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JP5915680B2 - 操舵制御装置 - Google Patents

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JP5915680B2
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Description

本発明は、操舵装置における操舵制御に運転者の操舵操作による意思を反映させる操舵制御装置に関する。
下記の特許文献1には、操舵角の時間微分値(操舵角速度)と操舵トルクとの積を積算した仕事量に応じて運転者によるステアリングホイールに対する操作状態(操舵状態であるのか、手放し状態であるのか、保舵状態であるのか等)を検出し、その検出結果を用いて操舵制御を行う、という技術が開示されている。
特開2004−175122号公報
ところで、上記特許文献1の技術は、そのような操舵制御によって、この操舵制御に運転者の操舵操作による意思を反映させているが、車両の操舵特性に関して十分に考慮されていない。このため、この技術では、運転者が車両の操舵特性に応じた操舵感を得ることができず、操舵制御に運転者の意思が十分に反映されない可能性がある。
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、運転者の意思が反映された操舵制御の実施が可能な操舵制御装置を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、本発明は、運転者によるステアリングホイールの操舵操作時の操舵角を検出する操舵角検出部と、前記操舵角検出部により検出された前記操舵角を車両の操舵特性に応じて非線形補正した補正操舵角を算出する補正操舵角算出部と、前記操舵操作時における操舵角速度と操舵トルクとの積を第1操舵パラメータとして算出する第1操舵パラメータ算出部と、前記補正操舵角と前記操舵操作時の前記操舵トルクの時間微分値との積を第2操舵パラメータとして算出する第2操舵パラメータ算出部と、前記第1操舵パラメータと前記第2操舵パラメータとに基づいて、運転者の前記ステアリングホイールに対する操舵形態が表された操舵仕事率を算出する操舵仕事率算出部と、前記操舵仕事率に基づいて操舵装置のアクチュエータの目標制御量を算出する制御量算出部と、を備えることを特徴としている。
ここで、前記補正操舵角算出部は、検出された前記操舵角の絶対値が第1角度よりも大きい場合、該操舵角の絶対値が当該第1角度以下の場合と比較して、前記操舵角の時間当りの変化量に対する前記補正操舵角の時間当りの変化量を小さくすることが望ましい。
また、前記補正操舵角算出部は、検出された前記操舵角の絶対値が第1角度よりも大きい場合、前記補正操舵角を前記第1角度における補正操舵角のまま一定にすることが望ましい。
その補正操舵角算出部は、検出された前記操舵角の絶対値が前記第1角度よりも小さい第2角度以下の場合、該第2角度よりも大きくかつ当該第1角度以下の場合と比較して、前記操舵角の時間当りの変化量に対する前記補正操舵角の時間当りの変化量を小さくすることが望ましい。
また、前記補正操舵角算出部は、前記操舵角に対する転舵輪の転舵角の変化特性又は当該操舵角に対する転舵輪への転舵力の変化特性を考慮に入れて、前記補正操舵角を算出することが望ましい。
本発明に係る操舵制御装置は、操舵仕事率に基づいて操舵装置のアクチュエータの目標制御量を算出するので、運転者の操舵操作による意思が反映された制御を実施することができる。更に、この操舵制御装置は、車両の操舵特性に応じて非線形補正された補正操舵角を用いて操舵仕事率を算出するので、その車両の操舵特性に対して違和感の少ない操舵感を得ることができる。つまり、この操舵制御装置は、車両の操舵特性に応じて非線形補正された補正操舵角を用いて操舵仕事率を求め、この操舵仕事率を用いてアクチュエータの目標制御量を求めるので、その車両の操舵特性に対して違和感の少ない操舵感を運転者に与えることができ、運転者の操舵操作による意思が反映されたアクチュエータによる制御を安定して実施することができる。
図1は、本発明に係る操舵制御装置が適用される操舵装置の一例を示す図である。 図2は、操舵ECUの演算処理について説明する図である。 図3は、操舵角と補正操舵角の対応関係マップの一例を示す図である。 図4は、操舵角と補正操舵角の対応関係マップの一例を示す図である。 図5は、操舵角と補正操舵角の対応関係マップの一例を示す図である。 図6は、操舵角と補正操舵角の対応関係マップの一例を示す図である。 図7は、転舵特性パラメータと特性可変ゲインの対応関係マップの一例を示す図である。
以下に、本発明に係る操舵制御装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
[実施例]
本発明に係る操舵制御装置の実施例を図1から図4に基づいて説明する。
本実施例の操舵制御装置は、後述する操舵制御に関わる演算処理を行う電子制御装置(以下、「操舵ECU」という。)1を備える(図1)。
その操舵ECU1の制御対象である操舵装置10について転舵装置20と共に説明する。
操舵装置10は、ステアリングホイール11と、このステアリングホイール11に連結された回転軸(以下、「ステアリングシャフト」という。)12と、を備えており、そのステアリングシャフト12の回転トルクを転舵装置20に伝える。
その転舵装置20は、運転者によるステアリングホイール11の操舵角θsに応じた転舵角で転舵輪Wを転舵させる。この転舵装置20は、操舵装置10から伝えられた回転トルクを転舵力(軸力)に変換するギヤ機構21を備える。例えば、そのギヤ機構21は、図示しないラックギヤやピニオンギヤによる所謂ラック&ピニオン機構である。このギヤ機構21は、左右それぞれのタイロッド22を介して転舵力を転舵輪Wに伝えることで、この転舵輪Wを転舵させる。
本実施例の操舵装置10は、運転者の操舵操作を支援する電動パワーステアリング(EPS:Electronic Power Steering)装置として構成されている。例えば、この操舵装置10では、その支援に関わる操舵制御としてアシスト制御やダンピング制御等が実施される。そのアシスト制御やダンピング制御は、操舵支援部13の発生するトルクによって実施する。
その操舵支援部13は、操舵装置10のアクチュエータとして設けられたものであり、電動機13aと減速機13bとを備える。減速機13bは、例えば2つの歯車からなり、一方の歯車が同心のステアリングシャフト12に固定され、他方の歯車が電動機13aの出力軸に固定されている。この操舵支援部13は、減速機13bを介して電動機13aの出力トルクをステアリングシャフト12に伝達することで、このステアリングシャフト12にトルクを発生させる。その電動機13aは、その動作が操舵ECU1の支援制御部によって制御される。
アシスト制御とは、運転者の操舵方向(ステアリングシャフト12の回転方向)と同じ向きの操舵アシストトルクをステアリングシャフト12に作用させることによって、運転者によるステアリングホイール11の操作力を軽減させる制御である。
ここで、転舵状態の転舵輪Wには、中立位置(転舵角0)に戻そうとする力(セルフアライニングトルクによる復元力や路面反力等)が作用している。そして、その力は、操舵操作時のステアリングホイール11を押し戻す方向の力として作用する。このため、操舵アシストトルクを作用させるだけでは、ステアリングホイール11の戻し操作時に戻され感が強くなり、ステアリングホイール11の収斂性(ステアリングホイール11を中立位置へと収束させる性質)が低下してしまう可能性がある。このため、この操舵装置10は、アシスト制御と共にダンピング制御を実施する。
ダンピング制御とは、操舵装置10の粘性特性に対応した減衰を模擬するダンピング力を発生させ、そのダンピング力でステアリングホイール11の操舵角速度θs’を抑制させる制御である。つまり、このダンピング制御とは、そのようなダンピング力を発生させることで、ステアリングホイール11の収斂性の確保や操舵操作時の手応え感(戻され感)の付与を図るものである。
操舵ECU1は、アシスト量算出部とダンピング量算出部と制御量算出部とを備える。
アシスト量算出部は、アシスト制御における基本アシスト制御量を算出する。その基本アシスト制御量とは、操舵アシストトルクの基準値のことであり、操舵操作時のステアリングホイール11に対する操舵トルクTsと車速Vとに基づいて算出される。その操舵トルクTsは、トルク検出部31で検出する。トルク検出部31は、ステアリングシャフト12上に配置された例えばレゾルバセンサ等であり、トルクの大きさと共にステアリングホイール11の中立位置に対するトルクの向きも検出することができる。また、車速Vは、車速検出部32で検出する。車速検出部32には、例えば、動力伝達装置(図示略)における変速機の出力軸の回転を検出する回転センサ、車輪速度を検出する車輪速センサ等を利用する。
ダンピング量算出部は、基本アシスト制御量を補正するためのダンピング制御におけるダンピング補償量Tωを算出する。そのダンピング補償量Tωとは、ダンピング力の目標値に応じた目標減衰トルクのことであり、操舵操作時の操舵角速度θs’と車速Vとに基づいて算出される。その操舵角速度θs’は、操舵角検出部33で検出された操舵操作時の操舵角θsの時間微分値である。操舵角検出部33は、ステアリングシャフト12の回転角を操舵角θsとして検出する角度センサであり、角度と共にステアリングホイール11の中立位置に対する操舵方向も検出することができる。尚、操舵角速度θs’は、操舵角速度検出部で検出してもよい。具体的に、ダンピング量算出部は、操舵操作時の操舵角速度θsが大きいほど当該操舵角速度θsの抑制が可能な(つまりステアリングホイール11の回転を妨げることが可能な)ダンピング補償量Tωを算出する(図2)。
制御量算出部は、基本アシスト制御量とダンピング補償量Tωの和を算出し、この和をステアリングシャフト12に発生させるトルクの目標制御量とする。その目標制御量とは、ステアリングシャフト12に発生させる目標支援トルク(=操舵アシストトルクの基準値+目標減衰トルク)のことであり、基本アシスト制御量がダンピング補償量Tωで補正されたものである。
支援制御部は、その目標制御量に基づいて電動機13aを制御し、ステアリングシャフト12に目標支援トルクを発生させることで、アシスト制御とダンピング制御とを実施する。これにより、この操舵装置10においては、運転者がステアリングホイール11を速く回転させようとするほど、また、セルフアライニングトルク等によって転舵輪Wが速く中立位置に戻ろうとするほど(ステアリングホイール11が速く中立位置に戻ろうとするほど)、その動きが抑制されるので、ステアリングホイール11の収斂性が向上する。
ところで、運転者の操舵操作は、能動操舵と受動操舵の2つの形態に大別することができる。その能動操舵とは、運転者が意図して積極的(能動的)に行う操舵形態のことである。また、受動操舵とは、能動操舵以外の操舵形態のことである。具体的には、セルフアライニングトルクによる復元力等のステアリングホイール11への伝達に応じて運転者が行う操舵形態のことである。つまり、受動操舵とは、旋回中(旋回半径は不変)の操舵角θsを一定に保持するために行われる保舵のための操舵形態といえる。また、受動操舵には、その復元力等が伝わっていない状態でのステアリングホイール11の中立位置での保舵形態も含んでいる。
この例示では、その運転者の操舵形態に応じてダンピング補償量Tωを調整することで、運転者の操舵操作による意思が反映されたダンピング制御を実施する。例えば、能動操舵の場合には、受動操舵の場合と比較して、ダンピング補償量Tωを小さくし、ダンピング力を小さくする。
その運転者の操舵形態は、操舵ECU1の操舵形態判定部に判別させる。その操舵形態判定部は、操舵操作の仕事率に関わる値(以下、「操舵仕事率」という。)Pに基づいて判定を行う。
その操舵仕事率Pとは、運転者のステアリングホイール11に対する操舵形態が表されたものである。この操舵仕事率Pは、第1操舵パラメータP1と第2操舵パラメータP2とに基づいて算出する。具体的には、図2及び下記の式1に示すように、第1車速ゲインPv1及び第1操舵パラメータP1の積と第2車速ゲインPv2及び第2操舵パラメータP2の積との和を操舵仕事率Pとして算出する。
P=Pv1*P1+Pv2*P2 … (1)
第1車速ゲインPv1と第2車速ゲインPv2は、共に車速Vに応じたゲインである。この例示の第1車速ゲインPv1と第2車速ゲインPv2は、車速Vが高くなるほど大きくなる。図2の例示では、車速Vと第1車速ゲインPv1又は第2車速ゲインPv2とを線形性をもって変化させている。
第1操舵パラメータP1とは、操舵操作時における操舵角速度θs’と操舵トルクTsの積である(式2)。この第1操舵パラメータP1は、操舵ECU1の第1操舵パラメータ算出部(図2に示す第1乗算器1a)に算出させる。第2操舵パラメータP2とは、操舵操作時の操舵角θsを非線形補正した補正操舵角θsrと操舵操作時の操舵トルクTsの時間微分値(以下、「操舵トルク微分値」という。)Ts’との積である(式3)。この第2操舵パラメータP2は、操舵ECU1の第2操舵パラメータ算出部(図2に示す第2乗算器1b)に算出させる。尚、図2に示す符号1cは、その第1操舵パラメータP1と第1車速ゲインPv1との積を求める第3乗算器である。また、符号1dは、その第2操舵パラメータP2と第2車速ゲインPv2との積を求める第4乗算器である。
P1=θs’*Ts … (2)
P2=θsr*Ts’ … (3)
操舵仕事率Pは、その第3乗算器1cの求めた積と第4乗算器1dの求めた積とを操舵ECU1の操舵仕事率算出部(第1加算器1e)に加算させることによって求める。
操舵形態判定部は、例えば、操舵仕事率Pが第1閾値(<0)以下のときに受動操舵であると判定し、操舵仕事率Pが第2閾値(>0)以上のときに能動操舵であると判定する。また、操舵形態判定部は、例えば、操舵仕事率Pが第1閾値より大きくかつ0より小さいときにも、受動操舵であると判定してもよい。また、操舵形態判定部は、例えば、操舵仕事率Pが0より大きくかつ第2閾値より小さいときにも、能動操舵であると判定してもよい。
操舵ECU1には、更に、第2加算器1fと第5乗算器1gとを設けている。第2加算器1fは、1と操舵仕事率Pとを加算し、これを第5乗算器1gに送る。第5乗算器1gは、その第2加算器1fにおける和とダンピング量算出部が求めたダンピング補償量Tωとを乗算することで、そのダンピング補償量Tωを運転者の操舵形態が反映された補正値Tωrに補正する。
ここで、補正操舵角θsrについて説明する。
補正操舵角θsrは、操舵ECU1の補正操舵角算出部に算出させる。この補正操舵角θsrは、検出された操舵角θsの時間当りの変化量に対する転舵輪Wの転舵力(軸力)の時間当りの変化量(つまり車両の操舵特性)に基づいて、その操舵角θsを非線形補正したものである。補正操舵角算出部は、例えば車両の操舵特性に応じた非線形の補正量(補正係数や補正値)を用いて、検出された操舵角θsの非線形補正を行う。
図3は、操舵角θsと補正操舵角θsrとの対応関係の一例を示したマップである。この対応関係は、検出された操舵角θsの絶対値が第1角度θ1(>0)よりも大きい場合に、操舵角θsの時間当りの変化量に対して転舵輪Wの転舵力(軸力)の時間当りの変化量が小さくなる車両に適用されるものである。そのような車両とは、例えば、ステアリングホイール11の操舵終端付近で転舵力(軸力)が低下するサスペンション特性を有するものである。この種の車両では、その操舵終端付近で戻され感が発生しにくい。このため、この車両では、検出された操舵角θsをそのまま用いて操舵仕事率Pを算出すると、ダンピング補償量の補正値Tωrを操舵角θsの増加に合わせて線形比例で増加させることになるので、ダンピング制御が操舵終端付近で過減衰になり、過度の戻され感に運転者が違和感を覚える可能性がある。更に、第2操舵パラメータP2を成す操舵トルク微分値Ts’は、操舵角θsと比べて制御の安定性に対する感度が高い。このため、検出された操舵角θsをそのまま用いて操舵仕事率Pを算出した場合には、ダンピング補償量の補正値Tωrが過度に増加することになるので、ダンピング制御の安定性を低下させてしまう可能性がある。
そこで、ここでの補正量は、検出された操舵角θsの絶対値が第1角度θ1よりも大きい場合、その絶対値が第1角度θ1以下の場合と比較して、操舵角θsの時間当りの変化量に対する補正操舵角θsrの時間当りの変化量が小さくなるように設定する。また、この補正量は、その絶対値が0以上でかつ第1角度θ1以下の場合、操舵角θsの時間当りの変化量と補正操舵角θsrの時間当りの変化量とが同じになるように設定する。尚、操舵角θsの絶対値が0以上でかつ第1角度θ1以下の場合には、それぞれの時間当りの変化量が必ずしも同じである必要はない。
よって、補正操舵角算出部は、検出された操舵角θsに応じた補正操舵角θsrを図3の対応関係マップから算出する。具体的に、補正操舵角算出部は、操舵角θsが第1角度θ1よりも大きい場合(θs>θ1)、又は、操舵角θsが第1角度θ1*(−1)よりも小さい場合(θs<−θ1)、検出された操舵角θsの時間当りの変化量に対して時間当りの変化量が小さい補正操舵角θsrを算出する。また、この補正操舵角算出部は、操舵角θsが第1角度θ1*(−1)以下でかつ第1角度θ1以上の場合(−θ1≦θs≦θ1)、検出された操舵角θsをそのまま補正操舵角θsrとして算出する。第2操舵パラメータ算出部は、その補正操舵角θsrに操舵トルク微分値Ts’を乗算して、第2操舵パラメータP2を求める。
制御量算出部は、その補正操舵角θsrが考慮されたダンピング補償量の補正値Tωrと基本アシスト制御量の和を算出し、この和をステアリングシャフト12に発生させるトルクの目標制御量とする。そして、支援制御部は、その目標制御量に基づいて電動機13aを制御し、ステアリングシャフト12に目標支援トルクを発生させることで、アシスト制御とダンピング制御とを実施する。
このように、本実施例の操舵制御装置は、ダンピング補償量の補正値Tωrを算出する際に操舵仕事率Pを考慮しているので、運転者の操舵操作による意思が反映されたダンピング制御が実施される。
更に、この操舵制御装置は、操舵操作時の操舵角θsの絶対値が第1角度θ1よりも大きい場合に、その操舵角θsの時間当りの変化量に対するダンピング補償量の補正値Tωrの時間当りの変化量を小さく抑え、この補正値Tωrの過度の増加を抑えることができるので、例えば操舵終端付近でダンピング制御においての過減衰が抑制され、車両の操舵特性に沿った違和感の少ない戻され感を運転者に与えることができる。また更に、この操舵制御装置は、操舵操作時の操舵角θsの絶対値が第1角度θ1よりも大きい場合に、操舵角θsに対して時間当りの変化量の小さい補正操舵角θsrと感度の高い操舵トルク微分値Ts’との積に基づいてダンピング補償量の補正値Tωrを求めるので、検出された操舵角θsを用いて補正値Tωrが求められたときと比較して、その感度の高い操舵トルク微分値Ts’の影響を操舵仕事率Pの値に反映しやすくなり、違和感の少ない操舵感を得つつ、ダンピング制御の安定性を向上させることができる。
一方、この操舵制御装置は、検出された操舵角θsの絶対値が第1角度θ1以下の場合、その絶対値が第1角度θ1よりも大きい場合と比較して、その操舵角θsに応じた大きさのダンピング補償量の補正値Tωrになるので、車両の操舵特性に沿った十分な戻され感を運転者に与えることができる。
よって、この操舵制御装置は、車両の操舵特性に応じて非線形補正された補正操舵角θsrを用いて操舵仕事率Pを求め、この操舵仕事率Pを用いてダンピング補償量の補正値Tωrを求めるので、あらゆる操舵角θsの領域において、車両の操舵特性に対して違和感の少ない操舵感を運転者に与えることができ、運転者の操舵操作による意思が反映されたダンピング制御を安定して実施することができる。
ここで、図3の例示では、操舵操作時の操舵角θsの絶対値が第1角度θ1よりも大きい場合に、その絶対値が第1角度θ1以下の場合と比較して、操舵角θsの時間当りの変化量に対する補正操舵角θsrの時間当りの変化量を小さくしている。図4の操舵角θsと補正操舵角θsrとの対応関係マップは、その図3の例示の別の形態を表したものであり、同様の車両に適用される。
図4の対応関係マップにおける補正量は、検出された操舵角θsの絶対値が第1角度θ1よりも大きい場合、補正操舵角θsrがその第1角度θ1における補正操舵角θsrのまま一定になるように設定する。よって、補正操舵角算出部は、操舵角θsが第1角度θ1よりも大きい場合(θs>θ1)、又は、操舵角θsが第1角度θ1*(−1)よりも小さい場合(θs<−θ1)、その第1角度θ1における補正操舵角θsrを、この場合の補正操舵角θsrとして算出する。つまり、この補正量においては、操舵角θsが第1角度θ1よりも大きい場合(θs>θ1)の上限ガード値と、操舵角θsが第1角度θ1*(−1)よりも小さい場合(θs<−θ1)の下限ガード値と、が設定されている。尚、操舵角θsの絶対値が0以上でかつ第1角度θ1以下の場合には、上記の例示と同じように補正量を設定すればよい。この図4の例示では、図3と同じように設定している。
支援制御部は、その補正操舵角θsrが考慮されたダンピング補償量の補正値Tωrに基づく目標制御量でアシスト制御とダンピング制御とを実施する。
この場合でも、本実施例の操舵制御装置は、ダンピング補償量の補正値Tωrを算出する際に操舵仕事率Pを考慮しているので、運転者の操舵操作による意思が反映されたダンピング制御が実施される。
また、この操舵制御装置は、操舵操作時の操舵角θsの絶対値が第1角度θ1よりも大きい場合に、上限ガード値又は下限ガード値によってダンピング補償量の補正値Tωrの過度の増加を抑えることができるので、例えば操舵終端付近でダンピング制御においての過減衰が抑制され、車両の操舵特性に沿った違和感の少ない戻され感を運転者に与えることができる。更に、この操舵制御装置は、操舵操作時の操舵角θsの絶対値が第1角度θ1よりも大きい場合に、上限ガード値又は下限ガード値で制限された補正操舵角θsrと感度の高い操舵トルク微分値Ts’との積に基づいてダンピング補償量の補正値Tωrを求めるので、検出された操舵角θsを用いて補正値Tωrが求められたときと比較して、その感度の高い操舵トルク微分値Ts’の影響を操舵仕事率Pの値に反映しやすくなり、違和感の少ない操舵感を得つつ、ダンピング制御の安定性を向上させることができる。
一方、この操舵制御装置は、検出された操舵角θsの絶対値が第1角度θ1以下の場合、その絶対値が第1角度θ1よりも大きい場合と比較して、その操舵角θsに応じた大きさのダンピング補償量の補正値Tωrになるので、車両の操舵特性に沿った十分な戻され感を運転者に与えることができる。
よって、この操舵制御装置は、車両の操舵特性に応じて非線形補正された補正操舵角θsrを用いて操舵仕事率Pを求め、この操舵仕事率Pを用いてダンピング補償量の補正値Tωrを求めるので、あらゆる操舵角θsの領域において、車両の操舵特性に対して違和感の少ない操舵感を運転者に与えることができ、運転者の操舵操作による意思が反映されたダンピング制御を安定して実施することができる。
ここで、その上限ガード値又は下限ガード値で制限される操舵角θsの範囲(つまり第1角度θ1)は、操舵トルク微分値Ts’の伝達特性を考慮に入れて決めることが望ましい。
[変形例1]
車両においては、操舵角θs=0(ステアリングホイール11の中立位置)の付近の領域で、セルフアライニングトルクによる復元力よりも操舵装置10や転舵装置20における摺動抵抗等の摩擦抵抗の方が大きくなっているので、その領域よりも大きな操舵角θsの場合と比べて、ステアリングホイール11に戻され感が発生しにくくなっている。その戻され感の発生しにくさは、操舵角θs=0に近いほど大きなものとなる。このため、例えば、その領域で検出された操舵角θsをそのまま補正操舵角θsrにしてダンピング補償量の補正値Tωrが算出された場合には、過度に大きな補正値Tωrによってダンピング制御が過減衰になり、過度の戻され感に運転者が違和感を覚える可能性がある。よって、この場合には、その領域と残りの操舵角θsの領域との間における運転者の戻され感の感じ方にずれが生じ、ダンピング制御の安定性が低下してしまう可能性がある。
そこで、本変形例の操舵制御装置は、実施例の操舵制御装置において、その戻され感の発生しにくい領域(操舵角θs=0の付近の領域)での操舵感が運転者に違和感を覚えさせないものとなるように構成する。
具体的には、図5の対応関係マップに示す操舵角θsと補正操舵角θsrとの対応関係となるように補正量を決める。その補正量は、検出された操舵角θsの絶対値が第1角度θ1よりも大きい場合、実施例の補正量と同じように設定する。また、この補正量は、戻され感の発生しにくい領域の場合(検出された操舵角θsの絶対値が第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2以下の場合)、その第2角度θ2よりも大きくかつ第1角度θ1以下の場合と比較して、操舵角θsの時間当りの変化量に対する補正操舵角θsrの時間当りの変化量が小さくなるように設定する。この場合の補正量は、操舵角θs=0に近いほど、補正操舵角θsrの時間当りの変化量を小さくすることが望ましい。また、その絶対値が第2角度θ2よりも大きくかつ第1角度θ1以下の場合には、操舵角θsの時間当りの変化量と補正操舵角θsrの時間当りの変化量とが同じになるように設定する。尚、この場合には、それぞれの時間当りの変化量が必ずしも同じである必要はない。
支援制御部は、その補正操舵角θsrが考慮されたダンピング補償量の補正値Tωrに基づく目標制御量でアシスト制御とダンピング制御とを実施する。
本変形例においても、この操舵制御装置は、ダンピング補償量の補正値Tωrを算出する際に操舵仕事率Pを考慮しているので、運転者の操舵操作による意思が反映されたダンピング制御が実施される。
また、この操舵制御装置は、操舵操作時の操舵角θsの絶対値が第2角度θ2よりも大きくかつ第1角度θ1以下の場合、実施例における操舵角θsの絶対値が第1角度θ1以下の場合と同様の効果を得ることができる。また、この操舵制御装置は、その絶対値が第1角度θ1より大きい場合にも、実施例における操舵角θsの絶対値が第1角度θ1よりも大きい場合と同様の効果を得ることができる。
更に、この操舵制御装置は、その絶対値が第2角度θ2以下の場合にも、その絶対値が第1角度θ1よりも大きい場合と同じように、操舵角θsの時間当りの変化量に対するダンピング補償量の補正値Tωrの時間当りの変化量を小さく抑え、この補正値Tωrの過度の増加を抑えることができる。このため、この操舵制御装置は、操舵角θsの絶対値が第2角度θ2以下の場合、ダンピング制御における過減衰が抑制されるので、車両の操舵特性に沿った違和感の少ない戻され感を運転者に与えることができる。特に、この操舵制御装置では、操舵角θs=0に近いほど操舵角θsの時間当りの変化量に対する補正操舵角θsrの時間当りの変化量を小さくすることによって、操舵角θs=0に近いほどダンピング制御による戻され感の発生が抑制されるので、より運転者にとって違和感の少ない操舵感を付与することができる。
よって、この操舵制御装置は、車両の操舵特性に応じて非線形補正された補正操舵角θsrを用いて操舵仕事率Pを求め、この操舵仕事率Pを用いてダンピング補償量の補正値Tωrを求めるので、あらゆる操舵角θsの領域において、車両の操舵特性に対して違和感の少ない操舵感を運転者に与えることができ、運転者の操舵操作による意思が反映されたダンピング制御を安定して実施することができる。
ここで、本変形例の補正量は、図6の対応関係マップに示すように、時間当りの変化量の切り替え前後(第1角度θ1の前後と第1角度θ1*(−1)の前後と第2角度θ2の前後と第2角度θ2*(−1)の前後)において、操舵角θsの時間当りの変化量に対する補正操舵角θsrの時間当りの変化量を徐々に切り替えさせるものであることが望ましい。これにより、この操舵制御装置は、図5のように時間当りの変化量が急に切り替わるものと比べて、その前後で戻され感を徐々に変えていくので、より違和感の少ない操舵感を作り出すことができる。
[変形例2]
前述した実施例や変形例1の操舵制御装置においては、検出された操舵角θsの絶対値が第1角度θ1より大きい場合等に、操舵角θsの時間当りの変化量に対する補正操舵角θsrの時間当りの変化量を小さくしている。これは、その場合等に、操舵角θsの時間当りの変化量に対して転舵輪Wの転舵力の時間当りの変化量が小さくなる車両を適用対象にして説明をしたからである。しかしながら、車両には、操舵角θsの時間当りの変化量に対して転舵輪Wの転舵力の時間当りの変化量が大きくなるものも考えられる。また、車両によっては、ある操舵角θsの領域において、操舵角θsの時間当りの変化量に対する転舵輪Wの転舵力の時間当りの変化量が小さく、別の操舵角θsの領域において、操舵角θsの時間当りの変化量に対する転舵輪Wの転舵力の時間当りの変化量が大きくなるものも考えられる。
そこで、本変形例の補正操舵角算出部には、例えば、検出された操舵角θsの絶対値が第3角度θ3よりも大きくかつ第4角度θ4よりも小さい場合に、その操舵角θsの時間当りの変化量に対する転舵輪Wの転舵力の時間当りの変化量が大きくなるのであれば、その操舵角θsの時間当りの変化量に対する補正操舵角θsrの時間当りの変化量を大きくさせる。これにより、本変形例の操舵制御装置は、そのような特性を有する車両に対しても、実施例や変形例1の操舵制御装置と同じように、車両の操舵特性に応じて非線形補正された補正操舵角θsrを用いて操舵仕事率Pを求め、この操舵仕事率Pを用いてダンピング補償量の補正値Tωrを求めるので、あらゆる操舵角θsの領域において、車両の操舵特性に対して違和感の少ない操舵感を運転者に与えることができ、運転者の操舵操作による意思が反映されたダンピング制御を安定して実施することができる。
[変形例3]
車両によっては、ギヤ比可変ステアリング(VGRS:Variable Gear Ratio Steering)システム等の舵角可変装置を備えるものがある。その舵角可変装置とは、例えば車速V等に応じてステアリングギヤ比を変化させることで、操舵角θsに対する転舵角を車速V等に応じて調整するものである。
本変形例の操舵制御装置は、この種の車両に適用する場合、その操舵角θsに対する転舵角の変化特性を考慮に入れて、操舵角θsの時間当りの変化量に対する補正操舵角θsrの時間当りの変化量を調整する。例えば、本変形例の補正操舵角算出部は、舵角可変装置による制御を実施することで、舵角可変装置の制御介入前と比べて操舵角θsに対する転舵角が大きく設定される場合、その変化特性に応じて、先の実施例や変形例1,2で算出された補正操舵角θsrを調整し、この実施例等における補正操舵角θsrよりも大きな補正操舵角θsrを算出する。また、この補正操舵角算出部は、舵角可変装置の制御介入前と比べて操舵角θsに対する転舵角が小さく設定される場合、その変化特性に応じて、先の実施例や変形例1,2で算出された補正操舵角θsrを調整し、この実施例等における補正操舵角θsrよりも小さな補正操舵角θsrを算出する。
これにより、本変形例の操舵制御装置は、そのような操舵角θsに対する転舵角の変化特性を有する車両であっても、車両の操舵特性に応じて非線形補正され、かつ、その変化特性をも考慮に入れた補正操舵角θsrが算出されるので、あらゆる操舵角θsの領域で、車両の操舵特性や操舵角θsに対する転舵角の変化特性に対して違和感の少ない操舵感を運転者に与えることができ、運転者の操舵操作による意思が反映されたダンピング制御を安定して実施することができる。
更に、車両によっては、車両特性可変装置で車両特性を変化させることによって、操舵角θsに対する転舵力(軸力)の出力特性が動的に変化するものがある。その車両特性可変装置とは、例えば、後輪操舵(DRS:Dynamic Rear Steering)システム、サスペンション特性調整装置、車高調整装置等である。後輪操舵システムとは、前輪だけでなく後輪も転舵輪として用いるものであり、例えば後輪を転舵させるのか否かに応じて操舵角θsに対する前輪への転舵力(軸力)の出力特性を変化させる。サスペンション特性調整装置とは、キャンバー角やトー角等のサスペンション特性を自動的に調整するものであり、そのサスペンション特性に応じて操舵角θsに対する転舵力(軸力)の出力特性を変化させる。また、車高調整装置とは、いわゆるエアサスペンションのことであり、例えば車高に応じてキャンバー角等のサスペンション特性が変化する。このため、この車高調整装置は、サスペンション特性調整装置の一形態といえるものであり、車高に応じて操舵角θsに対する転舵力(軸力)の出力特性を変化させる。
本変形例の操舵制御装置は、この種の車両に適用する場合、車両特性可変装置の動作に伴うその操舵角θsに対する転舵力(軸力)の変化特性を考慮に入れて、操舵角θsの時間当りの変化量に対する補正操舵角θsrの時間当りの変化量を調整する。例えば、本変形例の補正操舵角算出部は、車用特性可変装置による制御を実施することで、車両特性可変装置の制御介入前と比べて操舵角θsに対する転舵力(軸力)が大きくなる場合、その変化特性に応じて、先の実施例や変形例1,2で算出された補正操舵角θsrを調整し、この実施例等における補正操舵角θsrよりも大きな補正操舵角θsrを算出する。また、この補正操舵角算出部は、車両特性可変装置の制御介入前と比べて操舵角θsに対する転舵力(軸力)が小さくなる場合、その変化特性に応じて、先の実施例や変形例1,2で算出された補正操舵角θsrを調整し、この実施例等における補正操舵角θsrよりも小さな補正操舵角θsrを算出する。
これにより、本変形例の操舵制御装置は、そのような車両特性の変化に伴い操舵角θsに対する転舵力(軸力)が変化する車両であっても、車両の操舵特性に応じて非線形補正され、かつ、その変化特性をも考慮に入れた補正操舵角θsrが算出されるので、あらゆる操舵角θsの領域で、車両の操舵特性や操舵角θsに対する転舵力(軸力)の変化特性に対して違和感の少ない操舵感を運転者に与えることができ、運転者の操舵操作による意思が反映されたダンピング制御を安定して実施することができる。
ここで、その舵角可変装置や車両特性可変装置は、操舵角θsに対する転舵輪Wの転舵特性(転舵角又は転舵力の特性)を変化させる転舵特性可変装置と言い換えることができる。
本変形例の補正操舵角算出部は、具体的に、転舵特性可変装置における転舵特性の変化に応じた特性可変ゲインに基づいて、操舵角θsの時間当りの変化量に対する補正操舵角θsrの時間当りの変化量を補正し、その補正後の操舵角θsと補正操舵角θsrとの対応関係に基づいて、検出された操舵角θsに応じた補正操舵角θsrを算出する。図7には、転舵特性パラメータ(転舵角又は転舵力)と特性可変ゲインとの対応関係のマップの概念図を示している。本図では、概念図であるため、その対応関係に線形性をもたせているが、非線形の対応関係であってもよい。
例えば、補正操舵角算出部は、操舵角θsを検出した際に、その操舵角θsに基づいた補正操舵角θsrを例えば図6の対応関係マップから算出する。一方、この補正操舵角算出部は、転舵特性パラメータを検出し、その転舵特性パラメータに応じた特性可変ゲインを対応関係マップから算出する。そして、この補正操舵角算出部は、その算出した補正操舵角θsrと特性可変ゲインとの積を求め、これを第2操舵パラメータP2の算出に用いる補正操舵角θsrとする。これにより、本変形例の操舵制御装置は、転舵特性可変装置における転舵特性の変化も考慮されることになるので、上記のような効果を得ることができる。
[変形例4]
前述した実施例や変形例1−3の操舵制御装置においては、操舵角θsの非線形補正値である補正操舵角θsrを用いて第2操舵パラメータP2の算出を行っている。本変形例の操舵制御装置では、転舵力(軸力)に基づいて推定操舵角θseを算出し、その推定操舵角θseと操舵トルク微分値Ts’との積を第2操舵パラメータP2とする(式4)。補正操舵角θsrには、転舵力(軸力)の変化の影響が反映されているからである。そして、そのような推定操舵角θseは、変形例1−3の補正操舵角θsrと同等のものとして算出できるからである。
P2=θse*Ts’ … (4)
その転舵力(軸力)は、検出又は推定したものを用いる。検出した転舵力で推定操舵角θseを算出する場合には、その転舵力の検出が可能な軸力センサ等の転舵力検出装置(図示略)を設ければよい。また、推定した転舵力で推定操舵角θseを算出する場合には、操舵ECU1に転舵力の推定が可能な転舵力推定部を設ける。
転舵力推定部は、例えば、ヨーレトセンサ(図示略)で検出した操舵操作時の車体のヨーレートに基づいて、その操舵操作時の転舵力を推定する。具体的には、ヨーレートから転舵力を推定するための車両モデルを予め設け、操舵操作時のヨーレートと車両モデルとに基づいて転舵力を算出する。
ここで、転舵力推定部は、操舵操作時における操舵トルクTsと操舵アシストトルクとの和に基づいて、その操舵操作時の転舵力を推定することも可能である。操舵トルクTsの検出精度は、ヨーレートの検出精度よりも高い。このため、その推定された転舵力は、ヨーレートに基づき推定された転舵力よりも信頼性が高く、かつ、精度も高い。よって、この場合には、この転舵力に基づき推定された推定操舵角θseの推定精度も高くなる。
更に、本変形例の操舵ECU1には、検出又は推定した転舵力に基づいて推定操舵角θseを算出する推定操舵角算出部を設ける。その推定操舵角算出部は、例えば、転舵力と操舵角θs(推定操舵角θse)との対応関係マップに基づいて推定操舵角θseを算出する。
尚、変形例3の舵角可変装置(転舵特性可変装置)が搭載されている車両の場合には、操舵角θsに対する転舵角の変化特性に応じた転舵力が検出又は推定される。また、変形例3の車両特性可変装置(転舵特性可変装置)が搭載されている車両の場合には、その車両特性可変装置の動作に伴う転舵力の変化分が含まれた状態の転舵力が検出又は推定される。
本変形例の操舵制御装置は、このように構成したとしても、実施例や変形例1−3の操舵制御装置と同様の効果を得ることができる。
ここで、本変形例の推定操舵角算出部には、操舵操作時のヨーレートと車両モデルとに基づいた算出値(転舵力とは別のもの)や操舵トルクTsと操舵アシストトルクとの和に基づいて、推定操舵角θseを算出してもよい。つまり、その算出値や和は転舵力との間で一意の関係を有するものといえるので、ここでは、転舵力を推定せずに推定操舵角θseを算出させてもよい。
[変形例5]
本変形例の操舵制御装置は、第1操舵パラメータP1を算出するに際して、その算出に用いる操舵トルクTsの使用範囲を、実際の操舵操作によって発生する操舵トルクTsの範囲内に制限したものである。
その実際の操舵トルクTsの範囲から外れた大トルクの領域では、算出された操舵仕事率Pにおいて受動操舵に関わる成分が足りなくなり、ダンピング制御における減衰量(ダンピング補償量の補正値Tωr)が確保されにくくなる。本変形例の操舵制御装置は、その領域の操舵トルクTsを除外しており、そのような不都合の発生を抑えることができるので、ダンピング制御の安定性を向上させることができる。
尚、第1操舵パラメータP1を算出する際には、その算出に用いる操舵角速度θs’の使用範囲を、実際の操舵操作によって発生する操舵角速度θs’の範囲内に制限することも可能である。
[変形例6]
本変形例の操舵制御装置は、第2操舵パラメータP2を算出するに際して、その算出に用いる操舵トルク微分値Ts’の使用範囲を、実際の操舵操作によって発生する操舵トルク微分値Ts’の範囲内に制限したものである。
その実際の範囲から外れた操舵トルク微分値Ts’を用いた場合には、切り返し操舵操作の際にダンピング制御における減衰量が不連続な制御量となり、運転者に違和感を覚えさせる可能性がある。本変形例の操舵制御装置は、その範囲の操舵トルク微分値Ts’を除外しており、そのような不都合の発生を抑えることができるので、ダンピング制御の安定性を向上させることができる。
1 操舵ECU
10 操舵装置
11 ステアリングホイール
12 ステアリングシャフト
13 操舵支援部
20 転舵装置
31 トルク検出部
33 操舵角検出部
W 転舵輪

Claims (5)

  1. 運転者によるステアリングホイールの操舵操作時の操舵角を検出する操舵角検出部と、
    前記操舵角検出部により検出された前記操舵角を車両の操舵特性に応じて非線形補正した補正操舵角を算出する補正操舵角算出部と、
    前記操舵操作時における操舵角速度と操舵トルクとの積を第1操舵パラメータとして算出する第1操舵パラメータ算出部と、
    前記補正操舵角と前記操舵操作時の前記操舵トルクの時間微分値との積を第2操舵パラメータとして算出する第2操舵パラメータ算出部と、
    前記第1操舵パラメータと前記第2操舵パラメータとに基づいて、運転者の前記ステアリングホイールに対する操舵形態が表された操舵仕事率を算出する操舵仕事率算出部と、
    前記操舵仕事率に基づいて操舵装置のアクチュエータの目標制御量を算出する制御量算出部と、
    を備えることを特徴とした操舵制御装置。
  2. 前記補正操舵角算出部は、検出された前記操舵角の絶対値が第1角度よりも大きい場合、該操舵角の絶対値が当該第1角度以下の場合と比較して、前記操舵角の時間当りの変化量に対する前記補正操舵角の時間当りの変化量を小さくすることを特徴とした請求項1に記載の操舵制御装置。
  3. 前記補正操舵角算出部は、検出された前記操舵角の絶対値が第1角度よりも大きい場合、前記補正操舵角を前記第1角度における補正操舵角のまま一定にすることを特徴とした請求項1記載の操舵制御装置。
  4. 前記補正操舵角算出部は、検出された前記操舵角の絶対値が前記第1角度よりも小さい第2角度以下の場合、該第2角度よりも大きくかつ当該第1角度以下の場合と比較して、前記操舵角の時間当りの変化量に対する前記補正操舵角の時間当りの変化量を小さくすることを特徴とした請求項2又は3に記載の操舵制御装置。
  5. 前記補正操舵角算出部は、前記操舵角に対する転舵輪の転舵角の変化特性又は当該操舵角に対する転舵輪への転舵力の変化特性を考慮に入れて、前記補正操舵角を算出することを特徴とした請求項1から4の内の何れか1つに記載の操舵制御装置。
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