JP5257225B2 - ナノインプリント用モールドおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
上記のナノインプリント技術の一つの方法として、光インプリント法が知られている。この光インプリント法では、例えば、基板表面に被加工物として光硬化性の樹脂層を形成し、この樹脂層に所望の凹凸構造を有するモールド(型部材)を押し当てる。そして、この状態でモールド側から樹脂層に紫外線を照射して樹脂層を硬化させ、その後、モールドを樹脂層から引き離す。これにより、モールドが有する凹凸が反転した凹凸構造を被加工物である樹脂層に形成することができる(特許文献2)。このような光インプリントは、従来のフォトリソグラフィ技術では形成が困難なナノメートルオーダーの微細パターンの形成が可能であり、次世代リソグラフィ技術として有望視されている。
また、モールドが有する微細な凹凸構造を、被加工物上の複数箇所へ形成する際には、ステップアンドリピート方式でパターン形成を行う場合がある。従来のモールドを用いた場合、凹凸構造が形成されているパターン領域より外側を通過する光により、凹凸構造を形成すべき部位より外側の樹脂層も露光され、一度のパターン形成で硬化する領域はモールドのパターン領域よりも大きくなる。一方、光硬化性樹脂層が露光され硬化してしまうと、その箇所にはパターン形成が行えない。このため、隣接するパターンが形成された領域間の境界幅を大きく設定せざるを得ないという問題があった。
このような問題を解消するために、パターン領域ではない部位(非パターン領域)に遮光部材を設けたモールドが提案されている(特許文献3)。
しかし、このようなモールドでは、ステップアンドリピート方式でパターン形成を行う場合に、加工前の領域の樹脂が露光され硬化することを防止することは可能であるが、以下のような問題が存在する。まず、モールドの側面に設けた遮光部材による遮光が完全である場合、モールドの圧着時に外側にはみ出した光硬化性の樹脂層は硬化されていないので、モールドが樹脂層から離間した後、未硬化の樹脂層が流動して、転写形成された凹凸構造の部位に流れ込んで欠陥を生じさせるという問題があった。また、モールドの側面に設けた遮光部材による遮光が不完全であり、モールドの側面に接触した部位の光硬化性樹脂層の一部が硬化した場合、その他の硬化した樹脂層との結合力が不十分であるため、基板上の硬化した樹脂側に残らず、離型の際にモールド側へ付着し、結果として異物となり、次の加工領域に欠陥を生じるという問題があった。
H≧(b−a)/2tanθ +d−t 式(1)
H≧W/tanθ+h 式(2)
本発明の他の態様として、凸状となっているパターン領域の長さをaとし、パターン領域の表面から積層膜の表面までの距離をHとし、被加工物へのモールドの押し込み深さをdとし、被加工物の厚みをtとし、凸状となっているパターン領域の外周にはみ出して壁面に接触している被加工物の盛り上がり部の高さをhとし、盛り上がり部の壁面からの幅をWとし、基材の裏面側から照射された光の斜入射成分の最大入射角度をθとし、斜入射成分により露光され硬化した被加工物が基板と接触する長さをbとしたとき、前記非形成部位の幅cを、下記の式(3)、式(4)から算出される範囲のうち、下限値が大きい方の範囲内で設定するような構成とした。
c≧(b−a)/2−(H+t−d)tanθ 式(3)
c≧W−(H−h)tanθ 式(4)
L≧(b−a)/2tanθ +d−t 式(5)
L≧W/tanθ+h 式(6)
本発明の他の態様として、前記壁面遮光膜の光学濃度は2以上であるような構成とした。
H≧(b−a)/2tanθ +d−t 式(1)
H≧W/tanθ+h 式(2)
L≧(b−a)/2tanθ +d−t 式(5)
L≧W/tanθ+h 式(6)
L≧(b−a)/2tanθ +d−t 式(5)
L≧W/tanθ+h 式(6)
下記の式(3)、式(4)から算出される値のうち、大きい方の値を幅cの下限値とし、被加工物の意図しない部位の露光が抑制できる範囲内で幅cを設定するような構成とした。
c≧(b−a)/2−(H+t−d)tanθ 式(3)
c≧W−(H−h)tanθ 式(4)
c≧(b−a)/2−(H+t−d)tanθ 式(3)
c≧W−(H−h)tanθ 式(4)
さらに、段差をなす壁面に壁面遮光膜を備える場合には、モールドと被加工物との界面に存在する凹凸パターンにおいて反射(散乱)された光のうち、壁面に接触する被加工物に照射されずに、段差をなす壁面から出射しようとする光が上記の壁面遮光膜により遮蔽され出射が抑制されるので、被加工物の意図しない部位への露光が更に確実に抑制される。
[ナノインプリント用モールド]
図1は本発明のナノインプリント用モールドの一実施形態を示す平面図であり、図2は図1のI−I矢視断面図である。図1および図2において、ナノインプリント用モールド1は、透明な基材2を有し、この基材2の表面2a側は、パターン領域4と、このパターン領域4の周囲に位置する非パターン領域5(図1では斜線を付して示している)とに画定されている。基材2のパターン領域4の表面2aは非パターン領域5の表面2a′に対して段差6を介し凸状となっており、壁面2cが表面2a′から立ち上がっている。また、基材2のパターン領域4の表面2aは凹凸パターン3を備え、基材2の非パターン領域4の表面2a′は遮光膜8と機能性膜9がこの順序で積層されてなる積層膜7で被覆されており、機能性膜9は光吸収膜または低反射膜である。
ナノインプリント用モールド1の積層膜7を構成する遮光膜8は、基材2の裏面2bから非パターン領域5に照射された光(以下、照射光を紫外線として説明する)を遮蔽するための部材であり、波長が200〜400nm程度の紫外線に対して光学濃度(OD)が2以上、好ましくは3以上の薄膜である。この遮光膜8の材質としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、錫、亜鉛等の金属、シリコン等を挙げることができ、また、これらの酸化物、窒化物、合金等も使用することができる。また、複数の膜を積層して遮光膜8としてもよい。このような遮光膜8の厚みや層構成、組成比等は、上記の光学濃度を満たすように設定することができる。
積層膜7を構成する機能性膜9が光吸収膜である場合、例えば、紫外線を吸収する作用がある二酸化ジルコニウム、酸化セリウム等の無機材料、トリアジン化合物、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の有機材料の1種であってよく、また、これらの2種以上の組み合わせからなるものであってよい。また、酸化亜鉛、酸化チタン等の微粒子をバインダ樹脂中に含有させたものであってもよい。このような光吸収膜の厚みは、例えば、波長が200〜400nm程度の紫外線に対する光吸収率が70%以上、好ましくは80%以上となるように設定することができる。
さらに、低反射膜は、その表面(遮光膜8との界面とは反対側の面)に被吸収光の波長以下の微細な凹凸構造を有するものであってもよい。
tanθ≧[(b−a)/2]/(H+t−d)
=(b−a)/2(H+t−d) 式(1′)
tanθ≧W/(H−h) 式(2′)
H≧(b−a)/2tanθ +d−t 式(1)
H≧W/tanθ+h 式(2)
上記と同様に、モールド1′と樹脂層33との離型時の力学的バランスを考慮した幅cの設定について説明する。この場合、図5および図6に示されるように、積層膜7の内側の端部を点xとし、点xから基板32へ下ろした垂線と基板32の交点yと、露光最大領域の端部zとからなる直角三角形xyzを想定すると、下記の式(3′)が成立する。
tanθ≧[(b−a)/2−c]/(H+t−d)
=(b−a−2c)/2(H+t−d) 式(3′)
tanθ≧(W−c)/(H−h) 式(4′)
上記の式(3′)、式(4′)をcを左辺として整理すると、下記の式(3)、式(4)となる。
c≧(b−a)/2−(H+t−d)tanθ 式(3)
c≧W−(H−h)tanθ 式(4)
図7に示されるように、基板32の表面に被加工物として配設された光硬化性の樹脂層33に、ナノインプリント用モールド1の凸状のパターン領域4を所定の深さまで押し込む。そして、この状態で照明光学系(図示せず)からナノインプリント用モールド1の裏面2bに紫外線を照射し、ナノインプリント用モールド1を透過した紫外線により樹脂層33を硬化させる。
その後、図8に示すように、ナノインプリント用モールド1を樹脂層33から引き離すことにより、ナノインプリント用モールド1が有する凹凸パターン3が反転した凹凸構造34が被加工物である樹脂層33に転写形成される。この際、上記のように、モールド1の周辺の樹脂層33が硬化されているので、ナノインプリント後の樹脂層33の硬化部位とモールド1との離型が安定したものとなる。特に、盛り上がり部33′も周辺の樹脂層と同様に硬化され、しかも未硬化領域を介することなく連続し一体化している。これにより、モールド1に樹脂層33の一部が異物35(図8に鎖線で表示している)として付着したり、モールド1とともに樹脂層33が基板32から剥離することが防止される。
また、ナノインプリント用モールド11を構成する積層膜17(遮光膜18と機能性膜19)は、上述のナノインプリント用モールド1を構成する積層膜7(遮光膜8と機能性膜9)と同様とすることができ、ここでの説明は省略する。
ナノインプリント用モールド11を構成する壁面遮光膜20は、被加工物を硬化させるために使用する照射光によって被加工物の意図しない部位が露光されるのを抑制するものであり、例えば、波長が200〜400nm程度の光に対する光学濃度(OD)が2以上、好ましくは3以上の薄膜であり、例えば、上述の遮光膜8で挙げたような材料からなるものであってよい。また、壁面遮光膜20の厚みは、その光遮蔽性を考慮して適宜設定することができる。
また、図11では、凸状となっているパターン領域14の長さをaとし、凸状となっているパターン領域14の外周にはみ出して壁面12cに接触している樹脂層33の盛り上がり部33′の高さ(パターン領域14の表面12aからの高さ)をhとし、盛り上がり部33′の壁面12cからの幅をWとしている。さらに、斜入射成分の最大入射角度をθとし、樹脂層33に照射される斜入射成分により露光され硬化した被加工物が基板32と接触する長さをbとしている。
tanθ≧[(b−a)/2]/(L+t−d)
=(b−a)/2(L+t−d) 式(5′)
次に、上記のモールド1の場合と同様に、はみ出した樹脂層33(盛り上がり部33′)を硬化させることを考慮した距離Lの設定について説明する。すなわち、図11に示されるように、上記の点xと、盛り上がり部33′が壁面12cに接触する最高点y′と、点z′(盛り上がり部33′の高さhと同じで、壁面からの距離は幅Wと同じ点)とからなる直角三角形xy′z′を想定すると、下記の式(6′)が成立する。
tanθ≧W/(L−h) 式(6′)
L≧(b−a)/2tanθ +d−t 式(5)
L≧W/tanθ+h 式(6)
図12に示されるように、基板32の表面に被加工物として配設された樹脂層33に、ナノインプリント用モールド11の凸状のパターン領域14を所定の深さdまで押し込む。そして、この状態で照明光学系(図示せず)からナノインプリント用モールド11の裏面12bに紫外線を照射し、ナノインプリント用モールド11を透過した紫外線により樹脂層33を硬化させる。
その後、ナノインプリント用モールド11を樹脂層33から離型する。この際、上記のように、モールド11の周辺の樹脂層33が硬化されているので、ナノインプリント後の樹脂層33の硬化部位とモールド11との離型が安定し、モールド11とともに樹脂層33が基板32から剥離することが防止される。特に、樹脂層の盛り上がり部も周辺の樹脂層と同様に硬化され、しかも未硬化領域を介することなく連続し一体化している。これにより、ナノインプリント用モールド11が有する凹凸パターン13が反転した凹凸構造が被加工物である樹脂層33に転写形成される。
上述の実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
次に、本発明のナノインプリント用モールドの製造方法について説明する。
本発明で製造するナノインプリント用モールドは、上述の図2、図5、図9に例示されるような本発明のナノインプリント用モールドであり、透明な基材2,12と、この基材2,12の表面2a,12a側に画定されたパターン領域4,14と、パターン領域4,14の周囲に位置する非パターン領域5,15とを有し、基材2,12のパターン領域4,14の表面2a,12aは非パターン領域の表面2a′,12a′に対して段差6,16を介し凸状である。また、基材2,12のパターン領域4,14の表面2a,12aは凹凸パターン3,13を備え、基材2,12の非パターン領域5,15の表面2a′,12a′は、基材2,12側から遮光膜8,18と機能性膜9,19がこの順序で積層されてなる積層膜7,17で被覆されており、機能性膜は光吸収膜または低反射膜である。
そして、本発明では、凸状となっているパターン領域の長さaと、被加工物へのモールドの押し込み深さdと、被加工物の厚みtと、凸状となっているパターン領域の外周にはみ出して壁面に接触している被加工物の盛り上がり部の高さhと、この盛り上がり部の壁面からの幅Wと、基材の裏面側から照射される光が斜入射成分を有する場合の最大入射角度θと、斜入射成分により露光され硬化された被加工物が基板と接触する長さbとを、予め設定して、上記の距離Hの設計、または、距離Hと距離Lの設計、または、距離Hと幅cの設計を行うものである。
(ステップS−1)
まず、照射光が斜入射成分(最大入射角度θ)を有しているかを判断する。
照射光が斜入射成分を有している場合、下記の式(1)、式(2)から算出される値のうち、大きい方の値を距離Hの下限値とする。尚、下記式の変数a、b、d、h、t、Wは、パターン領域の大きさや樹脂層の粘性など、ナノインプリント用モールドを用いてパターンを形成するにあたって最初に決められるべき設計事項により決定される。特にaはパターン領域の大きさであるため、自ずと値が与えられる変数である。また、tは使用する樹脂の粘度や塗布方法によって決定付けられる。その他の変数はaやWの他にも転写樹脂の粘度、更にはパターンの深さや、モールドの押し込み圧力、パターン密度、樹脂層と基板との密着性、樹脂層とモールドとの密着性、斜入射成分θ等から予め設定することができる。以下の式(3)、式(4)を用いる場合、式(5)、式(6)を用いる場合も同様である。
H≧(b−a)/2tanθ +d−t 式(1)
H≧W/tanθ+h 式(2)
ステップS−2で得られた距離Hの下限値が、使用するナノインプリント装置が許容し得るパターン領域4,14の表面2a,12aから積層膜7,17の表面までの距離H0を超えたり、モールドとして作製不可能な値であるというような問題がないかを判断する。
ステップS−3で問題なしと判断された場合、ステップS−2で得られた値を下限値とし、距離H0およびモールドとして作製可能な値の範囲内で距離Hを設定する。
作製するモールドが、段差16をなす壁面12cに壁面遮光膜20を備えるものであるかを判断する。壁面遮光膜を備えない態様であれば、幅c、距離Lの設計は不要であり、図2に示されるようなナノインプリント用モールドの距離Hの設計が完了する(END)。
ステップS−5において、作製するモールドが壁面遮光膜を備える態様と判断したときは、下記の式(5)、式(6)から算出される値のうち、大きい方の値を距離Lの下限値とする。
L≧(b−a)/2tanθ +d−t 式(5)
L≧W/tanθ+h 式(6)
ステップS−6で得られた距離Lの下限値が、ステップS−4で設定された距離Hよりも小さいか判断する。
ステップS−7で距離Lが距離Hより小さいと判断された場合、ステップS−6で得られた値を下限値とし、距離Hよりも小さく、さらに、被加工物の意図しない部位の露光が抑制できる範囲内で距離Lを設定する。これにより、図9に示されるようなナノインプリント用モールドの距離Hおよび距離Lの設計が完了する(END)。
ステップS−7で距離Lが距離H以上であると判断された場合、図9に示されるようなナノインプリント用モールドの製造は不可能であり、図5に示されるようなナノインプリント用モールドに必要な距離Hと幅cの設計に移る。すなわち、下記の式(3)、式(4)から算出される値のうち、大きい方の値を幅cの下限値とする。
c≧(b−a)/2−(H+t−d)tanθ 式(3)
c≧W−(H−h)tanθ 式(4)
ステップS−9で得られた値を下限値とし、被加工物の意図しない部位の露光が抑制できる範囲内で幅cを設定する。これにより、図5に示されるようなナノインプリント用モールドの距離Hおよび幅cの設計が完了する(END)。
ステップS−1で照射光が斜入射成分を有していないと判断された場合、および、ステップS−3で問題ありと判断された場合、図2および図9に示されるようなナノインプリント用モールドの製造は不可能であり、図5に示されるようなナノインプリント用モールドに必要な距離Hと幅cの設計に移る。すなわち、まず、使用するナノインプリント装置が許容し得る距離H0(パターン領域4,14の表面2a,12aから積層膜7,17の表面までの距離)を超えない範囲で、かつ、モールドとして作製可能な範囲で、距離Hを仮設定する。
ステップS−11で仮設定された距離Hに基づいて、ステップ9と同様に、上記の式(3)、式(4)から算出される値のうち、大きい方の値を幅cの下限値とする。
ステップS−12で得られた値を下限値とし、被加工物の意図しない部位の露光が抑制できる範囲内で幅cを設定し、これに対応する距離Hを上記の式(3)、式(4)から逆算により決定する。これにより、図5に示されるようなナノインプリント用モールドの距離Hおよび幅cの設計が完了する(END)。尚、この幅cの下限値は、ステップS−11で仮設定した距離Hにより変動するので、ステップS−11で距離Hを仮設定せず、被加工物の意図しない部位の露光が抑制できる範囲内で先に幅cを設定し、上記の式(3)、式(4)から逆算により距離Hを決定してもよい。
すなわち、透明な基材の表面にレジストを塗布し、これを電子線描画装置、レーザー描画装置、ステッパー、スキャナー等の、モールドに形成したいパターン形状でレジストを感光させることが可能な装置内のステージ上に、基材の裏面がステージと対向するように配置し、レジストに電子線等を照射して、所望のパターン潜像を形成する。この場合、基材の表面に予めクロム薄膜等、基材をエッチングする際のマスクとなる薄膜を成膜してもよい。基材としては、上述のナノインプリント用モールドの説明で挙げた基材材料を使用することができる。
次に、レジストを現像してレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとしてエッチングにより基材に凹凸パターンを形成する。
次に、レジストパターンをそのまま残して、基材の表面から遮光膜と機能性膜を順次成膜して積層膜を形成し、その後、レジストパターンを除去すると同時に不要な積層膜を除去して、非パターン領域のみに積層膜を形成する。これにより、図2に示されるようなナノインプリント用モールドを製造することができる。尚、遮光膜と機能性膜は、上述のナノインプリント用モールドの説明で記述したような材料を使用し、真空成膜方法、塗布液の塗布・乾燥による成膜方法等によって形成することができる。
次いで、この基材の表面(パターン領域および非パターン領域)にレジスト組成物を塗布し、所定のフォトマスクを介して露光し現像することにより、凹凸パターンが形成されたパターン領域と、段差をなす壁面と、この壁面から非パターン領域へ幅cで入り込んだ部位と、を被覆するようにレジストパターンを形成する。この幅cは上記のように設計したものである。露光はフォトマスクを用いる光露光の他に、上述の電子線描画装置、レーザー露光装置等を用いてもよい。その後、このレジストパターンをマスクとして、基材の表面から遮光膜と機能性膜を順次成膜して積層膜を形成し、その後、レジストパターンを除去すると同時に不要な積層膜を除去して、非パターン領域のみに積層膜を形成する。これにより、積層膜に幅cの非形成部位が存在する図5に示されるようなナノインプリント用モールドを製造することができる。
次いで、この基材の表面(凹凸パターンを有するパターン領域、積層膜が形成された非パターン領域)にレジスト組成物を塗布し、所定のフォトマスクを介して露光し現像して、段差をなす壁面のうち、積層膜の表面から基材の表面方向に所定の幅の帯状領域が露出するようなレジストパターンを形成する。露光はフォトマスクを用いる光露光の他に、上述の電子線描画装置、レーザー露光装置等を用いてもよい。この帯状領域の幅は、上記のように設計した距離Hと距離Lとの差として決定される。
上述の実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
2,12…基材
2c、12c…段差をなす壁面
3,13…凹凸パターン
4,14…パターン領域
5,15…非パターン領域
5a…非形成部位
6,16…段差
7,17…積層膜
8,18…遮光膜
9,19…機能性膜(光吸収膜または低反射膜)
20…壁面遮光膜
Claims (12)
- 透明な基材と、該基材の表面側に画定されたパターン領域と該パターン領域の周囲に位置する非パターン領域とを有し、前記基材の前記パターン領域の表面は前記非パターン領域の表面に対して段差を介し凸状であり、かつ、前記基材の前記パターン領域の表面は凹凸パターンを備え、前記基材の前記非パターン領域の表面は基材側から遮光膜と機能性膜がこの順序で積層されてなる積層膜で被覆されており、該機能性膜は光吸収膜または低反射膜であることを特徴としたナノインプリント用モールド。
- 凸状となっているパターン領域の長さをaとし、被加工物へのモールドの押し込み深さをdとし、被加工物の厚みをtとし、凸状となっているパターン領域の外周にはみ出して壁面に接触している被加工物の盛り上がり部の高さをhとし、盛り上がり部の壁面からの幅をWとし、基材の裏面側から照射された光の斜入射成分の最大入射角度をθとし、斜入射成分により露光され硬化した被加工物が基板と接触する長さをbとしたとき、パターン領域の表面から積層膜の表面までの距離Hを、下記の式(1)、式(2)から算出される範囲のうち、下限値が大きい方の範囲内となるように設定することを特徴とした請求項1に記載のナノインプリント用モールド。
H≧(b−a)/2tanθ +d−t 式(1)
H≧W/tanθ+h 式(2) - 前記積層膜は前記段差をなす壁面との間に所定の幅で非形成部位を設けるように前記非パターン領域を被覆していることを特徴とした請求項1に記載のナノインプリント用モールド。
- 凸状となっているパターン領域の長さをaとし、パターン領域の表面から積層膜の表面までの距離をHとし、被加工物へのモールドの押し込み深さをdとし、被加工物の厚みをtとし、凸状となっているパターン領域の外周にはみ出して壁面に接触している被加工物の盛り上がり部の高さをhとし、盛り上がり部の壁面からの幅をWとし、基材の裏面側から照射された光の斜入射成分の最大入射角度をθとし、斜入射成分により露光され硬化した被加工物が基板と接触する長さをbとしたとき、前記非形成部位の幅cを、下記の式(3)、式(4)から算出される範囲のうち、下限値が大きい方の範囲内で設定することを特徴とした請求項3に記載のナノインプリント用モールド。
c≧(b−a)/2−(H+t−d)tanθ 式(3)
c≧W−(H−h)tanθ 式(4) - 前記段差をなす壁面には、前記非パターン領域を被覆している前記積層膜に接するように壁面遮光膜が形成されており、該壁面遮光膜の前記基材の表面側となる端部は前記パターン領域の基材の表面まで所定の距離Lを設けるように配設されていることを特徴とした請求項1に記載のナノインプリント用モールド。
- 凸状となっているパターン領域の長さをaとし、被加工物へのモールドの押し込み深さをdとし、被加工物の厚みをtとし、凸状となっているパターン領域の外周にはみ出して壁面に接触している被加工物の盛り上がり部の高さをhとし、盛り上がり部の壁面からの幅をWとし、基材の裏面側から照射された光の斜入射成分の最大入射角度をθとし、斜入射成分により露光され硬化した被加工物が基板と接触する長さをbとしたとき、壁面遮光膜の端部からパターン領域の基材の表面までの前記距離Lを、下記の式(5)、式(6)から算出される範囲のうち、下限値が大きい方の範囲内で、かつ、パターン領域の表面から積層膜の表面までの距離H未満となるように設定することを特徴とした請求項5に記載のナノインプリント用モールド。
L≧(b−a)/2tanθ +d−t 式(5)
L≧W/tanθ+h 式(6) - 前記壁面遮光膜の光学濃度は2以上であることを特徴とした請求項5または請求項6に記載のナノインプリント用モールド。
- 透明な基材と、該基材の表面側に画定されたパターン領域と該パターン領域の周囲に位置する非パターン領域とを有し、前記基材の前記パターン領域の表面は前記非パターン領域の表面に対して段差を介し凸状であり、かつ、前記基材の前記パターン領域の表面は凹凸パターンを備え、前記基材の前記非パターン領域の表面は基材側から遮光膜と機能性膜がこの順序で積層されてなる積層膜で被覆されており、該機能性膜は光吸収膜または低反射膜であるナノインプリント用モールドの製造方法の製造方法において、
凸状となっているパターン領域の表面から積層膜の表面までの距離をHとし、段差をなす壁面との間に所定の幅で非形成部位が存在するように積層膜を非パターン領域に形成する場合の非形成部位の幅をcとし、段差をなす壁面に前記積層膜に接するように壁面遮光膜を形成する場合の壁面遮光膜の端部からパターン領域の基材の表面までの距離をLとしたときに、予め、凸状となっているパターン領域の長さと、被加工物へのモールドの押し込み深さと、被加工物の厚みと、凸状となっているパターン領域の外周にはみ出して壁面に接触している被加工物の盛り上がり部の高さと、該盛り上がり部の壁面からの幅と、基材の裏面側から照射される光が斜入射成分を有する場合の最大入射角度と、斜入射成分により露光され硬化された被加工物が基板と接触する長さとを設定して、距離Hの設計、または、距離Hと距離Lの設計、または、距離Hと幅cの設計を行う工程を有することを特徴としたナノインプリント用モールドの製造方法。 - 前記距離Hの設計は、照射光が斜入射成分を有している場合に行われ、
凸状となっているパターン領域の長さをaとし、被加工物へのモールドの押し込み深さをdとし、被加工物の厚みをtとし、凸状となっているパターン領域の外周にはみ出して壁面に接触している被加工物の盛り上がり部の高さをhとし、盛り上がり部の壁面からの幅をWとし、基材の裏面側から照射される光の斜入射成分の最大入射角度をθとし、斜入射成分により露光され硬化された被加工物が基板と接触する長さをbとしたとき、前記距離Hの下限値を、下記の式(1)、式(2)から算出される値のうち、大きい方の値とし、使用するナノインプリント装置が許容し得るパターン領域の表面から積層膜の表面までの距離以下で、かつ、モールドとして作製可能な値の範囲となるように前記距離Hを設定することを特徴とした請求項8に記載のナノインプリント用モールドの製造方法。
H≧(b−a)/2tanθ +d−t 式(1)
H≧W/tanθ+h 式(2) - 前記距離Lの設計は、下記の式(5)、式(6)から算出される値のうち、大きい方の値を前記距離Lの下限値とし、該下限値が前記距離Hより小さいときに、前記距離Hよりも小さく、かつ、被加工物の意図しない部位の露光が抑制できる範囲内で距離Lを設定することを特徴とした請求項9に記載のナノインプリント用モールドの製造方法。
L≧(b−a)/2tanθ +d−t 式(5)
L≧W/tanθ+h 式(6) - 幅cの設計は、下記の式(5)、式(6)から算出される値のうち、大きい方の値を前記距離Lの下限値としたときに、該下限値が前記距離H以上である場合に行われ、
L≧(b−a)/2tanθ +d−t 式(5)
L≧W/tanθ+h 式(6)
下記の式(3)、式(4)から算出される値のうち、大きい方の値を幅cの下限値とし、被加工物の意図しない部位の露光が抑制できる範囲内で幅cを設定することを特徴とした請求項9に記載のナノインプリント用モールドの製造方法
c≧(b−a)/2−(H+t−d)tanθ 式(3)
c≧W−(H−h)tanθ 式(4) - 幅cの設計は、照射光が斜入射成分を有していない場合、または、照射光が斜入射成分を有している場合であって、凸状となっているパターン領域の長さをaとし、被加工物へのモールドの押し込み深さをdとし、被加工物の厚みをtとし、凸状となっているパターン領域の外周にはみ出して壁面に接触している被加工物の盛り上がり部の高さをhとし、盛り上がり部の壁面からの幅をWとし、基材の裏面側から照射される光の斜入射成分の最大入射角度をθとし、斜入射成分により露光され硬化された被加工物が基板と接触する長さをbとしたとき、前記距離Hの下限値を、下記の式(1)、式(2)から算出される値のうち、大きい方の値とし、該下限値が、使用するナノインプリント装置が許容し得るパターン領域の表面から積層膜の表面までの距離を超えたり、モールドとして作製不可能な値である場合に行われ、
使用するナノインプリント装置が許容し得るパターン領域の表面から積層膜の表面までの距離以下で、かつ、モールドとして作製可能な値の範囲となるように前記距離Hを仮設定し、該仮設定の距離Hを用いて下記の式(3)、式(4)から算出される値のうち、大きい方の値を幅cの下限値とし、被加工物の意図しない部位の露光が抑制できる範囲内で幅cを設定し、設定した幅cに対応する距離Hを上記の式(3)、式(4)から逆算により決定することを特徴とした請求項8に記載のナノインプリント用モールドの製造方法
c≧(b−a)/2−(H+t−d)tanθ 式(3)
c≧W−(H−h)tanθ 式(4)
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