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JP5983764B2 - 運転支援装置、操作検出装置、及び、制御装置 - Google Patents

運転支援装置、操作検出装置、及び、制御装置 Download PDF

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JP5983764B2
JP5983764B2 JP2014550882A JP2014550882A JP5983764B2 JP 5983764 B2 JP5983764 B2 JP 5983764B2 JP 2014550882 A JP2014550882 A JP 2014550882A JP 2014550882 A JP2014550882 A JP 2014550882A JP 5983764 B2 JP5983764 B2 JP 5983764B2
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Description

本発明は、運転支援装置、操作検出装置、及び、制御装置に関する。
車両に搭載される従来の運転支援装置、操作検出装置、及び、制御装置として、例えば、特許文献1には、ハンドル操舵状態検出装置が開示されている。このハンドル操舵状態検出装置は、操舵角の時間微分値と操舵トルクとの積を積算した仕事量に応じて運転者によるハンドル操舵状態(操舵時、手放し時、保舵時等)を検出する。
特開2004−175122号公報
ところで、上述の特許文献1に記載のハンドル操舵状態検出装置は、例えば、検出結果に応じた運転支援を行う場合、より運転者の意思を反映させた運転支援となるように更なる改善の余地がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、運転者の意思を反映させた運転支援を実現することができる運転支援装置、操作検出装置、及び、制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る運転支援装置は、車両に搭載され、当該車両で運転支援を実行可能である支援装置と、前記車両の操舵部材の操舵角を検出する操舵角検出装置と、前記操舵部材と共に回転する操舵軸部に作用するトルクを検出するトルク検出装置と、前記支援装置を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記操舵角検出装置が検出した操舵角に応じた操舵速度と前記トルク検出装置が検出したトルクとの積と前記操舵角検出装置が検出した操舵角と前記トルク検出装置が検出したトルクに応じたトルク微分値との積との和に基づいた操舵仕事率が予め設定される基準値以上である場合と、当該操舵仕事率が当該基準値より小さい場合とで、前記支援装置による前記運転支援の内容を変更することを特徴とする。
また、上記運転支援装置では、前記支援装置は、前記操舵部材への操舵操作に応じて動作する操舵アクチュエータを含んで構成され、前記制御装置は、前記操舵仕事率が前記基準値以上である場合に、前記操舵アクチュエータを制御し、前記操舵仕事率が前記基準値より小さい場合と比較して、前記操舵部材への操舵操作を抑制する運転支援の度合を小さくするものとすることができる。
また、上記運転支援装置では、前記制御装置は、前記操舵仕事率が前記基準値以上である場合に、前記操舵アクチュエータを制御し、前記操舵仕事率が前記基準値より小さい場合と比較して、前記操舵アクチュエータが発生させるダンピング力を小さくするものとすることができる。
また、上記運転支援装置では、前記制御装置は、前記操舵仕事率と前記車両の車速とに基づいて、前記操舵アクチュエータの制御量を変更するものとすることができる。
また、上記運転支援装置では、前記制御装置は、前記操舵仕事率の振幅が予め定められた振幅閾値以上である期間が、予め設定された所定期間以上継続した場合に、前記操舵仕事率の振幅が前記振幅閾値より小さい場合、又は、前記操舵仕事率の振幅が前記振幅閾値以上である期間が前記所定期間未満である場合と比較して、前記操舵アクチュエータが発生させるアシスト力、前記操舵アクチュエータが発生させるダンピング力、又は、前記操舵アクチュエータが発生させる摩擦力のうちの少なくとも1つを大きくするものとすることができる。
また、上記運転支援装置では、前記制御装置は、前記操舵仕事率の絶対値が予め設定された所定仕事率以下である場合に、前記操舵アクチュエータが発生させるアシスト力の補正量であるアシスト補正量、又は、前記操舵アクチュエータが発生させるダンピング力の補正量であるダンピング補正量を一定とし、前記操舵仕事率の絶対値が前記所定仕事率より大きい場合に、前記アシスト補正量、又は、前記ダンピング補正量を、前記操舵仕事率の絶対値の増加に伴って変化させるものとすることができる。
また、上記運転支援装置では、前記支援装置は、前記車両を走行させる動力を発生させる動力源を自動で始動及び停止することで運転支援を行う動作部を含んで構成され、前記制御装置は、前記操舵仕事率が前記基準値以上である場合に、前記動力源を始動する運転支援を行い、前記操舵仕事率が前記基準値より小さい場合に、前記動力源を始動する運転支援を行わないものとすることができる。
また、上記運転支援装置では、前記制御装置は、前記操舵角検出装置が検出した操舵角に関するパラメータと前記トルク検出装置が検出したトルクに関するパラメータとの積に応じた操舵仕事量に基づいて、前記支援装置による前記運転支援の内容を変更するものとすることができる。
また、上記運転支援装置では、前記操舵仕事率は、前記操舵角検出装置が検出した操舵角に応じた操舵速度と前記トルク検出装置が検出したトルクとの積、又は、前記操舵角検出装置が検出した操舵角と前記トルク検出装置が検出したトルクに応じたトルク微分値との積のいずれか一方又は両方に基づいて算出されるものとすることができる。
また、上記運転支援装置では、前記操舵仕事率の振幅は、前記操舵仕事率の最大値と最小値との差分、前記操舵仕事率の最大値の絶対値、又は、前記操舵仕事率の最小値の絶対値に基づいて算出されるものとすることができる。
また、上記運転支援装置では、前記制御装置は、前記操舵仕事率が前記基準値以上である場合に前記操舵部材に対する能動操作に対応する運転支援とし、前記操舵仕事率が前記基準値より小さい場合に前記操舵部材に対する受動操作に対応する運転支援とするものとすることができる。
上記目的を達成するために、本発明に係る操作検出装置は、車両の操舵部材の操舵角を検出する操舵角検出装置と、前記操舵部材と共に回転する操舵軸部に作用するトルクを検出するトルク検出装置と、前記操舵角検出装置が検出した操舵角に応じた操舵速度と前記トルク検出装置が検出したトルクとの積と前記操舵角検出装置が検出した操舵角と前記トルク検出装置が検出したトルクに応じたトルク微分値との積との和に基づいた操舵仕事率に基づいて、前記操舵部材に対する能動操作と前記操舵部材に対する受動操作とを判定する判定装置とを備えることを特徴とする。
また、上記操作検出装置では、前記能動操作は、運転者が前記車両を目標位置に移動させようとする操舵操作を含み、前記受動操作は、運転者が外乱に対して前記車両を目標位置に維持しようとする操舵操作、手放し操作、又は、保舵操作を含むものとすることができる。
また、上記操作検出装置では、前記判定装置は、前記操舵角検出装置が検出した操舵角に関するパラメータと前記トルク検出装置が検出したトルクに関するパラメータとの積に応じた操舵仕事率に基づいて、前記能動操作と前記受動操作とを判定し、前記操舵仕事率は、前記操舵角検出装置が検出した操舵角に応じた操舵速度と前記トルク検出装置が検出したトルクとの積、又は、前記操舵角検出装置が検出した操舵角と前記トルク検出装置が検出したトルクに応じたトルク微分値との積のいずれか一方又は両方に基づいて算出されるものとすることができる。
また、上記操作検出装置では、前記判定装置は、前記操舵仕事率の振幅が予め定められた振幅閾値以上である期間が、予め設定された所定期間以上継続した場合に、外乱に対する修正操舵を判定するものとすることができる。
また、上記操作検出装置では、前記判定装置は、前記操舵角検出装置が検出した操舵角に関するパラメータと前記トルク検出装置が検出したトルクに関するパラメータとの積に応じた操舵仕事量に基づいて、前記能動操作と前記受動操作とを判定するものとすることができる。
また、上記操作検出装置では、前記操舵仕事量は、前記操舵角検出装置が検出した操舵角に関するパラメータとして前記車両のヨーレートに応じて算出される操舵角と前記トルク検出装置が検出したトルクとの積に基づいて算出され、前記判定装置は、前記操舵仕事量に基づいて、前記能動操作と前記受動操作とを判定するものとすることができる。
また、上記操作検出装置では、前記操舵仕事量は、前記操舵角検出装置が検出した操舵角に関するパラメータとして、前記操舵角検出装置が検出した操舵角と前記車両の直進走行時の操舵角との差分に応じた操舵角、又は、前記操舵角検出装置が検出した操舵角と前記車両のヨーレートに応じて算出される操舵角との差分に応じた操舵角と、前記トルク検出装置が検出したトルクとの積に基づいて算出され、前記判定装置は、前記操舵仕事量に基づいて、外乱に対する修正操舵を判定するものとすることができる。
上記目的を達成するために、本発明に係る操作検出装置は、車両の操舵部材の操舵角を検出する操舵角検出装置と、前記操舵部材と共に回転する操舵軸部に作用するトルクを検出するトルク検出装置と、前記操舵角検出装置が検出した操舵角に関するパラメータと前記トルク検出装置が検出したトルクに関するパラメータとの積に応じた操舵仕事率の振幅に基づいて、外乱に対する修正操舵を判定する判定装置とを備えることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る制御装置は、車両に搭載され、当該車両で運転支援を実行可能である支援装置を制御する制御装置であって、前記車両の操舵部材の操舵角に応じた操舵速度と前記操舵部材と共に回転する操舵軸部に作用するトルクとの積と前記操舵部材の操舵角と前記操舵軸部に作用するトルクに応じたトルク微分値との積との和に基づいた操舵仕事率が予め設定される基準値以上である場合と、当該操舵仕事率が当該基準値より小さい場合とで、前記支援装置による前記運転支援の内容を変更することを特徴とする。
本発明に係る運転支援装置、操作検出装置、及び、制御装置は、運転者の意思を反映させた運転支援を実現することができる、という効果を奏する。
図1は、実施形態1に係る運転支援装置の概略構成を表す概略構成図である。 図2は、実施形態1に係る運転支援装置において操舵仕事率が表す意味について説明する線図である。 図3は、実施形態1に係る運転支援装置において操舵仕事率が表す意味について説明する線図である。 図4は、実施形態1に係る運転支援装置において操舵仕事量が表す意味について説明する線図である。 図5は、実施形態1に係るECUの概略構成の一例を示すブロック図である。 図6は、実施形態1に係るECUによる制御の一例を説明するフローチャートである。 図7は、実施形態1に係るECUの概略構成の一例を示すブロック図である。 図8は、実施形態1に係るECUの概略構成の一例を示すブロック図である。 図9は、実施形態1に係るECUの概略構成の一例を示すブロック図である。 図10は、実施形態2に係るECUの概略構成の一例を示すブロック図である。 図11は、車両のスラント路における走行状態を説明する模式図である。 図12は、運転者によって外乱に対する修正操舵がなされた場合の操舵角、操舵トルクについて説明する線図である。 図13は、運転者によって外乱に対する修正操舵がなされた場合の操舵角、操舵トルクについて説明する線図である。 図14は、実施形態2に係るECUによる制御の一例を説明するフローチャートである。 図15は、実施形態2に係るECUによる修正操舵判定の一例を説明する線図である。 図16は、実施形態3に係るECUの概略構成の一例を示すブロック図である。 図17は、操舵トルクに基づいて運転者意思を判定する場合について説明する模式図である。 図18は、操舵速度に基づいて運転者意思を判定する場合について説明する模式図である。 図19は、操舵仕事率に基づいて運転者意思を判定する場合について説明する模式図である。 図20は、実施形態3に係るECUによる制御の一例を説明するフローチャートである。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る運転支援装置の概略構成を表す概略構成図である。図2、図3は、実施形態1に係る運転支援装置において操舵仕事率が表す意味について説明する線図である。図4は、実施形態1に係る運転支援装置において操舵仕事量が表す意味について説明する線図である。図5は、実施形態1に係るECUの概略構成の一例を示すブロック図である。図6は、実施形態1に係るECUによる制御の一例を説明するフローチャートである。図7、図8、図9は、実施形態1に係るECUの概略構成の一例を示すブロック図である。
図1に示す本実施形態の運転支援装置1は、車両2に搭載され、車両2で運転支援を実行可能であると共に、当該車両2の操舵系の情報に基づいて運転者の操作意思を検出する操作検出装置としての機能を有している。運転支援装置1は、典型的には、操舵系の情報に応じた所定の指標に基づいて、運転者の操作意思を反映した操作として、操舵部材に対する能動操作と、操舵部材に対する受動操作とを区別して判定する。そして、運転支援装置1は、当該判定結果を車両2における各種制御に反映させることで、運転者の意思を反映させた運転支援を実現するものである。
ここで、操舵部材に対する能動操作とは、典型的には、運転者の操作意思が相対的に強く反映された操作である。一方、操舵部材に対する受動操作とは、典型的には、運転者の操舵意思が相対的に弱く反映された操作、例えば、外乱や安定性補償のために対応する消極的な操作である。さらに具体的に言えば、操舵部材に対する能動操作は、例えば、運転者が車両2を目標位置に移動させようとする積極的な操舵操作を含んでもよい。能動操作は、典型的には、能動的に仕事をしている状態、いわゆる筋電が発生している状態、脳から能動的に指令が出ている状態等であり、例えば、操舵部材をにぎって力を入れて操舵し車両2を直進状態から旋回状態に移行させるような操作である。一方、操舵部材に対する受動操作は、例えば、運転者が外乱に対して車両2を目標位置に維持しようとする操舵操作、操舵部材から手を放した手放し操作、又は、車両2の進行方向を一定に維持すべく操舵部材を保持する保舵操作等を含んでもよい。受動操作は、例えば、操舵部材に手を添えて路面外乱等に対応するような操作である。
本実施形態の運転支援装置1は、操舵仕事率に基づいた能動操作と受動操作との判定結果を車両2の操舵系の運転支援制御に反映させる。これにより、運転支援装置1は、例えば、運転者の特性によらないステア性能維持に関する制御(例えば、アシスト制御、ダンピング制御、ヒス付与制御等)を行う。
具体的には、運転支援装置1は、図1に示すように、車両2に搭載され、当該車両2で運転支援を実行可能である支援装置3と、操舵角検出装置としての操舵角センサ10と、トルク検出装置としてのトルクセンサ11と、支援装置3を制御する制御装置としてのECU20とを備える。操舵角センサ10は、車両2の操舵部材としてのステアリングホイール(以下、特に断りのない限り「ステアリング」と略記する。)4の操舵角を検出する。トルクセンサ11は、ステアリング4と共に回転する操舵軸部としてのステアリングシャフト(以下、特に断りのない限り「シャフト」と略記する。)5に作用するトルクを検出する。ECU20は、操作検出装置の判定装置としても兼用される。本実施形態の支援装置3は、車両2の操舵系を構成する操舵装置30を含んで構成される。
ここで、操舵装置30は、車両2に搭載され、車両2の操舵輪40を操舵するための装置である。本実施形態の操舵装置30は、車両2の操舵力を電動機等の動力により補助するいわゆる電動パワーステアリング装置(EPS:Electronic Power Steering)である。操舵装置30は、運転者からステアリング4に加えられた操舵力に応じた操舵補助力を得られるように電動機等を駆動することにより、運転者のステアリング操作(操舵操作)を補助する。
具体的には、操舵装置30は、図1に示すように、操舵部材としてのステアリング4と、操舵軸部としてのシャフト5と、R&Pギヤ機構(以下、特に断りのない限り「ギヤ機構」と略記する。)6と、左右一対のタイロッド7と、操舵アクチュエータとしてのEPS装置8とを備える。
ステアリング4は、回転軸線X1周り方向に回転操作可能な部材であり、車両2の運転席に設けられる。運転者は、回転軸線X1を回転中心としてこのステアリング4を回転操作することでステアリング操作(操舵操作)を行うことができる。つまり、操舵装置30が搭載された車両は、運転者によってこのステアリング4が操作されることで、操舵輪40が操舵(転舵)される。
シャフト5は、ステアリング4の回転軸部をなすものである。シャフト5は、一端がステアリング4と連結され、他端がギヤ機構6と連結される。つまり、ステアリング4は、このシャフト5を介してギヤ機構6に接続される。シャフト5は、運転者によるステアリング4の回転操作に伴って、ステアリング4と共に中心軸線周り方向に回転可能である。シャフト5は、例えば、アッパシャフト、インタミシャフト、ロアシャフトなどの複数の部材に分割されていてもよい。
ギヤ機構6は、シャフト5と一対のタイロッド7とを機械的に連結するものである。ギヤ機構6は、例えば、いわゆるラックアンドピニオン方式の歯車機構を有し、シャフト5の中心軸線周り方向の回転運動を一対のタイロッド7の左右方向(典型的には車両2の車幅方向に相当)の直線的な運動に変換する。
一対のタイロッド7は、それぞれ基端部がギヤ機構6に連結され、先端部をなすタイロッドエンドがナックルアームを介して各操舵輪40に連結される。つまり、ステアリング4は、シャフト5、ギヤ機構6及び各タイロッド7等を介して各操舵輪40に連結される。
EPS装置8は、上記支援装置3を構成するものであり、ステアリング4への操舵操作に応じて動作する操舵アクチュエータである。EPS装置8は、運転者によるステアリング4に対するステアリング操作(操舵操作)を補助するものであり、当該ステアリング操作を補助するためのトルクを発生させるものである。EPS装置8は、運転者によりステアリング4に入力される操舵力(トルク)を補助する操舵補助力(アシストトルク)を出力する。言い換えれば、EPS装置8は、車両2の操舵輪40を電動機等によって駆動することで運転者のステアリング操作を支援する。EPS装置8は、アシストトルクをシャフト5に作用させることで運転者のステアリング操作をアシストする。ここでアシストトルクは、運転者によりステアリング4に入力される操舵力に相当するトルクを補助するトルクである。
ここでのEPS装置8は、電動機としてのモータ8aと、減速機8bとを有する。本実施形態のEPS装置8は、例えば、インタミシャフトなどのシャフト5にモータ8aが設けられたコラムEPS装置であり、すなわち、いわゆるコラムアシスト式のアシスト機構である。
モータ8aは、電力が供給されることで回転動力(モータトルク)を発生させるコラムアシスト用電動モータであり、例えば、操舵補助力としてアシストトルクを発生するものである。モータ8aは、減速機8b等を介してシャフト5に動力伝達可能に接続され、減速機8b等を介してシャフト5に操舵補助力を付与する。減速機8bは、モータ8aの回転動力を減速してシャフト5に伝達する。
EPS装置8は、モータ8aが回転駆動することにより、モータ8aが発生させた回転動力(トルク)が減速機8bを介してシャフト5に伝達され、これにより操舵アシストを行う。このとき、モータ8aが発生させた回転動力は、減速機8bにて減速されトルクが増大されてシャフト5に伝達される。このEPS装置8は、後述のECU20に電気的に接続され、モータ8aの駆動が制御される。
操舵角センサ10は、上述したようにステアリング4の操舵角を検出するものであり、ステアリングシステムにおける回転角センサである。ここでは、操舵角センサ10は、絶対角として操舵角を検出する。操舵角センサ10は、ステアリング4の回転角度である操舵角(ハンドル操舵角)を検出する。操舵角センサ10が検出する操舵角は、例えば、ステアリング4の中立位置を基準として左回り側が正の値、右回り側が負の値として検出されるが、この逆でもよい。なお、ステアリング4の中立位置とは、操舵角の基準となる位置であり、典型的には、車両2が直進走行する際のステアリング4の位置である。操舵角センサ10が検出する操舵角は、ステアリング4の中立位置では0°となる。操舵角センサ10は、ECU20と電気的に接続されており、検出した操舵角に応じた検出信号をECU20に出力する。
なお、運転支援装置1の操舵角検出装置は、操舵角センサ10に限らず、例えば、モータ8aのロータ軸の回転角を検出する回転角センサ12、ギヤ機構6のラックストローク又はピニオン回転角を検出するセンサ(不図示)、操舵輪40の切れ角を検出するセンサ(不図示)等を用いることもできる。この場合、操舵角検出装置は、例えば、回転角センサ12など、相対角として操舵角を検出するセンサである場合には、ステアリング4の絶対角を取得可能な機能を別途で有していればよい。
トルクセンサ11は、上述したようにシャフト5に作用するトルクを検出するものである。ここでは、トルクセンサ11は、シャフト5に作用するトルク、言い換えれば、シャフト5に生じるトルクを検出する。トルクセンサ11は、例えば、EPS装置8の一部を構成する捩れ部材であるトーションバー(不図示)に作用するトルクを検出する。このトルクセンサ11により検出されたトルク(以下、「操舵トルク」という場合がある。)は、典型的には、運転者からステアリング4に入力される操舵力に応じてシャフト5に作用するドライバ操舵トルクや操舵輪40への路面外乱入力等に応じて操舵輪40側からタイロッドエンドを介してシャフト5に入力される外乱トルクなどが反映されたトルクである。トルクセンサ11が検出するトルクは、例えば、左回り側が正の値、右回り側が負の値として検出されるが、この逆でもよい。トルクセンサ11は、ECU20と電気的に接続されており、検出した操舵トルクに応じた検出信号をECU20に出力する。
ECU20は、運転支援装置1を搭載する車両2の各部を制御するものである。ECU20は、CPU、ROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路である。ECU20は、例えば、上述のトルクセンサ11、操舵角センサ10、回転角センサ12)等の種々のセンサやEPS装置8が電気的に接続される。回転角センサ12が検出した回転角は、例えば、ECU20によるモータ8aへの電流制御(出力制御)に用いられる。ここでは、ECU20は、さらに、車速センサ13、ヨーレートセンサ14等が電気的に接続される。車速センサ13は、車両2の走行速度である車速を検出するものである。ヨーレートセンサ14は、車両2のヨーレートを検出するものである。ECU20は、この他、各種電流を検出する電流センサ、車両2に作用する横方向加速度を検出する横Gセンサ等の種々のセンサ、検出器等が電気的に接続されていてもよい。
ECU20は、種々のセンサから検出結果に対応した電気信号(検出信号)が入力され、入力された検出結果に応じてEPS装置8に駆動信号を出力しその駆動を制御する。ECU20は、検出された操舵操作物理量に基づいて、EPS装置8が発生させるトルクを調節する制御を実行可能である。
ECU20は、例えば、トルクセンサ11により検出された操舵トルク等に基づいて、EPS装置8を制御し、当該EPS装置8が発生させシャフト5に作用させるアシストトルクを調節し制御する。ECU20は、モータ8aへの供給電流であるモータ供給電流を調節することでモータ8aの出力トルクを調節し、アシストトルクを調節する。ここでモータ供給電流は、EPS装置8が要求される所定のトルクを発生させることができる大きさの電流である。このとき、ECU20は、例えば、回転角センサ12により検出された回転角等に基づいて、モータ8aへのモータ供給電流を制御するようにしてもよい。
上記のように構成される操舵装置30は、運転者からステアリング4に入力された操舵トルクと共に、ECU20の制御によってEPS装置8が発生させるトルク等がシャフト5に作用する。そして、操舵装置30は、シャフト5からギヤ機構6を介してタイロッド7に操舵力、操舵補助力が作用すると、このタイロッド7が運転者によるドライバ操舵トルクとEPS装置8が発生させるトルクとに応じた大きさの軸力によって左右方向に変位し操舵輪40が転舵される。この結果、操舵装置30は、運転者からステアリング4に入力される操舵力と、EPS装置8が発生させる操舵補助力とによって操舵輪40を転舵することができ、これにより、運転者によるステアリング操作を補助することができ、ステアリング操作に際して運転者の負担を軽減することができる。
そして、本実施形態のECU20は、操舵系の情報に応じた所定の指標として、操舵角センサ10が検出した操舵角に関するパラメータとトルクセンサ11が検出した操舵トルクに関するパラメータとに基づいて、ステアリング4に対する能動操作と、ステアリング4に対する受動操作とを区別して判定する。ここでは、ECU20は、操舵角センサ10が検出した操舵角に関するパラメータとトルクセンサ11が検出した操舵トルクに関するパラメータとの積に応じた操舵仕事率に基づいて、能動操作と受動操作とを判定する。また、ECU20は、能動操作と受動操作とを判定した上でその強さを検出して制御に応用することもできる。
ECU20は、判定結果に基づいて、支援装置3を構成する操舵装置30を制御し、支援装置3による運転支援の内容を変更する。つまり、ECU20は、操舵角センサ10が検出した操舵角に関するパラメータとトルクセンサ11が検出した操舵トルクに関するパラメータとの積に応じた操舵仕事率に基づいて、操舵装置30を制御し、支援装置3による運転支援の内容を変更する。
ここでは、ECU20は、操舵仕事率に基づいた判定に加えて、さらに、操舵角センサ10が検出した操舵角に関するパラメータとトルクセンサ11が検出した操舵トルクに関するパラメータとの積に応じた操舵仕事量に基づいて、能動操作と受動操作とを判定するようにしてもよい。つまり、ECU20は、操舵仕事率に基づいた運転支援の内容の変更に加えて、さらに、操舵角センサ10が検出した操舵角に関するパラメータとトルクセンサ11が検出した操舵トルクに関するパラメータとの積に応じた操舵仕事量に基づいて、支援装置3による運転支援の内容を変更するようにしてもよい。
つまり、本実施形態のECU20は、典型的には、運転者意思による過渡的な操舵操作を表す指標である操舵仕事率と、運転者意思による定常的な操舵操作を表す指標である操舵仕事量とに基づいて、能動操作と受動操作とを判定し、これに応じて支援装置3による運転支援の内容を変更する。
ここで、ECU20による判定、制御に用いられる操舵仕事率と操舵仕事量とについて説明する。
操舵仕事率とは、ステアリング4に対する運転者の操舵操作における仕事率を表す指標であり、単位時間当たりに使われているエネルギを表す物理量である。操舵仕事量とは、ステアリング4に対する運転者の操舵操作における仕事を表す指標であり、使われたエネルギを表す物理量である。操舵仕事率Pと操舵仕事量Wとの関係は、時間を「t」とした場合、下記の数式(1)で表すことができる。

P=dW/dt、W=∫P(t)dt ・・・ (1)
ここでは、操舵仕事率Pは、例えば、操舵角センサ10が検出した操舵角θに応じた操舵速度(操舵角の微分値に相当)θ’とトルクセンサ11が検出した操舵トルクTとの積、又は、操舵角センサ10が検出した操舵角θとトルクセンサ11が検出した操舵トルクTに応じたトルク微分値T’との積のいずれか一方又は両方に基づいて算出される。操舵速度θ’と操舵トルクTとの積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率Pは、典型的には、運転者意思による過渡的な操舵操作においてコース変更の意思等を反映する傾向にある。一方、操舵角θとトルク微分値T’との積[θ・T’]に基づいた操舵仕事率Pは、典型的には、運転者意思による過渡的な操舵操作において路面からの逆入力対応の意思等を反映する傾向にある。ECU20は、例えば、操舵仕事率Pが予め設定される仕事率基準値(基準値)ThP以上である場合にステアリング4に対する能動操作を検出し、操舵仕事率Pが当該仕事率基準値ThPより小さい場合にステアリング4に対する受動操作を検出する。
なお、仕事率基準値ThPの設定については、後述で詳細に説明する。
一方、操舵仕事量Wは、例えば、操舵角センサ10が検出した操舵角θとトルクセンサ11が検出した操舵トルクTとの積に基づいて算出される。操舵角θと操舵トルクTとの積[θ・T]に基づいた操舵仕事量Wは、典型的には、運転者意思による定常的な操舵操作において旋回等を継続しようとする意思等を反映する傾向にある。ECU20は、操舵仕事量Wが予め設定される仕事量基準値(基準値)ThW以上である場合にステアリング4に対する能動操作を検出し、操舵仕事量Wが当該仕事量基準値ThWより小さい場合にステアリング4に対する受動操作を検出する。
なお、仕事量基準値ThWの設定については、後述で詳細に説明する。
次に、操舵仕事率Pを用いた能動操作と受動操作との抽出について、より詳しく説明する。
ECU20は、操舵速度θ’と操舵トルクTとの積[θ’・T]、又は、操舵角θとトルク微分値T’との積[θ・T’]のいずれか一方又は両方に基づいて操舵仕事率Pを算出し、これに基づいて運転者意思を判定し、支援装置3(操舵装置30)による運転支援に反映させる。ECU20は、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率Pと、[θ・T’]に基づいた操舵仕事率Pとのどちらか一方を用いて運転者意思の判定を行ってもよいし、それぞれ個別に算出して両方を用いて運転者意思の判定を行ってもよい。また、ECU20は、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率と積[θ・T’]に基づいた操舵仕事率とを合成した操舵仕事率Pを算出して、運転者意思の判定を行ってもよい。ECU20は、例えば、下記の数式(2)を用いて操舵仕事率Pを算出することができる。

P=A・[θ’・T]+B・[θ・T’] ・・・ (2)
上記数式(2)において、「A」、「B」は、係数であり、各種条件や実車評価等に基づいて適宜設定可能な適合値である。ECU20は、上記の数式(2)において、係数A、Bを任意に設定することで、例えば、算出される操舵仕事率Pの用途、車両2の特性、運転者の特性等に応じて、適宜調節することができる。例えば、運転者意思によるコース変更の意思を反映させて能動操作と受動操作とを判定し運転支援を変更したい場合には、ECU20は、A=1、B=0とすることで、操舵仕事率Pの計算式を簡素化することができる。同様に、運転者意思による逆入力対応の意思を反映させて能動操作と受動操作とを判定し運転支援を変更したい場合には、ECU20は、A=0、B=1とすることで、操舵仕事率Pの計算式を簡素化することができる。また、ECU20は、係数A、Bを任意に調節することで、積[θ’・T]と積[θ・T’]とを所望の比率で合成した操舵仕事率Pを算出することができる。これにより、ECU20は、操舵仕事率Pにおけるそれぞれの意思の反映度合の配分を変更できるため、状況に応じて適切に能動操作と受動操作とを判定し運転支援を変更することが可能となる。
なお、ECU20は、上記の数式(2)に対して、さらに、スティーブンスの法則を適用して操舵仕事率Pを算出するようにしてもよい。この場合、ECU20は、例えば、上記の数式(2)の[θ’・T]にかえて、[k1・θ’a1・k2・Ta2]を適用してもよい。同様に、ECU20は、例えば、上記の数式(2)の[θ・T’]にかえて、[k3・θa3・k4・T’a4]を適用してもよい。「k1」、「k2」、「k3」、「k4」、「a1」、「a2」、「a3」、「a4」は、係数であり、各種条件や実車評価等に基づいて適宜設定可能な適合値である。これにより、ECU20は、例えば、運転者の感覚に対して非線形な物理量を線形に変換することができるので、操舵仕事率Pをより運転者の感覚にあわせた値にすることができ、より運転者の感覚にあわせた判定、運転支援が可能となる。
次に図2、図3を参照して上記のようにして算出される操舵仕事率Pが表す意味について説明する。図2は、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率Pが表す意味について説明する操舵特性図の一例であり、横軸を操舵トルクT、縦軸を操舵速度θ’としている。図3は、積[θ・T’]に基づいた操舵仕事率Pが表す意味について説明する操舵特性図の一例であり、横軸を(操舵)トルク微分値T’、縦軸を操舵角θとしている。
図2中、複数の点線で示す等ドライバ意図線L11は、等ドライバ意図を表す動作点(操舵速度θ’と操舵トルクTとの組み合わせ)の集合である。ここでは、運転者意図を表す指標として操舵仕事率Pを用いることができることから、等ドライバ意図を表す動作点とは、言い換えれば、操舵仕事率P(すなわち、積[θ’・T])が同等である操舵速度θ’と操舵トルクTとの組み合わせに相当する。つまり、各等ドライバ意図線L11は、操舵仕事率Pが同等となる操舵速度θ’と操舵トルクTとの組み合わせの集合である。[θ’・T]=P(一定)とした場合、θ’=P/Tと変形できるため、各等ドライバ意図線L11は、直角双曲線となる。例えば、図2中の動作点Aと動作点Bとは、ともに同一の等ドライバ意図線L11上に位置している。このため、動作点Aにおける操舵速度θ’と操舵トルクTとの組み合わせと、動作点Bにおける操舵速度θ’と操舵トルクTとの組み合わせとは、運転者が同等の操舵意図で操舵操作しているものと見ることができる。
そして、例えば、運転者によりステアリング4に対して能動操作がなされた場合、操舵速度θ’と操舵トルクTとの組み合わせで定まる動作点は、図2で表す操舵特性図において領域T11の近傍に位置する傾向にある。一方、例えば、運転者によりステアリング4に対して受動操作がなされた場合、操舵速度θ’と操舵トルクTとの組み合わせで定まる動作点は、図2において領域T12、T13、T14の近傍に位置する傾向にある。より詳細には、受動操作として、運転者により操舵操作自体がなされてないような場合、操舵速度θ’と操舵トルクTとの組み合わせで定まる動作点は、図2において領域T12の近傍に位置する傾向にある。受動操作として、運転者により保舵操作がなされた場合、操舵速度θ’と操舵トルクTとの組み合わせで定まる動作点は、図2において領域T13の近傍に位置する傾向にある。受動操作として、運転者により手放し操作がなされた場合(あるいはジャッキアップ時など軸力なしの場合)、操舵速度θ’と操舵トルクTとの組み合わせで定まる動作点は、図2において領域T14の近傍に位置する傾向にある。
図2のような各動作点と各領域T11、T12、T13、T14との関係は、実車評価等に応じて予めその傾向を特定することができる。したがって、ECU20は、検出された操舵速度θ’と操舵トルクTとの組み合わせで定まる動作点が、図2で表す操舵特性図において位置する領域に応じて、運転者の意思を判定することができる。つまり、ECU20は、例えば、操舵速度θ’と操舵トルクTとの組み合わせで定まる動作点が領域T11にある場合には運転者が能動操作を行ったものと推定、判別することができる。
そして、上記で説明した能動操作と受動操作との判別に用いる仕事率基準値ThPは、能動操作を行った際の操舵仕事率Pと、受動操作を行った際の操舵仕事率Pとに基づいて予め設定される。ここでは、例えば、図2で表す操舵特性図に基づいて、第1仕事率基準値ThP1が設定される。この第1仕事率基準値ThP1は、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率Pに対して設定される仕事率基準値ThPである。第1仕事率基準値ThP1は、図2で表す操舵特性図において、能動操作の領域と受動操作の領域との境界に位置する等ドライバ意図線L11に基づいて設定することができる。すなわち、例えば、実車評価等に基づいて能動操作の領域と受動操作の領域との境界に位置する等ドライバ意図線L11(あるいは、操舵速度θ’と操舵トルクTとの組み合わせで定まる動作点)を特定する。そして、当該特定した等ドライバ意図線L11(あるいは動作点)が表す操舵仕事率P(積[θ’・T])を第1仕事率基準値ThP1とする。
同様に、図3中、複数の点線で示す等ドライバ意図線L21は、等ドライバ意図を表す動作点(操舵角θとトルク微分値T’との組み合わせ)の集合である。等ドライバ意図を表す動作点とは、言い換えれば、操舵仕事率P(すなわち、積[θ・T’])が同等である操舵角θとトルク微分値T’との組み合わせに相当する。つまり、各等ドライバ意図線L21は、操舵仕事率Pが同等となる操舵角θとトルク微分値T’との組み合わせの集合である。[θ・T’]=P(一定)とした場合、θ=P/T’と変形できるため、各等ドライバ意図線L21は、直角双曲線となる。
そして、例えば、運転者によりステアリング4に対して能動操作がなされた場合、操舵角θとトルク微分値T’との組み合わせで定まる動作点は、図3で表す操舵特性図において領域T21の近傍に位置する傾向にある。一方、例えば、運転者によりステアリング4に対して受動操作がなされた場合、操舵角θとトルク微分値T’との組み合わせで定まる動作点は、図3において領域T22、T23、T24の近傍に位置する傾向にある。より詳細には、受動操作として、運転者により操舵操作自体がなされてないような場合、操舵角θとトルク微分値T’との組み合わせで定まる動作点は、図3において領域T22の近傍に位置する傾向にある。受動操作として、運転者により外乱に対して保舵操作がなされた場合、操舵角θとトルク微分値T’との組み合わせで定まる動作点は、図3において領域T23の近傍に位置する傾向にある。受動操作として、運転者により旋回時に保舵操作がなされた場合、操舵角θとトルク微分値T’との組み合わせで定まる動作点は、図3において領域T24の近傍に位置する傾向にある。
図3のような各動作点と各領域T21、T22、T23、T24との関係は、実車評価等に応じて予めその傾向を特定することができる。したがって、ECU20は、検出された操舵角θとトルク微分値T’との組み合わせで定まる動作点が、図3で表す操舵特性図において位置する領域に応じて、運転者の意思を判定することができる。
そして、ここでは、例えば、図3で表す操舵特性図に基づいて、第2仕事率基準値ThP2が設定される。この第2仕事率基準値ThP2は、積[θ・T’]に基づいた操舵仕事率Pに対して設定される仕事率基準値ThPである。第2仕事率基準値ThP2は、図3で表す操舵特性図において、能動操作の領域と受動操作の領域との境界に位置する等ドライバ意図線L21に基づいて設定することができる。すなわち、例えば、実車評価等に基づいて能動操作の領域と受動操作の領域との境界に位置する等ドライバ意図線L21(あるいは、操舵角θとトルク微分値T’との組み合わせで定まる動作点)を特定する。そして、当該特定した等ドライバ意図線L21(あるいは動作点)が表す操舵仕事率P(積[θ・T’])を第2仕事率基準値ThP2とする。
なお、仕事率基準値ThPは、上記の数式(2)等を用いて積[θ’・T]と積[θ・T’]とを所望の比率で合成した操舵仕事率Pを算出し、能動操作と受動操作とを判定する場合も、上記と同様にして設定すればよい。
そして、ECU20は、例えば、上記のように設定される仕事率基準値ThPと、数式(2)等を用いて算出した操舵仕事率Pとに基づいて、操舵仕事率Pが仕事率基準値ThP以上である場合に能動操作を検出し、操舵仕事率Pが仕事率基準値ThPより小さい場合に受動操作を検出する。そして、ECU20は、能動操作の場合と受動操作の場合とで、支援装置3による運転支援の内容を変更する。つまり、ECU20は、言い換えれば、操舵仕事率Pが仕事率基準値ThP以上である場合と、操舵仕事率Pが仕事率基準値ThPより小さい場合とで、支援装置3(操舵装置30)による運転支援の内容を変更する。ECU20は、例えば、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率Pと、積[θ・T’]に基づいた操舵仕事率Pとをそれぞれ個別に算出して運転者意思の判定、運転支援の内容変更を行う場合、仕事率基準値ThPとして、上述の第1仕事率基準値ThP1、第2仕事率基準値ThP2をそれぞれ用いればよい。
また、操舵仕事率Pの大きさは、運転者意思(能動操作の意思、受動操作の意思)の強さを表すものでもある。したがって、ECU20は、算出した操舵仕事率Pの大きさを運転支援の内容に反映するようにしてもよい。つまり、ECU20は、操舵仕事率Pに基づいて、支援装置3を構成する操舵装置30のEPS装置8(操舵アクチュエータ)の制御量(アシストトルク、モータ供給電流等)を変更するようにしてもよい。これにより、ECU20は、操舵仕事率Pを通じて検出した運転者意思の強さを運転支援に反映させることができ、運転者意思の強さを補償し当該運転者意思の強さに応じた運転支援を行うことができる。
次に、操舵仕事量Wを用いた能動操作と受動操作との抽出について、より詳しく説明する。
この場合、ECU20は、操舵角θと操舵トルクTとの積[θ・T]に基づいて操舵仕事量Wを算出し、これに基づいて運転者意思を判定し、支援装置3(操舵装置30)による運転支援に反映させる。ECU20は、例えば、下記の数式(3)を用いて操舵仕事量Wを算出することができる。

W=θ・T ・・・ (3)
なお、ECU20は、上記の数式(3)に対して、さらに、スティーブンスの法則を適用して操舵仕事量Wを算出するようにしてもよい。この場合、ECU20は、例えば、上記の数式(3)の[θ・T]にかえて、[k5・θa5・k6・Ta6]を適用してもよい。「k5」、「k6」、「a5」、「a6」は、係数であり、各種条件や実車評価等に基づいて適宜設定可能な適合値である。これにより、ECU20は、例えば、運転者の感覚に対して非線形な物理量を線形に変換することができるので、操舵仕事量Wをより運転者の感覚にあわせた値にすることができ、より運転者の感覚にあわせた判定、運転支援が可能となる。
次に図4を参照して上記のようにして算出される操舵仕事量Wが表す意味について説明する。図4は、積[θ・T]に基づいた操舵仕事量Wが表す意味について説明する操舵特性図の一例であり、横軸を操舵トルクT、縦軸を操舵角θとしている。
図4中、複数の点線で示す等ドライバ意図線L31は、等ドライバ意図を表す動作点(操舵角θと操舵トルクTとの組み合わせ)の集合である。ここでは、運転者意図を表す指標として操舵仕事量Wを用いることができることから、等ドライバ意図を表す動作点とは、言い換えれば、操舵仕事量W(すなわち、積[θ・T])が同等である操舵角θと操舵トルクTとの組み合わせに相当する。つまり、各等ドライバ意図線L31は、操舵仕事量Wが同等となる操舵角θと操舵トルクTとの組み合わせの集合である。[θ・T]=W(一定)とした場合、θ=W/Tと変形できるため、各等ドライバ意図線L31は、直角双曲線となる。
そして、例えば、運転者によりステアリング4に対して能動操作がなされた場合、操舵角θと操舵トルクTとの組み合わせで定まる動作点は、図4で表す操舵特性図において領域T31の近傍に位置する傾向にある。一方、例えば、運転者によりステアリング4に対して受動操作がなされた場合、操舵角θと操舵トルクTとの組み合わせで定まる動作点は、図4において領域T32、T33、T34の近傍に位置する傾向にある。より詳細には、受動操作として、運転者により操舵操作自体がなされてないような場合、操舵角θと操舵トルクTとの組み合わせで定まる動作点は、図4において領域T32の近傍に位置する傾向にある。受動操作として、運転者により保舵操作(例えば、車両偏向する場合などには操舵角が0°なので操舵意思があるとはいえない。)がなされた場合、操舵角θと操舵トルクTとの組み合わせで定まる動作点は、図4において領域T33の近傍に位置する傾向にある。受動操作として、操舵角オフセット時、ジャッキアップ時など軸力なしの場合、操舵角θと操舵トルクTとの組み合わせで定まる動作点は、図4において領域T34の近傍に位置する傾向にある。
図4のような各動作点と各領域T31、T32、T33、T34との関係は、実車評価等に応じて予めその傾向を特定することができる。したがって、ECU20は、検出された操舵角θと操舵トルクTとの組み合わせで定まる動作点が図4で表す操舵特性図において位置する領域に応じて運転者の意思を判定することができる。
そして、上記で説明した能動操作と受動操作との判別に用いる仕事量基準値ThWは、能動操作を行った際の操舵仕事量Wと、受動操作を行った際の操舵仕事量Wとに基づいて予め設定される。ここでは、例えば、図4で表す操舵特性図に基づいて、仕事量基準値ThWが設定される。仕事量基準値ThWは、図4で表す操舵特性図において、能動操作の領域と受動操作の領域との境界に位置する等ドライバ意図線L31に基づいて設定することができる。すなわち、例えば、実車評価等に基づいて能動操作の領域と受動操作の領域との境界に位置する等ドライバ意図線L31(あるいは、操舵角θと操舵トルクTとの組み合わせで定まる動作点)を特定する。そして、当該特定した等ドライバ意図線L31(あるいは動作点)が表す操舵仕事量W(積[θ・T])を仕事量基準値ThWとする。
そして、ECU20は、例えば、上記のように設定される仕事量基準値ThWと、数式(3)等を用いて算出した操舵仕事量Wとに基づいて、操舵仕事量Wが仕事量基準値ThW以上である場合に能動操作を検出し、操舵仕事量Wが仕事量基準値ThWより小さい場合に受動操作を検出する。そして、ECU20は、能動操作の場合と受動操作の場合とで、支援装置3による運転支援の内容を変更する。つまり、ECU20は、言い換えれば、操舵仕事量Wが仕事量基準値ThW以上である場合と、操舵仕事量Wが仕事量基準値ThWより小さい場合とで、支援装置3(操舵装置30)による運転支援の内容を変更する。
また、操舵仕事量Wの大きさは、運転者意思(能動操作の意思、受動操作の意思)の強さを表すものでもある。したがって、ECU20は、算出した操舵仕事量Wの大きさを運転支援の内容に反映するようにしてもよい。つまり、ECU20は、操舵仕事量Wに基づいて、支援装置3を構成する操舵装置30のEPS装置8(操舵アクチュエータ)の制御量(アシストトルク、モータ供給電流等)を変更するようにしてもよい。これにより、ECU20は操舵仕事量Wを通じて検出した運転者意思の強さを運転支援に反映させることができ、運転者意思の強さを補償し当該運転者意思の強さに応じた運転支援を行うことができる。
次に、支援装置3による運転支援の内容について説明する。
ECU20は、上記で説明したように、操舵仕事率Pと仕事率基準値ThP、及び、操舵仕事量Wと仕事量基準値ThWに基づいて、運転者の能動操作と受動操作とを判別し、能動操作の場合と受動操作の場合とで、支援装置3による運転支援の内容を変更する。ECU20は、操舵仕事率Pが仕事率基準値ThP以上である場合にステアリング4に対する能動操作に対応する運転支援とし、操舵仕事率Pが仕事率基準値ThPより小さい場合にステアリング4に対する受動操作に対応する運転支援とする。同様に、ECU20は、操舵仕事量Wが仕事量基準値ThW以上である場合にステアリング4に対する能動操作に対応する運転支援とし、操舵仕事量Wが仕事量基準値ThWより小さい場合にステアリング4に対する受動操作に対応する運転支援とする。
本実施形態のECU20は、支援装置3が操舵装置30のEPS装置8(操舵アクチュエータ)を含んで構成されるので、当該EPS装置8によって行われる操舵系の運転支援の内容を、能動操作の場合と受動操作の場合とで変更する。
なおここで、EPS装置8によって行われる操舵系の運転支援としては、例えば、アシスト制御、ダンピング制御、ヒス付与制御、ハンドル戻し制御等が挙げられる。これらの制御は、EPS装置8が発生させるトルクを調節することで行われる。アシスト制御は、上述したように、EPS装置8によって運転者によるステアリング4に対する操舵操作を補助するアシスト力を発生させる制御である。ダンピング制御は、EPS装置8によって操舵装置30の粘性特性に対応した減衰を模擬するダンピング力を発生させる制御である。操舵装置30は、ダンピング制御によりステアリング4の操舵速度を抑制する方向へ作用するダンピング力が付与されることで、ステアリング4の操舵速度が抑制される傾向となり、収斂性確保や操舵時の手ごたえを付与することができる。ヒス付与制御は、EPS装置8によって操舵装置30の摩擦特性に対応した弾性摩擦を模擬する摩擦力(摩擦トルク)を付与することで、ステアリング系の摩擦を制御的に付与、補償する制御である。操舵装置30は、ヒス付与制御により摩擦力が付与されることで、ステアリング4が戻されにくくなる傾向となる。ハンドル戻し制御は、EPS装置8によってステアリング4の中立位置方向にハンドル戻し力(ハンドル戻しトルク)を付与することで、ステアリング4を滑らかに中立位置側に戻す制御、さらに言えば、ステアリング4の中立位置側への切り戻し操作を補助する制御である。
ECU20は、一例として、操舵仕事率Pが仕事率基準値ThP以上である場合に、操舵仕事率Pが仕事率基準値ThPより小さい場合と比較して、ステアリング4への操舵操作を抑制する運転支援の度合を小さくすることで、運転支援の内容を変更する。つまり、ECU20は、典型的には、能動操作である場合に、受動操作である場合と比較してステアリング4への操舵操作を抑制する運転支援の度合を小さくする。ステアリング4への操舵操作を抑制する運転支援としては、例えば、ダンピング制御、ヒス付与制御、ハンドル戻し制御等が挙げられる。ここでは、ECU20は、一例として、操舵仕事率Pが仕事率基準値ThP以上である場合に、操舵仕事率Pが仕事率基準値ThPより小さい場合と比較して、すなわち、能動操作である場合に受動操作である場合と比較して、ダンピング制御においてEPS装置8が発生させるダンピング力を小さくする。
なお、ECU20は、上記のような運転支援の内容の変更に加えて、さらに、能動操作時だけでなく、受動操作時も積極的に当該ステアリング4への操舵操作を補助する運転支援を行うようにしてもよい。ステアリング4への操舵操作を補助する運転支援としては、例えば、アシスト制御等が挙げられる。なお、支援装置3が操舵アクチュエータとしてステアリング4のギヤ比を変更することができるギヤ比可変ステアリング機構(VGRS(Variable Gear Ratio Steering)装置)、車両2の後輪を操舵可能な後輪操舵装置(ARS(Active Rear Steering)装置)等を含む場合には、ステアリング4への操舵操作を補助する運転支援として、ギヤ比可変ステアリング機構、後輪操舵装置等における制御を含んでもよい。
以下、図5、図6を参照して、操舵系の運転支援として、アシスト制御、ダンピング制御を行う場合を例に挙げて、能動操作、受動操作の判定を反映させた運転支援について説明する。
図5は、ECU20の概略構成の一例を示すブロック図である。ECU20は、例えば、機能概念的に、アシスト制御部21、ダンピング制御部22、加算器23、微分演算部24、指標演算部25、能動操作判定部26、運転支援変更部27等を含んで構成される。
アシスト制御部21は、アシスト制御における基本アシスト制御量を算出するものである。アシスト制御部21は、トルクセンサ11から操舵トルクTに応じた検出信号が入力され、車速センサ13から車速Vに応じた検出信号が入力される。アシスト制御部21は、入力された検出信号に基づいて、種々の手法により、基本アシスト制御量として、基本となるアシスト力に応じた目標のアシストトルクを演算する。アシスト制御部21は、演算した当該基本アシスト制御量に応じた電流指令値信号を加算器23に出力する。
ダンピング制御部22は、ダンピング制御におけるダンピング制御量を算出するものである。ダンピング制御部22は、操舵角センサ10から操舵角に基づいた操舵速度θ’に応じた検出信号が入力され、車速センサ13から車速Vに応じた検出信号が入力される。ダンピング制御部22は、入力された検出信号に基づいて、種々の手法により、ダンピング制御量として、目標のダンピング力に応じたトルクを演算する。ダンピング制御部22は、演算した当該ダンピング制御量に応じた電流指令値信号を加算器23に出力する。
加算器23は、アシスト制御部21から基本アシスト制御量に応じた電流指令値信号が入力され、ダンピング制御部22からダンピング制御量に応じた電流指令値信号が入力される。加算器23は、入力された電流指令値信号に基づいて、基本アシスト制御量とダンピング制御量とを加算した目標の操舵制御量(最終的な目標トルク)を演算する。加算器23は、演算した当該目標の操舵制御量に応じた電流指令値信号をEPSアシスト指令としてEPS装置8に出力し、EPS装置8のモータ8aを制御する。これにより、ECU20は、上記のようなアシスト制御、ダンピング制御を実現する。これが基本の制御となる。
微分演算部24は、操舵トルクTのトルク微分値T’を演算するものである。微分演算部24は、トルクセンサ11から操舵トルクTに応じた検出信号が入力される。微分演算部24は、入力された検出信号に基づいて、操舵トルクTのトルク微分値T’を演算し、当該トルク微分値T’に応じた演算信号を指標演算部25に出力する。
指標演算部25は、能動操作と受動操作の判定のための指標を演算するものである。本実施形態の指標演算部25は、当該指標として、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率P1を演算する第1仕事率演算部25a、積[θ・T’]に基づいた操舵仕事率P2を演算する第2仕事率演算部25b、積[θ・T]に基づいた操舵仕事量Wを演算する仕事量演算部25cを含んで構成される。なお、指標演算部25は、これに限らず、第1仕事率演算部25a、第2仕事率演算部25b、仕事量演算部25cのうちのいずれかを備えない構成でもよいし、積[θ’・T]と積[θ・T’]とを合成した操舵仕事率Pを演算する演算部を含んで構成されてもよい。
第1仕事率演算部25aは、操舵角センサ10から操舵角に基づいた操舵速度θ’に応じた検出信号が入力され、トルクセンサ11から操舵トルクTに応じた検出信号が入力される。第1仕事率演算部25aは、入力された検出信号に基づいて、現在の制御周期での操舵速度θ’(t)と現在の制御周期での操舵トルクT(t)との積を演算することで操舵仕事率P1を演算する。第1仕事率演算部25aは、演算した当該操舵仕事率P1に応じた演算信号を能動操作判定部26に出力する。
第2仕事率演算部25bは、操舵角センサ10から操舵角θに応じた検出信号が入力され、微分演算部24からトルク微分値T’に応じた演算信号が入力される。第2仕事率演算部25bは、入力された検出信号、演算信号に基づいて、現在の制御周期での操舵角θ(t)と現在の制御周期でのトルク微分値T’(t)との積を演算することで操舵仕事率P2を演算する。第2仕事率演算部25bは、演算した当該操舵仕事率P2に応じた演算信号を能動操作判定部26に出力する。
仕事量演算部25cは、操舵角センサ10から操舵角θに応じた検出信号が入力され、トルクセンサ11から操舵トルクTに応じた検出信号が入力される。仕事量演算部25cは、入力された検出信号に基づいて、現在の制御周期での操舵角θ(t)と操舵トルクT(t)との積を演算することで操舵仕事量Wを演算する。仕事量演算部25cは、演算した当該操舵仕事量Wに応じた演算信号を能動操作判定部26に出力する。
能動操作判定部26は、運転者の能動操作を判別するものである。能動操作判定部26は、第1仕事率演算部25aから操舵仕事率P1に応じた演算信号が入力され、第2仕事率演算部25bから操舵仕事率P2に応じた演算信号が入力され、仕事量演算部25cから操舵仕事量Wに応じた演算信号が入力される。能動操作判定部26は、入力された演算信号と、上記で説明したようにして予め設定された第1仕事率基準値ThP1、第2仕事率基準値ThP2、仕事量基準値ThWに基づいて運転者により能動操作がなされたか否かを判定する。
ここでは、能動操作判定部26は、下記の条件1〜3のうちの1つ以上を満たしている期間が予め設定された所定期間A継続したと判定した場合に、運転者により能動操作がなされたものと判定する。一方、能動操作判定部26は、下記の条件1〜3のうちの1つ以上を満たしている期間が所定期間Aに満たないと判定した場合、下記の条件1〜3のいずれも満たしていないと判定した場合に、運転者により受動操作がなされたものと判定する。そして、能動操作判定部26は、上記判定結果に応じた判定信号を運転支援変更部27に出力する。なお、上記所定期間Aは、例えば、能動操作と受動操作とを確実に判別することができる期間として予め設定されればよい。

(条件1)操舵仕事率P1が第1仕事率基準値ThP1以上である(P1≧ThP1)。

(条件2)操舵仕事率P2が第2仕事率基準値ThP2以上である(P2≧ThP2)。

(条件3)操舵仕事量Wが仕事量基準値ThW以上である(W≧ThW)。
なおここでは、能動操作判定部26は、上記の条件1〜3のうちの1つ以上を満たしている期間が予め設定された所定期間A継続したと判定した場合に、運転者により能動操作がなされたものと判定するものとして説明したがこれに限らない。能動操作判定部26は、上記の条件1〜3をすべて満たしている期間が所定期間A継続したと判定した場合に、運転者により能動操作がなされたものと判定するようにしてもよい。
運転支援変更部27は、能動操作と受動操作との判定結果に応じて支援装置3による運転支援の内容を変更するものである。運転支援変更部27は、能動操作判定部26から能動操作についての判定結果に応じた判定信号が入力される。運転支援変更部27は、入力された判定信号に基づいて、支援装置3による運転支援の内容を変更する。運転支援変更部27は、能動操作判定部26が運転者により能動操作がなされたものと判定した場合と、能動操作判定部26が運転者により受動操作がなされたものと判定した場合とで当該EPS装置8によって行われる操舵系の運転支援の内容を変更する。
ここで、能動操作判定部26が運転者により能動操作がなされたものと判定した場合とは、典型的には上記の条件1〜3のうちの1つ以上を満たしている期間が予め設定された所定期間A継続したと判定した場合である。一方、能動操作判定部26が運転者により受動操作がなされたものと判定した場合とは、典型的には上記の条件1〜3のうちの1つ以上を満たしている期間が所定期間Aに満たないと判定した場合、あるいは上記の条件1〜3のいずれも満たしていないと判定した場合である。つまり、運転支援変更部27は、例えば、操舵仕事率P1が第1仕事率基準値ThP1以上である場合と操舵仕事率P1が第1仕事率基準値ThP1より小さい場合とで、支援装置3による運転支援の内容を変更する。また、運転支援変更部27は、例えば、操舵仕事率P2が第2仕事率基準値ThP2以上である場合と操舵仕事率P2が第2仕事率基準値ThP2より小さい場合とで、支援装置3による運転支援の内容を変更する。また、運転支援変更部27は、例えば、操舵仕事量Wが仕事量基準値ThW以上である場合と操舵仕事量Wが仕事量基準値ThWより小さい場合とで、支援装置3による運転支援の内容を変更する。
ここでは、運転支援変更部27は、能動操作がなされたものと判定された場合に、受動操作がなされたものと判定された場合と比較して、ステアリング4への操舵操作を抑制する運転支援であるダンピング制御において、EPS装置8が発生させるダンピング力を相対的に小さくするための制御信号をダンピング制御部22に出力する。これにより、運転支援変更部27は、ダンピング制御による運転支援の内容を変更し、ステアリング4への操舵操作を抑制する運転支援の度合を相対的に小さくする運転支援に変更する。この場合、ダンピング制御部22は、能動操作がなされたものと判定された場合に、受動操作がなされたものと判定された場合と比較して、演算するダンピング制御量、すなわち、目標のダンピング力を相対的に小さくする。この結果、この運転支援装置1は、運転者によりステアリング4に対して能動操作がなされた場合に、運転支援により当該操作が制限されてしまうことを抑制することができ、運転者による快適なステアリング操作を阻害することを抑制できる。
一方、運転支援変更部27は、受動操作がなされたものと判定された場合に、能動操作がなされたものと判定された場合と比較して、当該ダンピング制御において、EPS装置8が発生させるダンピング力を相対的に大きくするための制御信号をダンピング制御部22に出力する。これにより、運転支援変更部27は、ダンピング制御による運転支援の内容を変更し、ステアリング4への操舵操作を抑制する運転支援の度合を相対的に大きくする運転支援に変更する。この場合、ダンピング制御部22は、受動操作がなされたものと判定された場合に、能動操作がなされたものと判定された場合と比較して、演算するダンピング制御量、すなわち、目標のダンピング力を相対的に大きくする。この結果、この運転支援装置1は、運転者によりステアリング4に対して受動操作がなされた場合に、運転支援により適切にダンピング力を作用させることができ、運転者による操作を楽にさせることができる。
つまり、運転支援変更部27は、能動操作がなされた場合に、ステアリング4への操舵操作を抑制する運転支援であるダンピング制御を制限し、受動操作がなされた場合に当該ダンピング制御を許容するように、運転支援の内容を変更する。この結果、この運転支援装置1は、能動操作がなされた場合、受動操作がなされた場合等に、それぞれに応じて運転者の意思を反映させた運転支援を実現することが可能となる。
なお、運転支援変更部27は、上記のような運転支援の内容の変更に加えて、さらに、能動操作時だけでなく、受動操作時も積極的に当該ステアリング4への操舵操作を補助する運転支援であるアシスト制御を行うようにしてもよい。この場合、運転支援変更部27は、受動操作がなされたものと判定された場合も、能動操作がなされたものと判定された場合にEPS装置8が発生させるアシスト力と同様になるように、制御信号をアシスト制御部21に出力する。これにより、運転支援変更部27は、受動操作のときも能動操作のときと同様にアシスト制御による運転支援を行う。この場合、アシスト制御部21は、受動操作がなされたものと判定された場合に、能動操作がなされたものと判定された場合と同等になるように、基本アシスト制御量、すなわち、基本となるアシスト力を演算する。この結果、この運転支援装置1は、運転者によりステアリング4に対して受動操作がなされた場合も、能動操作がなされた場合と同様に、運転支援により運転者の操作を補助することができ、運転者による操作を楽にさせることができる。
次に、図6を参照してECU20による制御の一例を説明する。なお、これらの制御ルーチンは、数msないし数十ms毎の制御周期で繰り返し実行される。
まず、ECU20は、操舵角センサ10、トルクセンサ11の検出結果に基づいて、操舵トルクT、操舵速度θ’、操舵角θを計測する(ステップST1)。
次に、ECU20の微分演算部24は、ステップST1で計測された操舵トルクTに基づいて、トルク微分値T’=dT/dtを演算する(ステップST2)。
次に、ECU20の指標演算部25は、ステップST1で計測された操舵トルクT、操舵速度θ’、操舵角θ、ステップST2で演算されたトルク微分値T’に基づいて、現在の制御周期での操舵仕事率P1=θ’(t)・T(t)、操舵仕事率P2=θ(t)・T’(t)、操舵仕事量W=θ(t)・T(t)を演算する(ステップST3)。
次に、ECU20の能動操作判定部26は、ステップST3で演算された操舵仕事率P1、操舵仕事率P2、操舵仕事量Wに基づいて、運転者により能動操作がなされたか否かを判定する(ステップST4)。能動操作判定部26は、例えば、(P1≧ThP1)or(P2≧ThP2)or(W≧ThW)である状態が所定期間A以上継続したか否かを判定することで、運転者により能動操作がなされたか否かを判定する。
ECU20の運転支援変更部27は、ステップST4にて運転者により能動操作がなされたと判定された場合(ステップST4:Yes)、支援装置3による支援内容をステアリング4に対する能動操作に対応する運転支援となるように変更する。この場合、運転支援変更部27は、例えば、ステアリング4への操舵操作を抑制する運転支援であるダンピング制御を制限するように、すなわち、ダンピング力が相対的に小さくなるように、運転支援の内容を変更する。そして、ECU20のアシスト制御部21、ダンピング制御部22は、これに応じてEPS装置8を制御し、運転支援を実行して(ステップST5)、今回の制御周期を終了し、次回の制御周期に移行する。
ECU20の運転支援変更部27は、ステップST4にて運転者により能動操作がなされていない、すなわち、受動操作がなされたと判定された場合(ステップST4:No)、支援装置3による支援内容をステアリング4に対する受動操作に対応する運転支援となるように変更する。この場合、運転支援変更部27は、例えば、ステアリング4への操舵操作を抑制する運転支援であるダンピング制御を許容するように、すなわち、ダンピング力が相対的に大きくなるように、運転支援の内容を変更する。そして、ECU20のアシスト制御部21、ダンピング制御部22は、これに応じてEPS装置8を制御し、運転支援を実行して(ステップST6)、今回の制御周期を終了し、次回の制御周期に移行する。
上記のように構成される運転支援装置1は、操舵角に関するパラメータと操舵トルクに関するパラメータとの積に応じた操舵仕事率が予め設定される基準値以上である場合と、当該操舵仕事率が当該基準値より小さい場合とで、支援装置3による運転支援の内容を変更する。これにより、運転支援装置1は、例えば、運転者により能動操作がなされた場合と、運転者により受動操作がなされた場合とで、支援装置3による運転支援の内容を変更することができる。運転支援装置1は、例えば、操舵仕事率が仕事率基準値以上である場合に能動操作に対応する運転支援とし、操舵仕事率が仕事率基準値より小さい場合に受動操作に対応する運転支援とする。この結果、この運転支援装置1は、能動操作がなされた場合、受動操作がなされた場合等に、それぞれに応じて、運転者の意思を反映させた運転支援を実現することができる。つまり、運転支援装置1は、操舵仕事率等に基づいて能動操作と受動操作とを区別して判定し、判定された運転者の操作意思を運転支援に反映させることで、運転者にとって違和感の少ない運転支援を行うことができる。
本実施形態の運転支援装置1は、判定された運転者の操作意思を操舵系の運転支援に反映させることで、運転者にとって違和感の少ない操舵支援を行うことができる。ここでは、運転支援装置1は、能動操作がなされたと判定できる場合にダンピング制御を制限し、受動操作がなされたと判定できる場合に当該ダンピング制御を許容するように、運転支援の内容を変更することができる。例えば、運転支援装置1は、運転者によりステアリング4に対して能動操作がなされた場合に、運転支援により当該操作が制限されてしまうことを抑制することができ、運転者による快適なステアリング操作を阻害することを抑制できる。一方、運転支援装置1は、運転者によりステアリング4に対して受動操作がなされた場合に、運転支援により適切にダンピング力を作用させることができ、運転者による操作を楽にさせることができる。
また、運転支援装置1は、操舵仕事率と操舵仕事量の両方を用いて運転者意思の判定、運転支援の内容変更を行うことで、運転者による定常的な操舵操作と過渡的な操舵操作との両方から運転者の意思を抽出し、運転支援に反映させることができるので、より違和感の少ない運転支援を行うことができる。
また、運転支援装置1は、操舵仕事率として、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率P、積[θ・T’]に基づいた操舵仕事率Pの両方を用いて運転者意思の判定、運転支援の内容変更を行うことで、例えば、運転者のコース変更の意思、運転者の逆入力対応の意思等を反映させることができ、違和感の少ない制御を実現することができる。また、運転支援装置1は、能動操作時、受動操作時それぞれに対応した補償制御も実行可能である。
ここで、図7は、ECU20の概略構成の他の一例を示すブロック図である。ECU20は、例えば、図7で例示するような構成によっても、以上で説明したようなアシスト制御部21、ダンピング制御部22、能動操作判定部26、運転支援変更部27に相当する機能を実現することができる。これにより、ECU20は、操舵仕事率P、言い換えれば、運転者の意思を反映させた操舵制御量を演算し、運転支援に反映させることができる。なおここでは、一例として、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率P1に応じて操舵制御量を演算する場合について説明するが、積[θ・T’]に基づいた操舵仕事率P2、積[θ’・T]と積[θ・T’]とを合成した操舵仕事率P、積[θ・T]に基づいた操舵仕事量W等を反映させた操舵制御量を演算し、運転支援に反映させる場合もほぼ同様である。またここでは、説明の容易化を図るため、まず、アシスト制御、ダンピング制御において車速を考慮しない場合の例を説明し、後述の図8、図9で車速を考慮した場合の例を説明する。
この場合、ECU20は、操舵角センサ10から操舵角に基づいた操舵速度θ’に応じた検出信号が入力され、トルクセンサ11から操舵トルクTに応じた検出信号が入力される。そして、ECU20は、乗算器101、制御マップMP1、MP2、MP3及びMP4、加算器102、103及び104を利用して、入力された検出信号から、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率P1を反映させた目標の操舵制御量(最終的な目標トルク)、言い換えれば、運転者の意思を反映させた目標の操舵制御量を演算する。そして、ECU20は、演算した当該目標の操舵制御量に応じた電流指令値信号をEPSアシスト指令としてEPS装置8に出力し、EPS装置8のモータ8aを制御する。
図7の例では、目標の操舵制御量は、加算器102、103、104の作用により、下記の数式(4)として表される。

目標の操舵制御量=基本アシスト制御量+アシスト補正量+ダンピング制御量+ダンピング補正量 ・・・ (4)
上記数式(4)の基本アシスト制御量は、制御マップMP1により設定される。ECU20は、操舵トルクTに基づいて制御マップMP1から基本アシスト制御量を演算する。当該制御マップMP1は、操舵トルクTと基本アシスト制御量とを対応付けてなるマップであり、記憶部に予め記憶されている。当該制御マップMP1では、基本アシスト制御量は、操舵トルクTの増加にしたがって大きくなる。
上記数式(4)のアシスト補正量は、制御マップMP2により設定される。ECU20は、制御マップMP2に基づいて、例えば、操舵仕事率Pの絶対値が予め設定された所定仕事率以下である場合に、EPS装置8が発生させるアシスト力の補正量であるアシスト補正量を一定とし、操舵仕事率Pの絶対値が所定仕事率より大きい場合に、当該アシスト補正量を、操舵仕事率Pの絶対値の増加に伴って変化さる。ここで、所定仕事率は、例えば、実車評価等に応じて予め設定されればよい。ECU20は、乗算器101を介して操舵速度θ’と操舵トルクTとの積[θ’・T]=P1を演算し、演算した積[θ’・T]に基づいて制御マップMP2からアシスト補正量を演算する。当該制御マップMP2は、積[θ’・T]とアシスト補正量とを対応付けてなるマップであり、記憶部に予め記憶されている。当該制御マップMP2では、アシスト補正量は、第1仕事率基準値ThP1の近傍の所定の範囲(上記所定仕事率に応じた範囲)内で一定、ここでは0であり、所定の範囲外で当該第1仕事率基準値ThP1を基準として、正側(能動操作側)、負側(受動操作側)いずれにおいても、積[θ’・T]の絶対値の増加(すなわち意思の強さの増加)にしたがって大きくなる。制御マップMP2では、アシスト補正量は、能動操作、受動操作いずれにおいても、積[θ’・T]の絶対値の増加にしたがってアシスト制御における最終的な制御量(アシスト力)が大きくなるように設定される。
上記数式(4)のダンピング制御量は、制御マップMP3により設定される。ECU20は、操舵速度θ’に基づいて制御マップMP3からダンピング制御量を演算する。当該制御マップMP3は、操舵速度θ’とダンピング制御量とを対応付けてなるマップであり、記憶部に予め記憶されている。当該制御マップMP3では、ダンピング制御量は、操舵速度θ’の増加にしたがって絶対値が大きくなる。当該制御マップMP3では、原点よりも下側の領域はアシスト制御によるアシスト力(アシストトルク)とは反対方向に作用するダンピング力を表している。
上記数式(4)のダンピング補正量は、制御マップMP4により設定される。ECU20は、制御マップMP4に基づいて、例えば、操舵仕事率Pの絶対値が予め設定された所定仕事率以下である場合に、EPS装置8が発生させるダンピング力の補正量であるダンピング補正量を一定とし、操舵仕事率Pの絶対値が所定仕事率より大きい場合に、当該ダンピング補正量を、操舵仕事率Pの絶対値の増加に伴って変化さる。ここで、所定仕事率は、上記と同様に、例えば、実車評価等に応じて予め設定されればよい。ECU20は、乗算器101を介して演算した積[θ’・T]に基づいて制御マップMP4からダンピング補正量を演算する。当該制御マップMP4は、積[θ’・T]とダンピング補正量とを対応付けてなるマップであり、記憶部に予め記憶されている。当該制御マップMP4では、ダンピング補正量は、第1仕事率基準値ThP1の近傍の所定の範囲(上記所定仕事率に応じた範囲)内で一定、ここではで0であり、所定の範囲外で当該第1仕事率基準値ThP1を基準として、正側(能動操作側)、負側(受動操作側)で符号が入れ替わるように設定され、かつ、積[θ’・T]の絶対値の増加(すなわち意思の強さの増加)にしたがって絶対値が大きくなる。制御マップMP4では、ダンピング補正量は、能動操作のときに積[θ’・T]の絶対値の増加にしたがってダンピング制御における最終的な制御量(ダンピング力)が小さくなるように設定され、受動操作のときに積[θ’・T]の絶対値の増加にしたがってダンピング制御における最終的な制御量(ダンピング力)が大きくなるように設定される。
この結果、ECU20は、上記で説明したように、能動操作がなされたものと判定できる場合(すなわち、P1≧ThP1である場合)に、ダンピング制御において、EPS装置8が発生させるダンピング力を相対的に小さくすることができる(ダンピングDOWN)。一方、ECU20は、受動操作がなされたものと判定できる場合(すなわち、P1<ThP1である場合)に、ダンピング制御において、EPS装置8が発生させるダンピング力を相対的に大きくすることができる(ダンピングUP)。したがって、この運転支援装置1は、能動操作がなされた場合に運転者による快適なステアリング操作を阻害することを抑制できると共に、受動操作がなされた場合に運転者による操作を楽にさせることができる。
また、ECU20は、上記で説明したように、能動操作がなされたものと判定できる場合(すなわち、P1≧ThP1である場合)、受動操作がなされたものと判定できる場合(すなわち、P1<ThP1である場合)の両方の場合で、アシスト制御において、EPS装置8が発生させるアシスト力を意思の強さに応じて相対的に大きくすることができる(アシストUP)。したがって、この運転支援装置1は、運転者によりステアリング4に対して受動操作がなされた場合も、能動操作がなされた場合と同様に、運転支援により運転者の操作を補助することができ、運転者による操作を楽にさせることができる。
次に、図8、図9のブロック図を参照してアシスト制御、ダンピング制御において車速を考慮した場合のECU20の他の概略構成について説明する。ECU20は、例えば、図8、図9で例示するような構成によっても、以上で説明したようなアシスト制御部21、ダンピング制御部22、能動操作判定部26、運転支援変更部27に相当する機能を実現することができる。なおここでも、一例として、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率P1に応じて操舵制御量を演算する場合について説明する。またここでは、説明の容易化を図るため、図8に示す能動操作の場合と、図9に示す受動操作の場合とで分けて説明する。また、図8、図9では、図7と共通の構成については共通の符号を付すと共にその説明をできる限り省略する。
この場合、ECU20は、操舵角センサ10から操舵角に基づいた操舵速度θ’に応じた検出信号が入力され、トルクセンサ11から操舵トルクTに応じた検出信号が入力され、車速センサ13から車速Vに応じた検出信号が入力される。そして、ECU20は、能動操作がなされたと判定できる場合、すなわち、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率P1が第1仕事率基準値ThP1以上である場合、下記のようにして積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率P1を反映させた目標の操舵制御量を演算する。すなわち、ECU20は、図8に示すように、乗算器101、105、106、107、110及び111、制御マップMP1、MP2−1、MP3、MP4−1、MP5−1、MP6及びMP7−1、加算器104、108及び109を利用して、入力された検出信号から、目標の操舵制御量を演算する。これにより、ECU20は、操舵仕事率P1と車両2の車速とに基づいて、EPS装置8の制御量を変更することができる。
車両2が搭載する操舵装置30(支援装置3)のようなステアリングシステムは、例えば、運転者によって相対的に早い操舵速度で操舵がなされると、操舵トルクが相対的に大きくなる傾向にあり、ステアリングシステム慣性、車両2の影響等により、結果的に操舵しづらくなるおそれがある。一方で、障害物の回避など、緊急時には、相対的に早い操舵速度により当該障害物を素早く回避したいという要求もある。
ここでは、一例として、ECU20は、運転者による能動操作の意思が相対的に強くなるほど、すなわち、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率P1が第1仕事率基準値ThP1以上であり、当該操舵仕事率P1の絶対値が相対的に大きくなるほど、EPS装置8によるアシスト力が相対的に大きくなるように目標の操舵制御量を演算する。これにより、運転支援装置1は、運転者の意思を反映させた操舵制御量を演算して運転支援に反映させることができ、車両2が運転者の意思に沿って動きやすくなるように、運転支援を行うことができる。
図8の例では、目標の操舵制御量は、乗算器105、106、107、110及び111、加算器104、108及び109の作用により、下記の数式(5)として表される。

目標の操舵制御量=[基本アシスト制御量×(アシスト補正量×第1ゲイン+1)]+[ダンピング制御量×第2ゲイン×(ダンピング補正量×第3ゲイン+1)] ・・・ (5)
上記数式(5)の基本アシスト制御量は、制御マップMP1により設定される。
上記数式(5)のアシスト補正量は、制御マップMP2−1により設定される。ECU20は、乗算器101を介して演算した積[θ’・T]に基づいて制御マップMP2−1からアシスト補正量を演算する。制御マップMP2−1は、積[θ’・T]とアシスト補正量とを対応付けてなるマップであり、記憶部に予め記憶されている。当該制御マップMP2−1では、アシスト補正量は、正側(能動操作側)において積[θ’・T]の絶対値の増加(すなわち意思の強さの増加)にしたがって大きくなる。つまり、制御マップMP2−1では、アシスト補正量は、能動操作において、積[θ’・T]の絶対値の増加、すなわち、能動操作意思の強さの増加にしたがってアシスト制御における最終的な制御量(アシスト力)が大きくなるように設定される。ただし、制御マップMP2−1では、アシスト補正量は、積[θ’・T]の絶対値が予め設定される所定値よりも小さい場合には0となる。
上記数式(5)の第1ゲインは、制御マップMP5−1により設定される。ECU20は、車速Vに基づいて制御マップMP5−1から第1ゲインを演算する。制御マップMP5−1は、車速Vと第1ゲインとを対応付けてなるマップであり、記憶部に予め記憶されている。当該制御マップMP5−1では、第1ゲインは、車速Vの増加にしたがって大きくなる。つまり、例えば、上記のような緊急操作が必要な場面は車速がある程度高くなった場面であるため、当該制御マップMP5−1では、第1ゲインは、車速が高くなるにしたがってアシスト制御における最終的な制御量(アシスト力)が大きくなるように設定される。なお、制御マップMP5−1では、第1ゲインは、車速Vが予め設定される第1所定車速(制御マップMP5−1における第1所定車速)よりも低い場合には0となり、予め設定される第2所定車速(制御マップMP5−1における第2所定車速)よりも高い場合には一定となる。
上記数式(5)のダンピング制御量は、制御マップMP3により設定される。
上記数式(5)の第2ゲインは、制御マップMP6により設定される。ECU20は、車速Vに基づいて制御マップMP6から第2ゲインを演算する。制御マップMP6は、車速Vと第2ゲインとを対応付けてなるマップであり、記憶部に予め記憶されている。当該制御マップMP6では、第2ゲインは、車速Vの増加にしたがって一旦小さくなり、一定となった後、予め設定される所定車速から徐々に大きくなる。
上記数式(5)のダンピング補正量は、制御マップMP4−1により設定される。ECU20は、乗算器101を介して演算した積[θ’・T]に基づいて制御マップMP4−1からダンピング補正量を演算する。制御マップMP4−1は、積[θ’・T]とダンピング補正量とを対応付けてなるマップであり、記憶部に予め記憶されている。制御マップMP4−1では、ダンピング補正量は、能動操作(正側)において、積[θ’・T]の絶対値の増加、すなわち、能動操作意思の強さの増加にしたがって、EPS装置8による最終的なアシスト量を増やすべく、ダンピング制御における最終的な制御量(ダンピング力)が小さくなるように設定される。なお、制御マップMP4−1では、ダンピング補正量は、積[θ’・T]の絶対値が予め設定される第1所定値(制御マップMP4−1における第1所定値)よりも低い場合には0となり、予め設定される第2所定値(制御マップMP4−1における第1所定値)よりも高い場合には一定となる。
上記数式(5)の第3ゲインは、制御マップMP7−1により設定される。ECU20は、車速Vに基づいて制御マップMP7−1から第3ゲインを演算する。制御マップMP7−1は、車速Vと第3ゲインとを対応付けてなるマップであり、記憶部に予め記憶されている。当該制御マップMP7−1では、第3ゲインは、車速Vの増加にしたがって大きくなる。なお、制御マップMP7−1では、第3ゲインは、車速Vが予め設定される第1所定車速(制御マップMP7−1における第1所定車速)よりも低い場合には0となり、予め設定される第2所定車速(制御マップMP7−1における第2所定車速)よりも高い場合には一定となる。
この結果、ECU20は、上記で説明したように、障害物の回避などの緊急時に、相対的に早い操舵速度により当該障害物を素早く回避したい場合等に、車両2が運転者の意思に沿って動きやすくなるように、運転支援を行うことができる。すなわち、ECU20は、運転者による能動操作の意思が相対的に強くなるほど、言い換えれば、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率P1が第1仕事率基準値ThP1以上であり、当該操舵仕事率P1が相対的に大きくなるほど、EPS装置8によるアシスト力が相対的に大きくなるように目標の操舵制御量を設定することができる。したがって、この運転支援装置1は、運転者の意思を反映させた操舵制御量を演算して運転支援に反映させることができ、車両2が運転者の意思に沿って動きやすくなるように、運転支援を行うことができる。
また、ECU20は、受動操作がなされたと判定できる場合、すなわち、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率P1が第1仕事率基準値ThP1より小さい場合、下記のようにして積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率P1を反映させた目標の操舵制御量(最終的な目標トルク)を演算する。すなわち、ECU20は、図9に示すように、乗算器101、105、106、107、110及び111、制御マップMP1、MP2−2、MP3、MP4−2、MP5−2、MP6及びMP7−2、加算器104を利用して、入力された検出信号から、目標の操舵制御量を演算する。これにより、ECU20は、操舵仕事率P1と車両2の車速とに基づいて、EPS装置8の制御量を変更することができる。
車両2が搭載する操舵装置30(支援装置3)のようなステアリングシステムは、例えば、ステアリング4が運転者の意思に反して早く戻りその調整にパワーを使う状況では、運転者の負担が相対的に大きくなる傾向にある。上記のような運転者の負担の増加は、例えば、車両2の車速が相対的に高い場合や車両2の乗車人数が相対的に多い場合ほど顕著になる傾向にある。
ここでは、一例として、ECU20は、運転者による受動操作の意思が相対的に強くなるほど、すなわち、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率P1が第1仕事率基準値ThP1より小さく、当該操舵仕事率P1の絶対値が相対的に大きくなるほど、EPS装置8によるアシスト力が相対的に大きくなるように目標の操舵制御量を演算する。これにより、運転支援装置1は、運転者の意思を反映させた操舵制御量を演算して運転支援に反映させることができ、上記のような場合に操舵速度が大きくなりすぎないようにし、運転者の負担が軽減されるように、運転支援を行うことができる。
図9の例では、目標の操舵制御量は、乗算器105、106、107、110及び111、加算器104の作用により、下記の数式(6)として表される。

目標の操舵制御量=[基本アシスト制御量×アシスト補正量×第4ゲイン]+[ダンピング制御量×第2ゲイン×ダンピング補正量×第5ゲイン] ・・・ (6)
上記数式(6)の基本アシスト制御量は、制御マップMP1により設定される。
上記数式(6)のアシスト補正量は、制御マップMP2−2により設定される。ECU20は、乗算器101を介して演算した積[θ’・T]に基づいて制御マップMP2−2からアシスト補正量を演算する。制御マップMP2−2は、積[θ’・T]とアシスト補正量とを対応付けてなるマップであり、記憶部に予め記憶されている。当該制御マップMP2−2では、アシスト補正量は、負側(受動操作側)において積[θ’・T]の絶対値の増加(すなわち意思の強さの増加)にしたがって大きくなる。つまり、制御マップMP2−2では、アシスト補正量は、受動操作において、積[θ’・T]の絶対値の増加、すなわち、受動操作意思の強さの増加にしたがってアシスト制御における最終的な制御量(アシスト力)が大きくなるように設定される。ただし、制御マップMP2−2では、アシスト補正量は、積[θ’・T]の絶対値が所定よりも小さい場合には0となる。
上記数式(6)の第4ゲインは、制御マップMP5−2により設定される。ECU20は、車速Vに基づいて制御マップMP5−2から第4ゲインを演算する。制御マップMP5−2は、車速Vと第4ゲインとを対応付けてなるマップであり、記憶部に予め記憶されている。当該制御マップMP5−2では、第4ゲインは、車速Vの増加にしたがって大きくなる。当該制御マップMP5−2では、第4ゲインは、車速Vが予め設定される第1所定車速(制御マップMP5−2における第1所定車速)よりも低い場合にも0とはならず相対的に小さな値で一定となり、予め設定される第2所定車速(制御マップMP5−2における第2所定車速)よりも高い場合には相対的に高い値で一定となる。例えば、上記のようなステアリング4の戻りの調整が負担になる場面は、車速がある程度高くなった場合であるが、例えば、車両2の停車状態でもタイヤの捩れ等によりステアリング4が相対的に速い速度で戻される場合があり、負担が大きくなるおそれがある。このため、当該制御マップMP5−2では、第4ゲインは、車速が高くなるにしたがってアシスト制御における最終的な制御量(アシスト力)が大きくなるように設定されると共に、車速Vが0の近傍である場合でも所定の大きさのアシスト力が出力されるように設定される。
上記数式(6)のダンピング制御量は、制御マップMP3により設定される。
上記数式(6)の第2ゲインは、制御マップMP6により設定される。
上記数式(6)のダンピング補正量は、制御マップMP4−2により設定される。ECU20は、乗算器101を介して演算した積[θ’・T]に基づいて制御マップMP4−2からダンピング補正量を演算する。制御マップMP4−2は、積[θ’・T]とダンピング補正量とを対応付けてなるマップであり、記憶部に予め記憶されている。制御マップMP4−2では、ダンピング補正量は、受動操作(負側)において、積[θ’・T]の絶対値の増加、すなわち、受動操作意思の強さの増加にしたがって、操舵速度θ’が大きくならないようにするために、ダンピング制御における最終的な制御量(ダンピング力)が大きくなるように設定される。なお、制御マップMP4−2では、ダンピング補正量は、積[θ’・T]の絶対値が予め設定される第1所定値(制御マップMP4−2における第1所定値)よりも低い場合には0となり、予め設定される第2所定値(制御マップMP4−2における第2所定値)よりも高い場合には一定となる。
上記数式(6)の第5ゲインは、制御マップMP7−2により設定される。ECU20は、車速Vに基づいて制御マップMP7−2から第5ゲインを演算する。制御マップMP7−2は、車速Vと第5ゲインとを対応付けてなるマップであり、記憶部に予め記憶されている。当該制御マップMP7−2では、第5ゲインは、車速Vの増加にしたがって大きくなる。当該制御マップMP7−2では、第5ゲインは、第4ゲインと同様に、車速Vが予め設定される第1所定車速(制御マップMP7−2における第1所定車速)よりも低い場合にも0とはならず相対的に小さな値で一定となり、予め設定される第2所定車速(制御マップMP7−2における第2所定車速)よりも高い場合には相対的に高い値で一定となる。
この結果、ECU20は、上記で説明したように、例えば、ステアリング4が運転者の意思に反して早く戻りその調整にパワーを使う状況で、運転者の負担が相対的に大きくなることを抑制することができる。すなわち、ECU20は、運転者による受動操作の意思が相対的に強くなるほど、言い換えれば、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率P1が第1仕事率基準値ThP1より小さく、当該操舵仕事率P1の絶対値が相対的に大きくなるほど、EPS装置8によるアシスト力が相対的に大きくなるように目標の操舵制御量を設定することができる。したがって、この運転支援装置1は、運転者の意思を反映させた操舵制御量を演算して運転支援に反映させることができ、上記のような場合に操舵速度が大きくなりすぎないようにし、運転者の負担が軽減されるように、運転支援を行うことができる。
以上で説明した実施形態に係る運転支援装置1によれば、車両2に搭載され、当該車両2で運転支援を実行可能である支援装置3と、車両2のステアリング4の操舵角を検出する操舵角センサ10と、ステアリング4と共に回転するシャフト5に作用するトルクを検出するトルクセンサ11と、支援装置3を制御するECU(制御装置)20とを備える。ECU20は、操舵角センサ10が検出した操舵角に関するパラメータとトルクセンサ11が検出したトルクに関するパラメータとの積に応じた操舵仕事率(操舵仕事率P1、P2等)が予め設定される基準値(第1仕事率基準値ThP1、第2仕事率基準値ThP2等)以上である場合と、当該操舵仕事率が当該基準値より小さい場合とで、支援装置3による運転支援の内容を変更する。
また、以上で説明した実施形態に係る操作検出装置としての運転支援装置1によれば、車両2のステアリング4の操舵角を検出する操舵角センサ10と、ステアリング4と共に回転するシャフト5に作用するトルクを検出するトルクセンサ11と、操舵角センサ10が検出した操舵角に関するパラメータとトルクセンサ11が検出したトルクに関するパラメータとに基づいて、ステアリング4に対する能動操作とステアリング4に対する受動操作とを判定するECU(判定装置)20とを備える。
したがって、運転支援装置1、ECU20は、操舵仕事率に基づいて、運転者の意思を判定し、当該運転者の意思を反映させた運転支援を実現することができ、例えば、運転者にとって違和感の少ない運転支援を行うことができる。
なお、以上の説明では、ECU20は、操舵角センサ10が検出した操舵角θとトルクセンサ11が検出した操舵トルクTとの積に基づいて操舵仕事量Wを算出するものとして説明したがこれに限らない。ECU20は、例えば、操舵角θにかえて、ヨーレートセンサ14が検出した操舵角θに関するパラメータに相当する車両2のヨーレートYRを用いて操舵仕事量Wを算出するようにしてもよい。車両2のヨーレートYRは、操舵角センサ10が検出する操舵角θに応じた値となる傾向にあり、操舵角θの増加にしたがって増加する関係にある。つまり、車両2のヨーレートYRと操舵角θとは、基本的には比例の関係となっている。
この場合、ECU20は、例えば、予め設定される車両2の車両モデルに基づいて、ヨーレートセンサ14が検出した車両2のヨーレートYRを操舵角θに変換する(なお、以下の説明では、ヨーレートYRから算出された操舵角を「θfYR」と記載する場合がある)。そして、ECU20は、ヨーレートYRから算出された操舵角θfYRとトルクセンサ11が検出した操舵トルクTとの積[θfYR・T]に基づいて操舵仕事量Wを算出するようにしてもよい。つまりこの場合、操舵仕事量Wは、ヨーレートセンサ14が検出した操舵角に関するパラメータとして、車両2のヨーレートYRに応じて算出される操舵角θfYRとトルクセンサ11が検出した操舵トルクTとの積[θfYR・T]に基づいて算出される。この場合、ヨーレートセンサ14は、操舵角検出装置に相当することとなる。
そして、ECU20は、積[θfYR・T]に応じた操舵仕事量Wに基づいて、能動操作と受動操作とを判定する。ECU20は、積[θfYR・T]に基づいた操舵仕事量Wが仕事量基準値ThW以上である場合にステアリング4に対する能動操作を検出し、操舵仕事量Wが当該仕事量基準値ThWより小さい場合にステアリング4に対する受動操作を検出する。
これにより、この運転支援装置1は、例えば、車両2がスラント路(走行路幅方向に沿って傾斜を有する走行路)を走行している場合や車両2に横風が作用した場合等、外乱に対して運転者によって修正操舵(あて舵操作)がなされた場合に、当該修正操舵の影響を排除して、誤判定を抑制して能動操作と受動操作との判定を行うことができる。例えば、運転者によって外乱に対する修正操舵がなされている場合、操舵角センサ10が検出した操舵角θが大きくなり、積[θ・T]に基づいた操舵仕事量Wも大きくなってしまうおそれがあり、これにより、ECU20は、受動操作であるにもかかわらず、能動操作であるものとして判定してしまうおそれがある。これに対して、運転支援装置1は、積[θfYR・T]に基づいた操舵仕事量Wを用いて判定を行うことで、運転者によって外乱に対する修正操舵がなされている場合に、これを受動操作と判定することができる。この結果、運転支援装置1は、スラント路や横風等の外乱に対する修正操舵の影響を排除して、適正に運転者の意思を反映させた運転支援を実現することができる。
また、ECU20は、ヨーレートセンサ14が検出した車両2のヨーレートYRを操舵角θに変換せずに、直接的にヨーレートYRと操舵トルクTとの積[YR・T]に基づいて操舵仕事量Wを算出するようにしてもよい。この場合、仕事量基準値ThWは、積[YR・T]に対応させて適宜変換されればよい。そして、ECU20は、積[YR・T]に基づいた操舵仕事量Wが仕事量基準値ThW以上である場合にステアリング4に対する能動操作を検出し、操舵仕事量Wが当該仕事量基準値ThWより小さい場合にステアリング4に対する受動操作を検出すればよい。
[実施形態2]
図10は、実施形態2に係るECUの概略構成の一例を示すブロック図である。図11は、車両のスラント路における走行状態を説明する模式図、図12、図13は、運転者によって外乱に対する修正操舵がなされた場合の操舵角、操舵トルクについて説明する線図である。図14は、実施形態2に係るECUによる制御の一例を説明するフローチャートである。図15は、実施形態2に係るECUによる修正操舵判定の一例を説明する線図である。実施形態2に係る運転支援装置、操作検出装置、及び、制御装置は、外乱に対する修正操舵を判定する点で実施形態1とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する。また、実施形態2に係る運転支援装置、操作検出装置、及び、制御装置の各構成については、適宜、図1等を参照する(以下で説明する実施形態でも同様である。)。
図10に例示する本実施形態の運転支援装置201は、制御装置及び判定装置として兼用されるECU220を備える。
以下、操舵仕事率P、操舵仕事量W’を用いた環境変化に起因する運転者操舵状態の抽出について説明する。
本実施形態のECU220は、操舵仕事率Pの振幅が予め定められた振幅閾値以上である期間が、予め設定された所定期間以上継続した場合に、外乱に対する修正操舵を判定するものである。ここで、外乱に対する修正操舵とは、上記で説明したように、車両2がスラント路を走行している場合や車両2に横風が作用した場合等、外乱に対してステアリング4を介して運転者によって行われる修正操作である。
例えば、車両2が図11に示すようにスラント路を走行する場合、矢印Aや矢印Bに示すように、運転者によって周期的な修正操舵が行われた後に、矢印Cに示すような定常的な操舵状態に移行する傾向にある。このような場合、図12に示すように、スラント路走行時の操舵角θ−操舵トルクTを表す直線L42は、平坦路走行時の操舵角θ−操舵トルクTを表す直線L41に対して、負側にオフセットされたような状態になる。また、図13に示すように時間軸tに沿ってスラント路走行時の操舵角θを表す線L44、及び、操舵トルクTを表す線L46は、ともに平坦路走行時の操舵角θを表す線L43、及び、操舵トルクTを表す線L45に対して、スラント路の傾斜に応じてオフセットされたような状態になる。例えば、操舵トルクTが所定よりも大きければスラント路の傾斜が大きい(外乱が大きい)ことを検出することができるものの、実際には操舵トルクTの大きさ等により戻し操作時の操舵速度θ’が変動し、これにより結果として修正操舵中の操舵トルクTも変動してしまう。このため、操舵トルクT単体等によって外乱に対する修正操舵を判定することは、例えば、修正操舵を能動操作であるものとして誤判定してしまうなど、実質的には困難である傾向にある。
そこで、本実施形態のECU220は、操舵仕事率Pの振幅に基づいて、受動操作として、外乱に対する修正操舵を判定することで、精度よく修正操舵を判定できるようにしている。ここで、操舵仕事率Pの振幅は、例えば、操舵仕事率Pの最大値(ピーク)と最小値(ピーク)との差分(ピークtoピークの差)、操舵仕事率の最大値の絶対値、又は、操舵仕事率の最小値の絶対値等に基づいて算出することができる。
なお、以下では、ECU220は、操舵仕事率Pとして、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率P1と、積[θ・T’]に基づいた操舵仕事率P2とを用いて、外乱に対する修正操舵を判定するものとして説明するが、これに限らない。ECU220は、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率P1と、[θ・T’]に基づいた操舵仕事率P2とのどちらか一方を用いて外乱に対する修正操舵の判定を行ってもよいし、積[θ’・T]と積[θ・T’]とを合成した操舵仕事率Pを用いて外乱に対する修正操舵の判定を行ってもよい。
本実施形態のECU220は、操舵仕事率P1の振幅が予め定められた振幅閾値ThP1A以上である期間が、予め設定された所定期間B以上継続した場合に、外乱に対する修正操舵を判定する。また、ECU220は、例えば、操舵仕事率P2の振幅が予め定められた振幅閾値ThP2A以上である期間が、所定期間B以上継続した場合に、外乱に対する修正操舵を判定する。なお、上記振幅閾値ThP1A、上記振幅閾値ThP2Aは、例えば、実車評価等に基づいて外乱に対する修正操舵を判定可能な値に設定される。また、上記所定期間Bは、例えば、外乱に対する修正操舵を確実に判別することができる期間として予め設定されればよい。
さらに、本実施形態のECU220は、車両2の直進走行時の操舵角θ0を踏まえて算出される操舵仕事量W’、又は、ヨーレートYRから算出された操舵角θfYRを踏まえて算出される操舵仕事量W’を用いて、外乱に対する修正操舵を判定するようにしてもよい。この場合、操舵仕事量W’は、操舵角センサ10が検出した操舵角θに関するパラメータとして、操舵角センサ10が検出した操舵角θと車両2の直進走行時の操舵角θ0との差分に応じた操舵角θ0−θと、トルクセンサ11が検出した操舵トルクTとの積[(θ0−θ)・T]に基づいて算出される。あるいは、操舵仕事量W’は、操舵角センサ10が検出した操舵角θと車両2のヨーレートYRに応じて算出される操舵角θfYRとの差分に応じた操舵角θfYR−θと、トルクセンサ11が検出した操舵トルクTとの積[(θfYR−θ)・T]に基づいて算出されてもよい。ここで、直進走行時の操舵角θ0は、典型的には、ステアリング4の中立位置における操舵角、例えば、0°である。操舵角θfYRは、上述したように、予め設定される車両2の車両モデルに基づいて、ヨーレートセンサ14が検出した車両2のヨーレートYRから算出される。上記のようにして算出される操舵角θ0、又は、操舵角θfYRを基準とした操舵仕事量W’は、外乱に対する修正操舵(受動操作)の大きさ(強さ)を表すものに相当する。なお、積[(θ0−θ)・T]、及び、積[(θfYR−θ)・T]は、基本的には負の値となる。
そして、ECU220は、上記のようにして操舵角θ0、又は、操舵角θfYRを基準として算出された操舵仕事量W’に基づいて、受動操作として、外乱に対する修正操舵を判定することで、精度よく修正操舵を判定できるようにすることも可能である。ECU220は、例えば、操舵仕事量W’の負の大きさが予め定められた所定仕事量ThW’以下である期間が、所定期間B以上継続した場合に、外乱に対する修正操舵を判定する。なお、上記所定仕事量ThW’は、例えば、実車評価等に基づいて外乱に対する修正操舵を判定可能な値に設定される。また、上記所定期間Bは、上記で説明したように、例えば、外乱に対する修正操舵を確実に判別することができる期間として予め設定されればよい。
そして、本実施形態の運転支援装置201は、上記のような外乱に対する修正操舵の判定結果を支援装置3による運転支援、ここでは、EPS装置8によって行われる操舵系の運転支援に反映させる。つまり、本実施形態のECU220は、外乱に対する修正操舵の判定結果に基づいてEPS装置8を制御する。これにより、ECU220は、外乱に対する修正操舵が検出された場合に、当該外乱に対する修正操舵に対応した運転支援を行う。
ECU220は、例えば、外乱に対する修正操舵がなされたと判定できる場合に、外乱に対する修正操舵がなされたと判定できない場合と比較して、EPS装置8が発生させるアシスト力、ダンピング力、又は、摩擦力のうちの少なくとも1つを大きくする運転支援を行う。これにより、運転支援装置201は、当該外乱に対する修正操舵に対応した運転支援によって、当該修正操舵に対して安定性を付与することができ、運転者による修正操舵の負担を軽減することができる。
なお、上記外乱に対する修正操舵がなされたと判定できる場合とは、例えば、操舵仕事率P1、P2の振幅が予め定められた振幅閾値ThP1A、ThP2A以上である期間が、予め設定された所定期間B以上継続した場合である。外乱に対する修正操舵がなされたと判定できない場合とは、操舵仕事率P1、P2の振幅が振幅閾値ThP1A、ThP2Aより小さい場合、又は、操舵仕事率P1、P2の振幅が振幅閾値ThP1A、ThP2A以上である期間が所定期間B未満である場合である。さらに、操舵仕事量W’を用いて外乱に対する修正操舵を判定する場合には、外乱に対する修正操舵がなされたと判定できる場合としては、例えば、操舵仕事量W’が予め定められた所定仕事量ThW’以下である期間が、予め設定された所定期間B以上継続した場合を含んでもよい。同様に、外乱に対する修正操舵がなされたと判定できない場合としては、例えば、操舵仕事量W’が所定仕事量ThW’より大きい場合、又は、操舵仕事量W’が所定仕事量ThW’以下である期間が所定期間B未満である場合を含んでもよい。
また、ECU220は、外乱に対する修正操舵がなされたと判定できる場合に、修正操舵がなされたと判定できない場合と比較して、スラント路の傾斜や横風の強さ等、外乱の大きさに応じてEPS装置8にオフセットトルクを付加させる運転支援を行ってもよい。この場合であっても、運転支援装置201は、当該外乱に対する修正操舵に対応した運転支援によって、当該修正操舵に対して安定性を付与することができ、運転者による修正操舵の負担を軽減することができる。
具体的には、本実施形態のECU220は、図10に示すように、例えば、実施形態1で説明した図5の構成に加えて、さらに、機能概念的に、ヒス付与制御部227、指標演算部225、修正操舵判定部226等を含んで構成される。なお、本図では、指標演算部25、能動操作判定部26、運転支援変更部27等の図示を省略している。
ヒス付与制御部227は、ヒス付与制御におけるヒス付与制御量を算出するものである。ヒス付与制御部227は、操舵角センサ10から操舵角θに応じた検出信号が入力され、車速センサ13から車速Vに応じた検出信号が入力される。ヒス付与制御部227は、入力された検出信号に基づいて、種々の手法により、ヒス付与制御量として、目標の摩擦力に応じたトルク(摩擦トルク)を演算する。ヒス付与制御部227は、演算した当該ヒス付与制御量に応じた電流指令値信号を加算器23に出力する。
この場合、加算器23は、アシスト制御部21から基本アシスト制御量に応じた電流指令値信号が入力され、ダンピング制御部22からダンピング制御量に応じた電流指令値信号が入力され、ヒス付与制御部227からヒス付与制御量に応じた電流指令値信号が入力される。加算器23は、入力された電流指令値信号に基づいて、基本アシスト制御量とダンピング制御量とヒス付与制御量とを加算した目標の操舵制御量(最終的な目標トルク)を演算する。加算器23は、演算した当該目標の操舵制御量に応じた電流指令値信号をEPSアシスト指令としてEPS装置8に出力し、EPS装置8のモータ8aを制御する。これにより、ECU20は、上記のようなアシスト制御、ダンピング制御、ヒス付与制御を実現する。これが基本の制御となる。
指標演算部225は、外乱に対する修正操舵の判定のための指標を演算するものである。本実施形態の指標演算部225は、当該指標として、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率P1を演算する第1仕事率演算部25a、積[θ・T’]に基づいた操舵仕事率P2を演算する第2仕事率演算部25b、積[(θfYR−θ)・T]に基づいた操舵仕事量W’を演算する仕事量演算部225cを含んで構成される。ここでは、第1仕事率演算部25a、第2仕事率演算部25bは、上述の指標演算部25の第1仕事率演算部25a、第2仕事率演算部25bが兼用される。なお、指標演算部225は、積[(θfYR−θ)・T]に基づいた操舵仕事量W’を演算する仕事量演算部225cにかえて、積[(θ0−θ)・T]に基づいた操舵仕事量W’を演算する仕事量演算部を備える構成であってもよい。
仕事量演算部225cは、操舵角センサ10から操舵角θに応じた検出信号が入力され、トルクセンサ11から操舵トルクTに応じた検出信号が入力され、ヨーレートセンサ14から車両2のヨーレートYRが入力される。仕事量演算部225cは、入力された検出信号に基づいて、現在の制御周期でのヨーレートYR(t)から操舵角θfYR(t)を演算し、当該θfYR(t)と現在の制御周期での操舵角θ(t)との差分を演算する。そして、仕事量演算部225cは、当該差分(θfYR(t)−θ(t))と操舵トルクT(t)との積を演算することで操舵仕事量W’を演算する。仕事量演算部225cは、演算した当該操舵仕事量W’に応じた演算信号を修正操舵判定部226に出力する。
修正操舵判定部226は、運転者による外乱に対する修正操舵を判別するものである。修正操舵判定部226は、第1仕事率演算部25aから操舵仕事率P1に応じた演算信号が入力され、第2仕事率演算部25bから操舵仕事率P2に応じた演算信号が入力され、仕事量演算部225cから操舵仕事量W’に応じた演算信号が入力される。修正操舵判定部226は、入力された演算信号と、上記で説明したようにして予め設定された振幅閾値ThP1A、振幅閾値ThP2A、所定仕事量ThW’に基づいて運転者により外乱に対する修正操舵がなされたか否かを判定する。
ここでは、修正操舵判定部226は、下記の条件4〜6のうちの1つ以上を満たしている期間が予め設定された所定期間B継続したと判定した場合に、運転者により外乱に対する修正操舵がなされたものと判定する。一方、修正操舵判定部226は、下記の条件4〜6のうちの1つ以上を満たしている期間が所定期間Bに満たないと判定した場合、下記の条件4〜6のいずれも満たしていないと判定した場合に、外乱に対する修正操舵がなされていないものと判定する。そして、修正操舵判定部226は、上記判定結果に応じた制御信号をアシスト制御部21、ダンピング制御部22、ヒス付与制御部227に出力する。

(条件4)操舵仕事率P1の振幅P1Aが振幅閾値ThP1A以上である(P1A≧ThP1A)。

(条件5)操舵仕事率P2の振幅P2Aが振幅閾値ThP2A以上である(P2A≧ThP2A)。

(条件6)操舵仕事量W’が所定仕事量ThW’以下である(W’≦ThW’)。
なおここでは、修正操舵判定部226は、上記の条件4〜6のうちの1つ以上を満たしている期間が予め設定された所定期間B継続したと判定した場合に、運転者により外乱に対する修正操舵がなされたものと判定するものとして説明したがこれに限らない。修正操舵判定部226は、上記の条件4〜6をすべて満たしている期間が所定期間B継続したと判定した場合に、運転者により外乱に対する修正操舵がなされたものと判定するようにしてもよい。
修正操舵判定部226は、例えば、修正操舵がなされたものと判定した場合に、修正操舵がなされていないと判定した場合と比較して、EPS装置8が発生させるアシスト力、ダンピング力を大きくする共に、ヒス付与制御における制御ゲインを大きくするための制御マップ等の切り替え信号を、アシスト制御部21、ダンピング制御部22、ヒス付与制御部227に出力する。
次に、図14を参照してECU220による制御の一例を説明する。
まず、ECU220は、操舵角センサ10、トルクセンサ11、ヨーレートセンサ14の検出結果に基づいて、操舵トルクT、操舵速度θ’、操舵角θ、ヨーレートYRを計測する(ステップST201)。
次に、ECU220の微分演算部24は、ステップST201で計測された操舵トルクTに基づいて、トルク微分値T’=dT/dtを演算する(ステップST202)。
次に、ECU220の指標演算部225は、ステップST201で計測された操舵トルクT、操舵速度θ’、操舵角θ、ヨーレートYRステップST202で演算されたトルク微分値T’に基づいて、現在の制御周期での操舵仕事率P1=θ’(t)・T(t)、操舵仕事率P2=θ(t)・T’(t)、操舵仕事量W’=(θfYR(t)−θ(t))・T(t)を演算する(ステップST203)。
次に、ECU220の修正操舵判定部226は、ステップST203で演算された操舵仕事率P1、操舵仕事率P2、操舵仕事量W’に基づいて、運転者により外乱に対する修正操舵がなされたか否かを判定する(ステップST204)。修正操舵判定部226は、例えば、(P1A≧ThP1A)or(P2A≧ThP2A)or(W’≦ThW’)である状態が所定期間B以上継続したか否かを判定することで、運転者により外乱に対する修正操舵がなされたか否かを判定する。
ECU220の修正操舵判定部226は、ステップST204にて運転者により外乱に対する修正操舵がなされたと判定された場合(ステップST204:Yes)、下記の処理を行う。すなわち、修正操舵判定部226は、EPS装置8が発生させるアシスト力、ダンピング力を大きくすると共に、ヒス付与制御における制御ゲインを大きくするための補償制御マップ等の切り替え信号を、アシスト制御部21、ダンピング制御部22、ヒス付与制御部227に出力し(ステップST205)、今回の制御周期を終了し、次回の制御周期に移行する。
ECU220の運転支援変更部27は、ステップST204にて運転者により外乱に対する修正操舵がなされていないと判定した場合(ステップST204:No)、今回の制御周期を終了し、次回の制御周期に移行する。
上記のように構成される運転支援装置201は、操舵仕事率P1、P2の振幅や操舵仕事量W’に基づいて、外乱に対する修正操舵を判定することで、精度よく外乱に対する修正操舵を判定できる。例えば、車両2が図11に示すようにスラント路を走行する場合、操舵仕事率P1、操舵仕事率P2、操舵仕事量W’は、図15に例示するように変動する。すなわち、時間軸tに沿ってスラント路走行時の操舵仕事率P1を表す線L52、及び、操舵仕事率P2を表す線L54は、ともに平坦路走行時の操舵仕事率P1を表す線L51、及び、操舵仕事率P2を表す線L53に対して、外乱に対応するための周期的な修正操舵に応じて振幅が相対的に大きくなる傾向にある。言い換えれば、操舵仕事率P1、P2が線L52、L54に示すように変動している状態が所定期間継続した場合、なんらかの外乱が発生している状況に対応して運転者により周期的な修正操舵がなされ、能動操作と受動操作とが頻繁に繰り返されている状態であるものと推定することができる。また、時間軸tに沿ってスラント路走行時の操舵仕事量W’を表す線L56は、平坦路走行時の操舵仕事量W’を表す線L55に対して、外乱の強さに応じて負側にオフセットされたような状態になる。運転支援装置201は、このことを利用し、上記のように条件4〜6を用いて判定を行うことで、適切に精度よく運転者による受動操作の一種である修正操舵を判定することができる。
そして、運転支援装置201は、上記のような外乱に対する修正操舵の判定結果を支援装置3による運転支援、ここでは、EPS装置8によって行われる操舵系の運転支援に反映させる。これにより、運転支援装置201は、当該運転支援によって、修正操舵に対する安定性を付与することができ、落ち着いた操舵特性とすることができると共に、運転者による修正操舵の負担を軽減することができる。
以上で説明した実施形態に係る運転支援装置201、ECU220は、操舵仕事率に基づいて、運転者の意思を判定し、当該運転者の意思を反映させた運転支援を実現することができ、例えば、運転者にとって違和感の少ない運転支援を行うことができる。
さらに、以上で説明した実施形態に係る運転支援装置201によれば、ECU220は、操舵仕事率の振幅が予め定められた振幅閾値以上である期間が、予め設定された所定期間以上継続した場合に、外乱に対する修正操舵を判定する。また、操舵仕事量は、操舵角センサ10が検出した操舵角に関するパラメータとして、当該操舵角センサ10が検出した操舵角と車両2の直進走行時の操舵角との差分に応じた操舵角、又は、当該操舵角センサ10が検出した操舵角と車両2のヨーレートに応じて算出される操舵角との差分に応じた操舵角と、トルクセンサ11が検出した操舵トルクとの積に基づいて算出される。そして、ECU220は、当該操舵仕事量に基づいて、外乱に対する修正操舵を判定する。ECU220は、外乱に対する修正操舵がなされたと判定できる場合に、外乱に対する修正操舵がなされたと判定できない場合と比較して、EPS装置8が発生させるアシスト力、EPS装置8が発生させるダンピング力、又は、EPS装置8が発生させる摩擦力のうちの少なくとも1つを大きくする。
したがって、運転支援装置201によれば、ECU220は、運転者による外乱に対する修正操舵を適正に検出することができ、当該外乱に対する修正操舵に応じて違和感の少ない運転支援を実現することができる。
[実施形態3]
図16は、実施形態3に係るECUの概略構成の一例を示すブロック図である。図17は、操舵トルクに基づいて運転者意思を判定する場合について説明する模式図である。図18は、操舵速度に基づいて運転者意思を判定する場合について説明する模式図である。図19は、操舵仕事率に基づいて運転者意思を判定する場合について説明する模式図である。図20は、実施形態3に係るECUによる制御の一例を説明するフローチャートである。実施形態3に係る運転支援装置、操作検出装置、及び、制御装置は、運転支援の対象が実施形態1、2とは異なる。
図16に例示する本実施形態の運転支援装置301は、制御装置及び判定装置として兼用されるECU320を備える。
本実施形態の運転支援装置301は、操舵仕事率に基づいた能動操作と受動操作との判定結果を車両2の駆動系の運転支援制御、ここでは、いわゆるストップ&スタートシステム(S&Sシステム)による運転支援に反映させる。
本実施形態の支援装置3は、動作部としてのエンジン再始動要求部328を含んで構成される。エンジン再始動要求部328は、車両2を走行させる動力を発生させる動力源としてのエンジン50を制御するものであり、当該エンジン50を自動で始動及び停止することでS&S運転支援を行うものである。ここで、S&S運転支援とは、例えば、車両2の走行中にエンジン50を自動で停止し、かつ自動で再始動することで、燃料の消費を抑制しこれに伴う車両2の惰性走行状態を利用することによる燃費性能の向上を実現する運転支援である。
エンジン再始動要求部328は、車両2の走行中に、エンジン50を停止するエンジン停止許可条件(エンジン50の停止許可条件)が成立すると、エンジン50の燃焼室への燃料の供給をカット(フューエルカット)してエンジン50を自動的に停止し、エンジン50を非作動状態とする。また、エンジン再始動要求部328は、車両2の走行中でエンジン50が非作動状態である場合に、例えば、エンジン50を再始動するエンジン再始動条件が成立すると、燃焼室への燃料カット状態から復帰しエンジン50を再始動し、エンジン50を作動状態とする。なお、エンジン再始動要求部328は、ECU320の一部として兼用されてもよい。
本実施形態のECU320は、エンジン再始動要求部328によるエンジン再始動条件として、能動操作と受動操作との判定結果を利用する。ECU320は、判定結果に基づいて、支援装置3を構成するエンジン再始動要求部328を制御し、支援装置3による運転支援の内容を変更する。つまり、ECU320は、操舵角センサ10が検出した操舵角に関するパラメータとトルクセンサ11が検出した操舵トルクに関するパラメータとの積に応じた操舵仕事率等に基づいて、エンジン再始動要求部328を制御し、支援装置3による運転支援の内容を変更する。
本実施形態のECU320は、支援装置3がエンジン再始動要求部328を含んで構成されるので、当該エンジン再始動要求部328によって行われる駆動系の運転支援の内容を、能動操作の場合と受動操作の場合とで変更する。ここでは、ECU320は、一例として、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率P1、積[θ・T’]に基づいた操舵仕事率P2、積[θ・T]に基づいた操舵仕事量W等に基づいて、支援装置3による運転支援の内容を変更する。
ECU320は、運転者により能動操作がなされたと判定できる場合にエンジン再始動要求部328を制御しエンジン50を始動する運転支援を行い、運転者により受動操作がなされたと判定できる場合には、エンジン50を始動する運転支援を行わない。ECU320は、例えば、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率P1が第1仕事率基準値ThP1以上である場合に、エンジン50を始動する運転支援を行い、積[θ’・T]に基づいた操舵仕事率P1が第1仕事率基準値ThP1より小さい場合に、エンジン50を始動する運転支援を行わない。また、ECU320は、例えば、積[θ・T’]に基づいた操舵仕事率P2が第2仕事率基準値ThP2以上である場合に、エンジン50を始動する運転支援を行い、積[θ・T’]に基づいた操舵仕事率P2が第2仕事率基準値ThP2より小さい場合に、エンジン50を始動する運転支援を行わないようにしてもよい。また、ECU320は、例えば、積[θ・T]に基づいた操舵仕事量Wが仕事量基準値ThW以上である場合に、エンジン50を始動する運転支援を行い、積[θ・T]に基づいた操舵仕事量Wが仕事量基準値ThWより小さい場合に、エンジン50を始動する運転支援を行わないようにしてもよい。
本実施形態のECU320は、運転支援変更部327が能動操作判定部26による能動操作と受動操作との判定結果に応じてエンジン再始動要求部328による運転支援の内容を変更する。運転支援変更部327は、能動操作判定部26から能動操作についての判定結果に応じた判定信号が入力される。運転支援変更部327は、入力された判定信号に基づいて、支援装置3による運転支援の内容を変更する。運転支援変更部327は、能動操作判定部26が運転者により能動操作がなされたものと判定した場合と、能動操作判定部26が運転者により受動操作がなされたものと判定した場合とで当該運転支援変更部327によって行われるS&Sの運転支援の内容を変更する。
ここでは、運転支援変更部327は、能動操作がなされたものと判定された場合に、エンジン50の始動を許可する制御信号をエンジン再始動要求部328に出力する。これにより、運転支援変更部327は、エンジン50を始動する運転支援に変更する。エンジン再始動要求部328は、能動操作がなされたものと判定された場合に、エンジン50の状態を把握した上で、エンジン50が停止状態であれば、当該エンジン50を始動する。
一方、運転支援変更部327は、受動操作がなされたものと判定された場合に、エンジン50の始動を許可しない制御信号をエンジン再始動要求部328に出力する。これにより、運転支援変更部327は、エンジン50を始動しない運転支援に変更する。エンジン再始動要求部328は、受動操作がなされたものと判定された場合に、エンジン50の状態を把握した上で、エンジン50が停止状態であれば、当該エンジン50の停止状態を維持する。
つまり、運転支援変更部327は、能動操作がなされた場合にエンジン50を始動する運転支援を許容し、受動操作がなされた場合に当該エンジン50を始動する運転支援を制限するように、運転支援の内容を変更する。この結果、この運転支援装置301は、能動操作がなされた場合、受動操作がなされた場合等に、それぞれに応じて運転者の意思を反映させた運転支援を実現することが可能となる。
ここで、図17、図18、図19は、それぞれ操舵トルクに基づいた運転者意思判定、操舵速度に基づいた運転者意思判定、操舵仕事率に基づいた運転者意思判定について説明する図である。図17、図18、図19は、横軸を路面環境(路面μ)やアシスト状況に応じて変わるステアリング4の手ごたえ(典型的には、セルフアライニングトルクに相当)としている。また、図17は縦軸を操舵トルクTとし、図18は縦軸を操舵速度θ’、図19は縦軸を操舵仕事率P1としている。
図17、図18に例示するように、単に操舵トルクT単体や操舵速度θ’単体に基づいて運転者意思を判定する場合、ステアリング4の手ごたえに応じて操舵トルクT、操舵速度θ’が変動する傾向にある。例えば、路面μが低いとき、すなわち、ステアリング4の手ごたえが軽いときは、比較的に小さなトルクで操舵されるが、操舵速度は相対的に早くなる傾向にある。このため、この場合は、運転者意思(能動操作/受動操作)の判定結果が路面環境やアシスト状況に影響されるおそれがある。
一方、図19に例示するように、操舵仕事率P1等に基づいて運転者意思を判定する場合、操舵仕事率P1が路面環境やアシスト状況等に影響されず、ステアリング4の手ごたえに応じて変動しない。このため、ECU320は、上記のように能動操作/受動操作を判定することで、これらの影響を受けずに精度よく運転者意思(能動操作/受動操作)を判定することができる。
次に、図20を参照してECU320、エンジン再始動要求部328による制御の一例を説明する。なおここでも、図6と重複する説明についてはできる限り省略する。
ECU320の運転支援変更部327は、ステップST4にて運転者により能動操作がなされたと判定された場合(ステップST4:Yes)、支援装置3による支援内容をステアリング4に対する能動操作に対応する運転支援となるように変更する。この場合、運転支援変更部327は、エンジン50を始動する運転支援を許容するように、運転支援の内容を変更する。そして、エンジン再始動要求部328は、エンジン50が停止中であるか否かを判定する(ステップST305)。
エンジン再始動要求部328は、ステップST305にてエンジン50が停止中であると判定した場合(ステップST305:Yes)、エンジン再始動要求をエンジン50に出力し、実際にエンジン50を再始動して(ステップST306)、今回の制御周期を終了し、次回の制御周期に移行する。
エンジン再始動要求部328は、ステップST305にてエンジン50が停止中でない、すなわち、燃料を消費して作動中であると判定した場合(ステップST305:No)、今回の制御周期を終了し、次回の制御周期に移行する。
ECU320の運転支援変更部327は、ステップST4にて運転者により能動操作がなされていない、すなわち、受動操作がなされたと判定された場合(ステップST4:No)、支援装置3による支援内容をステアリング4に対する受動操作に対応する運転支援となるように変更し、今回の制御周期を終了し、次回の制御周期に移行する。この場合、運転支援変更部327は、エンジン50を始動する運転支援を制限するように、運転支援の内容を変更する。
上記のように構成される運転支援装置301は、操舵角に関するパラメータと操舵トルクに関するパラメータとの積に応じた操舵仕事率が予め設定される基準値以上である場合と、当該操舵仕事率が当該基準値より小さい場合とで、支援装置3による運転支援の内容を変更する。これにより、運転支援装置301は、例えば、運転者により能動操作がなされた場合と、運転者により受動操作がなされた場合とで、支援装置3による運転支援の内容を変更することができる。運転支援装置301は、例えば、操舵仕事率が仕事率基準値以上である場合に能動操作に対応する運転支援とし、操舵仕事率が仕事率基準値より小さい場合に受動操作に対応する運転支援とする。この結果、この運転支援装置301は、能動操作がなされた場合、受動操作がなされた場合等に、それぞれに応じて、運転者の意思を反映させた運転支援を実現することができる。つまり、運転支援装置301は、操舵仕事率等に基づいて運転者の操作意思を反映した能動操作と受動操作とを区別して判定し、判定された運転者の操作意思を運転支援に反映させることで、運転者にとって違和感の少ない運転支援を行うことができる。
本実施形態の運転支援装置301は、判定された運転者の操作意思を、駆動系のS&S運転支援に反映させることで、運転者にとって違和感の少ないエンジン始動支援を行うことができる。ここでは、運転支援装置301は、能動操作がなされたと判定できる場合に、当該運転者による能動操作によって、エンジン50を始動したいという運転者の能動的意思を擬制し、エンジン50を自動で始動する運転支援を行うようにすることができる。この結果、運転支援装置1は、運転者の操作意思に沿ったエンジン始動を実現することができる。
以上で説明した実施形態に係る運転支援装置301、ECU320は、操舵仕事率に基づいて、運転者の意思を判定し、当該運転者の意思を反映させた運転支援を実現することができ、例えば、運転者にとって違和感の少ない運転支援を行うことができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る運転支援装置、操作検出装置、及び、制御装置は、上述した実施形態に限定されず、請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係る運転支援装置、操作検出装置、及び、制御装置は、以上で説明した各実施形態の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
以上の説明では、運転支援装置の制御装置、操作検出装置の判定装置は、車両の各部を制御するECUであるものとして説明したが、これに限らず、例えば、それぞれECUとは別個に構成され、このECUと相互に検出信号や駆動信号、制御指令等の情報の授受を行う構成であってもよい。
以上の説明では、支援装置は、操舵部材への操舵操作に応じて動作する操舵アクチュエータ、あるいは、車両を走行させる動力を発生させる動力源を自動で始動及び停止することで運転支援を行う動作部を含んで構成されるものとして説明したがこれに限らない。支援装置は、例えば、車両2の制動力を調節可能な制動アクチュエータ、車両2の姿勢・挙動等を調節可能な姿勢・挙動アクチュエータ、車両2のサスペンションアクチュエータ等を含んで構成されてもよい。この場合、制御装置は、操舵仕事率に基づいた能動操作と受動操作との判定結果を、車両2の制動系、姿勢・挙動安定系、サスペンション系等の運転支援に反映させるようにしてもよい。
以上の説明では、操舵装置は、コラムアシスト式のコラムEPS装置を示したがこれに限らず、例えば、ピニオンアシスト式、ラックアシスト式のいずれの方式にも適用可能である。
1、201、301 運転支援装置
2 車両
3 支援装置
4 ステアリング(操舵部材)
5 シャフト(操舵軸部)
6 ギヤ機構
7 タイロッド
8 EPS装置(操舵アクチュエータ)
10 操舵角センサ(操舵角検出装置)
11 トルクセンサ(トルク検出装置)
12 回転角センサ
13 車速センサ
14 ヨーレートセンサ
20、220、320 ECU(制御装置、判定装置)
30 操舵装置
40 操舵輪
50 エンジン(動力源)
328 エンジン再始動要求部(動作部)

Claims (16)

  1. 車両に搭載され、当該車両で運転支援を実行可能である支援装置と、
    前記車両の操舵部材の操舵角を検出する操舵角検出装置と、
    前記操舵部材と共に回転する操舵軸部に作用するトルクを検出するトルク検出装置と、
    前記支援装置を制御する制御装置とを備え、
    前記支援装置は、前記操舵部材への操舵操作に応じて動作する操舵アクチュエータを含んで構成され、
    前記制御装置は、前記操舵角検出装置が検出した操舵角に応じた操舵角度と前記トルク検出装置が検出したトルクとの積と前記操舵角検出装置が検出した操舵角度と前記トルク検出装置が検出したトルクに応じたトルク微分値との積との和に基づいた操舵仕事率が予め設定される基準値以上である場合、前記操舵アクチュエータを制御し、前記操舵仕事率が前記基準値より小さい場合と比較して、前記操舵アクチュエータが発生させるダンピング力を小さくすることを特徴とする、
    運転支援装置。
  2. 前記制御装置は、前記操舵仕事率と前記車両の車速とに基づいて、前記操舵アクチュエータの制御量を変更する、
    請求項に記載の運転支援装置。
  3. 前記制御装置は、前記操舵仕事率の振幅が予め定められた振幅閾値以上である期間が、予め設定された所定期間以上継続した場合に、前記操舵仕事率の振幅が前記振幅閾値より小さい場合、又は、前記操舵仕事率の振幅が前記振幅閾値以上である期間が前記所定期間未満である場合と比較して、前記操舵アクチュエータが発生させるアシスト力、前記操舵アクチュエータが発生させるダンピング力、又は、前記操舵アクチュエータが発生させる摩擦力のうちの少なくとも1つを大きくする、
    請求項1又は2に記載の運転支援装置。
  4. 前記制御装置は、前記操舵仕事率の絶対値が予め設定された所定仕事率以下である場合に、前記操舵アクチュエータが発生させるアシスト力の補正量であるアシスト補正量、又は、前記操舵アクチュエータが発生させるダンピング力の補正量であるダンピング補正量を一定とし、前記操舵仕事率の絶対値が前記所定仕事率より大きい場合に、前記アシスト補正量、又は、前記ダンピング補正量を、前記操舵仕事率の絶対値の増加に伴って変化させる、
    請求項乃至請求項のいずれか1項に記載の運転支援装置。
  5. 前記支援装置は、前記車両を走行させる動力を発生させる動力源を自動で始動及び停止することで運転支援を行う動作部を含んで構成され、
    前記制御装置は、前記操舵仕事率が前記基準値以上である場合に、前記動力源を始動する運転支援を行い、前記操舵仕事率が前記基準値より小さい場合に、前記動力源を始動する運転支援を行わない、
    請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の運転支援装置。
  6. 前記制御装置は、前記操舵角検出装置が検出した操舵角に関するパラメータと前記トルク検出装置が検出したトルクに関するパラメータとの積に応じた操舵仕事量に基づいて、前記支援装置による前記運転支援の内容を変更する、
    請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の運転支援装置。
  7. 前記操舵仕事率の振幅は、前記操舵仕事率の最大値と最小値との差分、前記操舵仕事率の最大値の絶対値、又は、前記操舵仕事率の最小値の絶対値に基づいて算出される、
    請求項に記載の運転支援装置。
  8. 前記制御装置は、前記操舵仕事率が前記基準値以上である場合に前記操舵部材に対する能動操作に対応する運転支援とし、前記操舵仕事率が前記基準値より小さい場合に前記操舵部材に対する受動操作に対応する運転支援とする、
    請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の運転支援装置。
  9. 車両の操舵部材の操舵角を検出する操舵角検出装置と、
    前記操舵部材と共に回転する操舵軸部に作用するトルクを検出するトルク検出装置と、
    前記操舵角検出装置が検出した操舵角に応じた操舵角度と前記トルク検出装置が検出したトルクとの積と前記操舵角検出装置が検出した操舵角度と前記トルク検出装置が検出したトルクに応じたトルク微分値との積との和に基づいた操舵仕事率に基づいて、前記操舵部材に対する能動操作と前記操舵部材に対する受動操作とを判定する判定装置とを備えることを特徴とする、
    操作検出装置。
  10. 前記能動操作は、運転者が前記車両を目標位置に移動させようとする操舵操作を含み、
    前記受動操作は、運転者が外乱に対して前記車両を目標位置に維持しようとする操舵操作、手放し操作、又は、保舵操作を含む、
    請求項に記載の操作検出装置。
  11. 前記判定装置は、前記操舵仕事率の振幅が予め定められた振幅閾値以上である期間が、予め設定された所定期間以上継続した場合に、外乱に対する修正操舵を判定する、
    請求項に記載の操作検出装置。
  12. 前記判定装置は、前記操舵角検出装置が検出した操舵角に関するパラメータと前記トルク検出装置が検出したトルクに関するパラメータとの積に応じた操舵仕事量に基づいて、前記能動操作と前記受動操作とを判定する、
    請求項乃至請求項11のいずれか1項に記載の操作検出装置。
  13. 前記操舵仕事量は、前記操舵角検出装置が検出した操舵角に関するパラメータとして前記車両のヨーレートに応じて算出される操舵角と前記トルク検出装置が検出したトルクとの積に基づいて算出され、
    前記判定装置は、前記操舵仕事量に基づいて、前記能動操作と前記受動操作とを判定する、
    請求項12に記載の操作検出装置。
  14. 前記操舵仕事量は、前記操舵角検出装置が検出した操舵角に関するパラメータとして、前記操舵角検出装置が検出した操舵角と前記車両の直進走行時の操舵角との差分に応じた操舵角、又は、前記操舵角検出装置が検出した操舵角と前記車両のヨーレートに応じて算出される操舵角との差分に応じた操舵角と、前記トルク検出装置が検出したトルクとの積に基づいて算出され、
    前記判定装置は、前記操舵仕事量に基づいて、外乱に対する修正操舵を判定する、
    請求項12に記載の操作検出装置。
  15. 車両の操舵部材の操舵角を検出する操舵角検出装置と、
    前記操舵部材と共に回転する操舵軸部に作用するトルクを検出するトルク検出装置と、
    前記操舵角検出装置が検出した操舵角に関するパラメータと前記トルク検出装置が検出したトルクに関するパラメータとの積に応じた操舵仕事率の振幅に基づいて、外乱に対する修正操舵を判定する判定装置とを備えることを特徴とする、
    操作検出装置。
  16. 車両に搭載され、当該車両で運転支援を実行可能である支援装置を制御する制御装置であって、
    前記支援装置は、前記操舵部材への操舵操作に応じて動作する操舵アクチュエータを含んで構成され、
    前記車両の操舵部材の操舵角に応じた操舵角度と前記操舵部材と共に回転する操舵軸部に作用するトルクとの積と前記操舵部材の操舵角度と前記操舵部材に作用するトルクに応じたトルク微分値との積との和に基づいた操舵仕事率が予め設定される基準値以上である場合、前記操舵アクチュエータを制御し、前記操舵仕事率が前記基準値より小さい場合と比較して、前記操舵アクチュエータが発生させるダンピング力を小さくすることを特徴とする、
    制御装置。
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