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JP2007223218A - 積層成形体の成形方法並びに成形金型 - Google Patents

積層成形体の成形方法並びに成形金型 Download PDF

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JP2007223218A
JP2007223218A JP2006048869A JP2006048869A JP2007223218A JP 2007223218 A JP2007223218 A JP 2007223218A JP 2006048869 A JP2006048869 A JP 2006048869A JP 2006048869 A JP2006048869 A JP 2006048869A JP 2007223218 A JP2007223218 A JP 2007223218A
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Tadakazu Kiuchi
忠和 木内
Ikuo Kumagai
郁雄 熊谷
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Kasai Kogyo Co Ltd
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Kasai Kogyo Co Ltd
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Abstract

【課題】積層成形体の成形方法並びに成形金型であって、ソフト感を良好に維持するとともに、シャープな外観形状を確保できる。
【解決手段】樹脂芯材20の表面に表皮30をモールドプレス成形工法、射出成形工法により一体化する際、表皮30は、トップ層31の裏面にクッション層32を一体化したものを加熱軟化処理した後、成形上型50により真空成形する際、アシストモデル70,70Aで表皮30を成形上型50の型面に押し付け、薄肉状に均一厚みを確保できるように予備成形を行ない、溶融樹脂Mの供給時、熱的ダメージが表皮30に及ぶことを回避させるとともに、真空成形することで製品表面の外観性能を高める。
【選択図】図3

Description

この発明は、ドアトリム、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、トランクトリム、ラゲージサイドトリム、ルーフトリム、リヤサイドトリム等の自動車用内装部品に好適な積層成形体の成形方法並びに成形金型に係り、特に、クッション性能を良好に維持できるとともに、シャープな外観形状を忠実に再現できる積層成形体の成形方法並びに成形金型に関する。
従来から、ドアトリム、ラゲージサイドトリム、リヤサイドトリム等の自動車用内装部品としては、車体パネルへの取付剛性並びに形状保持性を備えた樹脂芯材の表面に表面風合い、並びにソフト感が良好な表皮を貼着して構成されることが多い。例えば、図19,図20を基にドアトリム1を例示して説明する。ドアトリム1は、樹脂芯材2の表面に表皮3を一体貼着して構成されている。この樹脂芯材2としては、コスト、成形性等を考慮して、ポリプロピレン樹脂にフィラーを適宜混入した複合ポリプロピレン系樹脂材料が使用されている。また、表皮3としては、製品表面側からクロス3a、ポリウレタンフォーム3bからなる二層の積層シート材料が使用されている。この表皮3については、クロス3aにより良好な表面風合いを確保し、ポリウレタンフォーム3bのクッション性により、ソフト感を良好に維持できる機能を備えている。尚、図中符号1aはアームレストを示す。
次に、ドアトリム1の成形方法に使用する従来の成形金型4について、図21を基に説明する。成形金型4は、可動側である成形上型5と、その下方に位置する固定側の成形下型6と、成形下型6に連設されている射出機7とから大略構成されている。成形上型5は、シリンダ5aにより所定ストローク上下動可能に構成され、成形上型5の上下動作により、成形上下型5,6は、型締め、型開きが行なわれる。また、成形下型6には、射出機7から供給される溶融樹脂Mの樹脂通路として、ホットランナ6a、ゲート6bが設けられている。
そして、成形金型4が型開き状態にある時、表皮3の周縁をクランプ枠8により保持した状態で成形金型4内に投入する。次いで、成形上型5を所定ストローク下降操作して、図22に示すように、成形上下型5,6の型クリアランスが所定値に到達した時、射出機7から溶融樹脂Mがホットランナ6a、ゲート6bを通じて成形下型6の型面所定位置に分配供給される。
更に、成形上型5の下降動作が続行し、成形上下型5,6の型クリアランスが一定値になった時(成形上型5が下死点に到達した時)、溶融樹脂Mは、成形上下型5,6間のキャビティ形状に沿ってゆきわたり、所望厚みで所望形状の樹脂芯材2が成形されるとともに、この樹脂芯材2の表面に表皮3が一体貼着されて成形が完了する(図23参照)。従来の積層成形体及びその成形方法については、特許文献1に詳細に記載されている。
特開平10−100176号公報
このように、従来の成形金型4による樹脂芯材2と表皮3との同時成形においては、図22に示す溶融樹脂Mの供給時、溶融樹脂Mの熱により、表皮3におけるポリウレタンフォーム3b等のクッション層がダメージを受け、成形後、クッション性能が低下し、ソフト感に劣るという欠点が指摘されている。例えば、ショアC硬度は62程度である。
更に、表皮3の形状保持は、樹脂芯材2に依存しているため、アームレストのコーナー部等、シャープな形状出しができず、外観意匠性についても良好なものとはいえなかった。例えば、アームレスト1a等のコーナー部の曲率はR5(Rは2.5が理想)である。加えて、表皮3の原反自体に絞模様が設けられている場合には、アームレスト1aのように、展開率の高い部位では絞模様が伸び、変形することから、外観意匠性を低下させる要因となっている。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、クッション層を裏打ちしたクッション性能に優れた表皮を樹脂芯材の成形時、一体化してなる積層成形体の成形方法並びに成形金型であって、良好なソフト感が得られ、かつシャープな外観形状の再現が可能となる積層成形体の成形方法並びに成形金型を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、成形上下型内に表皮をセットし、成形上下型間で形成されるキャビティ内に溶融樹脂を供給することで樹脂芯材を所要形状に成形するとともに、樹脂芯材の表面に表皮を一体化してなる積層成形体の成形方法において、前記成形上型に真空吸引機構が付設されているとともに、成形上下型内にアシストモデルが装備され、成形上下型内に加熱軟化処理された表皮を投入し、真空吸引機構を稼動させ、成形上型の型面に沿って表皮を真空成形するとともに、アシストモデルを成形上型の型面に押し付け、成形上型とアシストモデルとの間で表皮を薄肉状に成形する表皮の予備成形工程と、表皮を成形上型に保持した状態で成形上型を所定ストローク下降操作し、成形上型が下死点に到達する直前、あるいは到達した後のいずれかのタイミングでキャビティ内に溶融樹脂を供給し、樹脂芯材を所望の曲面形状に成形するとともに、樹脂芯材の表面に表皮を積層一体化する樹脂芯材と表皮との一体化工程とからなることを特徴とする。
更に、上記方法を実施する上で使用する成形金型は、樹脂芯材の表面に表皮を一体化してなる積層成形体を所要形状に成形する成形金型であって、この成形金型は、所定ストローク上下動する可動側の成形上型と、この成形上型の下方に位置する固定側の成形下型とを備え、成形上型には、表皮を真空成形するための真空吸引機構が配設されているとともに、表皮の真空成形時、成形上型の型面に表皮を下方向から押し付けるアシストモデルが備わっていることを特徴とする。
ここで、積層成形体は、樹脂芯材と表皮とから構成されており、樹脂芯材の素材として、熱可塑性樹脂が使用され、1種類の熱可塑性樹脂、あるいは2種類以上の熱可塑性樹脂からなっても良い。好ましくは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等が使用できる。また、熱可塑性樹脂中に充填剤を混入しても良く、充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維、タルク、クレイ、シリカ、炭酸カルシウム等の無機粒子がある。更に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、低収縮剤等の各種添加剤が配合されても良い。一方、表皮としては、成形金型から絞模様を転写するために、熱可塑性樹脂シートの単一シート材料か、あるいは熱可塑性樹脂シートをトップ層として、その裏面にポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム等の発泡樹脂成形体からなるクッション層を裏打ちした積層シート材料を使用することができる。尚、所望ならば、裏面にバッキングシートやメリヤス布等をラミネートしても良い。
更に、積層成形体の用途としては、ドアトリム、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、トランクトリム、ラゲージサイドトリム、ルーフトリム、リヤサイドトリム等の自動車用内装部品に適用できる他に、鉄道車両等の内装パネルや、家屋の内装パネル等に適用することもできる。
次に、上記表皮の予備成形工程の具体的な実施形態としては、前記表皮の予備成形工程に使用するアシストモデルは、昇降機構によりモデル型が上下動可能に支持されており、昇降機構の伸張作用により、成形上型の型面に沿って真空成形される表皮をモデル型により押し付けることを特徴とする。
また、上記方法に使用する成形金型におけるアシストモデルは、成形下型の型面形状に合致した形状のモデル型と、このモデル型を成形上下型内の所定位置に投入するための搬送機構と、成形上型の型面に表皮を押し付けるための昇降機構とを備えていることを特徴とする。
一方、表皮の予備成形工程における更に別の実施形態としては、前記表皮の予備成形工程に使用するアシストモデルは、エアバッグ式のアシストモデルが採用され、このアシストモデルは、エア注入機からエアをエアバッグ内に注入するか、あるいは注入したエアを外部に排気することでエアバッグを膨張、収縮操作可能とし、このエアバッグを膨張させて表皮を成形上型の型面に押し付けることを特徴とする。
上記方法に使用する成形金型におけるアシストモデルは、エアの注入、除去により、膨張、収縮するエアバッグと、このエアバッグを成形上下型内の所定位置に投入するための搬送機構と、エアバッグ内にエアを注入するエア注入機とからなることを特徴とする。
そして、本発明方法によれば、加熱軟化処理した表皮を型開き状態にある成形上下型内に投入した後、プレス上型の真空吸引機構が稼動することにより、表皮は成形上型の型面に沿って追従保持され、更に、モデル型やエアバッグ式モデル型が表皮を成形上型の型面に押し付けるため、表皮を成形上型の型面に沿って忠実に成形できる。次いで、表皮を真空吸引力により成形上型に保持した状態でキャビティ内に溶融樹脂が供給されるため、溶融樹脂からの熱的ダメージが表皮のクッション層に及ぶことが少なく、クッション層のクッション性能を良好に維持できる。また、表皮を製品形状に真空成形した状態で成形上型に保持し、溶融樹脂の供給を行なうため、溶融樹脂の流動性を良好に維持できるとともに、製品のハイライト線等、シャープな外観形状を忠実に再現することができる。
更に、成形上型とアシストモデルとにより、表皮の予備成形を行なうため、真空成形時に成形上型の型面から絞模様を良好に転写することができ、従来の高価な絞付きシートを使用することなく、廉価な樹脂シートを使用しても、精度の良い絞模様の転写ができる。加えて、上記アシストモデルとして、エアバッグ形式のアシストモデルを採用すれば、軽量で廉価な構成となり、昇降機構の駆動スペースを設ける必要がない。
次に、本発明に係る成形金型の更に好ましい実施の形態においては、前記アシストモデルのコーナー部の曲率は、成形上型のコーナー部の曲率より小さく設定されていることを特徴とする。そして、この実施の形態によれば、アシストモデルのコーナー部における曲率を成形上型のコーナー部の曲率に比べて小さく設定することにより、表皮を予備成形する際、コーナー部の形状出しをより精度良く行なうことができる。
以上説明した通り、本発明に係る積層成形体の成形方法は、成形上型に真空吸引機構を付設するとともに、成形上下型内にアシストモデルを投入し、加熱軟化処理した表皮を成形上型の型面に沿って真空成形するとともに、アシストモデルにより表皮を成形上型の型面にプレス圧着することで、表皮を薄肉状に予備成形するというものであるから、型締め直前、あるいは型締め後に溶融樹脂を供給する際、表皮と下型との間に充分なクリアランスが確保されているため、表皮のクッション層に加わる熱的ダメージが少ない。更に、製品形状に賦形され、その形状を保持するため、積層成形体はソフト感に優れ、かつシャープなハイライト線等、外観形状をシャープに再現することができる。また、樹脂の流動性を向上させることにより、成形性を高めることができるという種々の効果を有する。
更に、本発明に係る積層成形体の成形方法は、表皮を加熱軟化処理後、成形上型とアシストモデルとの間で予備成形を行なうため、廉価な絞なしシートを使用しても、真空成形時に成形上型から絞模様を精度良く転写することができる。従って、展開率の高い部位においても絞流れ等の外観不良が生じることがなく、廉価で外観見栄えの優れた積層成形体を提供できるという効果を有する。
以下、本発明に係る積層成形体の成形方法の実施例について、ドアトリムの成形方法及びそれに使用する成形金型の具体例を例示して詳細に説明する。尚、念のため付言すれば、本発明の要旨は特許請求の範囲に記載した通りであり、以下に説明する実施例の内容は、本発明の一例を単に示すものに過ぎない。
図1乃至図13は本発明の第1実施例を示すもので、図1は本発明方法により成形したドアトリムを示す正面図、図2は同ドアトリムの構成を示す断面図、図3は本発明方法に使用する成形金型の全体構成を示す説明図、図4は同成形金型における表皮セット枠の構成を示す(a)斜視図、(b)断面図、図5は同表皮セット枠における別実施例の構成を示す(a)斜視図、(b)断面図、図6乃至図13は本発明に係るドアトリムの成形方法の各工程を示す説明図である。
まず、図1,図2において、ドアトリム10は、所望の曲面形状に成形され、図示しないドアパネルへの取付剛性並びに形状保持性を有する樹脂芯材20の表面に表面外観並びに表面感触に優れた表皮30を積層一体化して構成されている。尚、ドアトリム10には、各種付属部品が装着されている。例えば、中接部には、インサイドハンドルエスカッション11が取り付けられており、中接部の下方に位置するアームレスト12は、室内側に膨出する形状に成形され、アームレスト12の上面にプルハンドルユニット13、パワーウインドウスイッチエスカッション14が取り付けられている。また、アームレスト12の下方には、備品を収容できるドアポケット15が配備され、そのフロント側には、ドアトリム10と一体、あるいは別体にスピーカグリル16が取り付けられている。
そして、上記ドアトリム10における樹脂芯材20としては、熱可塑性樹脂の材料を使用し、後述するモールドプレス成形工法の他に射出成形工法等の各種成形工法を採用することができる。使用する熱可塑性樹脂材料としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等がある。
一方、表皮30としては、本実施例ではトップ層31、クッション層32の二層積層体からなるシート材料が使用されており、トップ層31としては、TPO(サーモプラスチックオレフィン)樹脂、PVC樹脂、PP樹脂等の熱可塑性樹脂シートが使用され、クッション層32としては、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム等の発泡樹脂シートが使用されている。
ところで、本発明方法により形成されたドアトリム10は、従来のモールドプレス成形工法、真空成形工法に比べ、製品のソフト感並びに製品の外観形状(シャープ形状)が表1に示すように改善されている。
Figure 2007223218
すなわち、ショアC硬度が56であり、優れたクッション性能を備えているとともに、R2.5のように、成形金型のRとほぼ等しいRを備えている。更に、ドアトリム10における表皮30の外観は、成形金型から絞模様が転写され、絞模様の再現が非常に良好であり、意匠性においても優れたものとなっている。
次に、上記ドアトリム10を成形するための成形金型40の構成を図3を基に説明する。
成形金型40は、樹脂芯材20と表皮30とを一体にモールドプレス成形することができる相互に型締め、型開き可能な成形上型50、成形下型60と、表皮30を成形上型50と協働して予備成形するように成形上下型50,60内に投入されるアシストモデル70と、成形上下型50,60が型開き状態にある時、表皮30を型内に投入することができる表皮セット枠80とから大略構成されている。
更に詳しくは、成形上型50は、プレス機51と連結され、所定ストローク上下動可能であり、それぞれ型締め、型開き状態を形成することができ、この成形上型50の周縁に沿って表皮セット枠80を保持するクランパー52がシリンダ53により支持されている。また、成形上型50は、表皮30を予備成形するための真空吸引機構Vcが付設されている。すなわち、成形上型50の型面には多数の真空吸引孔54が開設され、真空吸引孔54と連通する空気室55と真空ポンプ56との間に真空吸引管57が配管され、この真空吸引管57には、開閉バルブ58が設けられている。
一方、成形上型50の下方に位置する成形下型60は、射出機(図示せず)から供給される溶融樹脂Mの樹脂通路となるマニホールド61、ゲート62が設けられており、これらマニホールド61、ゲート62を通じて溶融樹脂Mは成形下型60の型面上に供給される。更に、成形上下型50,60内に投入されるアシストモデル70は、アルミ等の軽金属材料、あるいは樹脂材料から構成されたモデル型71と、このモデル型71を退避位置から成形上下型50,60内の所定位置に投入するための搬送シリンダ72等の搬送機構と、表皮30を成形上型50の型面に押し付けるためにモデル型71を昇降させる昇降シリンダ73等の昇降機構とから構成されている。
次いで、表皮30を型内にセットする表皮セット枠80は、図4,図5に示す形態のものが使用されている。まず、図4に示すように、表皮セット枠80は、アルミ製のフレーム体81の上面に所定ピッチ間隔で表皮30を突き刺し保持するための保持用ニードル82が設けられている。従って、図4(a)に示すように、予め所定寸法にカットされた表皮30の周縁部を保持用ニードル82により突き刺すことで表皮セット枠80上に表皮30を確実に支持することができる。また、図5に示すように、セット枠80Aとして、ベースフレーム83に対してヒンジ部84を介して回動可能に開閉フレーム85を取り付け、ベースフレーム83と開閉フレーム85との間で表皮30を挟み込むように支持するようにしても良い。この挟み込みタイプの場合には、ニードルタイプに比較して、成形時に成形上下型50,60の型面に沿って引き込み力が作用した際、表皮30が滑り込んで成形上下型50,60の型面に追随することができ、成形性に優れるという利点がある。
以下、簡易なニードルタイプの表皮セット枠80を使用して、ドアトリム10を成形する方法について説明する。まず、図6に示すように、表皮セット枠80の保持用ニードル82に表皮30を突き刺すことで、表皮セット枠80上に表皮30を保持した後、ヒーター90内に投入し、表皮30を所定温度に加熱軟化させる。その後、図7に示すように、成形金型40内に表皮30をセットするが、この時、成形上下型50,60は型開き状態にあり、また、成形上型50のクランパー52はシリンダ53が収縮動作しているため、外側位置にきている。そして、作業者は、所定温度に加熱軟化処理された表皮30を載置した表皮セット枠80を型開き状態にある成形金型40内に投入する。この時、図示するように、所定位置に表皮セット枠80を位置決めした後、シリンダ53を伸長動作させてクランパー52を中央に向けて前進させれば、クランパー52により表皮セット枠80を保持することができる(図8参照)。
次いで、図9に示すように、成形上型50に配設されている真空吸引機構Vcが動作し、表皮30は成形上型50の型面に沿って真空吸引力により真空成形される。この時、成形金型40の外部に退避していたアシストモデル70におけるモデル型71が、搬送シリンダ72の動作により成形金型40内に投入される。そして、モデル型71は、成形上下型50,60内に投入された後、昇降シリンダ73が動作して、モデル型71が上昇し、図10に示すように、真空吸引力により成形上型50の型面に追随している表皮30を更に成形上型50の型面に押し付ける作用をする。
従って、成形上型50に付設されている真空吸引機構Vcによる真空吸引作用と、モデル型71の押し付け作用により表皮30は均一で、かつ薄肉状に精度良く予備成形される。そして、予備成形された後、成形上型50の真空吸引機構Vcの動作が続行したまま、図11に示すように、モデル型71は昇降シリンダ73の収縮作用により下降して、更に搬送シリンダ72の動作により、成形金型40の外側に退避するとともに、表皮セット枠80も外部に退避する。次いで、図12に示すように、予備成形された表皮30を真空吸引力により成形上型50に保持した状態でプレス機51が動作して、成形上型50が所定ストローク下降し、成形上下型50,60が所定の型クリアランスに到達した時、成形下型60のマニホールド61、ゲート62を通じて図示しない射出機から溶融樹脂Mが成形下型60の型面に供給される。この溶融樹脂Mの素材としては、上述した汎用の熱可塑性樹脂材料が使用できる。本実施例では、住友ノーブレンBUE81E6(住友化学工業製ポリプロピレン、メルトインデックス=65g/10分)が使用されており、タルクが適宜割合で混入されていても良い。
そして、本発明方法においては、この溶融樹脂Mの供給工程において、成形上型50の型面に沿って薄肉状に予備成形された表皮30が保持された状態で溶融樹脂Mが供給されるため、表皮30のクッション層32の裏面と、成形下型60の型面とのクリアランスがほぼ一定に維持でき、溶融樹脂Mの流動性を良好に維持できるとともに、表皮30がテント張り状態にならないため、クッション層32に溶融樹脂Mからの熱的ダメージが及ぶことがなく、クッション層32のクッション性能を良好に維持できる。そして、図13に示すように、プレス機51の駆動により、成形上型50が下死点に到達し、溶融樹脂Mがキャビティの隅々にまでゆきわたり、樹脂芯材20が所望の曲面形状に成形されるとともに、この樹脂芯材20の表面側に表皮30が一体化されてドアトリム10の成形が完了する。
次いで、成形完了後は、プレス機51の駆動により、成形上型50が上昇し、型開きが行なわれた後、所要形状に成形された積層成形体であるドアトリム10を取り出せば良く、特に、ドアトリム10の表皮30は、樹脂芯材20とプレス一体化する前に所要形状に予備成形されているため、形状保持性が良く、アームレスト12等のコーナー部のハイライト線等、シャープな外観形状を精度良く再現することができ、外観性能に優れたドアトリム10を成形することができる。また、本発明方法においては、溶融樹脂Mの射出のタイミングとして成形上型50が型締めされる前に行なったが、成形上下型50,60を型締めした後に射出充填する射出成形工法を採用しても良い。
図14乃至図18は本発明の第2実施例を示すもので、この第2実施例についても、樹脂芯材20と表皮30との積層成形体からなるドアトリム10の成形に適用した実施例について説明する。まず、図14に示すように、第2実施例に使用する成形金型40Aは、第1実施例に使用するアシストモデル70に替えて、エアバッグ式のアシストモデル70Aを使用したことが特徴であり、その他の構成については第1実施例と同一である。すなわち、成形金型40Aは、相互に型締め、型開き可能で、樹脂芯材20と表皮30とをプレス一体化することができる成形上下型50,60と、表皮30を予備成形する際に使用するエアバッグ式のアシストモデル70Aと、表皮30を型内にセットする際に使用する表皮セット枠80とから構成されている。そして、このアシストモデル70Aは、テーブル74にエアバッグ75が備わっており、このエアバッグ75はエア注入機76からエア注入管76aを通じてエアを注入するか、あるいは注入したエアを外部に排気することで、膨張、収縮可能に構成されている。また、テーブル74には、成形金型40の外部の待機位置と成形金型内の所定位置との間でアシストモデル70Aを搬送できる搬送シリンダ72等の搬送機構が備わっている。そして、このアシストモデル70Aは、エアバッグ75内にエアを注入すれば、成形下型60の型面形状と同一形状に膨出し、表皮30を成形上型50の型面に押し付ける機能を持つ。すなわち、プレス方式の第1実施例に替えて、エアバッグ式のアシストモデル70Aを使用することで、昇降シリンダ73等の昇降機構が不要となり、構造を簡素化でき、かつスペース的にも有利である。
次に、この成形金型40Aを使用したドアトリム10の成形方法について説明するが、エアバッグ式のアシストモデル70Aと関連する表皮30の予備成形工程についてのみ説明する。図15は、アシストモデル70Aが成形金型40A外部の待機位置から成形金型40A内部の所定位置に搬送シリンダ72の駆動により投入された状態を示しており、このアシストモデル70Aの投入時には、第1実施例で詳細に説明したように、表皮30は表皮セット枠80上に保持された状態で成形上型50のクランパー52により表皮セット枠80が支持されている。また、表皮セット枠80に保持された表皮30は、成形上型50の型面に沿って真空成形されている。
そして、図16に示すように、表皮30が成形上型50の型面に沿って真空成形されるのと同時に、アシストモデル70Aにおけるエアバッグ75内にはエア注入機76からエアが注入され、エアバッグ75は、成形下型60の型面形状と合致する形状に膨らみ、表皮30を成形上型50の型面に強固に押し付ける作用をする。
この時、アシストモデル70Aは、エアバッグ75にエアを注入するだけで成形上型50の型面に表皮30を均一なプレス圧で押し付けることができ、しかも、第1実施例の昇降シリンダ73に比べ、短時間で均一に押圧でき、かつスペース的にもシリンダの可動スペースを必要としないことから、構造を簡素化でき、プレス時間も短縮化できる。特に、複数の昇降シリンダ73を使う場合に比べ、ストローク調整を必要としないことから、このエアバッグ75を使用したアシストモデル70Aはメンテナンスの簡素化及び軽量化に貢献する点で極めて実用価値が高い。
次いで、図17に示すように、エアバッグ75からエアを除去して、テーブル74を搬送シリンダ72の駆動により成形金型40の外部に図17中矢印で示すように退避させ、その後は第1実施例同様、予備成形された表皮30を保持した成形上型50をプレス機51の駆動により所定ストローク下降させて、溶融樹脂Mをキャビティ内に充填することで樹脂芯材20と表皮30とをモールドプレス成形により一体化することができる。
従って、この第2実施例においても、表皮30を成形上型50の真空吸引機構Vcとエアバッグ式のアシストモデル70Aにより薄肉状に均一厚みをもって予備成形するというものであるから、溶融樹脂Mの射出充填時には、均一なキャビティの厚みを確保できるため、流動性に優れるとともに、表皮30におけるクッション層32の熱的ダメージがほとんどなく、クッション性能を良好に維持でき、かつ表皮30を予め真空成形するため、シャープな外観形状を確保でき、外観性能にも優れるとともに、廉価な絞なしシートにおいても絞模様を良好に転写することができるという効果がある。
更に、エアバッグ式のアシストモデル70Aを使用した場合、エアを注入、あるいは排気することにより、エアバッグ75を膨張、収縮させるというものであるため、重量並びに駆動スペースが嵩む昇降シリンダ73を不要とでき、廉価で軽量化に貢献できるとともに、瞬時にエアを注入でき、作業時間的にも有利であることから、エアバッグ式のアシストモデル70Aの実用性が高いものといえる。
図18は、エアバッグ75にエアを注入して、表皮30を予備成形する状態が示されているが、図示するように、成形上型50におけるコーナー部の曲率(図中符号R1で示す)に比べ、エアバッグ75における対応する部位の曲率(図中符号R2で示す)を小さく設定すれば、表皮30の予備成形時、コーナー部におけるR出しをより精度良く行なうことができる。
以上説明した実施例1及び実施例2では、樹脂芯材20の表面に表皮30を同時に成形してなるドアトリム10の成形方法に本発明方法を適用したが、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、トランクトリム、ラゲージサイドトリム、ルーフトリム、リヤサイドトリム等の自動車用内装部品全般の成形方法に適用できるとともに、鉄道車両等の内装パネルや家屋の内装パネルの成形方法において適用することもできる。また、成形上下型50,60の型締め直前に溶融樹脂Mを供給するというモールドプレス成形工法を用いたが、成形上下型50,60を型締めした後、溶融樹脂Mを射出充填する射出成形工法に準用することもできる。
本発明方法を適用して製作した自動車用ドアトリムを示す正面図である。 図1中II−II線断面図である。 本発明に係る積層成形体の成形方法に使用する成形金型の第1施例の構成を示す全体図である。 図3に示す成形金型における表皮セット枠の一実施形態を示す(a)斜視図、(b)断面図である。 図3に示す成形金型における表皮セット枠の別の実施形態を示す(a)斜視図、(b)断面図である。 図3に示す成形金型を使用するドアトリムの成形方法における表皮の予熱工程を示す説明図である。 図3に示す成形金型を使用するドアトリムの成形方法における表皮のセット工程を示す説明図である。 図3に示す成形金型を使用するドアトリムの成形方法における表皮のセット完了時の状態を示す説明図である。 図3に示す成形金型を使用するドアトリムの成形方法における表皮の真空成形初期時及びアシストモデルの投入時の状態を示す説明図である。 図3に示す成形金型を使用するドアトリムの成形方法における表皮の予備成形工程を示す説明図である。 図3に示す成形金型を使用するドアトリムの成形方法における表皮の予備成形完了時の状態を示す説明図である。 図3に示す成形金型を使用するドアトリムの成形方法における樹脂芯材の素材である溶融樹脂の供給工程を示す説明図である。 図3に示す成形金型を使用するドアトリムの成形方法における樹脂芯材と表皮の一体化工程を示す説明図である。 本発明に係る積層成形体の成形方法に使用する成形金型の第2実施例の構成を示す全体図である。 図14に示す成形金型を使用するドアトリムの成形方法におけるアシストモデルの投入工程を示す説明図である。 図14に示す成形金型を使用するドアトリムの成形方法における表皮の予備成形工程を示す説明図である。 図14に示す成形金型を使用するドアトリムの成形方法におけるアシストモデルの退避状態を示す説明図である。 図14に示す成形金型の変形例を使用した際の表皮の予備成形工程を示す説明図である。 従来の自動車用ドアトリムを示す正面図である。 図19中XX−XX線断面図である。 従来のドアトリムを成形する成形金型の概略図である。 従来のドアトリムの成形方法における溶融樹脂の供給工程を示す説明図である。 従来のドアトリムの成形方法におけるモールドプレス成形工程を示す説明図である。
符号の説明
10 ドアトリム
20 樹脂芯材
30 表皮
32 クッション層
40,40A 成形金型
50 成形上型
51 プレス機
52 クランパー
53 シリンダ
54 真空吸引孔
55 空気室
56 真空ポンプ
57 真空吸引管
58 開閉バルブ
60 成形下型
61 マニホールド
62 ゲート
70,70A アシストモデル
71 モデル型
72 搬送シリンダ
73 昇降シリンダ
74 テーブル
75 エアバッグ
76 エア注入機
80 表皮セット枠
81 フレーム体
82 保持用ニードル
83 べースフレーム
84 ヒンジ部
85 開閉フレーム
M 溶融樹脂
Vc 真空吸引機構

Claims (7)

  1. 成形上下型(50,60)内に表皮(30)をセットし、成形上下型(50,60)間で形成されるキャビティ内に溶融樹脂(M)を供給することで樹脂芯材(20)を所要形状に成形するとともに、樹脂芯材(20)の表面に表皮(30)を一体化してなる積層成形体(10)の成形方法において、
    前記成形上型(50)に真空吸引機構(Vc)が付設されているとともに、成形上下型(50,60)内にアシストモデル(70)が装備され、成形上下型(50,60)内に加熱軟化処理された表皮(30)を投入し、真空吸引機構(Vc)を稼動させ、成形上型(50)の型面に沿って表皮(30)を真空成形するとともに、アシストモデル(70)を成形上型(50)の型面に押し付け、成形上型(50)とアシストモデル(70)との間で表皮(30)を薄肉状に成形する表皮(30)の予備成形工程と、
    表皮(30)を成形上型(50)に保持した状態で成形上型(50)を所定ストローク下降操作し、成形上型(50)が下死点に到達する直前、あるいは到達した後のいずれかのタイミングでキャビティ内に溶融樹脂(M)を供給し、樹脂芯材(20)を所望の曲面形状に成形するとともに、樹脂芯材(20)の表面に表皮(30)を積層一体化する樹脂芯材(20)と表皮(30)との一体化工程と、
    からなることを特徴とする積層成形体の成形方法。
  2. 前記表皮(30)の予備成形工程に使用するアシストモデル(70)は、昇降機構(73)によりモデル型(71)が上下動可能に支持されており、昇降機構(73)の伸張作用により、成形上型(50)の型面に沿って真空成形される表皮(30)をモデル型(71)により押し付けることを特徴とする請求項1に記載の積層成形体の成形方法。
  3. 前記表皮(30)の予備成形工程に使用するアシストモデル(70A)は、エアバッグ式のアシストモデル(70A)が採用され、このアシストモデル(70A)は、エア注入機(76)からエアをエアバッグ(75)内に注入するか、あるいは注入したエアを外部に排気することでエアバッグ(75)を膨張、収縮操作可能とし、このエアバッグ(75)を膨張させて表皮(30)を成形上型(50)の型面に押し付けることを特徴とする請求項1に記載の積層成形体の成形方法。
  4. 樹脂芯材(20)の表面に表皮(30)を一体化してなる積層成形体(10)を所要形状に成形する成形金型(40)であって、この成形金型(40)は、所定ストローク上下動する可動側の成形上型(50)と、この成形上型(50)の下方に位置する固定側の成形下型(60)とを備え、成形上型(50)には、表皮(30)を真空成形するための真空吸引機構(Vc)が配設されているとともに、表皮(30)の真空成形時、成形上型(50)の型面に表皮(30)を押し付けるアシストモデル(70)が備わっていることを特徴とする成形金型。
  5. 前記アシストモデル(70)は、成形下型(60)の型面形状に合致した形状のモデル型(71)と、このモデル型(71)を成形上下型(50,60)内の所定位置に投入するための搬送機構(72)と、成形上型(50)の型面に表皮(30)を押し付けるための昇降機構(73)とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の積層成形体の成形金型。
  6. 前記アシストモデル(70)は、エアの注入、除去により、膨張、収縮するエアバッグ(75)と、このエアバッグ(75)を成形上下型(50,60)内の所定位置に投入するための搬送機構(72)と、エアバッグ(75)内にエアを注入するエア注入機(76)とからなることを特徴とする積層成形体の成形金型。
  7. 前記アシストモデル(70,70A)のコーナー部の曲率(R2)は、成形上型(50)のコーナー部の曲率(R1)より小さく設定されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の積層成形体の成形金型。
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