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JP6262651B2 - 複極式アルカリ水電解ユニット、及び電解槽 - Google Patents

複極式アルカリ水電解ユニット、及び電解槽 Download PDF

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Description

本発明は、アルカリ水からなる電解液を電解することにより酸素と水素を得るための電解槽に組み込まれる複極式アルカリ水電解ユニット、及び電解槽に関する。より詳しくは、NaOH或いはKOH等を含む電解液を用いて、陽極側から酸素、陰極側から水素を得るための安価でエネルギー効率の高い複極式アルカリ水電解ユニット、及び電解槽に関する。
水電解方法には、固体高分子電解質に陽極及び陰極触媒をコーティングした「固体高分子型水電解法」、酸素イオン伝導体の固体電解質を用い高温・高圧水蒸気で電解する「高温水蒸気電解法」、電解質としてKOH水溶液やNaOH水溶液を用いた「アルカリ水電解法」等がある。
「固体高分子型水電解法」は、フッ素系のパーフロロスルホン酸ポリマーを電解質とし、その両側に白金系の触媒を水素発生用電極と酸素発生用電極としてコーティングしたものが使用されている。この方法は、電流密度が高く、消費電力も低いため、広く使用されている。電解セルは給電体/電極/固体高分子電解質のような固体材料の接触により形成されている。そのため大型の電解槽を製作し難いという欠点がある。また、固体高分子電解質が強酸性であるため、触媒も白金系を使用する必要があり、給電体も高価な耐蝕材料を使用しなければならない。
「高温水蒸気電解法」は、イットリア安定化ジルコニア等の酸素イオン伝導体の固体電解質を用いて800〜1,000℃付近で水蒸気を電気分解する方法である。高温であるため、水を電気分解するためのエネルギー効率は高い。しかし、電解セルが主としてセラミックス材料で構成されるため、高温作動による技術的問題が大きく、実用化には至っていない。
「アルカリ水電解法」は、すでに80年以上も前から用いられている方法であり、大型の水電解プラント(3、300Nm/h−水素)も建設されている。しかし、まだエネルギー消費も大きく、そのため電流密度が「固体高分子型水電解法」に比べて、1/5〜1/10程度にとどまっており、電解槽建設コストもまだ高い。
近年、地球温暖化、環境、地下資源の減少などの問題がクローズアップされている。この解決策として、再生可能エネルギーや、クリーンなエネルギーとして水素が注目されている。しかし、このような再生可能エネルギーには、地域により偏りがあるばかりでなく、出力の変動が非常に大きい。そのため、自然エネルギーから発電された電力を、一般電力系統に送るには限界があり、更に天候や季節により発電量が大きく変わること等により余剰の電力が発生することなどの問題もある。そこで、現在注目されているのが、水電解による水素の製造と貯蔵・輸送である。安価な余剰電力を用いて、安価で貯蔵可能な水素を製造し、必要に応じて輸送し、クリーンなエネルギー源や原料として利用することである。
電解により水素を製造する方法としては、アルカリ水電解装置は、他の水電解装置に比べると設備費が安価であること、すでに商業プラントとして実績があることなどから、大規模水素製造装置として期待されている。しかし、再生可能エネルギーのような短時間で電圧や電流が大きく変動する電力を用いて、従来以上に設備コストが安く、性能の良いアルカリ水電解装置とするにはまだ多くの課題がある。
アルカリ水電解において、性能を向上させるためには、エネルギーロスを削減することが重要である。エネルギーロスとしては、陰極の過電圧、陽極の過電圧、隔膜のオーム損、電解液によるオーム損、電解セルの構造抵抗によるオーム損などがあげられる。これらのロスを削減し、電解ユニットの構造を改良することにより電解電流密度を高くすることができれば、設備も小型化できるので建設費も大幅に削減できる。しかし、従来のアルカリ水電解の電流密度は「非特許文献2」に示されるように、1340A/m〜2000A/mと低く、そのため電解セルの数も多く設備が大型化し、設備コストが高かった。また、バイポーラプレートを用いているので大きな負荷変動のある不安定電源を用いて電解する場合ガス抜けが悪くなる等の可能性もあり、更には電極が劣化する可能性もある。
電解ユニットの構造においても、シンプルな構造で安価な製造コスト、電圧ロスの少ない構造が求められる。非特許文献1及び特許文献1に示されるような、電解槽においては、複極式電解ユニットを使用せずに、電極板、ガスケット、ダイヤフラムフレームがばらばらになっており、その部品の一つ一つを積層して、電解槽とする構造である。そのため、組み立てが難しく、メンテナンスも、しにくいと言った欠点があった。また陽極と陰極間の距離も大きくそのために電解液によるオーム損も大きいと言う問題点もあった。
特許文献2においては、ゼロギャップ構造を開示しているが、断面が連続した矩形の凹凸面を有しており、電極とロウ付けにより接合されている。この構造は、小型の電解セルにおいては、製作可能であるが、大型化する場合は電極との矩形凹凸面との接合設備が大きくなる上、生産性も悪い。さらに、大型化するとセル内上部に大量の気泡が滞留する可能性もあり、好ましい構造とは言えない。
特許文献3においては、クロルアルカリ電解用のゼロギャップ電解ユニットが示されている。しかしこの電解ユニットは、気液分離室を有しており、陽極室と陰極室の深さも大きいため、この電解ユニットを、多数並べて電解槽を形成する場合、電解槽が長くなる。また重量も大きく、価格も高く、電解槽の設置面積も大きくなると言う欠点があった。また塩素と水素を発生させるため、材質として陽極室ではチタンを用い、陰極室ではニッケルを用いている。そのため、複極式電解ユニットを製作するためには、ニッケル隔壁とチタン隔壁を背中合わせに接合する必要もあり、構造が複雑であった。
特許文献4においては、セル構造体が、アノード、カソード各々を支持している流路を持った周辺部とアノード又はカソードが取り付けられたエンドプレートを含む非導電性フレームを開示している。この電気化学セル構造体は、エンドプレートも含んで接着剤やポリマー溶接等で一体化したもので、小型の電解装置を製作することは可能であるが、大量の水素を発生させる大型電解槽を製作するのは非常に難しい。
アルカリ水電解において、酸素を発生させる陽極として必要な要件は、酸素発生の過電圧が低いこと以外に、NaOH又はKOH等を含むアルカリ水に曝される環境において、再生可能エネルギーのような不安定な電流を用いても、電極の基材及び触媒層の腐食、電解液への溶解等が起きにくいことが挙げられる。そのため、一般に陽極用の導電性基材としてはニッケル、ニッケル合金、ステンレススチール、又は鉄若しくはステンレススチールの表面にニッケルメッキを施したものが使われている。また電極触媒(触媒層)としては、ルテニウムや白金等の貴金属、多孔質ニッケル、ニッケルやコバルトを主成分とした酸化物等が用いられている。
電極触媒としてニッケルを用いたアルカリ水電解において、酸素過電圧を低下させる方法としては、電極触媒の表面積を大きくし、実電流密度を低く抑えることが提案されている。電極触媒の表面積を大きくするために、比表面積が大きい素材としてラネーニッケル電極を用いることも提案されている。ラネーニッケルは、ニッケルとアルミニウムからなるラネー合金から、NaOHなどのアルカリによって、アルミニウムのみを溶解除去した後に残存するニッケルである。ラネーニッケルは、アルミが溶解したときに多数の細孔が形成されるため、多孔質で比表面積も非常に大きく、極めて反応性が高い。ラネーニッケル電極の作製方法としては、電気メッキやプラズマ溶射等の方法で、ニッケル網等の導電性基材の表面にラネー合金層を形成した後に、ラネー合金層をNaOHなどのアルカリによって展開する方法が知られている(下記特許文献5〜7、非特許文献3参照。)。しかし、いずれも短期間で酸素発生過電圧が上昇するなど、性能に問題があった。
特許文献8においては、電極としてプラズマ溶射被覆を開示しているが、比表面積、細孔径、組成など水電解用電極として適したものではなく、このままでは酸素発生用電極としての性能は満足できるものにはならない。
特開2002−332586号公報 特開2009−149932号公報 特許第4453973号公報 特開2008−274432号公報 特許昭53−54174号公報 特開昭60−159184号公報 特開昭57−57880号公報 特開平4−301062号公報
エバラ時報 No.177 (1997-10) HydrogenEnergy. Edited by Stolten (Hydrogen and Fuel Cells Fundamentals, Technologiesand Applications P243-P270) Copyright 2010 WILKY-VCH Verlag GmbH & KGaA,Weinheim ISBN:978-527-32711-9 森田剛他、「アルカリ型イオン交換膜水電解」、旭硝子研究報告35[1]、(1985)
上述の通り、従来の電解槽では、大型のアルカリ水電解ユニットにおいては、不安定な電源を用いて、高電流密度低電圧で安定した電解を行うことが難しばかりでなく、電解槽の組み立てが面倒で、設備コストも高くなり易かった。
本発明は、隔壁、電極、外枠を一体で備えることにより高電流密度電解を可能にするだけでなく、電解槽の組み立てを簡便にすることを目的としている。その結果、電極面積が1セル当たり0.1mから3m以上の大型電解槽でも安定した電解を行うことができる。また、設備費が安く、安定した電解を行うことのできる複極式アルカリ水電解ユニット、及び電解槽を提供することができる。
本発明者等は、鋭意検討した結果、複極式アルカリ水電解ユニットの隔壁を取り囲む外枠を設けることにより3kA/m以上の高電流密度で電解しても、イオン透過性隔膜や電極(陽極及び陰極)を破損せず、簡便に組みたて可能で、設備費も抑えることができることを知見して本発明に至った。
すなわち、本発明の一側面に係る複極式アルカリ水電解ユニットは、アルカリ水からなる電解液を電解して酸素、及び水素を得るための電解槽に組み込まれる複極式アルカリ水電解ユニットであって、酸素発生用の多孔質体からなる陽極と、水素発生用の陰極と、陽極と陰極とを区画する導電性隔壁と、導電性隔壁を取り囲む外枠と、を備え、導電性隔壁及び/又は外枠の上部には、ガス及び電解液の通過部が設けられており、導電性隔壁及び/又は外枠の下部には、電解液の通過部が設けられていることを特徴とする。
一実施形態においては、陽極又は陰極は、導電性弾性体を介して、導電性隔壁に支持されていてもよい。
一実施形態においては、陽極又は陰極は、導電性支持体を介して、導電性隔壁に支持されていてもよい。
一実施形態においては、陽極が、導電性基材と、導電性基材上に配置された触媒層と、を備え、触媒層中にはニッケルの金属結晶を含んだ細孔が形成され、触媒層中のニッケルの金属結晶の(1 1 1)面によって回折されるX線のピーク強度がINiであり、触媒層中のNiOの(0 1 2)面によって回折されるX線のピーク強度がINiOであるとき、[INi/(INi+INiO)]×100の値が75〜100%であってもよい。INi/(INi+INiO)は、触媒層中の金属ニッケル及び酸化ニッケルの含有量に占める金属ニッケルの割合である。
一実施形態においては、触媒層中に形成された細孔のうち、孔径が2〜5nmの範囲内である第一細孔の比表面積が0.6〜2.0m/gであり、第一細孔の細孔容積が3×10−4〜9×10−4ml/gであり、孔のうち、孔径が0.01〜2.00μmの範囲内である第二細孔の比表面積が2.0〜5.0m/gであり、第二細孔の細孔容積が0.04〜0.2ml/gであってもよい。
比表面積とは、触媒層(陽極触媒)中に形成された細孔のうち孔径が所定の範囲内にある細孔の表面積を陽極触媒の質量で除した値である。細孔容積とは、触媒層中に形成された細孔のうち孔径が所定の範囲内にある細孔の容積を触媒層の質量で除した値である。本願の陽極においては、第一細孔と第二細孔がそれぞれ所定の範囲の比表面積及び細孔容積を有することにより、触媒層が多孔質でありながらその強度が強く、酸素過電圧を長期間にわたり低い値に維持することができる。このような細孔を有する触媒層表面に貴金属やコバルト、マンガン等の化合物を主成分とした元素を分散メッキなどの方法で付着させると、さらに強度が強く酸素過電圧が低い陽極を得ることもできる。
一実施形態においては、触媒層の厚みが50〜800μmであってもよい。触媒層の細孔径と比表面積が最適な範囲に調節されているため、その酸素発生過電圧が低い。また、陽極は、その表面積が大きいので、電極の電位変動による酸化・還元に対して耐久性に優れている。そのため陽極をアルカリ水電解用電解槽に適合させることにより、低電圧での水電解が可能になり、変動する電源を用いた電解においても陽極の優れた耐久性が発揮される。
一実施形態においては、触媒層が酸化ニッケルを溶射法によって導電性基材に吹き付ける第一工程と、導電性基材に吹付けられた酸化ニッケルを還元する第二工程により形成されていてもよい。
一実施形態においては、触媒層が導電性基材に吹付けられた酸化ニッケルを陰極として用いた水の電解により、酸化ニッケルを還元してもよい。
一実施形態においては、触媒層が導電性基材に吹付けられた酸化ニッケルを水素で還元することにより形成されていてもよい。
一実施形態においては、触媒層が、180〜250℃の範囲で酸化ニッケルを水素で還元することにより形成されていてもよい。これにより、所望の細孔径、比表面積及び細孔容量を達成し易くなる。
一実施形態においては、触媒層が、第一工程の前に酸化ニッケルの造粒を行う工程を備えもよい。この場合、造粒する前の酸化ニッケル粉末の粒子径が、1.0〜5.0μmであってもよい。
一実施形態においては、導電性隔壁から延び、少なくとも外枠の一部を覆う金属薄板部を備え、外枠は、金属薄板部に固定されて一体構造となっていてもよい。このように、アルカリ水電解ユニットでは、陽極と陰極及び導電性隔壁と外枠とが一体構造となっているので、例えば、複極式アルカリ水電解ユニットを多数配置し、その各々間にイオン透過性隔膜、ガスケットを挟んで電解槽を構成する際に、構成部品が少ない分、電解槽の確実な組み立てを非常に簡便に行うことができる。また、電解槽の組み立てを確実に行えるということは、導電性隔壁、外枠、陽極等で構成される陽極室空間、導電性隔壁、外枠、陰極等により構成される陰極室空間を、精度良く確保し易くなる。また、ガスの滞留の抑制、電解液と発生ガスを抜き出す際の圧力損失の低減にも効果的であり、高電流密度での電解を実現し易くなる。その結果、所望の水素発生量を確保できる電解槽を製造する際のアルカリ水電解ユニットの数を減少でき、設備コストの削減にもつながる。
上記構成において、導電性隔壁と陰極又は陽極との間に配置されると共に、導電性隔壁に対して陽極や陰極を移動可能に支持する導電性の弾性体を備えるようにして、ゼロギャップ構造を実現することも可能である。電解槽を形成するために、隣接するアルカリ水電解ユニット同士の間にイオン透過性隔膜を配置し、一方のアルカリ水電解ユニットの陰極と他方のアルカリ水電解ユニットの陽極とでイオン透過性隔膜を挟み付けた場合に、導電性隔壁に対して陰極又は陽極を移動可能に支持する導電性の弾性体を備えることで、陰極、イオン透過性隔膜、及び陽極を均一に密着できる。その結果、発生するガスは陰極や陽極の背面から抵抗なく抜き出せるだけでなく、気泡の滞留や、発生ガスを払い出す際の振動などを防止でき、電解電圧が非常に低い状態で安定した電解が長期間に渡り可能となる。
一実施形態においては、金属薄板部は、陽極側で外枠に重なる陽極側フランジパンと、陰極側で外枠に重なる陰極側フランジパンと、を有し、外枠は、陽極側フランジパンのフランジ部と陰極側フランジパンのフランジ部との間に挟まれており、電性隔壁の陽極側の表面を含む陽極側基準面から陽極側フランジパンのフランジ面までの間隔、及び、導電性隔壁の陰極側の表面を含む陰極側基準面から陰極側フランジパンのフランジ面までの間隔が、5mm以上40mm以下であってもよい。
一実施形態においては、外枠の一部又は全部が樹脂であり、導電性隔壁を取り囲み、該導電性隔壁を挟持する外枠を備えていてもよい。
一実施形態においては、外枠の陽極側表面と隔壁の陽極側表面までの間隔及び外枠の陰極側表面と隔壁の陰極側表面までの間隔が、5mm以上40mm以下であってもよい。
一実施形態においては、外枠が、導電性隔壁の陽極側に配置される陽極側フレーム部と導電性隔壁の陰極側に配置される陰極側フレーム部とに分割されており、導電性隔壁の一部が陽極側フレーム部と陰極側フレーム部とに挟み込まれていてもよい。
一実施形態においては、陽極側フレーム部の厚み及び陰極側フレーム部の厚みが5mm以上40mm以下であってもよい。
一実施形態においては、導電性弾性体は、バネであってもよい。
一実施形態においては、導電性弾性体が、集電体とクッションマット層からなり、陰極又は陽極はクッションマット層に隣接していてもよい。
一実施形態においては、外枠は、塩化ビニール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、エポキシ樹脂、ニッケル、ニッケル合金、ステンレススチール、軟鋼又はステンレススチールにニッケルメッキを施したものから選ばれた材料からなってもよい。
一実施形態においては、陰極は、軟鋼、ステンレススチール、ニッケル合金基材、軟鋼又はニッケル合金上にニッケルメッキを施した基材に白金族金属、ニッケル、コバルト、モリブデン、又はマンガンから選ばれた金属或いはそれらの合金又は酸化物からなるコーティングが施されていてもよい。
一実施形態においては、導電性隔壁には、陽極、陰極、又はバネを固定するためのリブが取り付けられていてもよい。
一実施形態においては、導電性隔壁には、陽極、陰極、又は集電体を固定するためのリブが取り付けられていてもよい。
一実施形態においては、少なくとも隔壁、弾性体の一部、又は集電体いずれかの表面にラネーニッケル、多孔質ニッケル、多孔質酸化ニッケルから選ばれたがいずれかがコーティングされていてもよい。
一実施形態においては、導電性隔壁及び/又は外枠の上部に設けられたガス及び電解液の通過部は、陽極液及びガス通過パイプと陰極液及びガス通過パイプとであり、導電性隔壁及び/又は外枠の下部に設けられた電解液の通過部は、陽極液通過パイプと陰極液通過パイプとであり、各パイプの内面が、ゴム又は樹脂によりライニングされていてもよい。
また導電性隔壁の一部を樹脂製の外枠フレームに内蔵し、挟み込むことにより導電性隔壁を支持するようにすると簡単に複極式アルカリ水電解ユニットを構成できる。このため、複極式アルカリ水電解ユニットを多数配置し、その各々間にガス透過性隔膜及びガスケットを挟んだ複数複極式電解槽の組み立ても、非常に簡便に行うことができる。しかし、導電性隔壁は通常金属が用いられるため導電性隔壁を挟み込む樹脂製外枠フレームの線膨張係数は異なる。一般的には樹脂の方が金属より伸びが大きいため、樹脂製外枠フレームと導電性隔壁との接合面で熱膨張や収縮による応力が発生して、樹脂と隔壁の間に隙間生じたり、或いは割れが発生したりする場合がある。このようなことを防止するためには、導電性隔壁の線膨張係数に近い樹脂を選択し、樹脂製外枠と導電性隔壁の密着する面は、密着性や接着性を増すための工夫をしておくことが好ましい。それによって導電性隔壁が熱膨張したとしても、この熱膨張を吸収することができる。
これにより、導電性隔壁、外枠フレーム及び陽極で構成される陽極室空間、導電性隔壁、外枠フレーム及び陰極により構成される陰極室空間を、精度良く、十分に確保し易くなる。そのため、ガスの滞留の抑制、電解液と発生ガスを抜き出す際の圧力損失の低減にも効果的であり、高電流密度での電解を実現し易くなる。その結果、所望の水素発生量を確保できる電解槽を製造する際のアルカリ水電解ユニットの数を減少でき、設備コストの削減にもつながる。
本発明の一側面に係る電解槽は、アルカリ水からなる電解液を電解して酸素、及び水素を得るための電解槽であって、上記の複数の複極式アルカリ水電解ユニットと、陽極用給電端子及び陽極が設けられた陽極ターミナルユニットと、陰極用給電端子及び陰極が設けられた陰極ターミナルユニットと、複数のイオン透過性隔膜と、を備え、複極式アルカリ水電解ユニットは、陽極ターミナルユニットと前記陰極ターミナルユニットとの間に配置され、イオン透過性隔膜は、陽極ターミナルユニットと複極式アルカリ水電解ユニットとの間、隣接して並ぶ複極式アルカリ水電解ユニット同士の間、及び複極式アルカリ水電解ユニットと陰極ターミナルユニットとの間に配置されることを特徴とする。
発明によれば、再生可能エネルギーベースの不安定電源を用いて、高電流密度でも低電圧で安定した電解を行うことができ、電解槽の組み立てが簡便で済み、また、設備費を低く抑えることが可能になる。
電解槽の主要部である複極式アルカリ電解ユニットを構成する各部材の配置を示す斜視図である。 電解槽を一部破断して示す側面図である。 電解槽の一部を拡大して示す断面図である。 第1実施形態に係る複極式アルカリ水電解ユニットを陽極側から見た平面図である。 図4のa−a線断面図である。 陽極側フランジパン、陰極側フランジパン、及び外枠フレームの接合構造を模式的に示す斜視図である。 複極式アルカリ水電解ユニットの変形例であり、(a)は陰極と導電性隔壁とをバネを介して接合した形態を示す模式的な断面図であり、(b)は陰極に接合された陰極リブと導電性隔壁とをバネを介して接合した形態を示す模式的な断面図である。 第2実施形態に係る複極式アルカリ水電解ユニットの断面図である。 第2実施形態に係る複極式アルカリ水電解ユニットの陰極側から見た平面図である。 第2実施形態に係る複極式アルカリ水電解ユニットの陰極側の部位を拡大して示す断面図である。 電解槽を一部破断して示す側面図である。 電解槽の一部を拡大して示す断面図である。 第3実施形態に係る複極式アルカリ水電解ユニットを陽極側から見た平面図である。 図13のa−a線断面図である。 隔壁と外枠フレームとの接合構造を模式的に示す斜視図である。 第4実施形態に係る複極式アルカリ水電解ユニットの断面図である。 他の形態に係る複極式アルカリ水電解ユニットを陽極側から見た平面図である。 図17のa−a線断面図である。 アルカリ水電解用陽極の触媒層中の細孔の孔径と、微分細孔比表面積との関係を示すグラフである。 アルカリ水電解用陽極の触媒層中の細孔の孔径と、積算細孔比表面積との関係を示すグラフである。 アルカリ水電解用陽極の触媒層中の細孔のうち孔径が2〜5nmの範囲内である細孔の比表面積と、酸素発生電位と、の関係を示すグラフである。 アルカリ水電解用陽極の触媒層中の細孔の孔径と、Log微分細孔容積と、の関係を示すグラフである。 アルカリ水電解用陽極の触媒層中の細孔の孔径と、積算細孔容積と、の関係を示すグラフである。 アルカリ水電解用陽極の触媒層中の細孔のうち孔径が0.01〜2.00μmの範囲内である細孔容積と、酸素発生電位と、の関係を示すグラフである。 アルカリ水電解用陽極の電流電位曲線示すグラフである。
本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(電解槽の構成)
図1〜図3及び図11〜図12に示されるように、本実施形態に係る電解槽100は、アルカリ水からなる電解液を電解して酸素、及び水素を得るための装置であり、電解槽100は各部材によって構成される電解セル101を備え、電解セル101は、タイロッド15(図2参照)で締め付けられることで各部材が一体化されている。
電解セル101は、端からプレスフランジ5、プレスフランジガスケット6、及び陽極ターミナルユニット8が順番に並べられ、更に、陽極ガスケット9、イオン透過性隔膜10、陰極ガスケット11、複極式アルカリ水電解ユニット12が、この順番で並べて配置されている。陽極ガスケット9から複極式アルカリ水電解ユニット12までは、設計生産量に必要な数だけ繰り返し配置される。なお、図2では、繰り返し配置される陽極ガスケット9、イオン透過性隔膜10、陰極ガスケット11、及び複極式アルカリ水電解ユニット12のうち、便宜的にイオン透過性隔膜10、及び複極式アルカリ水電解ユニット12のみを示している。
陽極ガスケット9から複極式アルカリ水電解ユニット12までを必要数だけ繰り返し配置した後(図1参照)、再度、陽極ガスケット9、イオン透過性隔膜10、陰極ガスケット11を並べて配置し、最後に陰極ターミナルユニット13、絶縁プレート41、エンドプレスフランジ14をこの順番で配置して電解セル101が構成される。電解セル101は、全体をタイロッド15で締め付けることにより一体化され、電解槽100となる。電解セル101を構成する配置は、陽極側からでも陰極側からでも任意に選択でき、本実施形態の順序に限定されるものではない。つまり、電解セル101は、複極式アルカリ水電解ユニット12が陽極ターミナルユニット8と陰極ターミナルユニット13との間に配置され、イオン透過性隔膜10は、陽極ターミナルユニット8と複極式アルカリ水電解ユニット12との間、隣接して並ぶ複極式アルカリ水電解ユニット12同士の間、及び複極式アルカリ水電解ユニット12と陰極ターミナルユニット13との間に配置された態様を具現化している。
プレスフランジ5は、円板状のカバー部5aの縁に沿って短筒状の外枠5bが設けられており、さらにカバー部5aには格子状の補強リブ5cが設けられている。また、プレスフランジ5には、陽極液入口ノズル1、陰極液入口ノズル2、陽極液及びガス出口ノズル3、及び陰極液及びガス出口ノズル4がカバー部5aを貫通して設けられており、更に、カバー部5aには、陽極用給電端子7Aが挿通するスリットSaが四か所に形成されている。
プレスフランジガスケット6には、陽極液入口ノズル1に連通する流路孔6a、陰極液入口ノズル2に連通する流路孔6b、陽極液及びガス出口ノズル3に連通する流路孔6c、及び陰極液及びガス出口ノズル4に流路孔6dが設けられており、さらに、陽極用給電端子7Aを避けるための孔部6eが形成されている。
陽極ターミナルユニット8には、プレスフランジ5側に突き出した四本の陽極用給電端子7Aと、隣接する陽極ガスケット9側に設けられた陽極8a(図2参照)とが設けられている。
一方で、陰極ターミナルユニット13には、隣接する陰極ガスケット11側に設けられた陰極13aと、エンドプレスフランジ14側に突き出した四本の陰極用給電端子7Bとが設けられており、絶縁プレート41、及びエンドプレスフランジ14には陰極用給電端子7Bが挿通するスリットSbが四か所に形成されている。
(複極式アルカリ水電解ユニット)
第1実施形態に係る複極式アルカリ水電解ユニット(以下、「電解ユニット」という)12について、図4、及び図5を参照して詳しく説明する。図4は電解ユニット12の平面図であり、図5は図4のV−V線断面図である。電解ユニット12は、陽極18側と陰極19側とを区画する円板状の導電性隔壁(以下、「隔壁」という)22を備え、隔壁22の外縁に沿って、隔壁22を取り囲むように環状の外枠フレーム(外枠)16が配置されている。
隔壁22の外周には、隔壁22から延びて外枠フレーム16の一部を覆うように当接する陽極側フランジパン23が設けられている。また、隔壁22の外周には、隔壁22から延びて外枠フレーム16の一部を覆うように当接する陰極側フランジパン24が設けられている。陽極側フランジパン23と陰極側フランジパン24とによって、外枠フレーム16に取り付けられる金属薄板部102が構成される。
図5、及び図6に示されるように、陽極側フランジパン23は、隔壁22から陽極18側に屈曲して形成される周壁部23aと、周壁部23aから更に屈曲して隔壁22の径方向に延在するフランジ部23bとを備えている。また、陰極側フランジパン24は、外枠フレーム16を挟んで、陽極側フランジパン23に対して対称形状をなし、具体的には、隔壁22から陰極19側に屈曲して形成される周壁部24aと、周壁部24aから更に屈曲して隔壁22の径方向に延在するフランジ部24bとを備えている。
本実施形態に係る隔壁22は導電性の金属鋼板からなり、陽極側フランジパン23は、その金属鋼板を屈曲することで形成されている。したがって、隔壁22と陽極側フランジパン23とは一体的な部材である。また、陰極側フランジパン24は導電性の金属鋼板からなり、隔壁22に接合することで隔壁22に一体化されている。陰極側フランジパン24を隔壁22に接合する接合方法としては、レーザー溶接やTig溶接などにより電解液やガスが外部に漏れないように接合することが必要である。なお、本実施形態では、隔壁22を屈曲することで陽極側フランジパン23を形成し、別部材からなる陰極側フランジパン24を隔壁22に接合することで金属薄板部102を形成したが、隔壁22を屈曲することで陰極側フランジパン24を形成し、別部材からなる陽極側フランジパン23を隔壁22に接合することで金属薄板部102を形成するようにしてもよい。
また、陽極側フランジパン23と陰極側フランジパン24とは、外枠フレーム16を挟み、その一部を包むように設けられている。具体的には、陽極側フランジパン23の周壁部23aは、環状の外枠フレーム16の内周面の陽極18側の半分に当接し、陰極側フランジパン24の周壁部24aは、環状の外枠フレーム16の内周面の陰極19側の半分に当接している。また、陽極側フランジパン23のフランジ部23bは外枠フレーム16の陽極18側の側面に当接するように重なっており、陰極側フランジパン24のフランジ部24bは外枠フレーム16の陰極19側の側面に当接するように重なっている。
つまり、外枠フレーム16は、陽極側フランジパン23のフランジ部23bと陰極側フランジパン24のフランジ部24bとに挟まれた状態になっており、フランジ部23bの外枠フレーム16に当接する面はフランジ面Faであり、フランジ部24bの外枠フレーム16に当接する面はフランジ面Fbである。
陽極側フランジパン23、及び陰極側フランジパン24と外枠フレーム16とは、溶接やその他の固定方法により隙間等ができないように固定されているほうが望ましいが、固定されていなくても、離脱しない手段で取り付けられていれば足りる。
図4、及び図5に示されるように、隔壁22の上部において、陽極側フランジパン23の内側(下方)には、陽極上部カバープレート28Aが設けられている。陽極上部カバープレート28Aは、陽極側フランジパン23に沿った弓型(円弧と弦とで形成される形状)のカバー本体28aと、カバー本体28aの下端で屈曲して隔壁22に当接する出口壁28bとを有し、出口壁28bには陽極上部孔42Aが形成されている。陽極側フランジパン23と、隔壁22と、陽極上部カバープレート28Aとにより陽極室出口空間部17Aが形成されている。陽極上部孔42Aは陽極室103の上部に連通している。
同様に、隔壁22の上部において、陰極側フランジパン24の内側(下方)には、陰極上部カバープレート28Bが設けられている。陰極上部カバープレート28Bは、陰極側フランジパン24に沿った弓型(円弧と弦とで形成される形状)のカバー本体28cと、カバー本体28cの下端で屈曲して隔壁22に当接する出口壁28dとを有し、出口壁28dには陰極上部孔42Bが形成されている。陰極側フランジパン24と、隔壁22と、陰極上部カバープレート28Bとにより陰極室出口空間部17Bが形成されている。陰極上部孔42Bは陰極室105の上部に連通している。
また、隔壁22の下部において、陽極側フランジパン23の内側には、陽極下部カバープレート33Aが設けられている。陽極下部カバープレート33Aは、陽極側フランジパン23に沿った弓型(円弧と弦とで形成される形状)のカバー本体33aと、カバー本体33aの上端で屈曲して隔壁22に当接する入口壁33bとを有し、入口壁33bには陽極下部孔43Aが形成されている。陽極側フランジパン23と、隔壁22と、陽極下部カバープレート33Aとにより陽極室入口空間部25Aが形成されている。陽極下部孔43Aは陽極室103の下部に連通している。
同様に、隔壁22の下部において、陰極側フランジパン24の内側(上方)には、陰極下部カバープレート33Bが設けられている。陰極下部カバープレート33Bは、陰極側フランジパン24に沿った弓型(円弧と弦とで形成される形状)のカバー本体33cと、カバー本体33cの上端で屈曲して隔壁22に当接する入口壁33dとを有し、入口壁33dには陰極下部孔43Bが形成されている。陰極側フランジパン24と、隔壁22と、陰極下部カバープレート33Bとにより陰極室入口空間部25Bが形成されている。陰極下部孔43Bは陰極室105の下部に連通している。
陽極室入口空間部25Aには、陽極室103内に電解液(陽極液)を導入するための陽極液導入孔29を備えた陽極液通過パイプ26(図4参照)が設けられており、陰極室入口空間部25Bには、陰極室105内に電解液(陰極液)を導入するための陰極液導入孔30を備えた陰極液通過パイプ27が設けられている。
陽極室出口空間部17Aには、陽極室103内から電解液(陽極液)とガスを抜き出すための陽極液・ガス排出孔34を備えた陽極液及びガス通過パイプ31(図4参照)が設けられており、陰極室出口空間部17Bには、陰極室105内から電解液(陰極液)とガスを抜き出すための陰極液・ガス排出孔35を備えた陰極液及びガス通過パイプ32が設けられている。
隔壁22の上部には、陽極液及びガス通過パイプ31、陰極液及びガス通過パイプ32に対応する位置に一対の開口部が形成されており、一方の開口部には、陽極液及びガス通過パイプ31が挿し込まれるように装着されており、他方の開口部には、陰極液及びガス通過パイプ32が挿し込まれるように装着されている。本実施形態では、陽極液及びガス通過パイプ31と陰極液及びガス通過パイプ32とによって、電解液及びガスの通過部が形成されている。
また、隔壁22の下部には、陽極液通過パイプ26、陰極液通過パイプ27に対応する位置に一対の開口部が形成されており、一方の開口部には、陽極液通過パイプ26が挿し込まれるように装着されており、他方の開口部には、陰極液通過パイプ27が挿し込まれるように装着されている。本実施形態では、陽極液通過パイプ26と陰極液通過パイプ27とによって、電解液の通過部が形成されている。
本実施形態では、電解槽100の電解セル101をタイロッド15で締め付けられることで一体化しており、所謂、フィルタープレス型電解槽を構成している。フィルタープレス型電解槽の場合、外枠フレーム16は、多数の電解ユニット12が締め付けられることになるため、直接の押圧力を受ける外枠フレーム16は、締め付け圧力に耐え得る強度が必要になる。
また、外枠フレーム16は、電解液や発生するガスには触れない部分であるため、耐食性はあまり要求されないが、80℃〜90℃で電解する場合もあることから、耐熱性の樹脂、ニッケル、ニッケル合金、ステンレススチール、軟鋼又はステンレススチールにニッケルメッキを施したもの等が利用できる。樹脂を使用する場合は、塩化ビニール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、エポキシ樹脂等が外枠フレームとして使用できる。
隔壁22には陽極リブ20と陰極リブ21が取り付けられている。陽極リブ20と陰極リブ21には、陽極18又は陰極19を支えるだけでなく、電流を隔壁22から陽極18又は陰極19へ伝える役割があるので、一般的に導電性の金属が用いられる。例えば、ニッケルメッキを施した軟鋼、ステンレススチール、ニッケル等が利用できる。また陽極リブ20及び陰極リブ21の厚みも、コストや製作性、強度等も考慮して0.5mm〜5mmの範囲から選ばれる。
隣接する陽極リブ20同士の間隔、又は隣接する陰極リブ21同士の間隔は、電解圧力や陽極室103と陰極室105の圧力差等を勘案して決められる。陽極リブ20同士の間隔、又は隣接する陰極リブ21同士の間隔が狭すぎれば電解液やガスの流動を阻害するだけでなくコストも高くなる欠点がある。また広すぎると、陽極室103と陰極室105とのわずかな差圧で保持している電極(陽極18や陰極19)が変形したり、陽極リブ20や陰極リブ21の数が少なくなることによる電気抵抗が増したりするなどの欠点が生じる。したがって通常、50mm〜150mmの範囲で決めるのが好ましい。陽極リブ20や陰極リブ21の隔壁22への取り付けについてはレーザー溶接やTig溶接方法等が用いられる。
陽極リブ20、及び陰極リブ21の高さは、隔壁22と隔壁22から延びた各フランジパン23,24のフランジ部23b,24bまでの距離、ガスケットの厚さ、電極(陽極18、陰極19)の厚さ、陽極18と陰極19間の距離などによって適宜に決められるが、本実施形態では、以下の寸法条件を採用している。
つまり、本実施形態では、陽極リブ20の上に網状又は多孔板状の陽極18が取り付けられており、陰極リブ21の上に網状又は多孔板状の陰極19が取り付けられており、各リブ20,21の高さは、各フランジパン23,24それぞれのフランジ部23b,24b上にガスケット9,11を貼り付けた状態と同じ高さか、それよりも低くしている。陽極リブ20や陰極リブ21の高さが、各フランジパン23,24のフランジ部23b,24b上にガスケット9,11を貼り付けた状態と同じ高さよりも高くなる場合には、陽極18又は陰極19と各リブ20,21との間に弾性体を置く必要があり、もし弾性体がない場合にはイオン透過性隔膜10を損傷する場合があるので好ましくない。
また、陽極リブ20又は陰極リブ21の厚みは1mm〜2mmのものが用いやすいが特に限定されない。陽極18又は陰極19の陽極リブ20又は陰極リブ21への取り付け方法は、通常スポット溶接で行われるが、その他のレーザー溶接やTig溶接などによる方法でもよく、更にはワイヤーやひも状の部材を用い、結びつけて密着させる方法でも良い。陽極リブ20や陰極リブ21は、陽極18又は陰極19と同様に、スポット溶接、レーザー溶接、Tig溶接等の手段で隔壁22に固定されている。
陽極室103は、陽極側フランジパン23の周壁部23a、隔壁22、陽極上部カバープレート28A、陽極下部カバープレート33A、及び陽極18によって形成され、これらの寸法、形状によって容積が決まる。また、陰極室105は、陰極側フランジパン24の周壁部24a、隔壁22、陰極上部カバープレート28B、陰極下部カバープレート33B、及び陰極19によって形成され、これらの寸法、形状によって容積が決まる。
アルカリ水の電解運転中は、陽極18及び陰極19からガスが発生することもあり、陽極室103、及び陰極室105内は、ガスと液で満たされる。そのガスと液の比(ガス液比)は、電流密度が高くなればなるほど大きくなる。また、陽極18及び陰極19の容積が小さいほどガス液比は大きくなる傾向がある。ガス液比が大きくなりすぎると電解液の循環が悪くなり、陽極室103、及び陰極室105内にガスゾーンが生じ、電気抵抗を増大させる可能性がある。更には、ガスの透過量を増大させる等の悪影響が生じ、電圧の上昇やガス純度の低下などにつながる可能性がある。
そのため、陽極室深さ、及び陰極室深さは、設計電解条件に応じて決定することが望ましい。陽極室深さや陰極室深さが深くなり過ぎると、多数の電解ユニット12を直列に配置した場合、電解槽100が長くなり大きなスペースが必要になるだけでなく、設備費も高くなる。また浅過ぎれば、ガス液比が高くなりすぎ、先に述べたような悪影響が生ずる。ここで、陽極室深さは、隔壁22の陽極18側の表面を含む陽極側基準面Fxから陽極側フランジパン23のフランジ面Faまでの間隔Da(図3、及び図6参照)であり、陰極室深さは、隔壁22の陰極19側の表面を含む陰極側基準面Fyから陰極側フランジパン24のフランジ面Faまでの間隔Dbである。そして、陽極室深さを示す間隔Da、及び陰極室深さを示す間隔Dbとしては、5mm〜40mmの範囲が好ましく、10mm〜20mmが最も好ましい。
電解ユニット12の外観形状は、円形、正方形、長方形、その他多角形でも良いが、製作上、正方形、長方形、円形が好ましい。特に、電解時の内圧が高い場合は、圧力による応力を均等にするため、円形が一層好ましい。陽極側フランジパン23及び陰極側フランジパン24の材質は、電解液やガスに直接触れるため、耐食性を要求される。アルカリ水電解においては、苛性カリや苛性ソーダ等の腐食性の液体を電解液として、60℃〜100℃で電解するため、この条件に耐える材質が用いられる。例えば、耐熱性の樹脂、ニッケルメッキを施した軟鋼、ステンレススチール、ニッケル等が利用できる。
隔壁22の材質は、一般的に導電性の金属が用いられる。例えば、ニッケルメッキを施した軟鋼、ステンレススチール、ニッケル等が利用できる。
隔壁22の厚みは、陽極リブ20と陰極リブ21が隔壁22に溶接などで接合されて一体構造になっている場合は、陽極リブ20や陰極リブ21により補強されるので、厚くする必要はない。通常は、0.5mm〜2mmの厚みで十分である。0.5mmより薄いと陽極リブ20や陰極リブ21と隔壁22との溶接も困難になる上、製作上もハンドリングがし難くなる欠点があり、また2mmより厚い場合は、製作コストが高くなり電解ユニット12も重くなるため好ましくない。
各カバープレート28A、28B、33A、33Bは、それぞれ陽極上部孔42A、陰極上部孔42B、陽極下部孔43A、陰極下部孔43Bが設けられている。そして、これらカバープレート28A、28B、33A、33Bは、それぞれフランジパン23,24と隔壁22とに接合されている。
各カバープレート28A、28B、33A、33Bは、電解ユニット12を多数並べて締め付ける際には、締め付け圧力がかかるため、それに耐える強度が必要である。更に電解液やガスにもさらされるため、材質としては強度と耐食性を兼ね備えた、ニッケルメッキを施した軟鋼、ステンレススチール、ニッケル等を用いることが好ましい。更に、カバープレート28A、28B、33A、33Bの厚みとしても、2mm以上が好ましく、更に好ましくは3mm〜5mmである。あまり厚すぎると重量が重くなるばかりでなく、コストも高くなるので好ましくない。陽極上部孔42A、陰極上部孔42B、陽極下部孔43A、陰極下部孔43Bの形状は、円形、角形、三角等いずれでもよく、液やガスが通過するに十分面積を持つ必要がある。そのため面積としては5mm〜300mm程度の孔を多数設けている。
陽極液通過パイプ26と陰極液通過パイプ27とは隔壁22を貫通し、陽極下部カバープレート33A、及び陰極下部カバープレート33Bに接合されている。また、陽極液及びガス通過パイプ31と陰極液及びガス通過パイプ32とは隔壁22を貫通し、陽極上部カバープレート28A、及び陰極上部カバープレート28Bに接合されている。
各パイプ26,27,31,32は、隔壁22や各カバープレート28A,28B,33A,33Bとの接合箇所で液やガスのリークがないように接合される必要がある。また、電解ユニット12を多数並べて締め付ける際には、各カバープレート28A,28B,33A,33Bとともに締め付け圧力がかかるため、ある程度の締め付け圧力に耐える強度が必要である。更に電解液やガスにもさらされるため、材質としては強度と耐食性を兼ね備えた、ニッケルメッキを施した軟鋼、ステンレススチール、ニッケル等を用いることが好ましい。樹脂も使用できるが、隔壁22やカバープレート28A,28B,33A,33Bとの接合箇所で液やガスがリークしないように、ゴムパッキンやその他のシール材等でシールすることが必要になる。更に、パイプ材質の厚みとしても、1mm以上が好ましく、更に好ましくは2mm〜4mmである。あまり厚すぎると重量が重くなるばかりでなく、コストも高くなるので好ましくない。
なお、例えば、各パイプ26,27,31,32の内面が金属である場合、隣接の電解ユニット12との電位差により電流が流れ、電解が起こる。そのため、内面の電気的腐食やガスの発生、更には電流のロスにつながる可能性があるため、内面をゴムや樹脂等でライニングして絶縁しておくことが好ましい。
また、電解ユニット12の下部に設けられた陽極液通過パイプ26、及び陰極液通過パイプ27には、それぞれ陽極液導入孔29、陰極液導入孔30が設けられている。各導入孔29,導入孔30の形状は、丸型、角形いずれでもよく形状は限定されないが、丸型が製作上好ましい。また、これらの位置は陽極液通過パイプ26、又は陰極液通過パイプ27の上方、下方、左右いずれでもよい。各導入孔29,30の流路面積は、圧力損失ができるだけ少ない範囲で、任意に決定できる。また、各導入孔29,30は、電解液供給量に応じた断面積があればよい。
また、電解ユニット12の上部に設けられた陽極液及びガス通過パイプ31、及び陰極液及びガス通過パイプ32は、電解液と電解により生成したガスが混合して流れる通路であるため、通常は陽極液通過パイプ26、又は陰極液通過パイプ27よりも断面積が大きく、圧力損失をできるだけ小さくすることが好ましく、形状は特に限定されない。例えば、本実施形態では、図4に示されるように変形楕円型にしているが、この形状は、できるだけ断面積を大きくすることができるという点で有効な手段の一つである。また、丸型であれば、ノズルとの接合もしやすいという利点がある。
また、各液及びガス通過パイプ31,32には、それぞれ陽極液・ガス排出孔34、又は陰極液・ガス排出孔35が設けられている。陽極液・ガス排出孔34、又は陰極液・ガス排出孔35の位置は各液及びガス通過パイプ31,32の上方、下方、左右のいずれでもよいが、陽極室出口空間部17Aや陰極室出口空間部17Bの上部にはガスがたまりやすいので、そのガスをできるだけ抜くために、陽極液及びガス通過パイプ31又は陰極液及びガス通過パイプ32の上部に設けるのが好ましい。さらに、陽極液・ガス排出孔34、及び陰極液・ガス排出孔35の断面積は圧力損失を少なくするために、できるだけ大きな断面積を確保する必要があるが、陽極室深さや陰極室深さに制限される。そのため、丸型、楕円等の形状をした孔をいくつも設ける等の方法が有効である。
続いて、第3実施形態に係る複極式アルカリ水電解ユニット12について、図13及び図14を参照して詳しく説明する。図13は電解ユニット12の平面図であり、図14は図13のa−a線断面図である。図13及び図14に示すように、電解ユニット12は、酸素発生用の陽極18と、水素発生用の陰極19と、陽極18と陰極19との間に配置されて陽極18と陰極19とを区画する隔壁22と、隔壁22に取り付けられた陽極リブ20及び陰極リブ21と、隔壁22の外縁に沿って隔壁22を取り囲む樹脂製の外枠フレーム16と、を備えている。
隔壁22は、導電性の金属鋼板からなり、少なくともその一部が樹脂製の外枠フレーム16と接続されている。
外枠フレーム16と隔壁22との接合の一例としては、図15に示すように、隔壁22の一部を外枠フレーム16に挟み込むよう内蔵(埋設)させて、外枠フレーム16と隔壁22とを一体化する方法がある。隔壁22の外枠フレーム16への内蔵は、例えば、隔壁22を金型内に挿入した状態で当該金型内に熱可塑性の溶融樹脂や硬化剤を配合した熱硬化性樹脂を流し込むインサート成形により行うことができる。この場合、外枠フレーム16に内蔵される隔壁22の一部とは、隔壁22の全周縁部となる。なお、隔壁22の周縁部には、外枠フレーム16を形成する樹脂との接着強度を高めるため工夫として、樹脂製外枠フレームと密着する部分に、凹凸を設けたり、穴をあけたり、折り曲げる等の方法を用いることができ、図14に限定されるものではない。
外枠フレーム16は、隔壁22を中心として陽極18側及び陰極19側に張り出した断面矩形状に形成されている。そして、外枠フレーム16の陽極18側に、陽極側外枠フランジ面23cが形成され、外枠フレーム16の陰極19側に、陰極側外枠フランジ面24cが形成されている。
また、外枠フレーム16は、隔壁22を取り囲むように円環状に形成されており、その上部に、外枠フレーム16の中心軸側(半径方向内側)に向かって弓形(円弧と弦とで囲まれる形状)に膨出した上側膨出部16aが形成されており、その下部に、外枠フレーム16の中心軸側(半径方向内側)に向かって弓形(円弧と弦とで囲まれる形状)に膨出した下側膨出部16bが形成されている。上側膨出部16aと下側膨出部16bとは、上下方向に対向している。
樹脂製の外枠フレーム16下部の下側膨出部16bには、入り口側電解液(陽極液)を通過させるための陽極液通過孔26bと、陰極室105内に入り口側電解液(陰極液)を通過させるための陰極液通過孔27bと、陽極液通過孔26bから電解液(陽極液)を陽極室103内に導入するための陽極液導入孔29と、陰極液通過孔27bから電解液(陰極液)を陰極室105に導入するための陰極液導入孔30と、が設けられている。
樹脂製の外枠フレーム16上部の上側膨出部16aには、出口側電解液(陽極液)及びガスを通過させるための陽極液・ガス通過孔3b1と、出口側電解液(陰極液)及びガスを通過させるための陰極液・ガス通過孔32bと、陽極液・ガス通過孔31bを介して陽極室103内から出口側電解液(陽極液)及びガスを抜き出すための陽極液・ガス排出孔34と、陰極液・ガス通過孔32bを介して陰極室105内から出口側電解液(陰極液)及びガスを抜き出すための陰極液・ガス排出孔35と、が設けられている。
樹脂製の外枠フレーム16の厚さは、陽極側外枠フランジ面23cと隔壁22との間隔と、陰極側外枠フランジ面24cと隔壁22との間隔と、隔壁22の厚みと、の合計に相当する。運転中は、陽極室103内及び陰極室105内では、陽極18及び陰極19からガスが発生するため、ガスと液で満たされる。そのガスと液の比(ガス液比)は、電流密度が高くなればなるほど大きくなる。また、陽極室103及び陰極室105の容積が小さいほどガス液比は大きくなる傾向がある。ガス液比が大きくなりすぎると電解液の循環が悪くなり、陽極室103内及び陰極室105内にガスゾーンが生じ、隔壁22の電気抵抗を増大させる可能性がある。更には、ガスの透過量を増大させる等の悪影響が生じ、電圧の上昇やガス純度の低下などにつながる可能性がある。
そのため、陽極側外枠フランジ面23cと隔壁22との距離(以下「陽極室深さ」と言う)及び陰極側外枠フランジ面24cと隔壁22との距離(以下「陰極室深さ」と言う)は、設計電解条件に応じて決定することが望ましい。陽極室深さや陰極室深さが深くなり過ぎると、多数の電解ユニット12を直列に配置した場合、電解槽100が長くなり大きなスペースが必要になるだけでなく、設備費も高くなる。また陽極室深さや陰極室深さが浅くなり過ぎると、ガス液比が高くなりすぎ、先に述べたような悪影響が生ずる。そのため、陽極室深さ及び陰極室深さとしては、5mm以上40mm以下の範囲が好ましく、10mm以上20mm以下の範囲が最も好ましい。
電解ユニット12の外観形状は、円形、正方形、長方形、その他多角形でも良いが、製作上、正方形、長方形、円形が好ましい。特に、電解時の内圧が高い場合は、圧力による応力を均等にするため、円形が一層好ましい。
樹脂製の外枠フレーム16下部の下側膨出部16bに設けられた陽極液通過孔26b及び陰極液通過孔27bは、それぞれ陽極液導入孔29及び陰極液導入孔30とつながれている。陽極液通過孔26b及び陰極液通過孔27bの形状は、丸型、角形いずれでもよく形状は限定されないが、丸型が製作上好ましい。また、これら陽極液通過孔26b及び陰極液通過孔27bの流路面積は、圧力損失ができるだけ少ない範囲で、任意に決定できる。陽極液導入孔29及び陰極液導入孔30は、電解液供給量に応じた断面積があればよく、形状などは特に限定されない。
陽極液・ガス通過孔31b及び陰極液・ガス通過孔32bについては、電解液と電解により生成したガスが混合して流れる通路であるため、通常は陽極液導入孔29及び陰極液導入孔30より断面積が大きく、圧力損失をできるだけ小さくすることが好ましく、形状は特に限定されない。例えば、図13に示されるような変形楕円型にして、できるだけ断面積を大きくすることも有効な手段である。また、丸型であれば、ノズルとの接合もしやすい利点がある。
脂製の外枠フレーム16上部の上側膨出部16aに設けられた陽極液・ガス排出孔34及び陰極液・ガス排出孔35は、それぞれ陽極液・ガス通過孔31b及び陰極液・ガス通過孔32bとつながれている。その断面積はやはり圧力損失を少なくするために、できるだけ大きな断面積を確保する必要があるが、陽極室深さ及び陰極室深さや外枠フレーム16の厚みに制限される。そのため、丸型、楕円等の形状をした孔をいくつも設ける等の方法が有効である。
樹脂製の外枠フレーム16は、電解液やガスに直接触れるため、耐食性を要求される。アルカリ水電解においては、苛性カリや苛性ソーダ等腐食性の液体を電解液として、60℃〜100℃で電解するため、この条件に耐える材質が用いられる。例えば、塩化ビニール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、エポキシ樹脂等が耐食性等が使用できる。特にエポキシ樹脂は、硬化剤とともに型枠に流し込んで成形できるため、隔壁22を挟んだ状態で成形硬化できるため、製作も簡便で特に好ましい。
また、外枠が、導電性隔壁の陽極側に配置される陽極側フレーム部と導電性隔壁の陰極側に配置される陰極側フレーム部とに別々に分割することも可能である。即ち、陽極側フレーム部、導電性隔壁の少なくとも一部、陰極側フレーム部に挟み込まれていて、その各々の間にガスケットを挟み、ボルト、接着剤等で固定する構造である。陽極側フレーム部及び陰極室フレーム部は樹脂でも、金属でも良い。その場合も樹脂の材質は、前記樹脂製の外枠フレーム16と同一材質が使用できる。金属の場合は、ニッケルメッキを施した軟鋼、ステンレススチール、ニッケル等が利用できる。陽極側フレーム部の厚み及び陰極側フレーム部の厚みは、5mm以上40mm以下であることが好ましい。
隔壁22の材質は、一般的に導電性の金属が用いられる。例えば、ニッケルメッキを施した軟鋼、ステンレススチール、ニッケル等が利用できる。耐薬品性で耐熱性のある樹脂を用いる場合は、隔壁22を通して電流が流れないので、導電性の良い金属で陽極リブ20と陰極リブ21とをつなぎ、その金属の周囲を陽極室103と陰極室105の液やガスが透過しないようシールすることにより使用できる。
隔壁22の厚みは、陽極リブ20と陰極リブ21が隔壁22に溶接などで一体構造に接合されている場合は、陽極リブ20及び陰極リブ21により隔壁22が補強されるので、厚くする必要はない。通常は、0.5mm以上2mm以下の厚みで十分である。0.5mmより薄いと陽極リブ20及び陰極リブ21との溶接も困難になる上、製作上もハンドリングがしにくくなる欠点があり、また2mmより厚い場合は、製作コストが高くなり電解ユニット12も重くなるため好ましくない。
上述した電解ユニット12,12A,12B,120によれば、隔壁22の一部を樹脂製の外枠フレーム16に内蔵することで隔壁22を支持するため、構成部品が少ない。このため、複極式アルカリ水電解ユニット12,12A,12B,120を多数配置し、その各々間にイオン透過性隔膜10及びガスケット9,11を挟んで電解セル101を形成するという、電解槽100の組み立てを、非常に簡便に行うことができる。しかも、隔壁22を内蔵する外枠フレーム16が、隔壁22の線膨張係数とあまり大きな差のない線膨張係数を有するように適宜選択された樹脂製であるため、隔壁22が熱膨張したとしても、破損しにくい。
これらにより、陽極室103及び陰極室105を、精度良く十分な容積のユニットを製作できる。そのため、ガスの滞留の抑制、電解液と発生ガスを抜き出す際の圧力損失の低減にも効果的であり、不安定な電流や高電流密度での電解を実現し易くなる。その結果、所望の水素発生量を確保できる電解槽100を製造する際の複極式アルカリ水電解ユニット12,12A,12B,120の数も減少でき、設備コストの削減にもつながる。その理由としては、通常、電解槽の陽極側においては、気泡の影響が著しいが、本実施形態に係る電解ユニット12,12A,12B,120では、陽極室103及び陰極室105が十分な容積を有しているため、気泡による悪影響を軽減できるからである。
例えば4kA/m、0.1MPa、90℃の電解条件において、陽極室103の上部は気泡が充満しており、ガス液比が80%以上にもなる部分が発生する。このようなガス液比の大きな部分は電流密度が大きくなればなるほど拡大する傾向がある。このようなガス液比の大きな部分は流動性に欠けるため、ガスの滞留部分が生じる場合がある。ガスが大量に滞留すると、ガスがイオン透過性隔膜を透過しやすくなり、電流効率の低下やガス純度の低下や、ガスと液の排出の際に大きな圧力変動生ずる場合がある。陽極室103及び陰極室105の上部のガス液比の大きな部分をできるだけ減少させるためには、電解圧力を大きくすることや、電解液の循環量を大幅に増大するなどの方法はあるが、設備建設コストが高くなる傾向があり好ましくない。本実施形態に係る電解ユニット12,12A,12B,120は、陽極室103及び陰極室105が十分な容積を有しているので、ガスの滞留が少なく、液の流動性も確保できるため、気泡の上昇力を利用して電解液を循環することができ、ガスの排出も圧力の変動なくできる。
陽極には、導電性基材と、導電性基材を被覆する触媒層と、を備える。触媒層中には細孔が形成されている。つまり触媒層は多孔質である。なお、触媒層は導電性基材の表面全体を被覆していることが好ましい。
触媒層中の細孔のうち、孔径が2〜5nmの範囲内である第一細孔の比表面積は0.6〜2.0m/gであり、第一細孔の細孔容積は3×10−4〜9×10−4ml/gである。触媒層中の細孔のうち、孔径が0.01〜2.00μmの範囲内である第二細孔の比表面積は2.0〜5.0m/gであり、第二細孔の細孔容積は、0.04〜0.2ml/gである。
孔径が0.01〜2.00μmの範囲内である第二細孔は、比表面積は小さいが、細孔容量が大きいため、第一細孔は、第二細孔の内部に存在することになる。第一細孔は、触媒層の表面積を非常に大きくする。第一細孔の表面は、水酸化物イオンの酸化反応(酸素の生成反応)の反応場(反応界面)として機能する。第一細孔の内部では、酸素発生の際に水酸化ニッケルが生成され、そのため細孔を更に小さくしてしまうと予想される。しかし、第一細孔は孔径が大きな第二細孔の内部に存在するため、電解する際に第一細孔内で発生する酸素が第二細孔を通じて触媒層の外へ抜けやすく、電解を阻害しにくい。そのため、本実施形態では酸素発生過電圧が高くならないと推定される。
第一細孔の比表面積は0.6〜1.5m/gであることが好ましく、0.6〜1.0m/gであることがより好ましい。第一細孔の比表面積は0.62〜0.98m/gであってもよい。一般的には第一細孔の比表面積の増加に伴い、酸素発生電位が低くなると考えられる。ただし、第一細孔が小さすぎると酸素発生時に生成する水酸化ニッケルにより第一細孔が完全に埋まり、第一細孔の実質的な表面積が少なくなる傾向がある。第一細孔の比表面積が減少すると、触媒層全体の表面積も減少する傾向がある。触媒層全体の表面積の減少に伴い、酸素発生電位が上昇する傾向がある。
第一細孔の容積は3.3×10−4〜8.5×10−4ml/gことが好ましい。第一細孔の容積は3.6×10−4ml/g〜7.9×10−4ml/gであってもよい。第一細孔の細孔容積の増加に伴い、比表面積が減少する傾向がある。第一細孔の細孔容積の減少に伴い、比表面積が増加する傾向がある。
第二細孔の比表面積は2.3〜4.5m/gであることが好ましい。第二細孔の比表面積は2.5〜4.2m/gであってもよい。第二細孔の比表面積の増加に伴い容積が減少する傾向がある。第二細孔の比表面積の低下に伴い容積が増加する傾向がある。
第二細孔の容積は0.04〜0.15ml/gであることが好ましく、0.04〜0.1ml/gであることがより好ましい。第二細孔の容積は0.04〜0.09ml/gであってもよい。第二細孔の細孔容積の増加に伴い、触媒層内で発生した酸素ガスの脱泡が進行し易い傾向がある。第二細孔の細孔容積の減少に伴い、触媒層からのガス抜けが阻害され酸素発生過電圧が高くなる傾向があるが、機械的強度は高まる傾向がある。
触媒層は元素としてニッケルを含む。触媒層は、酸化ニッケル、金属ニッケル(ニッケルの金属結晶)、水酸化ニッケル及びからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。触媒層は、ニッケルとその他の金属とから構成される合金を含んでもよい。触媒層が金属ニッケルからなることが特に好ましい。なお、触媒層は、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、タンタル、ジルコニウム、アルミニウム、亜鉛、白金族及び希土類元素等からなる群より選ばれる少なくとも一種をさらに含んでもよい。触媒層の表面が、ロジウム、パラジウム、イリジウム及びルテニウム等からなる群より選ばれる少なくとも一種の触媒で修飾されてもよい。
触媒層がニッケルの金属結晶を含み、触媒層中のニッケルの金属結晶の(1 1 1)面によって回折されるX線のピーク強度がINiであり、触媒層中のNiOの(0 1 2)面によって回折されるX線のピーク強度がINiOであるとき、[INi/(INi+INiO)]×100の値が75〜100%であることが好ましい。I[INi/(INi+INiO)]×100は90〜100%であることがより好ましく、95〜100%であることが特に好ましい。[INi/(INi+INiO)]×100が大きいほど、触媒層の電気抵抗が低く、酸素発生を行う際の電圧ロスが小さくなる。触媒層中の酸化ニッケルの部分では、導電性が低下するが、酸素発生反応も起き難い。また、酸化ニッケルは比較的化学的に安定であるため、触媒層が酸化ニッケルを含有することは、触媒層の強度を維持するには有効な場合がある。なお、INi及びINiOは、触媒層についてのXRD((X‐Ray Diffraction)の測定結果から求められる。
触媒層の厚みは50〜800μmであることが好ましく、100〜400μmであることがより好ましい。厚みが50μm以下では、触媒層が薄いため、触媒層全体の表面積が少なくなり、酸素過電圧が高くなることが予想される。また、厚みが800μm以上では触媒層が厚くなりすぎて、剥離等が起こりやすくなる場合があり、陽極の製作コストが高くなりすぎる場合がある。
導電性基材としては、ニッケル鉄、バナジウム、モリブデン、銅、銀、マンガン、白金族、黒鉛及びクロム等から群より選ばれる少なくとも一種からなる基材が挙げられる。二種以上の金属からなる合金又は、二種以上の導電性物質の混合物からなる導電性基材を用いてもよい。好ましくは、導電性基材は金属ニッケルからなる。導電性基材の形状としては、網状、板状又はエキスパンドメタル等が挙げられる。好ましくは、導電性基材はエキスパンドメタルである。なお、エキスパンドメタルとは、千鳥状の切れ目を入れた金属板を引き伸ばして網目状に加工したものである。導電性基材に表面処理を行ってもよい。ブラスト処理又はエッチング等により、導電性基材の表面に凹凸を設けると、触媒層と導電性基材との密着性が向上する。導電性基材の厚みは、0.5〜2.0mmであることが好ましく、1.2mmであることがより好ましい。
本発明のような細孔構造を持たない従来の陽極では、酸素発生時に触媒層の表面が酸化されて水酸化物が形成され、水酸化物が細孔を埋めてしまい酸素気泡が細孔から抜け難くなり、酸素過電圧が高くなり易い。又は、触媒層の表面が還元されて金属ニッケルに戻り、還元された触媒層の表面に電解液中の不純物が電着すると、再度酸素発生を行う際に過電圧が更に上昇し易い。一方、本発明に係る陽極の触媒層の孔径、比表面積、細孔容量は最適な状態にある。そのため、本発明によれば、電解の際の酸化状態において触媒層の表面に生成する水酸化ニッケルが細孔を塞ぐことがなく、また還元状態においてもその水酸化物が徐々に還元されるだけで、触媒層本体の変化が起きにくい。このような陽極を備える本発明の電解槽によれば、例えば非常に電力変動の大きい風力発電や太陽光発電などの自然エネルギーを直接電解に用いても、安定して酸素や水素を製造することが可能である。
本願のアルカリ水電解用陽極の製造方法は、酸化ニッケルを溶射法によって導電性基材に吹き付ける第一工程(溶射工程)と、導電性基材に吹付けられた酸化ニッケルを還元する第二工程(還元工程)と、を備える。
本願の製造方法では、触媒層の出発原料として、酸化ニッケルは粉末状であることが好ましい。第一工程に先立ち、平均粒径が1.0〜5.0μmである酸化ニッケル粉末を噴霧乾燥造粒機により造粒し、平均粒径が10〜100μmである酸化ニッケルの粒子を得る。この酸化ニッケルの粒子をプラズマガス等の高温のガス中に吹き込み、溶融させて、導電性基材に吹き付ける。つまり、導電性基材を溶融した酸化ニッケルでコーティングする。造粒する前の酸化ニッケルの粒径が大きすぎても、小さすぎても、電極を形成した際に必要な孔径や比表面積、細孔容量が得られない。造粒前の酸化ニッケルの粉末の平均粒径は1.0〜5.0μmであることが好ましく、1.0〜1.2μmであることがより好ましい。
酸化ニッケル粉末と他の粉末との混合物を溶射法によって導電性基材に吹き付けてもよい。他の粉末としては、金属ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、マンガン、鉄、タンタル、ジルコニウム、アルミニウム、亜鉛、白金族及び希土類元素等からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属の粉末が挙げられる。さらに、導電性基材に吹き付ける前の酸化ニッケル粉末に、アラビアゴム、カルボキシルメチルセルロース及びラウリル硫酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の添加剤を混ぜてもよい。
仮にラネーニッケルを溶射法により導電性基材に吹き付けた場合、ラネーニッケルが溶融して、その表面積が小さくなり、上記のような細孔の孔径、比表面積及び細孔容積を有する触媒層を形成することは困難である。ニッケルとアルミニウムとの合金を溶射法により導電性基材に吹き付けた場合、空気中でアルミニウムが酸化する。そのため、触媒層中のアルミニウムをアルカリ水溶液で除去したとしても、大きな表面積を有する触媒層を得難い。ニッケルとアルミニウムの合金を真空中で溶融して導電性基材に吹き付ける方法により陽極を製造する場合、製造装置が簡便でなく、生産性も低いので、生産コストが高くなり好ましくない。
溶射法としては、アセチレンなどの可燃性ガスと酸素の燃焼熱で溶射用粉末を溶融する方法、溶射法に用いる溶射用粉末(触媒層の原料粉末)を棒状に加工し、可燃性ガスを燃焼した熱で溶融した素材を燃焼ガスで吹き付ける方法、アルゴン、水素、窒素又はヘリウムなどのガスを加熱して得たプラズマガスで溶射用粉末を溶融する方法がある。その中では、窒素又はアルゴンに水素を混ぜたガスをプラズマ化して、プラズマで溶射用粉末を溶融するプラズマ溶射法が好ましい。プラズマ溶射法では、プラズマガスの速度が音速を超える程度に大きく、ガスの温度が5000℃以上である。そのため、融点の高い溶射用粉末を溶融することができ、溶融した溶射用粉末を高速で基材に付着させることができる。その結果、緻密で強度の強いコーティング層(触媒層の前駆体)を形成することが可能になる。プラズマ溶射法を用いた場合、原料粉末のコーティング速度が速いため、10〜1000μmの厚みを有する触媒層を比較的短時間で形成することができる。プラズマ溶射法では、その条件にもよるが、溶融した原料粉末の粒子が基材上に積層する過程で粒子間に形成される細孔が、他の溶射法を用いた場合に比べ緻密になりやすい。水素を含むプラズマガスを用いた溶射法で酸化物を基材に吹き付ける場合、コーティングの一部が還元されやすく、コーティング層の導電性が増し、導電性に優れた陽極を製造することが可能となる。
プラズマ溶射法による吹き付け時の高温状態と、続く急冷過程と、を経由した酸化ニッケル中には、多数の結晶欠陥が形成される。このような酸化ニッケルを還元することにより、高い活性を有する触媒層を形成することも可能となる。本実施形態の触媒層中に第二細孔がどのように形成される理由は必ずしも明らかではないが、上記のような溶射用粉末の組成(酸化ニッケル)及び溶射方法等が第二細孔の形成に影響していると推定している。
溶射法によって形成されたコーティング層を、水素気流下で還元することにより、触媒層の第一細孔が形成される。コーティング層を電解によって還元してもよい。例えば、コーティング層が形成された導電性基材を陰極として食塩水の電解を行って陰極で水素を発生させることにより、コーティング層が還元され、所望の触媒層が得られる。又は、濃度が32%程度である苛性ソーダ水溶液の電気分解を70℃〜90℃の液温で行ってもよい。電気分解の実施時間は1ヶ月から半年程度であればよい。還元工程として、コーティング層が形成された導電性基材を陰極として水の電解を行ってもよい。還元工程として、コーティング層が形成された導電性基材を陰極として、濃度が10%〜30%であるKOH又はNaOHの水溶液の電気分解(陰極における水素の発生)を半年程度行ってもよい。ただし、これらの方法は、時間がかかる上、生産性も低いという欠点がある。しかし、これらの電解還元によれば、微細な細孔が形成された触媒層(多孔質の触媒層)を得ることができる。この電解還元では、低温で実施されるため、酸化ニッケルの還元に非常に時間を要するが、触媒層の第一細孔の孔径を2〜5nmの範囲に容易に制御することができる。電解還元によって得られる触媒層には、脱泡性及び電子伝導性に優れた骨格が形成される。
溶射法により形成されたコーティング層(酸化ニッケル)を水素で還元する際の温度は重要である。還元の温度が高すぎる場合、還元により生じた細孔が熱によりつぶされて、期待する細孔、比表面積及び細孔容量が得られない場合がある。また還元温度が低すぎると、酸化ニッケルの還元が進まない。そのため、水素によるコーティング層の還元反応の温度としては、180〜300℃が好ましく、180〜250℃が特に好ましい。
上記以外の還元方法には、ヒドラジン、亜硫酸ソーダ又は水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤でコーティング層を常温〜100℃で処理する方法もある。しかし、これらの方法では、コーティング層をわずかに還元するだけでも長時間を要したり、コーティング層の還元がほとんど進まなかったりする。還元反応を促進するために還元剤を100℃以上に加熱すると、還元剤の溶液の蒸発や還元剤の分解が生じるため、好ましくない。
一般的に触媒層の原料として使用される酸化ニッケルは、その組成が化学量論比に近い。このような酸化ニッケルの還元開始温度は300℃以上である。そのため、一般的には、酸化ニッケルを400℃以上の高温に加熱した状態で、水素還元が行われてきた。このような温度条件下では酸化ニッケル中の金属の熱運動が激しくなり、金属の凝集が急激に進むため、孔径が2〜5nmの範囲内になる細孔はほとんど消滅してしまう。
一方、溶射法(特にプラズマ溶射法)によって導電性基材に吹き付けられた酸化ニッケルは、上記のように多くの結晶欠陥を含み、化学量論比から外れた組成を有する。そのため、溶射工程を経た酸化ニッケルは還元され易く、250℃以下の低温でも十分に還元される。そして、250℃以下の低温で水素還元を行うことにより、酸化ニッケル中の金属元素の熱運動が抑制され、金属元素が凝集し難い。その結果、孔径が2〜5nmの範囲内になる第一細孔を触媒層中に容易に形成することができる。
上記の溶射工程及び還元工程によって、触媒層が得られる。さらに、触媒層の表面を、ロジウム、パラジウム、イリジウム及びルテニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の触媒で修飾してもよい。
次に、電解セル101の一部であるイオン透過性隔膜10(図1参照)について説明する。イオン透過性隔膜10は、ガス透過性が低く、電導度が小さく、強度が強いものが求められている。従来からアルカリ水電解に用いられていた隔膜は、アスベストや変性アスベスト等である。しかし、最近はポリスルホン系ポリマーを用いた多孔性隔膜、ポリフェニレンスルファイド繊維を用いた布、フッ素系多孔質体膜、無機物と有機物の混合した多孔質体等も用いられている。多孔質隔膜以外にもフッ素系のイオン交換膜等も用いる場合がある。なお、複極式アルカリ水電解ユニット12としては、これらいずれの膜も制限なく使用できる。
通常のアルカリ水電解においては、イオン透過性膜と、陽極や陰極との間には隙間がある。そのため、この部分には電解液の他に大量の気泡が存在し、電気抵抗が非常に高くなっている。電解セルにおける大幅な電解電圧の低減を図るためには、陽極と陰極の間隔(以下、「極間距離」と言う)を出来るだけ小さくして、陽極と陰極の間に存在する電解液やガス気泡の影響をなくすことが最も効果的である。しかるに従来は、極間距離は1〜3mm程度が普通であった(以下、この程度の極間距離を有する電解セルを「ファイナイトギャップ電解セル」と言う)。極間距離を小さくするための手段は既にいくつか提案されているが、大型の電解槽においては、一般に1m以上の通電面積を有しており、陽極と陰極を完全に平滑にして製作精度の公差をほぼゼロmmとすることは不可能である。従ってただ単に極間距離を小さくしていくだけでは、陽極と陰極の間に存在するイオン透過性隔膜を電極により押し切ることがあった。また無理に極間距離を近づけても、電極全面にわたり極間距離がイオン透過性隔膜の厚みとほぼ同じ距離で、陽極とイオン透過性隔膜、陰極とイオン透過性隔膜の間に隙間の殆ど無い状態(以下「ゼロギャップ」と言う)に保つことのできる精度で製作することは難しく、理想的なゼロギャップは得られなかった。
このような状況を改善するための変形例に係る電解ユニット12A,12Bについて、図7を参照して説明する。なお、以下の変形例において、上述の電解ユニット12と同様の要素や部材については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
変形例に係る電解ユニット12A,12Bでは、極間距離を小さくする手段として、陰極19と隔壁22との間に弾性体であるバネ111A,111Bを配置し、このバネ111A,111Bで陰極19を移動可能に支持する形態にしている。例えば、第1の変形例では、図7(a)に示されるように、隔壁22に導電性の材料で製作されたバネ111Aを取り付け、バネ111Aに陰極19を取り付けている。また、第2の変形例では、図7(b)に示されるように、隔壁22に取り付けた陰極リブ21にバネ111Bを取り付け、そのバネ111Bに陰極19を取り付けている。なお、バネ111A,111Bなどの弾性体を用いた形態を採用する場合には、陰極19がイオン透過性隔膜10に接する圧力が不均一になる可能性があり、また、バネを多数取り付ける場合には、製作し難くなる可能性もあるため、バネの強度、バネの数、形状等必要に応じて適宜調節する必要がある。
次に、第2の実施形態に係る電解ユニット120について、図8〜図10を参照して説明する。電解ユニット120は、上述のゼロギャップ構造を実現可能な形態である。なお、第2の実施形態に係る電解ユニット120において、上述の電解ユニット12と同様の要素や部材については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
電解ユニット120では、陽極39の剛性を陰極38に比べて強くしておき、特にイオン透過性隔膜10を押しつけても変形の少ない構造としている。一方で、陰極38については、イオン透過性隔膜10を押しつけると変形する柔軟な構造とすることで、電解セル101の製作精度上の公差や電極(陽極39、陰極38)の変形等による凹凸を吸収してゼロギャップを保つような構造としている。
具体的には、陰極リブ21の先端に集電体36を取り付け、その集電体36の上面側、つまり、隔壁22側とは反対となる側に導電性のクッションマット(クッションマット層)37を取り付け、さらに、その上面側、つまり、クッションマット37に隣接してイオン透過性隔膜10側となる部分に0.5mm以下の厚みのゼロギャップ用の陰極38を重ねた少なくとも3層構造になっている。本実施形態では、集電体36とクッションマット37とによって弾性体が構成される。
集電体36は、その上に積層されるクッションマット37やゼロギャップ用の陰極38へ電気を伝えるとともに、それらから受ける荷重を支え、陰極38から発生するガスを隔壁22側に支障なく通過させる役割がある。従って、この集電体36の形状は、エキスパンドメタルや打ち抜き多孔板などが好ましい。この場合の集電体36の開口率は、陰極38から発生した水素ガスを支障なく隔壁22側に抜き出せるために30%〜70%の範囲であることが好ましい。しかし、あまり開口率が大きいと強度が低下たり或いはクッションマット37への導電性が低下するなどの問題が生ずる場合があり、小さすぎるとガス抜けが悪くなる場合がある。
集電体36には、多孔質電極触媒をコーティングしておくことも有効である。特に風力発電等の再生可能エネルギーを用いて水電解を行う場合、供給される電解電流や電圧が短時間に大きな変動をするような非常に不安定になることがある。最悪の場合、供給する電圧が理論分解電圧より低くなるような場合は、電流が電解する際の電流とは逆に流れることもありうる。その場合には、陽極39や陰極38の触媒機能に大きなダメージを与える。このようなダメージを防止するために、集電体36の表面に多孔質触媒をコーティングすることで防止できる。その理由は、多孔質体は大きな表面積を有しているため、電荷の蓄積が大きいことと、その表面においては還元物質が形成されていることによる。即ち、逆に電流が流れても、表面電荷の消費と還元物質の酸化により電流が消費されるため、ある程度の時間、電極電位を一定電位に保てるからである。一定電位に保てる時間は、電流が逆に流れる時間や頻度、コーティング量により異なる。
このような役割を果たす、多孔質電極触媒としては、ラネーニッケル、ニッケル多孔質体(多孔質ニッケル)、酸化ニッケル多孔質体(多孔質酸化ニッケル)等が使用できる。ラネーニッケルは、ラネーニッケル粉末を分散させたニッケルメッキ浴を用いてメッキを行うことで、ラネーニッケルを分散させたコーティングが得られる。ニッケル多孔質体としては、サーマルスプレーやプラズマ溶射によりニッケル粉末をコーティングする方法が利用できる。また酸化ニッケル粉末をサーマルスプレーやプラズマスプレーによりコーティングする方法も利用できる。更には、このような溶射によりコーティングした後、水素により還元して更に表面積を大きくする方法もある。なお、この種の多孔質電極触媒によるコーティングは、弾性体を構成する要素の一部、もしくは全部、つまり、集電体36のみならず、クッションマット37等に適用してもよい。
集電体36の強度については、隣接する陰極リブ21と陰極リブ21との間隔が100mmの場合、その中央部に3mHO/cmの圧力がかかっても0.5mm以下の撓みであれば導電性プレートとして使用できる。材質は、導電性の面からニッケル、ニッケル合金、ステンレススチール、軟鋼などが利用できるが、耐蝕性の面からニッケル或いは軟鋼やステンレススチールニッケル合金上にニッケルメッキを施したものが最も好ましい。このような集電体36の陰極リブ21への固定は、スポット溶接、レーザー溶接、Tig溶接等の手段で固定される。
クッションマット37は、集電体36と陰極38の間にあって集電体36及び陰極38と接しており、電気を陰極38に伝えること、陰極38から発生した水素ガスを集電体36までに抵抗なく通過させることが必要である。そして最も重要な役割は、イオン透過性隔膜10に接している陰極38に対し均一でイオン透過性隔膜10を損傷させない程度の適切な圧力を加えて、イオン透過性隔膜10と陰極38とを密着させることである。クッションマット37としては、通常公知のものが使用できる。例えば線径0.1mm程度のニッケル製ワイヤーを織ったものを波付け加工したものでよい。材質は通常は導電性の面からニッケル、ニッケル合金又はステンレススチール又は軟鋼にニッケルメッキを施したものが使用される。またこのようなクッションマットの厚みは、通常5mmから10mm程度のものが使用できる。
クッションマット37の柔軟性は、公知の範囲のものが使用できる。例えば50%圧縮変形時の反発力が30から50g/cmの弾性を有するものが使用できる。このようなクッションマット37は、導電性プレートからなる集電体36の上に重ねて使用する。この取り付け方法も通常公知の方法、例えばスポット溶接で適宜固定するか或いは樹脂製のピンや金属製のワイヤー等が使用できる。
クッションマット37の上には、本実施形態の如く、直接ゼロギャップ用陰極を重ねても良い。或いは別な導電性シートを介して陰極を重ねても良い。ゼロギャップに使用できる陰極基材としては、線径の小さいメッシュの小さい陰極が柔軟性も高く好ましい。このような基材材質は通常公知のものを使用できる。例えば、陰極38の基材としては、ニッケル、ニッケル合金、ステンレススチール、軟鋼、或いはニッケル合金又はステンレススチール又は軟鋼上にニッケルメッキを施したものを用いることができる。これらの基材の線形は0.05〜0.5mmで、目開きが30メッシュから80メッシュ程度の範囲であればよい。
ゼロギャップ用の陰極38のコーティングとしては、貴金属酸化物のコーティング或いはニッケル、コバルト、モリブデン、マンガンから選ばれた金属或いはその酸化物からなるコーティングが好ましい。その理由は、例えばニッケル酸化物をプラズマ溶射したコーティングでは、厚みが100ミクロン以上にもなり、柔軟性を要求されるゼロギャップ用の陰極38としては硬く脆いため、陰極38に接しているイオン透過性隔膜10が傷つく場合があった。コーティング厚みが薄ければ、陰極38の基材の柔軟性が損なわれず、イオン透過性隔膜10を損傷しないので好ましい。コーティングは厚すぎると前述のように、イオン透過性隔膜10を痛める場合があるだけでなく、陰極38の製作コストが上がるなどの不具合がある。また薄すぎると十分な活性が得られない。そのためコーティング厚みは、0.5ミクロンから50ミクロン程度が好ましく、最も好ましくは1ミクロンから10ミクロンの範囲である。
また、ゼロギャップ構造を実現するための陰極38は、クッションマットとスポット溶接、金属或いはプラスチック製のピンによる固定、或いはクッションマットの弾力性により押しつけ圧のいずれかにより固定される。
また、ゼロギャップ構造を実現するためには、陽極39そのものの形状も重要である。ゼロギャップ用の陽極には、イオン透過性隔膜が、従来のファイナイトギャップ電解セルより強く押しつけられるため、エキスパンドメタル基材を用いた陽極では開口部の端で、イオン透過性隔膜が破損すること或いは、開口部にイオン透過性隔膜が食い込んで、陰極とイオン透過性隔膜の間に隙間ができて電圧が上昇したりすることがあった。
上記の課題を解決するためには、陽極39として、出来るだけ平面的な形状とすることが必要である。そのためには、エクスパンド加工した基材をローラでプレスして平面状にすることが望ましい。一般にエクスパンド加工をするすると、その厚みは、加工する前の約1.5倍から2倍に見かけ厚みが増加する。しかしながら、このままで電解セル101に用いると前述の問題が生じるので、ロールプレス等の手段により圧延して、元の金属平板厚みの95%から110%まで厚みを薄くし平面化することが望ましい。
上記の処理を施して製造した陽極39をゼロギャップ用として用いることにより、イオン透過性隔膜10の損傷が防げるばかりでなく、意外なことに電圧も低減できる。この理由は明確ではないがイオン透過性隔膜10の表面と電極面が均一に接触するので電流密度が均一化するもためと予想される。
また、陽極39の厚みとしては、通常0.7mmから3mm程度が好ましい。この厚みがあまり薄すぎると、陽極室103と陰極室105の圧力差や陰極の押しつけ圧力によりイオン透過性隔膜10が陽極39を押しつける圧力で、陽極39が落ち込み、極間距離が広がり電圧が高くなるので好ましくない。また厚すぎると、コストが高くなるので好ましいのは、0.9mmから1.5mmの厚さである。
ゼロギャップ用の陽極39として用いる陽極基材の開口率としては、30%から70%であることが好ましい。開口率があまりに小さすぎると、発生したガスが電極から離れにくくなり電解電圧上昇の原因となる。また開口率が大きすぎても、電極の表面積が減少して、電圧が高くなるので好ましくない。したがって最も好ましいのは、開口率として40%から60%の範囲である。また陽極39の材質としては、ニッケル、ニッケル合金、軟鋼又はニッケル合金上にニッケルメッキを施した、エキスパンドメタル又は打ち抜き多孔板が使用でいる。
陽極39の表面コーティング層の凹凸は30ミクロン〜100ミクロンであることが好ましい。凹凸があまりに少ないと、イオン透過性隔膜10と陽極39が接触している場合その部分の電解液の供給が少なくなり、温度の上昇などが生じて隔膜を損傷する場合がある。また大きすぎるとイオン透過性隔膜10を損傷する場合がある。陽極39の表面の凹凸は、ゼロギャップ用の陰極38との組み合わせでない場合は特に限定されないが、できるだけ凹凸の少ないことが好ましい。
上述した電解ユニット12,12A,12B,120によれば、隔壁22と外枠フレーム16とが一体構造となっているので、例えば、電解ユニット12,12A,12B,120を多数配置し、その各々間にイオン透過性隔膜10、ガスケット9,11を挟んで電解セル101を形成して電解槽100を構成する際に、構成部品が少ない分、電解槽100の確実な組み立てを非常に簡便に行うことができる。
また、電解槽100の組み立てを確実に行えるということは、隔壁22、外枠フレーム16、陽極18,39等で構成される陽極室103、隔壁22、外枠フレーム、陰極19,38等により構成される陰極室105を、精度良く、十分に確保し易くなる。その結果、ガスの滞留の抑制、電解液と発生ガスを抜き出す際の圧力損失の低減にも効果的であり、高電流密度での電解を実現し易くなる。その理由としては、通常、電解槽の陽極側においては、気泡の影響が著しいが、本実施形態に係る電解ユニット12,12A,12B,120では、陽極室103と陰極室105とが十分な容積を有しているため、気泡による悪影響を軽減できるからである。
例えば4kA/m、0.1MPa、90℃の電解条件において、陽極室103の上部は気泡が充満しており、ガス液比が80%以上にもなる部分が発生する。このようなガス液比の大きな部分は電流密度が大きくなればなるほど拡大する傾向がある。このようなガス液比の大きな部分は流動性に欠けるため、ガスの滞留部分が生じる場合がある。ガスが大量に滞留すると、ガスがイオン透過性隔膜を透過しやすくなり、電流効率の低下やガス純度の低下や、ガスと液の排出の際に大きな圧力変動生ずる場合がある。電極室の上部のガス液比の大きな部分をできるだけ減少させるためには、電解圧力を大きくすることや、電解液の循環量を大幅に増大するなどの方法はあるが、設備建設コストが高くなる傾向があり好ましくない。本実施形態に係る電解ユニット12,12A,12B,120は、陽極室103、陰極室105が十分な容積を有しているので、ガスの滞留が少なく、液の流動性も確保できるため、気泡の上昇力を利用して電解液を循環することができ、ガスの排出も圧力の変動なくできる。
以上より、6kA/mのような従来のアルカリ水電解槽より大きな電流密度で安定して電解できることになるので、所望の水素発生量を確保できる電解槽100を製造する際の電解ユニット12,12A,12B,120の数を減少でき、設備費を削減できる。
また、上述の第1実施形態の変形例に係る電解ユニット12A,12Bや第2実施形態に係る電解ユニット120のように、ゼロギャップ構造を採用することにより、陰極19,38、イオン透過性隔膜10、及び陽極18,39を均一に密着できる。その結果、発生するガスは陰極19,38や陽極18,39の背面から抵抗なく抜き出せるだけでなく、気泡の滞留や、発生ガスを払い出す際の振動などを防止でき、電解電圧が非常に低い状態で安定した電解が長期間に渡り可能となる。
続いて、他の実施形態に係る電解ユニット200について、図17及び図18を参照して説明する。図17は電解ユニットの平面図であり、図18は図17のa−a線断面図である。電解ユニット200は、外枠フレーム208の形状が略矩形形状を呈している点で、上述の電解ユニット12,12A,12B,120と異なっている。
電解ユニット200は、陽極202側と陰極204側とを区画する矩形状の隔壁206を備え、隔壁206の外縁に沿って、隔壁206を取り囲むように環状の外枠フレーム208が配置されている。
隔壁206の外周には、隔壁206から延びて外枠フレーム208の一部を覆うように当接する陽極側フランジパン210が設けられている。また、隔壁206の外周には、隔壁206から延びて外枠フレーム208の一部を覆うように当接する陰極側フランジパン212が設けられている。陽極側フランジパン210と陰極側フランジパン212とによって、外枠フレーム208に取り付けられる金属薄板部214が構成される。
陽極側フランジパン210は、隔壁206から陽極202側に屈曲して形成される周壁部210aと、周壁部210aから更に屈曲して隔壁206の延在方向に延びるフランジ部210bとを備えている。また、陰極側フランジパン212は、外枠フレーム208を挟んで、陽極側フランジパン210に対して対称形状をなし、具体的には、隔壁206から陰極204側に屈曲して形成される周壁部212aと、周壁部212aから更に屈曲して隔壁22の延在方向向に延びるフランジ部212bとを備えている。
隔壁206は導電性の金属鋼板からなり、陽極側フランジパン210は、その金属鋼板を屈曲することで形成されている。したがって、隔壁206と陽極側フランジパン210とは一体的な部材である。また、陰極側フランジパン212は導電性の金属鋼板からなり、隔壁206に接合することで隔壁206に一体化されている。陰極側フランジパン212を隔壁206に接合する接合方法としては、レーザー溶接やTig溶接などにより電解液やガスが外部に漏れないように接合することが必要である。
また、陽極側フランジパン210と陰極側フランジパン212とは、外枠フレーム208を挟み、その一部を包むように設けられている。具体的には、陽極側フランジパン210の周壁部210aは、環状の外枠フレーム208の内周面の陽極202側の半分に当接し、陰極側フランジパン212の周壁部212aは、環状の外枠フレーム208の内周面の陰極204側の半分に当接している。また、陽極側フランジパン210のフランジ部210bは外枠フレーム208の陽極202側の側面に当接するように重なっており、陰極側フランジパン212のフランジ部212bは外枠フレーム208の陰極204側の側面に当接するように重なっている。
陽極側フランジパン210、及び陰極側フランジパン212と外枠フレーム208とは、溶接やその他の固定方法により隙間等ができないように固定されているほうが望ましいが、固定されていなくても、離脱しない手段で取り付けられていれば足りる。
隔壁206の上部において、陽極側フランジパン210の内側(下方)には、陽極上部カバープレート216Aが設けられている。陽極上部カバープレート216Aは、陽極側フランジパン210に沿った矩形形状のカバー本体216aと、カバー本体216aの下端で屈曲して隔壁206に当接する出口壁216bとを有し、出口壁216bには陽極上部孔218Aが形成されている。陽極側フランジパン210と、隔壁206と、陽極上部カバープレート216Aとにより陽極室出口空間部219Aが形成されている。陽極上部孔218Aは陽極室220の上部に連通している。
同様に、隔壁206の上部において、陰極側フランジパン212の内側(下方)には、陰極上部カバープレート216Bが設けられている。陰極上部カバープレート216Bは、陰極側フランジパン212に沿った矩形形状のカバー本体216cと、カバー本体216cの下端で屈曲して隔壁206に当接する出口壁216dとを有し、出口壁216dには陰極上部孔218Bが形成されている。陰極側フランジパン212と、隔壁206と、陰極上部カバープレート216Bとにより陰極室出口空間部219Bが形成されている。陰極上部孔218Bは陰極室222の上部に連通している。
また、隔壁206の下部において、陽極側フランジパン210の内側には、陽極下部カバープレート224Aが設けられている。陽極下部カバープレート224Aは、陽極側フランジパン210に沿った矩形形状のカバー本体224aと、カバー本体224aの上端で屈曲して隔壁206に当接する入口壁224bとを有し、入口壁224bには陽極下部孔226Aが形成されている。陽極側フランジパン210と、隔壁206と、陽極下部カバープレート224Aとにより陽極室入口空間部228Aが形成されている。陽極下部孔226Aは陽極室220の下部に連通している。
同様に、隔壁206の下部において、陰極側フランジパン212の内側(上方)には、陰極下部カバープレート224Bが設けられている。陰極下部カバープレート224Bは、陰極側フランジパン212に沿った矩形形状のカバー本体224cと、カバー本体224cの上端で屈曲して隔壁206に当接する入口壁224dとを有し、入口壁224dには陰極下部孔226Bが形成されている。陰極側フランジパン212と、隔壁206と、陰極下部カバープレート224Bとにより陰極室入口空間部228Bが形成されている。陰極下部孔226Bは陰極室222の下部に連通している。
陽極室入口空間部228Aには、陽極室220に電解液(陽極液)を導入するための陽極液導入孔230を備えた陽極液通過パイプ232(図17参照)が設けられており、陰極室入口空間部228Bには、陰極室222内に電解液(陰極液)を導入するための陰極液導入孔234を備えた陰極液通過パイプ236が設けられている。
陽極室出口空間部228Bには、陽極室220内から電解液(陽極液)とガスを抜き出すための陽極液及びガス排出孔238を備えた陽極液及びガス通過パイプ240(図17参照)が設けられており、陰極室出口空間部219Bには、陰極室222内から電解液(陰極液)とガスを抜き出すための陰極液及びガス排出孔242を備えた陰極液及びガス通過パイプ244が設けられている。
隔壁206の上部には、陽極液及びガス通過パイプ240、陰極液及びガス通過パイプ244に対応する位置に一対の開口部が形成されており、一方の開口部には、陽極液及びガス通過パイプ240が挿し込まれるように装着されており、他方の開口部には、陰極液及びガス通過パイプ244が挿し込まれるように装着されている。本実施形態では、陽極液及びガス通過パイプ240と陰極液及びガス通過パイプ244とによって、電解液及びガスの通過部が形成されている。
また、隔壁206の下部には、陽極液通過パイプ232、陰極液通過パイプ236に対応する位置に一対の開口部が形成されており、一方の開口部には、陽極液通過パイプ232が挿し込まれるように装着されており、他方の開口部には、陰極液通過パイプ236が挿し込まれるように装着されている。本実施形態では、陽極液通過パイプ232と陰極液通過パイプ236とによって、電解液の通過部が形成されている。
隔壁206には陽極リブ246と陰極リブ248が取り付けられている。陽極リブ246と陰極リブ248には、陽極202又は陰極204を支えるだけでなく、電流を隔壁206から陽極202又は陰極204へ伝える役割があるので、一般的に導電性の金属が用いられる。例えば、ニッケルメッキを施した軟鋼、ステンレススチール、ニッケル等が利用できる。また陽極リブ20及び陰極リブ21の厚みも、コストや製作性、強度等も考慮して0.5mm〜5mmの範囲から選ばれる。
以上の構成を有する電解ユニット200は、上述の電解ユニット12,12A,12B,120と同様の作用効果を有する。
以下に本発明を実施例に基づき説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
図3、及び図4に示される第1実施形態と同様な電解ユニット12を3セル使用し、図1の如く一方の端にプレスフランジ5、プレスフランジガスケット6、陽極ターミナルユニット8を配置し、もう一方の端には、陰極ターミナルユニット13、絶縁プレート41を取り付けたエンドプレスフランジ14を配列し、図2と同様な電解槽100を組み立てた。
電解ユニット12は外径700mmの円形で、陽極18及び陰極19の面積は0.25mとした。また、陽極室103の深さ(陽極室深さ)は15mm、陰極室105の深さ(陰極室深さ)は15mmとし、陽極側フランジパン23、陰極側フランジパン24の材質を、いずれもニッケルとした。高さ15mm、厚み1.5mmのニッケル製の陽極リブ20と、高さ13.5mm、厚み1.5mmのニッケル製の陰極リブ21を溶接により取り付けたニッケル製の隔壁22の厚みは1mmとした。
電解ユニット12に装着した陽極18には、厚さ1.5mmのニッケルのエキスパンドメタル上にプラズマ溶射により酸化ニッケルをコーティングして、電極の厚みを2mmとした。陰極19には、厚さ1.5mmのニッケルエキスパンドメタル上に、酸化ルテニウムを主成分としたコーティングを約5ミクロン厚みで施したものを用いた。
陽極ガスケット9及び陰極ガスケット11はEPDM製とし、厚み2mmのものを用いた。電解ユニット12の陽極18側の下部には、幅3mm、長さ10mmの角形の陽極下部孔43Aを設けた厚さ3mmのニッケル製の陽極下部カバープレート33Aを取り付けた。また陰極19側の下部には、幅3mm、長さ10mmの角形の陰極下部孔43Bを設けた厚さ3mmのニッケル製の陰極下部カバープレート33Bを取り付けた。陽極下部カバープレート33A及び陰極下部カバープレート33Bには、直径34mmの円形で内面を0.5mmの厚で、EPDMゴムでライニングした陽極液通過パイプ26及び陰極液通過パイプ27を設け、陽極液導入孔29及び陰極液導入孔30として直径10mmの穴を一つ設けた。
電解ユニット12の陽極18側上部には、幅3mm、長さ10mmの角形の陽極上部孔42Aを設けた厚さ3mmのニッケル製の陽極上部カバープレート28Aを取り付けた。また陰極19側の上部には、幅3mm、長さ10mmの角形の陰極上部孔42Bを設けた厚さ3mmのニッケル製の陰極上部カバープレート28Bを取り付けた。陽極上部カバープレート28A及び陰極上部カバープレート28Bは、断面積相当径70mmで、内面を0.5mmの厚みのEPDMゴムでライニングした陽極液及びガス通過パイプ31と、陰極液及びガス通過パイプ32とを設け、陽極液・ガス排出孔34と陰極液・ガス排出孔35として幅10mm、長さ50mmのスリットを設けた。隔壁22にも、上部に陽極液、陰極液、ガスが通過するための開口部を、陽極液及びガス通過パイプ31と陰極液及びガス通過パイプ32と同じ位置に同じ大きさで設けた。
このような電解ユニット12を使用した電解槽100に、イオン透過性隔膜10として当量重量950g/eqのフッ素系スルホン酸膜でPTFE芯材を有する厚み200ミクロンのイオン交換膜を装着し、23%NaOHを電解液として、80℃、電流密度2kA/m〜6kA/mで1週間電解し、電圧と水素ガス純度を測定した。水素ガス純度は、ガスクロマトグラフィー法により測定した。表1に結果を、示した。6kA/mの高電流密度においても、急激な電圧上昇もなく安定した電解ができた。
(実施例2)
図12及び図13に示される第1実施形態と同様な電解ユニット12を3セル使用し、図1の如く一方の端にプレスフランジ5、プレスフランジガスケット6、陽極ターミナルユニット8を配置し、もう一方の端には、陰極ターミナルユニット13、絶縁プレート41を取り付けたエンドプレスフランジ14を配列し、図2と同様な電解槽100を組み立てた。
電解ユニット12は外径700mmの円形で、陽極18及び陰極19の面積は0.25mとした。また、陽極室103の深さ(陽極室深さ)は15mm、陰極室105の深さ(陰極室深さ)は15mmとした。そして、高さ15mm、厚み1.5mmのニッケル製の陽極リブ20と、高さ13.5mm、厚み1.5mmのニッケル製の陰極リブ21とを、厚み1mmのニッケル製の隔壁22に溶接により取り付けた。樹脂製の外枠フレーム16は、隔壁22を挟んで芳香族アミンを含む硬化剤を用いたエポキシ樹脂で成形製作した。
電解ユニット12に装着した陽極18には、厚さ1.5mmのニッケルのエキスパンドメタル上にプラズマ溶射により酸化ニッケルをコーティングして、電極の厚みを2mmとした。陰極19には、厚さ1.5mmのニッケルエキスパンドメタル上に、酸化ルテニウムを主成分としたコーティングを約5ミクロン厚みで施したものを用いた。陽極ガスケット9及び陰極ガスケット11はEPDM製とし、厚み2mmのものを用いた。
樹脂製の外枠フレーム16下部の下側膨出部16bには、直径34mm円形の陽極液通過孔26b及び陰極液通過孔27bを設け、陽極液導入孔29及び陰極液導入孔30として直径10mmのパイプ状の穴を一つ設けた。
樹脂製の外枠フレーム16上部の上側膨出部16aには、断面積相当径70mmの陽極液・ガス通過孔31b及び陰極液・ガス通過孔32bを設け、陽極液・ガス排出孔34及び陰極液・ガス排出孔35として直径10mmのパイプ状の穴を5つ設けた。
このような電解ユニット12を使用した電解槽100に、イオン透過性隔膜10として当量重量950g/eqのフッ素系スルホン酸膜でPTFE芯材を有する厚み200ミクロンのイオン交換膜を装着し、23%NaOHを電解液として、80℃、電流密度2kA/m〜6kA/mで1週間電解し、電圧と水素ガス純度を測定した。水素ガス純度は、ガスクロマトグラフィー法により測定した。
表2に結果を示した。6kA/mの高電流密度においても、急激な電圧上昇もなく安定した電解ができた。
(実施例3)
電解ユニット12の代わりに図8〜図10に示される第2実施形態と同様な電解ユニット120を3セル使用し、図1の如く一方の端にプレスフランジ5、プレスフランジガスケット6、陽極ターミナルユニット8を配置し、もう一方の端には、陰極ターミナルユニット13、絶縁プレート41を取り付けたエンドプレスフランジ14を配列し、図2と同様な電解槽100を組み立てた。
電解ユニット12は外径700mmの円形で、陽極18及び陰極19の面積は0.25mとした。また、陽極室103の深さ(陽極室深さ)は15mm、陰極室105の深さ(陰極室深さ)は15mmとし、陽極側フランジパン23、陰極側フランジパン24の材質を、いずれもニッケルとした。高さ15mm、厚み1.5mmのニッケル製の陽極リブ20と、高さ13.5mm、厚み1.5mmのニッケル製の陰極リブ21を溶接により取り付けたニッケル製の隔壁22の厚みは1mmとした。
電解ユニット12に装着した陽極39には、厚さ1.5mmのニッケルのエキスパンドメタルをロールによりプレスして1.0mm厚みに平滑化した基材上にプラズマ溶射により酸化ニッケルをコーティングして、電極の厚みを1.5mmとした。
ゼロギャップモジュール(ゼロギャップ構造)としては図8の構造とした。即ち、集電体36としてニッケルエキスパンドメタルで厚み1.2mm、開口部の横方向長さ8mm、縦方向長さ5mmのものを用いた。クッションマット37として、0.1mmのニッケルワイヤー4本を用いて織物とし、更に波型に加工して厚さ9mmのものを、集電体上に5ヵ所スポット溶接して固定した。ゼロギャップ用の陰極38としては、線形0.15mmで40メッシュのニッケル製金網に酸化ルテニウムを主成分としたコーティングを3ミクロン施したものを用いた。
電解ユニット12の陽極39側の上部には、幅3mm、長さ10mmの角形の陽極上部孔42Aを設けた厚さ3mmのニッケル製の陽極上部カバープレート28Aを取り付けた。また陰極38側の上部には、幅3mm、長さ10mmの角形の陰極上部孔42Bを設けた厚さ3mmのニッケル製の陰極上部カバープレート28Bを取り付けた。
陽極上部カバープレート28A及び陰極上部カバープレート28Bには、断面積相当径70mm、内面を0.5mm厚みEPDMゴムでコーティングの陽極液及びガス通過パイプ31及び陰極液及びガス通過パイプ32を設け、陽極液・ガス排出孔34及び陰極液・ガス排出孔35として幅10mm、長さ50mmのスリットを設けた。隔壁22にも、上部に陽極液、陰極液、ガスが通過するための開口部を、陽極液及びガス通過パイプ31と陰極液及びガス通過パイプ32と同じ位置に同じ大きさで設けた。
このような電解槽100に、イオン透過性隔膜10として当量重量950g/eqのフッ素系スルホン酸膜でPTFE芯材を有する厚み200ミクロンのイオン交換膜を装着し、23%NaOHを電解液として、80℃、電流密度2kA/m〜6kA/mで1週間電解し、電圧と水素ガス純度を測定した。水素ガス純度は、ガスクロマトグラフィー法により測定した。
表3に結果を示した。6kA/mの高電流密度においても、急激な電圧上昇もなく安定した電解ができるだけでなく電解電圧も低かった。
(実施例4)
電解ユニット12の代わりに図9、図16、図10に示される第4実施形態と同様な電解ユニット120を3セル使用し、図1の如く一方の端にプレスフランジ5、プレスフランジガスケット6、陽極ターミナルユニット8を配置し、もう一方の端には、陰極ターミナルユニット13、絶縁プレート41を取り付けたエンドプレスフランジ14を配列し、図2と同様な電解槽100を組み立てた。
複極式アルカリ水電解ユニット120は外径700mmの円形で、陽極18及び陰極19の面積は0.25mとした。また、陽極室103の深さ(陽極室深さ)は15mm、陰極室105の深さ(陰極室深さ)は15mmとした。そして、高さ15mm、厚み1.5mmのニッケル製の陽極リブ20と、高さ13.5mm、厚み1.5mmのニッケル製の陰極リブ21とを、厚み1mmのニッケル製の隔壁22に溶接により取り付けた。樹脂製の外枠フレーム16は、隔壁22を挟んで芳香族アミンを含む硬化剤を用いたエポキシ樹脂で成形製作した。
電解ユニット120に装着した陽極39には、厚さ1.5mmのニッケルのエキスパンドメタルをロールによりプレスして1.0mm厚みに平滑化した基材上にプラズマ溶射により酸化ニッケルをコーティングして、電極の厚みを1.5mmとした。
ゼロギャップモジュール(ゼロギャップ構造)としては図10の構造とした。即ち、集電体36として、ニッケルエキスパンドメタルで厚み1.2mm、開口部の横方向長さ8mm、縦方向長さ5mmのものを用いた。クッションマット37として、0.1mmのニッケルワイヤー4本を用いて織物とし、更に波型に加工して厚さ9mmのものを、集電体上に5ヵ所スポット溶接して固定した。ゼロギャップ用の陰極38としては、線形0.15mmで40メッシュのニッケル製金網に酸化ルテニウムを主成分としたコーティングを3ミクロン施したものを用いた。
樹脂製の外枠フレーム16下部の下側膨出部16bには、直径34mm円形の陽極液通過孔26b及び陰極液通過孔27bを設け、陽極液導入孔29及び陰極液導入孔30として直径10mmのパイプ状の穴を一つ設けた。
樹脂製の外枠フレーム16上部の上側膨出部16aには、断面積相当径70mmの陽極液・ガス通過孔31b及び陰極液・ガス通過孔32bを設け、陽極液・ガス排出孔34及び陰極液・ガス排出孔35として直径10mmのパイプ状の穴を5つ設けた。
このような電解ユニット120を使用した電解槽100に、イオン透過性隔膜10として当量重量950g/eqのフッ素系スルホン酸膜でPTFE芯材を有する厚み200ミクロンのイオン交換膜を装着し、23%NaOHを電解液として、80℃、電流密度2kA/m2〜6kA/mで1週間電解し、電圧と水素ガス純度を測定した。水素ガス純度は、ガスクロマトグラフィー法により測定した。
表4に結果を示した。6kA/mの高電流密度においても、急激な電圧上昇もなく安定した電解ができるだけでなく電解電圧も低かった。
(電極Aの作製)
粒径が0.2〜2μmである酸化ニッケル粉末100重量部、アラビアゴム2.25重量部、カルボキシルメチルセルロース0.7重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.001重量部、及び水100重量部を混合・攪拌して、懸濁液を調整した。噴霧乾燥造粒機を用いて、懸濁液から、粒径が5〜50μmである造粒物を調製した。
造粒成形物をプラズマ溶射法によって導電性基材の両面に吹き付けた。以上の工程により、導電性基材と、導電性基材を被覆する触媒層と、を備える電極Aを得た。なお、電極Aが備える触媒層は、下記の電極B,C,D,E,F,G及びHが備える各触媒層の前駆体に相当する。
導電性基材としては、予めブラスト処理を施したニッケルエクスパンド基材を用いた。基材の厚みは1mmであった。プラズマ溶射法では、プラズマガスとして、アルゴンと窒素とを1:0.8の割合で混合したガスを用いた。導電性基材の表面を被覆する触媒層の前駆体の厚みは、240μmに調整した。導電性基材の裏面を被覆する触媒層の前駆体の厚みは、160μmに調整した。
(電極Bの作製)
上記と同様の方法で、電極Aを作製した。切断加工により、電極Aの寸法を、縦3cm×横3cmに調整した。この電極を、長さ80cm、内径50mmの石英管中に設置した。この石英管を、幅60cmの環状炉内に差し込んで、石英管内を300℃に加熱し、石英管内へ水素気流を2時間供給し続けることにより、触媒層の前駆体を還元した。以上の工程により、導電性基材と、導電性基材を被覆する触媒層と、を備える、電極Bを得た。
(電極Cの作製)
石英管内を600℃に加熱しながら触媒層の前駆体を還元したこと以外は、電極Bと同様の方法法で、電極Cを得た。
(電極Dの作製)
石英管内を180℃に加熱しながら触媒層の前駆体を還元したこと以外は、電極Bと同様の方法法で、電極Dを得た。
(電極Eの作製)
石英管内を200℃に加熱しながら触媒層の前駆体を還元したこと以外は、電極Bと同様の方法法で、電極Eを得た。
(電極Fの作製)
石英管内を250℃に加熱しながら触媒層の前駆体を還元したこと以外は、電極Bと同様の方法法で、電極Fを得た。
(電極Gの作製)
上記と同様の方法で、電極Aを作製した。切断加工により、電極Aの寸法を、縦3cm×横3cmに調整した。この電極を陰極としてNaOHの水溶液中に漬けて電気分解を行い、陰極で水素を発生させた。NaOHの水溶液の濃度は32重量%であり、液温は90℃に調整した。この電解により、触媒層の前駆体を還元した。電解による還元は、90日間継続した。電解時の陰極の電流密度は0.6A/cmに維持した。以上の工程により、導電性基材と、導電性基材を被覆する触媒層と、を備える、電極Gを得た。
(電極Hの作製)
電解による触媒層の前駆体の還元を180日間継続したこと以外は、電極Gと同様の方法で、電極Hを得た。
[比表面積の測定]
電極Aの導電性基材から剥がした触媒層を(株)島津製作所製の試料前処理装置バキュプレップ中に設置した。触媒層が設置されたチャンバー内を排気して、触媒層を80℃の真空雰囲気下に2時間保持することにより、比表面積の測定に用いる試料を得た。定容のガス吸着法によって、試料の吸脱着等温線を測定した。BJH(Barrett‐Joyner‐Halenda)法により、吸脱着等温線から、試料中の細孔の孔径と各孔径における細孔の比表面積(単位:m/g・nm)を算出した。吸脱着等温線の測定では、(株)島津製作所製の自動比表面積/細孔分布測定装置「トライスターII3020」を用いた。ガス吸着法では、吸着ガスとして窒素ガスを用い、冷媒として液体窒素を用いた。
各孔径における細孔の比表面積を積算した。これにより、電極Aの触媒層中の細孔のうち孔径が2〜5nmの範囲内である第一細孔の比表面積(単位:m/g)を求めた。同様の方法で、電極Aの触媒層中の細孔のうち孔径が0.01〜2.00μmの範囲内である第二細孔の比表面積(単位:m/g)を求めた。結果を表5に示す。
電極Aの場合と同様の方法で、電極B,C,D,E,F,G及びHの各触媒層中の第一細孔の比表面積及び第二細孔の比表面積を求めた。結果を表5に示す。
[細孔の容積の測定]
電極Aの導電性基材から剥がした触媒層中の細孔の孔径と各孔径における細孔容積を、水銀圧入法によって測定した。細孔容積の測定には、(株)島津製作所製の自動ポロシメータ「オートポア9520」を用いた。各孔径における細孔容積を積算した。これにより、電極Aの触媒層中の細孔のうち孔径が2〜5nmの範囲内である第一細孔の細孔容積(単位:ml/g)を求めた。同様の方法で、電極Aの触媒層中の細孔のうち孔径が0.01〜2.00μmの範囲内である第二細孔の細孔容積(単位:ml/g)を求めた。結果を表5に示す。
電極Aの場合と同様の方法で、電極B,C,D,E,F,G及びHの各触媒層中の第いい細孔の細孔容積及び第二細孔の細孔容積を求めた。結果を表5に示す。
[INi/(INi+INiO)の測定]
XRDの測定結果に基づき、各電極の触媒層の表面のINi/(INi+INiO)を求めた。結果を表1に示す。表1中の「金属Ni比」とは、[INi/(INi+INiO)]×100を意味する。[INi/(INi+INiO)]×100の値が大きいことは、各触媒層における金属ニッケルの含有率が高いことを意味する。
[酸素発生電位の測定]
縦2cm×横2cmに切断加工した電極Aを、フッ素樹脂製ビーカーを満たすKOHの水溶液に浸漬した。KOHの水溶液の温度は90℃に維持した。水溶液におけるKOHの濃度は30重量%であった。電極A(陽極)、白金金網(陰極)及び陰極の周りを覆うフッ素樹脂の筒を備え、これらの電気伝導性が確保された装置で、KOHの水溶液の電気分解を行い、電極Aにおいて酸素を発生させた。フッ素樹脂の筒としては、その周りに多数の1mmφの穴を開けたものを用いた。電気分解は、発生するガスの混合を防止しながら実施した。電気分解における電流密度は0.6A/cmに調整した。電気分解時の電極Aにおける酸素発生電位を測定した。酸素発生電位は、液抵抗によるオーム損の影響を排除するために、ルギン管を使用する三電極法によって測定した。ルギン管の先端と陽極との間隔は、常に1mmに固定した。酸素発生電位の測定装置としては、ソーラートロン社製の「1470BECシステム」を用いた。三電極法用の参照極としては、銀−塩化銀(Ag/AgCl)を用いた。三電極法を使用しても排除しきれないオーム損を電流遮断法で測定し、該オーム損の測定値に基づき酸素発生電位を補正した。オーム損の測定には、北斗電工社製の定電流パルス発生器「HC−2005」を使用した。
電極Aの代わりに、電極B,C,D,E,F,G及びHのいずれか一つを陽極として用いたこと以外は、電極Aを用いた場合と同様の方法で、各電極における酸素発生電位を測定した。各電極の酸素発生電位(単位:mV v.s. Ag/AgCl)を表5に示す。なお、酸素発生電位が低いことは、酸素発生過電圧が低いことを意味する。
各電極の触媒層中に形成された細孔の孔径と、各孔径における細孔の比表面積との関係を図19及び図20に示す。図19は、上記のBJH法による比表面積の測定結果に基づくものである。図19の縦軸は、BJH法により求めた積算比表面積の差分細孔容積dVを、細孔の孔径の差分値dで割った値(微分細孔比表面積)である。図19の横軸は、比表面積の各測定区間における細孔の孔径の平均値である。図20に示すデータは、縦軸の単位を積算細孔比表面積に替えたこと以外は、図19に示すデータと同じである。
図20中に示す区間[2nm,5nm]の積算細孔比表面積の積分値は、触媒層中の細孔うち孔径が2〜5nmの範囲内である第一細孔の比表面積であり、表5中の第一細孔の「比表面積」に相当する。表5中の第一細孔の「比表面積」と酸素発生電位との関係を図21に示す。
各電極の触媒層中に形成された細孔の孔径と、各孔径における細孔容積との関係を図4及び図23に示す。図22は、上記の水銀圧入法による細孔容積の測定結果に基づくものである。図22の縦軸は、Log微分細孔容積であり、ΔV/Δ(Log(d))と定義される。ΔV/Δ(Log(d))は、水銀圧入法により求めた積算細孔容積Vの差分細孔容積ΔV=V2−V1を、細孔径dの対数差分値ΔLogd=Logd2−Logd1で割った値である。図22は、第二細孔のLog微分細孔容積の分布を示している。図23の縦軸は、積算細孔容積である。積算細孔容積は、Log微分細孔容積をdV/d(Log(d))に従い積分した値である。
図23中に示す区間[0.01μm,2.00μm]の積算細孔容積は、0.01μmの積分細孔容量と2μmの積分細孔容量との差で示され、触媒層中の第二細孔容積であり、表5中の第二細孔の「細孔容積」に相当する。
表5中の第二細孔の「細孔容積」と酸素発生電位との関係を図24に示す。
[積算還元電流量の測定]
縦2cm×横2cmに切断加工した電極Aを、フッ素樹脂製ビーカーを満たすKOHの水溶液に浸漬した。KOHの水溶液の温度は90℃に維持した。水溶液におけるKOHの濃度は30重量%であった。電極Aを作用極とし、白金金網を対極とし、その対極の周りを、多数の1mmφの穴をあけた半径15mmの筒で覆い、これらの電気伝導性を確保するとともに、発生するガスの混合を防止しつつ、KOHの水溶液中での電極Aの電流電位曲線を測定した。電流電位曲線の測定前に、予備電解として、電流密度を0.4A/cmに調整して、30分の間電気分解を行い、酸素を発生させた。電流電位曲線の測定開始電位(高電位側の電位)は、電流密度0.4A/cmにおける酸素発生電位(単位:V v.s. Ag/AgCl)に設定した。低電位側の測定電位は、電極表面(触媒層)が金属ニッケルに還元される電位よりも低い電位(−1.1V v.s. Ag/AgCl)とした。電位のスイープ速度を20mV/毎秒に設定し、高電位側の電位から低電位側の電位(−1.1V v.s. Ag/AgCl)まで電極Aの触媒層の電位をスイープさせ、安定した電流-電位曲線が得られるまで6回測定を繰り返した。この6回目に測定した電流-電位曲線にの0Vから0.3Vの範囲に現れる電極Aの還元ピークを積分し、0Vから0.3Vの範囲の積算還元電流量を算出した。電極Aの場合と同様の方法で、電極B,C,D,E,F,G及びHの電流電位曲線を測定し、0Vから0.3Vの範囲に現れる還元ピークを積分し、0Vから0.3Vの積算還元電流量を算出した。各電極の電位は、液抵抗によるオーム損の影響を排除するために、ルギン管を使用する三電極法によって測定した。ルギン管の先端と陽極との間隔は、常に1mmに固定した。電位の測定装置としては、ソーラートロン社製の「1470BECシステム」を用いた。三電極法用の参照極としては、銀−塩化銀(Ag/AgCl)を用いた。還元ピークの積分には、電気化学測定用の解析ソフト「CView(Version: 3.10)」を用いた。各電極の電流電位曲線を図23に示す。
各電極の触媒層の電流電位曲線を図25に示す。表5に示す積算還元電気量(単位:Coulomb/g)は、図25の電流電位曲線の0V〜0.28Vの範囲に現れている積算還元電流量である。電極B、D、E、G、Hの電流電位曲線は、その積算還元電流量が電極Aに比べて大幅に大きく、電解電圧が急速に低下しても、その大きな積算還元電流量により、電位が一定に保たれ、電極表面の変化を防止できる可能性のあることを示している。
電極B、D、E、F、G、Hの酸素発生電位は、電極Aの酸素発生電位よりも低かった。電極D、E、F、G、Hの酸素発生電位は電極Bの酸素発生電位よりも大幅に低かった。電極Bと電極Eとは、孔径が0.01〜2.00μmである第二細孔の細孔容積はほぼ同じであるが、電極Eでは、第一細孔の比表面積が0.6〜2.0m/gの範囲内であるため、電極Bに比べて酸素発生電位が大幅に低下することが分かった。
電極Hの酸素発生電位は電極Gの酸素発生電位よりも若干低かった。電極Gの第一細孔の比表面積は電極Hよりも大きかったが、電極Hの第二細孔の細孔容積は電極Gよりも大きかった。このことから、第二細孔の細孔容積が大きいほど、酸素発生電位が低下し易いことが分かった。
電極E、B、Cの比較から、水素還元時の温度が高いほど、第一細孔の比表面積が減少する傾向があり、第一細孔の比表面積の減少に伴って酸素発生電位が高くなる傾向が確認された。特に、600℃で水素還元を行った電極Cの触媒層の第一細孔の比表面積は0であった。この電極Cの酸素発生電位は触媒層の還元を行っていない電極Aよりも高かった。このことから、酸素発生電位を低下させるためには、低温で酸化ニッケルの水素による還元を行い、第一細孔の比表面積をできる限り大きくしたほうが良いことが確認された。
本発明は、アルカリ水電解により酸素と水素を発生させるための電解槽に利用できる。
1…陽極液入口ノズル、2…陰極液入口ノズル、3…ガス出口ノズル、4…ガス出口ノズル、5…プレスフランジ、5a…カバー部、5b…外枠、5c…補強リブ、6…プレスフランジガスケット、6a…流路孔、6b…流路孔、6c…流路孔、6d…流路孔、6e…孔部、7A…陽極用給電端子、7B…陰極用給電端子、7C…給電端子、8…陽極ターミナルユニット、8a…陽極、9…陽極ガスケット、10…イオン透過性隔膜、11…陰極ガスケット、12,12A,12B,120,200…複極式アルカリ水電解ユニット(電解ユニット)、13…陰極ターミナルユニット、13a…陰極、14…エンドプレスフランジ、15…タイロッド、16…外枠フレーム(外枠)、16a…上側膨出部、16b…下側膨出部、18…陽極、19…陰極、20…陽極リブ、21…陰極リブ、22…隔壁(導電性隔壁)、22…導電性隔壁、23…陽極側フランジパン、23c…陽極側外枠フランジ面、24…陰極側フランジパン、24c…陰極側外枠フランジ面、26…陽極液通過パイプ、26b…陽極液通過孔、27…陰極液通過パイプ、27b…陰極液通過孔、29…陽極液導入パイプ、30…陰極液導入パイプ、31…陽極液・ガス通過パイプ、31b…陽極液・ガス通過孔、32…陰極液・ガス通過パイプ、32b…陰極液・ガス通過孔、34…陽極液・ガス排出パイプ、35…陰極液・ガス排出パイプ、36…集電体、37…クッションマット、38…陰極、39…陽極、41…絶縁プレート、100…電解槽、101…電解セル、103…陽極室、105…陰極室、111A…バネ、111B…バネ、Fa…陽極側フランジパンのフランジ面、Fb…陰極側フランジパンのフランジ面、Fx…陽極側基準面、Fy…陰極側基準面。

Claims (25)

  1. 導電性基材と、前記導電性基材上に配置された触媒層と、を備えたアルカリ水電解用陽極であって、
    前記触媒層は、ニッケルの金属結晶を含み、且つ、細孔を有し、
    前記触媒層の細孔のうち、
    孔径が2〜5nmの範囲内である第一細孔の比表面積が0.6〜2.0m/gであり、
    前記第一細孔の細孔容積が3×10−4〜9×10−4ml/gであり、
    前記細孔のうち、孔径が0.01〜2.00μmの範囲内である第二細孔の比表面積が2.0〜5.0m/gであり、
    前記第二細孔の細孔容積が0.04〜0.2ml/gであり、
    前記触媒層の前記ニッケルの金属結晶の(1 1 1)面によって回折されるX線のピーク強度がINiであり、前記触媒層のNiOの(0 1 2)面によって回折されるX線のピーク強度がINiOであるとき、[INi/(INi+INiO)]×100の値が75〜100%である、アルカリ水電解用陽極。
  2. 前記触媒層の厚みが50〜800μmである、請求項1に記載のアルカリ水電解用陽極。
  3. 請求項1又は2に記載のアルカリ水電解用陽極の製造方法であり、
    前記触媒層は、
    酸化ニッケルを溶射法によって導電性基材に吹き付ける第一工程と、
    前記導電性基材に吹付けられた前記酸化ニッケルを還元する第二工程と、により形成されている、アルカリ水電解用陽極の製造方法。
  4. 前記第二工程において、前記触媒層は、前記導電性基材に吹付けられた前記酸化ニッケルを陰極として用いた水の電解によって、前記導電性基材に吹付けられた前記酸化ニッケルを還元することにより形成されている、請求項3に記載のアルカリ水電解用陽極の製造方法。
  5. 前記第二工程において、前記触媒層は、前記導電性基材に吹付けられた前記酸化ニッケルを水素によって還元することにより形成されている、請求項3に記載のアルカリ水電解用陽極の製造方法。
  6. 前記第二工程において、前記触媒層は、前記導電性基材に吹付けられた前記酸化ニッケルを180〜250℃の範囲で水素によって還元することにより形成されている、請求項3に記載のアルカリ水電解用陽極の製造方法。
  7. 前記触媒層は、前記第一工程の前に前記酸化ニッケルの造粒を行う工程を経て形成されており、
    造粒する前の酸化ニッケル粉末の粒子径が、1.0〜5.0μmである、請求項4〜6のいずれか一項に記載のアルカリ水電解用陽極の製造方法。
  8. アルカリ水からなる電解液を電解して酸素及び水素を得る電解槽を構成する複極式アルカリ水電解ユニットであって、
    酸素発生用の多孔質体からなる陽極と、
    水素発生用の陰極と、
    前記陽極と前記陰極とを区画する導電性隔壁と、
    前記導電性隔壁を取り囲む外枠と、
    前記陽極及び前記陰極の上部と外枠の上部との間に設けられたガス及び電解液の通過部と、
    前記陽極及び前記陰極の下部と外枠の下部との間に設けられた電解液の通過部と、を備え、
    前記ガス及び電解液の通過部と前記電解液の通過部とは、前記導電性隔壁に対して交差する方向に沿って延在し、
    前記陽極は、導電性基材と、前記導電性基材上に配置された触媒層と、を備え、
    前記触媒層は、ニッケルの金属結晶を含み、且つ、細孔を有し、
    前記触媒層の細孔のうち、
    孔径が2〜5nmの範囲内である第一細孔の比表面積が0.6〜2.0m /gであり、
    前記第一細孔の細孔容積が3×10 −4 〜9×10 −4 ml/gであり、
    前記細孔のうち、孔径が0.01〜2.00μmの範囲内である第二細孔の比表面積が2.0〜5.0m /gであり、
    前記第二細孔の細孔容積が0.04〜0.2ml/gであり、
    前記触媒層の前記ニッケルの金属結晶の(1 1 1)面によって回折されるX線のピーク強度がINiであり、前記触媒層のNiOの(0 1 2)面によって回折されるX線のピーク強度がINiOであるとき、[INi/(INi+INiO)]×100の値が75〜100%である、複極式アルカリ水電解ユニット。
  9. 前記陽極又は陰極は、導電性弾性体を介して、前記導電性隔壁に支持されている、請求項8に記載の複極式アルカリ水電解ユニット。
  10. 前記陽極又は陰極は、導電性支持体を介して、前記導電性隔壁に支持されている、請求項8または9に記載の複極式アルカリ水電解ユニット。
  11. 前記導電性隔壁から延び、少なくとも前記外枠の一部を覆う金属薄板部を備え、
    前記外枠は、前記金属薄板部に固定されて一体構造となる、請求項8〜10のいずれか一項に記載の複極式アルカリ水電解ユニット。
  12. 前記金属薄板部は、前記陽極側で前記外枠に重なる陽極側フランジパンと、前記陰極側で前記外枠に重なる陰極側フランジパンと、を有し、
    前記外枠は、前記陽極側フランジパンのフランジ部と前記陰極側フランジパンのフランジ部との間に挟まれており、
    前記導電性隔壁の前記陽極側の表面を含む陽極側基準面から前記陽極側フランジパンのフランジ面までの間隔、及び、前記導電性隔壁の前記陰極側の表面を含む陰極側基準面から前記陰極側フランジパンのフランジ面までの間隔が、5mm以上40mm以下である、請求項11に記載の複極式アルカリ水電解ユニット。
  13. 前記外枠の一部又は全部が樹脂であり、前記導電性隔壁を取り囲み、該導電性隔壁を挟持する外枠を備えている、請求項8〜10のいずれか一項に記載の複極式アルカリ水電解ユニット。
  14. 前記外枠の陽極側表面と隔壁の陽極側表面までの間隔及び前記外枠の陰極側表面と隔壁の陰極側表面までの間隔が、5mm以上40mm以下である、請求項8〜10又は13のいずれか一項に記載の複極式アルカリ水電解ユニット。
  15. 前記外枠が、前記導電性隔壁の前記陽極側に配置される陽極側フレーム部と前記導電性隔壁の前記陰極側に配置される陰極側フレーム部とに分割されており、
    前記導電性隔壁の一部が前記陽極側フレーム部と前記陰極側フレーム部とに挟み込まれている、請求項8〜10のいずれか一項に記載の複極式アルカリ水電解ユニット。
  16. 前記陽極側フレーム部の厚み及び前記陰極側フレーム部の厚みが5mm以上40mm以下である、請求項15に記載の複極式アルカリ水電解ユニット。
  17. 前記導電性弾性体は、バネである、請求項9に記載の複極式アルカリ水電解ユニット。
  18. 前記導電性弾性体が、集電体とクッションマット層からなり、前記陰極又は陽極は前記クッションマット層に隣接している、請求項9に記載の複極式アルカリ水電解ユニット。
  19. 前記外枠は、塩化ビニール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、エポキシ樹脂、ニッケル、ニッケル合金、ステンレススチール、軟鋼又はステンレススチールにニッケルメッキを施したものから選ばれた材料からなる、請求項8〜18のいずれか一項に記載の複極式アルカリ水電解ユニット。
  20. 前記陰極は、軟鋼、ステンレススチール、ニッケル合金基材、軟鋼又はニッケル合金上にニッケルメッキを施した基材に白金族金属、ニッケル、コバルト、モリブデン、又はマンガンから選ばれた金属或いはそれらの合金又は酸化物からなるコーティングが施されている、請求項8〜19のいずれか一項に記載の複極式アルカリ水電解ユニット。
  21. 前記導電性隔壁には、前記陽極、前記陰極、又は前記バネを固定するためのリブが取り付けられている、請求項17に記載の複極式アルカリ水電解ユニット。
  22. 前記導電性隔壁には、前記陽極、前記陰極、又は前記集電体を固定するためのリブが取り付けられている、請求項18に記載の複極式アルカリ水電解ユニット。
  23. 少なくとも前記隔壁、前記導電性弾性体の一部、又は前記集電体のいずれかの表面にラネーニッケル、多孔質ニッケル、多孔質酸化ニッケルから選ばれたがいずれかがコーティングされている、請求項18に記載の複極式アルカリ水電解ユニット。
  24. 前記陽極及び前記陰極の下部と外枠の下部との間に設けられた電解液の通過部と、を備え、
    前記陽極及び前記陰極の上部と外枠の上部との間に設けられた前記ガス及び電解液の通過部は、陽極液及びガス通過パイプと陰極液及びガス通過パイプとであり、
    前記陽極及び前記陰極の下部と外枠の下部との間に設けられた前記電解液の通過部は、陽極液通過パイプと陰極液通過パイプとであり、各パイプの内面が、ゴム又は樹脂によりライニングされている、請求項8〜23のいずれか一項に記載の複極式アルカリ水電解ユニット。
  25. アルカリ水からなる電解液を電解して酸素、及び水素を得るための電解槽であって、
    請求項8〜24のいずれか一項に記載の複数の前記複極式アルカリ水電解ユニットと、
    陽極用給電端子及び陽極が設けられた陽極ターミナルユニットと、
    陰極用給電端子及び陰極が設けられた陰極ターミナルユニットと、
    複数のイオン透過性隔膜と、を備え、
    前記複極式アルカリ水電解ユニットは、前記陽極ターミナルユニットと前記陰極ターミナルユニットとの間に配置され、
    前記イオン透過性隔膜は、前記陽極ターミナルユニットと前記複極式アルカリ水電解ユニットとの間、隣接して並ぶ複極式アルカリ水電解ユニット同士の間、及び前記複極式アルカリ水電解ユニットと前記陰極ターミナルユニットとの間に配置される、電解槽。
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