JP6248880B2 - 液体現像剤 - Google Patents
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Description
本実施形態の液体現像剤は、複写機、プリンタ、デジタル印刷機若しくは簡易印刷機等の電子写真方式の画像形成装置(後述)において用いられる電子写真用液体現像剤、塗料、静電記録用液体現像剤、インクジェットプリンタ用油性インク、又は、電子ペーパー用インクとして有用である。本実施形態の液体現像剤は、絶縁性液体と絶縁性液体に分散されたトナー粒子とを備え、好ましくは10〜50質量%のトナー粒子と50〜90質量%の絶縁性液体とを備える。本実施形態の液体現像剤は、絶縁性液体及びトナー粒子とは異なる任意の成分を含んでいても良い。かかる任意の成分としては、例えば、トナー分散剤、荷電制御剤又は増粘剤等が挙げられる。
本実施形態のトナー粒子は、樹脂と樹脂に分散された着色剤とを有し、好ましくは50〜90質量%の樹脂と10〜50質量%の着色剤とを有する。本実施形態のトナー粒子は、樹脂及び着色剤とは異なる任意の成分を含んでいても良い。かかる任意の成分としては、例えば、顔料分散剤、ワックス又は荷電制御剤等が挙げられる。
(脂肪族ポリエステル樹脂の含有率と芳香族ポリエステル樹脂の含有率)
トナー粒子に含まれる樹脂は、10質量%以上40質量%以下の脂肪族ポリエステル樹脂と、60質量%以上90質量%以下の芳香族ポリエステル樹脂とを含む。脂肪族ポリエステル樹脂の含有率(トナー粒子に含まれる樹脂の質量に対する脂肪族ポリエステル樹脂の質量の割合)が10質量%以上であれば、融点が低い樹脂(脂肪族ポリエステル樹脂)の含有量を確保できるので、低温での定着が可能となる。脂肪族ポリエステル樹脂の含有率が40質量%以下であれば、硬い樹脂(芳香族ポリエステル樹脂)の含有量を確保できるので、画像の耐ひっかき性を高めることができる。好ましくは、脂肪族ポリエステル樹脂の含有率が10質量%以上30質量%以下である。これにより、硬い樹脂の含有量を更に確保できるので、画像の耐ひっかき性を更に高めることができる。
本実施形態では、樹脂の酸価が20mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である。樹脂の酸価が20mgKOH/g以上であれば、記録媒体へのトナー粒子の接着強度を高めることができるので、上質紙へのトナー粒子の接着強度を高めることができる。樹脂の酸価が大きくなると、トナー粒子が極性を有することとなり、よって、上質紙へのトナー粒子の接着強度を高めることができる。したがって、好ましくは、樹脂の酸価は30mgKOH/g以上である。なお、実際、樹脂の酸価を100mgKOH/gよりも大きくすることは難しい。
脂肪族ポリエステル樹脂の酸価と芳香族ポリエステル樹脂の酸価との差(以下では「酸価の差」と記すことがある)が0mgKOH/g以上10mgKOH/g以下である。酸価の差が10mgKOH/g以下であれば、脂肪族ポリエステル樹脂に含まれるカルボキシル基の量と芳香族ポリエステル樹脂に含まれるカルボキシル基の量との差を小さく抑えることができるので、脂肪族ポリエステル樹脂のSP(Solubility Parameter)値と芳香族ポリエステル樹脂のSP値との差を小さく抑えることができる。これにより、脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂との親和性が高くなる。つまり、脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とが相溶し易くなる。よって、上質紙へのトナー粒子の接着強度を高めることができる。
酸成分に由来する構成単位となる脂肪族系モノマーとしては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、又は、1,18−オクタデカンジカルボン酸等が挙げられる。これらの低級アルキルエステルを用いても良いし、これらの酸無水物を用いても良い。ポリエステル樹脂の結晶性が促進されるという観点では、アジピン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、又は、1,12−ドデカンジカルボン酸を用いることがより好ましい。このような脂肪族系モノマーとしては、上記のいずれかを単独で用いても良いし、上記のいずれかの2種以上を組み合わせて用いても良い。
「結晶性ポリエステル樹脂」の「結晶性」とは、ポリエステル樹脂の軟化点(以下「Tm」と略記する)とポリエステル樹脂の融解熱の最大ピーク温度(以下「Ta」と略記する)との比(Tm/Ta)が0.8以上1.55以下であることを意味し、DSC(Differential Scanning Calorimetry)法により得られた熱量変化の結果が階段状の吸熱量変化を示すのではなく明確な吸熱ピークを有することを意味する。
着色剤は、脂肪族ポリエステル樹脂及び芳香族ポリエステル樹脂の少なくとも一方に分散されており、好ましくは0.3μm以下の粒径を有する。着色剤の粒径が0.3μm以下であれば、着色剤の分散性をより一層高めることができるので、画像の光沢度をより一層高めることができ、よって、所望の色目の実現が容易となる。
トナー粒子における任意の成分の一例として、顔料分散剤が挙げられる。顔料分散剤は、トナー粒子において着色剤(顔料)を均一に分散させる作用を有するものであり、塩基性分散剤であることが好ましい。塩基性分散剤とは、以下に定義されるものをいう。すなわち、顔料分散剤0.5gと蒸留水20mlとをガラス製スクリュー管に入れ、そのガラス製スクリュー管をペイントシェーカーを用いて30分間振り混ぜた後、ろ過した。このようにして得られたろ液のpHをpHメータ(商品名:「D−51」、堀場製作所社製)を用いて測定し、そのpHが7より大きい場合を塩基性分散剤とする。なお、そのpHが7より小さい場合は、酸性分散剤と呼ぶものとする。
絶縁性液体は、その抵抗値が静電潜像を乱さない程度(1011〜1016Ω・cm程度)であることが好ましく、臭気及び毒性が低い溶媒であることが好ましい。絶縁性液体としては、一般的には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素又はポリシロキサン等が挙げられる。特に、低臭気、低害性、低コスト等の観点から、絶縁性液体としては、ノルマルパラフィン系溶媒又はイソパラフィン系溶媒を用いることが好ましい。より好ましくは、モレスコホワイト(商品名、松村石油株式会社製)、アイソパー(商品名、エクソンモービル製)又はシェルゾール(商品名、シェルケミカルズジャパン株式会社製)等を用いることであり、IPソルベント1620、IPソルベント2028又はIPソルベント2835(いずれも商品名、出光興産株式会社製)等を用いることである。
トナー分散剤は、塩基性の高分子分散剤であることが好ましい。その理由としては、次に示すことが考えられる。つまり、トナー粒子に含まれる樹脂は、その末端にカルボン酸を有している。そのため、トナー分散剤として塩基性の高分子分散剤を用いると、トナー分散剤とトナー粒子に含まれる樹脂との間の相互作用によってトナー粒子の良好な分散状態を長期間に亘り安定化させることができる。
本実施形態のトナー粒子の製造方法は特に限定されないが、例えば造粒法又は粉砕法等の従来公知の技法に基づいて本実施形態のトナー粒子を製造できる。
<製造例1:ビスフェノールAのPO(propylene oxide)付加物の合成>
撹拌及び温度調節機能を備えたオートクレープに、ビスフェノールA(228g)と水酸化カリウム(2g)とを入れ、135℃まで昇温した後、0.1〜0.4MPaの圧力条件下でプロピレンオキサイド(139g)を導入し、その後3時間に亘って反応させた。こうして得られた反応生成物に吸着剤(商品名「キョーワード600」、協和化学工業株式会社製)(16g)を投入し、90℃に保持しながら30分に亘って攪拌し熟成させた。その後ろ過を行い、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を得た。このプロピレンオキサイド付加物は、上記式(I)中のmとnとの和(m+n)が2である化合物と、上記式(I)中のmとnとの和(m+n)が3である化合物との混合物であった。
かきまぜ棒とパーシャルコンデンサーと窒素ガス用導入管と温度計とが取り付けられた四つ口フラスコに、1,6−ヘキサンジオール(脂肪族系モノマー、アルコール成分に由来する構成単位)とアジピン酸(脂肪族系モノマー、酸成分に由来する構成単位、官能基数が2個)とトリメリット酸(芳香族系モノマー、酸成分に由来する構成単位、官能基数が3個)とを入れた。配合量は表1に示す通りであった。攪拌しながら窒素ガスを導入し、重合触媒としてテトラブトキシチタネートを添加し、約170℃の温度で5時間、縮合重合させた。得られる脂肪族ポリエステル樹脂Aに対して0.2質量%のテトラブトキシチタネート(重合触媒)を添加した。
かきまぜ棒とパーシャルコンデンサーと窒素ガス用導入管と温度計とが取り付けられた四つ口フラスコに、製造例1で得られたビスフェノールAのPO付加物(芳香族系モノマー、アルコール成分に由来する構成単位)とテレフタル酸(芳香族系モノマー、酸成分に由来する構成単位、官能基数が2個)とトリメリット酸(芳香族系モノマー、酸成分に由来する構成単位、官能基数が3個)とを入れた。配合量は表2に示す通りであった。攪拌しながら窒素ガスを導入し、重合触媒としてテトラブトキシチタネートを添加し、約170℃の温度で5時間、縮合重合させた。得られる芳香族ポリエステル樹脂aに対して0.2質量%のテトラブトキシチタネート(重合触媒)を添加した。
ビーカーに、銅フタロシアニン(着色剤、商品名「FASTGEN Blue FDB−14」、DIC株式会社製)20質量部と、着色剤用分散剤(商品名「アジスパーPB−821」、味の素ファインテクノ株式会社製)5質量部と、アセトン75質量部とを入れた。銅フタロシアニンを均一に分散させた後、ビーズミルによって銅フタロシアニンを微分散した。このようにして着色剤の分散液を得た。着色剤の分散液における銅フタロシアニンの体積平均粒径は0.2μmであった。
28質量部の脂肪族ポリエステル樹脂Aと72質量部の芳香族ポリエステル樹脂aとを150質量部のアセトンに溶解して樹脂形成用溶液Y1を得た。脂肪族ポリエステル樹脂の種類若しくは配合量又は芳香族ポリエステル樹脂の種類若しくは配合量を表3に示すように変更して、樹脂形成用溶液Y2〜Y3を得た。
ヘンシェルミキサーを用いて、28質量部の脂肪族ポリエステル樹脂Aと、72質量部の芳香族ポリエステル樹脂aと、20質量部の銅フタロシアニン(着色剤、商品名「FASTGEN Blue FDB−14」、DIC株式会社製)とを十分に混合した。その後、二軸混練押出機を用いて溶融混合した後に冷却した。得られた固形物を粗粉砕した後、ジェット粉砕機を用いて微粉砕した。このようにして平均粒径が6μmであるトナー粒子を得た。
表4に記載のように脂肪族ポリエステル樹脂の種類若しくは含有率又は芳香族ポリエステル樹脂の種類若しくは含有率を変更したことを除いては実施例1に記載の方法にしたがって、液体現像剤を製造した。
ビーカーに、40質量部の樹脂形成用溶液Y1と20質量部の着色剤の分散液(製造例4)とを入れた。TKオートホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて25℃で8000rpmで撹拌し、着色剤を均一に分散させた。このようにして樹脂溶液を得た。
樹脂形成用溶液Y1を樹脂形成用溶液Y2に変更したことを除いては実施例7に記載の方法にしたがって、液体現像剤を得た。
樹脂形成用溶液Y1を樹脂形成用溶液Y3に変更したことを除いては実施例7に記載の方法にしたがって、液体現像剤を得た。
実施例1〜9及び比較例1〜5において、トナー粒子のメジアン径D50が5μm以下であることを確認した。
まず、後述の方法にしたがって、べたパターン画像を記録媒体(上質紙(商品名「金菱」、三菱製紙株式会社製)、127.9g/m2)に形成した。その後、熱ローラ定着器を用いて、未定着画像を記録媒体に定着させた。ここで、ローラの設定温度は120℃であり、定着NIP時間は50msecであり、熱ローラ定着器を通過した直後の記録媒体の温度は90℃であった。
接着強度を測定するときに用いた画像を用いて、耐ひっかき性を評価した。ただし、接着強度がB1又はC1と評価された場合には、定着温度を調整して接着強度の評価がA1である画像を作製し、その画像の耐ひっかき性を評価した。
図1に示す画像形成装置を用いて画像を形成した。図1に示す画像形成装置の構成を以下に示す。液体現像剤21は、アニロックスローラ23により現像槽22内から汲み上げられる。アニロックスローラ23上の余剰の液体現像剤21は、アニロックス規制ブレード24により掻き取られ、残余の液体現像剤21は、ならしローラ25に送られる。ならしローラ25上では、液体現像剤21は厚さが均一且つ薄くなるように調整される。
表4に示すように、比較例1では実施例1〜9に比べて接着強度(上質紙へのトナー粒子の接着強度)が低下し、比較例2では実施例1〜9に比べて画像の耐ひっかき性が低下した。この結果から、トナー粒子は脂肪族ポリエステル樹脂を10質量%以上40質量%以下含むことが好ましいと言える。
Claims (4)
- 絶縁性液体と、前記絶縁性液体に分散されたトナー粒子とを備える液体現像剤であって、
前記トナー粒子は、樹脂と着色剤とを有し、
前記樹脂は、10質量%以上40質量%以下の脂肪族ポリエステル樹脂と、60質量%以上90質量%以下の芳香族ポリエステル樹脂とを含み、
前記樹脂の酸価が30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であり、
前記脂肪族ポリエステル樹脂の酸価と前記芳香族ポリエステル樹脂の酸価との差が0mgKOH/g以上10mgKOH/g以下である液体現像剤。 - 前記脂肪族ポリエステル樹脂及び前記芳香族ポリエステル樹脂のうちの少なくとも1つは、酸成分に由来する構成単位として第1構成単位を含み、
前記第1構成単位となるモノマーは、3つ以上の官能基を含むモノマーである請求項1に記載の液体現像剤。 - 前記脂肪族ポリエステル樹脂と前記芳香族ポリエステル樹脂が、共に前記第1構成単位を有する請求項2に記載の液体現像剤。
- 前記樹脂は、10質量%以上30質量%以下の前記脂肪族ポリエステル樹脂と、70質量%以上90質量%以下の前記芳香族ポリエステル樹脂とを含む請求項1〜3のいずれかに記載の液体現像剤。
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