、低温定着性を特に優れたものとすることができる。また、このような脂肪酸モノエステルの一部がトナー粒子とともに、記録媒体に残留した場合でも、光(紫外線)や熱など、外部環境の影響により劣化するのがより確実に防止され、形成されるトナー画像の色合いを、長期間にわたってより鮮明なものとすることができる。
また、このような脂肪酸モノエステルは脂肪酸と一価のアルコールとのエステルであるが、このアルコールは、R−OHの一般式で表され(ただし、Rはアルキル基)、Rの炭素数が1〜4であるのが好ましい。このような脂肪酸モノエステルは、トナー粒子中に好適に浸透し、トナー粒子を好適に可塑化させる。その結果、液体現像剤の保存性、低温定着性は特に優れたものとなる。また、液体現像剤の化学的安定性は優れたものとなり、液体現像剤の長期安定性はさらに優れたものとなる。また、絶縁性液体の粘度を好適なものとし、記録媒体への液体現像剤の浸透をより好適なものとすることができる。このようなアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール等が挙げられる。
また、脂肪酸モノエステルは、植物油と、上記のような1価のアルコールとのエステル交換反応により生成されるものであってもよい。すなわち、本発明で用いる絶縁性液体は、前述したような脂肪酸、およびアルコールから選択される1種または2種以上を組み合わせた脂肪酸モノエステルを含むものであってもよい。
エステル交換反応に供される植物油としては、例えば、大豆油、菜種油、脱水ひまし油、桐油、紅花油、亜麻仁油、ひまわり油、コーン油、綿実油、ごま油、トウモロコシ油、大麻油、月見草油、パーム油(特に、パーム核油)、ココナッツ油、ヤシ油等が挙げられる。
また、絶縁性液体中における脂肪酸モノエステルの含有量は、10〜60wt%であるのが好ましく、15〜55wt%であるのがより好ましく、30〜50wt%であるのがさらに好ましい。これにより、液体現像剤中でのトナー粒子の分散性は特に優れたものとなるとともに、トナー粒子はより好適に可塑化される。その結果、液体現像剤の保存性、低温定着性は特に優れたものとなる。
また、このような脂肪酸モノエステルの粘度は、10mPa・s以下であるのが好ましく、5mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、記録媒体により好適に浸透するとともに、定着時の熱で溶融したトナー粒子の記録媒体への浸透をより確実に促すことができる。また、例えば、後述するような方法で液体現像剤を製造する際に、粒径の揃ったトナー粒子を好適に得ることができる。なお、本明細書において、粘度は、特に断りのない限り、25℃において、振動式粘度計を用いてJIS Z8809に準拠して測定される粘度である。
また、絶縁性液体は、上述したような脂肪酸モノエステルに加え、絶縁性液体として公知の液体を含むものであってもよい。具体的には、KF96、KF4701、KF965、KS602A、KS603、KS604、KF41、KF54、FA630(信越シリコーン社製)、TSF410、TSF433、TSF434、TSF451、TSF437、(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、SH200(東レ社製)等のシリコーンオイル、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(エクソン化学社製)、コスモホワイトP−60、コスモホワイトP−70、コスモホワイトP−120(コスモ石油ルブリカンツ社製)、ダイナフレシアW−8、ダフニーオイルCP、ダフニーオイルKP、トランスフォーマオイルH、トランスフォーマオイルG、トランスフォーマオイルA、トランスフォーマオイルB、トランスフォーマオイルS(出光興産社製)、シエルゾール70、シエルゾール71(シエルオイル社製)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(スピリッツ社製)、低粘度・高粘度流動パラフィン(和光純薬工業製)、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン等の脂肪族炭化水素、脂肪酸トリグリセリド、および脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸モノグリセリド、グリセリン、脂肪酸等の脂肪酸トリグリセリドの分解物、Prifer6813(UNIQUEMA社製)等の合成エステル系液体、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、脂肪酸モノエステル等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この中でも、絶縁性液体が、脂肪酸トリグリセリドを含むものである場合には以下のような効果を得ることができる。なお、脂肪酸トリグリセリドは、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル(トリグリセリド)である。すなわち、脂肪酸トリグリセリドは、前述したようなトナー粒子、および脂肪酸モノエステルとの親和性に優れた成分であるとともに、脂肪酸モノエステルよりも比較的粘度の高い成分である。したがって、脂肪酸モノエステルに加え、脂肪酸トリグリセリドを含む絶縁性液体は、粘度がより好適なものとなり、トナー粒子中に浸入する脂肪酸モノエステルの量がより好適なものとなる。その結果、トナー粒子はより好適に可塑化される。また、このような絶縁性液体を有する液体現像剤は、より優れた保存性を有するものとなる。これは、以下のように考えられる。すなわち、このような液体現像剤中では、絶縁性液体の粘度がより好適なものとなる結果、トナー粒子同士が接触、衝突する回数が減少するため、トナー粒子同士の凝集がより確実に防止されることによるものと考えられる。また、脂肪酸トリグリセリドは環境に優しい成分であるため、画像形成装置外への絶縁性液体の漏出や、使用済液体現像剤の廃棄等による絶縁性液体の環境への負荷を低減することができる。その結果、環境に優しい液体現像剤を提供することができる。
また、脂肪酸トリグリセリドを構成する脂肪酸成分として、不飽和脂肪酸を含む場合には、トナー粒子の記録媒体への定着強度を優れたものとすることができる。より詳しく説明すると、不飽和脂肪酸成分は、酸化されることにより(定着時における定着温度で酸化されることにより)、それ自体が硬化し、トナー粒子の定着強度を向上させる機能を有する成分である。これにより、記録媒体へのトナー粒子の定着強度を優れたものとすることができる。また、不飽和脂肪酸成分が硬化することにより、定着したトナー画像に対して、水性ボールペンでの追記を容易かつ確実に行うことができる。
脂肪酸トリグリセリドを構成する不飽和脂肪酸としては特に限定されないが、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸等の一価不飽和脂肪酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、エレオステアリン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ドコサヘキサエン酸等(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等の多価不飽和脂肪酸の不飽和脂肪酸やこれらの誘導体等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような不飽和脂肪酸トリグリセリドは、例えば、紅花油、米油、米ぬか油、菜種油、オリーブ油、カノーラ油、大豆油、アマニ油、ヒマシ油等の植物由来の油脂、牛油等の各種動物由来の油脂等の天然由来の油脂から効率良く得ることができる。
また、脂肪酸トリグリセリド中に飽和脂肪酸成分が含まれていてもよい。飽和脂肪酸成分を含むことにより、液体現像剤の化学的安定性や絶縁性液体の電気絶縁性をさらに高く保つことが可能になる。
このような飽和脂肪酸成分を構成する飽和脂肪酸としては、例えば、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上記のような飽和脂肪酸の中でも、分子内の炭素数が、6〜22のものであるのが好ましく、8〜20のものであるのがより好ましく、10〜18のものであるのがさらに好ましい。このような飽和脂肪酸で構成された飽和脂肪酸成分を含むことにより、前述したような効果はさらに顕著なものとして発揮される。
また、絶縁性液体が、上述したような脂肪族炭化水素を含む場合には以下のような効果を得ることができる。脂肪族炭化水素は、一般に、高い電気抵抗を有し、化学的に安定である。このため、脂肪族炭化水素を用いた液体現像剤は、特に優れた現像性、転写性を有し、得られるトナー画像は、欠点等の特に少ない、鮮明なものとなる。また、脂肪族炭化水素は、吸湿の少ない液体である。このため、脂肪族炭化水素を絶縁性液体に含む場合、保存時において絶縁性液体が吸湿することを好適に防止でき、絶縁性液体が変性(劣化)することを好適に防止することができる。
また、絶縁性液体が、上述したようなシリコーンオイルを含む場合、以下のような効果が得られる。シリコーンオイルは、シロキサン結合を骨格とした有機化合物である。シリコーンオイルは、一般に、高い電気抵抗を有する。このため、シリコーンオイルを絶縁性液体として用いた場合、液体現像剤は、特に電気抵抗が高いものとなり、トナー画像の転写性、現像性が優れたものとなる。また、シリコーンオイルは、種類によって多様な粘度を有することから、シリコーンオイルを選択することにより、液体現像剤の粘度を特に好適なものとすることができる。また、シリコーンオイルは、一般に、化学的に安定であり、人体への影響が少ない物質である。このため、液体現像剤は、保存時における絶縁性液体の劣化を好適に防止でき、環境安定性が優れたものとなる。また、画像形成装置外へ絶縁性液体が漏出した場合においても、安全な液体現像剤とすることができる。
また、液体現像剤(絶縁性液体)中には、トナー粒子の分散性を向上させる分散剤が含まれていてもよい。
このような分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ソルスパース(日本ルーブリゾール社の商品名)、ポリカルボン酸およびその塩、ポリアクリル酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリメタクリル酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリマレイン酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、アクリル酸−マレイン酸共重合体金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリスチレンスルホン酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリアミン脂肪酸縮重合体等の高分子分散剤、粘度鉱物、シリカ、燐酸三カルシウム、トリステアリン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩等)、ジステアリン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩、バリウム塩等)、ステアリン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、鉛塩、亜鉛塩等)、リノレン酸金属塩(例えば、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)、オクタン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩、カルシウム塩、コバルト塩等)、オレイン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩等)、パルミチン酸金属塩(例えば、亜鉛塩等)、ドデシルベンゼンスルホン酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ナフテン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)、レジン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン鉛塩、亜鉛塩等)等が挙げられる。
このような分散剤の中でも、高分子分散剤を含むものであるのが好ましい。なお、本明細書では、高分子分散剤とは、分子量が1000以上の高分子系の分散剤のことをいう。
このような高分子分散剤は、上述したような各種分散剤の中でも、特にトナー粒子表面に付着し易い成分であり、液体現像剤中でのトナー粒子の分散性をより優れたものとする機能を有するとともに、液体現像剤の帯電特性をさらに向上させる機能も有している。また、上述したように、本発明の液体現像剤では、脂肪酸モノエステルが浸透することによってトナー粒子が好適に可塑化されている。このようなトナー粒子の表面に、上述したような高分子分散剤が存在することにより、トナー粒子同士が凝集、融着するのがより確実に防止され、液体現像剤の保存性はさらに優れたものとなる。
また、このような高分子分散剤は、1分子中に、1つのカルボン酸と1つの水酸基とを有するモノマーの縮合物であるのが好ましい。特に、下記一般式(I)で表される構造を有するものが好ましい。
Figure 2009042730
(ただし、lは9〜12の整数、mは3〜6の整数、nは5〜8の整数、Rは−OH、R’はH−またはCH(CHCO−であり、pは15〜18の整数である。)
上述したような一般式(I)で表される高分子分散剤は、その分子内にエステル結合を有しており、前述した脂肪酸モノエステルとの親和性に優れている。そのため、このような構造を有する高分子分散剤は、脂肪酸モノエステルを含む絶縁性液体中に均一に分散し、液体現像剤中の各トナー粒子表面に、より均一に付着するものとなる。また、このような高分子分散剤は、分子鎖が比較的長い上、分岐鎖を有しているため、トナー粒子の表面との接触機会が多く、強固に付着あるいは吸着する。このように、トナー粒子表面に上記分散剤が好適に付着することにより、隣接するトナー粒子間に上記の構造を有する分散剤が介在し、トナー粒子同士の凝集がより確実に防止される。特に、上記一般式(I)で表される構造を有する高分子分散剤は、脂肪酸モノエステルとの親和性が高い成分であるが、その分子中に脂肪酸モノエステルを含みづらい成分であり、膨潤や可塑化されにくい成分である。そのため、このような高分子分散剤が付着したトナー粒子は、その表面の硬度が好適なものとなり、トナー粒子同士の凝集がより確実に防止される。その結果、液体現像剤の保存性をさらに優れたものとすることができる。さらに、このような高分子分散剤が各トナー粒子に均一に、かつ強固に付着、あるいは吸着しているため、トナー全体の帯電特性がより均一化され、液体現像剤の現像性、転写性がさらに向上する。その結果、鮮明なトナー画像を、長期間にわたって、安定的に形成することができる液体現像剤となる。
また、本発明において、上記一般式(I)中、lは9〜12の整数であればよいが、10〜11であるのが好ましい。これにより、高分子分散剤をトナー粒子により強固に付着、あるいは吸着させることができ、トナー粒子の凝集がより確実に防止される。また、液体現像剤の現像性、転写性がさらに向上し、鮮明なトナー画像を、長期間にわたって、安定的に形成することができる液体現像剤となる。
また、本発明において、上記一般式(I)中、mは3〜6の整数であればよいが、4〜5であるのが好ましい。これにより、高分子分散剤をトナー粒子により強固に付着、あるいは吸着させることができ、トナー粒子の凝集がより確実に防止される。また、液体現像剤の現像性、転写性がさらに向上し、鮮明なトナー画像を、長期間にわたって、安定的に形成することができる液体現像剤となる。
また、本発明において、上記一般式(I)中、nは5〜8の整数であればよいが、7〜8であるのが好ましい。これにより、高分子分散剤がトナー粒子により絡みやすくなり、トナー粒子の凝集がより確実に防止される。また、液体現像剤の現像性、転写性がさらに向上し、鮮明なトナー画像を、長期間にわたって、安定的に形成することができる液体現像剤となる。
また、本発明において、上記一般式(I)を構成するR’は、H−またはCH(CHCO−であり、pは15〜18の整数であればよいが、16〜17であるのが好ましい。これにより、高分子分散剤をトナー粒子により強固に付着、あるいは吸着させることができ、トナー粒子の凝集がより確実に防止される。また、液体現像剤の現像性、転写性がさらに向上し、鮮明なトナー画像を、長期間にわたって、安定的に形成することができる液体現像剤となる。
上述したような高分子分散剤の液体現像剤中における含有量は、トナー粒子100重量部に対して1.0〜10.0重量部であるのが好ましく、2.5〜8.0重量部であるのがより好ましい。これにより、各トナー粒子表面により均一に高分子分散剤を付着、あるいか吸着させることができ、トナー粒子同士の凝集がより確実に防止され、液体現像剤の保存性はさらに優れたものとなる。さらに、トナー全体の帯電特性をさらに優れたものとすることができる。
また、絶縁性液体は、酸化防止剤を含むものであってもよい。
また、液体現像剤(絶縁性液体)中には、帯電制御剤が含まれていてもよい。
帯電制御剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、ニグロシン染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩素化ポリエステル、ニトロフニン酸等が挙げられる。
室温(20℃)における、絶縁性液体の電気抵抗は、1.0×1011Ωcm以上であるのが好ましく、1.0×1012Ωcm以上であるのがより好ましく、2.0×1012Ωcm以上であるのがさらに好ましい。
また、絶縁性液体の誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
また、液体現像剤中において、上述したようなトナー粒子は、脂肪酸モノエステルの一部が浸透することにより、脂肪酸モノエステルが浸透していない状態のトナー粒子よりも示差走査熱量測定DSCにより測定されるガラス転移温度Tgが、10〜30℃低くなるのが好ましく、15〜28℃低くなるのがより好ましく、20〜25℃低くなるのがさらに好ましい。これにより、脂肪酸モノエステルが浸透し、可塑化されたトナー粒子同士が接触した際にも、凝集、融着するのがより確実に防止され、液体現像剤の保存性はさらに優れたものとなる。また、トナー粒子を低温でより安定的に定着させることができる。また、本発明の液体現像剤の構成を満足することにより、トナー粒子は、より確実に上述した範囲内でガラス転移温度が低下するものとなる。
なお、上述したような各成分で構成された液体現像剤の粘度(25℃において、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定される粘度)は、20〜900mPa・sであるのが好ましく、30〜800mPa・sであるのがより好ましく、50〜500mPa・sであるのがさらに好ましい。これにより、記録媒体中への液体現像剤の浸透はより好適なものとなるため、記録媒体へのトナー粒子の定着特性はより優れたものとなる。また、記録媒体に得られる画像が、ムラのない鮮明なものとなり、かつ、高速での画像形成に適応した液体現像剤として、特に適したものとなる。
また、上述したような各成分で構成された液体現像剤の室温(20℃)での電気抵抗は、1.0×1011Ωcm以上であるのが好ましく、1.0×1012Ωcm以上であるのがより好ましい。
≪液体現像剤の製造方法≫
次に、本発明の液体現像剤の製造方法の一例について説明する。
説明する製造方法は主として、樹脂材料で構成された樹脂微粒子を会合させ、会合粒子を得る会合粒子形成工程と、脂肪酸モノエステル中において、会合粒子を解砕し、脂肪酸モノエステル中にトナー粒子が分散したトナー粒子分散液と、絶縁性液体を構成するその他の成分とを混合する混合工程とを有する。
[会合粒子の調製]
まず、主として樹脂材料で構成された樹脂微粒子が会合した会合粒子の調製方法の一例について説明する。
会合粒子は、いかなる方法で調製されるものであってもよいが、本実施形態では、水系液体で構成された水系分散媒中に、主として樹脂材料(トナー材料)で構成された分散質(微粒子)が分散した水系分散液を得、当該水系乳化液中の分散質を会合させることにより、会合粒子を得る。
(水系分散液の調製)
以下、水系分散液の調製について説明する。
水系分散液は、いかなる方法で調製されるものであってもよいが、本実施形態では、まず、前述したようなトナー材料を溶媒に溶解させてトナー材料溶液を得、該トナー材料溶液と、水系液体で構成された水系分散媒とを混合することにより、トナー材料を含む分散質(液状の分散質)が分散した水系乳化液を得、その後、該水系乳化液に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去することにより、水系分散液を得る。
水系乳化液は、例えば、以下のようにして調製することができる(水系乳化液調製工程)。
まず、水系分散媒を用意する。
水系分散媒は、水系液体で構成されたものである。
本発明において、「水系液体」とは、水および/または水との相溶性に優れる液体(例えば、25℃における水100gに対する溶解度が30g以上の液体)で構成されたもののことを指す。このように、水系液体は、水および/または水との相溶性に優れる液体で構成されたものであるが、主として水で構成されたものであるのが好ましく、特に、水の含有率が70wt%以上のものであるのが好ましく、90wt%以上のものであるのがより好ましい。このようなものを用いることにより、例えば、水系分散媒中における分散質の分散性を高めることができ、水系乳化液中における分散質を、粒径が比較的小さく、かつ、大きさのばらつきの少ないものとすることができる。その結果、最終的に得られる液体現像剤中のトナー粒子は、粒子間での大きさ、形状のばらつきが小さく、円形度の大きいものとなる。
水系液体の具体例としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒、ピリジン、ピラジン、ピロール等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、アセトアルデヒド等のアルデヒド系溶媒等が挙げられる。
また、水系分散媒には、必要に応じて乳化分散剤を添加してもよい。乳化分散剤を添加することにより、より容易に水系乳化液を調製することができる。
乳化分散剤としては、特に限定されず、例えば、公知の乳化分散剤を用いることができる。
一方、前述したようなトナー材料を溶媒に溶解させ、トナー材料溶液を調製する。
溶媒としては、トナー材料の少なくとも一部を溶解するものであればいかなるものであってもよいが、前述した水系液体よりも沸点が低いものを用いるのが好ましい。これにより、溶媒を容易に除去することができる。
また、溶媒は、前述した水系分散媒(水系液体)との相溶性が低いもの(例えば、25℃における水系分散媒100gに対する溶解度が30g以下のもの)であるのが好ましい。これにより、水系乳化液中において、トナー材料を安定した状態で微分散させることができる。
また、溶媒の組成は、例えば、前述したような樹脂材料、着色剤の組成や、水系分散媒の組成等に応じて適宜選択することができる。
このような溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、MEK等のケトン系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
また、トナー材料溶液の調製には、例えば、樹脂材料、着色剤等のトナー用材料を混練して得られた混練物を用いてもよい。このような混練物を用いることにより、トナーの構成材料中に、互いに分散または相溶し難い成分を含む場合であっても、混練を施すことにより、得られる混練物中においては、各成分が十分に相溶、微分散した状態とすることができる。特に、前述したような溶媒に対する分散性が比較的低い顔料(着色剤)を用いた場合、溶媒に分散する前に予め混練が施されることにより、顔料粒子の周囲を樹脂成分等が効果的にコーティングすることとなり、これにより、溶媒への顔料の分散性が向上し(特に溶媒への微分散が可能となり)、最終的に得られるトナーの発色性も良好となる。このようなことから、トナーの構成材料中に、前述した水系乳化液の水系分散媒に対する分散性に劣る成分や水系乳化液の分散媒に含まれる溶媒に対する溶解性に劣る成分が含まれる場合であっても、水系乳化液における分散質の分散性を特に優れたものとすることができる。
次に、上記トナー材料溶液を、撹拌した状態の水系分散媒中に、徐々に滴下しながら加えていくことにより、水系分散媒中に、トナー材料を含む分散質が分散した水系乳化液が得られる。なお、トナー材料溶液の滴下を行う際、水系分散媒および/またはトナー材料溶液を加熱しておいてもよい。
また、上記の操作の代わりに、撹拌した状態のトナー材料溶液中に、水溶分散媒を徐々に滴下しながら加えていってもよい。このように、トナー材料溶液中に水系分散媒を加えることで、トナー材料溶液が転相乳化し、上記の操作で得られる水系乳化液と同じように、水系分散媒中に、トナー材料を含む分散質が分散した水系乳化液を得ることができる。
その後、得られた水系乳化液を加熱したり、減圧雰囲気下に置くことにより、分散質中に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去し、トナー材料で構成された分散質(微粒子)が分散した水系分散液を得る。
水系分散液中における分散質の含有率は、特に限定されないが、5〜55wt%であるのが好ましく、10〜50wt%であるのがより好ましい。これにより、水系分散液中における分散質同士の不本意な凝集をより確実に防止しつつ、トナー粒子(液体現像剤)の生産性を特に優れたものとすることができる。
水系分散液中の分散質の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜3μmであるのが好ましく、0.1〜2μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の大きさを最適なものとすることができる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
(会合粒子形成工程)
次に、上記のようにして得られた水系分散液に、電解質を添加し、分散質を会合させ、会合粒子を形成する(会合粒子形成工程)。
添加する電解質としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸等の酸性物質、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニュウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシュウム、酢酸ナトリウム等の有機、無機の水溶性の塩等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、硫酸ナトリウムや硫酸アンモニウム等の1価のカチオンの硫酸塩は、均一な会合を進める上で好適に用いることができる。
なお、電解質等を添加する前に、ヒドロキシアパタイト等の無機分散安定剤や、イオン性、非イオン性界面活性剤を分散安定剤として添加してもよい。分散安定剤(乳化剤)の存在下で電解質を添加することにより、不均一な会合を防止することができる。
このような分散安定剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、各種プルロニック系等の非イオン性界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩型のアニオン性界面活性剤、第四級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤等が挙げられる。中でも、アニオン性、非イオン性の界面活性剤は、少量の添加量であっても分散安定性に効果があり、好適に用いることができる。非イオン性界面活性剤の曇点は40℃以上であることが好ましい。
添加する電解質の量は、水系分散液中の固形分100重量部に対し、0.5〜15重量部であることが好ましく、1〜12重量部であることがより好ましく、1〜10重量部であることがさらに好ましい。電解質の添加量が前記下限値未満であると、分散質の会合が十分に進行しない場合がある。また、電解質の添加量が前記上限値を超えると、分散質の会合が不均一となり、粗大粒子が発生する可能性があり、最終的に得られるトナー粒子の大きさにばらつきが生じる可能性がある。
そして、会合させた後、濾過・洗浄・乾燥等を行うことにより、会合粒子を得る。
得られる会合粒子の平均粒径は、0.1〜7μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の粒径を適度なものとすることができる。
[解砕工程]
次に、上記のようにして得られた会合粒子を、脂肪酸モノエステル中で解砕する(解砕工程)。これにより、脂肪酸モノエステル液中にトナー粒子が分散したトナー粒子分散液が得られる。
上述したように、脂肪酸モノエステルは、トナー粒子を構成する樹脂材料との親和性が高い成分である。このため、脂肪酸モノエステル中で会合粒子を解砕する際、会合粒子を構成する微粒子(分散質)の間に脂肪酸モノエステルが侵入しやすく、より小さいエネルギーで会合粒子を効率良く解砕することができる。また、解砕された会合粒子(トナー粒子)の表面には、脂肪酸モノエステルが好適に浸透し易くなり、液体現像剤中のトナー粒子は好適に可塑化される。その結果、製造される液体現像剤は、保存性、低温定着性のいずれもが優れたものとなる。
また、脂肪酸モノエステルという液体中で解砕しているので、凝集等によって粗大化したトナー粒子が発生するのを防止することができる。
また、得られるトナー粒子は、その表面に、微粒子(分散質)に由来する凹凸を有するものとなるので、脂肪酸モノエステルをこの凹凸に確実に保持することができる。
また、本実施形態では、会合粒子を解砕することによりトナー粒子を得るので、従来の粉砕法や湿式粉砕法と比較して、微粉(目的の大きさの粒子よりも極端に小さい粒子)の発生を効果的に防止することができる。その結果、微粉による液体現像剤の帯電特性の低下を効果的に防止することができる。
また、脂肪酸モノエステルは、比較的粘度が低いため、会合粒子を構成する微粒子(分散質)の間に侵入しやすく、好適に会合粒子を解砕することができる。
[混合工程]
次に、上記のようにして得られたトナー粒子分散液と、絶縁性液体を構成するその他の成分とを混合し、トナー粒子を絶縁性液体中に分散させる(混合工程)。
以上のようにして、脂肪酸モノエステルを含む絶縁性液体中にトナー粒子が分散した、本発明の液体現像剤が得られる。
なお、上記の説明では、本実施形態は、得られた会合粒子を、脂肪酸モノエステル中で解砕する工程(解砕工程)を有するものとして説明したが、得られた会合粒子を、解砕することなく、絶縁性液体を構成する成分中に分散させて、液体現像剤を製造してもよい。
≪画像形成装置の第1実施形態≫
次に、本発明の画像形成装置の第1実施形態について説明する。本発明の画像形成装置は、上述したような本発明の液体現像剤を用いて記録媒体上にカラー画像を形成するものである。
図1は、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の第1実施形態を示す模式図、図2は、図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図、図3は、現像ローラ上の液体現像剤層内におけるトナー粒子の状態を示す模式図、図4は、図1に示す画像形成装置に適用される定着装置の一例を示す断面図である。
画像形成装置1000は、図1、図2に示すように、4つの現像部30Y、30M、30C、30Kと、中間転写部40と、2次転写ユニット(2次転写部)60と、定着部(定着装置)F40と、4つの液体現像剤補給部80Y、80M、80C、80Kとを有している。
現像部30Y、30M、30Cは、それぞれ、イエロー系液体現像剤(Y)、マゼンダ系液体現像剤(M)、シアン系の液体現像剤(C)で、潜像を現像し、各色に対応したカラーの単色像を形成する機能を有している。また、現像部30Kは、ブラック系液体現像剤(K)で、潜像を現像し、ブラック(黒)の単色像を形成する機能を有している。
現像部30Y、30M、30C、30Kの構成は同様であるので、以下、現像部30Yについて説明する。
現像部30Yは、図2に示すように、像担持体の一例としての感光体10Yと、感光体10Yの回転方向に沿って、帯電ローラ11Yと、露光ユニット12Yと、現像ユニット100Yと、感光体スクイーズ装置101Yと、1次転写バックアップローラ51Yと、除電ユニット16Yと、感光体クリーニングブレード17Yと、現像剤回収部18Yとを有している。
感光体10Yは、円筒状の基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図1中の矢印で示すように時計回りに回転する。
感光体10Yは、後述する現像ユニット100Yにより液体現像剤が供給され、表面に液体現像剤の層が形成されるものである。
帯電ローラ11Yは、感光体10Yを帯電するための装置であり、露光ユニット12Yは、レーザを照射することによって帯電された感光体10Y上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット12Yは、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体10Y上に照射する。
現像ユニット100Yは、感光体10Y上に形成された潜像を、本発明の液体現像剤を用いて現像するための装置である。なお、現像ユニット100Yの詳細については後述する。
感光体スクイーズ装置101Yは、現像ユニット100Yより回転方向下流側に、感光体10Yに対向して配置されており、感光体スクイーズローラ13Yと、該感光体スクイーズローラ13Yに押圧摺接して表面に付着した液体現像剤を除去するクリーニングブレード14Yと、除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部15Yとで構成される。この感光体スクイーズ装置101Yは、感光体10Yに現像された現像剤から余剰なキャリア(絶縁性液体)および本来不要なカブリトナーを回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。
1次転写バックアップローラ51Yは、感光体10Yに形成された単色像を、後述する中間転写部40に転写するための装置である。
除電ユニット16Yは、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に中間転写像が転写された後に、感光体10Y上の残留電荷を除去する装置である。
感光体クリーニングブレード17Yは、感光体10Yの表面に当接されたゴム製の部材で、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に像が転写された後に、感光体10Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部18Yは、感光体クリーニングブレード17Yにより除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
中間転写部40は、エンドレスの弾性ベルト部材であり、ベルト駆動ローラ41とテンションローラ42との間に巻き掛けて張架され、1次転写バックアップローラ51Y、51M、51C、51Kで感光体10Y、10M、10C、10Kと当接しながら駆動ローラ41により回転駆動される。
この中間転写部40に、1次転写バックアップローラ51Y、51M、51C、51Kにより、現像部30Y、30M、30C、30Kで形成された各色に対応した単色像が順次転写され、各色に対応した単色像が重ね合わされる。これにより、中間転写部40にフルカラー現像剤像(中間転写像)が形成される。
中間転写部40には、このように複数の感光体10Y、10M、10C、10Kに形成した単色像を順次2次転写して重ね合わせて担持し、一括して紙、フィルム、布等の記録媒体F5に2次転写する。そのため、2次転写行程において記録媒体F5にトナー画像を転写するに当たって、記録媒体F5表面が繊維質などによって平滑でないシート材であっても、この非平滑なシート材表面に倣って2次転写特性を向上させる手段として、弾性ベルト部材を採用している。
ベルト駆動ローラ41と共に中間転写部40を張架するテンションローラ42側には、中間転写部クリーニングブレード46、現像剤回収部47からなるクリーニング装置が配置されている。
中間転写部クリーニングブレード46は、2次転写ローラ61によって記録媒体F5上に像が転写された後に、中間転写部40上に付着した液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部47は、中間転写部クリーニングブレード46により除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
また、1次転写バックアップローラ51Yより中間転写部40の移動方向下流側に、中間転写部スクイーズ装置52Yが配されている。
この中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40上に転写された液体現像剤が望ましい分散状態に至っていない場合に、転写された液体現像剤から余剰の絶縁性液体を除去する手段として設けられている。
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部スクイーズローラ53Yと、中間転写部40を挟んで中間転写部スクイーズローラ53Yと対向配置される中間転写部スクイーズバックアップローラ54Yと、中間転写部スクイーズローラ53Yに押圧摺接して表面をクリーニングする中間転写部スクイーズクリーニングブレード55Yおよび現像剤回収部15Mから構成される。
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40に1次転写された現像剤から余剰なキャリアを回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げると共に、本来不要なカブリトナーを回収する機能を有する。現像剤回収部15Mは、中間転写部40の移動方向下流側に配置されたマゼンタの感光体スクイーズローラのクリーニングブレード14Mで回収されるキャリアの回収機構を中間転写部スクイーズローラ53Yの中間転写部スクイーズクリーニングブレード55Yにも兼用するものである。このように2色目以降の像担持体スクイーズ装置の現像剤回収部15M、15C、15K(現像剤回収部15C、15Kについては図示せず)において、その前の色の1次転写バックアップローラ51(Y、M、C)より中間転写部40の移動方向下流側に配置された中間転写部スクイーズ装置52(Y、M、C)の現像剤回収部として兼用することにより、それらの間隔を一定に規制することができ、構造を簡潔にして小型化を図ることができる。
2次転写ユニット60は、2次転写ローラ61が中間転写部40を挟んでベルト駆動ローラ41と対向配置され、さらに2次転写ローラ61のクリーニングブレード62、現像剤回収部63からなるクリーニング装置が配置される。
2次転写ユニット60では、中間転写部40上に色重ねして形成された中間転写像が2次転写ユニット60の転写位置に到達するタイミングに合せて、記録媒体F5を搬送、供給し、その記録媒体F5に中間転写像が2次転写される。
2次転写ユニット60により記録媒体F5上に転写されたトナー画像(転写像)F5aは、後述する定着部F40に送られ、定着が行われる。
クリーニングブレード62は、2次転写ローラ61によって記録媒体F5上に像が転写された後に、2次転写ローラ61上に付着した液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部63は、クリーニングブレード62により除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
次に、現像ユニット100Y、100M、100C、100Kについて、詳細に説明する。なお、以下の説明では、代表的に、現像ユニット100Yについて説明する。
現像ユニット100Yは、図2に示すように、液体現像剤貯留部31Yと、塗布ローラ32Yと、規制ブレード33Yと、現像剤攪拌ローラ34Yと、現像ローラ20Yと、現像ローラクリーニングブレード21Yと、現像剤圧縮ローラ(圧縮手段)22Yとを有し
ている。
液体現像剤貯留部31Yは、感光体10Yに形成された潜像を現像するための液体現像剤を貯留する機能を備えたものである。
塗布ローラ32Yは、液体現像剤を現像ローラ20Yへ供給する機能を備えたものである。
この塗布ローラ32Yは、鉄等金属性のローラの表面に溝が均一かつ螺旋状に形成されニッケルメッキが施された、いわゆるアニロクスローラを呼称されるものであり、その直径は約25mmである。本実施形態では、塗布ローラ32Yの回転方向に対して斜めに複数の溝が、いわゆる切削加工や転造加工等によって形成されている。この塗布ローラ32Yは、時計回りに回転しながら液体現像剤に接触することによって、溝に、液体現像剤貯留部31Y内の液体現像剤を担持して、該担持した液体現像剤を現像ローラ20Yへ搬送する。
規制ブレード33Yは、塗布ローラ32Yの表面に当接して、塗布ローラ32Y上の液体現像剤の量を規制する。すなわち、当該規制ブレード33Yは、塗布ローラ32Y上の余剰液体現像剤を掻き取って、現像ローラ20Yに供給する塗布ローラ32Y上の液体現像剤を計量する役割を果たす。この規制ブレード33Yは、弾性体としてのウレタンゴムからなり、鉄等金属製の規制ブレード支持部材より支持されている。また、規制ブレード33Yは、前述した鉛直面Aから見て、塗布ローラ32Yが回転して液体現像剤から進出する側(すなわち、鉛直面Aから見て図2中左側)に設けられている。なお、規制ブレード33Yのゴム硬度は、JIS−Aで約77度であり、規制ブレード33Yの、塗布ローラ32Y表面への当接部の硬度(約77度)は、後述する現像ローラ20Yの弾性体の層の塗布ローラ32Y表面への圧接部の硬度(約85度)よりも低くなっている。また、掻き取られた余剰の液体現像剤は、液体現像剤貯留部31Yに回収され、再利用される。
現像剤攪拌ローラ34Yは、液体現像剤を一様分散状態に攪拌する機能を備えたものである。これにより、複数個のトナー粒子1が凝集した場合であっても、トナー粒子1同士を好適に分散させることができる。特に、一旦利用した液体現像剤を再利用する場合でも、好適にトナー粒子1を分散させることができる。
液体現像剤貯留部31Y内において、液体現像剤の中のトナー粒子1はプラスの電荷を有し、液体現像剤は、現像剤撹拌ローラ34Yにより撹拌されて一様分散状態になり、塗布ローラ32Yが回転することによって、液体現像剤貯留部31Yから汲み上げられ、規制ブレード33Yによって液体現像剤量が規制されて現像ローラ20Yに供給される。
現像ローラ20Yは、感光体10Yに担持された潜像を液体現像剤により現像するために、液体現像剤を担持して感光体10Yと対向する現像位置に搬送する。
現像ローラ20Yは、その表面に、前述した塗布ローラ32Yから液体現像剤を供給することにより、液体現像剤層201Yを形成するものである。
この現像ローラ20Yは、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬q度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラ20Yは、前記表層が圧接部となって、弾性変形された状態で塗布ローラ32Yおよび感光体10Yのそれぞれに圧接している。
また、現像ローラ20Yは、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、感光体10Yの回転中心軸よりも下方にある。また、現像ローラ20Yは、感光体10Yの回転方向(図2において時計方向)と逆の方向(図2において反時計方向)に回転する。なお、感光体10Y上に形成された潜像を現像する際には、現像ローラ20Yと感光体10Yとの間に電界が形成される。
現像剤圧縮ローラ22Yは、現像ローラ20Yに担持された液体現像剤のトナーを圧縮状態にする機能を備えた装置である。言い換えると、現像剤圧縮ローラ22Yは、前述した液体現像剤層201Yに対してトナー粒子1と同極性の電界を印加することにより、図3に示すように、液体現像剤層201Y中において、現像ローラ20Yの表面近傍にトナー粒子1を偏在させる機能を備えた装置である。このようにトナー粒子を偏在させることにより、現像濃度(現像効率)を向上させることができ、その結果、品質の高い鮮明な画像を得ることができる。
この現像剤圧縮ローラ22Yには、クリーニングブレード23Yが設けられている。
このクリーニングブレード23Yは、現像剤圧縮ローラ22Yに付着した液体現像剤を除去する機能を有している。クリーニングブレード23Yにより除去された液体現像剤は、液体現像剤貯留部31Y内に回収され、再利用される。
また、現像ユニット100Yは、現像ローラ20Yの表面に当接されたゴム製の現像ローラクリーニングブレード21Yを有している。この現像ローラクリーニングブレード21Yは、前記現像位置で現像が行われた後に、現像ローラ20Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去するための装置である。現像ローラクリーニングブレード21Yにより除去された液体現像剤は、液体現像剤貯留部31Y内に回収され、再利用される。
また、図1、図2に示すように、画像形成装置1000は、液体現像剤を現像部30Yに補給する液体現像剤補給部80Y、80M、80C、80Kを有する。液体現像剤補給部80Y、80M、80C、80Kの構成は同様であるので、以下、液体現像剤補給部80Yについて説明する。
液体現像剤補給部80Yは、回収液体現像剤貯留部81Yと、補給液体現像剤貯留部82Yと、搬送手段83Y、84Yと、ポンプ85Yと、フィルタ86Yとを有している。
回収液体現像剤貯留部81Yは、主として現像剤回収部18Yで回収された回収液体現像剤を貯留し、搬送手段83Yによって、現像部30Yの液体現像剤貯留部31Yに回収液体現像剤を補給する。また、補給液体現像剤貯留部82Yには、液体現像剤が貯留されており、搬送手段84Yによって液体現像剤貯留部31Yに液体現像剤を補給する。補給液体現像剤貯留部82Yに貯留された液体現像剤および回収液体現像剤貯留部81Yに貯留された回収液体現像剤の組成は、液体現像剤貯留部31Yに貯留された液体現像剤と同様であっても良いし、異なるものであっても良い。
また、現像剤回収部18Yに回収された液体現像剤は、搬送路70Yによって、液体現像剤補給部80Yに供給される。
また、搬送路70Yには、ポンプ85Yが設けられており、このポンプ85Yにより、各現像剤回収部に回収された液体現像剤を回収液体現像剤貯留部81Yに搬送する。
また、搬送路70Yには、フィルタ86Yが設けられており、粗大粒子、異物等を回収された液体現像剤から取り除くことができる。フィルタ86Yに除去された粗大粒子、異物等の固形分は、図示せぬフィルタ状態の検知手段により検知される。そして、その検知結果に基づいてフィルタ86Yを交換する。これにより、フィルタ86Yのフィルタリング機能を安定して維持することができる。
次に、定着部について説明する。
定着部F40は、前述した現像部、転写部等において形成された未定着のトナー画像F5aを、記録媒体F5上に定着させるものである。
定着部F40は、図4に示すように、熱定着ローラF1と、加圧ローラF2と、耐熱ベルトF3と、ベルト張架部材F4と、クリーニング部材F6と、フレームF7と、スプリングF9とを有している。
熱定着ローラ(定着ローラ)F1は、パイプ材で構成されたローラ基材F1bと、その外周を被覆する弾性体F1cと、ローラ基材F1bの内部に、加熱源としての柱状ハロゲンランプF1aとを有しており、図に矢印で示す反時計方向に回転可能になっている。
熱定着ローラF1の内部には、加熱源を構成する2本の柱状ハロゲンランプF1a、F1aが内蔵されており、これらの柱状ハロゲンランプF1a、F1aの発熱エレメントは、それぞれ異なった位置に配置されている。そして、各柱状ハロゲンランプF1a、F1aが選択的に点灯されることにより、後述する耐熱ベルトF3が熱定着ローラF1に巻き付いた定着ニップ部位と、後述するベルト張架部材F4が熱定着ローラF1に摺接する部位との異なる条件下や、幅の広い記録媒体と幅の狭い記録媒体との異なる条件下等での温度コントローラが容易に行われるようになっている。
加圧ローラF2は、熱定着ローラF1と対向するように配されており、後述する耐熱ベルトF3を介して、未定着のトナー画像F5aが形成された記録媒体F5に対して圧力を加えるよう構成されている。
また、加圧ローラF2は、パイプ材で構成されたローラ基材F2bと、その外周を被覆する弾性体F2cとを有し、図に矢印で示す時計方向に回転可能になっている。
また、熱定着ローラF1の弾性体F1cの表層にはPFA層が設けられている。これにより、各弾性体F1c、2cの厚みは異なるが、両弾性体F1c、2cは略均一な弾性変形をして、いわゆる水平ニップが形成され、また、熱定着ローラF1の周速に対して、後述する耐熱ベルトF3または記録媒体F5の搬送速度に差異が生じることもないので、極めて安定した画像定着が可能となる。
耐熱ベルトF3は、加圧ローラF2とベルト張架部材F4の外周に張架されて移動可能とされ、熱定着ローラF1と加圧ローラF2との間に挟圧されるエンドレスの環状のベルトである。
この耐熱ベルトF3は、0.03mm以上の厚みを有し、その表面(記録媒体F5が接触する側の面)をPFAで形成し、裏面(加圧ローラF2およびベルト張架部材F4と接触する側の面)をポリイミドで形成した2層構成のシームレスチューブで形成されている。なお、耐熱ベルトF3は、これに限定されず、ステンレス管やニッケル電鋳管等の金属管、シリコーン等の耐熱樹脂管等の他の材料で形成することもできる。
ベルト張架部材F4は、熱定着ローラF1と加圧ローラF2との定着ニップ部よりも記録媒体F5搬送方向上流側に配設されるとともに、加圧ローラF2の回転軸F2aを中心として矢印P方向に揺動可能に配設されている。
ベルト張架部材F4は、記録媒体F5が定着ニップ部を通過しない状態において、耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架するように構成されている。記録媒体F5が定着ニップ部に進入する初期位置で定着圧力が大きいと進入がスムーズに行われなくて、記録媒体F5の先端が折れた状態で定着される場合があるが、このように耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架する構成にすることで、記録媒体F5の進入がスムーズに行われる記録媒体F5の導入口部が形成でき、安定した記録媒体F5の定着ニップ部への進入が可能となる。
ベルト張架部材F4は、耐熱ベルトF3の内周に嵌挿されて加圧ローラF2と協働して耐熱ベルトF3に張力fを付与する略半月状のベルト摺動部材(耐熱ベルトF3はベルト張架部材F4上を摺動する)である。このベルト張架部材F4は、耐熱ベルトF3が熱定着ローラF1と加圧ローラF2との押圧部接線Lより熱定着ローラF1側に巻き付けてニップを形成する位置に配置される。突壁F4aはベルト張架部材F4の軸方向一端または両端に突設されており、この突壁F4aは、耐熱ベルトF3が軸方向端の一方に寄った場合に、この耐熱ベルトF3がこの突壁F4aに当接することで耐熱ベルトF3の端への寄りを規制するものである。突壁F4aの熱定着ローラF1と反対側の端部とフレームとの間にスプリングF9が縮設されていて、ベルト張架部材F4の突壁F4aが熱定着ローラF1に軽く押圧され、ベルト張架部材F4が熱定着ローラF1に摺接して位置決めされる。
ベルト張架部材F4が熱定着ローラF1に軽く押圧される位置がニップ初期位置とされ、また、熱定着ローラF1に加圧ローラF2が押圧する位置がニップ終了位置とされる。
定着部F40において、未定着のトナー画像F5aが形成された記録媒体F5は、上記ニップ初期位置から定着ニップ部に進入して耐熱ベルトF3と熱定着ローラF1との間を通過し、ニップ終了位置から抜け出ることで、記録媒体F5上に形成された未定着のトナー画像F5aが定着され、その後、熱定着ローラF1への加圧ローラF2の押圧部の接線方向Lに排出される。
クリーニング部材F6は、加圧ローラF2とベルト張架部材F4との間に配置されている。
このクリーニング部材F6は耐熱ベルトF3の内周面に摺接して耐熱ベルトF3の内周面の異物や摩耗粉等をクリーニングするものである。このように異物や摩耗粉等をクリーニングすることで、耐熱ベルトF3をリフレッシュし、前述の摩擦係数の不安定要因を除去している。また、ベルト張架部材F4に凹部F4fが設けられており、耐熱ベルトF3から除去した異物や摩耗粉等を収納するよう構成されている。
また、定着部F40は、記録媒体F5にトナー画像F5aを定着させた後に、熱定着ローラF1の表面に付着(残存)した絶縁性液体を除去する除去ブレード(除去手段)F12を有している。なお、この除去ブレードF12は、絶縁性液体を除去するとともに、定着の際に熱定着ローラF1上に移行したトナー等も同時に除去することができる。
なお、耐熱ベルトF3を加圧ローラF2とベルト張架部材F4とにより張架して加圧ローラF2で安定して駆動するには、加圧ローラF2と耐熱ベルトF3との摩擦係数をベルト張架部材F4と耐熱ベルトF3との摩擦係数より大きく設定するとよい。しかし、摩擦係数は、耐熱ベルトF3と加圧ローラF2との間あるいは耐熱ベルトF3とベルト張架部材F4との間への異物の侵入や、耐熱ベルトF3と加圧ローラF2およびベルト張架部材F4との接触部の摩耗などによって不安定になる場合がある。
そこで、加圧ローラF2と耐熱ベルトF3の巻き付け角よりベルト張架部材F4と耐熱ベルトF3の巻き付け角が小さくなるように、また、加圧ローラF2の径よりベルト張架部材F4の径が小さくなるように設定する。これにより、耐熱ベルトF3がベルト張架部材F4を摺動する長さが短くなり、経時変化や外乱などに対する不安定要因から回避でき、耐熱ベルトF3を加圧ローラF2で安定して駆動することができるようになる。
熱定着ローラF1により加える熱(定着温度)は、具体的には、80〜200℃であるのが好ましく、100〜180℃であるのがより好ましく、100〜150℃であることがさらに好ましい。本発明の液体現像剤は、低温での定着性に優れるため、定着温度がこのような比較的低い温度であっても、トナー画像が記録媒体に強固に定着することができる。
≪画像形成装置の第2実施形態≫
次に、本発明の画像形成装置の第2実施形態について説明する。
図5は、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の第2実施形態を示す模式図、図6は、図5に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。
画像形成装置1000’は、図5、図6に示すように、4つの現像部30Y’、30M’、30C’、30K’と、中間転写部40’と、2次転写ユニット(2次転写部)60’と、定着部(定着装置)F40’と、4つの液体現像剤補給部90Y’、90M’、90C’、90K’とを有している。
現像部30Y’、30M’、30C’は、それぞれ、イエロー系液体現像剤(Y)、マゼンダ系液体現像剤(M)、シアン系の液体現像剤(C)で、潜像を現像し、各色に対応したカラーの単色像を形成する機能を有している。また、現像部30K’は、ブラック系液体現像剤(K)で、潜像を現像し、ブラック(黒)の単色像を形成する機能を有している。
現像部30Y’、30M’、30C’、30K’の構成は同様であるので、以下、現像部30Y’について説明する。
現像部30Y’は、図6に示すように、像担持体の一例としての感光体10Y’と、感光体10Y’の回転方向に沿って、帯電ローラ11Y’と、露光ユニット12Y’と、現像ユニット100Y’と、感光体スクイーズ装置101Y’と、1次転写バックアップローラ51Y’と、除電ユニット16Y’と、感光体クリーニングブレード17Y’と、現像剤回収部18Y’とを有している。
感光体10Y’は、円筒状の基材とその外周面に形成され、例えばアモルファスシリコン等の材料で構成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図5中の矢印で示すように時計回りに回転する。
感光体10Y’は、後述する現像ユニット100Y’により液体現像剤が供給され、表面に液体現像剤の層が形成されるものである。
帯電ローラ11Y’は、感光体10Y’を帯電するための装置であり、露光ユニット12Y’は、レーザを照射することによって帯電された感光体10Y’上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット12Y’は、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体10Y’上に照射する。
現像ユニット100Y’は、感光体10Y’上に形成された潜像を、本発明の液体現像剤を用いて現像するための装置である。なお、現像ユニット100Y’の詳細については後述する。
感光体スクイーズ装置101Y’は、現像ユニット100Y’より回転方向下流側に、感光体10Y’に対向して配置されており、感光体スクイーズローラ13Y’と、該感光体スクイーズローラ13Y’に押圧摺接して表面に付着した液体現像剤を除去するクリーニングブレード14Y’と、除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部15Y’とで構成される。この感光体スクイーズ装置101Y’は、感光体10Y’に現像された現像剤から余剰なキャリア(絶縁性液体)および本来不要なカブリトナーを回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。
1次転写バックアップローラ51Y’は、感光体10Y’に形成された単色像を、後述する中間転写部40に転写するための装置である。
除電ユニット16Y’は、1次転写バックアップローラ51Y’によって中間転写部40’上に中間転写像が転写された後に、感光体10Y’上の残留電荷を除去する装置である。
感光体クリーニングブレード17Y’は、感光体10Y’の表面に当接されたゴム製の部材で、1次転写バックアップローラ51Y’によって中間転写部40’上に像が転写された後に、感光体10Y’上に残存する液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部18Y’は、感光体クリーニングブレード17Y’により除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
中間転写部40’は、エンドレスの弾性ベルト部材であり、図示しないモータの駆動力が伝達されるベルト駆動ローラ41’および一対の従動ローラ44’、45’に張架されている。また、中間転写部40’は、1次転写バックアップローラ51Y’、51M’、51C’、51K’で感光体10Y’、10M’、10C’、10K’と当接しながらベルト駆動ローラ41’により反時計回りに回転駆動される。
さらに、中間転写部40’は、テンションローラ49’によって所定のテンションが付与されて、たるみが除去されるようになっている。このテンションローラ49’は、一方の従動ローラ44’より中間転写部40’の回転(移動)方向下流側でかつ他方の従動ローラ45’より中間転写部40’の回転(移動)方向上流側に配設されている。
この中間転写部40’に、1次転写バックアップローラ51Y’、51M’、51C’、51K’により、現像部30Y’、30M’、30C’、30K’で形成された各色に対応した単色像が順次転写され、各色に対応した単色像が重ね合わされる。これにより、中間転写部40’にフルカラー現像剤像(中間転写像)が形成される。
中間転写部40’には、このように複数の感光体10Y’、10M’、10C’、10K’に形成した単色像を順次2次転写して重ね合わせて担持し、後述する2次転写ユニット60’において一括して紙、フィルム、布等の記録媒体F5’に2次転写する。そのため、2次転写行程において記録媒体F5’にトナー像を転写するに当たって、記録媒体F5’表面が繊維質などによって平滑でないシート材であっても、この非平滑なシート材表面に倣って2次転写特性を向上させる手段として、弾性ベルト部材を採用している。
また、中間転写部40’には、中間転写部クリーニングブレード46’、現像剤回収部47’、非接触式バイアス印加部材48’からなるクリーニング装置が配置されている。
中間転写部クリーニングブレード46’および現像剤回収部47’は、従動ローラ45’側に配されている。
中間転写部クリーニングブレード46’は、2次転写ユニット(2次転写部)60’によって記録媒体F5’上に像が転写された後に、中間転写部40’上に付着した液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部47’は、中間転写部クリーニングブレード46’により除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
非接触式バイアス印加部材48’はテンションローラ49’に対向する位置に中間転写部40から離間して配設されている。この非接触式バイアス印加部材48’は、二次転写後に中間転写部40’上に残留する液体現像剤のトナー(固形分)に、このトナーと逆極性のバイアス電圧を印加するものである。これにより、トナーが除電されて中間転写部40’へのトナーの静電付着力が低減されるようにしている。この例では、非接触式バイアス印加部材48’として、コロナ帯電器が用いられている。
なお、非接触式バイアス印加部材48’は、必ずしもテンションローラ49’に対向する位置に配設する必要はなく、例えば従動ローラ42とテンションローラ49’との間の位置等、従動ローラ44’より中間転写部の移動方向下流側で、かつ、従動ローラ45’より中間転写部の移動方向上流側の任意の位置に配設することができる。また、非接触式バイアス印加部材48’はコロナ帯電器以外の公知の非接触式帯電器を用いることもできる。
また、1次転写バックアップローラ51Y’より中間転写部40’の移動方向下流側に、中間転写部スクイーズ装置52Y’が配されている。
この中間転写部スクイーズ装置52Y’は、中間転写部40’上に転写された液体現像剤が望ましい分散状態に至っていない場合に、転写された液体現像剤から余剰の絶縁性液体を除去する手段として設けられている。
中間転写部スクイーズ装置52Y’は、中間転写部スクイーズローラ53Y’と、中間転写部スクイーズローラ53Y’に押圧摺接して表面をクリーニングする中間転写部スクイーズクリーニングブレード55Y’と、中間転写部スクイーズクリーニングブレード55Y’で除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部56Y’とから構成される。
中間転写部スクイーズ装置52Y’は、中間転写部40’に1次転写された現像剤から余剰な絶縁性液体を回収し、像内のトナー粒子比率を上げると共に、本来不要なカブリトナーを回収する機能を有する。
2次転写ユニット60’は、互いに転写材移動方向に沿って所定間隔離間して配置された一対の2次転写ローラを備えている。これらの一対の2次転写ローラのうち、中間転写部40’の移動方向の上流側に配置される2次転写ローラが上流側2次転写ローラ64’である。この上流側2次転写ローラ64’は、ベルト駆動ローラ41’に中間転写部40’を介して圧接可能となっている。
また、一対の2次転写ローラのうち、転写材の移動方向の下流側に配置される2次転写ローラが下流側2次転写ローラ65’である。この下流側2次転写ローラ65’は、従動ローラ44に中間転写部40’を介して圧接可能となっている。
すなわち、上流側2次転写ローラ64’、下流側2次転写ローラ65’は、それぞれ、ベルト駆動ローラ41’および従動ローラ44’に掛けられた中間転写部40’に記録媒体F5’を当接させて、中間転写部40’上に色重ねして形成された中間転写像を記録媒体F5’に2次転写する。
この場合、ベルト駆動ローラ41’および従動ローラ44’は、それぞれ上流側2次転写ローラ64’、下流側2次転写ローラ65’のバックアップローラとしても機能する。すなわち、ベルト駆動ローラ41’は、2次転写ユニット60’において従動ローラ44’より記録媒体F5’の移動方向上流側に配置される上流側バックアップローラとして兼用される。また、従動ローラ44’は、2次転写ユニット60’においてベルト駆動ローラ41’より記録媒体F5’の移動方向下流側に配置される下流側バックアップローラとして兼用される。
したがって、2次転写ユニット60’に搬送されてきた記録媒体F5’は、上流側2次転写ローラ64’とベルト駆動ローラ41’との圧接開始位置(ニップ開始位置)から下流側2次転写ローラ65’と従動ローラ44’との圧接終了位置(ニップ終了位置)までの転写材の所定の移動領域で中間転写部40’に密着される。これにより、中間転写部40上のフルカラーの中間転写像が、中間転写部40’に密着した状態の記録媒体F5’に所定時間にわたって2次転写されるので、良好な2次転写が行われる。
また、2次転写ユニット60’は、上流2次転写ローラ64’に対して、2次転写ローラクリーニングブレード66’と、現像剤回収部67’とを備えている。また、2次転写ユニット60’は、下流2次転写ローラ65’に対して、2次転写ローラクリーニングブレード68’と、現像剤回収部69’とを備えている。各2次転写ローラクリーニングブレード66’、68’は、それぞれ2次転写ローラ64’、65’に当接されて2次転写後に各2次転写ローラ64’、65’の表面に残留する液体現像剤を掻き落として除去する。また、各現像剤回収部67’、69’は、それぞれ各2次転写ローラクリーニングブレード66’、68’によって各2次転写ローラ64’、65’から掻き落とされた液体現像剤を回収して貯留する。
2次転写ユニット60’により記録媒体F5’上に転写されたトナー画像(転写像)F5a’は、後述する定着部(定着装置)F40’に送られ、定着が行われる。
次に、現像ユニット100Y’、100M’、100C’、100K’について、詳細に説明する。なお、以下の説明では、代表的に、現像ユニット100Y’について説明する。
現像ユニット100Y’は、図6に示すように、液体現像剤貯留部31Y’と、塗布ローラ32Y’と、規制ブレード33Y’と、現像剤攪拌ローラ34Y’、連通部35Y'と、回収スクリュー36Y’と、現像ローラ20Y’と、現像ローラクリーニングブレード21Y’と、コロナ放電器(圧縮手段)25Y’とを有している。
液体現像剤貯留部31Y’は、感光体10Y’に形成された潜像を現像するための液体現像剤を貯留する機能を備えており、液体現像剤を現像部に供給する供給部31aY’と、供給部31aY’等で発生した余剰の液体現像剤を回収する回収部31bY’と、供給部31aY’と回収部31bY’とを仕切る仕切31cY’とを備えている。
供給部31aY’は、液体現像剤を塗布ローラ32Y’に供給する機能を有し、現像剤撹拌ローラ34Y’を設置した凹状の部分を有する。また、供給部31aY’には、液体現像剤貯留部93Y’から連通部35Y’を通じて液体現像剤が供給される。
回収部31bY’は、供給部31aY’に過剰に供給された液体現像剤や現像剤回収部15Y’、24Y’で生じた余剰な液体現像剤を回収するものである。回収された液体現像剤は、後述する液体現像剤混合槽93Y’に搬送され、再利用される。また、回収部31bY’は、凹状の部分を有し、その底付近に回収スクリュー36Y’が設置されている。
供給部31aY’と回収部31bY’との境界には、壁状の仕切31cY’が設けられている。仕切31cY’は、供給部31aY’と回収部31bY’とを仕切り、回収された液体現像剤の新鮮な液体現像剤への混入を防ぐことができる。また、供給部31aY’に過剰の液体現像剤が供給された際に、過剰分の液体現像剤は、仕切31cY’を超えて供給部31aY’から回収部31bY’へあふれ出ることができる。このため、供給部31aY’の液体現像剤の量が一定に保持されることができ、塗布ローラ32Y’に供給される液体現像剤の液量を一定に維持することができる。このため、最終的に形成される画像の画質が安定したものとなる。
また、仕切31cY’には、切欠部が設けられており、切欠部を通じて液体現像剤が供給部31aY’から回収部31bY’へあふれ出ることができる。
塗布ローラ32Y’は、液体現像剤を現像ローラ20Y’へ供給する機能を備えたものである。
この塗布ローラ32Y’は、鉄等金属性のローラの表面に溝が均一かつ螺旋状に形成されニッケルメッキが施された、いわゆるアニロクスローラを呼称されるものであり、その直径は約25mmである。本実施形態では、塗布ローラ32Y’の回転方向に対して斜めに複数の溝が、いわゆる切削加工や転造加工等によって形成されている。この塗布ローラ32Y’は、反時計回りに回転しながら液体現像剤に接触することによって、溝に、供給部31aY’内の液体現像剤を担持して、該担持した液体現像剤を現像ローラ20Y’へ搬送する。
規制ブレード33Y’は、塗布ローラ32Y’の表面に当接して、塗布ローラ32Y’上の液体現像剤の量を規制する。すなわち、当該規制ブレード33Y’は、塗布ローラ32Y’上の余剰液体現像剤を掻き取って、現像ローラ20Y’に供給する塗布ローラ32Y’上の液体現像剤を計量する役割を果たす。この規制ブレード33Y’は、弾性体としてのウレタンゴムからなり、鉄等金属製の規制ブレード支持部材より支持されている。また、規制ブレード33Y’は、塗布ローラ32Y’が回転して液体現像剤から進出する側(すなわち、図6中右側)に設けられている。なお、規制ブレード33Y’のゴム硬度は、JIS−Aで約77度であり、規制ブレード33Y’の、塗布ローラ32Y’表面への当接部の硬度(約77度)は、後述する現像ローラ20Y’の弾性体の層の塗布ローラ32Y’表面への圧接部の硬度(約85度)よりも低くなっている。また、掻き取られた余剰の液体現像剤は、供給部31aY’に回収され、再利用される。
現像剤攪拌ローラ34Y’は、液体現像剤を一様分散状態に攪拌する機能を備えたものである。これにより、複数個のトナー粒子1が凝集した場合であっても、トナー粒子1同士を好適に分散させることができる。
供給部31aY’内において、液体現像剤の中のトナー粒子1はプラスの電荷を有し、液体現像剤は、現像剤撹拌ローラ34Y’により撹拌されて一様分散状態になり、塗布ローラ32Y’が回転することによって、液体現像剤貯留部31Y’から汲み上げられ、規制ブレード33Y’によって液体現像剤量が規制されて現像ローラ20Y’に供給される。また、現像剤攪拌ローラ34Y’によって攪拌されることにより、仕切31cY’を超えて回収部31bY’側に液体現像剤を安定して溢れさせることができ、液体現像剤が滞留し圧縮することを防ぐことができる。
さらに、現像剤攪拌ローラ34Y’は、連通部35Y'付近に設けられている。このため、連通部35Y’から供給された液体現像剤が素早く拡散することができ、液体現像剤が供給部31aY’に補給されている場合であっても、供給部31aY’の液面を安定したものとすることができる。このような現像剤攪拌ローラ34Y'が連通部35Y’付近に設けられることにより、連通部35Y’が負圧になり、自然に液体現像剤が吸い上げられることができる。
連通部35Y’は、現像剤攪拌ローラ34Y’鉛直下方に対して設けられ、液体現像剤貯留部93Y’と連通し、液体現像剤混合槽93Y’から液体現像剤を供給部31aY’へ吸い上げる部分である。
連通部35Y’を現像剤攪拌ローラ34Y’の下方に設けることにより、連通部35Y’から供給される液体現像剤は、現像剤攪拌ローラ34Y’に止められることになり、吹き出しによる液上面の盛り上がりがなく、液上面がほぼ一定に保持され、塗布ローラ32Y’に安定して現像剤を供給できる。
また、回収部31bY’の底部付近に設けられた回収スクリュー36Y’は、円筒状の部材からなり、外周に螺旋状のリブを有し、回収した液体現像剤が流動性を保つ機能を有するとともに、液体現像剤の液体現像剤混合槽93Y’への搬送を促進させる機能を有している。
現像ローラ20Y’は、感光体10Y’に担持された潜像を液体現像剤により現像するために、液体現像剤を担持して感光体10Y’と対向する現像位置に搬送する。
現像ローラ20Y’は、その表面に、前述した塗布ローラ32Y’から液体現像剤を供給することにより、液体現像剤層201Y’を形成するものである。
この現像ローラ20Y’は、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラ20Y’は、前記表層が圧接部となって、弾性変形された状態で塗布ローラ32Yおよび感光体10Y’のそれぞれに圧接している。
また、現像ローラ20Y’は、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、感光体10Y’の回転中心軸よりも下方にある。また、現像ローラ20Y’は、感光体10Y’の回転方向(図6において時計方向)と逆の方向(図6において反時計方向)に回転する。なお、感光体10Y’上に形成された潜像を現像する際には、現像ローラ20Y’と感光体10Y’との間に電界が形成される。
コロナ放電器(圧縮手段)25’Yは、現像ローラ20Y’に担持された液体現像剤のトナーを圧縮状態にする機能を備えた装置である。言い換えると、コロナ放電器25Y’は、前述した液体現像剤層201Y’に対してトナー粒子1と同極性の電界を印加することにより、図3に示すように、液体現像剤層201Y’中において、現像ローラ20Y’の表面近傍にトナー粒子1を偏在させる機能を備えた装置である。このようにトナー粒子を偏在させることにより、現像濃度(現像効率)を向上させることができ、その結果、品質の高い鮮明な画像を得ることができる。
なお、現像ユニット100Y’において、塗布ローラ32Y’と現像ローラ20Y’とは、異なる動力源(図示せず)によって、別駆動している。そして、塗布ローラ32Y’と現像ローラ20Y’と回転速度(線速度)比を変えることで、現像ローラ20Y’上に供給される液体現像剤の量を調整することができる。
また、現像ユニット100Y’は、現像ローラ20Y’の表面に当接されたゴム製の現像ローラクリーニングブレード21Y’と、現像剤回収部24Y’とを有している。この現像ローラクリーニングブレード21Y’は、前記現像位置で現像が行われた後に、現像ローラ20Y’上に残存する液体現像剤を掻き落として除去するための装置である。現像ローラクリーニングブレード21Y’により除去された液体現像剤は、現像剤回収部24Y’内に回収される。
また、図5、図6に示すように、画像形成装置1000’は、液体現像剤を現像部30Y’、30M’、30C’、30K’に補給する液体現像剤補給部90Y’、90M’、90C’、90K’を備えている。これらの液体現像剤補給部90Y’、90M’、90C’、90K’は、それぞれ、液体現像剤タンク91Y’、91M’、91C’、91K’と、絶縁性液体タンク92Y’、92M’、92C’、92K’と、液体現像剤混合槽93Y’、93M’、93C’、93K’とを備えている。
各液体現像剤タンク91Y’、91M’、91C’、91K’には、それぞれ各色に対応した高濃度の液体現像剤が収納されている。また、各絶縁性液体タンク92Y’、92M’、92C’、92K’には、それぞれ絶縁性液体が収納されている。さらに、各液体現像剤混合槽93Y’、93M’、93C’、93K’には、各液体現像剤タンク91Y’、91M’、91C’、91K’からの所定量の各高濃度液体現像剤と、各絶縁性液体タンク92Y’、92M’、92C’、92K’からの所定量の各絶縁性液体とが供給されるようになっている。
そして、各液体現像剤混合槽93Y’、93M’、93C’、93K’は、それぞれ、供給された各高濃度液体現像剤および各絶縁性液体をそれぞれ備え付けられた攪拌装置により混合撹拌して、各供給部31aY’、31aM’、31aC’、31aK’で使用する各色に対応した液体現像剤を作製する。各液体現像剤混合槽93Y’、93M’、93C’、93K’でそれぞれ作製された各液体現像剤は、それぞれ各供給部31aY’、31aM’、31aC’、31aK’に供給されるようになっている。
また、液体現像剤混合層93Y’には、回収部31bY’で回収された液体現像剤が回収され、再利用される。液体現像剤混合槽93M’、93C’、93K’も同様である。
なお、定着部F40’については、前述した実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような液体現像装置、定着装置に適用されるものに限定されない。
また、本発明の液体現像剤は、前述したような製造方法により製造されたものに限定されない。
また、前述した実施形態では、水系分散液を得、該水系乳化液に電解質を添加することにより会合粒子を得るものとして説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、会合粒子は、水系液体に、着色剤とモノマーと界面活性剤と重合開始剤とを分散させ、乳化重合により、水系分散液を調製し、該水系分散液に電解質を添加して会合させる乳化重合会合法を用いて調製されたものであってもよいし、また、得られた水系分散液を噴霧乾燥することにより会合粒子を得るものであってもよい。
また、前述した実施形態では、脂肪酸モノエステル中で会合粒子を解砕するものとして説明したが、会合粒子を解砕する液体として、脂肪酸モノエステルと絶縁性液体を構成するその他の成分との混合溶液を用いてもよい。このような混合溶液中で会合粒子を解砕しても、上述したような効果を得ることができる。
また、前述した実施形態では、絶縁性液体として、脂肪酸モノエステルとその他の成分を含むものとして説明したが、絶縁性液体が脂肪酸モノエステルのみで構成されたものである場合には、上述した各実施形態の混合工程を省いて液体現像剤を製造することができる。
[1]液体現像剤の製造
(実施例1)
<着色剤マスター溶液の調製>
まず、ポリエステル樹脂R1(重量平均分子量Mw:45,600、数平均分子量Mn:27,200、Mw/Mn=1.68、ガラス転移温度Tg:48℃、軟化温度Tf:108℃)と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3)との混合物(質量比R1:シアン系顔料=50:50)を用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
得られた混練物の粉末に固形分含有量が30質量%となるようにメチルエチルケトンを加え、アイガーモーターミル(米国アイガー社製:M−1000)で湿式分散して着色剤マスター溶液を調製した。
<樹脂液の調製>
上記着色剤マスター溶液:33重量部にメチルエチルケトン:200重量部およびポリエステル樹脂R1:73重量部を加えて、アイガーモーターミル(米国アイガー社製:M−1000)で混合し、樹脂液を作製した。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
<水系乳化液の調製>
マックスブレンド攪拌翼を有する円筒型の2Lセパラブルフラスコに上述の樹脂液を500重量部、メチルエチルケトンを45.5重量部入れ、樹脂液の固形分含有量を55%とした。
次いでフラスコ内の樹脂液に1規定アンモニア水:41.7重量部(前記ポリエステル樹脂が有するカルボキシル基の総量に対するモル当量比は1.1)を加えて、スリーワンモーター(新東科学社製)により、攪拌羽の回転数を210rpm(攪拌翼の周速:0.71m/s)として十分に攪拌し、その後攪拌を維持しながら、脱イオン水:133重量部を加えた。フラスコ内の溶液の温度を25℃に調整し、攪拌を継続しながら、上記樹脂液に対して133重量部の脱イオン水を滴下して転相乳化を起こし、樹脂材料を含む分散質が分散した水系乳化液を得た。
<会合による会合粒子の製造>
次に、フラスコ内の攪拌を継続しつつ、水系乳化液に1規定アンモニア水と水との総量が593重量部となるように脱イオン水:285重量部を加えた。次いで、水系乳化液に対して、アニオン型乳化剤であるエマール0(花王社製):2.6重量部を脱イオン水:30重量部に希釈して添加した。
その後、水系乳化液の温度を25℃に保ちつつ、攪拌の回転数を150rpm(攪拌翼の周速:0.54m/s)として、3.5%の硫酸アンモニウム水溶液:300重量部を滴下し、分散質の会合体の粒径を3.5μmとした。滴下後、分散質の会合体の粒径が5.0μmに成長するまで攪拌を続け会合操作を終了した。
得られた会合体分散液に対して、減圧下で有機溶剤を留去することにより乾燥し、会合粒子を得た。
なお、各実施例、比較例でのそれぞれの粒子の平均粒径は体積基準平均粒径であり、これらの粒子の平均粒径および粒度分布はMastersizer 2000粒子解析装置(Malvern Instruments Ltd.製)にて測定を行った。また、上記のようにして得られた会合粒子のガラス転移温度Tgを後述するような示差走査熱量測定機DSCを用いて測定したところ、ガラス転移温度Tgは48℃であった。
<液体現像剤の調製>
上記の方法で得られた会合粒子:40g、大豆油とメタノールとのエステル交換反応により生成された大豆油エステル交換液(粘度5.1mPa・s、日清オイリオ社製、商品名「大豆油脂肪酸メチル」):60g、下記構造式(III)で表される分散剤:2.0g、およびステアリン酸アルミニウム(日本油脂社製):3.0重量部をセラミック製ポット(内容積600ml)に入れ、さらにジルコニアボール(ボール直径:1mm)を体積充填率30%になるようにセラミック製ポットに入れ、卓上ポットミルにて回転速度220rpmで24時間解砕を行った。
Figure 2009042730
その後、ハイオレイック菜種油(日清オイリオ社製、商品名「ハイオレイック菜種油」):90gを加えて、さらに、上記卓上ポットミルで回転速度220rpmで24時間希釈分散を行い、液体現像剤を得た。
得られた液体現像剤中における、トナー粒子の平均粒径は1.5μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.65μmであった。また、25℃において振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定される液体現像剤の粘度は、247mPa・sであった。また、液体現像剤の電気抵抗は、2.8×1012Ωcmであった。なお、このようにして得られた液体現像剤をろ過し、後述するようなDSCを用いてトナー粒子のガラス転移温度Tgを測定したところ、Tgは、25℃であった。
また、シアン系顔料の代わりに、マゼンダ系顔料:ピグメントレッド122、イエロー系顔料:ピグメントイエロー180、ブラック系顔料:カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)に、それぞれ変更した以外は、上記と同様にして、マゼンダ系液体現像剤、イエロー系液体現像剤、ブラック系液体現像剤を製造した。
(実施例2〜8)
使用する樹脂材料および絶縁性液体の種類、含有量などを表1に示すような構成にした以外は、前記実施例1と同様にして、各色に対応する液体現像剤を製造した。
(比較例1〜5)
使用する樹脂材料および絶縁性液体の種類、含有量などを表1に示すような構成にした以外は、前記実施例1と同様にして、各色に対応する液体現像剤を製造した。
以上の各実施例および各比較例において、使用した樹脂の種類、重量平均分子量Mw、樹脂中に含まれる分子量10000以下の成分の含有率、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(分子量分布の指標)であるMw/Mn、ガラス転移温度Tg、軟化温度Tf、液体現像剤中に分散したトナー粒子のTg、ならびに、絶縁性液体中で解砕する前の会合粒子のガラス転移温度Tg(Tg(1))と、液体現像剤中に分散したトナー粒子のTg(Tg(2))との差であるΔTg(=Tg(2)−Tg(1))、また、脂肪酸モノエステルの種類、アルコール成分、含有量、脂肪酸モノエステル以外の主な成分の種類、絶縁性液体中の含有量等を表2に示した。
また、表1中における各実施例、比較例の樹脂材料の重量平均分子量Mw、および樹脂材料中に含まれる分子量10000以下の成分の含有率の評価は、装置:東ソー社製高速GPCシステム(HLC−8220GPC 内臓RI/UV−8220)、カラム:TSKgel SuperHZM−M(4.6mmI.D×15mmL)×4、カラム温度:40℃、溶解液:テトラヒドロフラン 特級(関東化学社製)、流速:0.35ml/min、試料濃度:1mg/ml、注入量:20μl、標準物質:標準ポリスチレン(東ソー社製)の条件で試料をカラムに入れ、分子量測定を行った。なお、試料前処理として、テトラヒドロフランに樹脂材料を溶解し、一昼夜放置後、孔径0.2μmシリンジフィルターでろ過を行った。
また、表1中における樹脂材料、トナー粒子のガラス転移温度Tgの評価は、測定装置としてDSC(SII社製 DSC−220C)を用いて、樹脂材料をアルミパンに約10mgとり、昇温速度:10℃/min、測定温度範囲:30〜150℃の条件で測定した。なお、測定は、1回目昇降温(10℃〜150℃〜10℃)し、2回目に同条件で測定したデータを用いた。
また、表1中における樹脂材料の軟化温度Tfは、測定装置として高化式フローテスター(島津製作所製)を用いて、昇温速度:5℃/min、ダイ穴径1.0mmの条件で測定した。
なお、表1中、ラウリン酸エチルとは、ラウリン酸とエタノールとのエステル交換反応により生成されたラウリン酸モノエステルのことをいい、ヤシ油脂肪酸イソブチルとは、ヤシ油とイソブタノールとのエステル交換反応により生成されたヤシ油エステル交換液のことをいい、大豆油脂肪酸オクチルとは、大豆油と、n−オクチルアルコールとのエステル交換反応により生成された大豆油エステル交換液のことをいう。また、表1中、ポリエステル樹脂R1を「R1」、ポリエステル樹脂R2を「R2」、ポリエステル樹脂R3を「R3」、ポリエステル樹脂R4を「R4」、ポリエステル樹脂R5を「R5」、ポリエステル樹脂R6を「R6」、ポリエステル樹脂R7を「R7」、ポリエステル樹脂R8を「R8」、メタノールをMeOH、エタノールをEtOH、イソブタノールをi−BuOH、n−オクチルアルコールをOctOH、油脂としてのハイオレイック菜種油(日清オイリオ社製)をa、脂肪族炭化水素としてのコスモホワイトP−60(粘度15mPa・s、コスモ石油ルブリカンツ社製)をb、ダイナフレシアW−8(粘度14mPa・s、出光興産社製)をc、上記構造式(III)で表される分散剤をdで示した。
また、各実施例および各比較例で得られた液体現像剤のトナー粒子中に含まれる樹脂成分の分析結果を表2に示す。
また、表2中、樹脂成分の分析は、以下のようにして行った。まず、液体現像剤:20mlをポリプロピレン製の50ml遠沈管にとり、遠心分離機(相対遠心加速度:890G×3min)で固液分離を行い、上澄み液をデカンテーションにより除去した。残さに、アイソパーHを総量50mlになるように加え、スパチュラで十分に攪拌、混合し、再び、遠心分離、デカンテーションにより、残さを得た。上記の操作を2回繰り返し、絶縁性液体をアイソパーHで置換した。
次に、残さを24時間自然乾燥した後に、テトロヒロドフランに溶解させ、遠心分離機にて、顔料由来の成分(残さ)と、樹脂成分の溶解した樹脂成分溶液とに分離した。樹脂成分溶液に、試料濃度(固形分濃度)が1mg/mlとなるようにテトロヒドロフランを加えた。この希釈された樹脂成分溶液を、一昼夜放置した後に、孔径:0.2μmのシリンジフィルターでろ過を行って、得られたろ過後の溶液を試料溶液とした。
次に、この試料溶液に含まれる樹脂成分の分子量分布の測定をゲルパーミッションクロマトグラフィーによって行った。分析は、装置として、東ソー社製高速GPCシステム(HLC−8220GPC 内蔵RI/UV−8220)、カラムとしてTSKgel SuperHZM−M(内径:4.6mm、長さ:15cm)を4本用い、カラム温度:40℃、インジェクション量:20μlの条件で行った。また、得られた分子量分布のチャートから、標準物質を標準ポリスチレン(東ソー社製)として、ピーク面積を基に、樹脂成分の分子量分布、重量平均分子量を求めた。
Figure 2009042730
Figure 2009042730
[2]評価
上記のようにして得られた各液体現像剤について、以下の評価を行った。
[2.1]定着強度
図1に示すような画像形成装置を用いて、前記各実施例および比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。その後、図4に示すような定着装置を用いて、熱定着ローラの設定温度を130℃として、熱定着を行った。
その後、非オフセット領域を確認した後、記録紙上の定着像を消しゴム(ライオン事務機社製、砂字消し「LION 261−11」)を押圧荷重1.2kgfで2回擦り、画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X−Rite model 404」により測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
A :画像濃度残存率が95%以上(非常に良い)。
B :画像濃度残存率が90%以上95%未満(良い)。
C :画像濃度残存率が80%以上90%未満(普通)。
D :画像濃度残存率が70%以上80%未満(やや悪い)。
E :画像濃度残存率が70%未満(非常に悪い)。
[2.2]低温定着性
図1に示すような画像形成装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。その後、図4に示すような定着装置を用いて、熱定着ローラの設定温度を110℃、130℃、150℃の3水準で熱定着を行った。
その後、非オフセット領域を確認した後、各水準で得られた記録紙上の定着像にスコッチ製メンディングテープ10mm幅810−1−18を貼り、記録紙面に対して170°の方向へ5cm/sの速度でテープを剥がし、画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X−Rite model 528」により測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
A :画像濃度残存率が95%以上(非常に良い)。
B :画像濃度残存率が90%以上95%未満(良い)。
C :画像濃度残存率が80%以上90%未満(普通)。
D :画像濃度残存率が70%以上80%未満(やや悪い)。
E :画像濃度残存率が70%未満(非常に悪い)。
[2.3]保存性
前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤を、温度:15〜25℃の環境下に、6ヵ月間静置した。その後、液体現像剤中のトナーの様子を目視にて確認し、以下の5段階の基準に従い評価した。
A :トナー粒子の浮遊および凝集沈降がまったく認められない。
B :トナー粒子の浮遊および凝集沈降がほとんど認められない。
C :トナー粒子の浮遊または凝集沈降がわずかに認められるが、液体現像剤として
問題の無い範囲である。
D :トナー粒子の浮遊または凝集沈降がはっきりと認められる。
E :トナー粒子の浮遊および凝集沈降が顕著に認められる。
[2.4]液体現像剤の環境安定性(長期安定性)
前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤を、35℃、相対湿度65%の環境下に、6ヶ月間放置した。その後、液体現像剤の様子を観察し、放置前後の粘度、色、酸価、および電気抵抗値の変化を以下の5段階の基準に従い評価した。なお、酸価の測定は、JIS K2501に準拠して行った。また、液体現像剤の色の変化は、目視により評価した。また、粘度は、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して行った。また、電気抵抗値は、ユニバーサルエレクトロメーター MMAII−17B、液体用電極LP−05、シールドボックスP−618(川口電機製作所製)を用いて測定した。
A :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化がまったく認められない。
B :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化がほとんど認められない。
C :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化がわずかに認められるが、液 体現像剤として問題の無い範囲である。
D :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化がはっきりと認められる。
E :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化が顕著に認められる。
これらの結果を、トナー粒子の平均粒径、粘度、電気抵抗とともに表2に示す。なお、粘度、及び電気抵抗は以下の4段階の基準に従い表記した。
<粘度>
非常に良い(A) :50mPa・s以上500mPa・s以下。
良い(B) :30mPa・s以上800mPa・s以下。(50mPa・s以 上500mPa・s以下は除く)
許容範囲(C) :20mPa・s以上900mPa・s以下。(30mPa・s以 上800mPa・s以下は除く)
悪い(D) :20mPa・s未満、もしくは、900mPa・sより大きい。
<電気抵抗>
非常に良い(A) :2.0×1012Ωcm以上。
良い(B) :1.5×1012Ωcm以上2.0×1012Ωcm未満。
許容範囲(C) :1.0×1012Ωcm以上1.5×1012Ωcm未満。
悪い(D) :1.0×1012Ωcm未満。
[2.5]耐久性
図5に示すような画像形成装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を5000枚の記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成し、図4に示すような定着装置を用いて、熱定着ローラの設定温度を130℃として、熱定着を行った。1枚目に印刷にされた記録紙上の画像の画像濃度ODsと、5000枚目に印刷された記録紙上の画像の画像濃度ODeとについて、X−Rite Inc社製「X−Rite model 528」を用いて測定した。そして、耐久性の指標としての画像濃度維持率(ODe/ODs×100)を求め、下記の5段階の基準に従って評価した。
A :画像濃度維持率が90%以上。
B :画像濃度維持率が80%以上90%未満。
C :画像濃度維持率が70%以上80%未満。
D :画像濃度維持率が60%以上70%未満。
E :画像濃度残存率が60%未満。
これらの結果を表3に示す。
Figure 2009042730
表3から明らかなように、本発明の液体現像剤は、低温定着に適したものであり、比較的低温で定着を行った場合においても、形成されたトナー画像は、強固に記録媒体へ定着していた。また、本発明の液体現像剤は、保存性、長期安定性に優れたものであった。これに対し、比較例の液体現像剤では、満足な結果が得られなかった。
本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の第1実施形態を示す模式図である。 図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。 現像ローラ上の液体現像剤層内におけるトナー粒子の状態を示す模式図である。 図1に示す画像形成装置に適用される定着装置の一例を示す断面図である。 本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の第2実施形態を示す模式図である。 図5に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。
符号の説明
1…トナー粒子 1000、1000’…画像形成装置 10Y、10M、10C、10K、10Y’、10M’、10C’、10K’…感光体 11Y、11Y’…帯電ローラ 12Y、12Y’…露光ユニット 13M、13Y、13M’、13Y’…感光体スクイーズローラ 14M、14Y、14M’、14Y’…クリーニングブレード 15M、15Y、15M’、15Y’…現像剤回収部 16Y、16Y’…除電ユニット 17Y、17Y’…感光体クリーニングブレード 18Y、18Y’…現像剤回収部 20Y、20M、20C、20K、20Y’、20M’、20C’、20K’…現像ローラ 201Y、201Y’…液体現像剤層 21Y、21Y’…現像ローラクリーニングブレード 22Y…現像剤圧縮ローラ 23Y…現像剤圧縮ローラクリーニングブレード 24Y’…現像剤回収部 25Y’…コロナ放電器(圧縮手段) 30Y、30M、30C、30K、30Y’、30M’、30C’、30K’…現像部 31Y、31Y’…液体現像剤貯留部 31aY’…供給部 31bY’…回収部 31cY’…仕切 32Y、32Y’…塗布ローラ 33Y、33Y’…規制ブレード 34Y、34Y’…現像剤撹拌ローラ 35Y’…連通部 36Y’…回収スクリュー 40、40’…中間転写部 41、41’…ベルト駆動ローラ 42、49’…テンションローラ 44’、45’…従動ローラ 46、46’…中間転写部クリーニングブレード 47、47’…現像剤回収部 48’…非接触式バイアス印加部材 51Y、51M、51C、51K、51Y’、51M’、51C’、51K’…1次転写バックアップローラ 52Y、52M、52C、52K、52Y’、52M’、52C’、52K’…中間転写部スクイーズ装置 53Y、53Y’…中間転写部スクイーズローラ 54Y…中間転写部スクイーズバックアップローラ 55Y、55Y’…中間転写部スクイーズクリーニングブレード 56Y’…現像剤回収部 60、60’…2次転写ユニット 61…2次転写ローラ 62…ローラクリーニングブレード 63…現像剤回収部 64’…上流側2次転写ローラ 65’…下流側2次転写ローラ 66’、68’…2次転写ローラクリーニングブレード 67’、69’…現像剤回収部 70Y…搬送路 80Y、80M、80C、80K…液体現像剤補給部 81Y…回収液体現像剤貯留部 82Y…補給液体現像剤貯留部 83Y、84Y…搬送手段 85Y…ポンプ 86Y…フィルタ 90Y’、90M’、90C’、90K’…液体現像剤補給部 91Y’、91M’、91C’、91K’…液体現像剤タンク 92Y’、92M’、92C’、92K’…絶縁性液体タンク 93Y’、93M’、93C’、93K’…液体現像剤混合槽 100Y、100Y’…現像ユニット 101Y、101Y’…感光体スクイーズ装置 F40、F40’…定着部(定着装置) F1…熱定着ローラ(加熱ローラ) F1a…柱状ハロゲンランプ F1b…ローラ基材 F1c…弾性体 F12…除去ブレード F2…加圧ローラ F2a…回転軸 F2b…ローラ基材 F2c…弾性体 F3…耐熱ベルト F4…ベルト張架部材 F4a…突壁 F4f…凹部 F5、F5’…記録媒体 F5a…トナー画像 F6…クリーニング部材 F7…フレーム F9…スプリング

Claims (12)

  1. 脂肪酸モノエステルを含む絶縁性液体と、樹脂材料を含むトナー粒子とを有し、
    前記樹脂材料の重量平均分子量Mwは、20000〜200000であり、かつ、
    前記樹脂材料中、分子量が10000以下の成分は5〜40wt%であることを特徴とする液体現像剤。
  2. 前記樹脂材料の重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとしたとき、前記樹脂材料の分子量分布の指標であるMw/Mnの値は、1.4〜40である請求項1に記載の液体現像剤。
  3. 前記樹脂材料は、化学構造中にエステル結合を有するものである請求項1または2に記載の液体現像剤。
  4. 前記脂肪酸モノエステルは、脂肪酸成分として、炭素数が8〜20の飽和脂肪酸を含むものである請求項1ないし3のいずれかに記載の液体現像剤。
  5. 前記脂肪酸モノエステルは、炭素数が1〜4のアルコール成分を含むものである請求項1ないし4のいずれかに記載の液体現像剤。
  6. 前記絶縁性液体中における前記脂肪酸モノエステルの含有量は、10〜60wt%である請求項1ないし5のいずれかに記載の液体現像剤。
  7. 液体現像剤は、高分子分散剤を含むものである請求項1ないし6のいずれかに記載の液体現像剤。
  8. 前記高分子分散剤は、下記一般式(I)で表される構造を有するものである請求項7に記載の液体現像剤。
    Figure 2009042730
    (ただし、lは9〜12の整数、mは3〜6の整数、nは5〜8の整数、Rは−OH、R’はH−またはCH(CHCO−であり、pは15〜18の整数である。)
  9. 液体現像剤における前記高分子分散剤の含有量は、前記トナー粒子100重量部に対して、1.0重量部〜10.0重量部である請求項7または8に記載の液体現像剤。
  10. 脂肪酸モノエステルを含む絶縁性液体と、樹脂材料を含むトナー粒子とを有し、
    液体現像剤から取り出した前記トナー粒子に含まれる樹脂成分をサイズ排除クロマトグラフィー法により該樹脂成分の分子量分布を分析した結果、
    前記分子量分布から算出される前記樹脂成分由来の重量平均分子量は、19000〜195000であり、かつ、
    前記分子量分布から算出される分子量が10000以下の成分は、前記樹脂成分中に6〜42wt%含まれることを特徴とする液体現像剤。
  11. 色の異なる複数の液体現像剤を用いて、複数の前記液体現像剤に対応した前記単色像を形成する複数の現像部と、
    複数の前記現像部で形成された複数の前記単色像が順次転写され、転写された複数の前記単色像を重ね合わせてなる中間転写像を形成する中間転写部と、
    前記中間転写像を記録媒体に転写し、前記記録媒体上に未定着カラー画像を形成する2次転写部と、
    前記未定着カラー画像を前記記録媒体上に定着する定着部と、を有し、
    前記液体現像剤が、脂肪酸モノエステルを含む絶縁性液体と、樹脂材料を含むトナー粒子とを有し、前記樹脂材料の重量平均分子量Mwは、20000〜200000であり、かつ、前記樹脂材料中、分子量が100000以下の成分は5〜40wt%であることを特徴とする画像形成装置。
  12. 前記現像部は、前記単色像を形成するための前記液体現像剤を供給する供給部と、前記供給部にある余剰の前記液体現像剤を回収する回収部と、前記回収部と前記供給部との間に設けられた仕切とを有し、
    前記仕切を通じて、前記供給部にある余剰の前記液体現像剤は、前記回収部に回収されるものである請求項11に記載の画像形成装置。
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