JP2010088271A - 永久磁石式同期電動機 - Google Patents
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Abstract
【課題】高トルクの電動機が期待できるとされている磁極数nとスロット数mとの関係の中でも循環電流を低減させつつ任意の組み合わせを採用できるようにすることにある。
【解決手段】同一相(U相)の相電流が流れる電流回路を、2つのステータコイル5−1Aおよび5−14A、5−2Aおよび5−13A,5−1Bおよび5−14B,5−2Bおよび5−13Bでそれぞれ形成される4つの直列回路および、1つのステータコイル5−0で形成される1つのステータコイル回路を並列接続した並列回路で構成し、前記9つのステータコイルの内、磁気角と電気角との位相差により生ずるステータコイル間電圧が正負の関係となるステータコイル同士を前記各直列回路に配置して前記4つ直列回路の誘起電圧がほぼ同一となるようにするとともに、前記ステータコイルを一つのスロットに対して2つ配置したスロットを設けてなる永久磁石式同期電動機である。
【選択図】図3
【解決手段】同一相(U相)の相電流が流れる電流回路を、2つのステータコイル5−1Aおよび5−14A、5−2Aおよび5−13A,5−1Bおよび5−14B,5−2Bおよび5−13Bでそれぞれ形成される4つの直列回路および、1つのステータコイル5−0で形成される1つのステータコイル回路を並列接続した並列回路で構成し、前記9つのステータコイルの内、磁気角と電気角との位相差により生ずるステータコイル間電圧が正負の関係となるステータコイル同士を前記各直列回路に配置して前記4つ直列回路の誘起電圧がほぼ同一となるようにするとともに、前記ステータコイルを一つのスロットに対して2つ配置したスロットを設けてなる永久磁石式同期電動機である。
【選択図】図3
Description
この発明は、永久磁石式同期電動機に関し、特には循環電流を小さくするとともに磁極数とスロット数との選択の自由度を高めた永久磁石式同期電動機に関するものである。
永久磁石式同期電動機において、トルクリップルの増大を防ぎつつトルク向上を図ることを目的として、従来、例えば特許文献1で、永久磁石からなる磁極数をn(n=2Nを満たし、Nは整数である)、巻線コイルからなるスロット数をm(m=3Mを満たし、Mは整数)としたとき、2m/3<n<4m/3の条件を満たす電動機とするとすることが提案されている。
かかる電動機によれば、短節係数と分布係数との積からなる巻線係数を、例えば磁極数n:スロット数mが2:3である通常のモータより高めることができ、高トルク型のモータを得ることができる。
また、かかる電動機を少ない電流相数で運転するために、特許文献1では、同位相となる複数のスロットの複数のコイルを1つの相に選択的に直並列に接続することで、同位相スロットの並列回路内での循環電流を防ぐことが提案されている。
特開2002−272074号公報
しかしながら、上記従来技術の結線方法では、循環電流を防ぐために選択的にスロットを直並列に接続するが、循環電流を防止するためには前提条件として、磁極数nとスロット数mの間に公倍数を持つ必要があった。すなわち、より高トルクとしたり、よりトルクリップルを少なくしたりする磁極数nとスロット数mとの関係を選択しようとすると、循環電流によるモータの作動効率の悪化を免れることができなかった。
それゆえこの発明は、循環電流による効率悪化を低減するとともに磁極数nとスロット数mとの選択の自由度を高めた永久磁石式同期電動機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するこの発明の永久磁石式同期電動機は、同一相の相電流が流れる電流回路を、複数のステータコイルで形成される直列回路を複数含む複数のステータコイル回路を並列接続した並列回路で構成し、前記複数のステータコイルの内、磁気角と電気角との位相差により生ずるステータコイル間電圧が正負の関係となるステータコイル同士を前記各直列回路に配置して前記複数の直列回路の誘起電圧がほぼ同一となるようにするとともに、前記ステータコイルを一つのスロットに対して複数配置したスロットを設けてなるものである。
かかるこの発明の永久磁石式同期電動機によれば、磁気角と電気角との位相差により生ずるステータコイル間電圧が正負の関係となるステータコイル同士を各直列回路に配置して、複数の直列回路の誘起電圧がほぼ同一となるようにするとともに、ステータコイルを一つのスロットに対して複数配置したスロットを設けていることから、誘起電圧を大きくすることなく、同一相に奇数のコイルがある場合等でも循環電流を小さくすることができるので、高トルク型電動機とする場合でも、磁極数nとスロット数mとの選択の自由度を高めることができる。
以下に、この発明の実施の形態を、図面に基づく実施例によって詳細に説明する。ここに、図1は、この発明の永久磁石式同期電動機の第1および第2実施例を構成する、スロット数15、磁極数14のラジアルギャップ型モータを示す断面図、図2は、その実施例のモータの特性表を示す説明図である。
図1に示すモータは、図示しないハウジング内に収容されてそのハウジングに回転自在に支持された永久磁石式のロータ1と、上記ハウジング内に収容されてそのハウジングに固定され、ロータ1を半径方向外方から囲繞するステータ2とを具えており、ロータ1は周囲に14個の永久磁石3を周方向にほぼ等間隔に有し、またステータ2は、環状部4aとその環状部4aから周方向にほぼ等間隔に半径方向内方へ突出した15本のティース4bとを持つ鉄心4と、各ティース4bの周囲に巻回された集中巻形式のステータコイル5と、隣り合うティース3b間に形成されたスロット6とを有しており、これによりこのモータは、スロット数15、磁極数14となっている。そしてロータ1とステータ2のティース4bの先端との間には半径方向に所定のエアギャップ7が空けられている。
この磁極数とスロット数との組み合わせ(スロットコンビネーション)を採用すると、95.14の巻線係数が得られ、高トルクのモータとなり、従来技術に記載の18スロット、16極の仮想6相駆動と比較すると、1%以上のトルク向上が期待できる。本実施例におけるモータは、分布係数Kdが100%(=1)未満の95.67%であるため、劣分布係数型の集中巻モータとなる。
ところで、交流同期機のトルクTは、以下のトルク式で求められる。
上記トルク式に基づき、電流の要件(供給電力の問題:E、I、kR、ΦcosΦ)や構造上の制限(m、w、p)を除くと、変更可能な値はkw:巻線係数となる(但し、巻線係数もpに依存する)。
このとき、巻線係数は下記の式で表される。
つまり、kp:短節係数とkd: 分布係数とは、トルクに直接関係する係数となる。分布係数は後述のように1が最大であり、分布係数が1未満の集中巻モータは、劣分布係数型集中巻モータとなる。
このとき、巻線係数は下記の式で表される。
ここで、短節係数kpとは、コイルのピッチとティースのピッチの差を表すものであり、1が最大となる。しかし、短節係数が1のモータは、全ての磁石とステータが一体一で対向してしまうので起動できない。よって、短節係数は一般的には1未満となる。また、分布係数kdとは、コイルの巻付け集中の程度を表すものであり、1が最大となる。一般的なモータは、ほとんどがこの使い方になる。分布係数は駆動相数に依存するので、相数さえ自由に作れれば、分布係数を常に1にすることが可能であるが、スイッチ総数や制御上の困難さなどから限界がある。
上記の観点を総合すると、電流効率の良い3相駆動で、分布係数が1で、短節係数が大きくなるモータを設計する場合、磁極(磁石個数):スロット(巻線個数)を2:3の関係にすれば、この前提を簡単に満たすことができる。よって一般的なモータはほとんど、磁石を4個置けば巻線を6個(3相の2並列駆動)、磁石を6個置けば巻線を9個(3相の3並列駆動)という形で設計されている。
巻線係数を短節係数と分布係数の積と考え、上記の一般的な2:3を守ると、巻線係数の限界は0.866が限界となる(短節係数:0.866、分布係数:1)。一方で、短節係数を少しでも上げようとすると、分布係数を1に維持することが困難になる。そこで、短節係数を上げつつ、インバータを複雑化することなく分布係数を1に近づけることで、高トルクを出せるモータを作ることが考えられる。
巻線係数を短節係数と分布係数の積と考え、上記の一般的な2:3を守ると、巻線係数の限界は0.866が限界となる(短節係数:0.866、分布係数:1)。一方で、短節係数を少しでも上げようとすると、分布係数を1に維持することが困難になる。そこで、短節係数を上げつつ、インバータを複雑化することなく分布係数を1に近づけることで、高トルクを出せるモータを作ることが考えられる。
この発明の永久磁石式同期電動機は上述した考え方に基づくものであり、例えば図1に示すこの発明の第1,第2実施例のモータは、ステータコイル5を後述の如く接続することにより、スロット数15、磁極数14、駆動相数3(逆巻を含み仮想6相)で駆動するので、図2の特性表に示す如く、巻線係数を0.951(短節係数:99.45%、分布係数:95.67%)まで高めることができる。すなわち、分布係数を1(100%)未満としても、短節係数を高めることで高トルクを出せるモータを作ることができる。
ここで、分布係数を1(100%)未満としても高トルクを出せるモータを設計することが可能であっても、分布係数が1(100%)未満となった結果、以下に示す理由によりモータの作動効率が悪化する問題を抱える。
図2に示す特性表中、スロット番号はスロット6の目印であり、スロット角はある特定のスロット6の位置を0度としたときの相対的な角度であり、磁気角は14極の磁極に対して与える的確な電気的タイミングを示し、電気角は3相駆動で達成可能なステータコイル5への通電タイミングを示す。一般的な3相駆動であれば、0度、120度、240度のタイミングでのみ通電可能であるが、この第1および第2実施例では、特性表に示すようにステータコイル5に逆巻きコイルを加えているので、60度、180度、300度の通電と同等の通電が可能である。すなわち、0度の反対が180度なので、0度の位置の正巻コイルと180度の位置の逆巻コイルとを並列で接続すれば、1相の電流で同時に0度と180の通電ができる。同様にして120度の反転300度および、240度の反転420度=60度の通電ができる。
図2に示す特性表中、スロット番号はスロット6の目印であり、スロット角はある特定のスロット6の位置を0度としたときの相対的な角度であり、磁気角は14極の磁極に対して与える的確な電気的タイミングを示し、電気角は3相駆動で達成可能なステータコイル5への通電タイミングを示す。一般的な3相駆動であれば、0度、120度、240度のタイミングでのみ通電可能であるが、この第1および第2実施例では、特性表に示すようにステータコイル5に逆巻きコイルを加えているので、60度、180度、300度の通電と同等の通電が可能である。すなわち、0度の反対が180度なので、0度の位置の正巻コイルと180度の位置の逆巻コイルとを並列で接続すれば、1相の電流で同時に0度と180の通電ができる。同様にして120度の反転300度および、240度の反転420度=60度の通電ができる。
但し、3相駆動のインバータ(仮想6相)で上記の磁気角を満たす通電を行うと、位相ずれが起きることが上記特性表から判る。例えば、U相の逆巻コイルの一つで理想の通電を行うと、同一相に配置された残りの4つのコイルには微小な位相ずれが生じる。なお、位相ずれの無い駆動を行うためには、12度刻みで電気角を制御できるインバータ(15相もしくは30相のインバータ)が必要となり、現実的ではないので、位相ずれを許容せざるをえない。
しかしながら、従来の並列型のステータコイルの接続方法では、図9および図10に示すように、微小な位相ずれの結果、ステータコイル間で誘起電圧に差が生じて循環電流が発生してしまう。例えばU相のステータコイル5−13,5−14,5−0,5−1,5−2(図2に示す特性表中スロット番号13,14,0,1,2に対応)を取り出して図9(a)に示すように並列に接続した場合、上記の位相差を考慮すると、電流のベクトルは図9(b)のように表すことができる。なお、ベクトルに付した符合は対応するステータコイルを示す。垂線に対して直交する線の方向が電圧となる。通電を停止してロータだけ回転させることを想定すると、中央のステータコイル5−0が磁石に正対したときにベクトル5−0の誘起電圧が生じるとしたとき、他の並列ステータコイル5−13,5−14,5−1,5−2はスロット−磁極の関係から磁石に正対できず、遅れるものおよび先に進むものが存在する。
図10(a)は、図9(b)の中央の3本のベクトルを代表で示したものであり、これらのベクトル5−14,5−0,5−1に対応するステータコイル5−14,5−0,5−1は、図10(b)に示すように並列接続されている。ベクトル5−14,5−0,5−1のタイミングの違いにより、ステータコイル5−14,5−1のそれぞれの誘起電圧には差が生じ、その結果、電位差のあるほうに電流が流れるので、循環電流Icが発生してモータの作動効率が悪化してしまう。
図3(a)は、上述のような循環電流を防止するための、この発明の第1実施例のモータにおけるコイル接続方法の、3相のうちのU相を代表で示す回路図、図3(b)は、その第1実施例のコイル接続方法における各ステータコイルの電流のベクトルの状態を示す説明図である。なお、ベクトルに付した符合は対応するステータコイルを示す。すなわちここでは、図4(b)に示すこの実施例の変形例におけると同様、U相のスロット番号0のティースにステータコイル5を1本巻回するとともにスロット番号13,14,1,2の各ティースにステータコイル5を2本ずつ巻回し、ステータコイル5−13A,5−13B,5−14A,5−14B,5−0,5-1A,5−1B,5−2A,5−2Bを設けている。
そしてこの第1実施例では、図3(a)に示すように、ステータコイル間電圧が正負の関係となるステータコイル5−1Aとステータコイル5−14Aを直列接続してステータコイル回路としての直列回路とし、同様にステータコイル5−2Aとステータコイル5−13A、ステータコイル5−1Bとステータコイル5−14B、ステータコイル5−2Bとステータコイル5−14Bをそれぞれ直列接続してそれぞれステータコイル回路としての直列回路とし、それら四本の直列回路とステータコイル5−0のみのステータコイル回路とを互いに並列に接続してU相の電流回路を構成している。図2の特性表におけるV相およびW相も、U相と同様に構成する。
かかる第1実施例の構成によれば、図3(b)に示すように、中央の電流ベクトル5−0に対し同じ角度で正負に位相が異なる電流ベクトル5−1B,5−14Bの誘起電圧の和、電流ベクトル5−14A,5−1Aの誘起電圧の和、電流ベクトル5−2B,5−13Bの誘起電圧の和、そして電流ベクトル5−13A,5−2Aの誘起電圧の和が各直列回路での誘起電圧となって、中央のステータコイル回路の電流ベクトル5−0の誘起電圧に並列に加わることから、各ステータコイル回路の誘起電圧の差を最小限に抑えて循環電流を僅かなものにできるので、高トルクを出せるモータで、誘起電圧による作動効率の低下を僅かなものとすることができる。また、各直列回路は中央のステータコイル5−0より高い誘起電圧を生じるわけではないので、インバータのスイッチ回路の耐圧上も有利である。さらに、中央のステータコイル5−0は1本だけなので、ステータ2の構成を簡易なものとすることができる。
図4(a)は、上記第1実施例の一変形例の、3相のうちのU相を代表で示す回路図、図4(b)は、その変形例のステータコイルの配置と接続状態を示す説明図であり、この変形例では、同じティースに巻回したステータコイル同士を並列に接続している。このような配線によれば、例えば図3(a)の実施形態のように、ステータコイル5−1Aとステータコイル5−14A間を結ぶ配線と、ステータコイル5−1Bとステータコイル5−14B間を結ぶ配線と各々別々に設け、その各々をティース間をつなぐように配索する必要があるが、図4(b)の実施形態によれば、それらを共通の配線とすることができる。
このような配線でも、誘起電圧の差を最小限に抑える効果は上記第1実施例と同一で有り、このようにすれば、ティース間を跨る配線を少なくすることができ、実際の配線を容易なものとすることができる。
このような配線でも、誘起電圧の差を最小限に抑える効果は上記第1実施例と同一で有り、このようにすれば、ティース間を跨る配線を少なくすることができ、実際の配線を容易なものとすることができる。
図5(a)は、前述のような循環電流を防止するための、この発明の第2実施例のモータにおけるコイル接続方法の、3相のうちのU相を代表で示す回路図、図5(b)は、その第2実施例のコイル接続方法における各ステータコイルの電流のベクトルの状態を示す説明図である。なお、ベクトルに付した符合は対応するステータコイルを示す。すなわちここでは、図6(b)に示すこの実施例の変形例におけると同様、U相のスロット番号0のティース4bのステータコイル5を4本巻回するとともにスロット番号13,14,1,2の各ティース4bのステータコイル5を2本ずつ巻回し、ステータコイル5−13A,5−13B,5−14A,5−14B,5−0A,5−0B,5−0C,5−0D,5-1A,5−1B,5−2A,5−2Bを設けている。
そしてこの第2実施例では、図5(a)に示すように、ステータコイル間電圧が正負の関係となるステータコイル5−1Aおよびステータコイル5−14Aを直列接続するとともにそれとステータコイル5−0Aとを直列接続してステータコイル回路としての直列回路とし、同様にステータコイル5−1Bおよびステータコイル5−14Bとステータコイル5−0B、ステータコイル5−2Aおよびステータコイル5−13Aとステータコイル5−0C、ステータコイル5−2Bおよびステータコイル5−13Bとステータコイル5−0Dをそれぞれ直列接続してそれぞれステータコイル回路としての直列回路とし、それら四本の直列回路の誘起電圧の位相および振幅を揃え、それらの直列回路を互いに並列に接続してU相の電流回路を構成している。
かかる第2実施例の構成によれば、図5(b)に示すように、中央の電流ベクトル5−0Aに対し同じ角度で正負に位相が異なる電流ベクトル5−14Aおよび5−1Aの誘起電圧とその中央の電流ベクトル5−0Aの誘起電圧との和、中央の電流ベクトル5−0Bに対し同じ角度で正負に位相が異なる電流ベクトル5−1Bおよび5−14Bの誘起電圧とその中央の電流ベクトル5−0Bの誘起電圧との和、中央の電流ベクトル5−0Cに対し同じ角度で正負に位相が異なる電流ベクトル5−13Aおよび5−2Aの誘起電圧とその中央の電流ベクトル5−0Cの誘起電圧との和、そして中央の電流ベクトル5−0Dに対し同じ角度で正負に位相が異なる電流ベクトル5−2Bおよび5−13Bの誘起電圧とその中央の電流ベクトル5−0Dの誘起電圧との和が各直列回路での誘起電圧となって並列に加わることから、各直列回路での誘起電圧の差をほぼ0に抑えて循環電流をほとんどもしくは全くなくすことができるので、高トルクのモータで、誘起電圧による作動効率の低下をほとんどもしくは全くなくすことができる。また、各直列回路は互いにほぼ同じ誘起電圧を生じるので、インバータのスイッチ回路の耐圧上も有利である。
図6(a)は、上記第2実施例の一変形例の、3相のうちのU相を代表で示す回路図、図6(b)は、その変形例のステータコイルの配置と接続状態を示す説明図であり、この変形例では、同じティースに巻回したステータコイル同士を並列に接続している。このような配線でも、誘起電圧の差を最小限に抑える効果は上記第2実施例と同一であり、このようにすれば、実際の配線を容易なものとすることができる。
図7は、図1,2に示すモータの構成において、図3,4に示す第1実施例およびその変形例のステータコイル接続と、図5,6に示す第2実施例およびその変形例のステータコイル接続とでの誘起電圧の位相および振幅とインダクタンスとを、図9に示す通常の並列のステータコイル接続でのそれらと比較して示す説明図であり、このように通常の並列型と比較して、第1実施例およびその変形例によれば、中央のステータコイルが分割型でない簡易な構成で、誘起電圧の振幅が僅かに異なるが位相およびインダクタンスが揃ったモータとすることができ、また第2実施例およびその変形例によれば、中央のステータコイルが分割型であるため構成は複雑だが、誘起電圧の振幅および位相が揃い、インダクタンスが僅かに異なるモータとすることができる。
図8は、この発明の永久磁石式同期電動機の第3実施例としての、基本構成は図1と同様でスロット数27、磁極数22、駆動相数9相(仮想18相)の、9相駆動のインバータで駆動するモータの特性表を示す説明図であり、このモータの駆動を行うためには、通常は16度毎に通電を制御できるインバータを用いるものの、そもそも割り切れる値ではないため循環電流を防止できないが、本発明の方法を用いて、例えば9相の各相の互いに隣接する3つのティース4bに集中巻型に巻回したステータコイル5のうちステータコイル間電圧が正負の関係となる両側の2つのティース4bのステータコイル5をそれぞれ2個ずつにし、それら2個ずつのステータコイル5を両側の2つのティース4b間でそれぞれ直列接続して二つの直列回路を構成し、それら二つの直列回路を互いに、および中央のティース4bの1つのステータコイル5からなるステータコイル回路とも並列接続することで、先の実施例と同じく誘起電圧を上げることなく循環電流を軽減することができる。
なお、図5,6に示す第2実施例およびその変形例では、中央のステータコイル5−0を4つに分けて4つの直列回路に分配しているが、その代わりに中央のステータコイル5−0を5つに分けて、図5に仮想線で示すように、そのうちの4つであるステータコイル5−0AからDを4つの直列回路に分配するとともに、残る1つであるステータコイル5−0Eだけでステータコイル回路を構成し、それらのステータコイル回路の誘起電圧の位相および振幅を揃え、図3,4に示す第1実施例およびその変形例と同様にそれらのステータコイル回路を並列に接続して1相の並列回路を構成しても良い。
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更することができるものであり、例えば、上記各実施例例のモータは半径方向にエアギャップを持つラジアルギャップ型のものとしたが、この発明は、軸線方向にエアギャップを持つアキシャルギャップ型のモータにも適用し得て、上記例と同様の作用効果を奏することができる。
かくしてこの発明の永久磁石式同期電動機によれば、磁気角と電気角との位相差により生ずるステータコイル間電圧が正負の関係となるステータコイル同士を各直列回路に配置して、複数の直列回路の誘起電圧がほぼ同一となるようにするとともに、ステータコイルを一つのスロットに対して複数配置したスロットを設けていることから、誘起電圧を大きくすることなく、同一相に奇数のコイルがある場合等でも循環電流を小さくすることができるので、高トルクの電動機が期待できるとされている2m/3<n<4m/3の磁極数nとスロット数mとの関係の中でも、循環電流を低減させつつ任意の組み合わせを採用することができる。
なお、この発明の永久磁石式同期電動機においては、前記複数のステータコイルの内、磁気角と電気角との位相差がないステータコイルのみで、前記複数のステータコイル回路の内の一つを構成しても良く、このようにすれば、ステータを簡易な構成のものとすることができる。
また、この発明の永久磁石式同期電動機においては、前記複数のステータコイル回路を全て、前記直列回路とし、前記複数のステータコイルの内、磁気角と電気角との位相差がないステータコイルを前記複数の直列回路に分配して、前記各直列回路の磁気角と電気角との位相差により生ずるステータコイル間電圧が正負の関係となるステータコイルに直列に接続することで、前記複数のステータコイル回路の誘起電圧が同一となるようにしても良く、このようにすれば、循環電流をほとんどもしくは全くなくすことができる。
さらにこの発明の永久磁石式同期電動機においては、前記複数のステータコイルの内、磁気角と電気角との位相差がないステータコイルの一部で、前記複数のステータコイル回路の内の一つを構成するとともに、前記磁気角と電気角との位相差がないステータコイルの残部を前記複数の直列回路に分配して、前記各直列回路の磁気角と電気角との位相差により生ずるステータコイル間電圧が正負の関係となるステータコイルに直列に接続することで、前記複数のステータコイル回路の誘起電圧が同一となるようにしても良く、このようにしても、循環電流をほとんどもしくは全くなくすことができる。
さらにこの発明の永久磁石式同期電動機においては、前記各直列回路を形成する複数のステータコイル間の回路を、前記複数の直列回路同士で繋いでも良く、このようにすれば、実際の配線を容易なものとすることができる。
さらにこの発明の永久磁石式同期電動機においては、ロータの永久磁石からなる磁極の数をn、前記ステータコイルを配置したスロットの数をmとしたとき、2m/3<n<4m/3の範囲とするとともに、前記スロット数mを奇数としても良く、このようにすれば、高いトルクの電動機を得ることができる。
そしてこの発明の永久磁石式同期電動機においては、前記スロット数m=15かつ前記磁極数n=14もしくは前記スロット数m=27かつ前記磁極数n=22としても良く、このようにすれば、上記2m/3<n<4m/3の関係を満たすので、高いトルクの電動機を得ることができる。
1 ロータ
2 ステータ
3 永久磁石
4 鉄心
4a 環状部
4b ティース
5,5−0,5−0A〜E,5−1,5−1A,5−1B,5−2,5−2A,5−2B,5−13,5−13A,5−13B,5−14,5−14A,5−14B ステータコイルまたはそれに対応する電流ベクトル
6 スロット
7 エアギャップ
2 ステータ
3 永久磁石
4 鉄心
4a 環状部
4b ティース
5,5−0,5−0A〜E,5−1,5−1A,5−1B,5−2,5−2A,5−2B,5−13,5−13A,5−13B,5−14,5−14A,5−14B ステータコイルまたはそれに対応する電流ベクトル
6 スロット
7 エアギャップ
Claims (7)
- 同一相の相電流が流れる電流回路を、複数のステータコイルで形成される直列回路を複数含む複数のステータコイル回路を並列接続した並列回路で構成し、
前記複数のステータコイルの内、磁気角と電気角との位相差により生ずるステータコイル間電圧が正負の関係となるステータコイル同士を前記各直列回路に配置して前記複数の直列回路の誘起電圧がほぼ同一となるようにするとともに、
前記ステータコイルを一つのスロットに対して複数配置したスロットを設けてなる、永久磁石式同期電動機。 - 前記複数のステータコイルの内、磁気角と電気角との位相差がないステータコイルのみで、前記複数のステータコイル回路の内の一つを構成してなる、請求項1記載の永久磁石式同期電動機。
- 前記複数のステータコイル回路を全て、前記直列回路とし、
前記複数のステータコイルの内、磁気角と電気角との位相差がないステータコイルを前記複数の直列回路に分配して、前記各直列回路の磁気角と電気角との位相差により生ずるステータコイル間電圧が正負の関係となるステータコイルに直列に接続することで、前記複数のステータコイル回路の誘起電圧が同一となるようにしてなる、請求項1記載の永久磁石式同期電動機。 - 前記複数のステータコイルの内、磁気角と電気角との位相差がないステータコイルの一部で、前記複数のステータコイル回路の内の一つを構成するとともに、前記磁気角と電気角との位相差がないステータコイルの残部を前記複数の直列回路に分配して、前記各直列回路の磁気角と電気角との位相差により生ずるステータコイル間電圧が正負の関係となるステータコイルに直列に接続することで、前記複数のステータコイル回路の誘起電圧が同一となるようにしてなる、請求項1記載の永久磁石式同期電動機。
- 前記直列回路を形成する複数のステータコイル同士を結ぶ配線と、他の直列回路を形成する複数のステータコイル同士を結ぶ配線とを、共通の配線により繋いでなる、請求項1から4までの何れか1項記載の永久磁石式同期電動機。
- 前記永久磁石同期電動機は、
ロータの永久磁石からなる磁極の数をn、前記ステータコイルを配置したスロットの数をmとしたとき、
2m/3<n<4m/3の範囲とするとともに、
前記スロット数mを奇数としてなる、請求項1から5までの何れか1項記載の永久磁石式同期電動機。 - 前記スロット数m=15かつ前記磁極数n=14、もしくは
前記スロット数m=27かつ前記磁極数n=22
としてなる、請求項6記載の永久磁石式同期電動機。
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2008
- 2008-10-02 JP JP2008257497A patent/JP2010088271A/ja active Pending
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