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JP2014222989A - 電気自動車の回生制御装置 - Google Patents

電気自動車の回生制御装置 Download PDF

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JP2014222989A JP2013102081A JP2013102081A JP2014222989A JP 2014222989 A JP2014222989 A JP 2014222989A JP 2013102081 A JP2013102081 A JP 2013102081A JP 2013102081 A JP2013102081 A JP 2013102081A JP 2014222989 A JP2014222989 A JP 2014222989A
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純一 山田
近藤 暢宏
Nobuhiro Kondo
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Abstract

【課題】降坂路などの走行時において過剰な充電に起因するバッテリの劣化や破損を防止した上で、車両の運動エネルギまたは位置エネルギを効率よく電力に変換してバッテリを充電でき、もって車両全体のエネルギ効率を向上できる電気自動車の回生制御装置を提供する。【解決手段】車両の前方に存在する降坂路の情報を取得し(S2)、取得した降坂路の情報に基づき、複数の判定時間Tlim(n)におけるバッテリの発熱量H(n)をそれぞれ予測し(S10)、何れかの発熱量H(n)が対応する上限許容値Hlim(n)を超えるときには(S12がNo)、超えると判定された各上限許容値Hlim(n)に対応する電流Ioptの中から最小値を選出し(S20,22)、選出した電流Ioptから求めた目標出力Pdemに基づきモータ出力を制御する(S24)。【選択図】図2

Description

本発明は電気自動車の回生制御装置に係り、詳しくは降坂路の走行中にモータを回生制御して発電された電力をバッテリに充電する回生制御装置に関する。
従来からの走行用動力源としてエンジンを搭載したエンジン車両の効率を改善するために、エンジンに加えて走行用動力源としてモータを搭載したハイブリッド電気自動車、或いはエンジンに代えてモータを搭載した電気自動車など(以下、電気自動車と総称する)が実用化されている。
このような電気自動車では、モータを回生制御することにより発電機として作動可能なため、例えば降坂路での走行時などでは、駆動輪側からの逆駆動によりモータに発電させて発電電力をバッテリに充電している。これにより車両の運動エネルギまたは位置エネルギを電力として回収でき、その後のモータによる走行時にバッテリからの放電電力を利用している。
ところで、この種の電気自動車にはリチウム二次電池などがバッテリとして搭載されるが、その充放電時の電流には熱的な制限がある。即ち、限界を超えた充放電電流はバッテリの温度上昇に費やされ、結果としてバッテリが過熱して劣化や破損の要因になる。そこで、例えば特許文献1の技術では、バッテリの充放電時の電流I、及び判定時間tに基づき、次式(1)から発熱量Hを算出し、その発熱量Hが予め設定された上限許容値を超えた時点で充放電電流を制限する対策を講じている。
H=I2t……(1)
特開2009−81958号公報
特許文献1に記載されたバッテリの保護対策は、上記のように電気自動車を回生走行させる場合にも実施される。しかしながら、例えば急勾配且つ長い降坂路では、モータの回生制御によるバッテリへの充電が大電流で且つ長時間に亘って行われることになる。よって、上式(1)から算出される発熱量Hが急激に増加して早期に段階でバッテリの上限許容値を超え、モータの回生制御が中止されたり或いは充電電流の抑制により回生制御が制限されたりしてしまう。
従って、例えばバッテリのSOC(充電率:State Of Charge)を制御範囲の上限まで増加(以下、バッテリの満充電という)できるほどの急勾配且つ長い降坂路であっても、その際にバッテリを満充電にできない。この状況は、降坂路によって得られるはずの車両の運動エネルギまたは位置エネルギを電力として有効利用できないことを意味し、従来から抜本的な対策が要望されていた。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、降坂路などの走行時において過剰な充電に起因するバッテリの劣化や破損を防止した上で、車両の運動エネルギまたは位置エネルギを効率よく電力に変換してバッテリを充電でき、もって車両全体のエネルギ効率を向上することができる電気自動車の回生制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、走行用動力源として装備されたモータの駆動力を駆動輪に伝達して走行すると共に、降坂路の走行中には駆動輪側からの逆駆動によりモータを回生制御して回生電力をバッテリに充電する電気自動車において、車両の前方に存在する降坂路の情報を取得する降坂路情報取得手段と、降坂路情報取得手段により取得された降坂路の情報に基づき、実現可能な最大出力でモータを回生制御しながら降坂路を走行したときに、予め設定された複数の判定時間におけるバッテリの充電に起因して発生する発熱量をそれぞれ予測する発熱量予測手段と、発熱量予測手段により予測された各判定時間毎の予測発熱量が、各判定時間に対応して予め設定された上限許容値を超えるか否かをそれぞれ判定する第1の発熱量判定手段と、第1の発熱量判定手段により何れかの予測発熱量が対応する上限許容値を超えると判定されたときに、超えると判定された各上限許容値に対応するバッテリの充電電流をそれぞれ算出して最小値を選出し、最小値の充電電流に基づきモータの出力を算出して目標出力として設定する目標出力設定手段と、車両が降坂路に到達して降坂路を走行するとき、第1の発熱量判定手段により何れかの予測発熱量が対応する上限許容値を超えると判定されている場合には、目標出力設定手段により設定された目標出力に基づきモータの出力を制御するモータ出力制御手段とを備えたことを特徴とする。
車両の前方に存在する降坂路の情報に基づき、実現可能な最大出力でモータを回生制御しながら降坂路を走行したときのバッテリの発熱量が複数の判定時間毎に予測される。これらの予測発熱量の何れかが対応する上限許容値を超える場合には、超えると判定された上限許容値に対応するバッテリの充電電流がそれぞれ算出され、最小値として選出された充電電流から算出した目標出力に基づきモータの出力が制御される。このため、バッテリの充電電流が発熱量に基づく制限を受けなくなり、モータの回生制御中に略一定の回生トルクが保たれ、全体として確保できる発電量を増加させることができる。
その他の態様として、目標出力設定手段が、第1の発熱量判定手段により全ての予測発熱量が対応する上限許容値を超えないと判定されたときに、各予測発熱量に対応するバッテリの充電電流をそれぞれ算出して最大値を選出し、最大値の充電電流に基づきモータの出力を算出して目標出力として設定することが好ましい。
全ての予測発熱量が対応する上限許容値を超えない場合には、各発熱量に対応する充電電流がそれぞれ算出され、最大値として選出された充電電流から算出した目標出力に基づきモータの出力が制御される。この場合、何れの制限条件でも発熱量は上限許容値を超えないと予測されるため、最大値の充電電流に基づくモータの制御により可能な限り大きな発電量を確保することができる。
また別の態様として、目標出力設定手段により、何れかの予測発熱量が対応する上限許容値を超えるとして最小値の充電電流から算出したモータ出力が目標出力として設定されたときに、最小値の充電電流が選出された上限許容値と対応する判定時間の前半で目標出力を増加側に補正し、判定時間の後半で目標出力を減少側に補正し、増加側及び減少側の補正を判定時間毎に繰り返す目標出力補正手段を備え、モータ出力制御手段が、目標出力補正手段により補正された後の目標出力に基づきモータの出力を制御することが好ましい。
判定時間の途中で降坂路での走行が終了した場合、判定時間の後半に比して前半にモータ出力が高められることにより、降坂路の終了時点でバッテリのSOCを一層増加できる。よって、発熱量の制限条件に基づき電流の制限を回避した上で、より多くの発電量を確保することができる。
また別の態様として、車両が降坂路に到達した時点のバッテリの発熱量を判定する第2の発熱量判定手段を備え、目標出力補正手段が、第2の発熱量判定手段により判定されたバッテリの発熱量が予め設定された発熱量判定値を超えるときには、判定時間内において目標出力を増加側の所定値から減少側の所定値まで略一定の変化率で変化させるように補正し、第2の発熱量判定手段により判定された発熱量が発熱量判定値以下のときには、目標出力を判定時間の前半で増加側の略一定値に補正し、判定時間の後半で減少側の略一定値に補正することが好ましい。
降坂路への到達時点の発熱量が発熱量判定値を超えるときには、増加側の所定値から減少側の所定値まで略一定の変化率で変化するように目標出力が補正される。発熱量が増加し難くなるため、充電電流の制限を回避しながら発電量を増加できる。また、降坂路への到達時点の発熱量が発熱量判定値以下のときには、目標出力が判定時間の前半で増加側の略一定値に補正され、判定時間の後半で減少側の略一定値に補正される。未だ発熱量が低いため発熱量が増加しても上限許容値を超えることはなく、より多くの発電量を確保できる。
また別の態様として、降坂路情報取得手段が、降坂路の情報と共に該降坂路の直後の路面情報を取得し、降坂路情報取得手段により取得された降坂路の直後の路面情報に基づき、降坂路の直後の走行に要求されるモータ出力を予測するモータ出力予測手段を備え、目標出力補正手段が、モータ出力予測手段により予測されたモータ出力が大きいほど、目標出力の増加側及び減少側の補正量を縮小することが好ましい。
予測したモータ出力が大きいほど目標出力の補正量が縮小されるため、降坂路の走行終了の時点での発熱量が抑制される。従って、たとえ降坂路の直後に登坂路でモータを力行制御することによりバッテリの発熱量が増加した場合であっても、発熱量が上限許容値を超える事態を回避できる。このため、放電電流の制限による力行制御の中断を未然に防止でき、もって車両のドライバビリティを向上することができる。
本発明によれば、降坂路などの走行時において過剰な充電に起因するバッテリの劣化や破損を防止した上で、車両の運動エネルギまたは位置エネルギを効率よく電力に変換してバッテリを充電でき、もって車両全体のエネルギ効率を向上することができる。
実施形態の回生制御装置が搭載されたハイブリッド型トラックを示す全体構成図である。 第1実施形態の車両ECUが実行するモータ回生制御ルーチンを示すフローチャートである。 第1実施形態におけるモータ回生制御の実行状況を示すタイムチャートである。 第2実施形態におけるモータ回生制御の実行状況を示すタイムチャートである。 第2実施形態における回生制御中のモータ出力の変動状況を示すタイムチャートである。 第2実施形態の別例における回生制御中のモータ出力の変動状況を示すタイムチャートである。
[第1実施形態]
以下、本発明をハイブリッド型トラックの回生制御装置に具体化した第1実施形態を説明する。
図1は本実施形態の回生制御装置が搭載されたハイブリッド型トラックを示す全体構成図である。
ハイブリッド型トラック1はいわゆるパラレル型ハイブリッド車両として構成されており、以下の説明では、車両と称する場合もある。車両1には走行用動力源としてディーゼルエンジン(以下、エンジンという)2、及び例えば永久磁石式同期電動機のように発電機としても作動可能なモータ3が搭載されている。エンジン1の出力軸にはクラッチ4が連結され、クラッチ4にはモータ3の回転軸を介して自動変速機5の入力側が連結されている。自動変速機5の出力側にはプロペラシャフト6を介して差動装置7が連結され、差動装置7には駆動軸8を介して左右の駆動輪9が連結されている。
自動変速機5は一般的な手動変速機をベースとしてクラッチ4の断接操作及び変速段の切換操作を自動化したものであり、本実施形態では、前進6速後退1速の変速段を有している。当然ながら、変速機5の構成はこれに限るものではなく任意に変更可能であり、例えば手動式変速機として具体化してもよいし、2系統の動力伝達系を備えたいわゆるデュアルクラッチ式自動変速機として具体化してもよい。
モータ3にはインバータ10を介してバッテリ11が接続されている。バッテリ11に蓄えられた直流電力はインバータ10により交流電力に変換されてモータ3に供給され(力行制御)、モータ3が発生した駆動力は自動変速機5で変速された後に駆動輪9に伝達されて車両1を走行させる。また、例えば車両1の減速時や降坂路での走行時には、駆動輪9側からの逆駆動によりモータ3が発電機として作動する(回生制御)。モータ3が発生した負側の駆動力は制動力として駆動輪9側に伝達されると共に、モータ3が発電した交流電力がインバータ10で直流電力に変換されてバッテリ11に充電される。
このようなモータ3が発生する駆動力は上記クラッチ4の断接状態に関わらず駆動輪9側に伝達され、これに対してエンジン2が発生する駆動力はクラッチ4の接続時に限って駆動輪9側に伝達される。従って、クラッチ4の切断時には、上記のようにモータ3が発生する正側または負側の駆動力が駆動輪9側に伝達されて車両1が走行する。また、クラッチ4の接続時には、エンジン2及びモータ3の駆動力が駆動輪9側に伝達されたり、或いはエンジン2の駆動力のみが駆動輪側に伝達されたりして車両1が走行する。
車両ECU13は車両全体を統合制御するための制御回路である。そのために車両ECU13には、アクセルペダル14の操作量θaccを検出するアクセルセンサ15、ブレーキペダル16の踏込操作を検出するブレーキスイッチ17、車両1の速度Vを検出する車速センサ18、エンジン2の回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ19、及びモータ3の回転速度Ntを検出するモータ回転速度センサ20などの各種センサ・スイッチ類が接続されている。
また、車両ECU13には、図示はしないがクラッチ4を断接操作するアクチュエータ、及び自動変速機5を変速操作するアクチュエータなどが接続されると共に、エンジン制御用のエンジンECU22、インバータ制御用のインバータECU23、及びバッテリ11を管理するバッテリECU24が接続されている。
車両ECU13は、運転者によるアクセル操作量θaccなどに基づき車両1を走行させるために必要な要求トルクを算出し、その要求トルクやバッテリ11のSOCなどに基づき車両1の走行モードを選択する。本実施形態では走行モードとして、エンジン2の駆動力のみを用いるE/Gモード、モータ3の駆動力のみを用いるEVモード、及びエンジン2及びモータ3の駆動力を共に用いるHEVモードが設定されており、その何れかの走行モードを車両ECU13が選択するようになっている。
車両ECU13は選択した走行モードに基づき、要求トルクをエンジン2やモータ3が出力すべきトルク指令値に換算する。例えばHEVモードでは要求トルクをエンジン2側及びモータ3側に配分した上で、その時点の変速段に基づきエンジン2及びモータ3のトルク指令値を算出する。また、E/Gモードでは要求トルクを変速段に基づきエンジン2へのトルク指令値に換算し、EVモードでは要求トルクを変速段に基づきモータ3へのトルク指令値に換算する。
そして、車両ECU13は選択した走行モードを実行すべく、EVモードでは上記クラッチ4を切断し、E/Gモード及びHEVモードではクラッチ4を接続した上で、エンジンECU22及びインバータECU23にトルク指令値を適宜出力する。また、車両1の走行中において車両ECU13は、アクセル操作量θaccや車速Vなどに基づき図示しないシフトマップから目標変速段を算出し、この目標変速段を達成すべく、アクチュエータによりクラッチ4の断接操作及び変速段の切換操作を実行する。
一方、エンジンECU22は、車両ECU13から入力された走行モード及びトルク指令値を達成するように噴射量制御や噴射時期制御を実行する。例えばE/GモードやHEVモードでは、正側のトルク指令値に対してエンジン2に駆動力を発生させ、負側のトルク指令値に対してエンジンブレーキを発生させる。また、EVモードの場合には、燃料噴射の中止によりエンジン2を停止保持する、またはアイドル運転状態とする。
また、インバータECU23は、車両ECU13から入力された走行モード及びトルク指令値を達成するように、インバータ10を駆動制御する。例えばEVモードやHEVモードでは、正側のトルク指令値に対してモータ3を力行制御して正側の駆動力を発生させ、負側のトルク指令値に対してはモータ3を回生制御して負側の駆動力を発生させる。また、E/Gモードの場合には、モータ3の駆動力を0に制御する。
また、バッテリECU24は、バッテリ11の温度、バッテリ11の電圧、インバータ10とバッテリ11との間に流れる電流などを検出すると共に、これらの検出結果からバッテリ11のSOCを算出し、このSOCを検出結果と共に車両ECU13に出力する。
ところで、上記のように降坂路での車両1の回生走行時にはモータ3により発電された電力をバッテリ11に充電しているが、[発明が解決しようとする課題]で述べたように、バッテリ11への充電電流は熱的な制限を受ける。このため上式(1)に基づき発熱量Hが所定の上限許容値を超えた時点で、たとえ降坂路が連続していたとしてもモータ3の回生制御を中止或いは制限せざるを得ない。結果として、バッテリ11を十分に充電できないという問題がある。
一方、降坂路の勾配や長さなどに応じてモータ3の回生制御によるバッテリ11の充電状態は異なり、それに応じて発熱量Hの増加状況が相違する。よって、発熱量Hの増加状況に関わらず、常に適切にバッテリ11の充電電流を抑制して劣化や破損を防止する必要がある。そこで、予め複数の制限条件毎に判定時間及び上限許容値を設定し、それらの制限条件に基づきそれぞれ発熱量Hを判定する対策が講じられている。即ち、この場合には、各制限条件の判定時間毎に上式(1)から発熱量Hを算出し、それらの発熱量Hの何れか一つでも上限許容値を超えると、充電電流Iを抑制してモータ3の回生制御を中止或いは制限している。
上記した問題点を鑑みて本発明者は、モータ3の回生制御中にバッテリ11の発熱量Hを上限許容値に抑制し続けると、電流Iが発熱量Hに基づく制限を受けなくなることに着目した。即ち、電流Iが発熱量Hの制限を受けなくなれば、回生制御中に略一定の回生トルクを保つことができるため、全体として確保できる発電量を増加可能となる。但し、上記のよう発熱量Hに基づく制限条件が複数設定されている場合には、何れの制限条件の上限許容値に発熱量Hを抑制すべきかを見極める必要があり、以下、この点を含めた降坂路でのモータ3の回生制御を説明する。
上記のようにモータ3の回生制御中にバッテリ11の発熱量Hを上限許容値に抑制するには、降坂路の走行を開始する以前に、この発熱量Hに関する要件を満足させることができる最適なモータ出力を導き出す必要がある。そのためには、自車の道路上の前方に存在する降坂路の情報、具体的には降坂路の勾配及び降坂路の長さに関する情報が必要となる。そこで、本実施形態の回生制御装置では、前方に存在する降坂路の情報を取得するために、図1に示すように車両ECU13にナビゲーション装置31(降坂路情報取得手段)及び通信装置32(降坂路情報取得手段)が接続されている。
ナビゲーション装置31は自己の記憶領域に記憶されている地図データ、及びアンテナを介して受信されるGPS情報やVICS(登録商標)情報などに基づき、車両1の走行中に地図上の自車位置を特定する。通信装置32は、路側に適宜設置されているデータセンタの路側通信システムとの間で路車間通信を行うと共に、周囲を走行中の他車との間で車々間通信を行う。
通信対象となる情報は多岐にわたり、例えば自車が保有しない地図情報、或いは道路情報(道路のカーブや勾配など)や交通情報(渋滞情報、事故情報、工事情報など)、或いは地域情報(観光スポットの案内など)を路側通信システムや他車から取得したり、逆にこれらの情報を他車に供給したりする。
図2は車両ECU13が実行するモータ回生制御ルーチンを示し、車両ECU13は車両1の走行中に当該ルーチンを所定の制御インターバルで実行する。
まず、ステップS2でナビゲーション装置31及び通信装置32を利用して自車の前方に存在する降坂路の情報を取得する(降坂路情報取得手段)。続くステップS4ではモータ3を回生制御できる降坂路が存在する場合に、その降坂路で回収し得る最大エネルギEmaxを算出する。最大エネルギEmaxは、例えば降坂路の勾配、降坂路の長さ、車両1の重量、車両1が受ける走行抵抗、モータ3の最大出力、バッテリ11の容量、現在のバッテリ11のSOCなどの影響を受けるため、これらの各要件に基づき算出される。
続くステップS6では、次式(2)に従って上記各要件を前提として回生制御によりモータ3が出力可能な最大出力Pmaxを算出する。
Pmax=Emax/T……(2)
ここに、Tは回生制御の継続時間(降坂路の走行時間)であり、降坂路の長さ及び降坂路での車両1の平均車速から算出される。
さらにステップS8で、次式(3)に従って降坂路を走行中において最大出力Pmaxを達成するために必要なモータ3の平均電流Iavを算出する。
Iav=Pmax/Vav×η……(3)
ここに、Vavはバッテリ11の平均電圧、ηはモータ3の効率である。
その後ステップS10で、次式(4)に従って発熱量H(n)(n=1〜3)をそれぞれ算出する(発熱量予測手段)。
H(n)=Iav2×Tlim(n)……(4)
ここに、Tlim(n)(n=1〜3)は判定時間であり、バッテリ11の発熱量Hを抑制するための3種の制限条件として、予め上限許容値Hlmi(n)(n=1〜3)と共に設定されている。
本実施形態では、判定時間Tlim(n)としてT1,T2,T3が定められ、それらの判定時間Tlim(n)内にバッテリ11に発生する発熱量Hの上限として上限許容値Hlmi(n)が定められている。モータ3の回生制御中において発熱量Hは、例えば1sec毎の移動平均により各判定時間Tlim(n)内の積算値として逐次算出され、何れかの制限条件に基づく発熱量Hが対応する上限許容値Hlmi(n)を超える場合には、バッテリ11への充電電流Iの制限により発熱量Hの抑制が図られる。
上記ステップS10では、このような判定時間Tlim(n)及び平均電流Iavに基づき、各判定時間Tlim(n)内での発熱量Hの予測値として発熱量H(n)(予測発熱量)が算出される。
続くステップS12では、以上のようにして算出した各発熱量H(n)を上限許容値Hlmi(n)(n=1〜3)と比較する(第1の発熱量判定手段)。ステップS12で、全ての発熱量H(n)が対応する上限許容値Hlmi(n)を超えないと判定したときには、ステップS14に移行する。ステップS14では各発熱量H(n)及び対応する判定時間Tlim(n)に基づき、次式(5)に従って各発熱量H(n)に対応する電流Ioptをそれぞれ算出し、続くステップS16で算出した電流Ioptの中から最大値を選出する。
Figure 2014222989
さらにステップS18で、次式(6)に従って最大値の電流Iopt及びバッテリ11の平均電圧Vavに基づきモータ出力を算出し、このモータ出力を目標出力Pdemとして設定する(目標出力設定手段)。
Pdem=Iopt×Vav/η……(6)
電流Ioptは、モータ3の回生制御中に3種の制限条件の下で発熱量H(n)が発生したときの最大のバッテリ11の充電電流Iとして選出され、その電流Ioptにより達成されるモータ出力として目標出力Pdemが算出される。即ち、何れの制限条件でもモータ3の回生制御中の発熱量H(n)は上限許容値Hlmi(n)を超えないと予測されるため、可能な限り大きな発電量を確保すべく、各発熱量H(n)相当の電流Ioptから最大値を選出して目標出力Pdemとして設定しているのである。
一方、上記ステップS12で、何れかの発熱量H(n)が対応する上限許容値Hlmi(n)を超えるときには、ステップS20に移行する。ステップS20では、発熱量H(n)が上限許容値Hlmi(n)を超えている制限条件を選出し、それらの制限条件に適用されている上限許容値Hlmi(n)及び対応する判定時間Tlim(n)に基づき、下式(7)に従って電流Ioptをそれぞれ算出する。
続くステップS22では算出した電流Ioptの中から最小値を選出し、その後にステップS18に移行して、最小値の電流Iopt及び平均電圧Vavからモータ出力を算出して目標出力Pdemとして設定する(目標出力設定手段)。
Figure 2014222989
ステップS20,22の処理では、例えば全ての制限条件で発熱量H(n)が上限許容値Hlmi(n)を超えるときには、各制限条件で算出された電流Ioptの中から最も小さい値が選出される。また、1つの制限条件のみで発熱量H(n)が上限許容値Hlmi(n)を超えるときには、その制限条件の電流Ioptが選出される。
電流Ioptは、モータ3の回生制御中に発熱量H(n)が上限許容値Hlmi(n)を超えると判定された制限条件の中で、発熱量Hを上限許容値Hlmi(n)に抑制し得る最小のバッテリ11の充電電流Iとして選出される。また、選出された最小値の電流Ioptにより達成されるモータ出力として、目標出力Pdemが算出される。
即ち、発熱量H(n)が上限許容値Hlmi(n)を超えない制限条件に関しては、発熱量Hを抑制する必要はない。しかし、発熱量H(n)が上限許容値Hlmi(n)を超える制限条件に関しては、少なくとも発熱量Hを上限許容値Hlmi(n)に抑制するために上限許容値Hlmi(n)相当値まで電流Ioptを制限する必要がある。また、このような発熱量Hの抑制を要する制限条件が複数ある場合には、発熱量Hの抑制のためにより電流Ioptの制限を要する側(電流Ioptが小の側)の制限条件を満足する必要があるため、最小値の電流Ioptを選出しているのである。
以上のようにして目標出力Pdemを設定した後に、車両ECU13はステップS18からステップS22に移行して車両1が降坂路に到達したか否かを判定する。ステップS22の判定がYesになると、ステップS24で目標出力Pdemに基づきモータ3を回生制御する(モータ出力制御手段)。続くステップS26では降坂路が終了したか否かを判定し、Noの判定を下している間はステップS24の処理を繰り返す。降坂路の終了によりステップS26の判定がYesになると、ルーチンを終了する。
次に、以上の車両ECU13による降坂路でのモータ3の回生制御の実行状況を図3のタイムチャートに基づき説明する。同図では、本実施形態による制御を太い実線で示し、特許文献1による制御を破線で示している。
車両1が降坂路に到達すると、適正な車速Vの維持のために細い実線で示すように負側の要求トルクが設定され、その一部がモータ3による回生トルクとして配分され、不足分が車両1に装備されている制動装置により補われる。車両1の制動装置としては、エンジン2の圧縮開放ブレーキ、排気ブレーキ、或いはリターダなどがある。このときクラッチ4の断接状態は何れであってもよく、クラッチ4を切断している場合にはエンジン2をアイドル運転させ、クラッチ4を接続している場合にはエンジン2を燃料カットして駆動輪9側からの逆駆動によりモータリング運転させる。
まず、特許文献1によるモータ3の回生制御状況を説明すると、破線で示すように、回生制御の開始当初はモータ3が最大出力で制御されることにより大きな回生トルクが得られ、それに応じてSOCも比較的に急激に増加する。しかし、上式(1)から算出された発熱量Hが上限許容値に接近すると、バッテリ11への充電電流Iを制限するためにハッチングで示すようにモータ3の回生トルクが次第に低下し、それに伴ってSOCの増加が緩慢となる。このため、降坂路の走行終了の時点でもSOCはそれほど増加していないことが判る。
太い実線で示す本実施形態は、ステップS12で何れかの発熱量H(n)(少なくとも発熱量H(2))が上限許容値Hlmi(n)を超えると判定された場合を示す。この場合には、ステップS20,22で最小値として上限許容値Hlmi(2)相当の電流Ioptが選出され、その電流Ioptから求められた目標出力Pdemに基づきモータ出力が制御される。従って、モータ3の回生制御中の発熱量H(2)は上限許容値Hlmt(2)近傍まで増加し、その後に飽和して上限許容値Hlmt(2)近傍に保たれ続ける。
このとき、他の発熱量H(1),H(3)は上限許容値Hlmt(1),Hlmt(3)よりも十分に低いため、これ以上電流Iを抑制する必要はない。逆にこれ以上電流Iを増加させると、発熱量H(2)が上限許容値Hlmt(2)を超えることから、発熱量Hの制限条件に基づき強制的に電流Iが制限されてしまう。よって、このときの電流Iは、発熱量Hの制限条件に基づく制限を受けることがない最大値に保たれることになる。
そして、特許文献1の場合と比較すると、本実施形態の場合には回生制御の開始当初は回生トルクが若干低下するものの、バッテリ11の充電電流Iが発熱量Hの制限条件に基づく制限を受けなくなる。結果としてモータ3の回生制御中に略一定の回生トルクが保たれ、全体として確保できる発電量が増加することにより降坂路の終了時点でバッテリ11のSOCがより高い値まで増加する。また、充電電流Iの制限に起因するトルクショックを防止できるため、車両1のドライバビリティが向上する。
一方、ステップS12で全ての発熱量H(n)が上限許容値Hlmi(n)を超えない場合には、ステップS14、16で各発熱量H(n)相当の電流Ioptから最大値を選出してモータ出力が制御される。制御状況は図示していないが、この場合には発熱量Hの制限条件に基づき電流Iは制限されないため、最大値の電流Ioptに基づきモータ出力を制御しても何ら問題ない。結果として、この場合でも降坂路の走行中に可能な限り大きな発電量が確保される。
よって、本実施形態のハイブリッド型トラック1の回生制御装置によれば、降坂路などの走行時において過剰な充電に起因するバッテリ11の劣化や破損を防止した上で、車両1の運動エネルギまたは位置エネルギを効率よく電力に変換してバッテリ11を充電でき、もって車両全体のエネルギ効率を向上させることができる。
ところで、この第1実施形態では、モータ3の回生制御中に上限許容値Hlmi(n)相当或いは発熱量H(n)相当の電流Ioptを保つことにより、発熱量Hの制限条件に基づく電流Iの制限を回避したが、このように略一定の電流Iを維持する必要は必ずしもない。上記のように移動平均により各判定時間Tlim(n)内の積算値として発熱量Hを逐次算出しているため、これらの積算値が上限許容値Hlmi(n)を超えなければ、回生制御中に電流Iひいてはモータ出力を変動させた場合であっても、上記制限条件に基づく電流Iの強制的な制限を回避できる。
一方で、降坂路の走行が各判定時間Tlim(n)の経過と一致するタイミングで終了することは希であり、ほとんどの場合には各判定時間Tlim(n)の途中で降坂路の走行が終了する。例えば判定時間Tlim(n)=T1の場合、降坂路での走行開始(判定時間Tlim(n)のカウント開始)からT1、T1×2、T1×3が経過したそれぞれの時点と一致するタイミングで走行が終了することは希である。ほとんどの場合には、0〜T1の期間中、T1〜T1×2の期間中、T1×2〜T1×3の期間中の何れかのタイミングで降坂路の走行が終了する。
以上の点を鑑みると、判定時間Tlim(n)の後半に比して判定時間Tlim(n)の前半でモータ出力を高めに制御すれば、判定時間Tlim(n)の途中で降坂路での走行が終了(モータ3の回生制御が終了)した場合に、より多くの発電量を確保できることが判る。以上の知見の下に、モータ3の回生制御中にモータ出力を変動させた別例を第2実施形態として説明する。
[第2実施形態]
上記のように本実施形態の特徴は回生制御中にモータ出力を変動させることにあり、図1に基づき説明した基本的な構成、図2に基づき説明した車両ECU13の処理に関しては第1実施形態と相違ない。そこで、共通する構成の箇所の説明は省略し、相違点を重点的に述べる。
図4は車両ECU13による降坂路でのモータ3の回生制御の実行状況を示すタイムチャート、図5は回生制御中のモータ出力の変動状況を示すタイムチャートである。なお、図5はモータ出力を発電量として表すため、図4の回生トルクとは上下逆の関係になっているが、両者は同一特性を表している。
図5中に一点鎖線で示すように、第1実施形態では、図2のステップS18で設定された目標出力Pdemを達成するようにモータ出力が略一定に制御される、これに対して本実施形態では、太い実線で示すように判定時間Tlim(n)の前半で目標出力を増加側に補正し、判定時間Tlim(n)の後半で目標出力Pdemを減少側に補正し(目標出力補正手段)、補正後の目標出力Pdemに基づきモータ出力を制御している(モータ出力制御手段)。
詳しくは、この例では図5のポイントaで降坂路の走行が開始されると、判定時間Tlim(n)が経過する間に目標出力Pdemが増加側の所定値から減少側の所定値まで略一定の変化率で変化するように、目標出力Pdemを補正している。判定時間Tlim(n)の経過後も降坂路が連続する場合には、再び判定時間Tlim(n)のカウントを開始して同様の補正を繰り返す。
判定時間Tlim(n)としては、最小値の電流Ioptが選出された制限条件の判定時間Tlim(n)を適用し、その判定時間Tlim(n)を1周期として上記のように目標出力Pdemの補正を行えばよい。
増加側及び減少側の2つの所定値は、補正前の目標出力Pdemを中心として同一偏差を有するように設定されている。このため、補正後の目標出力Pdemに基づきモータ出力が制御されることにより、最初の判定時間Tlim(n)が経過した時点では第1実施形態とほぼ同一の発電量が得られる。この点は、2回目或いは3回目の判定時間Tlim(n)が経過した時点でも同様である。
しかし、図5のポイントb,cで示すように、ほとんどの場合には判定時間Tlim(n)の途中で降坂路での走行が終了する。これらの場合には、判定時間Tlim(n)の後半に比して前半にモータ出力が高められることにより、図4に示すように、降坂路の終了時点で第1実施形態に比較してバッテリ11のSOCを一層増加させることができる。この点は、図5中のハッチングの面積を比較しても明らかであり、減少側よりも増加側のハッチングの面積が大であることから、発電量が増加していることが推測できる。
従って、この第2実施形態のハイブリッド型トラックの回生制御装置によれば、発熱量Hの制限条件に基づく電流Iの制限を回避した上で、より多くの発電量を確保することができる。
なお、目標出力Pdemの補正処理は上記第2実施形態に限ることはなく、例えば図6に示すように実施してもよい。この別例では、目標出力を判定時間Tlim(n)の前半で増加側の略一定値に補正し、判定時間Tlim(n)の後半で減少側の略一定値に補正している(目標出力補正手段)。このような場合でも、第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
図5の制御例と図6の制御例とを比較すると、図6の場合には判定時間Tlim(n)の前半で高いモータ出力を維持することから、判定時間Tlim(n)の途中で降坂路が終了した場合には、図5よりも多くの発電量を確保できる。
しかし、発電量を確保し易いことは、反面では電流Iに基づく発熱量Hが増加し易いことを意味する。このため、車両1が降坂路に到達した時点で既にある程度まで発熱量Hが増加している場合、図6の制御例を開始すると、肝心の降坂路での走行中に発熱量Hが上限許容値を超えて電流Iが制限され、かえって発電量が減少する可能性がある。また、図6の制御例では、判定時間Tlim(n)の開始・終了時点のみならず、判定時間Tlim(n)の中間時点でもモータ出力がステップ的に変動するため、トルクショックの問題が発生し易い。
このような利害得失を鑑みると、車両1が降坂路に到達した時点のバッテリ11の発熱量Hを判定し(第2の発熱量判定手段)、判定した発熱量Hに基づき双方の制御例を切り換えるようにしてもよい。例えば、降坂路の到達した時点の発熱量Hが予め設定された発熱量判定値を超えるときには、図5の制御例を実行する(目標出力補正手段)。この制御例によれば、図6の制御例に比べると降坂路の走行中に発熱量Hが増加し難いため、電流Iの制限を回避しながら発電量を増加させることができる。
また、降坂路の到達した時点の発熱量Hが発熱量判定値以下のときには、図6の制御例を実行する(目標出力補正手段)。未だ発熱量Hが低いため、図6の制御例の実行により発熱量Hが増加しても降坂路の走行中に上限許容値を超えることはない。そして、電流Iの制限を回避しながら図5の制御よりも多くの発電量を確保することができる。
一方、例えば降坂路の走行を終了した直後に登坂路に移行した場合、モータ3は回生制御から直ちに力行制御に切り換えられ、放電電流Iの増加に伴ってバッテリ11の発熱量Hが急増する。よって、このような状況が予測されるときには、降坂路の走行を終了した時点でバッテリ11の発熱量Hをある程度抑制しておくことが望ましい。図5,6の何れの制御例でも、目標出力Pdemを中心とした増加側及び減少側の補正量Aを縮小するほど発電量の点では不利になる(モータ出力を略一定とした第1実施形態の発電量に近づく)が、降坂路の走行終了の時点での発熱量Hを抑制できる。
そこで、車両1が降坂路に到達する以前に、自車の前方の降坂路の情報と共に降坂路の直後の路面情報も取得し(降坂路情報取得手段)、その路面情報に基づき、降坂路の直後の走行に要求されるモータ出力を予測しておく(モータ出力予測手段)。そして、第2実施形態で述べたように目標出力Pdemを増加側及び減少側に補正する際には、予測したモータ出力が大きいほど補正量Aを縮小する(目標出力補正手段)。
これにより降坂路を走行中に生じるバッテリ11の発熱量H、ひいては降坂路の走行終了の時点での発熱量Hが抑制される。よって、たとえ降坂路の直後に登坂路でモータ3を力行制御することによりバッテリ11の発熱量Hが増加した場合であっても、発熱量Hが上限許容値を超える事態を回避できる。このため、放電電流Iの制限による力行制御の中断を未然に防止でき、もって車両1のドライバビリティを向上することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記各実施形態では、エンジン2に加えて走行用動力源としてモータ3を搭載したハイブリッド型トラック1に具体化したが、モータ3のみを搭載した電気自動車に具体化してもよいし、バスや乗用車に具体化してもよい。
また上記各実施形態では、ステップS20,22において各上限許容値Hlmi(n)相当の電流Ioptから最小値を選出して目標出力Pdemを設定することにより、発熱量H(n)を上限許容値Hlmi(n)近傍に保った(図4のH(2)とHlmi(2)の関係)。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば発熱量H(n)を上限許容値Hlmi(n)よりも若干低い値に抑制してもよく、このような場合も本発明に含まれるものとする。
2 エンジン
3 モータ
9 駆動輪
11 バッテリ
13 車両ECU(降坂路情報取得手段、発熱量予測手段、第1の発熱量判定手段、
第2の発熱量判定手段、目標出力設定手段、目標出力補正手段、モータ出力予測手段)
23 インバータECU(モータ出力制御手段)
31 ナビゲーション装置(降坂路情報取得手段)
32 通信装置(降坂路情報取得手段)
以上のようにして目標出力Pdemを設定した後に、車両ECU13はステップS18からステップS2に移行して車両1が降坂路に到達したか否かを判定する。ステップS2の判定がYesになると、ステップS24で目標出力Pdemに基づきモータ3を回生制御する(モータ出力制御手段)。続くステップS26では降坂路が終了したか否かを判定し、Noの判定を下している間はステップS24の処理を繰り返す。降坂路の終了によりステップS26の判定がYesになると、ルーチンを終了する。

Claims (5)

  1. 走行用動力源として装備されたモータの駆動力を駆動輪に伝達して走行すると共に、降坂路の走行中には上記駆動輪側からの逆駆動によりモータを回生制御して回生電力をバッテリに充電する電気自動車において、
    車両の前方に存在する降坂路の情報を取得する降坂路情報取得手段と、
    上記降坂路情報取得手段により取得された降坂路の情報に基づき、実現可能な最大出力で上記モータを回生制御しながら上記降坂路を走行したときに、予め設定された複数の判定時間における上記バッテリの充電に起因して発生する発熱量をそれぞれ予測する発熱量予測手段と、
    上記発熱量予測手段により予測された各判定時間毎の予測発熱量が、各判定時間に対応して予め設定された上限許容値を超えるか否かをそれぞれ判定する第1の発熱量判定手段と、
    上記第1の発熱量判定手段により上記何れかの予測発熱量が対応する上限許容値を超えると判定されたときに、該超えると判定された各上限許容値に対応する上記バッテリの充電電流をそれぞれ算出して最小値を選出し、該最小値の充電電流に基づき上記モータの出力を算出して目標出力として設定する目標出力設定手段と、
    上記車両が上記降坂路に到達して該降坂路を走行するとき、上記第1の発熱量判定手段により上記何れかの予測発熱量が対応する上限許容値を超えると判定されている場合には、上記目標出力設定手段により設定された目標出力に基づき上記モータの出力を制御するモータ出力制御手段と
    を備えたことを特徴とする電気自動車の回生制御装置。
  2. 上記目標出力設定手段は、上記第1の発熱量判定手段により上記全ての予測発熱量が対応する上限許容値を超えないと判定されたときに、各予測発熱量に対応する上記バッテリの充電電流をそれぞれ算出して最大値を選出し、該最大値の充電電流に基づき上記モータの出力を算出して目標出力として設定することを特徴とする請求項1に記載の電気自動車の回生制御装置。
  3. 上記目標出力設定手段により、上記何れかの予測発熱量が対応する上限許容値を超えるとして最小値の充電電流から算出したモータ出力が目標出力として設定されたときに、該最小値の充電電流が選出された上限許容値と対応する判定時間の前半で上記目標出力を増加側に補正し、該判定時間の後半で上記目標出力を減少側に補正し、該増加側及び減少側の補正を判定時間毎に繰り返す目標出力補正手段を備え、
    上記モータ出力制御手段は、上記目標出力補正手段により補正された後の目標出力に基づき上記モータの出力を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の電気自動車の回生制御装置。
  4. 上記車両が降坂路に到達した時点の上記バッテリの発熱量を判定する第2の発熱量判定手段を備え、
    上記目標出力補正手段は、上記第2の発熱量判定手段により判定された上記バッテリの発熱量が予め設定された発熱量判定値を超えるときには、上記判定時間内において上記目標出力を増加側の所定値から減少側の所定値まで略一定の変化率で変化させるように補正し、上記第2の発熱量判定手段により判定された発熱量が上記発熱量判定値以下のときには、上記目標出力を上記判定時間の前半で増加側の略一定値に補正し、該判定時間の後半で減少側の略一定値に補正することを特徴とする請求項3に記載の電気自動車の回生制御装置。
  5. 上記降坂路情報取得手段は、上記降坂路の情報と共に該降坂路の直後の路面情報を取得し、
    上記降坂路情報取得手段により取得された降坂路の直後の路面情報に基づき、該降坂路の直後の走行に要求されるモータ出力を予測するモータ出力予測手段を備え、
    上記目標出力補正手段は、上記モータ出力予測手段により予測されたモータ出力が大きいほど、上記目標出力の増加側及び減少側の補正量を縮小することを特徴とする請求項3または4に記載の電気自動車の回生制御装置。
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