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JP6243728B2 - 皮膚貼付用シート - Google Patents

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JP6243728B2 JP2013267031A JP2013267031A JP6243728B2 JP 6243728 B2 JP6243728 B2 JP 6243728B2 JP 2013267031 A JP2013267031 A JP 2013267031A JP 2013267031 A JP2013267031 A JP 2013267031A JP 6243728 B2 JP6243728 B2 JP 6243728B2
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Description

本発明は、皮膚貼付用シートに関する。
従来より、冷却効果をもたらす層を備えたシートとして種々のものが開発されており、さらに支持層や剥離層等を積層した多層構造を有するものも存在している。こうしたシートを皮膚に貼付した際、水の気化熱によって局所に冷感を及ぼすことが可能であることから、冷却効果をもたらす層として、含水ゲルのように水分を多く含む層を設けたシートが多く知られている。
例えば、特許文献1には、支持体(A)に分離層(B)、及びゼラチンやカルボキシメチルセルロース等を用いた粘着層(C)を順次積層してなる含水貼付剤が開示され、特許文献2には、非吸水性不織布と吸水性不織布を積層し、吸水性不織布の面に含水ゲルを展膏した冷却シートが開示されている。また、特許文献3には、保水蒸発材層と親水性粘着剤層を積層した冷却シートが開示されており、保水蒸発材層は、ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンを混合した疎水性不織布等の基材と、綿のような保水蒸発材とを積層したものであることが記載されている。
特開2005−111159号公報 特開2000−154469号公報 特開平10−216169号公報
しかしながら、特許文献1の貼付剤では、水を含む粘着剤層の剥離性等を高めるために支持体や分離層が粘着剤層上に積層されているにすぎず、製造時から保存時、ひいては使用時に至るまで、各層間における水分の移動を効果的かつ十分に制御し得るものではない。また、特許文献2のようなシートでは、外界に接するシートの表面が非吸水性や疎水性の層であるため、不要な水分蒸発は抑制し得るものの、水の気化熱を最大限活用することができず、また製造時や保存時において、含水ゲル層からのゲルや水分の浸み出しを有効に抑制できないおそれもある。特許文献3のシートでは、ゲル層と保水蒸発層の間に非吸水性繊維層を含むために、ゲル層に含まれる水分が保水蒸発層に移行し難く気化熱による冷却効果が不十分である。
したがって、本発明は、製造時や保存時においては、含水ゲル層からのゲルや水分の浸み出しを有効に抑制しつつ、使用時においては、シート内の層間で水分を効果的に移行させることのできる皮膚貼付用シートに関する。
そこで本発明者は、種々検討したところ、含水高分子ゲル層に吸水性繊維の含有量が異なる2種の繊維層を備える繊維層と、含水高分子ゲル層を積層するシートとすることにより、製造時から保存時、ひいては使用時に至るまで、不要なゲルや水分の浸み出しを抑制しつつ、シート内における水分の移動を効果的に制御し得る皮膚貼付用シートが得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の繊維層(A−1)及び繊維層(A−2):
(A−1)吸水性繊維を5質量%以上45質量%以下含有する繊維層、及び
(A−2)繊維層(A−1)中における吸水性繊維の含有量よりも多く吸水性繊維を含有する繊維層
を備える繊維層(A)と含水高分子ゲル層(B)が積層されてなり、かつ繊維層(A−1)と含水高分子ゲル層(B)とが隣接してなる皮膚貼付用シートに関する。
本発明の皮膚貼付用シートによれば、製造時や保存時には、含水高分子ゲル層からの不要なゲルや水分の浸み出しを有効に防止するとともに、使用時には含水高分子ゲル層から繊維層へ効果的に水分を移動させ、容易に水分を蒸発させることができ、水の気化熱による冷却効果を十分に発揮させることができる。
実施例1〜2及び比較例1〜4のシートを皮膚に貼付した際における、貼付から30分経過後及び60分経過後のホットプレートの温度変化を示すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の皮膚貼付用シートは、吸水性繊維を5質量%以上45質量%以下含有する繊維層(A−1)、及び繊維層(A−1)中における吸水性繊維の含有量よりも多く吸水性繊維を含有する繊維層(A−2)を備える繊維層(A)と、含水高分子ゲル層(B)が積層されてなり、かつ繊維層(A−1)と含水高分子ゲル層(B)とが隣接してなる。すなわち、使用時には、含水高分子ゲル層(B)の一方の面を皮膚に貼付して用いるものであり、含水高分子ゲル層(B)の他方の面に繊維層(A−1)が積層され、さらに繊維層(A−1)の上に繊維層(A−2)がこの順に積層されてなり、繊維層(A−2)の面のうち繊維層(A−1)が積層されてなる面とは反対側の面が外界と接することとなる。
本発明の皮膚貼付用シートに積層される繊維層(A)は、吸水性繊維の含有量が互いに異なる繊維層(A−1)及び繊維層(A−2)を備え、繊維層(A−1)と後述する含水高分子ゲル層(B)とが隣接してなる。これにより、製造時や保存時においては、後述する含水高分子ゲル層(B)と直接接する繊維層(A−1)によって、含水高分子ゲル層(B)からゲルや水分が浸み出してしまうのを有効に防止するとともに、使用時には含水高分子ゲル層(B)から繊維層(A−1)へと移行してきた水分をさらに繊維層(A−2)へと効率よく移行させ、貼付した皮膚を効果的かつ持続的に冷却することができる。
繊維層(A−1)は、吸水性繊維を5質量%以上45質量%以下含有する。かかる吸水性繊維としては、具体的には、例えば、レーヨン、コットン、キュプラ、麻、ウール、シルク、アセテート、セルロース、木材パルプ、非木材パルプ等の吸水性繊維;水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミド基、アミノ酸基等の親水性基を有するポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、酢酸セルロース、ポリアクリルアミド、メラミン樹脂、親水性ポリウレタン等の親水性ポリマーからなる吸水性繊維;親水化処理したポリエステル等、親水化処理した疎水性ポリマーからなる吸水性繊維;ポリエチレンやポリプロピレン等の疎水性ポリマーからなる疎水性部と親水性ポリマーからなる吸水性部とを備える吸水性の複合繊維等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。吸水性の複合繊維としては、例えば、芯部と鞘部とからなり、少なくとも一方が親水性ポリマーからなる芯鞘構造を有する繊維が挙げられる。また、繊維内部に水分を保持する空隙が形成されてなる多孔質構造を呈していてもよい。
なお、個々の繊維については、少なくとも一部が一方向に配向した状態で存在していてもよく、あるいはランダムな方向に配向していてもよい。
これら吸水性繊維のなかでも、レーヨン、パルプ及びポリビニルアルコールから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
繊維層(A−1)における吸水性繊維の含有量は、使用時において繊維層(A−1)から繊維層(A−2)へと有効に水分を移行させる観点から、繊維層(A−1)中に5質量%以上であって、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上である。繊維層(A−1)における吸水性繊維の含有量は、製造時や保存時において、後述する高分子ゲル層(B)からゲルや水分の浸み出しを有効に防止する観点から、繊維層(A−1)中に45質量%以下であって、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である。また、繊維層(A−1)における吸水性繊維の含有量は、繊維層(A−1)中に5質量%以上45質量%以下であって、好ましくは10〜40質量%であり、より好ましくは15〜30質量%である。
繊維層(A−1)の坪量は、製造時や保存時において、後述する高分子ゲル層(B)からゲルや水分の浸み出しを有効に防止する観点から、好ましくは1g/m2以上であり、より好ましくは3g/m2以上であり、さらに好ましくは5g/m2以上である。繊維層(A−1)の坪量は、使用時において繊維層(A−1)から繊維層(A−2)へと有効に水分を移行させる観点から、好ましくは50g/m2以下であり、より好ましくは40g/m2以下であり、さらに好ましくは30g/m2以下である。
繊維層(A−1)の厚みは、製造時や保存時において、後述する高分子ゲル層(B)からゲルや水分の浸み出しを有効に防止する観点から、好ましくは0.01mm以上であり、より好ましくは0.05mm以上である。繊維層(A−1)の厚みは、同様の観点から、好ましくは0.8mm以下であり、より好ましくは0.6mm以下である。また、繊維層(A−1)の厚みは、好ましくは0.01〜0.8mmであり、より好ましくは0.05〜0.6mmである。
繊維層(A−1)は、ゲルや水分の浸み出しを有効に防止しつつ、後述する繊維層(A−2)へ良好に水分を移行させる観点から、好ましくは不織布、織布、編布及び紙から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは不織布である。また、かかる不織布の製造方法は、特に限定されないが、湿式法により製造されるのが好ましい。かかる湿式法により繊維を水中に分散させて網状に形成し、次いで繊維間を交絡させる。繊維間を交絡させる方法は、特に制限されず、ケミカルボンド法やサーマルボンド法、ニードルパンチ法、水流絡合法等を用いることができる。
繊維層(A−2)は、繊維層(A−1)中における吸水性繊維の含有量よりも多く吸水性繊維を含有する。このような層とすることにより、製造時や保存時においては、後述する含水高分子ゲル層(B)と隣接する繊維層(A−1)がゲルや水分の浸み出しを有効に抑制しつつ、使用時においては、繊維層(A−1)から水分を吸収し、かかる水分を繊維層(A−2)中に良好に取り込みながら、徐々に外界へと蒸散させて放熱効果を発揮することができ、水の気化熱による冷却効果を効果的かつ持続的にもたらすことができる。
また、繊維層(A−2)中における吸水性繊維の含有量は、繊維層(A−1)中における吸水性繊維の含有量よりも10〜90質量%多いことが好ましく、25〜80質量%多いことがより好ましく、50〜75質量%多いことがさらに好ましい。
繊維層(A−2)に含有される吸水性繊維としては、繊維層(A−1)に含有される吸水性繊維と同様のものが挙げられ、互いに同じ吸水性繊維を用いてもよく、異なる吸水性繊維を用いてもよい。
繊維層(A−2)における吸水性繊維の含有量は、繊維層(A−1)中における吸水性繊維の含有量よりも多いが、使用時において、繊維層(A−1)から水分を有効に吸収する観点、及び繊維層(A−2)の面のうち繊維層(A−1)が積層された面とは反対側の面、すなわち外界に接する繊維層(A−2)の面から適度な量でシート内の水分を蒸散させる観点から、繊維層(A−2)中に、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上である。繊維層(A−2)における吸水性繊維の含有量は、使用時において繊維層(A−2)の面のうち繊維層(A−1)が積層された面とは反対側の面、すなわち外界に接する繊維層(A−2)の面からシート内の水分を適度な速度で蒸散させる観点から、繊維層(A−2)中に、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは95質量%以下であり、さらに好ましくは92質量%以下である。また、繊維層(A−2)における吸水性繊維の含有量は、繊維層(A−1)中における吸水性繊維の含有量よりも多く、繊維層(A−2)中に、50質量%以上99質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60〜95質量%であり、さらに好ましくは70〜92質量%である。
繊維層(A−2)の坪量は、使用時において、繊維層(A−1)から水分を有効に吸収する観点、及び繊維層(A−2)の面のうち繊維層(A−1)が積層された面とは反対側の面、すなわち外界に接する繊維層(A−2)の面から適度な量でシート内の水分を蒸散させる観点から、好ましくは3g/m2以上であり、より好ましくは5g/m2以上であり、さらに好ましくは10g/m2以上である。繊維層(A−2)の坪量は、冷却効果および冷却持続性の観点から、好ましくは50g/m2以下であり、より好ましくは40g/m2以下であり、さらに好ましくは20g/m2以下である。
繊維層(A−2)の厚みは、繊維層(A−1)から水分を有効に吸収する観点、及びシート内の水分を蒸散させる観点から、好ましくは0.01mm以上であり、より好ましくは0.05mm以上である。繊維層(A−2)の厚みは、同様の観点から、好ましくは0.8mm以下であり、より好ましくは0.6mm以下である。また、繊維層(A−2)の厚みは、好ましくは0.01〜0.8mmであり、より好ましくは0.05〜0.6mmである。
繊維層(A−2)は、繊維層(A−1)から良好に水分を吸収する観点、及び繊維層(A−2)の外界と接する面から良好に水分を蒸散させる観点から、好ましくは不織布、織布、編布及び紙から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは不織布である。かかる不織布は、繊維層(A−1)と同様、湿式法により製造されるのが好ましく、同様の方法を用いて製造することができる。
繊維層(A−1)と繊維層(A−2)を備える繊維層(A)の坪量は、繊維層(A−1)によるゲルや水分の浸み出し抑制効果、及び繊維層(A−2)による水分の吸収効果を十分に発揮させる観点から、好ましくは8g/m2以上であり、より好ましくは10g/m2以上であり、さらに好ましくは15g/m2以上であり、好ましくは80g/m2以下であり、より好ましくは50g/m2以下であり、さらに好ましくは40g/m2以下である。また、繊維層(A−1)と繊維層(A−2)を備える繊維層(A)の坪量は、好ましくは8〜80g/m2であり、より好ましくは10〜50g/m2であり、さらに好ましくは15〜40g/m2である。
繊維層(A)の厚みは、繊維層(A−1)によるゲルや水分の浸み出し抑制効果、及び繊維層(A−2)による水分の吸収効果を十分に発揮させる観点から、好ましくは0.02mm以上であり、より好ましくは0.06mm以上である。繊維層(A)の厚みは、同様の観点から、好ましくは1.6mm以下であり、より好ましくは1.2mm以下である。また、繊維層(A)の厚みは、好ましくは0.02〜1.6mmであり、より好ましくは0.06〜1.2mmである。
繊維層(A)は、上述した方法を用いて各々別個に製造した繊維層(A−1)と繊維層(A−2)とを積層してもよく、予め製造した繊維層(A−1)の上に繊維層(A−2)を形成してもよい。
本発明の皮膚貼付用シートにおいて、含水高分子ゲル層(B)は繊維層(A−1)と隣接してなる。含水高分子ゲル層(B)が繊維層(A−1)と直接接することにより、製造時や保存時において、含水高分子ゲル層(B)からのゲルや水分の浸み出しを有効に抑制しつつ、繊維層(A−1)が隣接された面とは反対側の面が皮膚に直接接することにより、含水高分子ゲル層(B)中に含まれる水の気化熱で、皮膚に良好な冷却効果をもたらすことができる。
含水高分子ゲル層(B)を形成する高分子としては、水を保持して適度な弾力性や柔軟性を有するゲルを形成し得るものであれば良く、例えば、カルボキシル基、硫酸基、又はリン酸基なる官能基を有する高分子が挙げられる。具体的には、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸及びその塩、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体等のポリ(メタ)アクリル酸;カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のアニオン性セルロース誘導体;ジェランガム、ペクチン、キサンタンガム、カラギーナン、寒天、アルギン酸及びその塩、アニオン性の澱粉誘導体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の高分子を使用できる。なかでも、高い保水量と、十分なゲル強度、及び皮膚に貼付した際における皮膚の凹凸やその動きに追従可能な柔軟性とを兼ね備える観点、並びに含水高分子ゲル層(B)から繊維層(A)へ供給される水分量を高める観点から、ポリ(メタ)アクリル酸、アニオン性セルロース誘導体及びカラギーナンから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、カルボキシメチルセルロースがより好ましい。これら高分子の含有量は、十分な水分量を供給し続ける観点から、含水高分子ゲル層(B)中に、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上である。これら高分子の含有量は、同様の観点から、含水高分子ゲル層(B)中に、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である。また、これら高分子の含有量は、含水高分子ゲル層(B)中に、好ましくは0.1〜30質量%であり、より好ましくは0.5〜20質量%であり、さらに好ましくは1〜15質量%である。含水高分子ゲル層(B)における含有量がかかる値となる量で、ゲル原液に配合するとよい。
含水高分子ゲル層(B)中における水分含有量は、水の気化熱により持続的に貼付部位に冷却効果をもたらす観点から、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上である。含水高分子ゲル層(B)中における水分含有量は、同様の観点から、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは97質量%以下であり、さらに好ましくは95質量%以下である。また、含水高分子ゲル層(B)中における水分含有量は、好ましくは50〜99質量%であり、より好ましくは60〜97質量%であり、さらに好ましくは70〜95質量%である。含水高分子ゲル層(B)中の水分量がかかる値となる量で、ゲル原液に配合するとよい。
含水高分子ゲル層(B)の厚みは、皮膚に貼付した際の蓄熱を回避する観点、及び十分な水分量を繊維層(A)へ移行させ続ける観点から、好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは0.3mm以上であり、さらに好ましくは0.5mm以上である。含水高分子ゲル層(B)の厚みは、同様の観点から、好ましくは4mm以下であり、より好ましくは3mm以下であり、さらに好ましくは2mm以下である。また、含水高分子ゲル層(B)の厚みは、好ましくは0.1mm以上4mm以下であり、より好ましくは0.3〜3mmであり、さらに好ましくは0.5〜2mmである。
上記高分子によりゲルを形成する際、さらに架橋剤を用いて高分子が有する官能基と反応させるのがよい。かかる架橋剤としては、アルミニウム、マグネシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、カドミウム、鉛、カルシウム、カリウム等を含む酸化物や水酸化物、塩類のような金属イオン化合物;ポリリジン等のポリアミノ酸のようなカチオン性ポリマー;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等の多官能性エポキシ化合物から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
含水高分子ゲル層(B)は、必要に応じて、さらに十分な冷却効果を実感させる観点から、冷感剤を含有するのが好ましい。これにより冷却効果をさらに増幅させることができる。
冷感剤としては、冷感、清涼感、冷涼感、爽快感をもたらす剤であればよく、具体的には、例えば、l−メントール、d−メントール、dl−メントール、シネオール、メンタンジオール、l−メンチルグリセリルエーテル、乳酸メンチル、メンチルエチルアミノシュウ酸、メンチルピロリドンカルボン酸、コハク酸メンチル、グルタル酸メンチル、エチルメンタンカルボキシアミド、メンタンカルボニルグリシンエチルエステル、メントン、メントングリセリンアセタール、2−sec−ブチルシクロヘキサノン、イソプレゴール、プレゴール、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミド、チモール、オイゲノール、アネトール、サリチル酸メチル、カンフル、スピラントール、トリメチルシクロヘキサノール、3−l-メントキシ−2−メチルプロパン−1,2−ジオール等が挙げられ、これらを含有する精油、例えば、ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油、ユーカリ油、サッサフラス油、ウィンターグリーン等を用いてもよい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、刺激性の観点及び良好な匂いをもたらす観点から、l−メントール、乳酸メンチル、l−メンチルグリセリルエーテル、イソプレゴール及びカンフルから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、なかでもl−メントール、乳酸メンチル及びカンフルから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、殊更にl−メントール及び乳酸メンチルから選ばれる1種又は2種が好ましい。
冷感剤の含有量は、含水高分子ゲル層(B)中に、好ましくは0.0001質量%以上であり、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下であり、かかる含有量となるようにゲル原液に配合するとよく、実質的に含有しなくてもよい。また、冷感剤の含有量は、含水高分子ゲル層(B)中に、好ましくは0.0001〜10質量%であり、より好ましくは0.0001〜5質量%であり、さらに好ましくは0.0001〜1質量%である。
含水高分子ゲル層(B)のpHは3.5〜7が好ましい。通常、ヒトの正常な皮膚のpHは上記範囲内にあり、皮膚のpHが必要以上に変動すると皮膚の機能が妨げられてしまうことから、皮膚に直接接する含水高分子ゲル層(B)のpHも上記範囲であることが好ましい。かかるpHは、適宜pH調整剤を用いることによって調整すればよい。pH調整剤としては、例えばコハク酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸又はこれらの塩、或いはリン酸又はその塩等が好適に使用される。上記含水高分子ゲル層(B)のpHは、より好ましくは4〜7であり、さらに好ましくは4〜6.5である。
なお、含水高分子ゲル層(B)のpHは、本発明の皮膚貼付用シートに積層される含水高分子ゲル層(B)0.5gを純水4.5gに溶解するまで混合撹拌し、その分散液のpHをpHメーター(B−212,HORIBA)にて測定した値である。
含水高分子ゲル層(B)には、上記成分のほか、通常、化粧品や医薬品等で用いられる他の成分、例えば、保湿剤;油剤;アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の界面活性剤;薬効成分;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;溶解剤;着色料;「合成香料化学と商品知識」、印藤元一著、1996年化学工業日報社刊;「パフューム アンド フレバー ケミカルス(Perfume and Flavor Chemicals)」、ステファンアークタンダー(STEFFENARCTAMDER)著、1969年等の文献に記載された冷感剤以外の香料等を適宜含有させてもよい。また、これらの成分は、繊維層(A)に含有していてもよい。
含水高分子ゲル層(B)を製造するには、まず、高分子、水、及び必要に応じて冷感剤や他の成分を含有するゲル原液を調製する。次いで、剥離可能なフィルムにゲル原液を挟み込み、ベーカー式アプリケーター等を用いて展延する。このとき、ゲル原液を挟み込む一方の面を繊維層(A)としてもよい。そして、加温下で数日間熟成させることにより、含水高分子ゲルを得る。なお、含水高分子ゲルは、従来公知の方法にしたがって製造することができ、これに限られるものではない。
含水高分子ゲル層(B)と繊維層(A)との積層方法としては、上述のゲル原液を挟み込む一方の面を繊維層(A)とする方法や、一旦含水高分子ゲルを調製した後、繊維層(A)を含水高分子ゲルに押し付けて積層させる方法等が挙げられる。または、得られた含水高分子ゲルを皮膚に貼付した後に、繊維層(A)を被せることで積層させる形態でもよい。
本発明の皮膚貼付用シートは、含水高分子ゲル層(B)の繊維層(A−1)が隣接する側とは反対側の面を皮膚に貼付して用いるのが好ましく、製造時や保存時には含水高分子ゲル層(B)からのゲルや水分の浸み出しを有効に抑制しつつ、使用時においては、貼付した皮膚に対して効果的かつ持続的に冷却効果を発揮することができる。すなわち、外皮(頭皮を含む)に貼付するための化粧料、医薬品、医薬部外品及び雑貨として、その用途は多岐に亘る。例えば、急な発熱時に額や首元を冷却したい場合、夏場の暑くて寝苦しい夜の就寝前に四肢や体、頸、顔面、頭部に対し、持続的に冷却効果をもたらしたい場合、夏場の高温多湿時の屋内外で頻繁にシートを取り換える必要なく、持続性の高い冷却効果を得たい場合など、所望の部位の皮膚上に貼付して用いることができる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の冷感シートを開示する。
[1]次の繊維層(A−1)及び繊維層(A−2):
(A−1)吸水性繊維を5質量%以上45質量%以下含有する繊維層、及び
(A−2)繊維層(A−1)中における吸水性繊維の含有量よりも多く吸水性繊維を含有する繊維層
を備える繊維層(A)と含水高分子ゲル層(B)が積層されてなり、かつ繊維層(A−1)と含水高分子ゲル層(B)とが隣接してなる皮膚貼付用シート。
[2]繊維層(A−1)における吸水性繊維の含有量が、繊維層(A−1)中に、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である上記[1]の皮膚貼付用シート。
[3]繊維層(A−1)の坪量が、好ましくは1g/m2以上であり、より好ましくは3g/m2以上であり、さらに好ましくは5g/m2以上であり、好ましくは50g/m2以下であり、より好ましくは40g/m2以下であり、さらに好ましくは30g/m2以下である上記[1]又は[2]の皮膚貼付用シート。
[4]繊維層(A−2)中における吸水性繊維の含有量が、繊維層(A−1)中における吸水性繊維の含有量よりも、好ましくは10〜90質量%多く、より好ましくは25〜80質量%多く、さらに好ましくは50〜75質量%多い上記[1]〜[3]いずれか1の皮膚貼付用シート。
[5]繊維層(A−2)における吸水性繊維の含有量が、繊維層(A−2)中に、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは95質量%以下であり、さらに好ましくは92質量%以下である上記[1]〜[4]いずれか1の皮膚貼付用シート。
[6]繊維層(A−2)の坪量が、好ましくは3g/m2以上であり、より好ましくは5g/m2以上であり、さらに好ましくは10g/m2以上であり、好ましくは50g/m2以下であり、より好ましくは40g/m2以下であり、さらに好ましくは20g/m2以下である上記[1]〜[5]いずれか1の皮膚貼付用シート。
[7]繊維層(A)の坪量が、好ましくは8g/m2以上であり、より好ましくは10g/m2以上であり、さらに好ましくは15g/m2以上であり、好ましくは80g/m2以下であり、より好ましくは50g/m2以下であり、さらに好ましくは40g/m2以下である上記[1]〜[6]いずれか1の皮膚貼付用シート。
[8]繊維層(A−1)又は繊維層(A−2)、或いは繊維層(A−1)及び繊維層(A−2)が、好ましくは不織布、織布、編布及び紙から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは不織布であり、また好ましくは湿式法により製造される不織布である上記[1]〜[7]いずれか1の皮膚貼付用シート。
[9]含水高分子ゲル層(B)を形成する高分子が、好ましくはカルボキシル基、硫酸基、又はリン酸基なる官能基を有する高分子であり、より好ましくはポリ(メタ)アクリル酸、アニオン性セルロース誘導体及びカラギーナンから選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくはカルボキシメチルセルロースである上記[1]〜[8]いずれか1の皮膚貼付用シート。
[10]含水高分子ゲル層(B)中における高分子の含有量が、含水高分子ゲル層(B)中に、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である上記[1]〜[9]いずれか1の皮膚貼付用シート。
[11]含水高分子ゲル層(B)中における水分含有量が、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは97質量%以下であり、さらに好ましくは95質量%以下である上記[1]〜[10]いずれか1の皮膚貼付用シート。
[12]含水高分子ゲル層(B)の厚みは、好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは0.3mm以上であり、さらに好ましくは0.5mm以上であり、好ましくは4mm以下であり、より好ましくは3mm以下であり、さらに好ましくは2mm以下である上記[1]〜[11]いずれか1の皮膚貼付用シート。
[13]含水高分子ゲル層(B)が、さらに冷感剤を含有し、冷感剤の含有量が、0.0001質量%以上であり、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下である上記[1]〜[12]いずれか1の皮膚貼付用シート。
[14]含水高分子ゲル層(B)の繊維層(A−1)が隣接する側とは反対側の面を皮膚に貼付して用いる、貼付した皮膚を冷却するための上記[1]〜[13]いずれか1の皮膚貼付用シート。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
[実施例1〜2、比較例1〜4]
表1に示す処方にしたがい、湿式製法により2つの異なる繊維組成の繊維層を積層させて、繊維層(A−1)及び繊維層(A−2)を各々製造し、積層した。
なお、吸水性繊維としては、レーヨン、パルプ及びポリビニルアルコールを用い、非吸水性繊維としては、ポリプロピレン/ポリエチレン(芯鞘)、及びポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン(芯鞘)を用いた。
次に、表2に示す処方にしたがい、下記方法により厚み0.8mmの含水高分子ゲル層(B)を製造した。
具体的には、まずグリセリン、パラオキシ安息香酸メチルを加温溶解させたプロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、乾燥水酸化アルミニウムゲルとの混合液を混練機に投入し、次にコハク酸水溶液を添加して、未架橋ゲル原液を調製した。次いで、得られた未架橋ゲル原液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに挟み込み、ベーカー式アプリケーターによってゲル原液の厚さを0.8mmに調整して展延した。次いで一方のPETフィルムを剥離し、展延したゲル層に得られた各繊維層(A)を含水高分子ゲル層(B)とが隣接するように張り合わせて、シート状にした。得られたシートをアルミピローに封入して密封した後、50℃で2日間熟成し、ゲル原液中の架橋反応を進行させて含水高分子ゲルを形成した。なお、調製したゲル原液のpHは、4.5〜6.5であった。得られた含水高分子ゲルを正方形(面積25cm2)に型抜きし、積層シートを得た。得られた積層シートの含水高分子ゲルのpHは5.1であり、水分含有量は87質量%であった。得られたシートについて、下記方法にしたがって各評価を行った。
《ゲルの浸み出し》
得られたシートにおけるゲルの浸み出しは、繊維層(A−2)に存在するゲルを指標に目視にて評価した。得られたシートの繊維層(A−2)の一部にでもゲルが浸み出している場合には×、全く浸み出していない場合には○と判定した。
結果を表1に示す。
《冷却性能》
得られたシートをホットプレート(36℃設定、28℃60%RH環境)に貼付し、貼付直後から30分経過後、及び60分経過後のホットプレートの温度を測定し、各々の場合における貼付直後からの温度変化(℃)を求めた。
次いで、かかる温度変化の値を元に、比較例1の繊維層(A−1)のないシートの冷却性能(30分後の温度変化:−2.3℃、60分後の温度変化:−2.32℃)よりも冷却性能が優れている場合を○、比較例1の繊維層(A−1)のないシートよりも冷却性能が劣っている場合を×と評価した。
結果を表1に示す。
また、実施例1〜2及び比較例1〜4における、皮膚への貼付から30分経過後及び60分経過後のホットプレートの温度変化のグラフを図1に示す。
上記結果より、繊維層(A−2)のみを積層した比較例1、繊維層(A−1)が疎水性繊維からなる比較例2、繊維層(A−1)中における吸水性繊維の含有量が45質量%を超える比較例3、及び繊維層(A−1)中における吸水性繊維の含有量が繊維層(A−2)中における吸水性繊維の含有量よりも多い比較例4に比べ、実施例1〜2のシートは、ゲルの浸み出しを有効に抑制し、かつ使用時において良好な冷却性能を持続させることがわかる。

Claims (6)

  1. 次の繊維層(A−1)及び繊維層(A−2):
    (A−1)吸水性繊維を5質量%以上45質量%以下含有する繊維層、及び
    (A−2)繊維層(A−1)中における吸水性繊維の含有量よりも多く吸水性繊維を含有する繊維層
    を備える繊維層(A)と含水高分子ゲル層(B)が積層されてなり、かつ繊維層(A−1)と含水高分子ゲル層(B)とが隣接してなり、含水高分子ゲル層(B)の繊維層(A−1)が隣接する側とは反対側の面を皮膚に貼付して用いる皮膚貼付用シート。
  2. 繊維層(A−2)中における吸水性繊維含有量が、繊維層(A−1)中における吸水性繊維含有量よりも10〜90質量%多い請求項1記載の皮膚貼付用シート。
  3. 繊維層(A−2)中における吸水性繊維の含有量が、50質量%以上99質量%以下である請求項1又は2に記載の皮膚貼付用シート。
  4. 繊維層(A)の坪量が、8g/m2以上80g/m2以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膚貼付用シート。
  5. 吸水性繊維が、レーヨン、パルプ及びポリビニルアルコールから選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膚貼付用シート。
  6. 貼付した皮膚を冷却するためのシートである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚貼付用シート
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