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JP5341908B2 - 同期電動機 - Google Patents

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Description

本発明は、二相交流により駆動される同期電動機の巻線構造に関し、特に、トルク特性を向上させる技術に関する。
従来、種々の機器に、二相交流により駆動される二相モータが利用されている。
特許文献1には、18個のロータマグネットが周方向に等間隔で配置され、12個のステータ突極が周方向に等間隔で配置された二相モータが開示されている。この構成では、ステータ突極の配置間隔は電気角で3π/2ラジアンとなる。各ステータ突極には、巻線が集中巻に巻回されており、ステータ突極の参照符号を周方向に並んだ順にA1、B1、A2、B2、・・・A6、B6とすると、Aグループ(A1、A2、・・・A6)の各巻線が接続されてA相巻線とされ、Bグループ(B1、B2、・・・B6)の各巻線が接続されてB相巻線とされて、各ステータ突極の巻線が全体として二相巻線構成になっている。この二相巻線には位相差がπ/2ラジアンの二相交流が供給される。
二相交流が供給されると各巻線は励磁され、エアギャップ中に回転磁界が生じ、この回転磁界に同期してロータマグネットが吸引(反発)力を受けて、一定速度の同期回転数で回転し続ける。
特開平9−163710号公報
コンプレッサ、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車等に用いられる同期電動機には、小型軽量、高出力、低振動、低騒音、高効率の要請から、特に高トルクかつ低トルク脈動であることが求められる。
しかしながら、従来の二相モータでは、次に示すようにトルク脈動が大きく、更なる改善が求められる。
従来の二相モータでは、Aグループの6個のステータ突極(固定子ティースに相当する)にはA相巻線のみが巻回されているので、Aグループの各ステータ突極はπラジアンに相当する周期で6個同時に最大トルクを発生させる。また、Bグループの各ステータ突極は、Aグループからπ/2ラジアンだけずれて、πラジアンに相当する周期で6個同時に最大トルクを発生させる。すなわち、二相交流の1周期にあたる2πラジアンにおいて、トルクのピークは4回発生することになる。そして、そのピークの大きさは6個のステータ突極の合成トルクとなるので、トルク脈動が大きなものとなる。
そこで、本発明は、二相交流を受けて駆動する同期電動機において、従来よりもトルク脈動を低減することができる技術を提供することを目的とする。
本発明に係る同期電動機は、第一相および第二相の交流からなる二相交流により駆動される同期電動機であって、周方向に等間隔に配置された複数の磁極を含む回転子と、環状の固定子ヨークおよび当該固定子ヨークに周方向に間隔をあけて配置されたN(Nは4以上の整数)個の固定子ティースを含む固定子とを備え、前記固定子において、電気角で同じ位置にある固定子ティースがn(nは2以上の整数)個ずつ存在し、周方向に並んだk(kは2以上の整数)個の固定子ティース単位で回転対称になって、前記N個(Nは4以上の整数で、N=k・n)の固定子ティースを構成しており、各固定子ティース単位において、k個の固定子ティースのうちの一つを基準の固定子ティースとしたとき、残りの固定子ティースのうちの少なくとも一つは、前記基準の固定子ティースに対して電気角で前記二相交流の位相差の整数倍に相当する位置からずれた位置にあり、前記基準の固定子ティースには、前記第一相の交流が供給される第一の巻線および前記第二相の交流が供給される第二の巻線の何れか一方のみが集中巻に巻回され、前記ずれた位置にある固定子ティースには、前記第一相の交流が供給される第一の巻線および前記第二相の交流が供給される第二の巻線の両方がそれぞれ集中巻に巻回され、前記固定子ティース単位毎に、固定子ティースに巻回された第一の巻線が直列に接続され、前記固定子ティース単位と同じ、または、それとは異なる周方向に並んだk個の固定子ティース単位毎に、固定子ティースに巻回された第二の巻線が直列に接続されている。
上記構成によれば、少なくとも一つの固定子ティースは基準の固定子ティースに対して二相交流の位相差の整数倍に相当する位置からずれた位置に配され、この固定子ティースには、第一および第二の両方の巻線が巻回されている。これにより、ずれた位置にある固定子ティースが最大トルクを発生させるタイミングを基準の固定子ティースが最大トルクを発生させるタイミングからずらすことができる。したがって、二相交流の1周期におけるトルクのピークの回数を増加させてピークの発生タイミングを分散させると共に、このピークの大きさを低減することができ、その結果、従来よりもトルク脈動を低減することができる。
本発明の第1の実施形態に係る同期電動機の平面図 図1の同期電動機において巻線の種類および巻回方向を模式的に示す平面図 図1の同期電動機の詳細図 図1の同期電動機における巻線の接続関係を示す図 図1の同期電動機の各固定子ティースから生じる磁界の大きさおよび位相を示すベクトル図 従来の同期電動機の詳細図 トルクの時間変化を示す図 本発明の第2の実施形態に係る同期電動機において巻線の種類および巻回方向を示す平面図 図8の同期電動機の各固定子ティースから生じる磁界の大きさおよび位相を示すベクトル図 巻線の接続関係の変形例を示す図
本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
<概略構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る同期電動機の平面図である。
同期電動機1は回転子2および固定子3から構成される。
回転子2は、回転子コア4および20個の永久磁石5を含み、永久磁石5は回転子コア4に回転子の周方向に等間隔の角度に配置されている。永久磁石5によって構成される磁極6は、固定子3に対してN極、S極が交互に配置された磁極対を構成している。磁極対N極、S極は電気角で2πラジアンとなり、隣り合う磁極の配置間隔は電気角でπラジアンとなる。本実施形態では、回転子の磁極は20極であり、機械角に対して電気角が10倍の関係となっている。
固定子3は、環状の固定子ヨーク8および固定子ヨーク8に周方向に間隔をあけて配置されたN個の固定子ティース7を含む。Nは4以上の整数であればよく、本実施形態では、N=18である。また、固定子ティース7は固定子ヨーク8の周方向に等間隔の角度に配置されている。このように磁極の個数が20であり固定子ティースの個数が18であるため、固定子ティース7は円周に沿って半円あたり10/9でずれて配置されており、隣り合う固定子ティース7の配置間隔は電気角で(π+π/9)ラジアンとなっている。固定子ティース7には巻線9が巻回されている。
回転子磁極間10,11は、回転子2に配置された永久磁石5で構成された磁極Nと磁極Sとの間の磁気中立点の位置を意味する。ここでは、機械的にも磁石と磁石との間の位置となっている。反時計回転方向にみてN極からS極に変わる磁極間を10、反時計回転方向にみてS極からN極に変わる磁極間を11と示している。なお、11’は、磁極間11に対して、電気角2πラジアンで、磁極対の繰り返しのため電気角で同じ位置だが機械角で異なる位置の磁極間位置を示している。
<固定子ティースの位置関係と固定子巻線の構成>
図2は、図1の同期電動機において巻線の種類および巻回方向を模式的に示す平面図であり、図3は、図1の同期電動機の詳細図である。図4は、図1の同期電動機における巻線の接続関係を示す図であり、図5は、図1の同期電動機の各固定子ティースから生じる磁界の大きさおよび位相を示すベクトル図である。
まず、固定子ティースの位置関係について説明する。
18個の固定子ティース7にはH1からH18までの符号が付されている。固定子ティースH2の位置を電気角で0ラジアンの位置とすると、固定子ティースH3は電気角で(π+π/9)ラジアン、すなわち10π/9ラジアンの位置にあり、固定子ティースH4は電気角で(2π+2π/9)ラジアン、すなわち2π/9ラジアンの位置にあり、固定子ティースH5は電気角で(3π+3π/9)ラジアン、すなわち12π/9ラジアンの位置にある。このように、固定子ティースH2を基準としたときの各固定子ティースの位置を表1に示す。
Figure 0005341908
固定子ティースH1〜H18には、電気角で同じ位置にある固定子ティースがn個ずつ存在している。nは2以上の整数であればよく、本実施形態では、表1から明らかなように、電気角で同じ位置にある固定子ティースが2個ずつある。例えば、固定子ティースH2,H11の2個は電気角で同じ位置にある。これは、図2において、固定子ティースH2の中心軸が磁極間10に一致するとき、固定子ティースH11の中心軸が磁極間10’に一致していることからも分かる。
また、固定子ティースH1〜H18の位置関係は、周方向に並んだk個の固定子ティース単位で回転対称になっている。kは2以上の整数であればよく、本実施形態では、k=9である。例えば、図2において、反時計回転方向にH16からH6までの9個の固定子ティースの組と、H7からH15までの9個の固定子ティースの組とが、回転対称になっている。
すなわち、固定子3に含まれる固定子ティース7の個数Nは、N=k・nにより得られ、本実施形態では、n=2,k=9より、N=18である。
次に、固定子巻線の構成について説明する。各固定子ティースには、二相交流のA相の電流が供給される第一の巻線、および、A相の電流に対してπ/2ラジアン遅れたB相の電流が供給される第二の巻線の一方または両方が一心巻、いわゆる集中巻に巻回されている。図2では、第一の巻線に電流が流れたときに固定子端面から見た電流の向きを黒い矢印で模式的に示している。また、同様に第二の巻線に電流が流れたときに固定子端面から見た電流の向きを白い矢印で模式的に示している。
先ず、電気角で2π/3ラジアンの関係にある(従来の3相電動機のU相、V相、W相に相当する)固定子ティースH2,H17,H5の巻線の構成を説明する。
固定子ティースH2には、第一の巻線C2のみがN0ターン巻回されている(図2の黒矢印および図3参照)。これにより、固定子ティースH2が発生させる磁界の位相はA相電流の位相と同じになる(図5、H2参照)。
本実施形態では、固定子ティースH2の位置に対して電気角θnラジアンの位置にある固定子ティースに第一の巻線がAnターン、第二の巻線がBnターン巻回されているとすると、ターン数An,Bnは以下の関係式を満たす。
An≒N0×cos(θn)
Bn≒N0×sin(θn)
固定子ティースH17は、固定子ティースH2に対して電気角で2π/3ラジアン進んだ位置にある。上記関係式により、固定子ティースH17に巻回されている第一の巻線C17のターン数A17、第二の巻線D17のターン数B17は、以下のようになる。
A17≒N0×cos(2π/3)=N0×(−0.50)
B17≒N0×sin(2π/3)=N0×0.87
ここで、ターン数A17の値が負となるのは、通電時に、固定子ティースH17に巻回された第一の巻線C17と固定子ティースH2に巻回された第一の巻線C2とが逆向きの磁界を発生させることを意味する。本実施形態では、これらの巻回方向を逆向きにすることにより、互いに逆向きの磁界を発生させることとしており、図2では逆向きの矢印で示されている。なお、巻回方向を同じ向きにして、一方の巻線では巻き始め端子から巻き終わり端子に向けて電流が流れるように結線し、他方の巻線では巻き終り端子から巻き始め端子に向けて電流が流れるように結線することにしてもよい。
上記の式では、右辺と左辺とがほぼ等しいことを示す記号(≒)を用いているが、これは実際には完全に一致させることが困難な場合が多いためである。上記の記号は、右辺が小数になる場合にはその小数に近い整数を採用する程度の一致を含み、さらには、設計上誤差として無視できる程度の一致を含むこととする。
固定子ティースH17が発生させる磁界は、A相電流により生じる磁界とB相電流により生じる磁界との合成磁界となり、その位相は固定子ティースH2が発生させる磁界の位相に対して2π/3ラジアン遅れている(図5、H17参照)。
一方、固定子ティースH5は、固定子ティースH2に対して電気角で2π/3ラジアン遅れた位置にある。上記関係式により、固定子ティースH5に巻回されている第一の巻線C5のターン数A5、第二の巻線D5のターン数B5は、以下のようになる。
A5≒N10×cos(−2π/3)=N0×(−0.50)
B5≒N10×sin(−2π/3)=N0×(−0.87)
固定子ティースH5が発生させる磁界は、A相電流により生じる磁界とB相電流により生じる磁界との合成磁界となり、その位相は固定子ティースH2が発生させる磁界の位相に対して2π/3ラジアン進んでいる(図5、H5参照)。
このように、第一の巻線と第二の巻線に位相差がπ/2ラジアンである二相交流を通電することで、固定子ティースH2,H17,H5では、位相差が2π/3ラジアンの三相交流を流した場合と等価の磁界を発生していることがわかる。
以下、同様に、固定子ティースH2と隣接した固定子ティースH1,H3の巻線の構成と固定子ティースに生じる磁界を説明する。
図3に示すように、反時計回転方向を+方向とすると、固定子ティースH1は、固定子ティースH2からみて電気角でπラジアンずれた位置からπ/9ラジアン遅れた位置に配置されており、固定子ティースH3は、固定子ティースH2からみて電気角でπラジアンずれた位置からπ/9ラジアン進んだ位置に配置されている。
固定子ティースH2と隣接した固定子ティースH1では、第一の巻線C1がA1≒N0×cos(−π−π/9)=N0×(−0.94)ターン、第二の巻線D1がB1≒N0×sin(−π−π/9)=N0×0.34ターン巻回されている。第一の巻線C1のターン数A1が負の値であることは、固定子ティースH2に巻回された第一の巻線C2とは逆向きに巻回されていることを示している。固定子ティースH1が発生させる磁界は、A相電流により生じる磁界とB相電流により生じる磁界との合成磁界となり、その位相はA相を反転させた−A相に対してπ/9ラジアン進んでいる(図5、H1参照)。
固定子ティースH2に隣接した固定子ティースH3では、第一の巻線C3がA3=N0×cos(π+π/9)=N0×(−0.94)ターン、第二の巻線D3がB3=N10×SIN(π+π/9)=N0×(−0.34)ターン巻回されている。第一の巻線C3のターン数が負の値であることは、固定子ティースH2に巻回された第一の巻線C2とは逆向きに巻回されていることを示している。固定子ティースH3が発生させる磁界は、A相電流により生じる磁界とB相電流により生じる磁界との合成磁界となり、その位相はA相を反転させた−A相に対してπ/9ラジアン遅れている(図5、H3参照)。
このように、本実施形態では、各相の固定子巻線が上記構成をもつため、ひとつの固定子ティースに巻回されたそれぞれの巻線に、それぞれ異なる相の電流が供給されると、当該固定子ティースに生じる磁界は、それぞれの巻線に基づく磁界をベクトル合成したものとなる。
固定子ティースH2に巻回される第一の巻線C2のターン数を1.00としたときの各固定子ティースに巻回される第一および第二の巻線のターン数の比率を表2に示す。
Figure 0005341908
第一の巻線のターン数の比率がA、第二の巻線のターン数の比率がB、両者の合計がΣで示されている。なお、巻線の巻回方向を考慮して±で表示している。
固定子ティースH2(H11)の第一の巻線のターン数の比率Aは1.00である。固定子ティースH2,H11は電気角で同じ位置にあるので巻線の構成が同じになる。
固定子ティースH3(H12)の第一の巻線のターン数の比率Aは−0.94である。これは、通電時における磁界の向きが固定子ティースH2(H11)とは逆向きであることを示すと共に、ターン数の比率が0.94であることを示している。また、第二の巻線のターン数の比率Bは−0.34である。これは、Aの通電方向と同じ向きに電流を流した場合に逆方向の磁界を生じることを示すと共に、ターン数の比率が0.34であることを示している。この固定子ティースH3(H12)の総ターン数の比率は1.28に相当する。
固定子ティースH4(H13)の総ターン数の比率は、1.41であり、固定子ティースH1からH18までの中で最大となる。総ターン数の比率は、1.00から1.41の範囲で変化している。
各固定子ティースに巻回された巻線の接続関係は、図4に示す通りである。
周方向に並ぶ9個の固定子ティース単位毎に、第一の巻線が直列に接続されている。具体的には、反時計回転方向に並ぶH16からH6までの9個の固定子ティースにそれぞれ巻回された第一の巻線C16〜C6が直列に接続され、H7からH15までの9個の固定子ティースにそれぞれ巻回された第一の巻線C7〜C15が直列に接続されている。そして、それらの組が並列に接続されて外部端子T1,T2に接続されている。
また、同じ固定子ティース単位毎に、第二の巻線が直列に接続されている。具体的には、H16からH6までの9個の固定子ティースにそれぞれ巻回された第二の巻線D16〜D6が直列に接続され、H7からH15までの9個の固定子ティースにそれぞれ巻回された第二の巻線D7〜D15が直列に接続されている。そして、それらの組が並列に接続されて外部端子T3,T4に接続されている。
以上の構成を採用することで次のような効果を得ることができる。
固定子ティースは、電気角で(π+π/9)ラジアンの間隔で等間隔に配置されており、各固定子ティースが発生させる磁界の位相が(π+π/9)ラジアンずつずれるように、各固定子ティースに巻回された第一および第2の巻線のターン数が設定されている。したがって、各固定子ティースが最適なタイミングで最大トルクを発生させることができるので全体のトルクを高めることができる。その上、各固定子ティースが最大トルクを発生させるタイミングが分散されるので、従来よりもトルク脈動を低減することができる。
例えば、図3に示すように、固定子ティースH2からみて固定子ティースH1は、電気角でπラジアンずれた位置からπ/9ラジアン遅れた位置にある。このような位置関係にある固定子ティースH1には、図5に示すように磁界H2を反転した位相(πラジアンずれた位相)からπ/9ラジアンだけ進んだ位相の磁界H1が生じる。したがって、固定子ティースH1の軸と回転子の磁極間11とが一致したときに固定子ティースH1に最大の磁界を生じさせると共に、固定子ティースH2の軸と回転子の磁極間10とが一致したときに固定子ティースH2に最大の磁界を生じさせることができる。
また、図3に示すように、固定子ティースH2からみて固定子ティースH3は、電気角でπラジアンずれた位置からπ/9ラジアン進んだ位置にある。このような位置関係にある固定子ティースH3には、図5に示すように磁界H2を反転した位相(πラジアンずれた位相)からπ/9ラジアンだけ遅れた磁界H3が生じる。したがって、固定子ティースH2の軸と回転子の磁極間10とが一致したときに固定子ティースH2に最大の磁界を生じさせると共に、固定子ティースH3の軸と回転子の磁極間11’とが一致したときに固定子ティースH3に最大の磁界を生じさせることができる。
このように、各固定子ティースに巻回されている第一および第二の巻線のターン数は、基準の固定子ティースからみたときの電気角での位置のずれを打ち消すように設定されている。そうすることで固定子ティースの軸と回転子の磁極間とが一致したときに、その固定子ティースに生じる磁界が最大となるので、各固定子ティースが生み出すマグネットトルクを最大とすることができ、全体のトルクを向上させることができる。また、各固定子ティースから生み出されるトルクがほぼ一定となるので、トルク脈動を低減させることができる。
本実施形態は、第一および第二の巻線のうち1種類のみしか巻回されていない固定子ティースを少なくとも一つ有する構成である。このような構成のメリットとして以下のことが挙げられる。
第1に、通電電流の位相を効率よく利用できるので、巻線が高占積率で小型化に有利である。第2に、固定子ティースに巻回されている巻線が1種類であれば、相間絶縁が不要となり、信頼性が向上する。第3に、相間絶縁のための絶縁材のスペースが不要となり、その分を巻線に利用できるので高占積率で小型化に有利である。
<トルクの比較>
次に、本実施形態の同期電動機から得られるトルクと、従来の同期電動機から得られるトルクとを比較する。図6は、従来の同期電動機の詳細図である。従来の同期電動機41は、2種類の巻線(第一の巻線をA相、第二の巻線をB相)で構成された、いわゆる二相モータである。同期電動機41は、永久磁石45を含む回転子42と固定子ティース47を含む固定子43からなる。
固定子ティース47の4個が、+A相、+B相、−A相、−B相として、回転子の二つの磁極NS(2πラジアン)に対向している。固定子ティース47の周方向の間隔は電気角でπ/2ラジアンであり等間隔である。各固定子ティース47には、2種類の巻線のうちの一方のみが集中巻に巻回されている。
この従来形態の極数は本実施形態と同じであり、永久磁石45が20個用いられた20極である。一方、従来形態の固定子ティース47の個数は集中巻に必要な40個となる。磁極NSの2種類の回転子磁極に対して、固定子ティースの巻線は+A、+B、−A、−Bの4種類であるので、通電電流の1周期にあたる1電気角において4個のトルク脈動が生じる。また、無通電時のトルク脈動であるコギングトルクも1回転当り40個となり滑らかな回転を得ることは困難である。
図7は、トルクの時間変化を示す図である。
本実施形態の同期電動機から得られるトルク波形をT1で示し、従来の同期電動機から得られるトルク波形をT0で示す。両者は、1磁極対に対向する固定子巻線の巻数と通電する電流の積を同じとして比較した。これによると、トルクの大きさについては、本実施形態では従来に比べて140%高めることができた。また、平均トルクに対するトルク脈動の比であるトルク脈動率については、本実施形態では従来例の120%に比べて5.3%にまで大幅に低減させることができた。このように本実施形態によれば、従来トレードオフの関係と考えられていた高トルク化とトルク脈動の低減とを両立させることができた。
<補足説明>
本実施形態の同期電動機では、回転子磁極の間隔が機械角18deg(電気角πラジアン)であるのに対し、固定子ティースの間隔は機械角18degからずれた機械角20degとしている。このように機械的な位相差をもたせることにより、無通電時のトルク脈動であるコギングトルクを低減することができる。
また、本実施形態の同期電動機では、固定子ティースは電気角πラジアンに対して各々π/9ラジアンの位相差をもつ配置となっており、各固定子ティースに生じる磁界には、π/2ラジアンの位相差を持つ2種類の巻線の巻数比を変えて固定子ティースに巻回することで、π/9ラジアンの位相差をもたせている。そのため、各々の固定子ティースから得られるトルクを同じにすることができるのでπ/3ラジアンを基本周期とするトルク脈動を打ち消すことができ、かつ、各々の固定子ティースから得られるトルクを最大にすることができるので全体のトルクを高めることができる。
なお、上述の説明では、永久磁石によるマグネットトルクのみを考慮していたので、固定子ティースの軸と回転子の磁極間とが一致したときに、その固定子ティースに生じる磁界の大きさが最大となるように磁界の位相を調整している。しかしながら、本実施形態の同期電動機は、回転子コア内部に永久磁石を配置した、いわゆる磁石埋込み型同期電動機であり、磁石によるマグネットトルクに加えて、磁気抵抗の差によるリラクタンストルクを利用することができる同期電動機である。そのため、マグネットトルクとリラクタンストルクの両者を生かして最大トルクを得るために、固定子ティースの軸と回転子の磁極間とがずれた位置関係で固定子ティースに生じる磁界の大きさが最大となるように磁界の位相を調整することが有効な場合がある。
また、本実施形態では、固定子ティースに固定子巻線を巻回するのに集中巻を採用している。そのため、固定子の端面の巻線いわゆるコイルエンドの小型化が図れ、同期電動機の小型化ができる。また、巻線のコイルエンドは、電流を流してもトルクに寄与しない部分であり、通電時の巻線抵抗によるジュール損である銅損を低下することができ高効率である。
また、本実施形態では、回転子が固定子の外周側に配置された、いわゆるアウターロータ型を採用している。そのため、同じ体積で比較した場合、回転子が固定子の内周側に配置されたインナーロータ型に比べて、回転子径を大きくすることができる。したがって、本実施形態のような極数が20となるような同期電動機でも、永久磁石の大きさを小さくする必要がないので有効磁束の低下を防ぐことができる。
また、本実施形態では、回転子磁極の数が20個、固定子ティースの数が18個の同期電動機であるが、固定子ティースが9個や27個といった9の倍数に対して、回転子の磁極数が10の倍数の組み合わせ、すなわち10q極9qティース(qは正の整数)の組み合わせであれば、電気角で上記の関係が成立する配置関係とすることで、同様の効果が得られる。
また、本実施形態では、18個の固定子ティースには電気角で同じ位置にある固定子ティースが2個ずつ存在し、かつ、それらの位置関係が周方向に並んだ9個の固定子ティース単位で回転対称になっている。したがって、固定子ティースによるラジアル方向の合成吸引力が0となり、回転子に磁気吸引力が作用しない。したがって、軸受寿命に悪影響を与えることがなくなり、長寿命の同期電動機が得られる。同様に30極27ティースでは、9個の固定子ティースで構成された組み合わせが3組、軸に対して機械角で120degごとの配置となるため、巻線に通電した固定子ティースによるラジアル方向の合成吸引力が0となり、回転子に磁気吸引力が作用しない。
また、固定子ティースおよび回転子の磁極のいずれか、または両者を回転軸方向で旋回した構成とすることで、磁束変化がより滑らかになり、さらなる低振動な同期電動機とすることができる。
また、固定子の磁性材を圧粉鉄心材や、薄板の磁性材や、アモルファス磁性材を用いることで鉄損を大幅に低減することができ、より高効率な同期電動機とすることができる。
また、1極を構成する永久磁石を複数個で構成することにより永久磁石に発生する渦電流損を低減でき、より高効率な同期電動機とすることができる。
また、巻線の複数の細い径の巻線や、扁平な平角線とすることで巻線の表面積を拡大し、高周波駆動時の表皮効果を低減して高効率な同期電動機とすることができる。
本実施形態では、図5の磁界の大きさおよび位相を示すベクトル図で明らかなように、入力される電流は第一相の電流(ベクトルA)と第二相の電流(ベクトルB)であるが、固定子ティースには、両者の巻線のターン数の比で合成したH1からH9(H10からH18)の9種類の位相を作り出すことができる。したがって、通常の2相電動機のπ/2ラジアンに対して、2π/9ラジアンの位相差で駆動することができるので、2倍以上滑らかな駆動が可能である。
以上、本実施形態によれば、トルクを向上させてトルク脈動を低減することができ、小型、高出力、低振動、低騒音、高効率な同期電動機を提供することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、固定子ティースの配置角度と巻線の構成が第1の実施形態と異なる。これ以外の構成については第1の実施形態と同様なので説明を省略する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る同期電動機において巻線の種類および巻回方向を示す平面図であり、図9は、図8の同期電動機の各固定子ティースから生じる磁界の大きさおよび位相を示すベクトル図である。
第1の実施形態との差異は、同期電動機21において、固定子ティースの配置が等間隔ではないこと、第一および第二の巻線のターン数の比率が異なることである。固定子ティースの配置を等間隔からずらした場合、第一および第二の巻線のターン数が等間隔の配置を前提として決められた値のままにすると、その固定子ティースから生じる磁界の位相が最適な位相からずれてしまう。そこで、等間隔の配置からずれた分だけ第一および第二のターン数を補正し、固定子ティースから生じる磁界に位相を最適に設定するものである。
<固定子ティースの位置関係と固定子巻線の構成>
第1の実施形態では固定子ティースの配置角度は20deg(機械角)で等間隔であった。図8に、20degの等間隔ではない固定子ティースをH4A、H9A、H13A、H18Aと、H6A、H7A、H15A、H16Aで示した。
固定子ティースH4AはH3に対して、H9AはH10に対して、H13AはH12に対して、H18AはH1に対して19degの間隔に配置され、第1の実施形態に対して1deg(電気角で10deg、π/18ラジアン)ずれている。
また、固定子ティースH6AはH5に対して、H7AはH8に対して、H15AはH14に対して、H16AはH17に対して21degの間隔に配置され、第1の実施形態に対して1deg(電気角で10deg、π/18ラジアン)ずれている。よって、H6AとH7Aは電気角でπラジアン間隔の配置となり、H15AとH16Aも電気角でπラジアン間隔の配置となる。
本実施形態では、固定子ティースを等間隔とした場合の位置から電気角で±π/9ラジアンの範囲内で固定子ティースの位置をずらしてある。固定子ティースH2を基準としたときの各固定子ティースの位置を表3に示す。
Figure 0005341908
これによれば、18個の固定子ティースが不等間隔であるものの、電気角で同じ位置にある固定子ティースが2個ずつ存在し、かつ、周方向に並んだ9個の固定子ティース単位で回転対称であることが分かる。
次に、固定子巻線の構成について説明する。
固定子ティースには、第一および第二の巻線の両方または一方がいわゆる集中巻で巻回されている。図8では、第一の巻線に通電した場合に電流の流れる方向を黒い矢印で模式的に示している。また、同様に第二の巻線に通電した場合に電流の流れる方向を白い矢印で模式的に示している。
固定子ティースに巻回された第一および第二の巻線のターン数の比率を表4に示す。
Figure 0005341908
第2の実施形態では、H4A(H13A)、H6A(H15A)、H7A(H16A)、H9A(H18A)の配置を等間隔からずらし、その分だけターン数の比率を補正している。なお、第一および第二の巻線のターン数が以下の関係式から得られること自体は、第1の実施形態と同様である。
An≒N0×cos(θn)
Bn≒N0×sin(θn)
例えば、H6A(H15A)、H7A(H16A)では、第二の巻線29bのみが巻回されていて、これらの固定子ティースの総ターン数の比率は1である。これにより、第1の実施形態のH6(H15)、H7(H16)の総ターン数の比率1.16に比べて少ないターン数とすることができる。
また、固定子ティースH4A(H13A)、H9A(H18A)では、等間隔の場合に対して配置位置が電気角でπ/18ラジアン(10deg)だけずれているので、第一の巻線のターン数の比率を0.87、第二の巻線のターン数の比率を0.50、総ターン数の比率を1.37としている。これにより、第1の実施形態のH4(H13)、H9(H18)の総ターン数の比率1.41に比べて少ないターン数とすることができる。
このように、本実施形態では、総ターン数の比率を小さくすることにより巻線積占率を増加させることができ、第1の実施形態と同等の効果を得、かつ、さらなる小型化に優位である。
また、本実施形態では、第1の実施形態に比べて第一および第二の巻線の一方のみしか巻回しない固定子ティースの個数を増やすことができる。これにより、製造コストの削減を図ることができる。
本実施形態では、図9の磁界の大きさおよび位相を示すベクトル図で明らかなように、入力される電流は第一相の電流(ベクトルA)と第二相の電流(ベクトルB)であるが、固定子ティースには、両者の巻線のターン数の比で合成したH1からH9A(H10からH18A)の9種類の位相を作り出すことができ、通常の2相電動機のπ/2ラジアンに対して、π/6ラジアンと2π/9ラジアンとπ/3ラジアンの位相差で駆動することができるので、1.5倍から2倍程度滑らかな駆動が可能である。
また、本実施形態では、僅かな固定子ティースの配置変更と巻線比の変更により、9種類の位相差を等間隔から変更することができる特徴を有する。このことから、任意の位相差の組み合わせを実現することが示唆でき、電動機を搭載される機器によって避け難い共振が発生した場合に容易に共振を避けることができる。
上記構成により、固定子ティースの電気角での配置間隔を二相交流の位相差の整数倍に相当する位置からずらすことでトルク脈動を低減することが可能である。すなわち、無通電時のコギングトルクの次数を高くすることができ、コギングトルクの値を小さくできる。
さらに、二相交流の位相差の整数倍に相当する位置からずらして配置した固定子ティースには、第一および第二の巻線の両方を、ずらした分を補正する巻線比率で巻回することで、通電時には、固定子ティースから発生させるトルクを大きくすることができ、トルクを低減することなく、トルク脈動を低減することが可能である。
以上、本発明に係る同期電動機について、実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られない。例えば、以下のような変形例が考えられる。
(1)実施形態では、ある固定子ティースを基準としたとき、残りの固定子ティースのうち全部または大部分の固定子ティースは電気角による角度で二相交流の位相差(π/2ラジアン)の整数倍に相当する位置からずれた位置に配置されている。しかしながら、本発明はこれに限らず、残りの固定子ティースのうちの一つでもずれた位置関係にあることとすることにより、従来よりもトルク脈動を低減することができる。
(2)実施形態では、二相交流の位相差をπ/2ラジアンとしているが、本発明は、これに限られない。二相交流の位相差を任意のφラジアンとした場合には、各固定子ティースの第一および第二の巻線のターン数は以下の関係式により得ることができる。
An=N0×{cos(θn)−sin(θn)/tan(φ)}
Bn=N0×{sin(θn)/sin(φ)}
(3)実施形態では、図4に示すように、固定子ティース単位毎に第一の巻線が直列に接続され、それと同じ固定子ティース単位毎に第二の巻線が直列に接続されている。すなわち、第一の巻線を直列に接続する固定子ティース単位と第二の巻線を直列に接続する固定子ティース単位とが同じである。しかしながら、本発明は、周方向に並ぶk個(本実施形態ではk=9)の固定子ティース単位毎に直列に接続しさえすれば、第一の巻線を直列に接続する固定子ティース単位と第二の巻線を直列に接続する固定子ティース単位とが異なっていても構わない。そのような例を図10(a)に示す。図10(a)では、第一の巻線については、周方向に並んだH16からH6までの9個の固定子ティースとH7からH15までの9個の固定子ティースとで直列接続される単位が分かれている。これに対し、第二の巻線については、周方向に並んだH2からH10までの9個の固定子ティースとH11からH1までの9個の固定子ティースとで直列接続される単位が分かれている。
(4)実施形態では、図4に示すように、第一の巻線C16〜C6の組とC7〜C15の組とが並列に接続されていると共に、第二の巻線D16〜D6の組とD7〜D15の組とが並列に接続されているが、本発明は、これに限らない。例えば、図10(b)に示すように、第一の巻線C16〜C6の組とC7〜C15の組とが直列に接続されると共に、第二の巻線D16〜D6の組とD7〜D15の組とが直列に接続されることとしてもよい。
(5)本実施形態では、固定子ティースの個数が18、磁極の個数が20の例で説明しているが、本発明はこれに限られない。固定子ティースの個数が4以上であり、磁極の個数が固定子ティースの個数と異なる偶数個であれば、本発明を適用することができる。
(6)実施形態では、10q極9qティースの構成を挙げているが、本発明はこれに限らない磁極とティース数の組み合わせが可能である。例えば、8q極9qティース、10q極12qティース(qは正の整数)、16q極15qティースの構成でも構わない。
(7)実施形態では2相駆動で、3相駆動と等価の同期電動機を例示しているが、本発明は、2相駆動で、例えば5相や7相など多相駆動と等価の同期電動機にも適用可能である。
(8)実施形態では固定子巻線は固定子ティースに巻回されているが、本発明はこれに限らず、固定子ティースのない、いわゆるコアレスモータにも適用可能である。
(9)実施形態では特に挙げていないが、固定子巻線が回転子の軸方向に進むほど周方向に最大で固定子巻線の配置間隔だけずれていくスキュー配置を施すこととしてもよい。
(10)実施形態では、回転子が固定子の外側に配置されたアウターロータ型の同期電動機で説明しているが、回転子を固定子の内側に配置したインナーロータ型の同期電動機や、回転子と固定子とが軸方向に空隙を持って配置された、いわゆる面対向のアキシャルギャップ式同期電動機や、それらを複数組み合わせた構造の同期電動機でも同じ効果があることは言うまでもない。
(11)実施形態では、回転子の磁極を永久磁石により構成したが、磁気抵抗の差で構成したリラクタンストルクを利用した同期電動機、回転子に両者を組み合わせた同期電動機でも適用可能である。
(12)本発明は、同期回転機に限らず、同期発電機、また、直動駆動されるリニア同期電動機、リニア同期発電機にも適用できる。
(13)本発明は、小型、高出力、低振動、低騒音、高効率な同期電動機を提供することができ、低振動、低騒音性が要求される自動車用途に特に有用である。
本発明は、小型高効率で低振動低騒音性が要求される、コンプレッサ用、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車等の同期電動機に利用可能である。
1、21、41 同期電動機
2、42 回転子
3、43 固定子
4 回転子コア
5、45 永久磁石
6 磁極
7、47 固定子ティース
8 固定子ヨーク
9 巻線
10、11 回転子磁極間

Claims (15)

  1. 第一相および第二相の交流からなる二相交流により駆動される同期電動機であって、
    周方向に等間隔に配置された複数の磁極を含む回転子と、
    環状の固定子ヨークおよび当該固定子ヨークに周方向に間隔をあけて配置されたN(Nは4以上の整数)個の固定子ティースを含む固定子とを備え、
    前記固定子において、電気角で同じ位置にある固定子ティースがn(nは2以上の整数)個ずつ存在し、周方向に並んだk(kは2以上の整数)個の固定子ティース単位で回転対称になって、前記N個(Nは4以上の整数で、N=k・n)の固定子ティースを構成しており、
    各固定子ティース単位において、k個の固定子ティースのうちの一つを基準の固定子ティースとしたとき、残りの固定子ティースのうちの少なくとも一つは、前記基準の固定子ティースに対して電気角で前記二相交流の位相差の整数倍に相当する位置からずれた位置にあり、
    前記基準の固定子ティースには、前記第一相の交流が供給される第一の巻線および前記第二相の交流が供給される第二の巻線の何れか一方のみが集中巻に巻回され、
    前記ずれた位置にある固定子ティースには、前記第一相の交流が供給される第一の巻線および前記第二相の交流が供給される第二の巻線の両方がそれぞれ集中巻に巻回され、
    前記固定子ティース単位毎に、固定子ティースに巻回された第一の巻線が直列に接続され、
    前記固定子ティース単位と同じ、または、それとは異なる周方向に並んだk個の固定子ティース単位毎に、固定子ティースに巻回された第二の巻線が直列に接続されていること
    を特徴とする同期電動機。
  2. 前記N個の固定子ティースにおいて、前記第一相の電流が供給される第一の巻線および前記第二相の電流が供給される第二の巻線は、隣接する固定子ティースが互いに逆向きの磁界を発生させるように巻回されていること
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  3. 前記二相交流の位相差をφラジアンとし、
    前記基準の固定子ティースの位置に対する前記ずれた位置にある固定子ティースの位置を電気角でθnラジアンとし、
    前記基準の固定子ティースには、前記第一相の交流が供給される第一の巻線のみが巻回されており、そのターン数をN0とし、
    前記ずれた位置にある固定子ティースに巻回された第一の巻線のターン数An、第二の巻線のターン数Bnは、以下の関係式から得られ、
    An=N0×{cos(θn)−sin(θn)/tan(φ)}
    Bn=N0×{sin(θn)/sin(φ)}
    ターン数An、Bnの値の正負は、通電時において発生する磁界の向きを示すこと
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  4. 前記二相交流の位相差をπ/2ラジアンとし、
    前記基準の固定子ティースの位置に対する前記ずれた位置にある固定子ティースの位置を電気角でθnラジアンとし、
    前記基準の固定子ティースには、前記第一相が供給される第一の巻線のみが巻回されており、そのターン数をN0とし、
    前記ずれた位置にある固定子ティースに巻回された第一の巻線のターン数An、第二の巻線のターン数Bnは、以下の関係式から得られ、
    An=N0×cos(θn)
    Bn=N0×sin(θn)
    ターン数An、Bnの値の正負は、通電時において発生する磁界の向きを示すこと
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  5. 前記N個の固定子ティースが等間隔で配置されており、前記残りの固定子ティースの全部が、前記ずれた位置にある固定子ティースであること
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  6. 前記基準の固定子ティースを中央にして9個の固定子ティースの組が二つ以上周方向に繰り返された構成を有すること
    を特徴とする請求項5に記載の同期電動機。
  7. 前記N個の固定子ティースが不等間隔で配置されており、前記残りの固定子ティースの中には、前記基準の固定子ティースの位置に対して電気角で前記二相交流の位相差の整数倍に相当する位置からずれた位置にある固定子ティースとずれていない位置にある固定子ティースとがあり、
    前記ずれていない位置にある固定子ティースには、前記第一相の電流が供給される第一の巻線および前記第二相の電流が供給される第二の巻線の何れか一方のみが集中巻に巻回されていること
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  8. 前記基準の固定子ティースを中央にして9個の固定子ティースの組が二つ以上周方向に繰り返された構成を有し、
    前記基準の固定子ティースには、前記第一の巻線のみが巻回されており、
    前記9個の固定子ティースの組の両端の固定子ティースは、どちらも前記ずれていない位置にある固定子ティースであり、これらには第二の巻線のみが巻回されていること
    を特徴とする請求項7に記載の同期電動機。
  9. 前記磁極の数は前記固定子ティースの数と異なる偶数個であること
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  10. 前記磁極の数は10以上であること
    を特徴とする請求項9に記載の同期電動機。
  11. 前記同期電動機は、各巻線の位置関係を維持しつつ前記固定子ティースを無くしたコアレス型の同期電動機であること
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  12. 前記N個の固定子ティースのうち少なくとも一つは、前記回転子の軸方向に進むほど周方向に最大で固定子ティースの配置間隔だけずれていくスキュー配置が施されていること
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  13. 前記同期電動機は、インナーロータ型であること
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  14. 前記同期電動機は、永久磁石埋め込み型であること
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  15. 前記同期電動機は、自動車用であること
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
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