JP6021776B2 - 電気自動車のバッテリ冷却装置 - Google Patents
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Description
このような電気自動車では、モータを力行制御してバッテリからの放電電力により作動させ、モータが発生した駆動力を利用して走行している。また車両の減速時や降坂路の走行時には、モータを回生制御して駆動輪側からの逆駆動により発電機として作動させ、発電された電力をバッテリに充電して後の走行に利用している。
冷却ファンの駆動開始のタイミングは所定のマップから設定される。このマップには、バッテリ温度と、バッテリの充放電量が増加する地点までの距離と、冷却開始地点との関係が定められている。バッテリ予測温度が所定温度以上になる場合には、このマップに基づきバッテリ温度と充放電量が増加する地点までの距離とから冷却開始地点を算出し、車両が冷却開始地点を到達した時点で冷却ファンの作動を開始している。
上限温度に対するバッテリ温度の超過量に相当する分だけバッテリの温度が低下するまで、冷却スケジュールに沿って冷却手段が作動する。結果として必要最小限のバッテリ温度の低下が行われるため、冷却手段の電力消費を抑制した上で、バッテリ温度が上限温度の直前に確実に抑制される。
冷却スケジュールが終了する度に、新たな走行予定経路に基づき冷却スケジュールが確定される。結果として、冷却スケジュールは最新の走行予定経路に対応する内容に常に更新されるため、より適切な冷却手段の作動、ひいては一層の電力消費の抑制が実現される。
図1は本実施形態のバッテリ冷却装置が搭載されたハイブリッド型トラックを示す全体構成図である。
ハイブリッド型トラック1は所謂パラレル型ハイブリッド車両として構成されており、以下の説明では、車両と称する場合もある。車両1には走行用動力源としてディーゼルエンジン(以下、エンジンという)2、及び例えば永久磁石式同期電動機のように発電機としても作動可能なモータ3が搭載されている。エンジン2の出力軸にはクラッチ4が連結され、クラッチ4にはモータ3の回転軸を介して自動変速機5の入力側が連結されている。自動変速機5の出力側にはプロペラシャフト6を介して差動装置7が連結され、差動装置7には駆動軸8を介して左右の駆動輪9が連結されている。
なお、このように本実施形態では空冷式の冷却手段を採用したが、冷却手段の構成はこれに限ることはなく、例えば水冷式の冷却手段を採用してもよい。具体的には、バッテリ11の周囲に冷却水路を形成して内部を循環する冷却水によりバッテリ11を冷却し、この冷却により昇温した冷却水を順次ラジエータに導いて温度低下させてもよい。
また、車両ECU13には、上記した冷却ファン27のモータ26、図示はしないがクラッチ4を断接操作するアクチュエータ、及び自動変速機5を変速操作するアクチュエータなどが接続されると共に、エンジン制御用のエンジンECU22、インバータ制御用のインバータECU23、及びバッテリ11を管理するバッテリECU24が接続されている。
自車の走行予定経路に基づきバッテリ11の温度変化パターンを予測するには、走行予定経路の路面勾配の情報が必要である。走行予定経路に存在する登坂路や降坂路に応じて走行用のモータ3の力行制御や回生制御が実行され、それに応じてバッテリ11が充放電されてバッテリ温度Tbttが上昇するためである。そこで、路面勾配を含めた走行予定経路の各種情報を取得するために、車両ECU13には、図1に示すようにナビゲーション装置31及び通信装置32が接続されている。
まず車両ECU13は図2のステップS2で、ナビゲーション装置31及び通信装置32から自車の位置情報、走行予定経路、及び走行予定経路の路面勾配に関する情報を取得する。続くステップS4では、バッテリECU24から入力された現在のバッテリ11のSOCを起点として、走行予定経路を走行したときのSCOの変化パターンを予測する(充電率変化パターン予測手段)。登坂路や降坂路の起伏変化に応じてモータ3の力行制御や回生制御が実行されるため、まず路面勾配の情報から走行予定経路を走行しているときのモータ3の運転パターンを予測できる。そして、モータ3の運転パターンに応じてバッテリ11が充放電されるため、図3に示すように、モータ3の運転パターンからバッテリ11のSCOの変化パターンを予測できる。
よって、まずSOCの変化パターンに基づき、図3に示すように単位時間当たりのSOCの変化量ΔSOCの二乗(ΔSOC2 )の変化パターンを予測する。ΔSOC2 は、充放電によってバッテリ11に生じる発熱量と相関することになる。詳しくは、バッテリ11の充電に伴うSOCの増加期間(ΔSOCが正)及び放電に伴うSOCの低下期間(ΔSOCが負)では、ΔSOC2 が正の値となってバッテリ温度Tbttが上昇する(温度上昇期間Tb)。また、バッテリ11が充放電されずにSOCが略一定に保持される期間(ΔSOC=0)では、ΔSOC2 が0となってバッテリ温度Tbttは上昇しない(温度停滞期間Ta)。
バッテリ温度Tbttの変化パターンに従って上昇中のバッテリ温度Tbttが上限温度Tlmtを超えるか、或いは上限温度Tlmtよりも低温側で平衡するかは、現在のバッテリ温度Tbttや外気温度などの外的な要因によって相違する。例えば現在のバッテリ温度Tbttが十分に低く、且つ厳寒により温度上昇し難い環境であれば、バッテリ温度Tbttは上限温度Tlmtに超えることなく低温側で平衡する。よって、この場合には、以下に述べる温度停滞期間Ta毎の冷却ファン27によるバッテリ11の冷却が不要と見なせるため、図2のフローチャートではルーチンを終了している。
上昇と低下とを繰り返しながらバッテリ温度Tbttは全体として次第に上昇し、何れかの時点で上昇中に上限温度Tlmtを超え、その後に下降に転じる。この最初にバッテリ温度Tbttが上限温度Tlmtを超えたときの温度超過量ΔTexceedがステップS10で算出される。
その後、ステップS14で冷却試行回数nとして1をセットする。以下に述べるように、各温度停滞期間Taにおいて冷却ファン27を作動させたときのバッテリ11の冷却状態(バッテリ温度Tbttの低下量ΔTdrop)をシミュレートする。冷却試行回数nとは、このときのバッテリ11に対する冷却の試行回数を意味し、換言すれば、現時点から順に各温度停滞期間Taに付した番号でもある。
温度低下量ΔTdropは、冷却ファン27が作動する温度停滞期間Ta中に増加し、その温度停滞期間Taが終了して冷却ファン27が停止すると減少し始める。冷却ファン27の冷却能力が最小冷却能力から高められているため、温度停滞期間Taにおけるバッテリ温度Tbttの増加(即ち、温度低下)はより急激なものとなり、結果として温度低下量ΔTdropは増加と減少を繰り返しながら全体として次第に増加する。
従って、このときの冷却スケジュールは、n=1〜3の各温度停滞期間Taにおいて冷却ファン27を順次作動させる内容となり、その実施により、バッテリ温度Tbttは温度低下量ΔTdropだけ低下することになる。
なお、冷却スケジュールが終了した時点で再び予測処理を繰り返す代わりに、例えば冷却スケジュールの終了から所定時間が経過した後、或いは所定距離走行した後に、再び予測処理を繰り返すようにしてもよい。
また、冷却スケジュールが終了する度に、新たな走行予定経路に基づき予測処理を開始している。結果として、冷却スケジュールは最新の走行予定経路に対応する内容に常に更新されるため、より適切な冷却ファン27の作動、ひいては一層の電力消費の抑制を実現することができる。
また上記実施形態では、予定走行経路に基づきバッテリ温度Tbttの変化パターンを予測し、バッテリ温度Tbttが上限温度Tlmtを超えると予測した場合に、温度超過量ΔTexceedに相当する分(温度低下量ΔTdrop)だけバッテリ温度Tbttを低下させるように冷却スケジュールを確定して、事前にバッテリ11を冷却した。しかし、このような予測処理を用いることは必ずしも必要ない。
また、予測処理を用いる場合であっても、その手順は上記実施形態に限ることはない。例えば温度超過量ΔTexceedに基づき冷却スケジュールを確定することなく、予め設定した冷却試行回数nだけ各温度停滞期間Taで冷却ファン27を作動させる内容で冷却スケジュールを確定してもよい。
11 バッテリ
13 車両ECU(冷却制御手段、バッテリ温度変化判別手段、
充電率変化パターン予測手段、温度変化パターン予測手段、過熱予測手段)
27 冷却ファン(冷却手段)
Claims (4)
- 走行用動力源として少なくともモータを搭載すると共に、該モータの電源であるバッテリの充放電に伴う温度上昇を抑制すべく、冷却制御手段により冷却手段を駆動制御して上記バッテリを冷却する電気自動車のバッテリ冷却装置において、
上記バッテリが充放電に伴って温度上昇する温度上昇期間と該充放電の中止に伴って温度上昇が停滞する温度停滞期間とを判別するバッテリ温度変化判別手段を備え、
上記冷却制御手段は、上記バッテリ温度変化判別手段により判別された上記温度停滞期間において上記冷却手段を作動させることを特徴とする電気自動車のバッテリ冷却装置。 - 車両が走行する予定の走行予定経路の路面勾配に関する情報に基づき、該走行予定経路を走行するときの上記モータの運転パターンを予測し、該運転パターンに基づき上記バッテリの充電率の変化パターンを予測する充電率変化パターン予測手段と、
上記充電率変化パターン予測手段により予測された充電率の変化パターンに基づき、冷却能力を抑制した第1の作動状態で上記冷却手段を作動させた場合の上記バッテリの温度の変化パターンを予測する温度変化パターン予測手段と、
上記温度変化パターン予測手段により予測された上記バッテリの温度の変化パターンに基づき、上記バッテリの温度が予め設定された上限温度を超えるか否かを予測する過熱予測手段とを備え、
上記バッテリ温度変化判別手段は、上記温度変化パターン予測手段により予測された上記バッテリの温度の変化パターンに基づき上記走行予定経路中に点在する上記温度停滞期間を判別し、
上記冷却制御手段は、上記過熱予測手段により上記バッテリの温度が上限温度を超えると予測されたとき、上記各温度停滞期間において上記冷却手段を順次作動させるように冷却スケジュールを確定し、該冷却スケジュールに沿って、上記冷却手段を上記第1の作動状態に比較して冷却能力を高めた第2の作動状態で作動させることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車のバッテリ冷却装置。 - 上記冷却制御手段は、上記上限温度に対するバッテリ温度の超過量を算出し、該温度超過量に相当する分だけ上記バッテリの温度が低下するまで、上記各温度停滞期間において上記冷却手段を順次作動させるように上記冷却スケジュールを確定し、該冷却スケジュールに沿って上記冷却手段を作動させることを特徴とする請求項2に記載の電気自動車のバッテリ冷却装置。
- 上記冷却制御手段は、上記冷却スケジュールに沿った上記冷却手段の作動が終了すると、その時点からの新たな走行予定経路に基づき冷却スケジュールを確定し、該冷却スケジュールに沿って上記冷却手段を作動させることを特徴とする請求項3に記載の電気自動車のバッテリ冷却装置。
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