[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP4633833B2 - インク組成物、インクセット、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インク組成物、インクセット、及びインクジェット記録方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4633833B2
JP4633833B2 JP2008233988A JP2008233988A JP4633833B2 JP 4633833 B2 JP4633833 B2 JP 4633833B2 JP 2008233988 A JP2008233988 A JP 2008233988A JP 2008233988 A JP2008233988 A JP 2008233988A JP 4633833 B2 JP4633833 B2 JP 4633833B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
ink composition
group
pigment
mft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008233988A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010065170A (ja
Inventor
輝一 柳
孝宏 石塚
顕夫 田村
考浩 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2008233988A priority Critical patent/JP4633833B2/ja
Priority to US12/543,522 priority patent/US8530543B2/en
Publication of JP2010065170A publication Critical patent/JP2010065170A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4633833B2 publication Critical patent/JP4633833B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • C09D11/40Ink-sets specially adapted for multi-colour inkjet printing
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • C09D11/32Inkjet printing inks characterised by colouring agents
    • C09D11/324Inkjet printing inks characterised by colouring agents containing carbon black
    • C09D11/326Inkjet printing inks characterised by colouring agents containing carbon black characterised by the pigment dispersant
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/54Inks based on two liquids, one liquid being the ink, the other liquid being a reaction solution, a fixer or a treatment solution for the ink
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K5/00Use of organic ingredients
    • C08K5/04Oxygen-containing compounds
    • C08K5/06Ethers; Acetals; Ketals; Ortho-esters

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Description

本発明は、インクジェット法でインクを吐出して画像を記録するのに好適なインク組成物、並びにこれを用いたインクセット及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、インクジェットヘッドに設けられた多数のノズルからインクを液滴状に吐出することによって記録を行なうものであり、多種多様な記録媒体に対して高品位な画像を記録し得ること等から広く利用されている。
インクジェット記録方法には、インクと該インクを凝集させる処理液との2液を反応させてインクを凝集させることにより、インクの定着を促進させる2液反応型の記録方法が知られている。例えば、顔料及び樹脂エマルジョンを含むインク組成物と多価金属塩を含む反応液とを記録媒体上に付着させるインクジェット記録方法が知られており、画像の滲み、画像ムラを抑制することができるとされている(例えば、特許文献1参照)。
一方、普通紙などに記録を行なうにあたって、発色濃度以外にも、定着性(例えば擦過耐性)、解像度などにおいて、充分な性能が得られていない場合がある。特に、インクジェット記録を高速化する場合が挙げられ、シャトルスキャン方式ではなく、1回のヘッド操作で記録可能なシングルパス方式で高速記録する場合の記録適性が求められるようになってきている。
また、記録後は、回収や保管など種々の場面で記録された画像部の上に紙等が重ねられることがあるが、画像部上に重ねられた紙等との間でくっつき等の接着が生じると画像が損傷したり取扱い性を損なう等の種々の問題が生じる。くっつき等のない画像を得るには、含まれる樹脂成分の造膜温度やTg(ガラス転移温度)などを高くする等の方法が考えられるが、Tg等を高めると耐擦性等の定着性能を得るための熱処理に要する温度が高くなり、定着時の熱エネルギー消費が大きくなる。
上記に関連して、最低造膜温度が50℃以上の樹脂エマルジョンを含むインクを用い、表面温度を樹脂エマルジョンの最低像膜温度以上に加熱した転写媒体上にインク像を書き込む工程と、インク像の溶媒成分を転写媒体上で蒸発する工程と、転写媒体上のインク像を記録媒体に転写する転写工程を経るインクジェット記録方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平9−207424号公報 特開平7−32721号公報
上記のインクジェット記録方法では、インク中に最低造膜温度が50℃以上の樹脂エマルジョンを含むため、ある程度の耐擦性を有する画像が得られると考えられるものの、最低像膜温度以上に加熱する必要があり、省熱エネルギー化は図れない。
熱エネルギーの消費を抑えるために、樹脂成分の最低造膜温度を単に下げると、熱の消費は抑えられても、記録画像にべとつきが生じてしまう。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、画像部でのブロッキングの発生が抑制され、耐擦過性に優れた画像を記録することができるインク組成物、並びにこれを用いたインクセット及びインクジェット記録方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
本発明は、画像記録の段階では、インク中のポリマー粒子の最低造膜温度(以下、単にMFT(Minimum Filming Temperature)と略記することがある。)を低めに維持し、記録後は経時や乾燥等の際の加熱でポリマー粒子のMFTが高い側に変化する構成にすることで、省熱エネルギー化しながらも画像部のくっつき防止(ブロッキング性)と擦過耐性を両立できるとの知見を得、かかる知見に基づいて達成されたものである。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 色材と、
ポリプロピレンオキシアルキルエーテルとエチレンオキシアルキルエーテル及びプロピレンオキシアルキルエーテルから選ばれる有機溶剤とを含む少なくとも2種の親水性有機溶剤と、芳香族基含有モノマーに由来する構成単位及び解離性基含有モノマーに由来する構成単位を有すると共に、水分散物としたときの最低造膜温度(MFTdisp)が60℃以上であり、ポリマー固形分に対して25質量%の量の前記親水性有機溶剤及び水と混合した混合液としたときのMFTが前記水分散物中におけるMFTdispより40℃以上低いポリマー粒子と、水とを含むインク組成物である。
<2> 前記ポリプロピレンオキシアルキルエーテルが、ポリプロピレンオキシグリセリルエーテルである前記<1>に記載のインク組成物である。
<3> 前記エチレンオキシアルキルエーテル及びプロピレンオキシアルキルエーテルの少なくとも一方は、アルキル部位が炭素数1〜4である前記<1>又は前記<2>に記載のインク組成物である。
<4> 前記ポリマー粒子は、更に、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルに由来する構造単位を有する前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載のインク組成物である。
<5> 前記解離性基含有モノマーに由来する構成単位が、アニオン性の解離基を含む解離性基含有モノマーに由来する構成単位である前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載のインク組成物である。
> 前記色材が、顔料であることを特徴とする前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載のインク組成物である。
> 前記色材が、ポリマー分散剤で被覆された顔料であることを特徴とする前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載のインク組成物である。
> 前記ポリマー粒子が、自己分散性ポリマー粒子であることを特徴とする前記<1>〜前記<>のいずれか1つに記載のインク組成物である
9> 前記<1>〜前記<8>のいずれか1つに記載のインク組成物と、前記インク組成物と接触することで凝集体を形成可能な処理液とを含むインクセットである。
<10> 前記処理液が、2価以上のカルボン酸又は2価以上のカチオン性有機化合物を含むことを特徴とする前記<9>に記載のインクセットである。
<11> 前記<1>〜前記<8>のいずれか1つに記載のインク組成物を記録媒体にインクジェット法で付与するインク付与工程と、前記インク組成物と接触することで凝集体を形成可能な処理液を記録媒体に付与する処理液付与工程と、を有するインクジェット記録方法である。
<12> 更に、前記インク組成物の付与により形成されたインク画像に加熱面を接触させて加熱定着する加熱定着工程を有することを特徴とする前記<11>に記載のインクジェット記録方法である。
<13> 前記インク付与工程は、少なくとも2種の前記インク組成物を、各インク組成物間の打滴間隔を1秒以下にしてライン方式により吐出し、画像を記録することを特徴とする前記<11>又は前記<12>に記載のインクジェット記録方法である。
<14> 前記記録媒体は、水の吸収係数Kaが0.05〜0.5mL/m・ms1/2であることを特徴とする前記<11>〜前記<13>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
本発明によれば、画像部でのブロッキングの発生が抑制され、耐擦過性に優れた画像を記録することができるインク組成物、並びにこれを用いたインクセット及びインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、本発明のインク組成物、並びにこれを用いた本発明のインクセット及びインクジェット記録方法について詳細に説明する。
<インク組成物>
本発明のインク組成物は、色材、親水性有機溶剤、ポリマー粒子、及び水を少なくとも含み、前記親水性有機溶剤として、ポリプロピレンオキシアルキルエーテルとエチレンオキシアルキルエーテル及び/又はプロピレンオキシアルキルエーテルとを含む少なくとも2種の親水性有機溶剤を、また前記ポリマー粒子として、芳香族基含有モノマーに由来する構成単位及び解離性基含有モノマーに由来する構成単位を有すると共に、水分散物としたときの最低造膜温度(MFTdisp)が60℃以上であって、ポリマー固形分に対して25質量%の量の前記親水性有機溶剤及び水と混合した混合液としたときのMFT(以下、「MFT25%aq」と略記することがある。)が水分散物中におけるMFTdisp(最低造膜温度)より40℃以上低いポリマー粒子を用いて構成されたものである。
また、本発明のインク組成物は、必要に応じて、更に分散剤や界面活性剤、その他の成分を用いて構成することができる。
本発明においては、粒子状の樹脂成分として、親水性有機溶剤が含まれる水溶液中と水分散物中とにおけるMFTがMFTdisp−MFT25%aq≧40℃を満たすように変化するポリマー粒子を用いた構成にすることで、有機溶剤が含まれるインク組成物中ではポリマー粒子の最低造膜温度(MFT)を低めに維持し、吐出により記録媒体に着滴した後は、インク溶媒が記録媒体に吸収される等、記録後の経時や乾燥等でインク溶剤がインク中から抜け出てポリマー粒子のMFTが上昇する構成にするので、比較的MFTやガラス転移点(Tg)の低いポリマー粒子を用いて擦過性等の定着性能を低熱エネルギーで確保しながらも、ブロッキングの発生が抑えられた画像を得ることができる。
(色材)
本発明のインク組成物は、色材の少なくとも1種を含有する。
色材としては、公知の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。中でも、インク着色性の観点から、水に殆ど不溶であるか、又は難溶である色材であることが好ましい。具体的には例えば、各種顔料、分散染料、油溶性染料、J会合体を形成する色素等を挙げることができ、顔料であることがより好ましい。
本発明においては、水不溶性の顔料自体または分散剤で表面処理された顔料自体を色材とすることができる。
本発明における顔料としては、その種類に特に制限はなく、従来公知の有機及び無機顔料を用いることができる。例えば、アゾレーキ、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、酸化チタン、酸化鉄系、カーボンブラック系等の無機顔料が挙げられる。また、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても水相に分散可能であれば、いずれも使用できる。更に、前記顔料を界面活性剤や高分子分散剤等で表面処理したものや、グラフトカーボン等も勿論使用可能である。前記顔料のうち、特に、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、カーボンブラック系顔料を用いることが好ましい。
本発明に用いられる有機顔料の具体的な例を以下に示す。
オレンジ又はイエロー用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメント・オレンジ31、C.I.ピグメント・オレンジ43、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー13、C.I.ピグメント・イエロー14、C.I.ピグメント・イエロー15、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・イエロー93、C.I.ピグメント・イエロー94、C.I.ピグメント・イエロー128、C.I.ピグメント・イエロー138、C.I.ピグメント・イエロー151、C.I.ピグメント・イエロー155、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185等が挙げられる。
マゼンタまたはレッド用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメント・レッド2、C.I.ピグメント・レッド3、C.I.ピグメント・レッド5、C.I.ピグメント・レッド6、C.I.ピグメント・レッド7、C.I.ピグメント・レッド15、C.I.ピグメント・レッド16、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド53:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド123、C.I.ピグメント・レッド139、C.I.ピグメント・レッド144、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド166、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド178、C.I.ピグメント・レッド222C.I.ピグメント・バイオレット19等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメント・ブルー15、C.I.ピグメント・ブルー15:2、C.I.ピグメント・ブルー15:3、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー16、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・グリーン7、米国特許4311775号明細書に記載のシロキサン架橋アルミニウムフタロシアニン等が挙げられる。
ブラック用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメント・ブラック1、C.I.ピグメント・ブラック6、C.I.ピグメント・ブラック7等が挙げられる。
〜分散剤〜
本発明における着色材が顔料である場合、分散剤によって水系溶媒に分散されていることが好ましい。分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。また、ポリマー分散剤としては水溶性の分散剤でも非水溶性の分散剤の何れでもよい。
前記低分子の界面活性剤型分散剤(以下、「低分子分散剤」ということがある)は、インクを低粘度に保ちつつ、有機顔料を水溶媒に安定に分散させる目的で添加することができる。ここでいう低分子分散剤は、分子量2000以下の低分子分散剤である。また、低分子分散剤の分子量は、100〜2000が好ましく、200〜2000がより好ましい。
前記低分子分散剤は、親水性基と疎水性基とを含む構造を有している。また、親水性基と疎水性基は、それぞれ独立に1分子に1以上含まれていればよく、また、複数種類の親水性基、疎水性基を有していてもよい。また、親水性基と疎水性基を連結するための連結基も適宜有することができる。
親水性基としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、あるいはこれらを組み合わせたベタイン型等を挙げることができる。
アニオン性基は、マイナスの電荷を有するものであれば特に制限はないが、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基またはカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基またはカルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることがさらに好ましい。
カチオン性基は、プラスの電荷を有するものであれば特に制限はないが、有機のカチオン性置換基であることが好ましく、窒素またはリンを含むカチオン性基であることがより好ましく、窒素を含むカチオン性基であることが更に好ましい。中でも、ピリジニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであることが特に好ましい。
ノニオン性基は、マイナスまたはプラスの電荷を有しないものであれば特に制限はない。例えば、ポリアルキレンオキシド、ポリグリセリン、糖ユニットの一部等が挙げられる。
本発明においては、顔料の分散安定性と凝集性の観点から、親水性基がアニオン性基であることが好ましい。
また、低分子分散剤がアニオン性の親水性基を有する場合、酸性の処理液と接触させて凝集反応を促進させる観点から、そのpKaは3以上であることが好ましい。本発明における低分子分散剤のpKaはテトラヒドロフラン−水=3:2(V/V)溶液に低分子分散剤1mmol/Lに溶解した液を酸あるいはアルカリ水溶液で滴定し、滴定曲線より実験的に求めた値のことである。
理論上、低分子分散剤のpKaが3以上であれば、pH3程度の処理液と接したときに、アニオン性基の50%以上が非解離状態になる。したがって、低分子分散剤の水溶性が著しく低下し、凝集反応が起こる。すなわち、凝集反応性が向上する。この観点から、低分子分散剤が、アニオン性基としてカルボン酸基を有していることが好ましい。
一方、疎水性基は、炭化水素系、フッ化炭素系、シリコーン系等のいずれの構造を有するものであってもよいが、特に、炭化水素系であることが好ましい。また、これらの疎水性基は、直鎖状構造又は分岐状構造のいずれであってもよい。また疎水性基は、1本鎖状構造、又は2本以上の鎖状構造でもよく、2本鎖状以上の構造である場合は、複数種類の疎水性基を有していてもよい。
また、疎水性基は、炭素数2〜24の炭化水素基が好ましく、炭素数4〜24の炭化水素基がより好ましく、炭素数6〜20の炭化水素基がさらに好ましい。
本発明におけるポリマー分散剤のうち水溶性分散剤としては、親水性高分子化合物を用いることができる。例えば、天然の親水性高分子化合物では、アラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子などが挙げられる。
また、天然物を原料として化学修飾した親水性高分子化合物としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子などが挙げられる。
また、合成系の水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物等が挙げられる。
これらの中でも、顔料の分散安定性と凝集性の観点から、カルボキシル基を含む高分子化合物が好ましく、例えば、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂等のようなカルボキシル基を含む高分子化合物が特に好ましい。
ポリマー分散剤のうち非水溶性分散剤としては、疎水性部と親水性部の両方を有するポリマーを用いることができる。例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
本発明におけるポリマー分散剤の重量平均分子量としては、3,000〜200,000が好ましく、より好ましくは5,000〜100,000、更に好ましくは5,000〜80,000、特に好ましくは10,000〜60,000である。
また、顔料と分散剤との混合質量比(顔料:分散剤)としては、1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、1:0.125〜1:2の範囲がより好ましく、更に好ましくは1:0.125〜1:1.5である。
本発明において色材として染料を用いる場合には、染料を水不溶性の担体に保持したものを水不溶性着色粒子として用いることができる。染料としては公知の染料を特に制限なく用いることができ、例えば、特開2001−115066号公報、特開2001−335714号公報、特開2002−249677号公報等に記載の染料を本発明においても好適に用いることができる。また、担体としては、水に不溶または水に難溶であれば特に制限なく、無機材料、有機材料及びこれらの複合材料を用いることができる。具体的には、特開2001−181549号公報、特開2007−169418号公報等に記載の担体を本発明においても好適に用いることができる。
染料を保持した担体(水不溶性着色粒子)は、分散剤を用いて水系分散物として用いることができる。分散剤としては上述した分散剤を好適に用いることができる。
本発明における色材は、耐擦性、凝集性の観点から、顔料と分散剤と含むことが好ましく、有機顔料とポリマー分散剤とを含むことがより好ましく、有機顔料とカルボキシル基を含むポリマー分散剤とを含むことが特に好ましい。
また、色材は、凝集性の観点から、カルボキシル基を有するポリマー分散剤に被覆され、水不溶性であることが好ましい。
更に、本発明においては、凝集性の観点から、後述の自己分散性ポリマーの粒子の酸価が、前記ポリマー分散剤の酸価よりも小さいことが好ましい。
色材の平均粒子径としては、10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。平均粒子径は、200nm以下であると色再現性が良好になり、インクジェット法で打滴する際の打滴特性が良好になり、10nm以上であると耐光性が良好になる。また、色材の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ色材を2種以上混合して使用してもよい。
なお、ポリマー粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
色材は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
色材のインク組成物中における含有量としては、画像濃度の観点から、インク組成物に対して、1〜25質量%であることが好ましく、2〜20質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
(ポリマー粒子)
本発明のインク組成物は、芳香族基含有モノマーに由来する構成単位及び解離性基含有モノマーに由来する構成単位を有すると共に、水分散物としたときの最低造膜温度(MFTdisp)が60℃以上であり、ポリマー固形分に対して25質量%の量の親水性有機溶剤及び水と混合した混合液としたときのMFTが前記水分散物中におけるMFTdispより40℃以上低いポリマー粒子の少なくとも1種を含有する。MFTdisp−MFT25%aq≧40℃を満たすポリマー粒子であるので、安定した吐出性が得られ、また、記録後の画像のブロッキング(くっつき等)を抑制することができる。
「MFTdisp」は、YOSHIMITU SEIKI社製のMFT測定機を用いて測定されるものである。具体的には、所望のポリマー粒子を水中に分散して得た水分散物を25質量%液に調整した調製液をフィルム(例えば64cm×18cm)上に塗布厚が300μmとなるように(例えば長さ50cm×幅3cm)ブレード塗布した後、フィルムの裏側から加熱し、塗布膜に12℃〜65℃までの温度勾配をかけ、20℃、22%RHの環境下で4時間乾燥させ、このときに白い粉状の析出物が生じた温度と透明膜が形成された温度との境界温度[℃]を測定することにより求められる。
また、「MFT25%aq」は、前記MFTdispの測定操作において、ポリマー粒子25質量%(固形分質量)とインク組成物の調製に用いた親水性有機溶剤6.25質量%(ポリマー固形分に対して25質量%)と水70質量%との混合液(水溶液)を調製し、これを水分散物に代えて用いたこと以外は、前記MFTdispと同様の操作を行なうことにより測定されるものである。また、「MFT25%aq」が測定機の上限値を超えてしまう場合は、「MFT30%aq」〜「MFT50%aq」を適宜測定し、「MFT25%aq」を推定してもよい。
本発明のポリマー粒子は、MFTdispを60℃以上とする。ポリマー粒子のMFTdispが60℃未満であると、記録後に画像にベタツキが残り、画像部上に紙等を重ねた際にブロッキング(くっつき等)が発生する。本発明においては、MFTdispとしては、80〜150℃以上が好ましく、100〜130℃以上がより好ましい。MFTdispが130℃未満であると、加熱定着時の熱量が小さくてもよいため、定着の省電力化の点で好ましい。
また、本発明においては、MFT25%aqがMFTdispより40℃以上低くなる範囲とする。MFTdispからMFT25%aqを差し引いた温度差(℃;=MFTdisp−MFT25%aq)が40℃未満であると、加熱定着時の熱量が大きくなると同時に、記録された画像の耐擦過性が低下する。本発明においては、MFT25%aqは、MFTdispより40℃以上低くなる範囲が好ましく、MFTdispより45〜60℃低くなる範囲がより好ましい。
本発明において、MFTdispからMFT25%aqを差し引いた温度差を上記範囲とする方法としては、インク組成物に含有する親水性有機溶剤の種類、量の範囲を適宜選択することにより調整することができる。
上記のうち、MFTdispが80〜150℃の範囲であって、かつMFT25%aqが、MFTdispより40〜60℃以上低くなる範囲が好ましい。
本発明におけるポリマー粒子としては、例えば、熱可塑性、熱硬化性あるいは変性のアクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリアミド系、不飽和ポリエステル系、フェノール系、シリコーン系、又はフッ素系の樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、又はポリビニルブチラール等のポリビニル系樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂等のポリエステル系樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等のアミノ系材料、あるいはそれらの共重合体又は混合物などのアニオン性基を有する樹脂の粒子が挙げられる。これらのうち、アニオン性のアクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(アニオン性基含有アクリルモノマー)及び必要に応じて該アニオン性基含有アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。前記アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン基からなる群より選ばれる1以上を有するアクリルモノマーが挙げられ、中でもカルボキシル基を有するアクリルモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等)が好ましく、特にはアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
本発明におけるポリマー粒子としては、吐出安定性及び後述の色材(特に顔料)を用いた場合の液安定性(特に分散安定性)の観点から、自己分散性ポリマー粒子が好ましく、カルボキシル基を有する自己分散性ポリマー粒子がより好ましい。自己分散性ポリマー粒子とは、他の界面活性剤の不存在下に、ポリマー自身が有する官能基(特に酸性基又はその塩)によって、水性媒体中で分散状態となり得る水不溶性ポリマーであって、遊離の乳化剤を含有しない水不溶性ポリマーの粒子を意味する。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルジョン)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。
本発明における水不溶性ポリマーにおいては、液体組成物としたときの凝集速度と定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる水不溶性ポリマーであることが好ましい。
本発明における自己分散性ポリマー粒子の分散状態とは、水不溶性ポリマー30gを70gの有機溶媒(例えば、メチルエチルケトン)に溶解した溶液、該水不溶性ポリマーの塩生成基を100%中和できる中和剤(塩生成基がアニオン性であれば水酸化ナトリウム、カチオン性であれば酢酸)、及び水200gを混合、攪拌(装置:攪拌羽根付き攪拌装置、回転数200rpm、30分間、25℃)した後、該混合液から該有機溶媒を除去した後でも、分散状態が25℃で少なくとも1週間安定に存在することを目視で確認することができる状態をいう。
また、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下であるポリマーをいい、その溶解量が好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。前記溶解量は、水不溶性ポリマーの塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。
前記水性媒体は、水を含んで構成され、必要に応じて親水性有機溶剤を含んでいてもよい。本発明においては、水と水に対して0.2質量%以下の親水性有機溶剤とから構成されることが好ましく、水から構成されることがより好ましい。
前記水不溶性ポリマーの主鎖骨格としては、特に制限は無く、例えば、ビニルポリマー、縮合系ポリマー(エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、セルロース、ポリエーテル、ポリウレア、ポリイミド、ポリカーボネート等)を用いることができる。その中で、特にビニルポリマーが好ましい。
ビニルポリマー及びビニルポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−181549号公報及び特開2002−88294号公報に記載されているものを挙げることができる。また、解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する連鎖移動剤や重合開始剤、イニファーターを用いたビニルモノマーのラジカル重合や、開始剤或いは停止剤のどちらかに解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する化合物を用いたイオン重合によって高分子鎖の末端に解離性基を導入したビニルポリマーも使用できる。
また、縮合系ポリマーと縮合系ポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−247787号公報に記載されているものを挙げることができる。
本発明における自己分散性ポリマー粒子は、自己分散性の観点から、親水性の構成単位と芳香族基含有モノマーに由来する構成単位とを含む水不溶性ポリマーを含むことが好ましい。
前記親水性の構成単位は、親水性基含有モノマーに由来するものであれば特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であってもノニオン性親水性基であってもよい。
本発明において前記親水性基は、自己分散促進の観点、形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離基であることがより好ましい。前記解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インク組成物を構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が好ましい。
本発明における親水性基含有モノマーは、自己分散性と凝集性の観点から、解離性基含有モノマーであることが好ましく、解離性基とエチレン性不飽和結合とを有する解離性基含有モノマーであることが好ましい。
解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとして具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとして具体的には、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとして具体的には、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記解離性基含有モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル系モノマーがより好ましく、特にはアクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
本発明における自己分散性ポリマー粒子は、自己分散性と処理液と接触したときの凝集速度の観点から、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましく、カルボキシル基を有し、酸価(mgKOH/g)が25〜100であるポリマーを含むことがより好ましい。更に、前記酸価は、自己分散性と処理液と接触したときの凝集速度の観点から、25〜80であることがより好ましく、30〜65であることが特に好ましい。
特に、酸価は、25以上であると自己分散性の安定性が良好になり、100以下であると凝集性が向上する。
前記芳香族基含有モノマーは、芳香族基と重合性基とを含む化合物であれば特に制限はない。前記芳香族基は芳香族炭化水素に由来する基であっても、芳香族複素環に由来する基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、芳香族炭化水素に由来する芳香族基であることが好ましい。
また前記重合性基は、縮重合性の重合性基であっても、付加重合性の重合性基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、付加重合性の重合性基であることが好ましく、エチレン性不飽和結合を含む基であることがより好ましい。
本発明における芳香族基含有モノマーは、(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含むアクリル系樹脂が好ましく、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含むアクリル系樹脂が好ましく、更には、芳香族炭化水素に由来する芳香族基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマーであることが好ましい。芳香族基含有モノマーは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記芳香族基含有モノマーとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー等が挙げられる。中でも、ポリマー鎖の親水性と疎水性のバランスとインク定着性の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及びフェニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
本発明における自己分散性ポリマー粒子は、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含み、その含有量が10質量%〜95質量%であることが好ましい。芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーの含有量が10質量%〜95質量%であることで、自己乳化又は分散状態の安定性が向上し、更にインク粘度の上昇を抑制することができる。
本発明においては、自己分散状態の安定性、芳香環同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点から、15質量%〜90質量%であることがより好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
本発明における自己分散性ポリマー粒子は、例えば、芳香族基含有モノマーに由来する構成単位と、解離性基含有モノマーに由来する構成単位とを用いて構成することができる。更に、必要に応じて、その他の構成単位を更に含んでもよい。
前記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、前記芳香族基含有モノマーと解離性基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限はない。中でも、ポリマー骨格の柔軟性やガラス転移温度(Tg)制御の容易さの観点から、アルキル基含有モノマーであることが好ましい。
前記アルキル基含有モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、並びにヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマー、並びにジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、等の(メタ)アクリルエステル系モノマー;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、並びにN−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等、等の(メタ)アクリルアミド系モノマーが挙げられる。
本発明における自己分散性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーの分子量範囲は、重量平均分子量で、3000〜20万であることが好ましく、5000〜15万であることがより好ましく、10000〜10万であることが更に好ましい。重量平均分子量を3000以上とすることで水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した。GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperHZM−H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ2000(いずれも東ソー(株)製の商品名)を用いて3本直列につなぎ、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。また、条件としては、試料濃度を0.35/min、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行なった。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製した。
本発明における自己分散性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構造単位(好ましくは、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位)を共重合比率として自己分散性ポリマー粒子の全質量の15〜80質量%を含むことが好ましい。
また、水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことがより好ましく、更には加えて、酸価が25〜100であって重量平均分子量が3000〜20万であることが好ましく、酸価が25〜95であって重量平均分子量が5000〜15万であることがより好ましい。
以下に、自己分散性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーの具体例として、例示化合物B−01〜B−19を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、括弧内は共重合成分の質量比を表す。
B−01:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(50/45/5)
B−02:フェノキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/35/29/6)
B−03:フェノキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(50/44/6)
B−04:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(30/55/10/5)
B−05:ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(35/59/6)
B−06:スチレン/フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(10/50/35/5)
B−07:ベンジルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(55/40/5)
B−08:フェノキシエチルメタクリレート/ベンジルアクリレート/メタクリル酸共重合体(45/47/8)
B−09:スチレン/フェノキシエチルアクリレート/ブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(5/48/40/7)
B−10:ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(35/30/30/5)
B−11:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/メタクリル酸共重合体(12/50/30/8)
B−12:ベンジルアクリレート/イソブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(93/2/5)
B−13:スチレン/フェノキシエチルメタクリレート/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(50/5/20/25)
B−14:スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(62/35/3)
B−15:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/51/4)
B−16:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/49/6)
B−17:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/48/7)
B−18:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/47/8)
B−19:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/45/10)
本発明における自己分散性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーの製造方法としては特に制限はなく、例えば、重合性界面活性剤の存在下に、乳化重合を行い、界面活性剤と水不溶性ポリマーとを共有結合させる方法、上記親水性基含有モノマーと芳香族基含有モノマーとを含むモノマー混合物を溶液重合法、塊状重合法等の公知の重合法により、共重合させる方法を挙げることができる。前記重合法の中でも、凝集速度とインク組成物としたときの打滴安定性の観点から、溶液重合法が好ましく、有機溶媒を用いた溶液重合法がより好ましい。
本発明における自己分散性ポリマー粒子は、凝集速度の観点から、有機溶媒中で合成されたポリマーを含み、該ポリマーはカルボキシル基を有し、(好ましくは酸価が20〜100であって)該ポリマーのカルボキシル基の一部又は全部は中和され、水を連続相とするポリマー分散物として調製されたものであることが好ましい。すなわち、本発明における自己分散性ポリマー粒子の製造は、有機溶媒中でポリマーを合成する工程と、前記ポリマーのカルボキシル基の少なくとも一部が中和された水性分散物とする分散工程とを設けて行なうことが好ましい。
前記分散工程は、次の工程(1)及び工程(2)を含むことが好ましい。
工程(1):ポリマー(水不溶性ポリマー)、有機溶媒、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を、攪拌する工程
工程(2):前記混合物から前記有機溶媒を除去する工程
前記工程(1)は、まずポリマー(水不溶性ポリマー)を有機溶媒に溶解させ、次に中和剤と水性媒体を徐々に加えて混合、攪拌して分散体を得る処理であることが好ましい。このように、有機溶媒中に溶解した水不溶性ポリマー溶液中に中和剤と水性媒体を添加することで、強いせん断力を必要とせずに、より保存安定性の高い粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。
該混合物の攪拌方法に特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。
有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく挙げられる。
アルコール系溶媒としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、エタノール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒が好ましい。また、油系から水系への転相時への極性変化を穏和にする目的で、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを併用することも好ましい。該溶剤を併用することで、凝集沈降や粒子同士の融着が無く、分散安定性の高い微粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。
中和剤は、解離性基の一部又は全部が中和され、自己分散性ポリマーが水中で安定した乳化又は分散状態を形成するために用いられる。本発明の自己分散性ポリマーが解離性基としてアニオン性の解離基(例えば、カルボキシル基)を有する場合、用いられる中和剤としては有機アミン化合物、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物等の塩基性化合物が挙げられる。有機アミン化合物の例としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチル−エタノールアミン、N,N−ジエチル−エタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアニン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。中でも、本発明の自己分散性ポリマー粒子の水中への分散安定化の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
これら塩基性化合物は、解離性基100モル%に対して、5〜120モル%使用することが好ましく、10〜110モル%であることがより好ましく、15〜100モル%であることが更に好ましい。15モル%以上とすることで、水中での粒子の分散を安定化する効果が発現し、100モル%以下とすることで、水溶性成分を低下させる効果がある。
前記工程(2)においては、前記工程(1)で得られた分散体から、減圧蒸留等の常法により有機溶剤を留去して水系へと転相することで自己分散性ポリマー粒子の水性分散物を得ることができる。得られた水性分散物中の有機溶媒は実質的に除去されており、有機溶媒の量は、好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。
ポリマー粒子(特に自己分散性ポリマー粒子)の平均粒子径は、体積平均粒子径で10〜400nmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましく、10〜100nmの範囲が更に好ましく、特に好ましくは10〜50nmの範囲である。10nm以上の平均粒子径であることで製造適性が向上する。また、400nm以下の平均粒径とすることで保存安定性が向上する。また、ポリマー粒子の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布を持つもの又は単分散の粒径分布を持つもののいずれでもよい。また、水不溶性粒子を2種以上混合して使用してもよい。
なお、ポリマー粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
ポリマー粒子(特に自己分散性ポリマー粒子)の液体組成物中における含有量としては、画像の光沢性などの観点から、液体組成物に対して、1〜30質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
ポリマー粒子(特に自己分散性ポリマー粒子)は、1種単独又は2種以上を混合して用いることができる。
(親水性有機溶剤)
インク組成物は、水を溶媒として含むと共に、親水性有機溶剤としてポリプロピレンオキシアルキルエーテルとエチレンオキシアルキルエーテル及び/又はプロピレンオキシアルキルエーテルとを含む少なくとも2種を含有する。この2種以上の親水性有機溶剤をポリマー粒子と共に含有することにより、インク組成物中ではポリマー粒子のMTFを低めに維持することができ、吐出性などを良好に保つことができる。
インク組成物を構成する親水性有機溶剤としては、MFT25%aqを下げてMFTdispとの温度差(MFTdisp−MFT25%aq)を40℃以上の範囲に調製する観点から、アルキレンオキシアルコール、アルキレンオキシアルキルエーテルが好ましい。また、同様の理由から、インク組成物は、2種以上の親水性有機溶剤を含有することが好ましく、2種以上の親水性有機溶剤を含有する場合は、その少なくとも1種はアルキレンオキシアルコールことが好ましく、更にはアルキレンオキシアルコールの少なくとも1種とアルキレンオキシアルキルエーテルの少なくとも1種とを含む2種以上の親水性有機溶剤を含有する場合が特に好ましい。本発明では、ポリプロピレンオキシアルキルエーテルとエチレンオキシアルキルエーテル及び/又はプロピレンオキシアルキルエーテルとを含む少なくとも2種を含有する。
前記アルキレンオキシアルコールとしては、好ましくは、プロピレンオキシアルコールである。プロピレンオキシアルコールとしては、例えば、サンニックスGP250、サンニッススGP400(三洋化成工業(株)製)が挙げられる。
前記アルキレンオキシアルキルエーテルとしては、好ましくは、アルキル部位の炭素数が1〜4のエチレンオキシアルキルエーテル又はアルキル部位の炭素数が1〜4のプロピレンオキシアルキルエーテルである。アルキレンオキシアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルなどが挙げられる。
本発明においては、ポリマー粒子が自己分散性ポリマー粒子であって、親水性有機溶剤がプロピレンオキシアルコールとエチレンオキシアルキルエーテル(アルキル部位の炭素数1〜4)及び/又はプロピレンオキシアルキルエーテル(アルキル部位の炭素数1〜4)とである場合が好ましく、更には、ポリマー粒子が、親水性の構成単位と芳香族基含有モノマーに由来する構成単位とを含む水不溶性ポリマーを含む自己分散性ポリマー粒子であって、親水性有機溶剤がプロピレンオキシアルコールとエチレンオキシアルキルエーテル(アルキル部位の炭素数1〜4)及び/又はプロピレンオキシアルキルエーテル(アルキル部位の炭素数1〜4)とである場合が好ましい。
また、上記の親水性有機溶剤に加え、必要に応じて、乾燥防止、浸透促進、粘度調整などを図る目的で、他の有機溶媒を含有してもよい。
有機溶媒を乾燥防止剤として用いる場合、インク組成物をインクジェット法で吐出して画像記録する際に、インク吐出口でのインクの乾燥によって発生し得るノズルの目詰まりを効果的に防止することができる。
乾燥防止のためには、水より蒸気圧の低い親水性有機溶剤が好ましい。乾燥防止に好適な親水性有機溶剤の具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体等が挙げられる。中でも、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが好ましい。
また、浸透促進のためには、インク組成物を記録媒体により良く浸透させる目的で有機溶媒を用いてもよい。浸透促進に好適な有機溶媒の具体例として、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
また、親水性有機溶剤は、上記以外にも粘度の調整に用いることができる。粘度の調整に用いることができる親水性有機溶剤の具体的な例としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなど)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなど)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、アセトニトリル、アセトンなど)が挙げられる。
(水)
インク組成物は、水を含有するものであるが、水の量には特に制限はない。中でも、水の好ましい含有量は、10〜99質量%であり、より好ましくは30〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。
(その他の添加剤)
インク組成物は、上記の成分に加え、必要に応じて、その他の添加剤を含むことができる。その他の添加剤としては、例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、インク組成物を調製後に直接添加してもよく、インク組成物の調製時に添加してもよい。
紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させることができる。紫外線吸収剤としては、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号明細書等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させることができる。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を用いることができる。
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク組成物中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
pH調整剤としては、中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。pH調整剤は、インク組成物の保存安定性を向上させる観点から、インク組成物がpH6〜10となるように添加するのが好ましく、pH7〜10となるように添加するのがより好ましい。
表面張力調整剤としては、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
また、表面張力調整剤の添加量は、インクジェット法による吐出を良好に行なうため、インク組成物の表面張力を20〜60mN/mに調整する添加量が好ましく、20〜45mN/mに調整する添加量がより好ましく、25〜40mN/mに調整する添加量がさらに好ましい。一方、インクの付与をインクジェット法以外の方法で行なう場合には、20〜60mN/mの範囲が好ましく、30〜50mN/mの範囲がより好ましい。
インク組成物の表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、プレート法により25℃の条件下で測定されるものである。
界面活性剤の具体例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&ChemicaLs社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号公報の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも用いることができる。
また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることにより、耐擦性を良化することもできる。
また、表面張力調整剤は消泡剤としても使用することができ、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、及びEDTAに代表されるキレート剤等も使用することができる。
インク組成物の粘度としては、インクジェット法で吐出して付与する場合は、吐出安定性と処理液と接触したときの凝集速度の観点から、1〜30mPa・sの範囲が好ましく、1〜20mPa・sの範囲がより好ましく、2〜15mPa・sの範囲がさらに好ましく、2〜10mPa・sの範囲が特に好ましい。また、インク組成物の付与をインクジェット法以外の方法により行なう場合は、1〜40mPa・sの範囲が好ましく、5〜20mPa・sの範囲がより好ましい。
インク組成物の粘度は、例えば、ブルックフィールド粘度計を用いて測定することができる。
<インクセット>
本発明のインクセットは、既述の本発明のインク組成物と、インク組成物と接触することで凝集体を形成可能な処理液とを設けて構成されたものである。
なお、インク組成物の詳細については、既述した通りである。
本発明においては、インク組成物を構成する粒子状の樹脂成分として、親水性有機溶剤が含まれる水溶液中と水分散物中とにおけるMFTがMFTdisp−MFT25%aq≧40℃を満たすように変化するポリマー粒子を用いた構成にすることで、有機溶剤が含まれるインク組成物中ではポリマー粒子の最低造膜温度(MFT)を低めに維持し、吐出により記録媒体に着滴した後には、インク溶媒が記録媒体に吸収される等、記録後の経時や乾燥等でインク溶剤がインク中から抜け出てポリマー粒子のMFTが上昇する構成にするので、比較的MFTやガラス転移点(Tg)の低いポリマー粒子を用いて擦過性等の定着性能を低熱エネルギーで確保しながらも、ブロッキングの発生が抑えられた画像を得ることができる。
−処理液−
本発明における処理液は、既述のインク組成物と接触することで凝集体を形成可能なように構成されたものである。具体的には、処理液は、インク組成物中の色材粒子(顔料等)などの分散粒子を凝集させて凝集体を形成可能な凝集成分を少なくとも含むことが好ましく、必要に応じて、他の成分を用いて構成することができる。インク組成物と共に処理液を用いることで、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い描画性(例えば細線や微細部分の再現性)に優れた画像が得られる。
(凝集成分)
処理液は、インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集成分の少なくとも1種を含有することができる。インクジェット法で吐出された前記インク組成物に処理液が混合することにより、インク組成物中で安定的に分散している顔料等の凝集が促進される。
処理液の例としては、インク組成物のpHを変化させることにより凝集物を生じさせることができる液体が挙げられる。このとき、処理液のpH(25℃±1℃)は、インク組成物の凝集速度の観点から、1〜6であることが好ましく、1.2〜5であることがより好ましく、1.5〜4であることが更に好ましい。この場合、吐出工程で用いる前記インク組成物のpH(25±1℃)は、7.5〜9.5(より好ましくは8.0〜9.0)であることが好ましい。
中でも、本発明においては、画像濃度、解像度、及びインクジェット記録の高速化の観点から、前記インク組成物のpH(25℃)が7.5以上であって、処理液のpH(25℃)が1.5〜3である場合が好ましい。
前記凝集成分は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
処理液は、凝集成分として、酸性化合物の少なくとも1種を用いて構成することができる。酸性化合物としては、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、又はカルボキシル基を有する化合物、あるいはその塩(例えば多価金属塩)を使用することができる。中でも、インク組成物の凝集速度の観点から、リン酸基又はカルボキシル基を有する化合物がより好ましく、カルボキシル基を有する化合物であることが更に好ましい。
カルボキシル基を有する化合物としては、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩(例えば多価金属塩)等の中から選ばれることが好ましい。これらの化合物は、1種単独で用いるほか2種以上併用してもよい。
本発明における処理液は、上記酸性化合物等に加えて、水系溶媒(例えば、水)を更に含んで構成することができる。
酸性化合物の処理液中における含有量としては、凝集効果の観点から、処理液の全質量に対して、5〜95質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましく、更に好ましくは15〜50質量%であり、特に好ましくは18〜30%である。
また、多価金属塩あるいはポリアリルアミンを添加した処理液が挙げられ、高速凝集性を向上させることができる。多価金属塩としては、周期表の第2属のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3属の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13属からのカチオン(例えば、アルミニウム)、ランタニド類(例えば、ネオジム)の塩、及びポリアリルアミン、ポリアリルアミン誘導体を挙げることができる。金属の塩としては、カルボン酸塩(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩が好適である。中でも、好ましくは、カルボン酸(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びチオシアン酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩である。
金属の塩の処理液中における含有量としては、凝集効果の観点から、1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1.5〜7質量%であり、更に好ましくは2〜6質量%の範囲である。
また、処理液は、凝集成分として、カチオン性有機化合物の少なくとも1種を用いて構成することができる。カチオン性有機化合物としては、例えば、ポリ(ビニルピリジン)塩、ポリアルキルアミノエチルアクリレート、ポリアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリエチレンイミン、ポリビグアニド、ポリグアニド、又はポリアリルアミン及びその誘導体などのカチオン性ポリマーを挙げることができる。
前記カチオン性ポリマーの重量平均分子量としては、処理液の粘度の観点では分子量が小さい方が好ましい。処理液をインクジェット方式で記録媒体に付与する場合には、1,000〜500,000の範囲が好ましく、1,500〜200,000の範囲がより好ましく、更に好ましくは2,000〜100,000の範囲である。重量平均分子量は、1000以上であると凝集速度の観点で有利であり、500,000以下であると吐出信頼性の点で有利である。但し、処理液をインクジェット以外の方法で記録媒体に付与する場合には、この限りではない。
さらに、前記カチオン性有機化合物として、例えば、1級、2級、又は3級アミン塩型の化合物が好ましい。このアミン塩型の化合物の例として、塩酸塩もしくは酢酸塩等の化合物(例えば、ラウリルアミン、ヤシアミン、ステアリルアミン、ロジンアミンなど)、第4級アンモニウム塩型化合物(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウムなど)、ピリジニウム塩型化合物(例えば、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイドなど)、イミダゾリン型カチオン性化合物(例えば、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリンなど)、高級アルキルアミンのエチレンオキシド付加物(例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミンなど)等のカチオン性の化合物や、例えば、アミノ酸型の両性界面活性剤、R−NH−CH2CH2−COOH型の化合物、カルボン酸塩型両性界面活性剤(例えば、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなど)、硫酸エステル型、スルホン酸型、又は燐酸エステル型等の両性界面活性剤など所望のpH領域でカチオン性を示す両性界面活性剤などを挙げることができる。
中でも、2価以上のカチオン性有機化合物が好ましい。
カチオン性有機化合物の処理液中における含有量としては、凝集効果の観点から、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは2〜30質量%である。
上記のうち、凝集成分としては、凝集性及び画像の耐擦過性の点で、2価以上のカルボン酸、又は2価以上のカチオン性有機化合物が好ましい。
処理液の粘度としては、インク組成物の凝集速度の観点から、1〜30mPa・sの範囲が好ましく、1〜20mPa・sの範囲がより好ましく、2〜15mPa・sの範囲がさらに好ましく、2〜10mPa・sの範囲が特に好ましい。なお、粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて20℃の条件下で測定されるものである。
また、処理液の表面張力としては、インク組成物の凝集速度の観点から、20〜60mN/mであることが好ましく、20〜45mN/mであることがより好ましく、25〜40mN/mであることがさらに好ましい。なお、表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて25℃の条件下で測定されるものである。
(その他成分)
本発明における処理液は、凝集成分に加え、一般には水溶性有機溶剤を含むことができ、本発明の効果を損なわない範囲内で、更にその他の各種添加剤を用いて構成することができる。水溶性有機溶剤の詳細については、既述のインク組成物におけるものと同様である。
前記その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられ、既述のインク組成物に含まれるその他の添加剤の具体的な例に挙げたものが適用できる。
処理液の粘度としては、インク組成物の凝集速度の観点から、1〜30mPa・sの範囲が好ましく、1〜20mPa・sの範囲がより好ましく、2〜15mPa・sの範囲がさらに好ましく、2〜10mPa・sの範囲が特に好ましい。
なお、粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて20℃の条件下で測定されるものである。
また、処理液の表面張力としては、インク組成物の凝集速度の観点から、20〜60mN/mであることが好ましく、20〜45mN/mであることがより好ましく、25〜40mN/mであることがさらに好ましい。
なお、表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて25℃の条件下で測定されるものである。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、既述の本発明のインク組成物を記録媒体にインクジェット法で付与するインク付与工程と、インク組成物と接触することで凝集体を形成可能な処理液を記録媒体に付与する処理液付与工程と、を少なくとも設けて構成されたものである。本発明のインクジェット記録方法は、必要に応じて、更に他の工程を設けて構成することができる。
本発明においては、可視画像記録用のインク組成物を構成する粒子状の樹脂成分として、親水性有機溶剤が含まれる水溶液中と水分散物中とにおけるMFTがMFTdisp−MFT25%aq≧40℃を満たすように変化するポリマー粒子を用いた構成にすることで、有機溶剤が含まれるインク組成物中ではポリマー粒子の最低造膜温度(MFT)を低めに維持し、吐出により記録媒体に着滴した後は、インク溶媒が記録媒体に吸収される等、記録後の経時や乾燥等でインク溶剤がインク中から抜け出てポリマー粒子のMFTが上昇する構成にするので、吐出を良好に保ち、擦過性等の定着性能を低熱エネルギーで確保しながらも、ブロッキングの発生が抑えられた画像を得ることができる。
以下、本発明のインクジェット記録方法を構成する各工程を説明する。
−インク付与工程−
インク付与工程は、既述の本発明のインク組成物を記録媒体にインクジェット法で付与する。本工程では、記録媒体上に選択的にインク組成物を付与でき、所望の可視画像を形成できる。本発明のインク組成物における各成分の詳細及び好ましい態様などの詳細については、既述した通りである。
インクジェット法を利用した画像の記録は、具体的には、エネルギーを供与することにより、所望の被記録媒体、すなわち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載のインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に液体組成物を吐出することにより行なえる。なお、本発明に好ましいインクジェット記録方法として、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法が適用できる。
インクジェット法は、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。インクジェット法としては、特に、特開昭54−59936号公報に記載の方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット法を有効に利用することができる。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
また、インクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
尚、前記インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
インクジェット記録方法の具体例を以下に示す。
インクジェット記録方法として、(1)静電吸引方式とよばれる方法がある。静電吸引方式は、ノズルとノズルの前方に配置された加速電極との間に強電界を印加し、ノズルから液滴状のインクを連続的に噴射させ、そのインク滴が偏向電極間を通過する間に印刷情報信号を偏向電極に与えることによって、インク滴を記録媒体上に向けて飛ばしてインクを記録媒体上に定着させて画像を記録する方法、又はインク滴を偏向させずに、印刷情報信号に従ってインク滴をノズルから記録媒体上にむけて噴射させることにより画像を記録媒体上に定着させて記録する方法である。また、(2)小型ポンプによってインク液に圧力を加えるとともに、インクジェットノズルを水晶振動子等によって機械的に振動させることによって、強制的にノズルからインク滴を噴射させる方法がある。ノズルから噴射されたインク滴は、噴射されると同時に帯電され、このインク滴が偏向電極間を通過する間に印刷情報信号を偏向電極に与えてインク滴を記録媒体に向かって飛ばすことにより、記録媒体上に画像を記録する方法である。次に、(3)インク液に圧電素子によって圧力と印刷情報信号を同時に加え、ノズルからインク滴を記録媒体に向けて噴射させ、記録媒体上に画像を記録する方法(ピエゾ)、(4)印刷信号情報にしたがって微小電極を用いてインク液を加熱して発泡させ、この泡を膨張させることによってインク液をノズルから記録媒体に向けて噴射し、記録媒体上に画像を記録する方法(バブルジェット(登録商標))がある。
インクジェットヘッドとしては、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行なうシャトル方式と、記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式とがある。ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行なうことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と記録媒体との複雑な走査制御が不要になり、記録媒体だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。本発明のインクジェット記録方法は、これらのいずれにも適用可能であるが、一般にダミージェットを行なわないライン方式に適用した場合に、吐出精度及び画像の耐擦過性の向上効果が大きい。
更には、本発明におけるインク付与工程では、ライン方式による場合に、インク組成物を1種のみ用いるのみならず2種以上のインク組成物を用い、先に吐出するインク組成物(第n色目(n≧1)、例えば第2色目)とそれに続いて吐出するインク組成物(第n+1色目、例えば第3色目)との間の吐出(打滴)間隔を1秒以下にして好適に記録を行なうことができる。本発明においては、ライン方式で1秒以下の吐出間隔として、インク滴間の干渉で生じる滲みや色間混色を防止しつつ、従来以上の高速記録下で耐擦過性に優れ、ブロッキングの発生が抑えられた画像を得ることができる。また、色相及び描画性(画像中の細線や微細部分の再現性)に優れた画像を得ることができる。
インクジェットヘッドから吐出されるインクの液滴量としては、高精細な画像を得る観点で、0.5〜6pl(ピコリットル)が好ましく、1〜5plがより好ましく、更に好ましくは2〜4plである。
−処理液付与工程−
処理液付与工程は、インク組成物と接触することで凝集体を形成可能な処理液を記録媒体に付与し、処理液をインク組成物と接触させて画像化する。この場合、インク組成物中のポリマー粒子や色材(例えば顔料)などの分散粒子が凝集し、記録媒体上に画像が固定化される。なお、処理液における各成分の詳細及び好ましい態様については、既述した通りである。
処理液の付与は、塗布法、インクジェット法、浸漬法などの公知の方法を適用して行なうことができる。塗布法としては、バーコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等を用いた公知の塗布方法によって行なうことができる。インクジェット法の詳細については、既述の通りである。
処理液付与工程は、インク組成物を用いたインク付与工程の前又は後のいずれに設けてもよい。
本発明においては、処理液付与工程で処理液を付与した後にインク付与工程を設けた態様が好ましい。すなわち、記録媒体上に、インク組成物を付与する前に、予めインク組成物中の色材(好ましくは顔料)を凝集させるための処理液を付与しておき、記録媒体上に付与された処理液に接触するようにインク組成物を付与して画像化する態様が好ましい。これにより、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い画像が得られる。
処理液の付与量としては、インク組成物を凝集可能であれば特に制限はないが、好ましくは、凝集成分(例えば、2価以上のカルボン酸又はカチオン性有機化合物)の付与量が0.1g/m以上となる量とすることができる。中でも、凝集成分の付与量が0.1〜1.0g/mとなる量が好ましく、より好ましくは0.2〜0.8g/mである。凝集成分の付与量は、0.1g/m以上であると凝集反応が良好に進行し、1.0g/m以下であると光沢度が高くなり過ぎず好ましい。
また、本発明においては、処理液付与工程後にインク付与工程を設け、処理液を記録媒体上に付与した後、インク組成物が付与されるまでの間に、記録媒体上の処理液を加熱乾燥する加熱乾燥工程を更に設けることが好ましい。インク付与工程前に予め処理液を加熱乾燥させることにより、滲み防止などのインク着色性が良好になり、色濃度及び色相の良好な可視画像を記録できる。
加熱乾燥は、ヒータ等の公知の加熱手段やドライヤ等の送風を利用した送風手段、あるいはこれらを組み合わせた手段により行なえる。加熱方法としては、例えば、記録媒体の処理液の付与面と反対側からヒータ等で熱を与える方法や、記録媒体の処理液の付与面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒータを用いた加熱法などが挙げられ、これらの複数を組み合わせて加熱してもよい。
[加熱定着工程]
本発明のインクジェット記録方法は、前記インク付与工程の後、インク組成物の付与により形成されたインク画像に加熱面を接触させて加熱定着する加熱定着工程を有することが好ましい。加熱定着処理を施すことにより、記録媒体上の画像の定着が施され、画像の擦過に対する耐性をより向上させることができる。
加熱は、画像中のポリマー粒子のガラス転移温度(Tg)以上の温度で行なうことが好ましい。Tg以上に加熱されるので、皮膜化して画像が強化される。加熱温度は、好ましくはTg+10℃以上の温度域が好ましい。具体的には、加熱温度は、40〜150℃の範囲が好ましく、より好ましくは50℃〜100℃の範囲であり、更に好ましくは60℃〜90℃の範囲である。
加熱と共に加圧する際の圧力としては、表面平滑化の点で、0.1〜3.0MPaの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0MPaの範囲であり、更に好ましくは0.1〜0.5MPaの範囲である。
加熱の方法は、特に制限されないが、ニクロム線ヒーター等の発熱体で加熱する方法、温風又は熱風を供給する方法、ハロゲンランプ、赤外線ランプなどで加熱する方法など、非接触で乾燥させる方法を好適に挙げることができる。また、加熱加圧の方法は、特に制限はないが、例えば、熱板を記録媒体の画像形成面に押圧する方法や、一対の加熱加圧ローラ、一対の加熱加圧ベルト、あるいは記録媒体の画像記録面側に配された加熱加圧ベルトとその反対側に配された保持ローラとを備えた加熱加圧装置を用い、対をなすローラ等を通過させる方法など、接触させて加熱定着を行なう方法が好適に挙げられる。
加熱加圧する場合、好ましいニップ時間は、1ミリ秒〜10秒であり、より好ましくは2ミリ秒〜1秒であり、更に好ましくは4ミリ秒〜100ミリ秒である。また、好ましいニップ幅は、0.1mm〜100mmであり、より好ましくは0.5mm〜50mmであり、更に好ましくは1〜10mmである。
前記加熱加圧ローラとしては、金属製の金属ローラでも、あるいは金属製の芯金の周囲に弾性体からなる被覆層及び必要に応じて表面層(離型層ともいう)が設けられたものでもよい。後者の芯金は、例えば、鉄製、アルミニウム製、SUS製等の円筒体で構成することができ、芯金の表面は被覆層で少なくとも一部が覆われているものが好ましい。被覆層は、特に、離型性を有するシリコーン樹脂あるいはフッ素樹脂で形成されるのが好ましい。また、加熱加圧ローラの一方の芯金内部には、発熱体が内蔵されていることが好ましく、ローラ間に記録媒体を通すことによって、加熱処理と加圧処理とを同時に施したり、あるいは必要に応じて、2つの加熱ローラを用いて記録媒体を挟んで加熱してもよい。発熱体としては、例えば、ハロゲンランプヒーター、セラミックヒーター、ニクロム線等が好ましい。
加熱加圧装置に用いられる加熱加圧ベルトを構成するベルト基材としては、シームレスのニッケル電鍮が好ましく、基材の厚さは10〜100μmが好ましい。また、ベルト基材の材質としては、ニッケル以外にもアルミニウム、鉄、ポリエチレン等を用いることができる。シリコーン樹脂あるいはフッ素樹脂を設ける場合は、これら樹脂を用いて形成される層の厚みは、1〜50μmが好ましく、更に好ましくは10〜30μmである。
また、前記圧力(ニップ圧)を実現するには、例えば、加熱加圧ローラ等のローラ両端に、ニップ間隙を考慮して所望のニップ圧が得られるように、張力を有するバネ等の弾性部材を選択して設置すればよい。
加熱加圧ローラ、あるいは加熱加圧ベルトを用いる場合の記録媒体の搬送速度は、200〜700mm/秒の範囲が好ましく、より好ましくは300〜650mm/秒であり、更に好ましくは400〜600mm/秒である。
−記録媒体−
本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体に上に画像を記録するものである。
記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。セルロースを主体とする一般印刷用紙は、水性インクを用いた一般のインクジェット法による画像記録においては比較的インクの吸収、乾燥が遅く、打滴後に色材移動が起こりやすく、画像品質が低下しやすいが、本発明のインクジェット記録方法によると、色材移動を抑制して色濃度、色相に優れた高品位の画像の記録が可能である。
記録媒体としては、一般に市販されているものを使用することができ、例えば、王子製紙(株)製の「OKプリンス上質」、日本製紙(株)製の「しおらい」、及び日本製紙(株)製の「ニューNPI上質」等の上質紙(A)、王子製紙(株)製の「OKエバーライトコート」及び日本製紙(株)製の「オーロラS」等の微塗工紙、王子製紙(株)製の「OKコートL」及び日本製紙(株)製の「オーロラL」等の軽量コート紙(A3)、王子製紙(株)製の「OKトップコート+」及び日本製紙(株)製の「オーロラコート」等のコート紙(A2、B2)、王子製紙(株)製の「OK金藤+」及び三菱製紙(株)製の「特菱アート」等のアート紙(A1)等が挙げられる。また、インクジェット記録用の各種写真専用紙を用いることも可能である。
上記の中でも、色材移動の抑制効果が大きく、従来以上に色濃度及び色相の良好な高品位な画像を得る観点からは、好ましくは、水の吸収係数Kaが0.05〜0.5でmL/m・ms1/2の記録媒体であり、より好ましくは0.1〜0.4mL/m・ms1/2の記録媒体であり、更に好ましくは0.2〜0.3mL/m・ms1/2の記録媒体である。
水の吸収係数Kaは、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No51:2000(発行:紙パルプ技術協会)に記載されているものと同義であり、具体的には、吸収係数Kaは、自動走査吸液計KM500Win(熊谷理機(株)製)を用いて接触時間100msと接触時間900msの水の手転移量の差から算出されるものである。
記録媒体の中でも、一般のオフセット印刷などに用いられるいわゆる塗工紙が好ましい。塗工紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。塗工紙は、通常の水性インクジェットによる画像形成においては、画像の光沢や擦過耐性など、品質上の問題を生じやすいが、本発明のインクジェット記録方法では、光沢ムラが抑制されて光沢性、耐擦性の良好な画像を得ることができる。特に、原紙とカオリン及び/又は重炭酸カルシウムを含むコート層とを有する塗工紙を用いるのが好ましい。より具体的には、アート紙、コート紙、軽量コート紙、又は微塗工紙がより好ましい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した。GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperHZM−H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgeL SuperHZ2000(いずれも東ソー(株)製の商品名)を用いて3本直列につなぎ、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。また、条件としては、試料濃度を0.35/min、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行なった。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製した。
(実施例1)
<水性インクの調製>
(ポリマー分散剤P−1の合成)
下記スキームにしたがって、以下に示すようにしてポリマー分散剤P−1を合成した。
Figure 0004633833
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、及びメチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥し、ポリマー分散剤P−1を96g得た。
得られた樹脂の組成は、H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44,600であった。さらに、JIS規格(JIS K0070:1992)に記載の方法により酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
(樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製)
ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブル−A220、大日精化株式会社製;シアン顔料)10部と、前記ポリマー分散剤P−1を5部と、メチルエチルケトン42部と、1規定 NaOH水溶液5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルにより0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去した後、更に、高速遠心冷却機7550(久保田製作所製)を用いて、50mL遠心菅を使用し、8000rpmで30分間遠心処理を行ない、沈殿物以外の上澄み液を回収した。その後、吸光度スペクトルから顔料濃度を求め、顔料濃度が10.2質量%の樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤で被覆された顔料)の分散物Cを得た。
(樹脂被覆顔料粒子の分散物Mの調製)
樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製において、ピグメント・ブルー15:3(シアン顔料)の代わりに、ピグメント・レッド122(マゼンタ顔料)を用いた以外は、樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製と同様にして、樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤で被覆された顔料)の分散物Mを調製した。
(樹脂被覆顔料粒子の分散物Yの調製)
樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製において、ピグメント・ブルー15:3(シアン顔料)の代わりに、ピグメント・イエロー74(イエロー顔料)を用いたこと以外は、樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製と同様にして、樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤で被覆された顔料)の分散物Yを調製した。
(樹脂被覆顔料粒子の分散物Kの調製)
樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製において、ピグメント・ブルー15:3(シアン顔料)の代わりに、カーボンブラック(デグッサ社製のNIPEX160-IQ;黒色顔料)を用いたこと以外は、樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製と同様にして、樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤で被覆された顔料)の分散物Kを調製した。
(自己分散性ポリマー微粒子の調製)
−合成例1−
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。これにメチルメタクリレート180g、メトキシエチルアクリレート32.4g、ベンジルメタクリレート126.0g、メタクリル酸21.6g、メチルエチルケトン72g、及び「V−601」(和光純薬(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した後、さらに「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した。その後、85℃に昇温してさらに2時間攪拌を続け、メチルメタクリレート/メトキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=50/9/35/6[質量比])共重合体の樹脂溶液を得た。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、66,000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出)であった。
次に、得られた樹脂溶液668.3gを秤量し、これにイソプロパノール388.3g及び1モル/LのNaOH水溶液145.7mlを加え、反応容器内温度を80℃に昇温した。次に、蒸留水720.1gを20ml/minの速度で滴下し、水分散化した。その後、大気圧下にて反応容器内温度80℃で2時間、85℃で2時間、90℃で2時間保った後、反応容器内を減圧にし、イソプロパノール、メチルエチルケトン、及び蒸留水を合計で913.7g留去し、固形分濃度28.0%の自己分散ポリマー微粒子(B−01)の水分散物B−01Lxを得た。
得られた水分散物B−01LxのMFTdisp、及び自己分散ポリマー微粒子(B−01)のMFT25%aqについて、下記の方法により測定した。測定値は下記表1に示す。
(1)MFTdisp(水分散物中でのMFT):YOSHIMITU SEIKI社製のMFT測定機を用いて測定した。具体的には、得られた各水分散物を25質量%液に調整し、これをPETフィルム(64cm×18cm)上に塗布膜の厚みが300μmとなるように長さ50cm×幅3cmでブレード塗布した後、PETフィルムの裏側から加熱して塗布膜に12℃〜65℃までの温度勾配をかけ、20℃、22%RHの環境下で4時間乾燥させた。このとき、白い粉状の析出物が生じた温度と透明な膜が形成された温度との境界温度[℃]を測定し、最低造膜温度(MFTdisp)とした。
(2)MFT25%aq(親水性有機溶剤を25質量%含有するMFT):前記(1)MFTdispの測定方法において、自己分散ポリマー微粒子(B−01)又は(B−02)25質量%(固形分)、下記表1に記載の各インクに用いた溶剤(総量)6.25質量%、及び水70質量%の水溶液を調製し、これを水分散物に代えて用いたこと以外は、前記(1)MFTdispと同様の方法で測定を行ない、MFTを求めた。
−合成例2−
前記合成例1の自己分散性ポリマー微粒子(B−01)の合成において、メチルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート、ベンジルメタクリレート、及びメタクリル酸の割合を変更したこと以外は、合成例1と同様にして、メタクリル酸メチル/メトキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=39/20/35/6[質量比])共重合体の樹脂溶液を得ると共に、固形分濃度28.0%の自己分散ポリマー微粒子(B−02)の水分散物B−02Lxを得た。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、70,000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出)であった。また、得られた水分散物B−02LxのMFTdisp、及び自己分散ポリマー微粒子(B−02)のMFT25%aqについて、前記同様の方法により測定を行なった。測定値は下記表1に示す。
−合成例3−
前記合成例1の自己分散性ポリマー微粒子(B−01)の合成において、メチルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート、ベンジルメタクリレート、及びメタクリル酸の割合を変更したこと以外は、合成例1と同様にして、メチルメタクリレート/メトキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=44/15/35/6[質量比])共重合体の樹脂溶液を得ると共に、固形分濃度28.0%の自己分散ポリマー微粒子(B−03)の水分散物B−03Lxを得た。
−水性インクの調製−
上記で得られた顔料粒子の分散物(シアンの分散物C、マゼンタの分散物M、イエローの分散物Y、ブラックの分散物K)、自己分散性ポリマー微粒子(B−01)の分散物B−01Lx、自己分散性ポリマー微粒子(B−02)の分散物B−02Lx、及び自己分散性ポリマー微粒子(B−03)の分散物B−03Lxを用いて、下記のインク組成となるように各成分を混合し、各色の水性インクを調液した。得られた水性インクは、プラスチック製のディスポーザブルシリンジに詰め、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製の孔径5μmフィルタ(ミリポア社製のMillex−SV、直径25mm)にて濾過して完成インクとした。
(シアンインクC−1の組成)
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) :4質量%
・前記ポリマー分散剤P−1(固形分) :2質量%
・前記自己分散性ポリマー微粒子B−01の水分散物B−01Lx :4質量%
・サンニックスGP250 :10質量%
(三洋化成工業社製、親水性有機溶剤)
・トリプロピレングリコールモノエチルエーテル(TPGmME) :6質量%
(和光純薬社製、親水性有機溶剤)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) :1質量%
・イオン交換水 :73質量%
(シアンインクC−2の組成)
前記インクC−1の組成中のトリプロピレングリコールモノエチルエーテル(TPGmME)をサンニックスGP250(三洋化成工業社製)に代えたこと以外は、シアンインクC−1と同様の組成とした。
(シアンインクC−3の組成)
前記インクC−1の組成中の自己分散性ポリマー微粒子B−01の水分散物B−01Lxを、前記自己分散性ポリマー微粒子B−02の水分散物B−02Lxに代えたこと以外は、シアンインクC−1と同様の組成とした。
(シアンインクC−4の組成)
前記インクC−2の組成中の自己分散性ポリマー微粒子B−01の水分散物B−01Lxを、前記自己分散性ポリマー微粒子B−02の水分散物B−02Lxに代えたこと以外は、シアンインクC−2と同様の組成とした。
(シアンインクC−5の組成)
前記インクC−1の組成中の自己分散性ポリマー微粒子B−01の水分散物B−01Lxを、自己分散性ポリマー微粒子B−01の水分散物B−03Lxに代え、下記表1に示すように溶剤を変更したこと以外は、シアンインクC−1と同様の組成とした。
(シアンインクC−6の組成)
前記インクC−1の組成中の自己分散性ポリマー微粒子B−01の水分散物B−01Lxを、自己分散性ポリマー微粒子B−01の水分散物B−03Lxに代え、下記表1に示すように溶剤を変更したこと以外は、シアンインクC−1と同様の組成とした。
(マゼンタインクM−1の組成)
前記インクC−1の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になうようにマゼンタ顔料(ピグメント・レッド122)に代えたこと以外は、シアンインクC−1と同様の組成とした。
(イエローインクY−1の組成)
前記インクC−1の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になうようにイエロー顔料(ピグメント・イエロー74)に代えたこと以外は、シアンインクC−1と同様の組成とした。
(ブラックインクK−1の組成)
前記インクC−1の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になうようにブラック顔料(カーボンブラック)に代えたこと以外は、シアンインクC−1と同様の組成とした。
(シアンインクC−11の組成)
前記インクC−1の組成中のサンニックスGP250(10%)及びTPGmME(6%)を、サンニックスGP400(三洋化成工業社製)10%及びトリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGmBE)6%に代えたこと以外は、シアンインクC−1と同様の組成とした。
Figure 0004633833
上記で得た各水性インクの表面張力、粘度、体積平均粒子径、及びpHを測定した。物性値を下記表2に示す。
表面張力の測定は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて、白金プレートを用いたウィルヘルミ法にて25℃の条件下で行なった。
粘度の測定は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて30℃の条件下で行なった。
体積平均粒子径の測定は、得られた水性インクを測定に適した濃度に適宜希釈し、超微粒子粒度分布測定装置ナノトラックUPA−EX150(日機装(株)製)を用い、動的光散乱法により各水性インクを全て同一測定条件で体積平均粒子径を測定した。
pHは、東亜DKK(株)製のpHメータWM−50EGを用い、水性インクを原液のまま25℃にて測定した。
Figure 0004633833
<処理液の調製>
下記のようにして、処理液(1)〜(2)を調製した。なお、表面張力、粘度、及びpHの測定は、上記と同様の方法により測定した。
−処理液(1)の調製−
下記組成となるように各成分を混合し、処理液(1)を調製した。処理液(1)の物性値は、粘度2.6mPa・s、表面張力37.3mN/m、pH1.6であった。
<処理液(1)の組成>
・マロン酸(2価のカルボン酸、和光純薬工業(株)製) :15.0質量%
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業(株)製):20.0質量%
・N−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム(界面活性剤) :1.0質量%
・イオン交換水 :64.0質量%
−処理液(2)の調製−
下記組成となるように各成分を混合し、処理液(2)を調製した。処理液(2)の物性値は、粘度2.7mPa・s、表面張力58.4mN/m、pH3.0であった。
<処理液(2)の組成>
・硝酸カルシウム4水和物(2価の金属イオン):34.0質量%
・ジエチレングリコール :10.0質量%
・メタノール :5.0質量%
・イオン交換水 :51.0質量%
<画像記録及び評価>
以下に示すように、画像を記録すると共に、評価を行なった。評価結果は、下記表3に示す。
−1.吐出信頼性−
GELJET GX5000プリンターヘッド(リコー社製のフルラインヘッド)を用い、これに繋がる貯留タンクを上記で得た水性インクに詰め替えて、インク液滴量3.5pL、吐出周波数24kHz、ノズル配列方向75dpi×搬送方向1200dpiの解像度にて記録媒体に96本のラインを10cm印字し、評価サンプルを作成した。記録媒体には、画彩写真仕上げPro(富士フイルム(株)製)を用いた。そして、評価サンプルの打滴開始部から5cmの部位の96本のライン間の距離を、ドットアナライザーDA−6000(王子計測機器(株)製)にて測定し、その標準偏差を算出した(初期吐出性)。次に、前記評価サンプルの作成の際に行なった印字後、プリンターヘッドをそのままの状態で25℃、55%RHの環境下、10分間打滴を休止し、その後再び同様の条件で印字して評価サンプルを作成した。この評価サンプルの打滴開始部から5cmの部位の96本のライン間の距離の標準偏差を、上記と同様に算出し、この休止後の算出値を吐出信頼性を評価する指標とした。
上記の評価に際しては、シアンインクを予め30℃の温浴中で保温してからプリンターヘッドと繋がる貯留タンク内に充填すると共に、30℃の吐出温度が維持できるようにプリンターヘッドを恒温室内に設定し、30℃の各吐出温度でインクを吐出できるようにした。上記のようにして得られた休止後の標準偏差の算出値から、下記の評価基準にしたがって吐出信頼性を評価した。
<評価基準>
○:3μm以上4μm未満
△:4μm以上5μm未満
×:5μm以上
−2.ブロッキング−
GELJET GX5000プリンターヘッド(リコー社製のフルラインヘッド)を用意し、これに繋がる貯留タンクを上記で得たシアン水性インクに詰め替えた。記録媒体として特菱アート両面N(三菱製紙(株)製)を、500mm/秒で所定の直線方向に移動可能なステージ上に固定し、これに上記で得た処理液をワイヤーバーコーターで約5μmの厚み(クエン酸0.84g/m)となるように塗布し、塗布直後に50℃で2秒間乾燥させた。その後、GELJET GX5000プリンターヘッド(リコー社製のフルラインヘッド)を、前記ステージの移動方向(副走査方向)と直交する方向に対して、ノズルが並ぶラインヘッドの方向(主走査方向)が75.7°傾斜するように固定配置し、記録媒体を副走査方向に定速移動させながらインク液滴量3.5pL、吐出周波数24kHz、解像度1200dpi×600dpiの吐出条件にてライン方式で吐出し、ベタ画像を印字した。印字直後、60℃で3秒間乾燥させ、更に60℃に加熱された一対の定着ローラ間を通過させ、ニップ圧0.25MPa、ニップ幅4mmにて定着処理を実施し、評価サンプルを得た。なお、定着ローラは、内部にハロゲンランプが内装されたSUS製の円筒体の芯金の表面がシリコーン樹脂で被覆された加熱ロールと、該加熱ローラに圧接する対向ロールとで構成されたものである。
その後、得られた評価サンプルを3.5cm×4cmのサイズに裁断し、10cm×10cmのアクリル板の上に印字面を上方に向けて評価サンプルを載せ、更にこの評価サンプルの上に重ねて同じサイズに裁断した未印字の特菱アート両面N(三菱製紙(株)製)を10枚載せた上に、更に10cm×10cmのアクリル板を載せ、50℃、60%RHの環境条件下で12時間放置した。放置後、最上部のアクリル板の上に1kgの分銅を載せて更に24時間放置した(加重700kg/mに相当)。更に、25℃、50%RHの環境条件下で2時間保管した後、評価サンプル上に重ねた未印字の特菱アート(未印字紙)を剥がした。このときの剥がれ易さ及び剥がした後の色移りを目視で観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
◎:自然に剥がれ、未印字紙への色移りもみられなかった。
○:くっつきで剥がすときに抵抗があるが、未印字紙への色移りはみられなかった。
△:くっつきが生じ、未印字紙への色移りが多少みられた。
×:くっつきが強く、未印字紙に多く色移りした。
−3.耐擦性−
10mm×50mmに裁断した未印字の特菱アートを文鎮(重量470g、サイズ15mm×30mm×120mm)に巻きつけ(未印字の特菱アートと評価サンプルが接触する面積は150mm)、前記「2.ブロッキング」の評価の際に作成した評価サンプルを3往復擦った(荷重260kg/mに相当)。擦った後の印字面を目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
○:印字面の画像(色材)の剥れは視認できなかった。
×:印字面の画像(色材)の剥れが視認できた。
Figure 0004633833
前記表3に示すように、本発明のインクではいずれも、ブロッキングの発生を抑えつつ、省熱エネルギーで耐擦過性の良好な画像が得られた。また、吐出安定性も良好であった。これに対し、比較例では、吐出性を保持しつつも、ブロッキングと画像の耐擦過性とを両立することは困難であった。

Claims (14)

  1. 色材と、
    ポリプロピレンオキシアルキルエーテルとエチレンオキシアルキルエーテル及びプロピレンオキシアルキルエーテルから選ばれる有機溶剤とを含む少なくとも2種の親水性有機溶剤と、
    芳香族基含有モノマーに由来する構成単位及び解離性基含有モノマーに由来する構成単位を有すると共に、水分散物としたときの最低造膜温度(MFTdisp)が60℃以上であり、ポリマー固形分に対して25質量%の量の前記親水性有機溶剤及び水と混合した混合液としたときのMFTが前記水分散物中におけるMFTdispより40℃以上低いポリマー粒子と、
    水とを含むインク組成物。
  2. 前記ポリプロピレンオキシアルキルエーテルが、ポリプロピレンオキシグリセリルエーテルである請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記エチレンオキシアルキルエーテル及びプロピレンオキシアルキルエーテルの少なくとも一方は、アルキル部位が炭素数1〜4である請求項1又は請求項2に記載のインク組成物。
  4. 前記ポリマー粒子は、更に、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルに由来する構造単位を有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインク組成物。
  5. 前記解離性基含有モノマーに由来する構成単位が、アニオン性の解離基を含む解離性基含有モノマーに由来する構成単位である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインク組成物。
  6. 前記色材が、顔料であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインク組成物。
  7. 前記色材が、ポリマー分散剤で被覆された顔料であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインク組成物。
  8. 前記ポリマー粒子が、自己分散性ポリマー粒子であることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のインク組成物。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインク組成物と、前記インク組成物と接触することで凝集体を形成可能な処理液とを含むインクセット。
  10. 前記処理液が、2価以上のカルボン酸又は2価以上のカチオン性有機化合物を含むことを特徴とする請求項9に記載のインクセット。
  11. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインク組成物を記録媒体にインクジェット法で付与するインク付与工程と、
    前記インク組成物と接触することで凝集体を形成可能な処理液を記録媒体に付与する処理液付与工程と、
    を有するインクジェット記録方法。
  12. 更に、前記インク組成物の付与により形成されたインク画像に加熱面を接触させて加熱定着する加熱定着工程を有することを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録方法。
  13. 前記インク付与工程は、少なくとも2種の前記インク組成物を、各インク組成物間の打滴間隔を1秒以下にしてライン方式により吐出し、画像を記録することを特徴とする請求項11又は請求項12に記載のインクジェット記録方法。
  14. 前記記録媒体は、水の吸収係数Kaが0.05〜0.5mL/m・ms1/2であることを特徴とする請求項11〜請求項13のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
JP2008233988A 2008-09-11 2008-09-11 インク組成物、インクセット、及びインクジェット記録方法 Active JP4633833B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008233988A JP4633833B2 (ja) 2008-09-11 2008-09-11 インク組成物、インクセット、及びインクジェット記録方法
US12/543,522 US8530543B2 (en) 2008-09-11 2009-08-19 Ink composition, ink set and ink-jet recording method

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008233988A JP4633833B2 (ja) 2008-09-11 2008-09-11 インク組成物、インクセット、及びインクジェット記録方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010065170A JP2010065170A (ja) 2010-03-25
JP4633833B2 true JP4633833B2 (ja) 2011-02-16

Family

ID=41799526

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008233988A Active JP4633833B2 (ja) 2008-09-11 2008-09-11 インク組成物、インクセット、及びインクジェット記録方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US8530543B2 (ja)
JP (1) JP4633833B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5191420B2 (ja) * 2009-03-09 2013-05-08 富士フイルム株式会社 画像形成装置および画像形成方法
JP5414596B2 (ja) * 2010-03-29 2014-02-12 富士フイルム株式会社 画像形成方法
JP5414600B2 (ja) * 2010-03-30 2014-02-12 富士フイルム株式会社 インクセット及び画像形成方法
JP5334907B2 (ja) * 2010-03-31 2013-11-06 富士フイルム株式会社 インクジェット画像形成方法
JP5606817B2 (ja) * 2010-07-27 2014-10-15 富士フイルム株式会社 活性放射線硬化型インクジェット用インク組成物、印刷物、印刷物成形体、及び印刷物の製造方法
GB201021603D0 (en) * 2010-12-21 2011-02-02 Fujifilm Imaging Colorants Ltd Inks & printing process
US10065412B2 (en) 2015-06-19 2018-09-04 Canon Kabushiki Kaisha Ink jet recording method
JP6593634B2 (ja) * 2015-09-30 2019-10-23 ブラザー工業株式会社 インクジェット記録用水性インク及びインクカートリッジ
CN110272656B (zh) 2018-03-15 2022-03-25 株式会社理光 处理液和墨水的套件,图像形成方法以及图像形成装置
JP2019155800A (ja) * 2018-03-15 2019-09-19 株式会社リコー 乾燥装置及び乾燥方法、並びに画像形成方法及び画像形成装置
JP6592869B1 (ja) 2018-10-30 2019-10-23 東洋インキScホールディングス株式会社 インキセット、及び印刷物の記録方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11269206A (ja) * 1998-03-23 1999-10-05 Toyo Kasei Kogyo Co Ltd 変性ポリオレフィン系水性樹脂組成物の製造法
WO2004029164A1 (ja) * 2002-09-24 2004-04-08 Seiko Epson Corporation インクジェット記録用インク組成物、これを用いた記録方法及び記録物
JP2006307078A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Nippon Polyurethane Ind Co Ltd 水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物及びその製造方法
JP2007145924A (ja) * 2005-11-25 2007-06-14 Konica Minolta Holdings Inc インクジェットインク及びインクジェット記録方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3206797B2 (ja) 1995-04-21 2001-09-10 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録方法
US6590012B2 (en) * 1997-04-28 2003-07-08 Seiko Epson Corporation Ink composition capable of realizing light fast image
ATE312146T1 (de) * 1999-12-27 2005-12-15 Seiko Epson Corp Tintenset, aufzeichnungsverfahren unter verwendung desselben und aufgezeichnetesbild
US7638561B2 (en) * 2004-06-22 2009-12-29 Rohm And Haas Company Aqueous inkjet ink composition

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11269206A (ja) * 1998-03-23 1999-10-05 Toyo Kasei Kogyo Co Ltd 変性ポリオレフィン系水性樹脂組成物の製造法
WO2004029164A1 (ja) * 2002-09-24 2004-04-08 Seiko Epson Corporation インクジェット記録用インク組成物、これを用いた記録方法及び記録物
JP2006307078A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Nippon Polyurethane Ind Co Ltd 水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物及びその製造方法
JP2007145924A (ja) * 2005-11-25 2007-06-14 Konica Minolta Holdings Inc インクジェットインク及びインクジェット記録方法

Also Published As

Publication number Publication date
US20100062160A1 (en) 2010-03-11
US8530543B2 (en) 2013-09-10
JP2010065170A (ja) 2010-03-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5408997B2 (ja) インクジェット記録用インクセット及びインクジェット記録方法
JP5404210B2 (ja) インクジェット記録用インクセット、およびインクジェット記録方法
JP4633833B2 (ja) インク組成物、インクセット、及びインクジェット記録方法
JP5346521B2 (ja) クリアインク、インクセット、及びインクジェット記録方法
JP5344871B2 (ja) インクジェット記録方法
JP5101439B2 (ja) インクジェット記録用インクセットおよびインクジェット画像記録方法
JP5283533B2 (ja) インクジェット記録用インクセットおよびインクジェット画像記録方法
JP2009233867A (ja) インクジェット記録方法及び記録物
JP2010069805A (ja) インクセット及びインクジェット記録方法
JP2010173314A (ja) インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法
US8403473B2 (en) Inkjet recording method and inkjet print
JP2009226810A (ja) インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法、及び記録物
JP2010137418A (ja) インクジェット記録用インクセット
JP5355001B2 (ja) インクジェット記録方法
US8328323B2 (en) Treatment liquid, ink set and image forming method
JP5414596B2 (ja) 画像形成方法
JP5523721B2 (ja) 水性インク組成物、インクセット、及び画像形成方法
JP5334907B2 (ja) インクジェット画像形成方法
JP5208792B2 (ja) インクジェット記録方法
JP2010155907A (ja) インクジェットインク組成物、インクセットおよび画像形成方法
JP5676328B2 (ja) 画像形成方法
JP5523687B2 (ja) インクジェット記録用インクセットおよびインクジェット画像記録方法
JP2011252092A (ja) インク組成物、インクセット、及びこれを用いた画像形成方法
JP2011084643A (ja) 複合自己分散ポリマー水性分散物及びその製造方法、水性インク組成物、インクセット、並びに、画像形成方法
JP2011184489A (ja) インク組成物、その製造方法及び画像形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100507

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20100507

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20100602

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100727

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100927

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101026

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101117

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4633833

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131126

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250