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JP5357231B2 - 光コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、光コリメータを用いた光コネクタに関する。
光コネクタを用いて光ファイバと各種光デバイスを結合する場合に、レンズを用いて結合効率を向上させる技術が提案され、単数あるいは複数の光ファイバを結合させる光コリメータが適用されている。
このような光コリメータにおいては、光ファイバの端面とコリメータレンズとの位置決めを行う必要がある。従来、このような光ファイバの端面とコリメータレンズとの位置決めを行う方法として、別部品のスペーサを保持部材内に挿入する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、光コネクタを組み立てる方法として、光ファイバを保持するための別部品であるコレットチャックを用いる方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2007−241094号公報 特開2003−270487号公報
光ファイバと各種光デバイスを結合する用途で使用される光コネクタにおいては、形状面においてその寸法が小さいこと、機器面において抜き差しが繰り返されても光ファイバとコリメータレンズとの位置関係が維持されることが要求される。
しかし、特許文献1に開示された技術のように、光ファイバの端面とコリメータレンズとの位置決めに別部品を用いると、部品点数が増加するとともに、組立工程が複雑になるという問題がある。また、別部品を保持部材内に挿入する作業は、光コネクタの寸法が小さくなるほど困難となり、その作業に要するコストが上昇するという問題がある。
また、特許文献2に開示された技術のように、光コネクタを組み立てる際に光ファイバを保持するための別部品を用いると、部品点数がさらに増加するとともに、組立工程がますます複雑になるという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、煩雑な組立工程を必要とすることなく、高精度にコリメータレンズと光ファイバを位置合わせすることができる光コネクタを提供することを目的とする。
本発明の光コネクタは、一端にコリメータレンズを収容する収容部が形成され、他端に光ファイバが挿入される挿入孔が形成された保持部材と、一端に前記保持部材が挿入される第1の挿入孔が形成され、他端に前記光ファイバが挿入される第2の挿入孔が形成された樹脂継手と、を備え、前記保持部材の収容部近傍の外周に、前記コリメータレンズおよび光ファイバの端面の双方に対して共通の陥没部を設けることで形成される第1の当接面及び第2の当接面のうち前記第1の当接面に前記コリメータレンズを当接させて位置決めを行い、前記第2の当接面に前記光ファイバの端面を当接させて位置決めを行い、前記樹脂継手に、前記第1の挿入孔を介して挿入された前記保持部材に位置決めされた前記光ファイバのうち、前記保持部材から露出する一部を固定するための固定部を形成する光コネクタであって、前記コリメータレンズに対向する前記第1の当接面の角度を、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して0°以上45°以下とし、前記光ファイバに対向する前記当接面の角度を、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して20°以下としたことを特徴とする。
上記光コネクタによれば、保持部材に陥没部を設けることで形成される当接面にコリメータレンズおよび光ファイバの少なくとも前記光ファイバの端面を当接させて位置決めするようにしたことから、陥没部を基準としてコリメータレンズおよび/または光ファイバを位置決めすることができるので、従来のように別部品を保持部材内に挿入する場合と比べて作業効率を向上することができ、コストの上昇を抑制しつつ、簡単にコリメータレンズと光ファイバとの位置決めを行うことが可能となる。また、樹脂継手に形成された固定部により光ファイバを固定して光コネクタを組み立てるので、少ない部品点数で簡単に光コネクタを組み立てることが可能となる。この結果、煩雑な組立工程を必要とすることなく、高精度にコリメータレンズと光ファイバを位置合わせすることができる。
上記光コネクタにおいては、前記樹脂継手に、前記保持部材の挿入孔側の端部を位置決めする位置決め部を設けるとともに、前記位置決め部近傍の位置で前記光ファイバを固定することが好ましい。この場合には、保持部材の位置決め部が設けられていることから、保持部材を樹脂継手に挿入したときに、簡単に保持部材の位置決めを行うことが可能となる。さらに、位置決め部近傍の位置で前記光ファイバを固定していることから、光ファイバを確実に固定することが可能となる。
また、上記光コネクタにおいては、前記樹脂継手の同一周上に複数の前記固定部を設けることが好ましい。この場合には、同一周上の複数位置で光ファイバを固定できるので、光ファイバを確実に固定することが可能となる。
また、上記光コネクタにおいては、前記樹脂継手の外周に、前記光ファイバを保護するジャケットを保持するための複数の環状凸部を間隔をおいて設けることが好ましい。この場合には、樹脂継手の一部でジャケットを保持できるので、部品点数を増やすことなく光ファイバを被覆するジャケットを効果的に固定することが可能となる。
さらに、上記光コネクタにおいては、前記樹脂継手の外周に、デバイスと接続した際に前記デバイス側の係合部と係合する被係合部を設けることが好ましい。この場合には、樹脂継手の一部に設けた被係合部により、デバイスに挿入した光コネクタの位置ずれを防止できるので、光コネクタとデバイスとの接続を良好なものとすることが可能となる。
さらに、上記光コネクタにおいては、前記樹脂継手の外周に、デバイスに対して接続位置まで挿入可能とする環状に突出した鍔状部を設けることが好ましい。この場合には、鍔状部によりデバイスに対して接続位置まで挿入可能となるため、デバイスにおける所定位置に光コネクタを位置決めすることが可能となる。
さらに、上記光コネクタは、前記鍔状部の外径とほぼ同径の挿入孔および前記鍔状部の外径より小径の開口部を有する複数の貫通孔が形成されたハウジングに、並列して複数本装着されていることが好ましい。この場合には、専用の部品を必要とせず、ハウジングと樹脂継手を簡単に係合させて、複数本の光コネクタが装着された大容量通信可能な光コネクタを構成することが可能となる。
さらに、上記光コネクタは、上記光コネクタにおける樹脂継手を露出するように前記光コネクタを内挿する内挿領域を有するハウジングと、前記ハウジングに対して前記光コネクタを前記光コネクタの挿入方向に付勢するスプリングと、を具備することが好ましい。この場合には、ハウジングに装着された光コネクタが所定範囲内で移動可能に構成されているため、デバイスと結合した際の軸心のズレを吸収することができ、煩雑な調心作業を必要とすることなく、高精度にコリメータレンズと光ファイバとを位置合わせすることが可能となる。
さらに、上記光コネクタにおいては、前記ハウジングは、前記光コネクタをデバイスに装着する際に前記デバイスに設けられた係合部と係合する被係合部を有することが好ましい。この場合には、光コネクタをデバイスに組み込む際に、被係合部と係合部とが係合するため、両者の位置ずれを防止して、光コネクタをデバイスに確実に固定することが可能となる。
さらに、上記光コネクタにおいては、前記樹脂継手の外周に、環状に突出した鍔状部を設け、前記ハウジングは、前記内挿領域における前記挿入方向の先側の開口部に、内側に延在するストッパを有しており、前記ストッパは、前記光コネクタを挿入した際に前記樹脂継手の前記鍔状部と当接することが好ましい。この場合には、ストッパによって鍔状部が係止されることにより、光コネクタをその挿入方向に付勢することが可能となる。
さらに、上記光コネクタにおいては、前記樹脂継手の外周面と前記ストッパの内周面との間に隙間が形成されていることが好ましい。この場合には、簡単な構成でハウジングに装着された光コネクタを所定範囲内で移動可能に構成することができる。
さらに、上記光コネクタにおいては、前記樹脂継手の外周面と前記ストッパの内周面との間に弾性部材が配置されていることが好ましい。この場合には、簡単な構成でハウジングに装着された光コネクタを所定範囲内で移動可能に構成することができる。
さらに、上記光コネクタにおいては、前記鍔状部の外周面と前記ハウジングの内壁面との間に隙間が形成されていることが好ましい。この場合には、簡単な構成でハウジングに装着された光コネクタを所定範囲内で移動可能に構成することができる。
また、本発明の光コネクタは、一端にコリメータレンズを収容する収容部が形成され、他端に光ファイバが挿入される挿入孔が形成された保持部材と、一端に前記保持部材が挿入される第1の挿入孔がn個(nは2以上の整数)形成され、他端に前記光ファイバが挿入される第2の挿入孔がn個形成された樹脂継手と、を備え、前記保持部材の収容部近傍の外周に、前記コリメータレンズおよび光ファイバの端面の双方に対して共通の陥没部を設けることで形成される第1の当接面及び第2の当接面のうち前記第1の当接面に前記コリメータレンズを当接させて位置決めを行い、前記第2の当接面に前記光ファイバの端面を当接させて位置決めを行い、前記樹脂継手に、前記第1の挿入孔を介して挿入されたn個の前記保持部材に位置決めされたn本の前記光ファイバのうち、前記保持部材から露出する一部を固定するための固定部を形成する光コネクタであって、前記コリメータレンズに対向する前記第1の当接面の角度を、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して0°以上45°以下とし、前記光ファイバに対向する前記当接面の角度を、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して20°以下としたことを特徴とする。
上記光コネクタによれば、複数本の光ファイバが装着された大容量通信可能な光コネクタを少ない部品点数で構成することができるため、製造工程の簡略化および低コスト化が実現可能となる。
さらに、上記光コネクタにおいては、前記光ファイバは、プラスチック光ファイバであることが好ましい。この場合には、素材が柔軟であるため、光ファイバをかしめ固定することができ、部品点数を抑えることが可能となる。
本発明によれば、保持部材に設けた陥没部にコリメータレンズおよび光ファイバの少なくとも一方を当接させて位置決めするようにしたことから、陥没部を基準としてコリメータレンズおよび/または光ファイバを位置決めすることができるので、従来のように、別部品を保持部材内に挿入する場合と比べて、作業効率を向上することができ、コストの上昇を抑制しつつ、簡単にコリメータレンズと光ファイバとの位置決めを行うことが可能となる。また、樹脂継手に保持部材を圧入し、光ファイバを圧着固定して光コネクタを組み立てるので、少ない部品点数で簡単に光コネクタを組み立てることが可能となる。この結果、煩雑な組立工程を必要とすることなく、高精度にコリメータレンズと光ファイバを位置合わせすることができる。
本発明に係る光コネクタをデバイスに接続した状態を模式的に示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタの断面図である。 図3Aは第1の実施の形態における樹脂継手の上面図であり、図3Bは第1の実施の形態における樹脂継手の断面図である。 第1の実施の形態における光コリメータの側面図である。 図4に示すA−Aにおける断面図である。 図5に示す2点鎖線B内の拡大図である。 第1の実施の形態に係る光コネクタの組み立て工程を示す説明図である。 第1の実施の形態に係る光コネクタの組み立て工程を示す説明図である。 第1の実施の形態に係る光コネクタの組み立て工程を示す説明図である。 第1の実施の形態に係る光コネクタの組み立て工程を示す説明図である。 図11Aは第2の実施の形態に係る光コネクタの上面図であり、図11Bは第2の実施の形態に係る光コネクタの断面図である。 図12Aは第3の実施の形態に係る光コネクタの上面図であり、図12Bは第3の実施の形態に係る光コネクタの断面図である。 図12Aに示すC−Cにおける断面図である。 図14Aは、第4の実施の形態に係る光コネクタの上面図であり、図14Bは光コネクタの断面図である。 第4の実施の形態に係る光コネクタの他の構成例を示す断面図である。 第4の実施の形態に係る光コネクタの変形例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明に係る光コネクタをデバイスに接続した状態について説明する。図1は、本発明に係る光コネクタをデバイスに接続した状態を模式的に示す断面図である。なお、図1においては、説明の便宜上、受光/発光素子を備えるデバイスについて説明するが、デバイスの構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。
図1に示すように、本発明に係る光コネクタ10が接続されるデバイス100は、受光/発光素子101をケース102の内部に配置するとともに、この受光/発光素子101の光軸上に図示しない支持手段によって支持された集光レンズ103および斜め研磨面104を配置して構成される。また、デバイス100のケース102の側面には、光コネクタ10を挿入する開口部105が設けられている。
デバイス100において、発光素子101から出射されるレーザ光は、集光レンズ103を介して斜め研磨面104によって反射され、開口部105に導かれる。そして、斜め研磨面104によって反射された光は、光コネクタ10のコリメータレンズ12により集光され、光ファイバ13に入射する。そして、このように入射された光が、光ファイバ13内を伝搬する。なお、図1においては、点線で発光素子101から出射されたレーザ光の光路を表示している。
また、デバイス100において、光ファイバ13を伝搬する光は、コリメータレンズ12を経由することによりコリメートされる。そして、光ファイバ13から出射されたレーザ光は、斜め研磨面104によって反射され、集光レンズ103を介して受光素子101に導かれる。なお、図1においては、点線で光ファイバ13から出射されたレーザ光の光路を表示している。
本実施の形態に係るデバイス100においては、ケース102内の所定位置まで光コネクタ10が挿入されると、受光/発光素子101と光ファイバ13との間を伝わるレーザ光が集光レンズ103および斜め研磨面104を介して適切に出入射できるように設計されている。以下、このようなデバイス100に接続される本実施の形態に係る光コネクタ10の構成について説明する。
(第1の実施の形態)
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタ10の断面図である。図2に示すように、光コネクタ10は、概して円筒形状を有する保持部材としてのホルダ11と、このホルダ11の一端部に保持されるコリメータレンズ12と、ホルダ11の他端部に設けられた挿入孔11aから挿入される光ファイバ13と、ホルダ11および光ファイバ13を保持する樹脂継手14と、光ファイバ13を被覆するジャケット15と、ジャケット15を固定するための概して円筒形状を有する金属部材16と、を含んで構成されている。第1の実施の形態に係る光コネクタ10においては、光ファイバ13としてプラスチック光ファイバが好適に挿入される。なお、プラスチック光ファイバには、コアがガラス、クラッドがプラスチックで構成されるものも含まれる。
ホルダ11、コリメータレンズ12および光ファイバ13は、光コリメータ10aを構成している。この光コリメータ10aについての詳細は後述する。
図3Aは、樹脂継手14の上面図であり、図3Bは、樹脂継手14の断面図である。図3に示すように、樹脂継手14は、概して円筒形状を有し、一端にホルダ11が挿入される挿入孔14aが設けられ、他端に光ファイバ13が挿入される開口部14bが設けられ、中央付近に環状の鍔状部14cが設けられている。樹脂継手14において、鍔状部14cから挿入孔14aまでを第1円筒部14d、鍔状部14cから開口部14bまでの鍔状部14cに近接する部分を第2円筒部14e、鍔状部14cから開口部14bまでの開口部14bに近接する部分をジャケット保持部14fと称する。第1円筒部14dには、中央に被係合部14gが溝状に設けられている。また、第1円筒部14dと第2円筒部14eとは、ほぼ同径に構成されている。ジャケット保持部14fは、第1円筒部14dより小径であり、複数(本実施の形態においては、3つ)の環状凸部14hが間隔をおいて設けられている。環状凸部14hはそれぞれ、ジャケット保持部14fの外周面に対して、第2円筒部14e側の端部断面は垂直となり、開口部14b側の端部断面はテーパー形状となるように形成されている。ただし、環状凸部14hの形状はこれに限定されず、半円状、逆V字状などとすることもできる。
鍔状部14cの外径は、光コネクタ10が接続されるデバイス100における開口部105の内径よりも大きく構成されている。そのため、光コネクタ10をデバイス100に挿入する際には、常に鍔状部14cまでがデバイス100内に挿入されることとなり、ケース102内の所定位置に光コネクタ10を位置決めすることが可能となる。また、被係合部14gは、光コネクタ10をデバイス100に接続した際に、デバイス100における開口部105の内周に設けられた係合部105aと噛み合うことにより(図1参照)、デバイス100に挿入した光コネクタ10の位置ずれを防止し、光コネクタ10とデバイス100との接続を良好なものとするために設けられている。
また、樹脂継手14の内周には、鍔状部14cと第2円筒部14eとの境界に位置決め部14iが設けられている。そして、樹脂継手14の内径は、位置決め部14iを境にその径の大きさが異なっている。すなわち、位置決め部14iから開口部14bまでの内径は、位置決め部14iから挿入孔14aまでの内径よりも小さくなるように構成されている。ここで、位置決め部14iから挿入孔14aまでの内径はホルダ11の外径とほぼ同径となり、位置決め部14iから開口部14bまでの内径は光ファイバ13の外径とほぼ同径となるように構成されている。
さらに、図3に示す樹脂継手14には、ホルダ11から露出する光ファイバ13を固定するため、第2円筒部14eにおける位置決め部14i近傍の同一周上に複数(本実施の形態においては、2つ)の固定部14jが設けられている。これにより、位置決め部14i近傍の同一周上の複数位置で光ファイバを固定できるので、光ファイバ13を確実に固定することが可能となる。例えば、固定部14jは、光ファイバ13を固定するために、樹脂継手14に光ファイバ13を挿入した後、工具を用いて樹脂継手14の外側から押圧加工を施すことにより形成される。
ジャケット15は、例えば、弾性素材や抗張力繊維で形成され、図2に示すように、樹脂継手14のジャケット保持部14fないし樹脂継手14から露出する光ファイバ13の長手方向に沿って、光ファイバ13すべてを覆っている。ジャケット15と光ファイバ13とは密着しておらず、隙間を空けて装着されている。そのため、ジャケット15が引っ張られても光ファイバ13には力が加わらず、光ファイバ13の断線を防ぐことができる。また、ジャケット15が装着されたジャケット保持部14fは、第2円筒部14eとほぼ同径となる。
金属部材16は、長手方向にスリットがジグザグ状に形成されている。金属部材16は、樹脂継手14の第2円筒部14eおよびジャケット保持部14fに装着されたジャケット15を覆って固定されている。
続いて、第1の実施の形態に係る光コネクタ10に用いる、ホルダ11、コリメータレンズ12および光ファイバ13から構成される光コリメータ10aについて詳細に説明する。図4は、第1の実施の形態に係る光コリメータ10aの側面図である。図5は、図4に示すA−A矢視断面図である。
ホルダ11は、例えば、ステンレス等の金属材料で形成される。特に加工性の点から、ホルダ11は、オーステナイト系ステンレスで形成されることが好ましい。図5に示すように、ホルダ11におけるコリメータレンズ12側の端部には、開口部11bが設けられている。この開口部11bの内側には、コリメータレンズ12を収容する収容部11cが設けられている。この収容部11cは、コリメータレンズ12の表面の損傷を防止するためにコリメータレンズ12全体をその内側に収容可能な寸法に設けられ、コリメータレンズ12が圧入可能に構成されている。また、ホルダ11の内部には、光ファイバ13の外形よりもわずかに大径の貫通孔11dが設けられている。この貫通孔11dは、挿入孔11aに連通するとともに、収容部11cに連通して設けられている。さらに、ホルダ11には、その外周部から工具等により押圧加工を施すことで形成される複数の陥没部11eが設けられている。これらの陥没部11eは、収容部11cと貫通孔11dとの間に設けられ、詳細について後述するように、コリメータレンズ12および光ファイバ13の位置決めに利用される。
コリメータレンズ12は、例えば、ガラス材料で形成され、球形状を有するボールレンズで構成されている。図5に示すように、コリメータレンズ12は、ホルダ11の収容部11c内に収容された状態において、貫通孔11dに挿入された光ファイバ13の先端部に臨むように配置されている。
光ファイバ13は、その中心を貫通して設けられるコア13aと、このコア13aを被覆するクラッド13bと、このクラッド13bを被覆して補強する補強層13cとから構成されている。光ファイバ13としては、プラスチック光ファイバを用いることが好適である。光ファイバ13のコリメータレンズ12に対向する端面においては、コア13a、クラッド13bおよび補強層13cが同一平面上に配置されている。すなわち、コリメータレンズ12に対向する端面において、コア13a、クラッド13bおよび補強層13cが揃って配置されている。
また、光ファイバ13は、挿入孔11aを介して貫通孔11dに挿入され、その先端部がコリメータレンズ12の近傍でその球面に対向するように配置した状態で固定されている。
第1の実施の形態に係る光コリメータ10aにおいて、光ファイバ13は、例えば、グレーデッドインデックス(GI)型光ファイバで構成され、ファイバ軸に垂直な断面で屈折率が連続的に変化するように構成されている。また、コア13aおよびクラッド13bは、例えば、C−H結合のHをFに置換した全フッ素置換光学樹脂で構成されている。このように、光ファイバ13を全フッ素置換光学樹脂で構成するとともに、GI型光ファイバで構成することにより、高速かつ大容量通信を実現することができる。
このような構成を有し、第1の実施の形態に係る光コリメータ10aにおいては、コストの上昇を抑制しつつ、簡便にコリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決めを行うためにホルダ11に設けた陥没部11eを利用する。具体的には、ホルダ11に設けた陥没部11eに、コリメータレンズ12および光ファイバ13の一部を当接させて位置決めを行うことにより、これらの位置決め用のスペーサなどの構成を不要とし、コストの上昇を抑制しつつ、簡便にコリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決めを可能とするものである。
ここで、第1の実施の形態に係る光コリメータ10aのホルダ11におけるコリメータレンズ12および光ファイバ13の位置決め方法について図6を用いて説明する。図6は、図5に示す2点鎖線B内の拡大図である。図6に示すように、陥没部11eのうち、コリメータレンズ12に対向する部分には、コリメータレンズ12の一部が当接する一方、光ファイバ13に対向する部分には、光ファイバ13を構成するコア13a以外のクラッド13bまたは補強層13c、あるいはクラッド13bおよび補強層13cの一部が当接する。このように当接した状態でコリメータレンズ12および光ファイバ13がそれぞれホルダ11の所定位置に位置決めされる。
図6に示すように、陥没部11eは、光ファイバ13の挿入方向と直交する平面(例えば、図6に示す光ファイバ13の端面と平行に配置され、陥没部11eの中心を通過する平面C)に対して、コリメータレンズ12に対向する部分の角度と、光ファイバ13に対向する部分の角度とが異なる角度に設けられている。このような陥没部11eは、例えば、先端部の形状が異なる先細の工具を用いて押圧加工を施すことにより設けられる。このような工具で押圧加工することにより、陥没部11eは、その押圧加工時における中心軸を基準として、コリメータレンズ12に対向する部分の角度と、光ファイバ13に対向する部分の角度とを異なる角度とすることで、形状の異なるコリメータレンズ12と光ファイバ13とを効果的に位置決めすることが可能となる。
また、第1の実施の形態に係る光コリメータ10aにおいては、このような陥没部11eがホルダ11の同一周上に複数(本実施の形態においては、3つ)設けられている。同一周上への陥没部11eの形成は、例えば、上述した先端形状の異なる工具によりホルダ11の外周から同時に押圧加工を施すことが考えられる。このように同一周上に複数の陥没部11eを設けることにより、コリメータレンズ12および光ファイバ13をそれぞれ複数の位置で当接させることができるので、より高精度にコリメータレンズ12および光ファイバ13の位置決めを行うことが可能となる。
陥没部11eにおけるコリメータレンズ12に対向する部分は、傾斜面11eを構成する。この傾斜面11eは、図6に矢印で示す光ファイバ13の挿入方向と直交する平面(例えば、図6に示す光ファイバ13の端面と平行に配置され、陥没部11eの基端部を通過する平面D)に対する角度θが0°以上45°以下となるように設けられている。このようにコリメータレンズ12側の傾斜面11eの角度θを光ファイバ13の挿入方向と直交する平面Dに対して0°以上45°以下に設定することにより、コリメータレンズ12における光ファイバ13側の一部を支持した状態で位置決めすることができるので、コリメータレンズ12の位置精度を高めることができる。
一方、陥没部11eにおける光ファイバ13に対向する部分は、傾斜面11eを構成する。傾斜面11eは、光ファイバ13の挿入方向と直交する平面(例えば、図6に示す光ファイバ13の端面と平行に配置される平面E)に対する角度θが20°以下となるように設けられている。このように傾斜面11eの角度を平面Eに対して20°以下に設けることにより、光ファイバ13が、上述したように、コア13a、クラッド13bおよび補強層13cが同一平面上に配置される光ファイバで構成される場合に、当該光ファイバ13の端面を陥没部11eに当接させることにより、これらの位置精度を確保し易くすることができる。
以上説明したように、第1の実施の形態に係る光コリメータ10aにおいては、ホルダ11に設けた陥没部11eにコリメータレンズ12の一部および光ファイバ13の一部を当接させて位置決めするようにしたことから、陥没部11eを基準としてコリメータレンズ12および光ファイバ13を位置決めすることができるので、従来のように、別部品をホルダ11に挿入する場合と比べて、作業効率を向上させることができ、コストの上昇を抑制しつつ、簡単にコリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決めを行うことが可能となる。
続いて、第1の実施の形態に係る光コネクタ10の組み立て工程について、図7〜図10に基づいて説明する。図7〜図10は、光コネクタ10の組み立て工程を順に示す説明図である。
まず、図7に示すように、樹脂継手14の挿入孔14aから、ホルダ11を圧入する。挿入孔14aから圧入されたホルダ11は、ホルダ11の挿入孔11aが位置決め部14iに当接すると静止する。このとき、ホルダ11は所定の位置に位置決めされた状態となる。このように、樹脂継手14にホルダ11の位置決め部14iが設けられていることから、ホルダ11を樹脂継手14に挿入したときに、簡単にホルダ11の位置決めを行うことが可能となる。
次に、図8に示すように、樹脂継手14の開口部14bから光ファイバ13を挿入する。光ファイバ13は、樹脂継手14の内径に案内されてホルダ11の挿入孔11aに至り、ホルダ11の内径に案内されて陥没部11eに至る。光ファイバ13が、陥没部11eに当接したところで挿入作業が終了する。このとき、光ファイバ13は所定の位置に位置決めされた状態となる。また、位置決め部14iから開口部14bまでの内径は光ファイバ13の外径とほぼ同径となるように構成されているため、光ファイバ13を確実に固定することが可能となる。
次に、図9に示すように、樹脂継手14の第2円筒部14eに工具を用いて押圧加工を施し、光ファイバ13を固定するための複数(本実施の形態においては、2つ)の固定部14jを同一周上に形成する。この固定部14jにより、光ファイバ13と樹脂継手14とは圧着固定され、光ファイバ13を確実に固定することが可能となる。このように、光ファイバ13として素材が柔軟なプラスチック光ファイバを用いているため、光ファイバ13をかしめ固定することができ、部品点数を抑えることが可能となる。
次に、図10に示すように、樹脂継手14のジャケット保持部14fないし樹脂継手14から露出する光ファイバ13の長手方向に沿って、光ファイバ13すべてを覆うようにジャケット15を装着する。ジャケット15は、ジャケット保持部14fに設けられた環状凸部14hによってジャケット保持部14fに固定されるため、部品点数を増やすことなく、光ファイバ13を被覆するジャケット15を効果的に固定することが可能となる。
最後に、樹脂継手14の第2円筒部14eおよびジャケット保持部14fに金属部材16を装着し、ジャケット15の固定をより確実なものとする。金属部材16は、金属部材16のスリットを大きく開いて樹脂継手14を挟み込み、その後金属部材16のスリットを閉じることにより装着できる。以上の工程により、図2に示した光コネクタ10を組み立てることができる。
以上説明したように、第1の実施の形態に係る光コネクタ10においては、ホルダ11に設けた陥没部11eにコリメータレンズ12の一部および光ファイバ13の一部を当接させて位置決めするようにしたことから、陥没部11eを基準としてコリメータレンズ12および光ファイバ13を位置決めすることができるので、従来のように、別部品をホルダ11内に挿入する場合と比べて、作業効率を向上することができ、コストの上昇を抑制しつつ、簡単にコリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決めを行うことが可能となる。また、樹脂継手14にホルダ11を圧入し、光ファイバ13を圧着固定して光コネクタ10を組み立てるので、少ない部品点数で簡単に光コネクタ10を組み立てることが可能となる。この結果、煩雑な組立工程を必要とすることなく、高精度にコリメータレンズと光ファイバを位置合わせすることができる。
例えば、光ファイバを用いて機器間もしくは機器内での大容量通信を行うために用いられる光コネクタにおいて、従来のように、光ファイバとコリメータレンズとの位置決め用に隔壁(スペーサ部)を形成する場合には、金属材料などで構成される保持部材(ホルダ)に対して切削加工などの加工処理を施す必要がある。しかしながら、上記用途で使用される光コネクタの保持部材においては、その寸法が小さくなることから、切削加工の加工精度が低下し、加工処理に伴うコスト(例えば、寸法不良製品の発生によるコスト)の増大が顕著となる。これに対し、第1の実施の形態に係る光コネクタ10のホルダ11においては、保持部材であるホルダ11に切削加工を施すことで隔壁(スペーサ部)を形成するのではなく、塑性加工を施すことで陥没部11eを形成することから、加工処理に伴うコストを大幅に低減することができる。
また、第1の実施の形態に係る光コネクタ10においては、ホルダ11に形成された陥没部11eによりコリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決めを行う一方、樹脂継手14に形成された固定部14jにより光ファイバ13を固定している。この場合において、光ファイバ13は、位置決めした状態で堅固に固定されている。このため、光ファイバ13を用いて機器間もしくは機器内での大容量通信を行うための用途において、抜き差しが繰り返し行われた場合においても、光ファイバ13とコリメータレンズ12との位置関係を維持することができる。
なお、以上の説明においては、ホルダ11に設けた陥没部11eにコリメータレンズ12の一部および光ファイバ13の一部を当接させてコリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決めを行う場合について説明している。しかしながら、コリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決め方法については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、コリメータレンズ12および光ファイバ13の双方を陥没部11eに当接させるのではなく、コリメータレンズ12または光ファイバ13の一方を当接させるようにし、他方については陥没部11e以外のホルダ11の部分で位置決めを行うようにしてもよい。ただし、この場合には、他方を位置決めするための部分が、陥没部11eとの関係で一定の位置関係に設計されることを前提とする。すなわち、本発明に係る光コネクタ10においては、コリメータレンズ12または光ファイバ13の一方を陥没部11eに当接させる着想も含まれる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る光コネクタは、第1の実施の形態に係る光コネクタを複数本並べて光コネクタとしたものである。以下、第2の実施の形態に係る光コネクタの構成について、図11に基づいて説明する。図11Aは第2の実施の形態に係る光コネクタ20の上面図であり、図11Bは光コネクタ20の断面図である。なお、図11において、図2〜図10に示す第1の実施の形態に係る光コネクタ10と共通する構成については同一の符号を付与してその説明を省略する。
図11に示すように、光コネクタ20は、第1の実施の形態に係る光コネクタ10を2本並べてハウジング21に装着して構成されている。ハウジング21は、概して箱形状を有し、一面に光コネクタ10が挿入される挿入孔21aが設けられ、挿入孔21aが設けられた面に対向する面に光コネクタ10が露出する開口部21bが設けられている。すなわち、ハウジング21には、光コネクタ10を並列して複数本装着できる貫通孔21cが設けられている。この貫通孔21cの内径は、光コネクタ10における樹脂継手14に設けられた鍔状部14cの外径とほぼ同径となるように構成されている。また、開口部21bの内径は、光コネクタ10における樹脂継手14に設けられた鍔状部14cの外径よりも小径となるように構成されている。したがって、挿入孔21aから挿入された光コネクタ10は、鍔状部14cが開口部21bに当接したところで位置決めされる。また、この場合において、鍔状部14cの外周が、貫通孔21cの内周と当接し、光コネクタ10が固定される。このように鍔状部14cで位置決めおよび固定される構成とすることで、専用の部品を必要とせず、ハウジング21と樹脂継手14を簡単に固定させて、複数本の光コネクタ10が装着された大容量通信可能な光コネクタ20を構成することが可能となる。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る光コネクタは、第1の実施の形態に係る光コリメータ10aを複数本並べて装着し光コネクタとしたものである。以下、第3の実施の形態に係る光コネクタの構成について、図12,図13に基づいて説明する。図12Aは第3の実施の形態に係る光コネクタ30の上面図であり、図12Bは光コネクタ30の断面図である。図13は、図12AにおけるC−C線断面図である。なお、図12,図13において、図2〜図10に示す第1の実施の形態に係る光コネクタ10と共通する構成については同一の符号を付与してその説明を省略する。
光コネクタ30は、複数本(本実施の形態においては、2本)の光コリメータ10aを一体継手31に並べて装着して構成される。一体継手31は、樹脂材料で形成され、装着可能な光コリメータ10a数に対応して両端部が分岐しており、一端にはホルダ11が挿入される挿入孔31aが設けられ、他端には光ファイバ13が挿入される開口部31bが設けられている。挿入孔31a側の分岐部分31cは、樹脂継手14における第1円筒部14d(図3参照)と略同一の構造である。開口部31b側の分岐部分31dは、挿入孔31a側の分岐部分31cより小径の円筒形状を有している。挿入孔31a側の分岐部分31cと開口部31b側の分岐部分31dの間の部分は、断面略楕円形状の円筒形状を有している。この円筒形状部分31gには、光ファイバ13を固定するための固定部31hが、各光ファイバ13に対応して設けられる。なお、円筒形状部分31gの断面形状は、装着する光コリメータ10aの本数により変化するため、略断面形状に限定されるものではない。
一体継手31の略中央部から開口部31bまでの開口部31bに近接する部分には、ジャケット保持部31eが設けられている。ジャケット保持部31eの外周面には、複数の凸部31fが間隔をおいて設けられている(図13参照)。ジャケット保持部31eは、その外径が、隣接する円筒形状部分31gより小径となるように構成されている。
続いて、光コネクタ30の組み立て工程について説明する。
まず、コリメータレンズ12がセットされたホルダ11を、一体継手31の挿入孔31aから圧入する。続いて、光ファイバ13を、一体継手31bの開口部31bから挿入する。光ファイバ13は、ホルダ11の陥没部11eに当接し、所定の位置に位置決めされる。
次に、一体継手31の円筒形状部分31gに工具を用いて押圧加工を施し、光ファイバ13を固定するための複数の固定部31hを形成する。この固定部31hにより、光ファイバ13と一体継手31とが圧着固定され、光ファイバ13を確実に固定することが可能となる。また、特別な部品を用いることなく、光ファイバ13をかしめ固定することができるので、部品点数を抑えることが可能となる。
次に、一体継手31のジャケット保持部31eないし一体継手31から露出する光ファイバ13の長手方向に沿って、光ファイバ13すべてを覆うようにジャケット15を装着する。ジャケット15は、ジャケット保持部31eに設けられた複数の凸部31fによってジャケット保持部31eに固定されるため、部品点数を増やすことなく、ジャケット15を効果的に固定することが可能となる。また、ジャケット15が装着されたジャケット保持部31eの外径は、円筒形状部分31gの外径と略同径となる。
最後に、一体継手31のジャケット保持部31eに金属部材16を装着し、ジャケット15の固定をより確実なものとする。以上の工程により、図12,図13に示した光コネクタ30を組み立てることができる。
以上説明したように、第3の実施の形態に係る光コネクタ30によれば、複数本の光コリメータ10aが装着された大容量通信可能な光コネクタ30を少ない部品点数で構成することができるため、製造工程の簡略化および低コスト化が実現可能となる。
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係る光コネクタは、第1の実施の形態に係る光コネクタ10にハウジングを装着したものである。以下、第4の実施の形態に係る光コネクタの構成について、図14に基づいて説明する。図14Aは、第4の実施の形態に係る光コネクタ40の上面図であり、図14Bは光コネクタ40の断面図である。なお、図14においては、第1の実施の形態に係る光コネクタ10と共通する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図14に示すように、光コネクタ40は、第1の実施の形態に係る光コネクタ10をハウジング41に装着して構成されている。すなわち、本実施の形態に係る光コネクタ40は、第1の実施の形態に係る光コネクタ10における樹脂継手14を露出するように、光コネクタ10を内挿する内挿領域41cを有するハウジング41と、ハウジング41に対して光コネクタ10を光コネクタ10の挿入方向に付勢するスプリング43と、を備えている。
ハウジング41は、その本体が概して円筒形状を有し、一端には光コネクタ10が挿入される挿入孔41aが設けられ、他端には光コネクタ10の樹脂継手14の一部が挿通する開口部41bが設けられている。すなわち、ハウジング41には、挿入孔41aから開口部41bに至る、光コネクタ10を部分的に内挿する内挿領域41cが設けられている。ハウジング41のうち、開口部41bを構成する、本体から内側に延在する円環形状の部分を、ストッパ41dと称する。ストッパ41dが本体から内側に延在しているため、開口部41bの内周は、内挿領域41cの内周よりも小さく構成されている。光コネクタ10は、挿通孔41aから樹脂継手14の鍔状部14cがストッパ41dに当接するまで挿通される。なお、このように光コネクタ10が挿通される方向を、光コネクタの挿通方向(図示矢印A方向)と称する。すなわち、ハウジング41における挿入孔41aは、内挿領域41cにおける挿入方向の後側に設けられており、開口部41bは、内挿領域41cにおける挿入方向の先側に設けられている。ハウジング41の開口部41b近傍には、溝状の被係合部41eが設けられている。被係合部41eは、光コネクタ40をデバイスに組み込む際に、デバイス側に設けられた係合部と噛み合う。これにより、デバイスに挿入した光コネクタ40の位置決めを行うとともに、両者の位置ずれを防止して、光コネクタ40をデバイスに確実に固定することができる。
内挿領域41cの内径は、挿入孔41aの内径と同じであり、樹脂継手14に設けられた鍔状部14cの外径よりわずかに大きく構成されている。したがって、鍔状部14cとハウジング41の内壁部との間には、わずかに隙間が形成されている。また、開口部41bの内径は、樹脂継手14の第1円筒部14dの外径よりごくわずかに大きく構成されている。したがって、樹脂継手14の第1円筒部14dとストッパ41dの内周部との間には、わずかに隙間が形成されている。このため、樹脂継手14は、ハウジング41の開口部41bに対してわずかに移動可能になっている。
ハウジング41の挿入孔41aには、蓋部材42が挿入される。蓋部材42は、フランジ部42aと凸部42bとから構成されている。フランジ部42aの外径は、ハウジング41の外径と略同じに構成されている。凸部42bの外径は、内挿領域41cの内径と略同じに構成されている。また、蓋部材42の中央位置には、貫通孔42cが設けられている。貫通孔42cには、光コネクタ10における光ファイバ13を被覆したジャケット15が挿通される。貫通孔42cの内径は、ジャケット15の外径よりも大きく構成されている。そのため、貫通孔42cに挿通されたジャケット15と、貫通孔42cとの間にはジャケット15の挿通を容易にする隙間が形成されている。
ハウジング41の内挿領域41cには、光コネクタ10のほか、スプリング43が挿入される。スプリング43のスプリング径は、光コネクタ10の外周部より大きく設定されている。したがって、スプリング43は、内挿領域41c内において、光コネクタ10とハウジング41の内壁部との間に位置している。スプリング43としては、例えば、コイルばねが適用できる。スプリング43は、樹脂継手14の鍔状部14cと蓋部材42の凸部42bとの間に収容され、蓄勢された状態にある。すなわち、樹脂継手14の鍔状部14cと蓋部材42の凸部42bとの間において蓄勢された状態で配置され、スプリング43によって樹脂継手14をストッパ41d側へ付勢している。
光コネクタ40は、ハウジング41内に光コネクタ10を挿入した後に、内挿領域41c内にスプリング43を収容し、その後、貫通孔42cに光ファイバ13を挿通した状態の蓋部材42の凸部42bを開口部41aに挿入して押し込むことで組み立てられる。このとき、蓋部材42の挿入に伴ってスプリング43が弾性変形し、スプリング43が蓄勢される。
光コネクタ40において、樹脂継手14の第1円筒部14dとストッパ41dの内周部との間には、わずかに隙間が形成されている。また、鍔状部14cとハウジング41の内壁面との間には、わずかに隙間が形成されている。さらに、貫通孔42cに挿通されたジャケット15と、貫通孔42cとの間には隙間が形成されている。すなわち、光コネクタ40において、光コネクタ10とハウジング41、蓋部材42との間には隙間が形成されているため、光コネクタ10は固定されておらず、ハウジング41に装着された光コネクタ10は一定範囲で図示Y方向(光コネクタ10の短手方向)に移動可能に構成されている。
ただし、光コネクタ40は上記構成に限られず、ハウジング41に装着された光コネクタ10が一定範囲でY方向に移動可能であれば、樹脂継手14を装着するハウジング41の構成については特に制限はない。図15は、光コネクタ40の他の構成例を示す断面図である。図15に示すように、光コネクタ40は、ストッパ41dと樹脂継手14との間にOリングなどの弾性部材44を設けた構成であってもよい。この場合、樹脂継手14の第1円筒部14dと弾性部材44の内周部とが接触し、隙間が形成されない構成とすることができる。この構成によっても、弾性部材44が弾性を有しているため、樹脂継手14はハウジング41に固定されておらず移動可能であり、ハウジング41に装着された光コネクタ10は一定範囲でY方向に移動可能な構成となる。
また、スプリング43は、鍔状部14cおよび蓋部材42によって蓄勢された状態で配置されている。光コネクタ10とハウジング41とは固定されていないため、光コネクタ10のうち、ハウジング41の開口部41bから露出した部分をハウジング41内に押し込むと、鍔状部14cの移動に伴ってスプリング43は弾性変形する。すなわち、ハウジング41に装着された光コネクタ10は一定範囲で図示X方向(光コネクタ10の長手方向)に移動可能に構成されている。
光コネクタ40を組み込むデバイスは、光コネクタ40を挿入する開口部を有し、内部に光コリメータとの間で光信号の送受信を行う光学素子(例えば、フォトダイオード)を備えている。ただし、デバイスの構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。
デバイスの開口部は、光コネクタ40のハウジング41が挿入されるサイズに合わせて設計されている。ただし、この構成に限られず、デバイスの開口部は、ハウジング41に装着された樹脂継手14が挿入される構成であれば特に制限はない。デバイスの開口部から光コネクタ40を挿入方向に挿入し、ハウジング41の被係合部41eがデバイスの係合部と噛み合い、係合すると、ハウジング41に装着された光コネクタ10のX,Y方向における位置が位置決めされて、光コネクタ10が固定される。換言すると、ハウジング41の被係合部41eがデバイスの係合部と係合するまでは、ハウジング41に装着された光コネクタ10のX,Y方向における位置は固定されておらず、自由である。ハウジング41に装着された光コネクタ10は一定範囲でX,Y方向に移動可能に構成されているため、デバイスにおける光学素子と光コリメータ10aの軸心との間にズレがあった状態で光コネクタ10が挿入されても、その挿入時に光コネクタ10がズレの分だけ可動して(X,Y方向へのわずかな移動)位置決めされるので、光コリメータ10aの軸心のズレを吸収することができる。
以上説明したように、第4の実施の形態に係る光コネクタ40によれば、ハウジング41に装着された光コネクタ10が一定範囲でX,Y方向に移動可能に構成されているため、デバイスと光コネクタ10を結合させる際に両者の軸心のズレを吸収することができ、煩雑な調心作業を必要とすることなく、高精度にコリメータレンズと光ファイバとを位置合わせすることが可能となる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
上記実施の形態においては、プラスチック光ファイバを光ファイバ13の一例として説明しているが、上記実施の形態に係る光コネクタ10(20,30,40)にて適用される光ファイバ13は、プラスチック光ファイバに限定されるものではない。例えば、ガラスファイバを適用することも可能である。
また、上記第4の実施の形態においては、ハウジング41に蓋部材42の一部を挿入することにより、スプリング43の一端を係止すると共に弾性変形させ、スプリング43を蓄勢させる構成について説明している。しかしながら、ハウジング41内でスプリング43を係止する構成については、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、ハウジング41の内挿領域41c内に突起を設け、スプリング43の一端を係止する構成や、内挿領域41c内に別部材を圧入してスプリング43の一端を係止する構成としてもよい。
さらに、上記第4の実施の形態においては、光コネクタ40がスプリング43を具備し、スプリング43によって光コネクタ10が挿入方向に付勢される構成について説明している。しかしながら、光コネクタ10をその挿入方向に付勢する構成については、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、図16Aに示すように、蓋部材42およびスプリング43を備えることなく、ストッパ41dと樹脂継手14との間にOリングなどの弾性部材44を設け、この弾性部材44の内壁面(図16Aに示す右方側面)と樹脂継手14の鍔状部14cとを接着等によって固定する態様としてもよい。さらに、図16Bに示すように、弾性部材44をハウジング41の外部に設けるとともに、鍔状部14cがハウジング41の外部に配置されるように樹脂継手14を配置し、弾性部材44の両側面(図16Bに示す左右側面)で樹脂継手14の鍔状部14cおよびハウジング41の外壁面とを接着等によって固定する態様としてもよい。これらのように変更した場合においても、弾性部材44における初期状態への復元力に応じて光コネクタ10をその挿入方向に付勢することができる。
10 光コネクタ
10a 光コリメータ
11 ホルダ
11a 挿入孔
11b 開口部
11c 収容部
11d 貫通孔
11e 陥没部
12 コリメータレンズ
13 光ファイバ
13a コア
13b クラッド
13c 補強層
14 樹脂継手
14a 挿入孔
14b 開口部
14c 鍔状部
14d 第1円筒部
14e 第2円筒部
14f ジャケット保持部
14g 被係合部
14h 環状凸部
14i 位置決め部
14j 固定部
15 ジャケット
16 金属部材
20 光コネクタ
21 ハウジング
21a 挿入孔
21b 開口部
30 光コネクタ
31 一体継手
40 光コネクタ
41 ハウジング
42 蓋部材
43 スプリング
44 弾性部材
100 デバイス
101 受光/発光素子
102 ケース
103 集光レンズ
104 斜め研磨面
105 開口部

Claims (15)

  1. 一端にコリメータレンズを収容する収容部が形成され、他端に光ファイバが挿入される挿入孔が形成された保持部材と、
    一端に前記保持部材が挿入される第1の挿入孔が形成され、他端に前記光ファイバが挿入される第2の挿入孔が形成された樹脂継手と、
    備え、
    前記保持部材の収容部近傍の外周に、前記コリメータレンズおよび光ファイバの端面の双方に対して共通の陥没部を設けることで形成される第1の当接面および第2の当接面のうち前記第1の当接面に前記コリメータレンズを当接させて位置決めを行い、前記第2の当接面に前記光ファイバの端面を当接させて位置決めを行い、
    前記樹脂継手に、前記第1の挿入孔を介して挿入された前記保持部材に位置決めされた前記光ファイバのうち、前記保持部材から露出する一部を固定するための固定部を形成する光コネクタであって、
    前記コリメータレンズに対向する前記第1の当接面の角度を、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して0°以上45°以下とし、前記光ファイバに対向する前記当接面の角度を、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して20°以下としたことを特徴とする光コネクタ。
  2. 前記樹脂継手に、前記保持部材の挿入孔側の端部を位置決めする位置決め部を設けるとともに、前記位置決め部近傍の位置で前記光ファイバを固定することを特徴とする請求項1記載の光コネクタ。
  3. 前記樹脂継手の同一周上に複数の前記固定部を設けることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光コネクタ。
  4. 前記樹脂継手の外周に、前記光ファイバを保護するジャケットを保持するための複数の環状凸部を間隔をおいて設けることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光コネクタ。
  5. 前記樹脂継手の外周に、デバイスと接続した際に前記デバイス側の係合部と係合する被係合部を設けることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光コネクタ。
  6. 前記樹脂継手の外周に、デバイスに対して接続位置まで挿入可能とする環状に突出した鍔状部を設けることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光コネクタ。
  7. 前記鍔状部の外径とほぼ同径の挿入孔および前記鍔状部の外径より小径の開口部を有する複数の貫通孔が形成されたハウジングに、請求項6記載の光コネクタが並列して複数本装着されていることを特徴とする光コネクタ。
  8. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の光コネクタにおける樹脂継手を露出するように前記光コネクタを内挿する内挿領域を有するハウジングと、前記ハウジングに対して前記光コネクタを前記光コネクタの挿入方向に付勢するスプリングと、を具備することを特徴とする光コネクタ。
  9. 前記ハウジングは、前記光コネクタをデバイスに装着する際に前記デバイスに設けられた係合部と係合する被係合部を有することを特徴とする請求項8記載の光コネクタ。
  10. 前記樹脂継手の外周に、環状に突出した鍔状部を設け、
    前記ハウジングは、前記内挿領域における前記挿入方向の先側の開口部に、内側に延在するストッパを有しており、前記ストッパは、前記光コネクタを挿入した際に前記樹脂継手の前記鍔状部と当接することを特徴とする請求項8または請求項9記載の光コネクタ。
  11. 前記樹脂継手の外周面と前記ストッパの内周面との間に隙間が形成されていることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の光コネクタ。
  12. 前記樹脂継手の外周面と前記ストッパの内周面との間に弾性部材が配置されていることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の光コネクタ。
  13. 前記鍔状部の外周面と前記ハウジングの内壁面との間に隙間が形成されていることを特徴とする請求項8から請求項12のいずれかに記載の光コネクタ。
  14. 一端にコリメータレンズを収容する収容部が形成され、他端に光ファイバが挿入される挿入孔が形成された保持部材と、
    一端に前記保持部材が挿入される第1の挿入孔がn個(nは2以上の整数)形成され、他端に前記光ファイバが挿入される第2の挿入孔がn個形成された樹脂継手と、
    備え、
    前記保持部材の収容部近傍の外周に、前記コリメータレンズおよび光ファイバの端面の双方に対して共通の陥没部を設けることで形成される第1の当接面及び第2の当接面のうち前記第1の当接面に前記コリメータレンズを当接させて位置決めを行い、前記第2の当接面に前記光ファイバの端面を当接させて位置決めを行い、
    前記樹脂継手に、前記第1の挿入孔を介して挿入されたn個の前記保持部材に位置決めされたn本の前記光ファイバのうち、前記保持部材から露出する一部を固定するための固定部を形成する光コネクタであって、
    前記コリメータレンズに対向する前記第1の当接面の角度を、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して0°以上45°以下とし、前記光ファイバに対向する前記当接面の角度を、前記光ファイバの挿入方向と直交する平面に対して20°以下としたことを特徴とする光コネクタ。
  15. 前記光ファイバは、プラスチック光ファイバであることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれかに記載の光コネクタ。
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